TPP

2016年12月12日

「息をするようにウソをつき続けてきた」野田佳彦・幹事長の罪

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「息をするように嘘をつき続けてきた」野田佳彦・幹事長


蓮舫・民進党代表が安倍首相との党首討論で「息を吐くように噓をつく」と揶揄しました。蓮舫氏の二重国籍に関する疑惑も当然ですが、この言葉は自党の大番頭である野田佳彦・幹事長にこそ相応しいと思います。

筆者は野田佳彦・幹事長が消費税増税という国家の重要事項の判断について、自らの主張について「大嘘」を突き続けてきており、現在に至っては完全に開き直った感じすらあります。

<街頭におけるシロアリ演説>

「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」(街頭演説動画)

「消費税1%分は、2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。

鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこがあるんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」

<国会におけるシロアリ演説(平成21年7月14日)>

加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

<直近の本会議における増税賛成演説(平成28年9月27日)>

「アベノミクスの失敗により、消費税引き上げ再延期はやむを得ない状況になってしまいました。それだけではありません。私が政治生命をかけて取り組んできた三党合意も風前のともしびとなってしまいました。まことに残念です。その発端は、安倍総理が二〇一四年秋に一回目の延期を決めて衆議院を解散したことです。消費税を政争の具にしないという魂が失われてしまいました。この再延期で、財政健全化への道のりは、より険しいものとなってしまいました。次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます。

ちなみに、過去には消費税増税反対の請願の紹介議員にもなっています。

第168回国会 1 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願
第170回国会 83 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願

以上のように、消費増税という日本経済に大きな影響を与える項目について、首相になるビフォー・アフターで180度意見が変わるとは何事でしょうか。筆者は増税の是非については様々な立場があると理解しています。しかし、このような民主主義を踏みにじる姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるとともに、現代に生きる我々も許すべきではありません。

「政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。(直近の本会議にて)」

野田氏はTPPからの撤退を主張していますが、現職総理大臣時には強烈にTPPを推進した人物の一人です。

たしかに、TPPは米国大統領に選任されたトランプ氏が撤退を表明したことで頓挫した形となっており、日本が承認手続きを経ることで相対的に前のめりの状態となっています。

そのため、TPPの国会承認を見送ることも一理ありますが、トランプ政権の発足前段階であること、現職のオバマ大統領がTPP推進である以上、日本が国会承認をしないことは道理に合わないことでしょう。実際にはTPPについてはトランプ新大統領と再交渉ということになるかと思います。(国会承認が滑稽な事態になる可能性は高いとは思いますが、日本側が国会承認を経ておく対応は妥当だと思います。)

その上で筆者が気になったポイントは、9月の本会議での野田氏の発言です。民進党がTPP賛否に云々という以前にもはや議論にするに値しない嘘つきだと思います。

<本会議での質問(平成28年9月27日)>

「私が内閣総理大臣のとき、自由貿易、FTAAP推進の基本的な立場から、交渉参加に向けて協議に入りましたが、ハードルが高く、国益を考えるとTPP交渉参加に踏み切れずにいました。そのとき、二〇一二年暮れの総選挙で、TPP断固反対、ぶれないと約束したのは、ほかならぬ安倍総裁です。政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。」


民進党は健全な二大政党政治を機能させるつもりがあるのか


筆者は嘘つき度合いは自民党も野田氏も良い勝負だと思いますが、野党の良いところは正論を述べることができる点に尽きると思っています。しかし、政権奪取時に明らかな嘘を実行して恥じず、なおかつ自らが再度当選してきた人物が幹事長にいる政党のどこに正論があるでしょうか。

蓮舫氏の政治の師匠は野田幹事長とのことですが、「この幹事長にしてこの代表あり」ということが言えるかもしれません。

選挙戦については間違ったことを言うことは往々にしてあるものと思います。しかし、国会質問及び答弁で堂々と嘘をつく行為は民主主義を踏みにじる行為であって許されるべきではないと思います。まして、自分自身の国籍について過去のメディア上での発言を平然と無視する行為も論外です。

二大政党政治が機能していくためには、理念ある二大政党が国会の質疑を通じて両党の考え方を国民に明らかにし、そして国民が投票を通じて判断を下すことが重要であることは言うまでもありません。

したがって、国会での質問内容の正常化は大前提であり、民進党はこれ以上蓮舫氏・野田氏の国会質疑を許すべきではありません。左派・右派というレベルではなく、誰でも分かる嘘つきか否かが国会の質疑の重要なポイントになる事態について一刻も早い是正措置が行われることを期待します。






本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2016年04月22日

TPP交渉「聖域を守れ!」という亡国の国会審議で滅びる日本

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TPP国会審議、「聖域を守れ!」最低のやり取りに明け暮れる与野党の有様

