維新

2015年12月18日

自民党は高齢者、維新は子育て世代、参議院選挙圧勝の構図へ

橋下さん
(橋下徹氏のTwitterから引用)

2016年の参議院選挙を見据えた主要政党のバラマキ・マーケティング本格化へ

2015年12月中旬も過ぎて来年の政治日程が見えてくる中で、主要政党は自分たちのフォーカスする有権者層向けのバラマキ・マーケティングに大幅に舵を切ってきています。

選挙に勝つために各政党ともに自分たちの支持者を潤すことが基本的な戦略であり、臨時給付金の配布、児童扶養手当増額、教育無償化などのかなり突っ込んだ政策を実現または提示してきています。

本記事では現在話題となっている消費税増税見送りも含めて、主要政党のマーケティング戦略から来年の参議院議員選挙の展望を分析・予測していきます。

高齢者マーケティングに大幅に舵を切る自民党の戦略

自民党は高投票率の高齢者にシフトしたマーケティングに舵を切っており、消費増税に伴う子育て世帯への給付金を廃止しつつ、低所得の高齢者層1100万人に臨時給付金1人3万円・約3400億円を配布するというバラマキを実行することを決定しています。

相変わらず小泉進次郎氏などによる若年世代向けのガス抜きのコメントは出ていますが、露骨な選挙対策を実行する開き直り、選挙戦略上の割り切り感には感心させられます。

また、公共事業費について政権奪取以来の当初予算を増やす方針を踏襲し、伝統的な支持基盤である地方の土建層からの支持獲得に完全回帰しています。建設業従事者数は500万人程度、更に現場の高齢化は進んでいるため、自民党にとっては良いマーケティング対象であることは間違いありません。

自民党は参議院比例票で1800万~2100万票程度を確保すると例年通りの数字であるために既存の支持層を固める作業に入っていると言えるでしょう。

低所得者マーケティングに集中投下する公明党の戦略

公明党は消費増税への軽減税率の導入を自民党に大幅に飲ませたことで安保法制に妥協を繰り返した面目を躍如することになりました。参議院選挙だけでなく宜野湾市長選挙への推薦を含めた交渉力は大したものです。

ただし、現在の景気動向から消費増税自体が見送りになる可能性が高いため、軽減税率自体が意味を失う可能性もありますが、彼らのマーケティング対象である有権者から軽減税率という公約を履行したことで信頼感を回復するには意味があったことでしょう。

また、前述の通り、子育て世代全体への給付金は廃止となりますが、主に公明党のロビーイングによって低所得のひとり親家庭については2人目以降の児童扶養手当が倍増することになりました。

公明党は噂されるダブル選挙に備えて750万票~850万票の既存の組織票の取りこぼしを防止しつつ、共産党との低所得者市場の争奪戦に備えていると言えるでしょう。

子育て世代マーケティングに大きく賭ける橋下氏の大胆な発言

来年の参議院議員選挙では、おおさか維新の会の公約の予測として、橋下徹氏のTwitterの内容は要注目です。消費増税見送り、憲法改正、安保法制は当然の方針ですが、それでは選挙が戦えないので維新としての明確なマーケティングが必要になってきます。

そこで、注目されるのは「大学までの教育費無償化」ということになるでしょう。内容としては公務員人件費の削減などによって、子育て世代向けの5兆円の教育無償化(税負担化)資金をねん出するというものになります。

18歳未満がいる子育て世帯は1150万世帯弱であり、潜在的な層を含めると同政策の対象は拡がりがあると思われます。前回の参議院議員選挙における維新・みんなの得票合計数は約1100万人であり、世代間格差を訴えることで維新は子育て世代の得票を取り込めば大幅に得票を伸ばす可能性があります。

自民と維新、消費税増税見送り・シマのすみ分けで完全一致の選挙戦略

自民党とおおさか維新の会は、上記のようにお互いのシマをすみ分けてマーケティングを実施する展開になるものと推測されます。これが打ち合わせの上のものかどうかは分かりませんが、お互いに綺麗に支持層を分け合うことになるでしょう。

一方、民主党についてはそもそも消費税増税の三党合意の中心政党であり、その責を無視して消費税増税見送りに舵を切れるかどうかは非常に微妙な立場に置かれるものと思います。しかも、民主党=バラマキ=失敗のイメージが強くバラマキアピールも非常に苦しい状況です。

そのため、現在のように安保反対というテーマで選挙争点を形成することが予想されますが、それでは減少傾向にある比例票も共産党に食われて更に減少するとともに、都道府県選挙区も維新に敗北する選挙区が増えるでしょう。

自民党とおおさか維新が掲げようとしている選挙争点は、まさに民主党をスマートに崩壊させるマーケティングの上にデザインされており、秀逸な選挙戦略として準備されていることが分かります。
 
