誤報

2016年07月28日

プレジデントの記事を誤報呼ばわりする中野区議の方へ


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区議さんの面白い記事を見つけたので紹介しようと思う

「増田県政と自殺率を結びつける記事は“誤報”だ --- 加藤 拓磨」

筆者がプレジデント誌に寄稿させて頂いた文章について「誤報」であるという恣意的な発表をされている区議会議員さんを見つけたので区議さんの御発言を少し訂正しておきたいと思います。

筆者が言いたいことは「見解が異なる」ということであり「誤報ではない」ということです。

まず誤報の定義を確認すると、デジタル大辞泉によると、

ご‐ほう【誤報】

まちがった知らせ。報道されたことが事実と違っていること。

とされています。区議さんも確認された通り、筆者が文章に掲載した統計に間違いはなく、同氏の言葉の使い方自体が誤報です。

さて、では筆者と区議さんで何が違うのかというと、統計データの解釈の違いです。この点については今回の区議さんのように様々な解釈の違いが出てきて意見が戦わされることは良いことだと思っています。

そこで、本稿では、筆者と区議さんの間の見解の違いが何故生まれるのか、ということについてまとめました。面白い議論だと思うので読んで頂いた方が自由に解釈をして頂ければ結構です。

政治家は「誰に対して結果責任を背負っているのか」という見解の相違について

筆者がプレジデント誌で指摘したことは「増田県政で自殺率が急上昇し、達増県政で自殺率の全国平均との差が縮まったという指摘」であり、県議会の議事録も増田県政当時の岩手県議会で自殺問題への対処が課題となっていた、ということに過ぎません。

実際、区議さんが「自殺死亡率の変化倍率の年次推移(岩手・全国)」を作成して改めて証明したように、どんなに数字を加工してみたところで、増田氏の在職中に自殺率が急増し、後任の達増県政においては全国平均と比べて自殺率が下がっている事実は動かしようがありません。むしろ、わざわざ1990年基準の比較表まで作って頂いて有り難い限りです。

その上で、政治家としての資質と責任を問う場合、上記の議論ですら的外れだと思います。政治家の仕事は「全国的に自殺率が高かったから、うちの自治体も自殺率が高くても問題なし」というものではないからです。

この理屈で済むなら「知事」は誰でも良いことになるでしょうね。良い点も悪い点も全部当時の社会のせいにしたら良いんじゃないですか、と思います。それなら、我々は何のために選挙を行わされているのか疑問です。

たとえば企業経営者が「日経平均が下がっているので我が社の株価も下がって当然です」と株主総会で述べたなら、株主から「では、経営者は代わってもらって結構です」という話になるだけのことです。

区議さんは統計の解釈は医師が健康診断を見ることと同じと述べていますが、「隣の病院の患者も亡くなっているので、うちの病院の患者も亡くなっても問題なし」という医者にはちょっと怖くてかかりたくないものです(笑)

当該地域の住民によって選ばれた首長は地域の有権者に対して責任を持っているのであり、その成果は相対評価ではなく「絶対評価」で判断されるべきだということが筆者の主張です。

区議さんは国土交通省の御出身、つまり増田さんの後輩に当たる方ですが、自らの政策の結果責任を背負わない役人気分が抜けないまま政治に携わられているのではないかと思います。

都知事候補に凡庸な成績の首長をわざわざ推薦した説明責任を果たしてほしい

したがって、全国平均と同様に岩手県の自殺率が上昇し、増田県政よりも達増県政のほうが全国平均との自殺率の差が少ないという記事に何も間違いはありませんし、区議さんが作成した図を見ても同じ結論しかでないと思います。

区議さんのご意見に百歩譲って「他自治体の自殺率も高かったから増田氏も問題なし」という理屈を採用したとしても、増田氏が「凡庸な手腕の知事だった」という理解になるのではないかと思います。

何がしたいのかさっぱり理解できませんし、東京都もいつまた不況が深刻化するか分かりませんので、その時のためにやはり増田氏はご遠慮願いたいものです。

増田氏を区議さんが自分で選んだわけではないと思いますが、東京都民は優秀な人材が東京都知事になってくれることを求めています。

せっかくなのであえてお聞きしたいのですが、「不況の時代のせいにしないとトラックレコードが悪かったことを言い訳できない」自治体経営者を東京都民にわざわざ推薦する理由は何でしょうか?自民党の人材ストックはそれほどまでに枯渇しているのか、と思わざるを得ません。

時間と労力を使って増田氏の凡庸さをアピールする暇があるなら、もっとポジティブな点を積極的に東京都民に伝えてほしいと思います。たとえば、増田氏なら事務事業評価などはしっかりやってくれそうですが、そういう点をPRしたらどうでしょうか?

