消費税

2016年12月12日

「息をするようにウソをつき続けてきた」野田佳彦・幹事長の罪

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「息をするように嘘をつき続けてきた」野田佳彦・幹事長


蓮舫・民進党代表が安倍首相との党首討論で「息を吐くように噓をつく」と揶揄しました。蓮舫氏の二重国籍に関する疑惑も当然ですが、この言葉は自党の大番頭である野田佳彦・幹事長にこそ相応しいと思います。

筆者は野田佳彦・幹事長が消費税増税という国家の重要事項の判断について、自らの主張について「大嘘」を突き続けてきており、現在に至っては完全に開き直った感じすらあります。

<街頭におけるシロアリ演説>

「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」(街頭演説動画)

「消費税1%分は、2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。

鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこがあるんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」

<国会におけるシロアリ演説(平成21年7月14日)>

加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

<直近の本会議における増税賛成演説(平成28年9月27日)>

「アベノミクスの失敗により、消費税引き上げ再延期はやむを得ない状況になってしまいました。それだけではありません。私が政治生命をかけて取り組んできた三党合意も風前のともしびとなってしまいました。まことに残念です。その発端は、安倍総理が二〇一四年秋に一回目の延期を決めて衆議院を解散したことです。消費税を政争の具にしないという魂が失われてしまいました。この再延期で、財政健全化への道のりは、より険しいものとなってしまいました。次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます。

ちなみに、過去には消費税増税反対の請願の紹介議員にもなっています。

第168回国会 1 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願
第170回国会 83 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願

以上のように、消費増税という日本経済に大きな影響を与える項目について、首相になるビフォー・アフターで180度意見が変わるとは何事でしょうか。筆者は増税の是非については様々な立場があると理解しています。しかし、このような民主主義を踏みにじる姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるとともに、現代に生きる我々も許すべきではありません。

「政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。(直近の本会議にて)」

野田氏はTPPからの撤退を主張していますが、現職総理大臣時には強烈にTPPを推進した人物の一人です。

たしかに、TPPは米国大統領に選任されたトランプ氏が撤退を表明したことで頓挫した形となっており、日本が承認手続きを経ることで相対的に前のめりの状態となっています。

そのため、TPPの国会承認を見送ることも一理ありますが、トランプ政権の発足前段階であること、現職のオバマ大統領がTPP推進である以上、日本が国会承認をしないことは道理に合わないことでしょう。実際にはTPPについてはトランプ新大統領と再交渉ということになるかと思います。(国会承認が滑稽な事態になる可能性は高いとは思いますが、日本側が国会承認を経ておく対応は妥当だと思います。)

その上で筆者が気になったポイントは、9月の本会議での野田氏の発言です。民進党がTPP賛否に云々という以前にもはや議論にするに値しない嘘つきだと思います。

<本会議での質問(平成28年9月27日)>

「私が内閣総理大臣のとき、自由貿易、FTAAP推進の基本的な立場から、交渉参加に向けて協議に入りましたが、ハードルが高く、国益を考えるとTPP交渉参加に踏み切れずにいました。そのとき、二〇一二年暮れの総選挙で、TPP断固反対、ぶれないと約束したのは、ほかならぬ安倍総裁です。政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。」


民進党は健全な二大政党政治を機能させるつもりがあるのか


筆者は嘘つき度合いは自民党も野田氏も良い勝負だと思いますが、野党の良いところは正論を述べることができる点に尽きると思っています。しかし、政権奪取時に明らかな嘘を実行して恥じず、なおかつ自らが再度当選してきた人物が幹事長にいる政党のどこに正論があるでしょうか。

蓮舫氏の政治の師匠は野田幹事長とのことですが、「この幹事長にしてこの代表あり」ということが言えるかもしれません。

選挙戦については間違ったことを言うことは往々にしてあるものと思います。しかし、国会質問及び答弁で堂々と嘘をつく行為は民主主義を踏みにじる行為であって許されるべきではないと思います。まして、自分自身の国籍について過去のメディア上での発言を平然と無視する行為も論外です。