以上、来年の参議院議員選挙におけるバラマキ・マーケティングは自公維の圧勝という形になることが予想されますが、日本の未来はこれで良いのでしょうか。米国の大統領選挙における共和党のような自由経済を通じた力強い経済成長を掲げる政党が生まれて日本を変えることを願うばかりです。





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2015年12月10日

「軽減税率の適用拡大という幻」の合意

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自民党が軽減税率の範囲を「生鮮食品」「加工食品」まで認めることに

自民・公明両党は軽減税率の対象を生鮮食品と加工食品を含む食料品まで拡大し、軽減される消費税は約1兆円規模となることが決まりました。

自民党は財政規律や手続きの煩雑さから軽減税率の適用範囲の拡大について抵抗してきましたが、来年の参議院議員選挙での選挙協力を念頭に公明党に妥協することになりました。

しかし、実は自民党は公明党に対して一切妥協しておらず、むしろ選挙協力のみを引き出したのではないか、ということが私の見方です。以下、私見を述べておきたいと思います。

参議院議員選挙の選挙争点は「消費増税の先送り」なので軽減税率は意味を失う

まず、来年の参議院議員選挙の争点は、景気動向などとの関係から「消費増税の見送り」になる可能性が高いということです。政権側は少なくともその形で選挙を行うことを前提として準備を開始するでしょう。一部では大手調査会社の予測結果として消費増税見送り&自民圧勝の数字も出回っています。

そのため、増税に伴う軽減税率は全く意味がない議論になる可能性があります。

そう考えると、現段階では軽減総額を多く設定したほうが来年の予算の見直しの際の影響力を小さくできるはずです。各省庁の予算編成は新年度から開始されることになりますが、夏の選挙結果を受けて予算編成内容を変える必要が出てくるでしょうから、増税幅を小さく見積もったほうが後々の対応が楽になります。

したがって、現在、自民党は公明党に妥協したふりをして軽減税率幅を拡大し、公明党の衆参同時選挙の選挙協力を引き出すほうが優先順位が高いことになります。

衆参ダブル選挙の高投票率で公明党は大幅に議席を失う結果になる

衆参ダブル選挙の結果として、大幅に投票率が上昇することを通じて、公明党は大量の議席を失うことになるでしょう。

大阪維新の衆参両方での議席大量増が予想されるため、連立政権内部での力関係に大きな変動が生じ、その結果として公明党の連立与党内での地位は低下することが予想されます。

大阪維新のボスである橋下氏は「軽減税率は新たな既得権を生むだけ」と反対している状態であり、衆参ダブル選挙の結果は軽減税率の適用範囲にも影響を与えていくことになるでしょう。

衆参ダブル選挙後の政局情勢で「軽減税率」の話は見直されることに

衆参ダブル選挙後は、大阪維新が連立政権入りすることで消費増税は先送りとなり、その後は軽減税率の見直しの議論が出てくることは必然です。 

政権としてはそのまま憲法改正の発議に持っていきたいところであり、軽減税率の適用範囲に関する合意・見直しは公明党に対する交渉カードとしてうまく扱われていくことになると思います。

そのため、現段階で自民党が公明党に軽減税率に関する妥協を行うことは政局上の合理的な判断と言えます。つまり、「軽減税率拡大が実際に意味がない」ということになります。

当確師
真山 仁
中央公論新社
2015-12-18






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2015年11月30日

参議院選挙前に民主党崩壊を予言する「ある数字」とは

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民主党の解党論議が年末にかけて本格化していく状況となっていますが、民主党は「解党ではなく崩壊」する可能性が極めて高い状況となっています。それは「ある数字」が示しています

民主党の「解党ではなく崩壊」を示す「ある数字」とは何か


民主党崩壊の根拠となる数字は「参議院議員選挙の比例得票数」です。

参議院議員選挙は選挙区と比例区に分かれており、選挙区は少数の議席を争うために二大政党にとって有利な環境となっていますが、比例区は「政党の勢い」が重要であるため、毎回各政党の比例得票数は激しく上限しています。

民主党の過去の比例得票数は、2007年・2325万票⇒2010年・1845万票⇒2013年・713万票、という激減過程の中にあり、2016年の参議院議員選挙の比例得票数も支持率低迷の中で増加する見込みはありません。

そして、この参議院比例票の激減、そして比例代表の獲得議席数の減少こそが労働組合の組織に依存する民主党にとっては致命的な結果をもたらすことになります。

参議院比例票の激減で労組系組織内候補の大量落選が現実に

実際の得票数・議席数は投票率にも左右されることになりますが、推計で仮に民主党が前回同様の700万票前後であったと仮定した場合、民主党の比例獲得議席数は7議席程度になるでしょう。自民、維新、共産が得票数を伸ばしてくる中で民主党の得票が伸びる理由は特にありません。

獲得議席数を「7」とすると、かなりの数の労働組合の組織内候補者が落選することになります。実際に前回の2013年の参議院議員選挙ではゼンセン、JP、基幹労連、などの旧同盟系の労組の組織内候補が議席を得ることができませんでした。

