自民党
2016年08月05日
参議院・都知事選・二階幹事長、安倍一強時代の終焉へ
(自民党の最重要キーマン、二階幹事長の誕生)
自公日VS野党共闘で政局は「55年体制」に逆戻りへ
2009年の民主党による国政選挙を通じた政権交代の幻想から目が覚めない政治関係者は、いまだに与野党という枠で政局を語る癖が抜けていません。しかし、野党共闘によって著しい「左傾化」を野党第一党の民進党が歩む中、日本の政治は「55年体制」に近いものに変化したと感じています。
55年体制とは1955年に成立した自民党・社会党の2つの万年与党・万年野党の間で行われてきた八百長のような政治体制であり、同体制下にあって日本の政権交代は「自民党内の派閥による疑似的な政権交代」によって行われてきました。
現在、野党共闘によって完全に時代遅れの左翼臭を漂わせる野党側が政権を取り戻す可能性が皆無となったことで、中選挙区と小選挙区比例代表制という選挙制度の違いはあるものの、野党の無意味化という状況で部分的に派閥闘争による政治力学の変化が復活したと看做すことができると思われます。
政局上の野党の存在感が希薄化した参議院議員選挙、総裁派閥である清和会による東京都・金城湯池支配の終わり、反主流派の台頭を印象付ける内閣改造など、安倍政権の屋台骨である自民党内の不安定化要因は非常に大きなものになりつつあります。
反主流派・二階幹事長の誕生、細田総務会長就任に見るパワーバランスの変化
最も注目すべき政局上の変化は、二階幹事長の誕生、であろう。安倍政権と距離が必ずしも近くない二階氏が幹事長という要職、つまり自民党の公認権の差配や政党助成金などの分配を決定できる立場についた意味は極めて重いものです。また、選挙対策委員長に首相に近い古屋圭司氏を置いたものの、古屋氏の所属派閥も二階派である点も注目に値します。
つまり、自民党議員の死活的な利益である「選挙」に関する部分は全て非主流派である二階派がおさえる形となっています。これは自民党内において清和会の影響力が徐々に低下していくことを意味しており、小泉政権から続く自民党・清和会一強時代の終わりにつながる一手となった可能性があります。
消費税増税見送りも含めて、清和会は財務省と近しい関係にある谷垣・麻生らの宏池会系派閥との間に隙間風が吹いており、小泉政権以来大枠として継続してきた清和会+宏池会の一部による連合の枠組みが崩れ始めています。
清和会の派閥の領袖である細田氏を総務会長に充てる必要があるほどに同派の人材が不足しつつある中、選挙対策委員長の経験を積んだ茂木政調会長(平成研)、古屋・現選挙対策委員長は自民党の将来的な中核を担う人材になるものと推測されます。
自民党内の勢力構造の変化が大阪・東京に影響を与える可能性も
また、野党側に対するインパクトとしても二階幹事長の人事は非常に大きな意味を持っています。首相官邸が大阪維新と極めて近い関係を維持していることは周知の事実ですが、維新と二階氏が犬猿の仲であることから官邸と自民党の間に維新に対する方針の違いが目立つようになる可能性があります。
一方、東京においてはオリンピック利権を巡って、清和会の事実上のドンである森元首相に反旗を翻した小池新都知事が誕生しました。それに伴って清和会やそれに近いポジションを維持してきた都連5役が職を辞する形となりました。
そのため、大阪とは事情が異なり、東京側では非主流派の旗が立つ可能性が出てきています。二階幹事長は政党遍歴の過程で政治行動をともにしてきた小池氏との党としての関係修復に前向きな姿勢を取り続けています。また、安倍首相に対する総裁選の対抗馬として名前が取り沙汰された野田聖子氏が小池氏に都知事選の早い段階でエールを送っていたことは印象的な出来事でした。
大阪・東京の両地域で地域政党の誕生が現実化するかどうかは予断を許さないものの、自民党という軸で見た場合、大阪・東京の対立構造の利害は必ずしも一致しておらず、中長期的には全国的な基盤形成に失敗した大阪維新は衰退し、東京・小池勢力にとっては勢力拡大プロセスに入っていると考えることもできます。
安倍政権が小池氏以来の女性大臣である稲田氏を防衛相に持ってきたことは、清和会の次期総理候補の育成プランの一環であるとともに、必ずしも安倍政権と近い関係とは言えない小池氏に対する当てこすりの面もあるのではないかと推察されます。
いずれにせよ、自民党内での勢力バランスの変化は大阪・東京という二大都市における政局構造の変化に強い影響を与えていくことが予想されます。
安倍首相の地位は安泰か?、衆議院解散のタイミングで新たな政局の展開へ
野党は「アベ政治を終わらせる」という意味不明なスローガンを掲げ続けてきましたが、仮にアベ政治なるものが安倍政権を意味するのであれば、アベ政治は野党の掛け声ではなく自民党内の政変で倒れる可能性が出てきました。
与党で衆参両院の3分の2の議席を確保したことは、結果として安倍政権の安定化を揺るがすほどに議席を取りすぎてしまったと言えるのかもしれません。野党の存在が無意味化・陳腐化する中で、自民党内での権力闘争が再び活気を取り戻してきた状況となっています。
安倍首相にとっては伝家の宝刀である衆議院解散のみが政権維持のための切り札として残っている状況です。同政権の宿願である憲法改正発議または北方領土返還交渉いずれかを通し切るために、安倍政権が残された政治資源をどのように使っていくのか興味深い展開となっています。
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
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2016年07月30日
<公開質問状>本当に工学博士?増田・自殺率のグラフを並べてみた(笑)
さて、今回の記事は中野区の加藤拓磨区議がどのような統計的な操作によって読者をミスリーディングしたのか、ということを論証し、加藤区議本人にご自身が投稿した記事内容の妥当性について回答を願うものです。
まず、加藤拓磨区議が作成した自殺率(全国平均・岩手県)の統計グラフは下記の1990年の自殺率を基準としたグラフです。このグラフを用いて、加藤氏は下記の2点を主張しています。(元記事はこちら)
①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。
②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。
しかし、これは基準年を1990年に設定するという恣意的な設定を用いた統計上の操作の結果に過ぎないと明確に申し上げておきます。
