自由市場

2016年01月28日

「富豪62人の総資産、下位36億人分」は意味がない議論?

a0002_011580

「富豪62人の総資産、下位36億人分」というけれど・・・

国際支援団体オックスファムがダボス会議で、米経済誌フォーブスの世界長者番付など2015年のデータに基づいて世界の富豪上位62人が持つ資産が、世界の人口の貧困層下位半分(約36億人)の資産総額に等しいとする推計を発表しました。

同団体は裕福な人とその他の人々の差が拡大していることを懸念しており、世界の指導者に格差是正に取り組むように働きかけました、とのことです。

日本でも格差是正を求める一部の人々が上記の主張を引用して、政府による増税及び再分配を求める声が上がっています。しかし、これらの主張は経済活動を理解していないものであり、貧困解消に向けて的外れであるばかりか、むしろ貧困を悪化させる結果をもたらすものです。

「金持ち」の資産は「常に他人が使っている」という基本を知ることが大事
 
格差是正を訴える人々は金持ちの資産がタンス預金のような形で保管されていると勘違いしています。しかし、実際には、彼らの資産の大半は投資や貸付という形を通じて他者の手によって使用されています。それが資本主義の原理だからです。

そして、資本主義において重要なことは、金持ちとは資金の出し手であって現場における使用者ではないということです。彼らのお金は世界中で利益になること(≒社会全体の発展につながること)に利用されています。

これは私たちが銀行に少額の預金を行ったとしてもまったく同じことです。銀行にお金を預けた段階で預金者のお金は投資や貸付に利用されており、金持ちの資金と全く同じ原理で運用されています。

ちなみに、一度投資や貸付がなされると、資金の出し手は現場の使用者よりも資産の運用状況を正確に把握することはできません。そのため、資金の出し手よりも現場の使用者のほうが情報の非対称性から実際には強い立場を築くことができます。

この力のギャップを埋めるため、投資家が事実を正確に把握することを目的として簿記や会計の技術が発達してきたのです。上記の議論の意味が分からない人は簿記3級からやり直すことをお勧めします。

金持ちの資産は「金持ちが直接知りもしない赤の他人」が「自己の資産を増やすために使用」しており、結果として「金持ちの資産が増える」とともに「社会全体の発展」につながっているのです。

金持ちや権力者は「ファーストフード」を食べる必要がないということ

資産を誰が持っているかということはほとんど意味がない議論なのです。重要なことは世界に存在する富が人社会を発展させることに使われているか否かということなのです。

資本主義は「金持ち」=「権力者」のための制度として批判されています。しかし、実際には資本主義とは貧困層の生活環境を改善するための制度です。一体どういうことでしょうか?

権力者にとって自らの豊かな生活を実現するための選択肢は資本主義だけではありません。マリーアントワネットや金正恩のような資本主義を停止する形で武力を背景に人々を抑圧するほうが権力者による支配を永続するには便利です。

資本主義が健全に存在する前提となる「自由市場」では、社会に必要なサービスを提供している人が資産を手に入れて、僅かでも自己の資産を持つことができます。その結果として、上記の金正恩のような独裁者に反抗する力が国民に形成されるため、現代の圧制者は資本主義や自由市場が自国内に広まることを防止しています。

もっと身近な事例を取り上げるならば、富裕層はファーストフードを利用する必要はありません。ファーストフードが日本中に存在している理由は、普通の人にとって便利なサービスを作ることが金持ちの利益にもなる制度が存在しているからです。ファーストフードのような普通の人または貧しい人にとって便利な仕組みは資本主義が作り出しているものです。

世界の貧困国の大半は「資本主義」が機能していない地域であるということ

現代社会における貧困層の大半は、地球上の資本主義が機能していない地域、に存在しています。つまり、それらの地域の人々は、上記の資産の運用先になることができず、自らの価値が適切に評価されていない立場に置かれた状況にあります。

貧困地域では、政府関係者らの権力者が武力を背景として自らの利益を貪っているいため、同国の国民は何ら富を得ることができません。これらの地域の人々のために先進国は税金から多くの支援金を送ってきましたが、結果はオックスファムが述べている通り貧困地域の問題は解決することはありませんでした。

一方、不完全ながらも資本主義を導入した中国では沿岸部を中心に富裕層や中産層が誕生しました。また、東南アジア各国の給与水準も向上しつつあり、同地域における貧困問題は改善の兆しを見せつつあります。これらは資本主義と自由市場がもたらした成果です。

資本主義や自由市場を導入したとしても一直線に成長・発展するわけではありませんが、各国政府が腐敗した政府権力者を通じて資本主義・自由市場が働いていない地域に再分配を行うよりも中長期的に成果をあげることができます。むしろ、政府を通じた支援は一部の政府権力者を肥え太らせたことによって、真に日知ような資本主義・自由市場体制への移行スピードを落としているということも言えるのではないでしょうか。