同参議院議員選挙の票数の激減は予測を上回るものであり、各労働組合も対応しきれなかったものと思います。(その意味で候補者を1人に絞った立正佼成会の判断は見事でした。)

2016年参議院議員選挙比例区でも同様の得票と仮定した場合、自動車、電力、自治労、日教組、情報労連の5つ以外の労働組合は議席を確保することは極めて困難です。これらの有力労組に加えて当選可能な候補者は立正佼正会の組織内候補者1名と有田芳生氏だけであり、以上のメンバーで獲得見込みの7議席を消化することになります。

 つまり、参議院比例区で当選する民主党の候補者は既に全議席決定しており、2010年に獲得した議席を失う中堅の労働組合にとっては自分たちの影響力が激減することが明白な状況となっています。

同盟系労働組合は維新に流れることで議席を確保できる状況に

そのため、旧同盟系の中堅どころの労働組合にとっては民主党から抜け出て、「維新」(大阪)と組んだ方が自分たちの組織内候補者を当選させることができる状況が生まれています。(自動車・電力などの巨大労組も都市部に基盤があるため、維新との潜在的な親和性は高いと思います。)

2010年の維新の比例代表は30万票を獲得した候補者は猪木・中山の2名のみであり、その他の候補者は皆4万1千票以下の得票数でしかありません。これは維新(大阪)が全国的な基盤を持つ強力な団体の候補者を抱えていないことを意味しています。

維新の獲得議席数は前回のみんなと維新の合計(1000万前後)と仮定すると、10~12議席程度になる可能性が高いため、平均して10万票以上得票できる同盟系労組は維新に移ることで安定的に上位当選することが可能であることを同時に示唆しています。(自治労・日教組以外は維新と組めるはずです。)

また、公明と直接の関係を持たない維新は、20万票の組織票を持つ立正佼成会にとっても魅力的な連携相手であり、民主党では1名しか当選させられない組織候補を2名まで増やせる可能性があります。

共産党と選挙協力を打ち出す民主党の現執行部の方針では比例票は共産党に食われることが予想されます。そのような状況は共産党と犬猿の中にある同盟系の労働組合にとってはデメリットでしかなく、逆に政権入りが確実視される維新と組むメリットを大きくしています。

労働組合の運動力が半減した民主党は崩壊する

旧同盟系の中堅の労働組合が民主党から離反することが「比例票」の予測から確実視されるため、これらの労働組合が離反した場合の民主党の運動力は著しく落ちることになるでしょう。

そして、それらを吸収した維新勢力は全国の小選挙区での候補者の擁立が可能になるため、維新・民主の力関係は一気に逆転することになります。

民主党が崩壊を回避するためには、共産党との連携を拒否した上で民主党の支持率を上げることが必要になってくるわけですが、衆参ダブルの選挙戦が見込まれる中で、民主党内の衆議院・参議院の利害が対立することで両すくみ状態になることが想定されます。

共産党と組めば衆議院の小選挙区が有利、共産党と組まなければ衆参の比例区が有利という形になるわけで、自民側・維新側は衆参ダブルをちらつかせて民主党を揺さぶって内部分裂を待てば良いだけとなります。

民主党崩壊の運命を握る存在は公明党である

民主党崩壊のイレギュラー要素は公明党の存在です。民主党の崩壊が予測される中で、非常に近い距離にある自民党・維新が公明党をどのように扱っていくかは予測が困難です。

民主党の崩壊は自民党との連立先である公明党の利害に反すること、 衆参同時選挙は組織政党である公明党の利害に反すること、など、上記の民主党崩壊シナリオと公明党の立ち位置を相容れないものだからです。

過去の得票数だけを見た場合、民主党が唯一生き残る道は共産党ではなく公明党との連携しかあり得ず、民主独立路線で公明党との共闘関係を構築する道しかありません。民主党には旧新進党化という戦略オプション以外の選択肢は残されていないのです。

そのため、今後の展開としては、自民党が「維新を取り込みつつ」「公明党をグリップし続ける」ことが可能なのか、ということになります。いずれにせよ、本件はあくまでも得票数に基づく予測であるため、内外の要因で左右される複雑な政局動向の変化で今後大きく変わる可能性もあります。

本ブログでは政局動向を注目しながら、選挙の得票数字に基づく将来予測を行っていきたいと思います。

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く
アンソニー プラトカニス
誠信書房
1998-11-01




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2015年11月24日

政権交代可能な『与党』を求める有権者(選挙のイロハ)

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「政権交代可能な野党が必要」という認識が根本的に間違っている

最近の国政政局の状態を見ていると、本当にピントがずれた議論が野党内で議論されていることが分かります。それは「政権交代可能な野党を作る」という言説です。自分も何度も選挙に関わってきましたが、このような発言を行っている時点で「負け」が確定していることを知るべきだと思います。

