自殺率

2016年07月30日

<公開質問状>本当に工学博士?増田・自殺率のグラフを並べてみた(笑)

さて、今回の記事は中野区の加藤拓磨区議がどのような統計的な操作によって読者をミスリーディングしたのか、ということを論証し、加藤区議本人にご自身が投稿した記事内容の妥当性について回答を願うものです。

まず、加藤拓磨区議が作成した自殺率(全国平均・岩手県)の統計グラフは下記の1990年の自殺率を基準としたグラフです。このグラフを用いて、加藤氏は下記の2点を主張しています。(元記事はこちら

①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。
②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。

1990年基準


しかし、これは基準年を1990年に設定するという恣意的な設定を用いた統計上の操作の結果に過ぎないと明確に申し上げておきます。

下記のグラフは1995年基準、つまり増田県政が始まった年を基準とした自殺率の推移です。これを見れば分かるように「全国平均よりも自殺率を抑制した」という事実は確認できなくなります。

1995年基準


では、増田県政が終了した2006年度を基準とした場合はどうでしょうか。やはり増田県政が自殺率を全国平均と比べて抑制したといえるものではありません。

2006年基準

増田県政よりも遥かに遡った1982年を基準にした場合、増田県政下では自殺率が全国平均と比べて随分高くなっているように見えます。

1982年基準

上記の通り、基準年を恣意的に操作したグラフを用いることで、操作者にとって幾らでも都合よく編集できることが明らかになったものと思います。

中野区の加藤区議が行われたことは1990年という何の根拠性も無い時間軸を基準として設定し、自分自身にとって最も都合が良いグラフを作って発表したに過ぎません。

以上の結果を見れば、加藤区議が主張する1990年基準のグラフを用いた、

①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。
②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。

の2つの主張は、統計的な見せ方の歪曲の上に成り立ったものに過ぎないということが言えます。(①については1990年基準のグラフですら論証不能)そこで、本記事では加藤区議に公開質問状として下記の4点の回答を要求します。

(1)1990年の自殺率を測定する基準とした合理的根拠は何か
(2)1995年(増田県政開始年)の自殺率を測定する基準とした場合に上記の主張を維持するのか
(3)元の統計データを故意に操作したグラフを用いた記事を公人である区議会議員が選挙期間中に公開した政治責任をどう取るのか
(4)中央大学大学院理工学研究科での博士号取得時までに「統計学」の単位を取得したことがあるのか

以上の点につきまして、公開質問とさせて頂きます。そして、回答期日は2016年7月30日中とさせていただきます。1990年を選んだ合理的根拠を提示していただくだけの話なので時間はかからないことでしょう。

私もデータをまともに分析もせずに世に出し、間違った印象を与える議員を絶対に許しません。統計データというのは医師が健康診断結果を見るようなものですから、医師の政治的な都合で診断結果が変わるようでは困ります。まともにデータが見られないのであれば、診察しないでいただきたいと思います。

以上です。

PS:筆者の増田氏に関する診断結果は「自殺率上昇を抑制できず、借金も約2倍に増やした無能な知事」です。この人物を自民党が推薦する理由は理解しがたいものでしたが、今回の件で改めて自民党議員の一部が山本一郎さんがおっしゃるように「低知能化ウイルスの集団感染」であることにリアリティが出ましたので合点がいきました。その点は感謝いたしております。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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2016年07月28日

プレジデントの記事を誤報呼ばわりする中野区議の方へ


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区議さんの面白い記事を見つけたので紹介しようと思う

「増田県政と自殺率を結びつける記事は“誤報”だ --- 加藤 拓磨」

筆者がプレジデント誌に寄稿させて頂いた文章について「誤報」であるという恣意的な発表をされている区議会議員さんを見つけたので区議さんの御発言を少し訂正しておきたいと思います。

筆者が言いたいことは「見解が異なる」ということであり「誤報ではない」ということです。

まず誤報の定義を確認すると、デジタル大辞泉によると、

ご‐ほう【誤報】

まちがった知らせ。報道されたことが事実と違っていること。

とされています。区議さんも確認された通り、筆者が文章に掲載した統計に間違いはなく、同氏の言葉の使い方自体が誤報です。

さて、では筆者と区議さんで何が違うのかというと、統計データの解釈の違いです。この点については今回の区議さんのように様々な解釈の違いが出てきて意見が戦わされることは良いことだと思っています。