下記のグラフは1995年基準、つまり増田県政が始まった年を基準とした自殺率の推移です。これを見れば分かるように「全国平均よりも自殺率を抑制した」という事実は確認できなくなります。
では、増田県政が終了した2006年度を基準とした場合はどうでしょうか。やはり増田県政が自殺率を全国平均と比べて抑制したといえるものではありません。
増田県政よりも遥かに遡った1982年を基準にした場合、増田県政下では自殺率が全国平均と比べて随分高くなっているように見えます。
上記の通り、基準年を恣意的に操作したグラフを用いることで、操作者にとって幾らでも都合よく編集できることが明らかになったものと思います。
中野区の加藤区議が行われたことは1990年という何の根拠性も無い時間軸を基準として設定し、自分自身にとって最も都合が良いグラフを作って発表したに過ぎません。
以上の結果を見れば、加藤区議が主張する1990年基準のグラフを用いた、
以上の点につきまして、公開質問とさせて頂きます。そして、回答期日は2016年7月30日中とさせていただきます。1990年を選んだ合理的根拠を提示していただくだけの話なので時間はかからないことでしょう。
私もデータをまともに分析もせずに世に出し、間違った印象を与える議員を絶対に許しません。統計データというのは医師が健康診断結果を見るようなものですから、医師の政治的な都合で診断結果が変わるようでは困ります。まともにデータが見られないのであれば、診察しないでいただきたいと思います。
以上です。
PS:筆者の増田氏に関する診断結果は「自殺率上昇を抑制できず、借金も約2倍に増やした無能な知事」です。この人物を自民党が推薦する理由は理解しがたいものでしたが、今回の件で改めて自民党議員の一部が山本一郎さんがおっしゃるように「低知能化ウイルスの集団感染」であることにリアリティが出ましたので合点がいきました。その点は感謝いたしております。
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
まず、加藤拓磨区議が作成した自殺率(全国平均・岩手県)の統計グラフは下記の1990年の自殺率を基準としたグラフです。このグラフを用いて、加藤氏は下記の2点を主張しています。(元記事はこちら)
①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。
②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。
しかし、これは基準年を1990年に設定するという恣意的な設定を用いた統計上の操作の結果に過ぎないと明確に申し上げておきます。
下記のグラフは1995年基準、つまり増田県政が始まった年を基準とした自殺率の推移です。これを見れば分かるように「全国平均よりも自殺率を抑制した」という事実は確認できなくなります。
では、増田県政が終了した2006年度を基準とした場合はどうでしょうか。やはり増田県政が自殺率を全国平均と比べて抑制したといえるものではありません。
増田県政よりも遥かに遡った1982年を基準にした場合、増田県政下では自殺率が全国平均と比べて随分高くなっているように見えます。
上記の通り、基準年を恣意的に操作したグラフを用いることで、操作者にとって幾らでも都合よく編集できることが明らかになったものと思います。
中野区の加藤区議が行われたことは1990年という何の根拠性も無い時間軸を基準として設定し、自分自身にとって最も都合が良いグラフを作って発表したに過ぎません。
以上の結果を見れば、加藤区議が主張する1990年基準のグラフを用いた、
①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。
②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。
の2つの主張は、統計的な見せ方の歪曲の上に成り立ったものに過ぎないということが言えます。(①については1990年基準のグラフですら論証不能)そこで、本記事では加藤区議に公開質問状として下記の4点の回答を要求します。
(1)1990年の自殺率を測定する基準とした合理的根拠は何か
(2)1995年(増田県政開始年)の自殺率を測定する基準とした場合に上記の主張を維持するのか
(3)元の統計データを故意に操作したグラフを用いた記事を公人である区議会議員が選挙期間中に公開した政治責任をどう取るのか
(4)中央大学大学院理工学研究科での博士号取得時までに「統計学」の単位を取得したことがあるのか
の2つの主張は、統計的な見せ方の歪曲の上に成り立ったものに過ぎないということが言えます。(①については1990年基準のグラフですら論証不能)そこで、本記事では加藤区議に公開質問状として下記の4点の回答を要求します。
(1)1990年の自殺率を測定する基準とした合理的根拠は何か
(2)1995年(増田県政開始年)の自殺率を測定する基準とした場合に上記の主張を維持するのか
(3)元の統計データを故意に操作したグラフを用いた記事を公人である区議会議員が選挙期間中に公開した政治責任をどう取るのか
(4)中央大学大学院理工学研究科での博士号取得時までに「統計学」の単位を取得したことがあるのか
以上の点につきまして、公開質問とさせて頂きます。そして、回答期日は2016年7月30日中とさせていただきます。1990年を選んだ合理的根拠を提示していただくだけの話なので時間はかからないことでしょう。
私もデータをまともに分析もせずに世に出し、間違った印象を与える議員を絶対に許しません。統計データというのは医師が健康診断結果を見るようなものですから、医師の政治的な都合で診断結果が変わるようでは困ります。まともにデータが見られないのであれば、診察しないでいただきたいと思います。
以上です。
PS:筆者の増田氏に関する診断結果は「自殺率上昇を抑制できず、借金も約2倍に増やした無能な知事」です。この人物を自民党が推薦する理由は理解しがたいものでしたが、今回の件で改めて自民党議員の一部が山本一郎さんがおっしゃるように「低知能化ウイルスの集団感染」であることにリアリティが出ましたので合点がいきました。その点は感謝いたしております。
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2016年07月20日
7月13日・日米左派の対応に「大人と子どもの差」があった
(AFP:ヒラリー・サンダース、予備選で激戦を繰り広げた末に両者を認めて和解)