「政権交代可能な野党」という言葉は誰にとって意味がある言葉でしょうか。これは現在野党に所属している議員たちにとって必要な言葉(つまり、自らのアイデンティティーの正当化のため)であって、有権者には一切関係が無い言葉です。

そのため、このような言葉を連呼されたところで、有権者の心と打算には響くわけもなく、現在の野党の何を言っても支持率が上がらない迷走状態が継続することになります。

有権者が望んでいるものは「政権交代可能な『与党』」である

政権交代とは野党が与党になるものであり、自らが野党と名乗っている集団を支持する有権者は多くないでしょう。一定のコアなファン層は取れるかもしれませんが、逆説的には「与党」としての意識・能力を見せることが無い限り、野党が大衆からの支持を獲得することは困難です。

現在の野党の最大の問題は、民主党政権の失敗の烙印の影響で、「与党としての能力がない」という認識を有権者にもたれていることにあります。その上、自ら「政権交代可能な野党」と連呼しているのだから支持率が上がるわけがないのです。

有権者が望んでいる政党は「与党の資格がある政党」であり野党の野合ではないということです。有権者は一定の信頼性がある与党に相乗りしたいのであって、勝つか負けるか分からず、しかも政権奪取後の運営が見えない勢力を勝たせることはしばらくないでしょう。

大阪ダブル選挙で「維新」が勝利した理由は「維新が与党」だったから

大阪ダブル選挙で勝利した理由は、現職の知事・市長を擁する勢力であり、なおかつ実質的には官邸との連携が垣間見える「実質的な与党であった」からです。これらの要素は有権者心理に深く影響を与えて、与党体質を持つ自民党の票は分裂し、公明党も自主投票を決定することになりました。

一方、大阪自民党は共産党と組んだことで野合という批判を受けましたが、野合自体は選挙における敗因ではありません。問題は共産党と組んだことによって「野党臭」が強まったことにあります。自民党支持者や一般有権者はあくまでも与党であることを好む環境にあるため、野党としての立ち位置を設定した時点で負けが確定してしまいました。(共産党の支持がダメで公明党の支持がOKな理由は「与党だから」という以外は特にないはずです。)

国政の大阪維新が躍進する単純な理由は「与党」として参加するから

国政においては、大阪維新を「与党の補完勢力」として糾弾する声もありますが、これらは返って逆効果になるものと思います。なぜなら、有権者は「自民党ではない新しい与党を望んでいる」からです。

つまり、現状の政権担当能力がない野党ではなく、政権担当能力がありながら自民ではない、という条件を兼ね揃えた与党こそが、潜在的な国民心理の中で望まれている政党の姿です。有権者は常に「与党」を求めているのであり、野党を求めていることなどないのです。

そのため、国政野党の戦略・戦術・言葉選びは基本的な選挙戦略が間違っており、自らの立ち位置を根本から見直すべきです。有権者から見れば「世間交代可能な野党」と「たしかな野党(共産党)」の間は国会議員が思っているほど違いはないのです。







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2015年11月23日

2015年11月22日(日)は55年体制が終わった日になった

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2015年11月22日(日)は55年体制が終わった日となった

大阪維新の会の大阪ダブル選挙での勝利は、自民党に代わる新たな保守政党の台頭を決定づけたものであり、日本の政治構造の根底からの変革を促すものです。維新の台頭は戦後の基本的な政治構造である保革対立の原型としての55年体制に終止符を打つものだからです。

自民党・民主党という二大政党は、55年体制依頼のの歴史的な経緯による存在意義を全うし、今後解体過程に入る政党となりました。まずは基盤が脆弱な民主党が崩壊した上で、戦後政治を支えた自民党も政治的な岐路に立たされることになるでしょう。

崩れ落ちる自民党の保守政党としてのアイデンティティー

自民党への人々の支持の根幹には社会主義・共産主義と対立してきた55年体制が存在しています。そのため、現代社会においても保革対立の文脈から何も考えずに自民党に投票している支持者数もいまだに多い状況があります。

しかし、自民党自体は元々2つの政党が合併した路線対立が異なる政党同士の野合政党です。一方は元々オーストリア経済学を根幹に据えた軽武装・経済重視の自由党、もう一方は戦前の革新官僚・翼賛会の残党を中心とした日本民主党です。両党の野合は台頭する左派への対応として実行されたに過ぎず、民主党が瓦解して新たな保守政党が誕生する中で、政権欲以外に野合を継続する動機はほぼ無くなります。

大阪ダブル選挙での維新勝利、そして民主党が実質的に無くなった政局状況において、自民党という政党も現在の政権与党であるということ以外にアイデンティティーは無くなってしまったのです。