TPP国会審議が始まっているわけですが、極めて不毛かつ絶望的な国会審議の有様に溜息しか出ません。TPPの聖域5品目とされる農産品について、野党が「聖域を何も守れていないではないか」と声を荒げているからです。

まず、現状認識の根本的な問題として、日本政府は聖域5品目に対して成功裡に交渉をしたと思います。しかし、その頑張りは日本の農業、納税者、そして未来にとっては、まさに亡国の頑張りでしかないことが問題です。

今回のTPP交渉における主要農産品の交渉結果について、一言で表現すると、「日本の農業は甘やかされた聖域を守ることで未来を失った」ということです。

野党はガタガタとくだらないことを述べていますが、実際に起きていることは「米などの高い関税を維持した代わりに、国家管理貿易で他国の米・麦を納税者負担で強制輸入する量が増加し、更には加工食品の関税引き下げで食品加工業の海外流出は加速していく」ということです。その結果として、産業としての農業の衰退に拍車がかかることになるでしょう。

現在の与党はTPPの農業自由化を骨抜きにして聖域を守る(農水省・農業関係者の既得権を守る)ことに成功しており、本来であればTPP交渉への参加を表明した民主党や一貫して賛成してきた第三極に所属していた国会議員らは怒りを表すべきです。

しかし、現実には彼らは「聖域が守れていない」の大合唱。これらの人々が我が国でそもそもTPPを推進しようとしていた人々であるかと思うと、自論の変節ぶりと政策論のレベルの低さに呆れるしかありません。そんなことを求めるなら野党など辞めてしまって、自民党と一緒に既得権保護にまい進すれば良いのです。

TPPには自由貿易・自由投資以外にも安全保障コスト削減のメリットがある

TPPは参加国に高度な自由貿易・自由投資へのコミットを要請するものであり、先進国である日本にとっては経済的なメリットが多い協定です。そのため、上記のような農業に関する本末転倒な議論を論外であるとともに、様々な分野の市場での経済的価値は極めて大きいものと思われます。

また、TPPは米国のアジア回帰戦略の主軸となる側面もあり、オバマ大統領が度々言及している通り、安全保障上の意味合いも重要なポイントとなってきます。つまり、TPP参加国によって自由市場の権益が共有されることで、同地域での安全保障上のコストを共有・削減していくことが可能になるからです。

特に日本の場合は同盟国・米国との間でアジア地域での共通の利益が強化されることを通じて、潜在的な競争相手である中国からの軍事的プレッシャーに対抗する意味合いが強くあります。

米国はそもそも東アジアや東南アジア地域への関心が強くありません。彼らの安全保障上の主要な関心事項の大半はロシアと中東問題です。そのため、むしろ東アジア・東南アジア地域では中国の軍事的な台頭に対して米国は及び腰であり、米国による関与を維持することが極めて難しい局面となっています。

トランプ氏やサンダース氏の台頭、日本・アジアへの関心の低さは彼ら特有の問題ではありません。彼らがTPPに否定的な理由の一つにはアジア地域への安保上のコミットを避けたいという意図があるはずです。

そのため、仮にTPPが米国または日本が抜けて非成立になった場合、TPPに加入した場合と比べて日本は中長期的には中国の安全保障上の脅威に対して米国抜きで対応するだけの防衛コストの負担が迫られることになるでしょう。また、東南アジア諸国の軍拡も継続していくことになり、日本にとって重要な地域の平和維持のためのコストが増加していくことが予想されます。

防衛費等の増加は日本国内における社会保障、教育、地方交付税などの他予算を削減することによって賄うしかないため、TPPに加入しないことは現在の政府による行政サービスの低下を間接的に招くことになるでしょう。そして、拡大する防衛予算は非採算部門である政府規模の拡大に繋がり、日本の経済成長は更に鈍化していくことになります。

巷ではTPPに入ると皆保険が崩壊するなどと議論にも値しない論が横行していますが、安全保障環境の中長期的な見通しに立てばTPPに入らないほうが政府予算内での資源の取り合いが浅ましいことになっていくことは容易に想定されるのです。

国会議員らはくだらない政争をやめて、さっさと大政翼賛会を結成したら良い

冒頭でも触れた通り、かつては自由主義を掲げた政党の所属国会議員らが現在では「聖域を守れ!」と主張している姿を見ると、日本の国会議員の節操のなさはここに極まれりだなとしみじみしてくるわけです。

私の20代・30代前半は小泉構造改革や第三極ブームとともにありましたが、当時と比べて現在の与党と野党の議論の質の低下は著しくもはや見る影もないということが言えるでしょう。