7月13日米国・ヒラリーとサンダースが抱き合って協力を誓い合った
7月13日米国ニューハンプシャー州、クリントンとサンダースは壇上で抱き合って協力を誓い合いました。
サンダースは「彼女が大統領選の民主党候補者になる。自分は何でもするつもりだ。」と述べ、ヒラリークリントンが圧倒的に最適な候補だと強調しました。
さらに、サンダースは「二人の間に意見の相違があるために予備選挙を戦ってきたが、それが民主主義というものだ」という言葉を続けて、「そのおかげで両陣営は歩み寄りができ、民主党の歴史で最も進歩的な公約をまとめることができた」と民主主義を讃えました。
サンダース支持者が会場からブーイングすると、サンダースはそれらの人々を手で制し、返礼としてクリントン氏はサンダースの存在に謝辞を述べ、彼が掲げた政策を取り入れていく決意を語りました。
【米大統領選2016】 サンダース氏、クリントン氏支持を正式表明
7月13日日本・鳥越擁立で宇都宮健児は野党に引きずり降ろされる形で苦渋の選択
一方、日本では公示日直前から野党側の候補者として内定していたと見られる宇都宮氏に代わって鳥越氏を擁立する動きが活発になりました。
宇都宮健児氏は7月12日にメディアに対して「(鳥越氏は)大変知名度のある方だとは思うが、(野党の対応に)違和感を持っている。候補者のことをなんだと思っているのか」。野党が鳥越氏を担いだ経緯についても「不透明だ。どういう議論がされているのか伝わってこない」(産経ニュースから引用)と怒りをぶちまけています。
その上で、宇都宮氏は鳥越氏と面談し、「都政のことはこれから」という鳥越氏に自らの政策集を渡し、その実現を託しました。会談終了後、宇都宮氏は「掲げた政策を実現するためには選挙で勝つ必要がある。その前提となるのは政策であって、なんでも勝てばいいという立場ではない」と囲み取材で語っています。
しかし、テレビで追及されてようやく言及した築地市場の移転反対の可能性を含めて宇都宮市の政策が十分に反映されたとは言えない状況です。
宇都宮健児氏のTwitterは7月13日の撤退表明以来沈黙していましたが、7月20日現在イベント紹介の案内の配信が再開されましたが、東京都知事選挙については一切触れられていません。
宇都宮健児氏のTwitterアカウント
政治的意思決定プロセスの成熟度に差、米国も問題があるが日本よりも上だと思う
筆者は公開討論会の様子などを見ていた限りでは、宇都宮健児氏の政策は非常に練りこまれたものであり、弁護士としての現場の匂いがする地に足の着いたものだったと感じています。
東証一部上場会社(鳥越製粉)創業家でエリートジャーナリストの鳥越氏と弁護士として貧困と戦ってきた宇都宮氏はちょうどヒラリーとサンダースを模したような存在です。日米において両者の対応が正反対のものになったことは両国の民主主義の成熟度の差を表す典型的な出来事と言えるでしょう。
今回、野党側は知名度ばかりを気にして、石田純一氏、古賀茂明氏、宇都宮健児氏らに声をかけては取り換えるという極めてご都合主義の対応を繰り返してきました。
このような無様な状況になった理由は明白です。それは党幹部支配によって党員の声が完全に無視されているからです。つまり、民進党をはじめとした国政政党は党員・サポーターを抱えているにも関わらず、彼らの声を全く無視して一部の議員だけで集まって物事を決める閉鎖的な党体質を抱えているのです。
与党側でも多くの東京都民の有権者が「増田って誰?」というところからスタートし、そのまま選挙戦に突入するという極めて都民を馬鹿にした対応がなされています。
予算規模13兆円の都庁のリーダーを決める選挙戦を通じて、日本の民主主義の未熟さが露呈したことが今回の東京都知事選挙の最大の成果と言えるでしょう。
政策論争や過去の実績を問われる候補者選定プロセスを実施すべきだろう
舛添氏の辞任は参議院議員選挙直前ではありましたが、それは東京都民がいい加減なプロセスで東京都知事を選ばされる理由にはなりません。参議院議員選挙が忙しいなんて言い訳は東京都民には全く関係ありません。
国政は国政、都政は都政であって、今回の酷い擁立劇は東京都議会の各政党会派の怠慢だと言えるでしょう。国政選挙があるから東京都知事選挙が蔑ろになるなら、国会があれば東京都議会も要らないということで良いのでしょうか。
少なくとも今後は東京都知事選挙については任期終了の半年程度前から各政党が候補者選考プロセスを東京都民に公開する形で実施していくことが必要です。今回の東京都知事選挙を反省材料とし、日本にも当たり前の民主主義のプロセスが定着していくことが望まれます。
とりあえず、日米で民主主義の成熟度が「大人と子どもの差」がある状況はみっともないので、日本の政治家には早急に是正してほしいと思います。
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2016年07月06日
増田寛也は岩手県知事時代に「外国人地方参政権OK」を明言
増田寛也氏は岩手県知事時代に外国人地方参政権OKを明言している
質問者
「 それから、先ほどの日韓の問題でございますが、韓国人の地方参政権には賛成しますか。反対しますか。どちらですか。」
答弁者
「 日韓、それから永住外国人の地方参政権ですが、これは私は地方参政権を認めてしかるべしと考えております。地域にいろいろ貢献して、また税もきちっと納税をしていただいている皆さん方でありますので、私は、地方参政権をそういう方には認めるべきというような立場に立っているものでございます。」
上記のやり取りは、 平成17年12月定例会(10月31日)に岩て県議会・決算特別委員会での、質問者・岩手県議会議員・佐藤正春氏に対する増田寛也・岩手県知事(当時)の正式な議会答弁です。
ネット上では日韓グリッド構想などが批判されているわけですが、それどこかバリバリの親韓派なわけです。筆者はあまりヘイトの類には興味がないのですが、今回は増田氏を都議会・自民党が推薦するということでちょっとそれは無いんじゃないの?と思うので調べてみた次第。
自民党は外国人地方参政権に堂々と反対していますが・・・(笑)
「外国人参政権付与法案 断固、反対します!」(自民党の主張「ここが論点」)https://www.jimin.jp/news/policy/recapture/130379.html
自民党は党是として堂々と外国人地方参政権に反対していますね(笑)「日本を崩壊へと導く「天下の悪法」です。」とまで明言していますが、貴方たちが推薦しようとしている「増田寛也」氏は「天下の悪法」とやらに賛成していますが、それで良いんでしょうか?