戦前の保守二大政党政治への回帰、歴史は何度でも繰り返すということ

戦前には政友会と民政党の保守二大政党の時代がありました。今後の日本政治は日本は戦前の二大保守政党の時代模様に回帰していくものと思います。55年体制のような保革対立はソ連の影響で左派の力が強まった一時的な現象であり、本来は保守二大政党政治が日本の政党政治の原型と言えます。

政友会の特徴は、原則として官僚と近い立場を取りながら、政府と一体化をして権力を侵食しようとする政党でした。つまり、自民党の基本的なスタンスと極めて近いものとなります。今後、自民党では戦前の政友会に近い性格を強めることになり、中央官僚、癒着系の大企業、農村部などの地主層などを中心とした支持基盤が形成されていくことになるでしょう。

民政党は、原則として議会主義に近い立場を取りながら、比較的自由主義的な政策をかかげていた政党でした。今後、大阪維新が求めるロールモデルになる政党となることが想定されます。今後の維新は、都市の資本家・中間層を中心とした支持基盤が形成されていくことになるでしょう。

民政党は都市政党の改進党をルーツとする政党でありそれらも都市知識層に支えられた政党でもあります。現在もマッキンゼーなどの知識層が支える大阪の行政改革などは維新の会の性質に近いものと言えます。

それ以外は戦前の社会大衆党のような弱小ながらも一定の支持を持つ政党として存続していくでしょう。55年体制の崩壊とはソ連の崩壊であり、日本にもソ連崩壊から遅れて20年、やっと左派系政党が没落する段階が訪れたということになります。

55年体制⇒2014年体制⇒2016年体制へ、日本の政局が本質的に変更するとき

2014年の衆議院選挙後の自民党一党支配(2014年体制)で55年体制の本格的な終わりが始まっていたわけですが、今回の大阪ダブル選挙での維新の勝利によって時計の針は大きく動くことになりました。2016年の参議院議員選挙は日本の針路を決めるものとになると思います。

1993年から始まった55年体制の軋みが2016年になって完全な形で顕在化することは、政治改革には20年程度の時間を要するものであることが証明された形になりました。このプロセスの中で多くのプレーヤーが様々な行動をしてきたわけですが、歴史はもう一度保守二大政党の時代を日本国民に与えてくれました。

このあとに、日本がどのような進路を辿っていくのか、戦前と同じような過ち、すなわち二大政党による憲政を放棄する方向に向かうのかは、21世紀を生きる我々が選んでいくことになります。先達に恥かしくない日本政治を私たちの手で創り出していくことが必要です。

日本近代史 (ちくま新書)
坂野 潤治
筑摩書房
2012-03






 

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大阪ダブル選挙勝利後、「橋下・維新」全国制覇戦略を予測

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大阪ダブル選挙は、おおさか維新の会が解消、全国制覇への始動開始へ

大阪ダブル選挙は、おおさか維新の党の圧勝、民主と対決する形での全国擁立へ、という流れになりました。ここまでは完全に予想した通りの結果であり、それほど驚いてはいません。非維新の全野党が敗北したことで時代の大きな流れが動き始めたことを確信しています。

ちなみに、過去の分析記事は下記の通り(全部当たっています)であり、維新が全国に躍進できる根拠はそちらをご覧ください。今回はそれらを前提として、今後の更なる維新の戦略を予測していきます。

大阪W選挙は野党第一党を実質的に決定する選挙(11月6日)
大阪W選挙、おおさか維新の会圧勝予測!新たな局面へ(11月16日)

民主党、最大の支持母体・連合の分裂不可避、民主党の壊滅カウントダウン

おおさか維新の会の戦略の主要な焦点は、民主党を壊滅させて野党第一党の座を確立し、自民党と政権交代可能な保守政党の地位を確立することです。その過程において、最初に邪魔になるのは民主党ということになります。(その他の弱小政党は全て自民・維新に吸収されていくでしょう。)

民主党を壊滅させる方法は一つであり、それは最大の支持母体である連合を分裂させることです。民主党という政党が存在している唯一の理由は、選挙の支持母体である連合の支援を受けられる、という一点のみであり、逆に連合からの統一的な支持が無くなれば民主党は一瞬で瓦解します。

連合は、旧同盟系は維新へ、旧総評系は民主党に残留(中道左派の三極化へ)

そのため、維新は連合を分裂させるためにアプローチを開始するでしょう。

具体的には、旧同盟系と旧総評系の労働組合の分裂を狙うものと思います。旧同盟系労働組合は、繊維、自動車、金属、重厚長大系などによって構成されており、日本共産党と対立する右派路線の組合によって構成されています。そのため、共産党との協調路線を進める現在の民主党執行部とは潜在的な路線対立の可能性を孕んでおり、政治的な刺激が与えられることで連合は内部分裂することが予想されます。

維新は総評系の自治労・日教組などの公務員系労組とは対立していますが、旧同盟系と対立関係にあるわけではなく、旧同盟系は十分に取り込むことができるでしょう。労組の強い影響下にある愛知県の河村市長が秋波を維新に送れる理由もここにあります。労働組合側も一度政権の味を知った以上、もはや政権に返り咲く可能性が限りなく0%の民主党と運命をともにする理由はありません。