聖域を守ると述べながらも守っているのは既得権者だけで産業自体を衰退させていることにも気が付かない有様。そして、米国自体がアジアへのコミットメントに引き気味であるためにTPPにも既に及び腰になりつつあることを知らず、他国に交渉でやられた!というチャチな陰謀論を振りかざす有様。

国会審議のレベルの低さは真剣に成長・発展、そして平和・繁栄を求める他国の政治家から見た場合に絶句に値する状況です。

与党と野党の議論は双方ともに自分たちが何の議論をしているかも分からず、既得権集団のための「ためにする議論」をしているプロレスみたいなものです。与党も野党も求める結論が一緒ならさっさと大政翼賛会を結成すれば良いわけで、あえて違う政党のフリをしてくれなくても良いのです。

国会議員は今更民主主義をやっているフリをしなくても問題ありません。国民は皆さんが官僚・既得権の言いなりであることを十分に知っているのだから。それよりももっと分かりやすく自分たちがやっていることの説明責任を国民に果たしてほしいものです。自分たちが一般納税者の敵であることを明らかにすることはアカウンタビリティーを果たす上で重要な意思表明だと思います。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。

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2016年03月27日

トランプ外交で日米安保・TPPはどうなるのか?

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ドナルド・トランプ氏が大統領になる可能性が出てきた途端に・・・

筆者は昨年からドナルド・トランプ氏の共和党予備選挙優位を一貫して主張してきましたが、最近になってようやくトランプ大統領の可能性を認める日本人有識者の言説が出てくるようになりました。

しかし、大半の有識者は「トランプが大統領になる!」とは、コレッポチも想定していなかった人ばかりであり、極めてその場しのぎのいい加減な論考が目立っています。特に、日米関係についての外交方針に関するものなど、トランプ氏の発言に振り回されているだけでモンロー主義がどうのこうの、という解説しか世の中にはないわけです。

そこで、本稿では、ドナルド・トランプ氏が大統領になった場合の東アジア・東南アジア政策についての分析を行ってみたいと思います。在日米軍が撤退するとか、TPPから撤退するとか、などのトランプ氏の発言の真意に迫りたいと思います。

ジャパン・ハンドラーズとドナルド・トランプ氏の関係について

米国側には知日派という対日政策の専門家(ジャパン・ハンドラーズ)が存在しています。日本のニュースなどでも時折目にすることがあるリチャード・アーミテージ氏やマイケル・グリーン氏などがその代表的なメンバーです。

日本の親米派の国会議員が渡米する際には、これらのジャパン・ハンドラーズに詣でることが通例です。(私が以前に米国を訪れた際もたまたま渡米中の国会議員たちがジャパン・ハンドラーズの私邸で飯を食べに行ってました。)これらのネットワークは日本の与野党を超えて存在しており、親米派の国会議員とはジャパンハンドラーズと仲が良い国会議員であると言い換えても良いでしょう。

実は、このジャパン・ハンドラーズは対トランプ氏についての立場を鮮明にしていません。トランプ氏の外交・安保姿勢を外交安全保障の専門家が連名で批判したことは有名ですが、その中に上記のジャパン・ハンドラーズは名前を連ねることがありませんでした。(最終的には外部圧力によって同連名に加わる可能性もありますが・・・)

つまり、ジャパン・ハンドラーズはトランプ大統領誕生に備えて政権でのポスト獲得のために態度を保留している、またはトランプ氏に対日政策について進言するチャンスを待っていると言えるでしょう。

日米安保とTPPは「偉大な米国」(ただし、非覇権国)にとって都合が悪い政策

トランプ氏は「交渉の達人」と呼ばれています。その観点から見ると、ドナルド・トランプ氏からは日米同盟とTPPは極めて不合理な条約として目に映ることでしょう。なぜなら、これらの条約は米国の最大の切り札である軍事的なコミットメントを明示的・暗黙的に行うものだからです。

東アジアからの米国への民間投資額の大半及び米国債の購入の約35%は日本によるものであり、新たに構築されるTPPは成長著しいアジア太平洋地域の果実を日米で分け合うことを合意するものです。そして、これらの果実を得ることの前提として、米国は同地域に軍事的なコミットメントを行っている状況があります。

特にオバマ大統領はTPPの安全保障上の重要性について、昨年ホワイトハウスにキッシンジャーなどの国務長官経験者、元安全保障担当補佐官経験者、米軍トップなどを招集して大いに語ったと言われています。つまり、TPPは単なる経済条約ではなく安全保障のための側面を強く持った条約なのです。

しかし、本来、米国にとっては虎の子の軍事的なコミットメントをさせられることは極めて不本意なはずです。なぜなら、米国が一定の権益を持つことで軍事的コミットメントを実質的に保証した場合、東アジア・東南アジア諸国は「米国が離反する可能性を気にせず、競争相手である中国との関係を深めることができる」からです。