二大政党政治が機能していくためには、理念ある二大政党が国会の質疑を通じて両党の考え方を国民に明らかにし、そして国民が投票を通じて判断を下すことが重要であることは言うまでもありません。

したがって、国会での質問内容の正常化は大前提であり、民進党はこれ以上蓮舫氏・野田氏の国会質疑を許すべきではありません。左派・右派というレベルではなく、誰でも分かる嘘つきか否かが国会の質疑の重要なポイントになる事態について一刻も早い是正措置が行われることを期待します。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2016年07月24日

消費税5%特区はなかなか面白いアイディアだと思う。

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(幸福実現党の七海ひろこさん、支持を表明するとハグしてもらえるらしい)

主要候補者の批判ばかりしていても仕方がないので・・・

主要候補者の批判ばかりしていても語るべき政策も特にないので、今回から都知事選挙に出ている候補者の中で面白い政策を掲げている人を何人か紹介していきたいと思います。

今回、東京都のみ「消費税を5%にする」という面白い政策を掲げている候補者の方がいましたので、筆者としては非常に注目しています。

そもそもアベノミクスの不調は金融政策や財政政策がほとんど効果がなかったことも遠因としてあるのですが、根本的には消費税8%への引き上げが景気を腰砕けにしたことが原因だと思っています。

そこで、東京都の景気回復策としては論理的には消費税の引き下げになるのですが、日本では消費税は国政マターとして認識されているため、同政策に十分な注目が集まっているとは言えません。

米国では各州ごとに消費税率が違って当たり前という実態がある

ところで、米国は州ごとに消費税率が異なるという実態があります。

米国の消費税率の一覧マップ

米国は地方自治体の位置づけに関する理論構成が日本と若干異なる点があります(米国では住民自治を重視する二重信託論が優勢)

しかし、それ以上に少し前に米国の友人に質問したところ面白い回答が返ってきました。

「米国は各州で税率を変えることで『いずれの州がベストか』という競争を行っている」というものでした。これは目から鱗の話であり、真の自治体間の競争とはそういうものか、と目が覚める思いがしたものです。

日本では国税だけでなく、地方税も地方税法中で標準税率が定められており、全国でほぼ同じ税率が適用されています。標準税率は自治体の判断で守らなくてもよいのですが、地方交付税などの様々な縛りによって事実上地方自治体は税率の選択権が奪われています。

そのため、ある自治体から別の自治体に転居したとしても税率が何も変わらない状況が生まれています。つまり、自治体間の税率による競争という民主主義の基本が失われており、同一税率・画一的な行政サービスが提供されているのです。

米国と日本どちらの税の仕組みが優れているかについて、様々な見解があると思いますが、世界には自治体によって消費税率が異なる国があるということも知っておくと良いかもしれません。

東京都知事選挙、主要候補者以外にも見どころがある候補者が存在しています

メディアでも主要3候補者が取り上げられることが多い東京都知事選挙ですが、政策のユニークさという意味では非常に面白い候補者も多数立候補しており、今後も同ブログではそれらについて紹介していきたいと思います。

良い意味での政策論争が巻き起こるきっかけになるようなユニークな政策を提示できる候補者は住民にとって宝だといえるでしょう。民主主義の力の源泉は多様性にあるのであり、無理に主要3候補者の争いに選択肢の幅を収束させていく必要はありません。

東京都民の皆様には各候補者の面白政策を比較してみることもお勧めします。各候補者の政策の比較は、

東京都知事選挙2016「政策比較表」

で見ることができます。投票する前に吟味してみると意外と面白い候補者がいるかもしれませんね。

18歳選挙権で政治は変わるのか
21世紀の政治を考える政策秘書有志の会
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2016-06-16


本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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2016年04月09日

参議院選挙の争点は消費税5%への引き下げになる

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7月参議院議員選挙・増税先送りは昨年予想した通りの展開だということ

筆者は昨年の段階で増税先送りを予想しており、自民の高齢者重視路線、維新の教育無償化路線についても予測してきました。大阪維新の全国的な拡がりが遅々としていること以外は、現実は予想した通りの展開となっています。安倍政権の主要目的は憲法改正と中国への優位を築くことなので政治行動が非常に分かりやすい政権だと言えます。

