特産品
2015年11月24日
石破茂大臣宛・地方創生の秘訣は「自由な空気」を取り戻すこと
地方創生にとって重要なことは「自由な空気」が存在することです。地方に失われたものは自由な空気であって、地方の活性化を実現したいなら失った最大の地域資源を取り戻すことが重要です。
なぜ、日本の地方は衰退しているのか
地方から若者が出て行ってしまうのは何故でしょうか。仕事が無いから、将来への希望が無いから、その他諸々の理由があると思います。そして、その大きな要素の一つとして「都市には地方には無い『自由』があるから」ということも挙げられると思います。
各地方には特有の地域コミュニティが存在しており地域独自のルールを持っていることは否定しません。
ただし、役所が地域経済の大半を握っており、役所を中心としたピラミッド構造が出来上がっている現状はどうでしょうか。政府が支給する補助金は、地域の序列に従って支配的企業や組織に配分されて、皆がその序列に従ってオコボレをもらう姿を見せられて希望を感じる人はいるでしょうか。
地方は衰退過程で政府支出の増加という誤った施策を採用したために完全に負の衰退スパイラルに入っていることが分かります。
石破茂・地方創生大臣のお膝元「鳥取県」は政府支出が県内総生産の40%を占めており、もはや手遅れ気味ではあるものの、今からでも地方創生の在り方について方針転換すべきです。
そのような経済・社会の有り様から生まれる息苦しさこそが地方から人材が出ていく原因なのです。
ピントが完全に外れた地方創生プランの数々
以前に地方創生関連のセミナーがあり、そこでお会いした役所の外郭団体の人に対して、地方創生関連で自分も役に立てることがあれば協力したい旨を伝えたことがあります。
私の申し出に対する先方の返事は「色々な先生経由で沢山案件を頂いて一杯一杯なので、あなたからの要望には応えられません」というものでした。
自分は相手の方が何を言っているのか一瞬理解できなかったのですが、どうやら私が補助金や助成金をおねだりしていると勘違いされていたようでした。自分はそんなことは一言も申し上げていないし、非常に無礼な話だったと思うのですが、地方創生の現状を端的に表した会話だったと思います。
地方創生については様々なプランが提案されているようですが、地方の特産物を売れるようにしていく計画を役所がワザワザ立案することについて疑問を感じざるを得ません。それが成功したとしても補助金まみれの地域経済が改善されるわけもなく、その過程で生まれる「澱んだ空気」の問題のほうが深刻だと思います。
北朝鮮も世界の独裁者向けの巨大像輸出が特産品として成功していますが、それで地域活性化が成功していると言えるのでしょうか。補助金を使って特産物をPRする前に、補助金まみれの地域運営を変える必要があります。
東京のど真ん中でも補助金まみれの場所には若者は存在しない
仮に東京のど真ん中の地方自治体であったとしても、補助金でジャブジャブになっているような場所に若者はほとんど存在していません。役所が行っている地域振興・商店街振興のような政策に集まってくる人はある程度年配の人ばかりです。
税金で一杯のシチュエーションで若者を見かけるとしたら、役所で働いている若者か、役所に仕事を取りに来ている若者だけであって、若者で役所が関連することに自発的に近付こうとする人は少ないです。
つまり、地方の人々は東京でも失敗しているような補助金に依存した地域振興策を田舎で実行して成功させようとしているわけです。これは若者が何を欲しているのかを全く理解していないことによる無策と言えるでしょう。
地方創生に必要なことは「税制改革」と「規制改革」を断行すること
地方創生のためには長年補助金・助成金によって「澱んでしまった空気」を「自由な空気」に戻していく必要があります。地方自治体内の自由市場の機能を取り戻し、少しづつでも活気を復活させていくことが大事です。
具体的には「地方税を減税すること」「規制改革を断行すること」が重要です。地方自治体が自由にこれらの改革を断行できる制度設計を作ることが地方創生に繋がります。
補助金で創り上げた張り子の経済・社会はそれらのモルヒネが無くなれば終わりです。そして、張り子の経済・社会が偽物であることを敏感に察知した若者は優秀な方から地方を出て行ってしまいます。
地方自治体の住民の代表である首長・議員が本当に地域を活性化したいのであれば、地方自治体を縛る制度設計の全面的な自由化こそ要望するべきです。「澱んでしまった空気」を清々しい気分で活動できる「自由な空気」にしていく努力が望まれます。
yuyawatase at 21:00|Permalink│Comments(0)