外国人参政権について民主党(当時)を引き合いに出して、「この法案は、マニフェストには一言も触れられておらず、選挙ではひた隠しにされてきたものです。」としていますが、都議会自民党の推薦を受けるであろう「増田寛也」氏のマニフェストにも「当然、外国人地方参政権OK」って書くつもりですよね?と素朴な疑問を感じます。
参政権の考え方すら異なる候補者を推薦するいい加減な候補者選考を見直せ
少なくとも民主主義の根幹である参政権の範囲について、増田寛也氏と自民党の間には大きな隔たりがあるようですが、どうするつもりなのでしょうか?
仮に東京都知事に当選したとして、都議会議員から同じ質問されたときに「岩手県知事時代は嘘ついてました」と答弁するつもりでしょうか。それとも「自民党の党是と真逆の答弁をすることを容認する」のでしょうか。だったら、自民党の推薦って何なんでしょうか?と疑問が尽きないわけです。
東京都知事という要職につこうという候補者を推薦する際の選考プロセスがあまりにいい加減ではないでしょうか?少なくとも都議会自民党は「参政権」に関する考え方くらいは同じ候補者を選ぶべきだと思いますし、「過去の議会答弁くらい調べましょうね」と思います。
増田寛也氏を推薦する際に外国人地方参政権の是非を考慮したかについて説明責任を果たすべきです。
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2016年07月03日
増田寛也「公共事業で借金倍増1兆円の過去」
<平成25年9月岩手県「公債費負担適正化計画」より引用>
「岩手県知事時代、借金を倍増させた無能な元建設官僚だった」
<質問者>
「改革派の知事として知られた増田さんは十二年間の在任中に一兆四千億円と、岩手県の借金の残高を二倍にしてしまったというお話をいたしました。なぜそのようになってしまったのか。増田さんのリーダーシップの問題なのか、国の制度の問題なのか、あるいは悔しくなかったのか、お答えください。」
<総務大臣>
「この地方財政、岩手の場合に、今お話ございましたとおり、就任時に比べて大体借入金残高が二倍になったわけですが、その大きな理由、私は、一つは地方での、地方税の収入がなかなか伸びない、あるいは途中では随分落ち込んだ時期もございまして、やはり地方経済がうまく立ち行かないということが一つ。それから、あと社会保障関係費はずっとこの間増えてきていまして、そういう義務的な経費が増えてきているということも一つあります。」
「ただ、一番大きな原因でございますけれども、これは、やはり平成四年以降だったかと思いますが、国、地方併せまして公共事業を大分景気対策ということで行ったわけでございます。この公共事業を随分量的に拡大をして実施をしました。これは借金で実施をするものでございまして、その後、今申し上げましたような地域経済がなかなかうまくいかなかったということによって、その償還費の負担が非常に厳しかったということもあると思います。」
上記のやり取りは、2008年1月31日の参議院予算委員会にて、質問者・田中康夫氏からの総務大臣・増田寛也氏への手厳しい質問とそれに対する増田氏の回答です。
自らの知事としての手腕の無さを国のせい・社会のせいとし、国の成すがまま・言われるがままに公共事業を実施し、岩手県の借金を「倍増」させてきたことを自分自身の答弁で認めました。
彼が在任した1995年度から2006年度の12年間で県債は7029億円から1兆3922円に爆発的に増えています。知事就任直後が県債発行額が最高額に達しており、赤字を垂れ流して自らの政治基盤を確立した姿も数字から伺えます。たしかに、任期後期は急激な予算縮小を断行しましたが、自分でわざわざ公共事業で借金を増やし、その後に自分で歳出改革して辞める前にプライマリーバランスの帳尻を合わせただけです。
国の施策がアクセル全開のうちに思いっきりアクセルを踏んで借金をさせて、その後に国の方針転換に合わせて急ブレーキ。初期に借金が積み重なるのも承知の上であり、このような経済運営で多くの県民・県内企業が振り回されたのではないかと推察します。
その上、増田氏は公共事業を通じて岩手県内産業に寄与したと主張するも、県内総生産・県民所得の推移などを見ても顕著な伸びを示したとは言えず、必ずしも経済運営手腕が優れていたわけでもありません。
ちなみに、田中康夫氏は増田氏と同じ時期に知事を務めて、「僅か6年」で起債残高・借金を減らし、プライマリーバランスを黒字化し、基金を積み増しまで行ったと同じ質疑の中で述べています。
田中氏と同時期の知事として計画的な財政運営ができず、自らの政治基盤を固めるために元建設官僚として膨大な無駄な公共事業を繰り返してきた、と言っても過言ではありません。
増田寛也氏の「総務大臣時代」の驚くべき「東京蔑視」発言
「景気が回復して地方税収全体が上がるときにそういった、特に東京ですが、東京に金が集まりやすいような税体系はやはり切り替えていかなければならないと、こういう大前提がございます。」(平成20年4月24日総務委員会)
「経済活動、我が国全体の総体の経済活動が大都市というよりも東京に一極集中していると、これが今日、我々として早急に対応していかなければならない格差の問題の主要なターゲットになっている、相手方になっていると、こういうふうに考えております。」(平成20年4月20日総務委員会)