連合が分裂した場合、民主党議員は雲散霧消化した上で、旧総評系は新左翼系とともに新・民主党として残ることになるでしょう。総評の組織規模から考えると、新・民主党は中道左派の第三極に転落することになります。衆参ダブル選挙の可能性がチラつく中で民主党の打ち手はほぼ無くなりつつあります。

自民党・おおさか維新の会の「毒を食らわば皿まで」のチキンレース

一方、自民党と維新は一旦は協調関係を取る形になるでしょう。民主党を野党第一党から引きずり降ろし、憲法改正に向けた保守勢力による大同団結を演出する必要があるからです。そのプロセスで橋下氏の入閣も協調関係を演出する上で有力な選択肢となります。

しかし、その結果として、両者は「毒を食らわば皿まで」というチキンレースに突入することになるでしょう。維新は以前から得票数においては近畿だけでなく東京・南北関東においても民主党に肉薄するだけの比例票を獲得する力があります。上記のように民主党が壊滅することを併せて考えると、自民党都市部の議席は相当数維新によって奪われることになります。

維新との協調を進める官邸の菅官房長官のお膝元である神奈川もその例外ではなく、国政全体のマターでは自民・維新は方向が一致するものの、具体的な選挙区のレベルでは「民主党打倒後」にかなり軋轢が生じるはずです。

ここからは全くの根拠もない予測となりますが、菅官房長官が将来的に維新に移籍して東日本側の顔となって首相を狙うということも十分にあり得る選択肢だと思います。都市部選出の国会議員にとっては、同じ保守政党ならば、地方中心の議員によって構成される自民党よりも都市部中心で構成される維新のほうが魅力的だからです。菅官房長官なら東日本側の代表として「格」と「実力」を十分に満たしています。

主要都市部の「維新化」という解放区の局地的な出現

橋下氏は今年12月からメディア露出を自由にできるようになるため、維新の支持率はうなぎ上りに上昇していくことは容易に想像できます。そして、来年の参議院議員選挙までに予定されている地方選挙で維新の連勝が続くことになるでしょう。(勝てる選挙で立てることで連勝をイメージさせて、衆参の選挙区候補者をリクルートするはずです。)

具体的には、大阪府内の首長・議会議員選挙においては維新の躍進はほぼ確定的であり、京都・滋賀・兵庫などの近畿圏の主要都市部にまで影響力が拡大することになるでしょう。それほど非維新全党を破った政治的なインパクトは大きいものと思います。

更に、西は福岡市で影響力が強まることが予測されるとともに、東については東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木、中部で静岡・愛知では影響力が拡大することが見込まれます。これらの地域で大規模な変動が起きる梃はや連合の分裂と旧みんなの党残存戦力の吸収ということになります。

一部の都市では首長も取れる可能性があるため、それらの地域は維新による解放区として、国家戦略特区の実験地となって発展の芽が蒔かれることが予想されます。選挙が行われないエリアにおいても、維新との距離を縮めようという動きも活発化するため、全国の都市で維新の風が吹くでしょう。

「自民の存在意義」と「維新の外交戦略」に課題、保守二大政党政治の時代へ

現代は自民党と維新による二大政党政治に突入することはほぼ確定した状況ですが、新たな政治的な課題が出現することも予測されます。

まず、自民党については完全なアイデンティティー危機に陥るということです。自民党の存在意義は55年体制における社会党、そしてその実質的な後継政党である民主党との対決にありました。

そのため、自民党は現実的な政策の方向などは二の次となっており、諸外国における保守政党のような政策の立ち位置を取らずに、地方重視の理念なきバラマキ政党となってしまっています。

そのため、民主党が実質的に消滅することで、巨大な保守の都市型政党と向き合うことになり、自民党は存在意義を失ってしまうことになるでしょう。保守系の政権与党として絶対的な存在で無くなる以上、公明党との関係も見直しが迫られる状況となります。

一方の維新も政権を取り得る段階になると、「安全保障・外交政策の欠落」という課題に向き合う必要があります。特に、維新が拠点としている大阪は中国との経済的な関係が強いために、従来までの対米追従路線の日本外交とは外交関係に与える変数が異なることが想定されます。

そのため、民主党の左派路線とは異なるであろうアジア重視の安全保障・外交政策がどのような形で形成されていくのか、それらを担うブレーンをどのように揃えていくのかに注目が集まります。

来年
は台湾総統選挙から始まり、米国では大統領選挙が予定されています。いずれも保守系の民進党・共和党の勝利が予想されている中で、維新の政策は地域政党の枠を超えたビジョンが求められます。参議院議員選挙後、政権奪取が具体化したとき、維新の真価が問われることになるでしょう。