自民党は高齢者、維新は子育て世代、参議院選挙圧勝の構図へ(2015年12月)
日中限定戦争への道、慰安婦・日韓合意の真意を探る(2015年12月)

安倍政権の財政再建や消費増税に対する熱意はほとんどない

安倍政権はクルーグマンとの会合の中でG7の場でドイツなどの参加国に財政出動を行うことを要請する旨を述べた上で、更に最近では日本としても景気対策として巨額の財政出動を行う方針を示しています。つまり、現政権には財政再建への意志というものはほとんどないと言って良いでしょう。

筆者は消費増税が財政再建に繋がるとは思っていませんが、安倍政権は更に財政支出を削ることの重要性を理解しておらず、日銀による財政ファイナンスで経済運営感覚が完全にマヒしていることが分かります。そのため、消費増税の先送りはほぼ確定的な状況であると言えるでしょう。

外国人に世界経済の悲観的な見通しを語らせた上で、G7で経済危機による財政出動の必要性を訴えるという、日本国内での大胆な経済対策を行うための地ならしを進めています。筆者は消費増税の単純な先送りということだけのために、ここまでの準備を行うのかということについて疑問を持っています。

自民党は消費税5%への引き下げで勝負する可能性が高まっている

一方、野党・民進党は自民党が最終決断を行う前に致命的なミスを犯した状態となっています。それは、消費増税先送りを自民党よりも先に宣言をしてしまったことです。

これが何故野党のミスなのかというと、自民党にとって「消費税を5%に引き下げる」という宣言を行った場合、ほぼ確実に選挙で勝利できる状況が生まれたからです。野党が見送りで主張を固定したことで、それ以下の数字を出せば衆参同時選挙で圧勝できる構図が出来上がっています。

参議院議員選挙において、景気失速はアベノミクスの失敗として野党は攻め立てる予定だと思いますが、自民党側が先送りではなく消費税5%を打ち出せば野党の批判は空虚なものになるでしょう。

安倍政権の戦略目標は財務省の夢である増税ではなく、憲法改正と中国への優位構築を行うことであるため、平然と消費税5%の決断を下すものと思います。これは軽減税率で大幅に譲歩を迫った公明党にとっても飲める内容です。

夏の選挙に向けて野党はバンバンとカードを切り始めていますが、与党側はまだ一切カードを切っていない状況です。衆議院補欠選挙の結果を受けた今後の展開が楽しみな状況となりつつあります。

税務署が隠したい増税の正体
山田 順
文藝春秋
2014-06-06



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2015年12月18日

自民党は高齢者、維新は子育て世代、参議院選挙圧勝の構図へ

橋下さん
(橋下徹氏のTwitterから引用)

2016年の参議院選挙を見据えた主要政党のバラマキ・マーケティング本格化へ

2015年12月中旬も過ぎて来年の政治日程が見えてくる中で、主要政党は自分たちのフォーカスする有権者層向けのバラマキ・マーケティングに大幅に舵を切ってきています。

選挙に勝つために各政党ともに自分たちの支持者を潤すことが基本的な戦略であり、臨時給付金の配布、児童扶養手当増額、教育無償化などのかなり突っ込んだ政策を実現または提示してきています。

本記事では現在話題となっている消費税増税見送りも含めて、主要政党のマーケティング戦略から来年の参議院議員選挙の展望を分析・予測していきます。

高齢者マーケティングに大幅に舵を切る自民党の戦略

自民党は高投票率の高齢者にシフトしたマーケティングに舵を切っており、消費増税に伴う子育て世帯への給付金を廃止しつつ、低所得の高齢者層1100万人に臨時給付金1人3万円・約3400億円を配布するというバラマキを実行することを決定しています。

相変わらず小泉進次郎氏などによる若年世代向けのガス抜きのコメントは出ていますが、露骨な選挙対策を実行する開き直り、選挙戦略上の割り切り感には感心させられます。

また、公共事業費について政権奪取以来の当初予算を増やす方針を踏襲し、伝統的な支持基盤である地方の土建層からの支持獲得に完全回帰しています。建設業従事者数は500万人程度、更に現場の高齢化は進んでいるため、自民党にとっては良いマーケティング対象であることは間違いありません。