現在、日本は米国の軍事的なコミットメントにフリーライドする形で、中国からの軍事的・政治的な圧力を撥ね退けつつ、自らの経済的な利益を追求することができています。TPPはその領域をアジア太平洋全域に実質的に拡大するものと言えるでしょう。

世界中で最大限の影響力を維持しようという覇権国であれば上記の政策は価値があるものと思われます。しかし、トランプ氏が目指そうとしている「偉大な米国」は明らかに従来までの覇権国とは異なるものです。

米国にとって東アジア・東南アジアの優先順位は極めて低く、同地域の国々に軍事的にフリーライドされ続けることはコストばかりで益が無いと判断するのも論理的な判断と言えるでしょう。

米国からの武器購入圧力が高まることが予想される日本の脆弱な立場

上記のような状況の中で、トランプ大統領の下で日本に求めることは「米国製兵器の大量購入」ということになるかと思います。

現在の安倍政権下でも円安にも関わらず高価な米国製兵器を購入するカモそのものですが、トランプ政権下では安全保障面でのコミットメントの対価として従来以上に商売のターゲットになることは間違いないでしょう。そして、対日政策の担当者は引き続きジャパン・ハンドラーズが踏襲するということになります。

そもそもジャパン・ハンドラーズと呼ばれている人々は、米国にとっては数ある外交相手国の一つの担当者に過ぎず、最近の米国政権の中で主導的な立場にあるとは思えません。日本から見た場合の交渉窓口がそこしかなかったので、外交力が欠落した日本の官僚・国会議員が日参しているに過ぎないのです。

そのため、トランプ大統領の下で、ジャパン・ハンドラーズが対中政策を含めた東アジア政策などを実行できるわけもなく、日米間に横たわれる従来の利権の拡充に力を入れるのが関の山ではないかと思います。

むしろ、個人的にはジャパン・ハンドラーズには米国内でもう少し力を持ってほしいと思いますが、日本自体の経済力・影響力が急速に凋落していく現状では難しいことなのかもしれません。

したがって、日米安保は現状の延長線上となることが予測されます。

そして、トランプ大統領の下で日米同盟は維持するけれども、基地のための費用だけでなく軍事的・非軍事的な高額商品・サービスを米国側から購入させられることになるでしょう。さらに、ディールが不調に終われば何時でも中国カードで揺さぶりをかけられるようになる可能性すら考慮すべきだと思います。

TPPについては米国の国内批准がうまくいかない可能性も・・・

そもそもTPPとは民主党のオバマ政権下のレガシーに過ぎず、オバマ政権のアジア回帰を象徴する政策として位置付けられてきたものです。トランプ大統領がTPPにこだわる政治的な理由は特に無いため、今までの経緯を無視すればTPPから米国が抜ける可能性すらあります。

TPPは日米安保と違って現状を変更する条約です。何事でも現状を変更することにはエネルギーが必要です。日本国内でもTPPに対する反対運動が存在しているように、米国にもTPPに対する反対運動が存在しています。両国の中に渦巻く利権構造が現状変更を阻止する方向で働き続けているのです。そして、政治的な力学としては何もしない方が楽なのです。

そして、上記の通り、安全保障としての側面を持つTPPは既に戦争で疲弊した米国にとっては看過しがたい負担となることは明白です。アジア回帰を訴えてきたオバマ政権がその実ほとんどアジア太平洋地域にはコミットできなかったことからも、米国の軍事的な限界が如実に表れていると言えるでしょう。

その上で、トランプ氏はTPPから脱退するとは口にしていませんが、TPPについては激しく交渉内容について批判を行っています。トランプ氏の政治的な発言は「有権者ではない人々(≒自分に投票しない層)を攻撃する」ことに特徴があり、TPP参加国の国民は有権者ではないのでトランプ政権下での政権運営上は無視できます。

TPPは今年2月に参加国による署名式が行われましたが、米国内において実質的な国内批准の議会審議が始まる時期は来年の新大統領就任後となるでしょう。2016年段階でもTPPに関する影響評価などが公開されることになるため、同条約に関する議論は続くことになると思いますが、その重要性に鑑みてレームダック化するオバマ大統領の任期中に国内批准が決まるとは考え難いです。

したがって、同条約は日米のどちらかが脱落すると実質的に発効ができない内容であるため、TPPについては破棄される可能性が相当程度あると看做すべきです。

日本外交は「カモ」から「白鳥」になることができるのか?