「これは結局、そのことを通じて地域に雇用の場があったり、若い人たちがそこにきちんと根拠を置いて、みんな都会あるいは東京などに出ていってしまうということを防ぐためにも、一番、やはりそこに基盤を置かなければいけないんではないかというふうに思っております。」(平成20年3月26日内閣委員会)
「そうしたことを防ぐ意味で、あえて私は税源移譲のことは申し上げませんけれども、その税源移譲をするにしても、例えば法人事業税の分割基準を見直しするといったようなことを行って三位一体改革を進めてきた、こういうことでございます。例えば、東京都からそういったことによって一千億ほどのお金が地方に移るといったようなことをやってまいりました。それで税源の偏りを緩和してきたわけでございますが、しかし、それが不十分だった。そのことは、事実として数字が出ている。」(平成20年2月8日衆議院予算委員会)
など、増田氏の総務大臣としての見解ですが、彼は総務大臣時代に東京都を目の敵として「東京に金を回さない」ということをやってきています。まさに、東京を蔑視して地方に金を回すことを正義としてきたような発言ばかり、「地方で地域の雇用を」というのは聞こえが良いですが、それを「東京のお金で」というのが彼の考え方です。
東京都も高齢化社会を迎える中で介護施設・介護人材などが不足している状況ですが、それは彼ら地方の利権を優先してきた人々が東京都のインフラを蔑ろにしてきたからに他ならず、東京都に不足する子育て施設も含めて東京への資源配分を蔑ろにしてきた増田氏の愚策がその遠因にあるのです。
増田寛也では東京を愛していない人物が公共事業によるバラマキで借金を作るだけ
以上のように、今回は増田氏の総務大臣時代の答弁を見てきましたが、自らの失敗に対する責任は中央省庁や社会環境に押しつけ、そして東京を蔑視する(東京から地方にお金を回したことを誇る)という有様でした。
増田氏の政治姿勢は一つの考え方として必ずしも否定しませんが、今更「東京都知事」として名乗りを上げるにはあまりに「厚顔無恥」なのではないかと思います。
彼が日本創生会議座長として行った「消滅自治体」の提言が基になって行われた「地方創生事業」というガラクタの山が積み上がりつつある中で、自分だけが地方の惨状から足抜けして東京都知事になろうとすることは虫が良すぎるのではないでしょうか?自らが如何に東京都を犠牲にして地方の人気取りのような政策を実行してきたのか、まずはその誤りを都民に謝罪することから始めるべきでしょう。
現在の増田氏に対する評価は「東京を愛していない人物が公共事業によるバラマキで借金を作るだけ」というものです。彼を推薦しようとする都議会自民党の政治的な見識を疑うとともに、一人の東京都民として「東京都民を馬鹿にするのも大概にしろ」とはっきりと申し上げておきます。
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2016年05月31日
選挙争点は「三党合意を行った政党への不信任」である
他人事のような民進党(元民主党)の人々の言葉
「消費税増税できないアベノミクスは失敗だ!」と民進党が意気揚々としています。しかし、直近の景気低迷はアベノミクスが失敗したからではなく、「三党合意によって決まった消費税増税」が経済不況を招いたことにある点は明白です。
自民・公明・民主の三党合意した消費税増税が失敗であったことを棚に上げて、鬼の首を取ったかのようにはしゃぐ民進党議員らには国民として疑問を持たざるを得ません。
小選挙区制度を採用している我が国では与党と野党第一党が選挙前に談合した場合、国民から事実上選挙における選択肢を奪うことができます。
民進党議員は国民から増税以外の選択肢を無くしておいて、その増税による経済失政が実際に発生させた上で、その経済失政を槍玉に挙げて批判する姿を見て、国民が白けた目線を注いでいることに気が付くべきでしょう。
アベノミクスは「そもそも意味が無かった」という正しい認識
そもそもアベノミクスが盛んに叫ばれていた時期は「リーマンショックからの回復期」でしかありません。各種経済指標の改善はリーマン以前の状況に徐々に戻ってきただけのことです。ドルベースの株価の上昇率も米国と比べても特別高いわけでもありません。
そして、安倍政権が誇る雇用増の大半も、民主党時代から変わらない「社会保障費の垂れ流し額」が更に増加し、福祉職の雇用が毎年膨れ上がっているだけのことでしかありません。御用アナリスト・経済学者は言わないと思いますが、数字を確かめれば普通に分かることです。
つまり、アベノミクスなどというものは最初から効果が希薄であり、民主党政権末期から兆しがあった円安が安倍政権になってから進展したことで為替差益が増加し、大企業の帳簿上の収支が改善しただけです。
したがって、経済政策の本質は民主党政権の頃と大差ないのではないかと思います。アベノミクスによる変化とは、日銀による国債ファイナンスによって日本円の信用が大きく毀損したことくらいです。
そのため、仮に民進党が政権を担っていたとしても、消費税3%増を上回る効果がある経済政策を実行できていたようには全く思えませんし、そのような政策が実行できると本気で思っているなら民進党の経済センスを疑わざるを得ません。
「三党合意を行った政党への不信任」、国会議員の選民主義から民主主義を守る
今回の国政選挙においても「三党合意」よろしく、与党と野党第一党が消費税増税の先送りで一致しています。
彼らは選挙の度に与野党で「増税で一致」「見送りで一致」という行為を繰り返すつもりでしょうか?