自民党は参議院比例票で1800万~2100万票程度を確保すると例年通りの数字であるために既存の支持層を固める作業に入っていると言えるでしょう。

低所得者マーケティングに集中投下する公明党の戦略

公明党は消費増税への軽減税率の導入を自民党に大幅に飲ませたことで安保法制に妥協を繰り返した面目を躍如することになりました。参議院選挙だけでなく宜野湾市長選挙への推薦を含めた交渉力は大したものです。

ただし、現在の景気動向から消費増税自体が見送りになる可能性が高いため、軽減税率自体が意味を失う可能性もありますが、彼らのマーケティング対象である有権者から軽減税率という公約を履行したことで信頼感を回復するには意味があったことでしょう。

また、前述の通り、子育て世代全体への給付金は廃止となりますが、主に公明党のロビーイングによって低所得のひとり親家庭については2人目以降の児童扶養手当が倍増することになりました。

公明党は噂されるダブル選挙に備えて750万票~850万票の既存の組織票の取りこぼしを防止しつつ、共産党との低所得者市場の争奪戦に備えていると言えるでしょう。

子育て世代マーケティングに大きく賭ける橋下氏の大胆な発言

来年の参議院議員選挙では、おおさか維新の会の公約の予測として、橋下徹氏のTwitterの内容は要注目です。消費増税見送り、憲法改正、安保法制は当然の方針ですが、それでは選挙が戦えないので維新としての明確なマーケティングが必要になってきます。

そこで、注目されるのは「大学までの教育費無償化」ということになるでしょう。内容としては公務員人件費の削減などによって、子育て世代向けの5兆円の教育無償化(税負担化)資金をねん出するというものになります。

18歳未満がいる子育て世帯は1150万世帯弱であり、潜在的な層を含めると同政策の対象は拡がりがあると思われます。前回の参議院議員選挙における維新・みんなの得票合計数は約1100万人であり、世代間格差を訴えることで維新は子育て世代の得票を取り込めば大幅に得票を伸ばす可能性があります。

自民と維新、消費税増税見送り・シマのすみ分けで完全一致の選挙戦略

自民党とおおさか維新の会は、上記のようにお互いのシマをすみ分けてマーケティングを実施する展開になるものと推測されます。これが打ち合わせの上のものかどうかは分かりませんが、お互いに綺麗に支持層を分け合うことになるでしょう。

一方、民主党についてはそもそも消費税増税の三党合意の中心政党であり、その責を無視して消費税増税見送りに舵を切れるかどうかは非常に微妙な立場に置かれるものと思います。しかも、民主党=バラマキ=失敗のイメージが強くバラマキアピールも非常に苦しい状況です。

そのため、現在のように安保反対というテーマで選挙争点を形成することが予想されますが、それでは減少傾向にある比例票も共産党に食われて更に減少するとともに、都道府県選挙区も維新に敗北する選挙区が増えるでしょう。

自民党とおおさか維新が掲げようとしている選挙争点は、まさに民主党をスマートに崩壊させるマーケティングの上にデザインされており、秀逸な選挙戦略として準備されていることが分かります。
 
以上、来年の参議院議員選挙におけるバラマキ・マーケティングは自公維の圧勝という形になることが予想されますが、日本の未来はこれで良いのでしょうか。米国の大統領選挙における共和党のような自由経済を通じた力強い経済成長を掲げる政党が生まれて日本を変えることを願うばかりです。





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2015年11月10日

小沢一郎・民主党政権に対する民権史観に基づく総括

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「宙に浮いた」民主党政権の総括

2009年に自民党から政権を奪取した民主党は政権を獲得した衆議院議員選挙の直前から内部闘争を繰り返し、最終的には政党としての理念を喪失する形で2013年末に下野することになりました。

国民は民主党が実行不能なマニフェストを作成した政党であり、政権を運営する力が無いものとして判定した結果、2015年現在民主党の支持率は回復しないどころか空中分解的な様相すら示しています。