ここまで長い文章を読んで頂いた方々は、トランプ大統領と対峙した場合、従来までの日米関係の思考の延長線上では「カモ」になることがお分かり頂けたと思います。

従来まで日本をカモにし続けてきた人々(ジャパン・ハンドラーズ)が今まで以上にカモりに来るのがトランプ政権であり、ジャパン・ハンドラーズに頭が上がらない既存の親米派国会議員に対米外交を任せていると、一気に身ぐるみ剥がされて太平洋を漂流する島国になる姿が目に浮かびます。

そして、アジア太平洋地域における日米共同権益のシンボルであるTPPが危機に瀕することで、日本は中国・米国について戦前のように政治的に挟まれた状況に回帰することになるでしょう。

TPPとは満鉄の共同経営を日米で行うことを持ちかけたハリマン提案のようなものであり、同提案を断った後の日本が戦前に辿った運命は皆さんご承知の通りだと思います。万が一TPPから米国が抜けてしまった場合、中長期的にアジア太平洋地域の安全保障バランスの不安定化は避けられないものになるでしょう。

日本人は従来までの対米外交チャネル以外の交渉チャネルを持ち、日米中の衝突の危機が高まる中で本気で生き残るための道を模索する段階がきています。外国に金をばら撒き続けて人気取りを行う呑気な外交をやっている場合ではないのです。

日本人の政治的な知力が問われる正念場であり、カモが白鳥になれるかどうか、もしくは、カモが丸焼きになるかどうか、がかかっています。トランプ大統領とは「日本人の実力」が問われる大統領なのです。

ドナルド・トランプ 300の言葉
ドナルド・トランプ
2016-03-08







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2016年02月19日

TPPを平成の不平等条約と信じている人達への手紙

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現在、筆者は東南アジアで行われている自由経済に関するシンポジウムに参加しています。同会議ではTPPは非常に好意的にとらえられており、日本のTPP反対派の皆さんに、陰謀論への反論を含めて東南アジアからお手紙を出したいと思い筆を執りました。

TPPを「平成の不平等条約」として信じている人達へ

TPPはしばしば反対派の陰謀論者の識者?から平成の不平等条約であるという指摘がなされています。幕末時代に日本が諸外国と結んだ不平等条約の再来であり、TPPを結ぶとまるで日本が滅ぶかのような言論が実しやかに語られています。

しかし、このような言論は日本・アジア太平洋の経済的な現状についての理解が乏しく、まるで幕末日本の中で騒いでいた「攘夷論者」のような現実感覚が欠落したものと同類のものです。明治政府も政権奪取後には無意味な攘夷論から開国論に一気に舵を切って、日本を資本主義国化させることでアジアの強国に育て上げました。

当時も開国派は売国奴扱いされたものですが、歴史はどちらが正しかったかを証明していると思いますし、日本の歴史と現在の状況を正しくとらえれば何が必要かは自ずと理解できると思います。

現在の日本の問題は一部の陰謀論者によって愛国心を持った方々が煽られて、TPPを平成の不平等条約だと思い込まされていることにあります。

そもそも不平等条約はどうして結ばれることになるのか

幕末に不平等条約が結ばれた理由として、欧米列強のエゴが無かったということは言い過ぎだと思いますが、その主たる理由は日本の政治体制が前近代的な田舎国家だったことがあります。

欧米人から見た当時の日本は、立法・行政・司法のシステムも滅茶苦茶、当然に三権も分立しておらず、刀を持った侍に突然襲われて切り殺される国でした。日本との貿易修好関係を構築するに際して、欧米が治外法権や関税権に対して厳しい条件を日本に求めることは道理にかなったものでした。

欧米から見れば極東の300年間も一家系(徳川家)の独裁者が支配する島国・日本であり、最低限の身体と事業の安全を確保するための取引は妥当であったと思います。たとえば、現代日本人で、北朝鮮、トルクメニスタン、エリトリアなどで治外法権などが無く居住・滞在や仕事をしたい人などいないでしょう。

したがって、明治時代となって、日本の政治行政の近代的な仕組みが整備されるとともに列強の一員となることで、それらの不平等条約は改正されていくことになります。このような取り組みを真摯に行ってきた明治時代の先達の努力は素晴らしいものがありました。

ISD条項で訴えられることが意味することについて

TPPについて陰謀論者が引き合いに出す事例としてISD条項が取り上げられることが多い印象を受けています。

しかし、そもそもISD条項とは政府による民間投資への不当な接収行為に対する司法手段です。

政府による接収行為に対する司法紛争となるため、当然のことして同行為を実施する政府が存在する地域での司法システムに任せるわけにはいきません。したがって、ISD条項を設けることによって、条約締結国間での投資を安全に行うことができるようになるわけです。

つまり、日本のような先発資本主義国にとって、海外の低・中開発国に対して投資を安全に行うためには、ISD条項が担保として必要となります。そのため、日本が海外と結んでいるFTAやEPAもISD条項は当然に含まれるものとなっています。ISD条項で訴訟対象になるものは、主に資源投資などの政治問題化しやすい案件となります。