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2015年11月20日

切捨御免!高橋洋一さん『の』俗論を切る!おおさか維新の通信簿

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自分は基本的におおさか維新の会の政治方針については賛同しています。その上で、様々な議論がなされている大阪府知事選挙・市長選挙について「通信簿」を発表いたします。本ブログでは大阪府の経済パフォーマンスの結果を基に維新以前・以後を比べていきます。

日本全国との比較数値を評価することは投票者をミスリードする行為である

おおさか維新の会の政権運営に関する良否について、全国における大阪府のGDPシェアなどを測る俗論があります。ただし、そのような数字は全く無意味とは言わないまでも、投票者をミスリードするものであって参考値程度にしかなりません。(大阪ダブル選目前! 結局「橋下以前」と「橋下以後」、大阪の経済はどう変わったの?高橋洋一さん)

なぜなら、全国的な経済動向と大阪府の経済動向を比較して、大阪のほうがマシか否かという田舎者根性で、大阪という大都市のパフォーマンスを測ることがそもそもナンセンスだからです。

たとえば、東京などのグローバル都市は完全に世界経済と接続している一方、鳥取・島根などは逆に政府支出中心の半社会主義圏です。つまり、グローバル都市は世界的な経済動向の影響を受けやすく、ローカルな都市は国策による政府支出の大小による影響を受けやすい状況にあります。そのため、外的要因に強く左右されるGDP内の経済シェアで一喜一憂することは明らかに無意味です。

そのため、2008年に発生したリーマンショック前後の状況を全国と比べて何勝何敗とか、高橋洋一さんが述べられていることは本当に意味が分かりません。むしろ、全国GDPのうちの大阪のシェア%は外的要因に左右され過ぎるため、維新の政権運営の経済パフォーマンスを測る上で不適切です。

政治の運営の良し悪しは「GRP」と「公的支出%」で判定できる

維新の政権運営の良否は、大阪府内の政治的な意思決定によって、一定程度を左右できる経済パフォーマンスから判断する必要があります。

大阪府の政権運営の評価は、(1)大阪府内の域内総生産量(GRP=Gross Regional Product)の推移、そして(2)GRP内の公的支出(名目政府最終消費支出+名目公的固定資本形成)の割合で評価することができます。(大阪府・大阪府経済計算参照)

第一に、GRPが伸びているならば経済運営のパフォーマンスが良かった、ということになります。一国の経済運営のパフォーマンスがGDPで計測されることと同じイメージということになります。

第二に、GRP内の公的支出の割合が高まっている場合は、民需から官需への依存が強まっていることを示しており、政府の肥大化が進んでいることを指します。

基本的にはGRPが伸びており、なおかつ公的支出割合が低下していれば、民需主導の経済成長が実現していることになり、政権運営が順調に行われていることを意味します。

リーマンショック後の政治運営に対する賛否を判断基準に

<大阪府内総生産(GRP)の推移(百万円)>
大阪GRP
大阪府のGRP総額は横ばい・低下傾向にあり、維新政権以前・以後も同傾向はほとんど何も変わらない傾向にあります。大阪府内の産業構造自体が21世紀には通用しないモデルのものも多く、大阪の経済力が中長期的に衰退していく状況はいずれの政権であっても変えることはできていません。また、2008年のリーマンショックの著しい落ち込みから立ち直っているかも非常に疑問です。全国GDPの中でシェア何%とか無意味な議論を止めて、大阪自体の経済衰退を問題にするべきです。

<大阪府内総生産(GRP)における公的支出割合>
大阪公的支出
また、維新政権以前・以後(つまり、2008年以後)は、明らかにGRPに占める公的支出の割合は増加しています。そこそこの好景気の影響から17%台で推移していた公的支出割合は、リーマンショックに対応した維新以後から18%後半から19%台に乗っており、大阪府内の経済全体に対する政府の相対的な肥大化が進んでいます。

つまり、経済的な落ち込み&公的支出割合の増加(政府の相対的な肥大化)という結果が現在の大阪府への評価ということになります。

ただし、これらの経済的な落ち込みと公的支出割合の増加は「2008年に発生したリーマンショック」の影響が大きく、維新でも非維新でも困難な政権運営に直面したことは間違いなく、維新の上記のパフォーマンスについて維新の努力の結果と見るか否かを各個人が判断するところとなります。

(ちなみに、蛇足ですが、日本は人口減少時代であるからGDPがゼロ成長・低下しても当然であるという言説が世間ではまかり通っていますが、「移民を入れた上で、現役世代の負担軽減を行うか」すれば良いのであり、
「政策な無策」で人口が減っていることを無視して、現政権が自分で左右できる環境を理由に言い訳することはできないことも付記しておきます。)