現在、私たちは自公政権を日本政府の担い手を任せていますが、必ずしもベストな選択としてそれらを選んだわけではなく、自民党の他に政権担当能力がある政党が存在していないという状況が背景に存在しています。

このような状況に陥った理由は、私たちが「民主党政権とは何だったのか、彼らは本来何をやろうとしたことは何か」ということを総括していないことに起因します。アベノミクスなどの経済政策はともかくとして、政治的なパラダイムとしては時が止まったままの状況に置かれています。

小沢一郎氏の党代表選挙の際の演説

民主党政権を実質的に創った人物は小沢一郎氏と言っても過言ではないと思います。政権奪取前の民主党に小沢氏が合流することで民主党は理念と力の両方を得ることに成功し、鳩山政権の崩壊と小沢氏の代表選挙敗北によって民主党政権は終わりに向かいました。

つまり、民主党とは小沢氏が創り上げた政党であり、民主党の本質は小沢氏の言葉の中にあり、そして小沢氏が居なくなった民主党はもはや民主党ではないと言えます。現在の迷走ぶりはまさにそれを端的に表しています。

民主党の総括とは、小沢氏が民主党で進めた政治理念・政治行動に対する総括であり、その小沢氏が進めた標榜していた政治理念は2010年の小沢氏の民主党代表選挙における演説に凝縮されています。

2010年小沢一郎氏・民主党代表選挙演説全文
http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/254.html

小沢氏が進めようとしていた政治の本質とは「官僚主導」から「政治主導」への転換ということになります。

<一部抜粋>
①「しかしその改革は、明治維新以来、百四十年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えな
ければ、とても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのは、その思いなのであります。」

②「官僚支配の百四十年のうち、四十年間、私は衆議院議員として戦い抜いてきました。そして漸く、官僚機構と対峙できる政権の誕生に関わることができました。我々は「国民の生活が第一。」、の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。」

小沢氏の尊敬する人物は原敬元首相だと耳にしておりますが、原内閣で実行された政治主導の試みが小沢氏が民主党政権でやろうモデルである、と考えることが妥当です。つまり、民主党政権がやろうとしたことは「官から政へ」という政治力学の構造転換を総括することで初めて完了するのです。

政治主導としての政治任用と党への陳情の一元化 

民主党政権時代、自分は下記の2つのニュースに注目してきました。

①霞が関の局長クラスまでの政治任用化
「民主政権では「局長以上は辞表を」 鳩山幹事長語る」
 http://www.j-cast.com/2009/02/10035695.html

②民主党本部への陳情一元化
「政権交代後の陳情対応の変化とは。透明性と公平性を推進」
https://www.dpj.or.jp/article/100009
「自治体首長が「民主党詣で」 陳情一元化、自民打撃も」
 http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111301000814.html

①は戦前から官僚と政治家の間で繰り広げられてきた幹部職員の人事権を巡る争いです。特に戦前は政府の中に政党の意向をくんだ人物が入り込むことを阻止する官僚との暗闘が続きました。戦後は官僚による政治支配が進む形となり、政府内の政治任用職はほぼ存在せず、自民党を中心に高級官僚が議員になる状態が常態化してきました。結果として①は実現されることなく国家戦略局などへの中途半端な政治任用の拡大に終始しました。

②は各省庁が所管している利益団体や地方自治体との繋がりを断ち、官僚がそれらの団体に対して差配する権限を弱めるための政治的な転換となりました。従来までは利益団体や地方自治体は政治家に陳情を行うものの、実際には議席に関係なく永続的な影響力を持つ官僚機構への政策要望の陳情を重視してきました。それらの流れを断ち切って、政党が政策反映へのアクセスポイントを独占することで官への優位を確立する道が開かれました。

小沢氏が目指した「官僚主導から政治主導」へという流れは上記の2つの方法によって実行されるものです。①は中途半端な形でしか実行されませんでしたが、②は短期間ながらも実行されたことによって細野元幹事長党という次代を担う人材の育成が行われることになりました。