仮にISD条項で日本政府が訴えられる場合、それは日本政府が近代国家として問題がある不当な接収を海外からの投資に行ったことになるため、先進国として極めて不名誉なことであると認識するべきです。最終的には全てのTPP参加国にISD条項を適用しなくても済むことが理想ですが、政治の現実問題としては難しいものでしょう。

そのため、最初からISD条項で訴えられることを前提にした議論とは、日本の国際的な地位を自ら貶める言論であり、誇りある日本人として受け入れるべきものではありません。まして、日本の国会議員がそのような発言を行うことは先進国・日本を未開国扱いするものであって真面目に聞くに値しないものです。

ということで、日本でTPPに参加することは当然のことであり、この流れに参加せずに行きたい人はベトナムあたりに日系企業が投資をして共産党独裁政権下の裁判で投資を全て接収されたときに目が覚めると思います。

東南アジアの国々にとってのTPPの捉え方とは

東南アジアの国にとってのTPPについての議論を聞いていると、TPPに加入することは、腐敗の抑制、癒着の改善、政府の説明責任と予見性の向上、政府調達の透明性と説明責任の向上、などの開発国における深刻な政治問題を解決する契機となるという見方をされているようです。

自国の腐敗状況については当事者が最も良く理解しているわけであり、それらを改善する契機としてTPPによる外圧は絶好の機会の一つとして認識されているようです。まあ、そもそもTPP自体は東南アジアの国々で始まった話なので外圧というのも若干語弊がありますが・・・。

せっかくアジア・大洋州諸国が先進国ルールに合わせた取り組みを実施しようとしてくれているのに、それに乗っからない理由は全く理解できず、むしろ日本はTPPを積極的に推進する立場を取り続けるべきでしょう。現代では昔のように軍事力を背景とした開国・条約締結は不可能であり、これだけ広範囲の国が合意した取り組みは日本にとっては千載一遇のチャンス到来といったところです。

今後はTPPによるアジア経済の健全な成長に歩調を合わせて、日本もそれら国々の成長を取り込む施策を充実させていくことが重要です。



TPPで日本は世界一の農業大国になる
浅川 芳裕
ベストセラーズ
2012-03-16





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2015年11月22日

志位和夫・共産党の支持率上昇は「小さな政府支持者」にとって朗報だ

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日本共産党という選択肢が初めて意味を持ちつつある状況が生まれて来たように感じています。

何でも反対という印象だった共産党

筆者は1981年生まれであるため、日本共産党は寿司で言うところのガリのような存在であり、国政で一定の議席は持ちつつも絶対に政権を取れないが、地方政治では巧みな票割りで確固たる議席数を持つ勢力として認識してきました。

ただし、日本共産党を「まともな選択肢」として捉えたことはありませんでした。

日本共産党は何でも原則的に反対しているだけという印象が強く、彼らの主張内容についても興味を持つこともほぼ皆無でした。時折、赤旗がすっぱ抜くスキャンダルが興味深いなという程度の存在です。

しかし、今回の安保法制を機として、それなりに現実路線とも妥協するようなスタンスを日本共産党が示し始めたことは、日本の政治構造に面白い変化をもたらす可能性があると思っています。

大きな政府支持者のための共産党へ

先日、私の知人が日本のTPP参加について激しく「自民党は裏切った」と述べている姿に遭遇しました。

おそらく自民党の”聖域なき”TPP反対の看板を見て投票したにもかかわらず、安倍政権がTPPを推進していることが気に食わないのでしょう。自分はTPP推進派ではあるものの、自民党の詐欺的なやり方に騙されたと感じる友人の気持ちも分かります。

更に言えば、TPPについては民主党政権も推進していたので、少なくとも現在の二大政党はこの友人にとっては選択に入らないことになります。東西の維新の党もTPP推進であるために、彼にとって主要政党は投票先として相応しくないということになります。

日本共産党であれば全国津々浦々に候補者が存在しており、毎回の国政選挙で玉砕しているものの、政策的な意味では常に大きな政府の重要性を主張しています。個別のケースでおかしなことを言っている点を無視すれば、大きな政府を求める人にとって日本共産党ほど確かな投票先はありません。

主要野党が低迷する中で、最新の世論調査では日本共産党の支持率が8%を超えた結果も出始めています。日本共産党がが大きな政府を求める支持者らにとって現実的な選択肢として視野に入ってきていることが分かります。

大きな政府支持者が共産党に投票することで起きること

日本共産党が大きな政府支持者を自らの下に集めてくれれば、他の政党からそれらの支持者が姿を消すことになります。

そもそも前述の自民党に騙されたと思っている友人は「最初から共産党に投票すれば良かった」のです。共産党が現実的な選択肢となるなら、日本共産党こそが彼にとって最も望ましい投票行動ということになるでしょう。自民党や民主党などの他政党に投票するのではなく、是非日本共産党とともに歩んでほしいと思います。

