自営業
2016年01月09日
「自営に育休」という自民党議員は経営を何も知らない
自民党が本当に変わったんだな、と思う出来事としての育休問題
橋本岳さん「宮崎謙介議員の国会議員育休宣言をめぐる議論について」
という記事を読んでみて、前回は憲法と法律の都合が良い解釈について論理力の無さを検証してみましたが、自営業者の端くれ、または従業員20名程度の中小企業経営経験者として釈然としない気持ちになったので「どうしてなのか」をもう少し考えてみました。
そこで、気が付いたことは「ああ、この人は二世議員で大手企業のサラリーマン出身だった」ということ。そりゃ企業経営で十年以上も飯食ってきた人間とは感覚違うよなーと。
結局、この問題に関する様々な意見から「自民党の若手・中堅」が自営業や中小企業経営者なんてどうでも良い、と思っていることの証拠がボロボロ出てきて本当に残念だと思います。
自営業者にとって必要なものは「給料」ではないって知ってるの?と思う
自営業者や企業経営者にとって最も重要なものは、目の前の現金、であることは確かでしょう。しかし、たとえば1年間働かないで〇〇円上げます、と言われても、自営業者や企業経営者ならお金をもらいながら絶対に更に働きます。それは何故でしょうか?
それは彼らがご飯を食べるために必要なものが、「生きている人脈(ソーシャルキャピタル)」と「更新されるスキル(ナレッジ・ノウハウ)」だからです。だから、お金上げるから子育てだけして1年後に復帰してね、といって、仕事に戻れるのは「医者」などの資格職だけで、自営業者や経営者はかなり苦労することになります。それだけソーシャルキャピタルやナレッジ・ノウハウが毀損しているからです。
ほとんど社会経験がない状態で国会議員になってチヤホヤされると、上記のような自営業や中小企業経営者なら誰でも分かるような話が分からなくなるわけです。大半の自営業者や中小企業経営者にとって「休業」=「ほぼ即死」という環境であることをまるで知らないことが話から分かります。給料は会社がくれるもの、という意識がアリアリと伝わってきます。
自営業に育休取れば良いということは、「仕事はなくても育休取れば良いのよ」という現代版マリー・アントワネットの発言ですね。後援会の人々は二世議員への教育に責任を持ってください
自民党から経験豊富な大人が引退していくことが不安で仕方がない
現代の小選挙区議員や参議院選挙区議員として楽勝に当選してくる若手・中堅の国会議員にとってみれば、地域の自営業の兄ちゃん・おっさんや中小企業のおやじなんてものは、社会的に大して成功しなかった話を聞く対象の人々ではない、という思い上がりがあるんだろうなと思います。
彼らは確かに論理的に理路整然としゃべる人は多くないし、別に沢山お金を持っているわけでもなく、社会的な影響力も少ないでしょう。現代の政党ブランドで決定する選挙なら適当に話を聞いたふりをするだけで、目の前を通り過ぎていくチリのような有権者に過ぎません。だから、彼らがどうやって生きているのか、という、議員として最も必要なことに対する感性の欠落が生じているのです。
小選挙区比例代表制度は「有権者のことをほとんど知らなくても政党の公認があれば勝てる」可能性が高い選挙制度です。だから、本来は自民党の支持基盤である、自営業者や中小企業経営者から見て「寝言」のような話が展開されるのです。もはや自民党は役人と大企業のサラリーマンのための政党なんだなあと感じます。
自分は昔ながらの現役の重鎮議員がいなくなったあとの日本が心配で仕方がありません。少なくとも地方議員出身者や中選挙区出身の議員らは社会の現実をもう少し知っているからです。
小選挙区比例代表制度を廃止して中選挙区制度に、地方議員→国会議員を定番ルートにすべき
まずは選挙制度を小選挙区比例代表制度から中選挙区に戻して人物本位の選挙制度に戻すことが重要です。同制度には癒着や派閥などの問題が指摘されていましたが、現在の小選挙区比例代表制度よりは余程マシな制度だと思います。少なくとも有権者と本当に対話を積み重ねた人が国政の場に進むべきです。
また、自民党は国会議員として公認する前に、最低1期は地方議員を務めることを党の方針として決めるべきでしょう。そして、人々の暮らしに近い「民主主義の学校」である地方自治を学んだ人材を国政にリクルートするべきです。政策の施行現場である地方自治の現場を知っていることは、全ての国会議員にとって必要な素養だと思います。
yuyawatase at 18:00|Permalink│Comments(0)