最後に誤報ではないことをデータを用いて証明してくれた区議さんの実務力と努力に改めて称賛と御礼を申し上げたいと思います。人様の文章に批判にすらならない難癖つける前に、東京都民に是非ご自慢の統計力で増田県政の褒められる点を実証して頂きたいと思います。


 
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。 


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yuyawatase at 14:04|PermalinkComments(0)

2016年01月24日

朝日新聞の隠ぺい?安倍首相とメディア幹部会合の訂正報道

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1月21日に安倍首相とマスコミ幹部が会合

1月21日に安倍首相とマスコミ幹部が夕食会を行いました。朝日新聞が当初首相動静で伝えたメンバーは下記の通り。従来から首相とメディア幹部との会合は先進国では異常とされてきましたが、日本では平常運転で今年も堂々と行われる運びとなっています。

<1月21日安倍首相との会合出席者>

渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長
橋本五郎・読売新聞東京本社特別編集委員
今井環・NHKエンタープライズ社長
清原武彦・産経新聞相談役
ジャーナリスト・後藤謙次氏(元共同通信編集局長)
芹川洋一・日本経済新聞論説委員長
早野透・桜美林大教授(元朝日新聞編集委員)
評論家・屋山太郎氏

誤報検証機構による記事画面キャプチャ

朝日新聞が訂正報道で「消した」出席者記録

1月23日朝刊で、早野透本人から出席していない、という連絡を受けて朝日新聞は訂正を出しました。

<朝日新聞>
 18分、経済財政諮問会議。6時55分、東京・大手町の読売新聞東京本社ビル。渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長、今井環・NHKエンタープライズ社長、評論家・屋山太郎氏らと食事。8時52分、東京・富ケ谷の自宅。

1月21日配信の「首相動静」で、安倍晋三首相と食事をした方々の中で、「早野透・桜美林大教授」と記載しましたが、早野氏は同席していませんでした。訂正しておわびします。

という感じです。早野氏が本当に出席していたかどうかはともかく、「他の人まで消えちゃってるのは何でなの?」という素朴な疑問を持たざるを得ません。

ちなみに、読売新聞は首相を自社に呼びつけたことが自明過ぎるので今更感がありますが、他メディアは、

<時事通信>
午後6時55分、東京・大手町の読売新聞東京本社ビル着。渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長、今井環NHKエンタープライズ社長、評論家の屋山太郎氏らと会食。

<産経新聞>
55分、東京・大手町の読売新聞東京本社ビル着。清原武彦産経新聞取締役相談役、渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長、今井環NHKエンタープライズ社長、評論家の屋山太郎氏らと会食。

<毎日新聞>
6時55分 東京・大手町の読売新聞東京本社ビル。渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長、今井環NHKエンタープライズ社長、評論家の屋山太郎氏らと会食。

<日経新聞>
▽18時55分 大手町の読売新聞東京本社ビルで渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長ら。

という形で報道しています。産経新聞は堂々と取締役相談役が出席している旨を記事にしている漢気を溢れる対応です(笑)日経新聞は自社の論説委員長が出席しているにも関わらず、「他社の会長」のみを生贄に捧げて自社のことは一切触れないほどにヒヨッた報道ぶりです。

朝日新聞は「早野氏の出席報道の経緯」「出席者リストの削除」について説明責任を
 
首相動静は新聞各社が総理番記者を配置して密着取材の上で作成されているものです。そのため、他社ならともかく、自社の大幹部である元編集委員が参加していたかどうかを見誤ることは考え難い失敗と言えます。なぜ、このような報道がなされたのでしょうか?

また、誤報の修正という形で他の出席者リストを隠ぺいした理由についても同様に説明するべきだと思います。昨年から新聞への軽減税率の問題などで、政権とメディアの関係が問われている最中での出来事であり、新聞社として正確かつ詳細な報道を行うことは社会の公器として当然の姿勢です。

今回の朝日新聞の対応は「自社の元編集委員の出席を無かったこと」にするために「他社の幹部の出席リストを消す取引を行った」と邪推されても仕方がないかと思います。

自らの潔白を証明するために朝日新聞は上記の「見間違え」が何故発生したのか、なおかつ訂正と称して他の出席メンバーの記録まで消した理由について説明責任を果たすべきでしょう。








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yuyawatase at 17:09|PermalinkComments(0)