日本共産党がしっかりと選択肢として機能していくことで「大きな政府」と「小さな政府」の対立構造がすっきり綺麗になっていきます。

「政治的に声が大きい」大きな政府支持者が主要政党から去った結果、主要政党は心置きなく自由経済を推進する政策が実行できるようになります。日本のマジョリティー(無党派層)は、どちらかというと「大きな政府」ではなく「小さな政府」を求めており、一部のタックスイーターの声が反映されて国政が動かされています。少数派の大きな政府支持者が主要政党に影響を与えなくなることは良いことです。

そのため、大きな政府側の選択肢として機能不全であった日本共産党が現実的な選択肢となったことは、小さな政府を求める人々にとっても朗報と言えるでしょう。

民主主義ってなんだ?
高橋 源一郎
河出書房新社
2015-09-18




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2015年11月21日

TPPと移民、どうして必要なの?という疑問に答える

経済自由度ランキング

人口減少下で経済衰退の道に向かう日本の未来

安倍首相が出生率の目標を「1.8」に設定しましたが、その出生率目標では人口が減少していくことに何ら変わりがなく、なおかつ現状の政策の延長線上では目標にも到達しないことは明白となっています。

日本のGDPの減少を継続し続けることになり、内需に支えられてきた日本経済は根幹から揺らぐことになるでしょう。経済力の衰退は、資源を持たない日本にとっては死活問題であるとともに、国民の豊かな生活の継続が可能であるかどうかも疑わしくなってきます。

日本の人口問題を抜本的に解消するための解決策が求められており、TPPと移民という二つの選択肢が私たちの前に提示されています。

活路は「外に打って出るか」または「内を栄えさせるか」という2択

日本の活路は、成長する新興国市場での成功を目指すのか、それとも日本国内に移民を入れて経済成長を目指すのか、という2つに1つということになります。ところが、このような選択も簡単に実行できるわけではありあせん。

上の地図はThe Heritage Foundationが毎年発表している経済自由度ランキングです。経済自由度とは簡単に言うと、まともな商売がどこの国の人でも自由にできるか、というランキングだと考えてもらっても良いです。
緑が正常なところ、赤が困難なところ、黒くなっているところはマッドマックスの世界だと考えてください。

日本人は黄緑レベルの環境で普段暮らしています。私たちが暮らしている世界の商慣行は世界の中では少数派であり、日本と同じ感覚で海外で商売すれば身ぐるみ剥がされることは間違いありません。

特に戦後復興期も終えた後に生まれたような生ぬるい人々では大半生きていけないことは間違いなく、新興国で自分探しをしたい人は、自分を探すどころか路頭に迷うことは必然と言えるでしょう。

TPPは新興国に先進国と同じルールを守ることを求める方法

日本人が「成長する新興市場で成功を目指す」ためには、日本と同程度の商売上のルールが守られる環境を新興国に求めていくというやり方があります。これが「TPP」などの貿易・投資のためのルールづくりです。

国外に市場を求める前提として、既に生ぬるくなってしまった先進国民が生きていける環境を整備する必要があります。治安上の問題などの根本的な部分も当然ありますが、最低限商慣行の部分を是正することが重要です。

ちなみに、TPPに対して過剰に反応している人々は世界の現状(上の地図)を知らない人々であり、緑の地域のルールを新興国に適用するということを理解できていない人か、日本国内で赤い色の国の人のようにまともにビジネスをせずに腐敗した商慣行の環境にいる人です。

移民は新興国民に日本で同じルールを守ることを求める方法

一方、「日本国内に移民を入れて経済成長を目指す」という手法を選択することもできます。これは日本国内というある程度ルールが出来上がった環境の中で、新興国を含めた外国からの移民に仕事を行ってもらうというやり方です。

日本で既に構築された商慣行を移民にも守らせること、既存の日本国民の慣れ親しんだ環境でのビジネスを行うことができることなど、国外に進出するよりも比較的容易に成長への道を選ぶことが可能です。また、自分たちよりも優秀な移住者も多く訪れることになりますが、彼らに仕事を作ってもらって財政負担をお願いすることも重要です。

海外からの移住者を招き入れていく中で、様々な文化軋轢が生じるでしょうが、それは経済成長と引き換えとして得られる代償であり、それらの十字架を背負う覚悟も必要です。

TPPと移民の両方を推進するべきであるという結論

世界の環境は既に日本人にとっては生きていくには過酷な状況となっており、現状のままでは火星に移住する状態と大差ないものと思います。既に海外で活躍している日本の倭僑の皆さまの生命力に感服するばかりです。

