IS

2015年12月10日

国連安保理・全常任理事国と衝突するイスラム国

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イスラム国(IS)が中国での活動を本格化することを宣言

2015年12月9日”Take Up Weapons(武器を手に取れ!)というイスラム国のプロパガンダが中国国内のIS戦闘員及び潜在的な戦闘員候補者に呼びかけられました。

中国は国外では過去に人質をISに殺害されており、国内でのテロ対策を強化するなどの対応に追われています。宗教的な動乱が中国の過去の王朝を終わらせてきた歴史的な経緯を踏まえると、ISが中国に対して全面的な戦闘状況に突入することの意味は大きいと思います。

中央アジアに拡大するイスラム国(IS)、新たな戦乱の火種が拡大する可能性

タジキスタンでは失踪していた治安当局の司令官がイスラム国(IS)の一員として、現職のタジキスタン大統領を打倒する声明を発表しているなど、旧ソ連に属する中央アジア諸国における活動を拡大しています。

タリバンなどの旧来のイスラム勢力に代わって、勢いがある新興勢力としてイスラム国(IS)への求心力が高まっており、シリアなどの激しい戦闘が展開されている地域から、イスラム国(IS)が戦線を中央アジア及び中国西部に移す可能性が高まっています。

中央アジア地域では事実上の独裁制が敷かれており、イスラム系住民のフラストレーションが溜まっていることから過激思想に共感する人々が生まれやすい環境があります。

中国で高まるホームグランドテロの危険性と人権弾圧の激化の可能性

新疆ウイグル自治区からISに参加していた戦闘員が既に中国に戻ってホームグラウンドテロを仕掛ける可能性も高まっており、中国の対テロにおける著しい治安の悪化が起きるとともに、対テロを名目とした中国当局による人権弾圧の激しさも増すものと推測されます。

イスラム地域と国境が隣接する大国は常にイスラム過激派との間で緊張関係を抱えており、対イスラム・テロという文脈になると、通常は対立関係にある欧米と中露の利害が一致する現象が発生します。今後中国が新疆ウイグル自治区を始めとした治安強化策を行うことに対して、欧米がどのような反応を示すか、ということが問われています。

全ての国連安保理・全常任理事国と戦争状態に突入するイスラム国(IS)

以前の記事(対イスラム国、安保理常任理事国・中国に責任を果たさせよ)でも書きましたが、中国は対イスラム国(IS)に関して常任理事国として積極的に関与すべきです。

前述の中国人とノルウェー人がイスラム国に殺害された際の、国連の説明に対し、中国は

「。安保理は中国人の人質が殺害された後、即時に反応し、テロ組織による人質殺害という暴行を最も強烈な表現で非難し、各国が中国政府などと力を合わせて協力するように勧告した。これは安保理のメンバー国、さらには国連加盟国全体の共通認識を反映し、国際社会があらゆる形式のテロリズムを共同で取り締まる固い決意を表現した。」(新華網)

としていますが、国内での取り締まり以外に、国際社会の秩序を守るために積極的な役割を果たす存在が国連安保理の常任理事国です。中国は国内対策を強化するだけで国際秩序の問題から自らを蚊帳の外に置いてきましたが、もはや途上国ではない同国が国連の大国としての義務を果たすべきときが来たと言えます。

イスラム国(IS)が中国に対して戦闘状態であることを発表したことで、同組織は全常任理事国と戦闘状態に突入したことになるため、国連安保理の正式な決議によって各国バラバラに介入しているシリアを統一的な方針の下に平定するべきです。

国際社会全体の大義を掲げた闘いこそが対テロ戦争には相応しいものであり、近年低下している国連の安全保障機能を取り戻すことが望ましいものと思います。

「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか
イアン・ブレマー
日本経済新聞出版社
2012-06-23



 

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yuyawatase at 18:00|PermalinkComments(0)