口では何とでも言えますが、所詮大企業・大労組に支えられた似たより寄ったりの政党なので、重要な経済政策の問題では行動が常に一致しているわけです。
完全に「民主主義を舐めている」わけであり、「国民は寝ててね。あとは国会議員、官僚、タックスイーターで決めるから」と言っているに等しい行いです。これで立憲主義やら何やらを語るなど馬鹿にするにも程があります。
民主主義の根幹である「税金」の問題から国民を蚊帳の外に置く政治が許されるべきではありません。今回の選挙は「現在進行形」で「民主主義を破壊している」与党と野党第一党への不信任になるべきです。
国民はエスタブリッシュメント政党である自民党・公明党・民進党の三党以外に投票することが望まれます。この3つの政党は確固たる組織票があるため、あなたが一票投じなかった程度で動じるような政党ではありません。したがって、積極的に上記3党以外の政党に投票すべきです。
選挙争点は「日本の民主主義を国会議員の選民主義から守ること」です。現状の選挙制度では難しいことは確かですが、自公民の3党を過半数割れにすることができれば日本の政治は確実に変わります。そして、それは一人ひとりの投票で可能なことなのです。
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
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2016年04月09日
参議院選挙の争点は消費税5%への引き下げになる
7月参議院議員選挙・増税先送りは昨年予想した通りの展開だということ
筆者は昨年の段階で増税先送りを予想しており、自民の高齢者重視路線、維新の教育無償化路線についても予測してきました。大阪維新の全国的な拡がりが遅々としていること以外は、現実は予想した通りの展開となっています。安倍政権の主要目的は憲法改正と中国への優位を築くことなので政治行動が非常に分かりやすい政権だと言えます。
自民党は高齢者、維新は子育て世代、参議院選挙圧勝の構図へ(2015年12月)
日中限定戦争への道、慰安婦・日韓合意の真意を探る(2015年12月)
安倍政権の財政再建や消費増税に対する熱意はほとんどない
安倍政権はクルーグマンとの会合の中でG7の場でドイツなどの参加国に財政出動を行うことを要請する旨を述べた上で、更に最近では日本としても景気対策として巨額の財政出動を行う方針を示しています。つまり、現政権には財政再建への意志というものはほとんどないと言って良いでしょう。
筆者は消費増税が財政再建に繋がるとは思っていませんが、安倍政権は更に財政支出を削ることの重要性を理解しておらず、日銀による財政ファイナンスで経済運営感覚が完全にマヒしていることが分かります。そのため、消費増税の先送りはほぼ確定的な状況であると言えるでしょう。
外国人に世界経済の悲観的な見通しを語らせた上で、G7で経済危機による財政出動の必要性を訴えるという、日本国内での大胆な経済対策を行うための地ならしを進めています。筆者は消費増税の単純な先送りということだけのために、ここまでの準備を行うのかということについて疑問を持っています。
自民党は消費税5%への引き下げで勝負する可能性が高まっている
一方、野党・民進党は自民党が最終決断を行う前に致命的なミスを犯した状態となっています。それは、消費増税先送りを自民党よりも先に宣言をしてしまったことです。
これが何故野党のミスなのかというと、自民党にとって「消費税を5%に引き下げる」という宣言を行った場合、ほぼ確実に選挙で勝利できる状況が生まれたからです。野党が見送りで主張を固定したことで、それ以下の数字を出せば衆参同時選挙で圧勝できる構図が出来上がっています。
参議院議員選挙において、景気失速はアベノミクスの失敗として野党は攻め立てる予定だと思いますが、自民党側が先送りではなく消費税5%を打ち出せば野党の批判は空虚なものになるでしょう。
安倍政権の戦略目標は財務省の夢である増税ではなく、憲法改正と中国への優位構築を行うことであるため、平然と消費税5%の決断を下すものと思います。これは軽減税率で大幅に譲歩を迫った公明党にとっても飲める内容です。
夏の選挙に向けて野党はバンバンとカードを切り始めていますが、与党側はまだ一切カードを切っていない状況です。衆議院補欠選挙の結果を受けた今後の展開が楽しみな状況となりつつあります。
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2016年03月28日
民進党の成否を分ける「たった一つ」のポイント
「何故、野党は分裂する理由」を克服できるか否か、ということ
自民党は滅多なことでは分裂しない、そして野党時代であったとしても自民党は分裂してきませんでした。翻って、民主党を中心とする現野党は与党・野党時代を問わず分裂を繰り返してきました。
そして、現在のところ、民進党は「分裂の原因」について全く考察することなく、むしろ「全く同一の失敗を繰り返している」といっても過言ではありません。