そのため、人口減少社会の中で日本人が現状の暮らしを維持・向上しようと思うなら、TPPまたは移民、できれば両方を推進していくことが望ましいでしょう。世界の日本化こそがTPPと移民の本質だからです。

日本の同胞にはTPPと移民についての理解を深めて頂き、日本人の生存戦略・成長戦略を実行に移してほしいものです。

米国の研究者が書いたTPPがよくわかる本
ジェフリー・J・ショット
日本経済新聞出版社
2013-10-26




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yuyawatase at 22:00|PermalinkComments(0)

2015年11月13日

徳永エリ参院議員は勉強していると思う、ただしTPP陰謀論の。

3953128

民主党、参院でも論戦不発 TPP追及も勉強不足露呈臨時国会やる気なし?
http://www.sankei.com/politics/news/151111/plt1511110044-n1.html

という記事を発見して、ついに恐れていたことが常態化してきたか・・・、とかなり残念な気持ちです。TPPに関しては、懐かしの「サルでも分かるTPP」のような典型的な陰謀論が跋扈している状況でしたが、ついに国会論戦にまで本格的な脳内汚染が拡がっているようです。

徳永エリ参院議員は「勉強」している、ただしTPP陰謀論の。

産経新聞は遠慮して徳永議員が勉強不足で甘利大臣に論破されたという記事の書き方していますが、産経の論評は明らかに遠慮しすぎです。

徳永議員はしっかりTPPについて勉強してきています。ただし、TPP陰謀論の勉強についてですが・・・。

TPPについては当初話題になり始めたときから国内では陰謀論の丁度良いネタになっており、中野剛志氏らの愛国者きどりの似非有識者によるネタ話が一世を風靡したような気がします。

まともな感覚を持っている人には空耳にしか聞こえなかったと思いますが、多くの信じ込みやすい善良な国民はTPPについて「米国の陰謀だー!」ということで良い燃料になったものです。

私自身は当初からTPPは先進国が海外投資で安全に投資を行うためのルールであり、中国に対抗していくためには絶対に必要ということを述べ続けていましたので、時々受けていた講演・取材などで持論を述べさせていただいたものです。

国会議員の異常な知的劣化について真剣に心配している

TPPは考え方によっては非常に厳しいものであるかもしれません。日本という国が、腐敗した政治、強権的な政府、未発達な産業、モラルの低い人々によって構成されていると想定した場合、透明で合理的な制度運用を求めるTPPは極めてラディカルなものとなるでしょう。

しかし、このブログを読んでいる人は当然理解できると思いますが、日本は「世界有数の先進国の一つ」であり、TPPに加入することで幅広い意味での恩恵を受けます。(むしろ、TPPの理念に反するような農業の輸入枠の設定などのほうが余程日本の国益にとっては問題です。)

TPPがどれだけ経済的・政治的に重要な役割を果たすかは、TPPから取り残されて孤立した韓国の狼狽ぶりを見れば明らかです。巨大なアジア市場において日本が米国とともに重要な地位を占めたことの功績は計り知れないものがあります。

一方、日本の国会議員には以前からTPPに関して腐敗した途上国を代表したような質問をする国会議員が存在しており、国会議事録に恥ずかしい発言が末代まで残る事態が発生してきました。

私は国会議員が陰謀論を信じている異常な知的劣化について真剣に心配しています。

安保法制もTPPもせめて政府が公開している資料くらい見ろよ、と言いたい

安保法制のときもそうでしたが、TPPについても政府は実に様々な資料を公開しています。

一つ一つ読みこなしていければ、世界有数の先進国であり、自由主義・民主主義の国にとって必要なものであることが理解できると思います。

そうは言っても、有権者一人ひとりに公開書類を読めというのは無理ですし、陰謀論を垂れ流す似非有識者らについては確信犯なので最初から完全に諦めています。

丁度先日も私の知りあいから「渡瀬さんこれどう思いますか!」というメッセージとともに陰謀論のHPが送られてきました。私からのアドバイスは「脳味噌が壊れたと思われて、奥さんに心配されるからやめておけ」と伝えました。

そういうわけで、せめて「国会議員」なら公開されている資料くらい読んでから質問の場に立てよ、と思うわけです。国会議員が国会で糞真面目に陰謀論を垂れ流していると、真面目な国民の心と頭に影響が出るから本当にやめてほしい、と切に願います。

国会でプラカード持って遊んでいたり、習ったばかりの陰謀論を嬉しそうに開陳しているのではなく、まずは文字を読むところから始めてほしいと思います。

米国の研究者が書いたTPPがよくわかる本
ジェフリー・J・ショット
日本経済新聞出版社
2013-10-26








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yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)