2015年11月19日

対イスラム国、安保理常任理事国・中国に責任を果たさせよ


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(ノルウェーでIS(イスラム国)によって誘拐された中国人、拘束されて身代金を要求されている)

シリアに蔓延るISの暴挙に対して、既に国連安保理常任理事国のうち、米国、フランス、ロシア(英も参加予定)が大規模な空爆を実施するようになっています。ISのテロ行為は世界中に拡大しており、世界全体の秩序にとって脅威となっています。 そのような中で常任理事国である中国はISに対して何ら対応を示そうとしておらず、極めて無責任な対応を行っています。

ISを世界の脅威として国連の多国籍軍が殲滅するべきである

欧州連合はブリュッセルで開催した国防相理事会でフランス政府が求めたEU基本条約に基づく集団的自衛権の行使について全会一致で支援を表明しました。フランスがISによるテロ行為の対象となった以上、当面の対応としては妥当であると思います。

しかし、ISは既に世界の脅威となっている以上、本来は集団的自衛権の対象としてではなく、国連による集団的安全保障の対象とし、国際社会が連合してISの殲滅に取り組むべきです。各国バラバラの空爆は必ずしもIS殲滅という目的を果たすことに繋がらず、全体の目標を定めた一致団結が必要です。

そのため、特定の国による対応ではなく全世界的な枠組みの中でISを殲滅することを宣言し、国際社会全体の大義を持ってISをシリア・イラクから殲滅することが望ましいものと思います。ISの蛮行は国連安保理に付託して決議を得るために十分な内容を伴っています。

国連安保理常任理事国としての「中国」の責任を問うべきである

既に中国以外の安保理常任理事国はISに対する戦闘に突入しており、中華人民共和国も現在の国際秩序の維持を担う国連の常任理事国としてISへの軍事行動を起こすべきです。

中国も2015年9月にISによって自国民が拘束された状況にあり、現実にISによる蛮行の被害が発生しています。そのため、直接的に軍事力を行使することも出来ると思いますが、責任ある大国として是非国連安保理常任理事国の全会一致の決議を出すことに賛同してほしいと思います。

今年9月に行っていた軍事パレードが世界の平和を維持するためのものであり、第二次世界大戦の戦勝国として世界の秩序を維持する責任を持つと自認するなら、中国は自ら安保理でISに対する集団的安全保障の行使の決議を発議するべきです。

その際には、200万人を超える中国人民解放軍が有する屈強な地上兵力を投入し、非欧米唯一の安保理常任理事国としてアジアの安定に貢献することが望まれます。中国は常任理事国として国際社会に対する義務と責任があります。

中国は安保理常任理事国の責任を果たさないなら地位を退くべき

日本は国連安保理の非常任理事国として、常任理事国・非常任理事国の調整を図り、国際社会全体での対ISに関する決議が採択されるように努力するべきです。

特にISに対する態度が煮え切らない中国が断固たる対応を実行するよう、アジアから選出されている非常任理事国として強くプッシュすることが望まれます。仮に中国がISに対する決議に拒否権を行使するようであれば、その場で中国の国連安保理の常任理事国からの追放を提起するべきです。

国際連合憲章には、

第24条

1 国際連合の迅速且つ有効な行動を確保するために、国際連合加盟国は、国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任を安全保障理事会に負わせるものとし、且つ、安全保障理事会がこの責任に基く義務を果すに当って加盟国に代って行動することに同意する。
 
2 前記の義務を果すに当たっては、安全保障理事会は、国際連合の目的及び原則に従って行動しなければならない。この義務を果たすために安全保障理事会に与えられる特定の権限は、第6章、第7章、第8章及び第12章で定める。

と定められています。中国には「国際の平和及び安全の維持に関する主要な責任」が存在し、他の常任理事国がシリアでISと戦っている姿を横で眺めているわけにはいかないはずです。

今こそ、中国は国連安保理常任理事国に籍を置く真価が問われるときです。

イスラム国 テロリストが国家をつくる時
ロレッタ ナポリオーニ
文藝春秋
2015-01-07




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yuyawatase at 07:00|PermalinkComments(0)

