首都直下型地震

2016年01月08日

首都直下型地震、東京都民が生き残る選択肢


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東日本大震災時に見せた東京都の災害耐性


2011年3月11日に東京を襲った東日本大震災は12市区を震度5強、29市区で震度5弱を記録し、東京にとっては戦後最大の地震を経験しました。多くの人々の記憶に残る地震災害だったと思います。

ただし、実際の被害は、死者7名、火災による死者は0名、負傷者113名、全壊13棟、半壊161棟、一部損壊3426棟ということになりました。90年前の関東大震災は死者10.5万人であり、東京の被害は非常に軽微なものに留まったと言えます。倒壊危険可能性は震度6になると飛躍的に増える傾向はあるものの、東京の地震耐性はかなり高まっている状況です。(むしろ、単純な被害数だけであれば千葉県のほうが多い状況です。)

実際の混乱は電車が止まって帰宅困難者などが出たこと、携帯電話などの情報通信の繋がりが悪くなったこと、などで生まれたわけですが、これらについての対応もその後かなり進んだ状況にあるものと思われます。

首都直下型地震の最大級の被害想定

首都直下地震等による東京の被害想定(平成24年4月18日公表)の中で首都直下型地震が発生した場合の被害想定が公表されています。首都直下型地震で被害が最大化される時間・風速での被害状況は下記の通りとなっています。東日本大震災と比べて甚大な被害が生じることが想定されています。

これらの被害を前提として首都機能移転や首都機能バックアップのような東京都の代替地を作る議論が起きており、新たな公共事業支出を獲得しようという全国の動きが活発化しています。

首都直下型地震被害想定

首都直下型地震の被害が想定される地域分布

首都直下型地震を想定した場合、東京都内の被害分布は実は一部地域にほぼ偏っています。下記は東京湾北部地域を震源とした地震の被害想定ですが、東京の中心地を囲むように建物倒壊・火災が発生することが予想されていることが分かるはずです。

理由は、これらの地域には木造建物が密集して存在していることにあります。木造と非木造では倒壊率や火災発生数が全く異なるということが如実に分かるマップです。(上記想定の東京湾北部震源自身の場合の倒壊率は各市区町村で木造・非木造で3~8倍程度も異なります)全壊建物分布は平成24年度と平成18年度の比較表ですが、建築物の建て替えが進んだことで被害想定が縮小していることも分かります。

また、グラフは貼っていませんが、区部東部地域は液状化現象が大規模に発生することが想定されており、地盤の強化の作業が必要であることも指摘されています。液状化の発生は東日本大震災における教訓として貴重なものとなりました。

一方、センター・コア部分は徹底した再開発が進んでいる結果として震災被害をほとんど受けないことに気が付くはずです。従って、上記のような被害が発生しやすい地域とは、都市の再開発が進んでいない地域、とほぼ同一であると理解できます。つまり、東京都における地震被害とは、再開発のインフラ整備が未着手の場所で発生する、と認識するべきでしょう。

東京湾北部東京湾北部火災

東京オリンピック(1964年)前後に整備された施設が一斉に老朽化する東京都

東京都の社会資本ストックは東京オリンピック(1964年前後)に整備されたものが多く、その耐久年数の限界が近づきつつある状況です。社会資本ストックには道路、橋梁、水道などの様々なものが含まれており、東京都の地震耐性を強めていくためには十分な維持・更新のための予算を確保していく必要があります。

下記のグラフを見れば分かるように、社会資本ストックの維持・更新に関する経費は上昇傾向にあり、今後も大量の人口流入が見込まれる東京都には人口減少に合わせて放棄すべき社会資本ストックは少ない状況です。そのため、これらの維持・更新の予算を確保していくことが必要ですが、社会保障費用の増加などの圧迫要因もあるため、予算上の制約が課されている状況にあります。そのため、東京都のライフラインが寸断されることがあれば、社会資本ストックの維持・更新のための投資不足によって引き起こされることが推測されます。

東京都社会資本ストック整備

バックアップ機能整備よりも東京の安全性を高める投資拡充へ 

東京都の被害を最小限に抑えるためには、東京の再開発を大幅に進めるための再投資が必要です。首都直下型地震の話になると、直ぐに東京都以外にバックアップ機能を整備する議論になりがちですが、何よりも大事なことは東京都自体の被害を最小化して都市機能を維持することです。

東京都に政治・経済のあらゆる資源が集まることは世界的な都市間競争の時代では当たり前のことです。また、東京都が機能停止することの被害は東京都以外の地域にも甚大な影響を与えることは明らかです。そのため、東京都からの政治・経済の移転の議論を行うよりも、東京都内で被害が想定される部分への集中的な投資による防災対策・環境改善に全力を尽くすことが正常な判断と言えます。

東京都のバックアップ機能は一時的なもので十分であり、恒常的な都市インフラの整備を新たに行う必要は特にありません。それよりも必要なことは東京都の都市機能の早期復旧を実現する体制なのです。

東京都の再開発を進めるために「東京税・約7兆2200億円」を減額・廃止するべき

東京都のインフラ再開発を進めていくために積極的な土地利用に関する規制緩和を推進していくことが望まれます。特に被害想定が大きいものとして想定されている地域には重点的に予算を投入して再開発を強引に進めていくべきです。

そのための財源は、東京都から地方への移転財源として扱われている、東京税(地方交付税・地方法人特別税・地方消費税)の減額・廃止するべきです。これらの費用は元々東京都で使用されるはずの税収を強制的に地方移転させるためのものであり、東京都は人口に見合った税収を確保することができていません。その結果が首都直下型地震において、都内に生命や財産が失われる地域が残置することになっているのです。

まさに東京都民は自らの命を危険にさらしながら、田舎への送金作業のために働いているということになります。このような理不尽な話が認められて良い話がありません。東京都民の安全状況の確保を第一に図るために都内の国会議員らは行動するべきです。

今後、東京都民は首都直下型地震の話が出たとき、地方都市への首都機能バックアップの議論に乗せられるのではなく、まずは東京都内の再投資による安全確保こそが重要であるという認識を持ちましょう。

東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)
市川 宏雄
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015-10-22



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