的外れな非維新野党の「小さな政府・福祉切り捨て」批判

野党陣営は維新が各種政府支出をカットしてきた、と主張しています。しかし、大阪府内の経済全体における公的支出割合は肥大化を続けています。

大阪府自体は維新以前・以後問わず継続的に最終消費支出を減らしていますが、社会保障基金の金額が増えています。そのため、政府最終消費支出は維新時代も傾向として増加を続けており、大阪府内の政府規模全体が小さなくなったということはありません。

また、公的固定資本形成は2001年~2008年(維新以前)の間に3分の2まで低下しており、維新以後の公的固定資本形成の減少分は政府最終消費支出の増加によって相殺されています。

<大阪府内の名目・政府最終消費支出の推移(百万円)>
政府最終消費支出
<大阪府内の名目・公的固定資本形成の推移(百万円)>
大阪公的固定資本形成
つまり、公的固定資本形成は「非維新政権時代に大幅に切捨てられた」のであり、維新はその流れを引き継いだに過ぎないということです。そして、「政府最終消費支出における大阪府のカットも維新以前・以後で継承されて」おり、「社会保障基金の支出が増えて大阪府内全体としては政府規模は拡大している」傾向にあります。

非維新勢力が政府支出のカットによる福祉切り捨てなどを主張しても、大阪府単体に対する批判は一部は当たっているものの彼ら自身へのブーメランになる話であり、なおかつ大阪府全体では政府のお世話になっている金額は増えているわけです。

ちなみに、大阪の失業率はリーマンショック後に改善していますが、それは建設業就業者が減少した分を医療・福祉分野での就業者が吸収した形で実現しています。特に福祉系の労働者として相性が良い高齢者・女性の就業者が増加したことで生活保護に陥る可能性があった人が減ったことは評価に値します。

ただし、それらは土建型の公共事業型経済から社会保障型の福祉経済への産業構造への転換を意味しているだけであり、大阪経済をリードしていく新産業の創出という経済構造の転換は依然として課題として残り続けています。

大阪は民需主導の経済復活を実現できるのか

大阪W選挙そのもので問われることは、産業構造の転換で苦しんでいる上にリーマンショックで傷ついた大阪経済を民需主導の経済成長に導くことができるのは誰か、ということです。具体的に候補者に問うことは2つとなります。

第一に、問われるべきことは過去の総括です。リーマンショック後の決して良いパフォーマンスではない経済運営を「維新だからこそある程度の被害で食い止められた」とするか、「維新は前政権よりも経済運営が下手だった」とするか、が実績の評価となります。

第二に、問われることべきは未来のビジョンです。大阪の傷ついた産業構造は維新以前・以後もほぼ変わっておらず、産業構造の抜本的な改革が必要です。本来は大阪W選挙について積極的に論評している有識者が産業構造の転換を選挙争点として提示して世論を啓発するべきです。

大阪の皆さんはどのように判断されるでしょうか。

その前提として、冒頭で触れた「高橋洋一さんのように維新をヨイショするだけのための分析」を提示することは誤りであり、維新ができたこと・できなかったことを明確にした上で、それでも今後維新に賭けるべきか、という問いを人々に提示していくことが大切です。

ちなみに更に切り捨てると、「大阪府の臨時財政対策債の異常な増加は後々地方交付税で補てんされるから問題がない」(高橋洋一さん)という田舎の地方自治体と大都市・大阪を同一視するような認識を見直すことも重要です。元役人としては、それで良いのかもしれませんし、現状の腐り切った大阪では仕方がないかもしれません。

しかし、大阪は地方交付税を受け取る必要がない「大都市」本来の役割と矜持を果たせる自治体になるべきであり、臨財債の発行を恥ずかしいことだと思う感覚を持つべきです。総務省が言っていることを真に受けて信じた上で大阪府の財政の健全性が保たれるとした場合でも、政府支出の増大によって経済の健全性が保たれるかは別の問題です。(無駄な臨財債を発行して政府規模を膨れ上がらせることが良いとは思いません。)

それでも「おおさか維新」に期待する理由とは何か

維新の政治運営を評価をする際の注意すべき点としては、上記の分析は、大阪府内全域の話であるため、必ずしも維新の評価だけなく、非維新まで含めた全ての政治勢力のパフォーマンスと言える面もあるということです。全国レベルの政治の影響も当然ありますし、維新が府内の全首長を奪取し、議会でも過半数を取ることがあれば状況は大きく変わる可能性もゼロではありません。

首長の地域経済のパフォーマンスに対する良し悪しを測るためには、地方分権を徹底的に進めることが大前提となります。税率や規制の自由化を進めることで首長の裁量を高めて、その責任を明確に問うことができる環境整備が必要です。

そして、自分の政権運営に責任が取れる首長が増えることが日本全体の再興のための必須条件です。このような政策を国政レベルで断行できる可能性がある維新には期待しています。

今後、おおさか維新の大阪W選挙勝利及び全国的な躍進による構造改革の進展は注目に値します。





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yuyawatase at 17:00|PermalinkComments(0)