給与アップ

2015年12月01日

地方議会(2)品川区議の筒井さんの正当すぎるボヤキ

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私の地元・品川区議会でも第4回定例議会がスタートしています

私が三代に渡って暮らしていた品川区でも品川区議会・第4回定会がスタートしています。その中で職員の給料アップを求める条例案を行政当局が提出して可決した模様です。

反対したのは維新の「筒井ようすけ」さんと彼が所属する「維新・無所属会派」の須貝行宏さん、藤原正則さんの3名のみ。他の自民・民主・公明・共産・ネットは全員給料アップに賛成という納税者無視の政治を行っています。

筒井さんのTwitterによると、「なお、本日、本会議で職員等の給与アップ条例に反対したのは、定数40名中、私、および会派同僚議員の2人だけ。「弱者保護」を掲げる政党の議員も賛成したので、何だかな、と思いました。」という感想。全くその通りです。

そもそも職員の給与は何に合わせて算定されるのか

筒井さんの反対理由は、「普通の区民に景気回復の実感がないこと。そもそも、比較する民間基準が50人以上の事業所、また、それには医師など高収入の職種も含まれており、小規模事業者やパートで生活している区民のことが考慮されていないことからです。」ということです。至極もっともな話です。

公務員給料の算定基準は50人以上の事業所が支払っている給料の平均値を基に算出されることとなっており、増加を続けることが予想される非正規労働者・小規模事業者などは含まず、なおかつ超高額給与所得者を含んだ「平均」を職員給与を算定する際の比較根拠としています。

公務員職員の給与は「平均値」ではなく「最頻値」で支払われるべきだ

公務員給与を考える際に曲者となるのは「民間給与の平均」という考え方です。

現在の「平均値」という計算で公務員給与を算出した場合、民間人で1400万円の所得を稼ぐ人と200万円の所得を稼ぐ人が3人居た場合、公務員給与の算定基準は500万円ということになります。これでは、まったく納得が得られないと思うのですが、現在はこの計算方法がまかり通っています。(細かい修正も一応やってますが)

本来は公務員という性質を考慮するのであれば、国民の大多数と同じ給与で考えるべきであり、事業所人数にこだわることなく、所得の「平均値」ではなく「最頻値」で計算するべきです。最頻値で計算すると、「最も多くの国民が働いてもらっている給与層」が算出されるために、公務員給与としては最適です。

最頻値を100万円単位の最頻値で設定して、公務員給与はその範囲の中で給料を決定することが妥当です。

公務員給与の算定基準は「せいぜい300万台が妥当な数字」だということ

平成26年・民間給与実態調査によると、全体の最も多い給与所得層は300万円超~400万円以下であり、1年間勤務した場合の最も多い給与所得層は、男性・300万円台(平均41.7歳・352万円)、女性・100万円台(平均49.1歳・143万円)となっています。そのため、公務員給与はせいぜい平均300万円台にすることが妥当だと思います。

そのため、品川区の公務員給与の平均618万円は引き上げではなく引き下げが妥当です。筒井さんたちの維新・無所属会派は極めて妥当な判断をしており、行政が出してくる資料を鵜呑みにして公務員給与アップに賛成した他会派はただのタックスイーターだということです。

さらには、現在の官民給与比較の根拠となっているラスパイレス指数の算出方法は、国の公務員の年齢構成に民間を合わせて算出した場合の比較数字に過ぎないので、40代・50代以上の人員構成が多い国の公務員組織を参考に算出した給与総額は民間企業の実態の数字よりも大きいということになるではないかと思います。

そもそも品川区は異常かつ無計画な採用計画と賃金計画を見直すべき

しかし、問題は簡単ではありません。なぜなら、品川区の職員構成は、無計画な採用計画によって、20代と50代の職員が異常に多く、中間管理職世代の30代が少ない構成となっているからです。

品川区の職員給与は非常に歪な構造になっており、年配の職員の給与を大胆にカットするために早期希望退職者を募り、むしろ才能ある中間管理職をもう少し拡充することで、マネジメントをしっかりと機能させる組織運営にシフトさせていくべきです。

さらには、やる気がある20代職員の直ぐ上の中間管理職が激務になっており、その上におじさんたちが大量に余っている姿が容易に想像できます。既に品川区の採用計画は滅茶苦茶であり、これらを立て直すことを真剣に考えるべきです。

公務員給与については上げ幅をおさえて若くても一定の給与が得られるように形を変えていくべきであり、ラスパイレス指数のような無意味な数字を参照するのではなく、品川区独自の方法で採用も将来の人件費を見据えた計画的な採用を行っていくべきでしょう。

官僚利権
北沢 栄
実業之日本社
2010-05-20




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yuyawatase at 11:59|PermalinkComments(0)