知日派

2016年04月29日

何故、NHKの大統領選挙報道は視聴する価値がないのか?

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NHKの「米国大統領選挙に関する報道」は視聴するに値しない理由とは

トランプ氏 日本に負担増求め中ロ関係立て直しを(NHK、4月28日)

というニュースを目にして、現在無理やり加入させられているNHK解約を決意しました。ちょうど我が家のTVが故障して捨てるところだったこともありますが、正直言って報道取材のレベルの低さに飽き飽きしましたね。

本ブログの賢明な読者諸氏は、NHKなんぞ最初から見るに値しない、というかもしれませんが、私が呆れかえった理由は「自分以下の取材力」で「あるべき報道とは真逆の内容」を「堂々と国民に流布する」姿は辟易したということです。

自分はNHKが左翼だとか、現会長が安倍側近だとか、そんなことはどうでも良いんです。そうではなくて、まともに取材ができないなら報道を止めてしまえ、と思うわけです。この人たちは筆者から徴収した料金で常時ワシントンに駐在して何やってんだろうと。以下、何故NHKの米国大統領選挙報道を視聴する価値がないかを説明していきます。

トランプの外交ブレーンではなくトランプの政敵に取材して「トランプ外交」を語る愚劣な取材

一言で言うと、NHKは取材先すらまともに選択することができない組織だ、ということです。

本報道はトランプ氏の外交政策について日本国民に伝えるための報道だったと思います。それであれば、当然に「既に発表されているトランプ氏の外交ブレーン」に取材することが当然に求められます。

トランプ氏の外交ブレーンとして名前を公表している人物らの連絡先は調べれば直ぐに分かります。メディアとして取材依頼を行うことは簡単なことです。そして、NHKが取材を断られたら断られたでそれ自体が価値ある情報であり、トランプ氏の外国メディアへの対応姿勢の現われということができたはずです。

しかし、NHKはそのような当たり前の取材行為をせずに「取材先としてあり得ない人物」のコメントを掲載し、それをあたかもトランプ氏の日米関係の外交政策に関する見通しとして日本人に伝えたわけです。

では、NHKが取材した先はどんな人物だったかというと、簡単に言うなら「トランプ氏の政敵」です(笑)

つまり、トランプ氏の外交方針に関する分析を行うという趣旨で「トランプ氏の外交方針を最初から全否定する人物」を選んで取材しているのです。

報道中のAEIというシンクタンクは日本の親米派保守系議員が日参するシンクタンクとして有名です。そして、彼らは米国内でも屈指のネオコン系のシンクタンクであり、トランプ氏の外交政策とは真っ向から衝突する研究機関でもあります。

従って、AEIの日本担当者の意見を聞いたところで、それは「トランプ氏の外交政策」をまともに解説することになるか甚だ疑問です。本来取材するべきトランプ氏の「外交ブレーン」ではなく「政敵」に取材をしただけで報道化する神経を疑います。

トランプ氏について昨年から見るに耐えかねるレベルの報道が多い理由とは

日本のメディアを見ていると、いずれのメディアも共和党予備選挙とトランプ氏について昨年から一貫して無価値な情報を垂れ流し続けてきました。彼らの共和党予備選挙の予測はことごとく外れており、現在でもトランプ氏については「取材先すら分からない」有様が続いています。

筆者は何故、反イスラム発言でもトランプの支持率は落ちないのか(2015年12月11日)、の中でも触れている通り、トランプ氏の放言は選挙戦略であり、本選時には発言内容を知的なものに修正していくと予言していました。他候補者のスタッフをM&Aしていくことで発言が修正されるということも断言させて頂きました。

そして、現実に直近に行われたトランプ氏の外交演説はまさに新規に加入したスタッフによる振付によるものであり、トランプ氏は本選を見据えて大統領らしい振る舞いに急速に自身のイメージを転換させつつあります。ほぼ全てが昨年に事前に予測した通りの状況です。

なぜ、NHKを始めとする日本メディアの予測が外れて、筆者の予測がほぼ全て当たるのでしょうか。それは筆者は米国に関する独自の取材網を構築しているとともに、日本の国会議員や政治家が頼りにしている「米国人の知日派」を重視していないからです。

米国には「知日派」と呼ばれる日本政策の担当者がいます。彼らはジャパンハンドラーズなどと呼ばれて、日本を操縦している云々と陰謀論が囁かれていることもありますが、「米国内での影響力は極めて限定的」です。

しかし、日本の国会議員もメディアもこれらの知日
派を神のごとく崇めており、そのご託宣を並べて有り難がっています。そして、既存の日本人の外交ルート・取材ルートも「知日派」しかいないため、これらの日本に関する利権で飯を食っている米国官僚の掌の上で転がされている状況となっています。日本の政治家は彼らの見解を垂れ流すだけで外交している気分になれるし、日本のメディアは米国政治を報道した気になれる便利な人々です。

更に言うと、現在、大半の知日派はトランプ政権への批判のトーンを明確に絞っており、彼らがトランプ政権入りを目指していることは明らかな状況です。そのため、NHKは知日派の中でも反トランプ姿勢を鮮明にしているAEIしか取材に応じてくれるところがなかったので、このコメントをそのまま流したのではないかと推測します。何とも貧弱な取材体制だなあと思わざるを得ません。

新しい対米関係を構築するための「新しい日本側のプレーヤー」が必要だ

既存の日本の政治家、官僚、メディアは「知日派」との関係が深すぎて簡単に方針転換することが困難であるため、日本人は新たな対米関係を築いていくための研究機関やメディアを構築していくことが必要です。

そして、米国の日本担当者でしかない知日派ではなく、もっと米国政治の深部に辿り着くようなディープなレベルでの情報網を構築し、アジア政策などについての情報交換を行う体制を整備することが望まれます。

そのような体制を構築出来て初めて、米国外交や米国に関する報道が価値を持つようになっていくことでしょう。米国と対等な関係を構築していくためには、日本人が米国内に知日派を上回る情報力と人脈を持つことが重要です。

スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択
イアン・ブレマー
日本経済新聞出版社
2015-12-19





本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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yuyawatase at 08:00|PermalinkComments(0)