筆者は何も小難しい話をするつもりもありませんし、世間一般で当たり前に行われていることが行われていないので、野党は組織がバラバラになっていくのだと感じています。そして、特に今回の合併を主導する岡田代表は「根本的な分裂原因」をまったく意に介しておらず、民進党は長く持たないことは明らかだと思います。
「党内ガバナンスの欠落」こそが野党分裂の原因である
政党がバラバラになるとき、政策的な路線の違いであるとか、〇〇議員が嫌いとか、色々な分裂理由が述べられるものですが、実際のところ政党が分裂する理由はそのようなものではありません。
上記の程度のことが組織分裂の理由になるなら「自民党は一瞬で解党している」し、政党ではない「一般企業でも組織としての体を成すことは難しい」でしょう。
政党が無くなるor分裂する際、党内で起きている問題は「納得感が欠落した意思決定の常態化」です。つまり、組織として行動しているはずなのに、その組織の構成員として意思決定の一端に加わった納得感がない、という状況が生まれているのです。
自民党は政調部会によるボトムアップ型の意思決定が形式的に存在しています。国会議員は意思決定のプロセスを体験することができますし、自分の意見が反映されなくても部会で発言することで自己の立場を保つこともできます。自民党のシステムは物事が決まる瞬間のプロセスが明らかになっており、なおかつガス抜きを行うこともできる優れたシステムと言えるでしょう。
一方、野党側は「安倍政権を倒す」ということで一致しただけであり、合併決定・民共共闘などの重要な意思決定を行うに際し、所属国会議員や地方議員のボトムアップ型の承認プロセスを経たとは言い難いものがあります。(維新の党は形式上代表選を行って合併・解党を決めましたが、極めて外形的な話に過ぎなかったと思います。)
政党トップの意向で民進党(実質的に民主党)所属になった地方議員の方も多く存在しており、現在トップダウン型意思決定の成果は「政権を取るまで」or「参議院議員選挙まで」の時限的な野合としてしか持たないと思います。
野党だからこそ「意思決定プロセスが大事」だという認識の欠落
与党は最低限の意思決定プロセスが存在している場合、多少無茶なことがあったとしても簡単には分裂しないものです。前回の民主党政権は意思決定プロセスが極度に煩雑になりすぎたことで、些細なことの積み重ねが大きな軋轢として臨界点を超えて噴出したのではないかと推察します。
しかし、野党となると話は全く別物であり、党内の意思決定プロセス、つまり納得感を生み出す仕組みが無ければ長くはもたないことは言うまでもありません。党のトップが政権奪取の旗を掲げて政策を示して所属国会議員がお互いに我慢しながら選挙に取り組むことは、2009年に一回行った失敗の焼き直しでしかありません。まして、今回は民主党単独ではなく共産党までくっ付いているのだから目も当てられません。
自民党以外の政党で長く存続している政党は公明党や共産党などの組織政党しかありません。これらの政党は組織として成り立つための仕組みを有しており、構成員同士が多少いがみ合ったとしても全体としては納得感を醸成するシステムが存在していると言えるでしょう。
ここまで書くと何か凄い仕組みを作ることが必要という印象を与えるかもしれませんが、組織人として当たり前の仕組みづくりに取り組むことが必要だと述べているだけです。そして、それをやるなら選挙前ではなくて少なくとも1年前からスタートすべきだと思います。
ここまでの民進党の成立プロセスを見ていると、属人的な意思決定と選挙ファクターによって生まれた政党であり、数年以上あった猶予期間で民主党としても維新の党としても「正常な意思決定システム」を創る気が無かった人々の野合にしか見えません。選挙まで、政権奪取まで、個々の議員が我慢できれば良い、という問題ではありません。
民進党が生まれ変わるかどうかは、自党の中に「意思決定の仕組みが必要」という当たり前のことを考えて実行できる人がいるかどうかです。その点について注目してみていきたいと思います。
yuyawatase at 17:58|Permalink│Comments(0)
2015年12月24日
国会議員に「育児休暇」は本当に必要か?
国会議員の「育児休暇(育休)」は本当に必要なのか?
国会議員の宮崎けんすけさんが育児休暇を取るということが話題になっています。これについて宮崎さんを応援する方が多いと思うのですが、一般人の育休と同じように考えることは間違っています。
国会議員は通常の会社員とは全く異なる労働環境にあるため、国民としては「新しい流れ!」ということで単純に歓迎すれば良いという話ではありません。
国会議員の労働環境・福利厚生環境とはどのようなものか?
国会議員の世紀の労働環境・福利厚生環境は下記の通り。
・国会出席は週3日程度(国会開催は9:00~17:00)
・年間・約4000万円の現金支給(給料、期末手当、文書交通通信滞在費、立法事務費)
・公設秘書2名、政策秘書1名などのスタッフの支給
・JR特殊乗車券、国内定期航空券の交付
・東京の一等地に議員宿舎の提供
ということになります。つまり、正規の仕事は週3日9時5時ででスタッフ3名も税金で供給されるというのが国会議員です。正直に申し上げて、およそ「育児休暇」が必要なほど忙しい仕事ではありません。
再就職(再選)と出世のための個人の政治活動が大半を占めているのではないか?