そこで、本稿では、筆者と区議さんの間の見解の違いが何故生まれるのか、ということについてまとめました。面白い議論だと思うので読んで頂いた方が自由に解釈をして頂ければ結構です。

政治家は「誰に対して結果責任を背負っているのか」という見解の相違について

筆者がプレジデント誌で指摘したことは「増田県政で自殺率が急上昇し、達増県政で自殺率の全国平均との差が縮まったという指摘」であり、県議会の議事録も増田県政当時の岩手県議会で自殺問題への対処が課題となっていた、ということに過ぎません。

実際、区議さんが「自殺死亡率の変化倍率の年次推移(岩手・全国)」を作成して改めて証明したように、どんなに数字を加工してみたところで、増田氏の在職中に自殺率が急増し、後任の達増県政においては全国平均と比べて自殺率が下がっている事実は動かしようがありません。むしろ、わざわざ1990年基準の比較表まで作って頂いて有り難い限りです。

その上で、政治家としての資質と責任を問う場合、上記の議論ですら的外れだと思います。政治家の仕事は「全国的に自殺率が高かったから、うちの自治体も自殺率が高くても問題なし」というものではないからです。

この理屈で済むなら「知事」は誰でも良いことになるでしょうね。良い点も悪い点も全部当時の社会のせいにしたら良いんじゃないですか、と思います。それなら、我々は何のために選挙を行わされているのか疑問です。

たとえば企業経営者が「日経平均が下がっているので我が社の株価も下がって当然です」と株主総会で述べたなら、株主から「では、経営者は代わってもらって結構です」という話になるだけのことです。

区議さんは統計の解釈は医師が健康診断を見ることと同じと述べていますが、「隣の病院の患者も亡くなっているので、うちの病院の患者も亡くなっても問題なし」という医者にはちょっと怖くてかかりたくないものです(笑)

当該地域の住民によって選ばれた首長は地域の有権者に対して責任を持っているのであり、その成果は相対評価ではなく「絶対評価」で判断されるべきだということが筆者の主張です。

区議さんは国土交通省の御出身、つまり増田さんの後輩に当たる方ですが、自らの政策の結果責任を背負わない役人気分が抜けないまま政治に携わられているのではないかと思います。

都知事候補に凡庸な成績の首長をわざわざ推薦した説明責任を果たしてほしい

したがって、全国平均と同様に岩手県の自殺率が上昇し、増田県政よりも達増県政のほうが全国平均との自殺率の差が少ないという記事に何も間違いはありませんし、区議さんが作成した図を見ても同じ結論しかでないと思います。

区議さんのご意見に百歩譲って「他自治体の自殺率も高かったから増田氏も問題なし」という理屈を採用したとしても、増田氏が「凡庸な手腕の知事だった」という理解になるのではないかと思います。

何がしたいのかさっぱり理解できませんし、東京都もいつまた不況が深刻化するか分かりませんので、その時のためにやはり増田氏はご遠慮願いたいものです。

増田氏を区議さんが自分で選んだわけではないと思いますが、東京都民は優秀な人材が東京都知事になってくれることを求めています。

せっかくなのであえてお聞きしたいのですが、「不況の時代のせいにしないとトラックレコードが悪かったことを言い訳できない」自治体経営者を東京都民にわざわざ推薦する理由は何でしょうか?自民党の人材ストックはそれほどまでに枯渇しているのか、と思わざるを得ません。

時間と労力を使って増田氏の凡庸さをアピールする暇があるなら、もっとポジティブな点を積極的に東京都民に伝えてほしいと思います。たとえば、増田氏なら事務事業評価などはしっかりやってくれそうですが、そういう点をPRしたらどうでしょうか?

最後に誤報ではないことをデータを用いて証明してくれた区議さんの実務力と努力に改めて称賛と御礼を申し上げたいと思います。人様の文章に批判にすらならない難癖つける前に、東京都民に是非ご自慢の統計力で増田県政の褒められる点を実証して頂きたいと思います。


 
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。 


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