2015年11月17日

国際テロに世界のオタクが宣戦布告(笑)

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最初に申し上げておくことは、自分は「アノニマス」のネットワークに対して非常に親近感を持っています。非合法な集団であるアノニマスの活動は積極的に認められないものの、「自由」という基本的な価値観に基づいて行動する彼らの動機には一定の共感を持っています。

国際テロ組織に「世界のオタク」が宣戦布告

今回のフランス・パリにおけるテロ行為に関して、実行犯であるISに対してアノニマスが宣戦布告しました。今後、ISと関係があるTwitterアカウントなどの晒し上げなどを行っていくとのことです。

アノニマスは国際的なハッカー・ネットワークであり、主に政府やマフィアなどの自由や人権を侵害する存在に対し、インターネットの力を使った実力行使や圧力をかけている人々のつながりを指します。

彼らは自由主義的な映画作品であるVフォー・ヴェンデッタで有名になったガイ・フォークスの仮面をつけて365日ハロウィンのような恰好をして登場してきます。

日本のオタクと比べて可愛げはありませんが、アノニマスとともにあるITオタクの戦闘能力は極めて高く、過去にオーストラリア、チュニジア、北朝鮮などの政府、メキシコのマフィア、KKK、ネットいじめ犯などが痛い目に遭わされた経験があります。日本政府が2020オリンピックなどで標的になった場合、日本政府のセキュリティはおそらく瞬殺されるレベルです。

ちなみに、日本政府も過去に標的となったことがありましたが、「国土交通省霞ヶ浦河川事務所」のHPが「霞が関と間違えて」書き換えられるなど、日本の高い言語障壁が功を奏したこともありました(笑)(アノニマス自身が「日本語、難しい」と発言したそうです。)


非対称型戦争に対応する新しい形としてのアノニマス

国家とテロリスト、という非対称型戦争の在り方は極めて非効率であり有効性が疑問視されるようになっています。現代の先進国の軍事力は正規軍同士の戦いに特化している側面があり、ゲリラ戦やテロリズムに対して必ずしも有効な戦力を持っているわけではありません。

国家が打倒できるものは「テロを生み出す抑圧的な政治体制」です。抑圧的な政治体制を打倒することで、当該地域の社会を自由市場と立憲主義に接続し、テロが恒常的に発生する政治状況を消滅させることが役割です。

そのため、対テロ戦争はテロリズムとの戦いという意味では一定の成果を挙げることはできるものの、既に拡散して分散化しているテロリズムへの対応としては不十分なものです。

国家と非対称状態にあるテロリスト・ネットワークに対抗する一つの事例として、アノニマスのようなネットワーク型の集団が対抗する状況は世界の未来地図の一つを描き出している、と言えるでしょう。

FBアカウントをフランス国旗にしない人々が行うべきこと

テロリズムのような暴力と恐怖を用いる超国家的なネットワークに対し、国家の武力だけに頼って解決を求めることは極めて困難であると思います。ただし、テロリストに優しくすれば良い、というお花畑思考は事態を悪化させるだけのものでしかありません。

アノニマスには賛否両論が存在していますが、少なくともテロリズムに対する現実的な回答の一つが提示されていることに注目すべきです。今後、アノニマスに晒されたアカウントの持ち主が政府によって摘発されていくことになるでしょう。

テロリズムに対抗する手段という意味では、短期的にはテロ支援国家の打倒、中長期的には自由市場を世界に拡げる教育活動を徹底する世界ネットワーク(既に存在している)を拡大していくことが重要です。

私自身はテロ当日にフランス大使館前まで献花してきましたが、国家に対して拒絶感を持ってFBアカウントをフランス国旗にすることを拒否する人々は、感情論的な国家批判を行うばかりではなく、現実的な対応手段について議論するべきだと思います。





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yuyawatase at 17:00|PermalinkComments(0)