国会議員の忙しいと主張する仕事の大半は、地元の声を聴くという名目の再選に向けた政治活動です。東京に選挙区を持たない議員は「金帰火来」という金曜日に地元に帰り火曜日に東京に戻る生活が一般的です。
さらに、自民党であれば、党内の部会などの勉強会や各種団体との対応など、自分の勉強&党内意思決定&出世のために必要な「党務」をこなすことが求められます。
しかし、これらは自らの再選や党内出世のためのプロセスであり、国会議員として給料が支払われている本来の職務とは異なるものです。地元活動であれば地元有権者、党務であれば政党の幹事長と話して個別に了承を得れば良いだけの話であり、国会への出席を休む理由にはなりません。
つまり、公務員としての国会議員の仕事をこなした上で、自営業者としての政治活動家としての地元活動を減らし、なおかつ同業組合である政党の党務を欠席すれば負担は激減します。国会議員の仕事と自分個人の仕事を混同して考えていることに問題があります。
育児休暇自体は否定しないが、「国会議員」の仕事環境ならば育児休暇は不要
以上のことから、「国会議員」に育休は不要であると思います。社会全体として育児休暇は必要な制度だと思いますが、育児休暇は無条件に認められるべきではなく、その職務との見合いで本当に必要かどうかで判断されるべきものだと思います。
宮崎さんは、ご自身のブログで、
「しかし、次世代の日本のあり方と、女性が輝く社会を実現するための男性の支援を促すためにも一石を投じたいと考えました。勇気を振り絞り、またこの一歩が大きな道に繋がることを信じて前に進もうと決心しました。」
「※私はただ単に休暇を取りたいのではなく、育児をするライフスタイルを作り出すことを目的にしています。当然ですが毎日、私の事務所とも電話やメールで連絡を取り合いますし、地元の皆様の要望などを承る体制は整えます。」
と述べられています。軽薄な有識者らは表面的な判断で応援するかもしれませんが、国民に対して上から目線で啓蒙するような話ではありません。
国会議員の責任を放棄して、自分の政治活動についてはしっかりやります、とはどういうことでしょうか?国民に対して「俺も育児休暇をやるからお前ら見習えよ、ただし俺はお前に雇われたこと以外の別の仕事はやるけどな」という話とほぼ同義だからです。
国会議員以前に大人として当たり前の対応を社会に見せることのほうが重要である
宮崎さんの場合は予算委員会に所属されていますが、国会議員として自覚があるなら、開催日数・重要性度の観点から予算委員会の委員を今期は辞退するなど、自ら職務内容の調整を申し出ることも大人としてのケジメだと思います。(本会議に欠席届を毎回出すと報道されていますが、国会審議を軽視し過ぎだと思います)
最後に、この流れが地方議会にまで波及する可能性があることは論外としか言いようがありません。彼らの年間の議会への出席日数は100日前後であり、他の日は基本的に地元活動と党務しかありません。そもそも育児休暇は取るべき人が取るべきであり、それを取る必要が無い人は取らなくて良いです。
今回の一件で各政党の育休に関する姿勢が問われるという点では「地元有権者」「政党幹部」の判断としては妥当ですが、国民全体の奉仕者である国会議員としての仕事に限定すればナンセンスな議論です。
国会議員にはご自身の本来の仕事を見つめ直してほしいと思います。皆さんは国会議員である前に大人として最低限のケジメをつける姿を社会に見せるべきです。
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2015年12月10日
「軽減税率の適用拡大という幻」の合意
自民党が軽減税率の範囲を「生鮮食品」「加工食品」まで認めることに
自民・公明両党は軽減税率の対象を生鮮食品と加工食品を含む食料品まで拡大し、軽減される消費税は約1兆円規模となることが決まりました。
自民党は財政規律や手続きの煩雑さから軽減税率の適用範囲の拡大について抵抗してきましたが、来年の参議院議員選挙での選挙協力を念頭に公明党に妥協することになりました。
しかし、実は自民党は公明党に対して一切妥協しておらず、むしろ選挙協力のみを引き出したのではないか、ということが私の見方です。以下、私見を述べておきたいと思います。
参議院議員選挙の選挙争点は「消費増税の先送り」なので軽減税率は意味を失う
まず、来年の参議院議員選挙の争点は、景気動向などとの関係から「消費増税の見送り」になる可能性が高いということです。政権側は少なくともその形で選挙を行うことを前提として準備を開始するでしょう。一部では大手調査会社の予測結果として消費増税見送り&自民圧勝の数字も出回っています。
そのため、増税に伴う軽減税率は全く意味がない議論になる可能性があります。
そう考えると、現段階では軽減総額を多く設定したほうが来年の予算の見直しの際の影響力を小さくできるはずです。各省庁の予算編成は新年度から開始されることになりますが、夏の選挙結果を受けて予算編成内容を変える必要が出てくるでしょうから、増税幅を小さく見積もったほうが後々の対応が楽になります。
したがって、現在、自民党は公明党に妥協したふりをして軽減税率幅を拡大し、公明党の衆参同時選挙の選挙協力を引き出すほうが優先順位が高いことになります。
衆参ダブル選挙の高投票率で公明党は大幅に議席を失う結果になる
衆参ダブル選挙の結果として、大幅に投票率が上昇することを通じて、公明党は大量の議席を失うことになるでしょう。
大阪維新の衆参両方での議席大量増が予想されるため、連立政権内部での力関係に大きな変動が生じ、その結果として公明党の連立与党内での地位は低下することが予想されます。
大阪維新のボスである橋下氏は「軽減税率は新たな既得権を生むだけ」と反対している状態であり、衆参ダブル選挙の結果は軽減税率の適用範囲にも影響を与えていくことになるでしょう。
衆参ダブル選挙後の政局情勢で「軽減税率」の話は見直されることに
衆参ダブル選挙後は、大阪維新が連立政権入りすることで消費増税は先送りとなり、その後は軽減税率の見直しの議論が出てくることは必然です。
政権としてはそのまま憲法改正の発議に持っていきたいところであり、軽減税率の適用範囲に関する合意・見直しは公明党に対する交渉カードとしてうまく扱われていくことになると思います。
そのため、現段階で自民党が公明党に軽減税率に関する妥協を行うことは政局上の合理的な判断と言えます。つまり、「軽減税率拡大が実際に意味がない」ということになります。
yuyawatase at 12:00|Permalink│Comments(0)