世界の貧困問題を解決してきたのは「資本主義」と「自由市場」であるということ

世界の貧困問題を解決したいということであれば、無意味なストック(資産)の格差についての議論を行うのではなく、豊かな地域と貧しい地域の経済をどのように接続するべきか、ということを議論するべきだと思われます。

資本主義や自由市場にアクセスできていない地域の労働力は、利用不可能な資産、として扱われており、彼らへの富の継続的な移転が行われていません。これこそ貧困が固定化される原因であり、将来的に解決されていくべき問題なのです。

「富豪62人の総資産、下位36億人分」というセンセーショナルな議論に踊らされることなく、正しい政策を恐れることなく推進していくことが求められます。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:20|PermalinkComments(0)

2015年11月27日

大人の教科書(8)資本主義は貧乏な人のためにある

a0790_001232

自由市場や資本主義という言葉を聞いた時に、私たちが同時に耳にする言葉は「格差」「貧困」などの言葉です。長い間、机上の空論の世界では、自由市場・資本主義は不平等を増大させ、富裕層が貧困層を搾取するという神話が拡がってきました。しかし、本当にそうでしょうか。

富裕層にとって自由市場・資本主義は必要な制度ではない

現実は資本主義が繁栄を達成し、それに反対した社会主義・共産主義が貧困をもたらしました。私たちは現実の社会について学びを深める必要があります。
 
まず最初に私たちが知るべき衝撃的な真実は「真の富裕層は資本主義を必要としていない」ということです。従来まで資本主義は富裕層のためにあると信じ込まされてきた人は驚くかもしれません。しかし、少し考えれば、これが当たり前のことだと気が付きます。

人類社会では資本主義が始まる前から、王侯・貴族が当時の超富裕層として存在してきました。彼らは資本主義など無くても「政府の権力・暴力」を使って幾らでも贅沢な暮らしができました。彼らは自分自身が贅沢な暮らしを継続するために自由市場・資本主義を求める必要があったでしょうか?

現在でも独裁国のトップは政府の力を使って、彼が支配する貧困に喘ぐ庶民には到底不可能な暮らしを行っています。彼らが豊かな暮らしを行うためには、搾取対象である庶民から絞り上げれば良いだけであり、同時に庶民が抵抗力を持たないように生活環境が向上しないようにすることが重要です。

むしろ、昔ながらの伝統的な富裕層にとって、自由市場・資本主義は普及してもらっては困るものであり、どちらも存在しない方が安心して独裁制を敷くことが可能です。

貧しい人に便益をもたらした自由市場・資本主義のシステム

独裁者はスーパーやコンビニに行く必要もなければ居酒屋チェーンに行くこともありません。それらは全て庶民が暮らしの中で望んで創られたものだからです。現在、先進国においては貧しいとされる人でもコンビニエンスストアで買い物を行うことは可能であり、貧困層とされる人でも平気で携帯ゲームで遊んでいます。

このようなサービスを自由市場・資本主義が無い社会では富裕層以外の人が受けることはできません。

工業技術や機械技術の発展がもたらした恩恵は、富裕層にとっては相対的に意味がないことであり、自由市場・資本主義が整備したあらゆるインフラ・サービスは貧しい人・一般の人が受ける恩恵のほうがメリットが大きいのです。ちなみに、現在でも富裕層にとってはスーパーやコンビニなどは必要不可欠なものではありません。

社会に存在しているインフラ・サービスの大半を誰が利用して消費しているのかを見れば、それらのサービスが誰のためであるかは明らかだと思います。このような当たり前の事実を無視した議論は意味がありません。

世界で一番貧しい人はどこに行けば沢山見つけることができるのか

私たちが世界で一番貧しい人の集団を見つけたいのであれば、資本主義が機能していない国を訪ねてみれば良いだけのことです。その社会では私たちの社会では機会によって代替されているあらゆる重労働がいまだに人間の手で行われていることが発見できるはずです。

また、現代の社会主義・独裁主義国である北朝鮮の姿を見れば明らかであり、自由市場・資本主義が誰にとって恩恵があるものかということは一目瞭然です。

かつて世界は独裁者が支配する空間ばかりでしたが、独裁者同士が対立した結果として、相手よりも豊かな国力を備える必要がありました。そこで、導入された仕組みが自由市場・資本主義であり、それによって多くの人々が経済活動の恩恵を受けたのです。

私たちは現在を都合よく切り取って見せる似非有識者たちの言説ではなく、人類が歩んできた確かな歴史にもっと自信を持つべきです。

選択の自由[新装版]―自立社会への挑戦
ミルトン・フリードマン
日本経済新聞出版社
2012-06-26

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)