民主党政権の末期における「官僚主導」の復活

私自身も民主党の個々の政策に関する賛否はありますが、民主党政権の政策が実行されなかった理由の一つとして、官僚機構による抵抗と巻き返しによる影響が大きかったように思います。特に財源問題などは盤石な政治主導が確立されることによって徹底した歳出削減と予算の組み替えでねん出できるはずですが、中途半端な政治主導では官僚機構の牙城を崩すことが出来ずに前提が崩れてしまいます。

派手な事業仕分けでは大した財源がねん出できないことは当然であり、官僚から政治家への予算編成権の根本的な移譲を実現させるために政治改革の断行は必要不可欠でした。しかし、政権から小沢氏が排除されたことでその道は閉ざされることになりました。

一方、菅首相は就任時に「
官僚の皆さんを排除し、政治家だけでモノを考えて決めればいいということは全くない。官僚の皆さんこそ、政策やいろんな課題に長年取り組んできたプロフェッショナルだ。官僚の皆さんの力も使って政策を進めていく」と述べることで官僚主導の復活を鮮明化しました。
菅政権の跡を継いだ野田政権もかつて自分自身が税金にたかるシロアリと揶揄した官僚と一体なって消費税増税を実現しました。さらに、民主党から自民党に政権が戻ることで政治主導の芽は完全に摘まれることになりました。

以上のように、民主党政権は官僚主導から政治主導を成し遂げるための政権交代を実施したと言えますが、逆に政権任期の途中から官僚と一体化した勢力によって反政権交代が行われたことで改革が未完に終わったという評価が妥当だと思います。

民主党の政権時代には2つの民主党が存在しており、当初に意図した民主党は途中で追い出されて、自民党とほぼ同一の民主党が力を持ったため、政権奪取時に掲げていたマニフェストは実行されなくて当然です。

小沢民主党の総括、事態の更なる悪化へ

民主党政権で未完に終わった政治主導のプロジェクトを理解することで、私たちは次の時代に進むための道標を手に入れることが出来ると思います。

小沢民主党の失敗は政権奪取のために政府支出の増大、つまりバラマキを認めたことにあります。戦前の政友会時代から繰り返されてきたことですが、政府の利権を誰が分配するのか、という基準での争いを止めるべきです。

政治家は選挙の洗礼及びバイネームの活動という特徴を持っているため、政治家が官僚を上回る形で政府の利権を長期間運営することは不可能です。そのため、肥大化した利権は主導した政治家にスキャンダルが発生すると一瞬で官僚の手に落ちます。

本来必要な改革は政府が持つ利権を国民の手に戻す「小さな政府」です。小さな政府を推進することによってはじめて民衆は官僚に勝利することができます。

政官攻防史 (文春新書)
金子 仁洋
文藝春秋
1999-02




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2015年11月01日

国民負担率の真実、日本はドイツ・スウェーデンとほぼ一緒

国民負担率(平成26年度)

日本政府の政府規模は「欧州と比べて小さい」のか?

日本は欧米と比べると小さな政府である、という出鱈目が跋扈しすぎています。特に社民主義者たちは好んでこのフレーズを使うが嘘も良いところです。

国民負担率(財務省・平成26年度)
https://www.mof.go.jp/…/fisca…/basic_data/201402/sy2602p.pdf

日本政府が小さな政府であるという主張は、GNPベースで租税負担率と社会保障負担率だけでを足した数字を根拠にしています。

欧州との差が大きくなるGNP表記という数字のマジック 

しかし、国民負担率をGNPで測定することは計算式に無理があります。上記のグラフを見れば分かりますが、日本と欧州諸国のGNPベースの数字はGDPベースの数字よりも大きいです。

これはGNPベースでは本来分母に加えられるべき国内に存在しているはずの間接税を取り除いた数字を計算式の分母としているからです。しかし、間接税も国内に存在していることを確かなので、本来は分母に間接税分を加えるべきものです。

財務省は意図的にGNPを採用することで間接税を分母から取り除いて日本の政府規模を相対的に小さく見せています。具体的には、同じ税収であったとしても、間接税の割合が大きい国は国民負担率が大きく表示されるバイアスがかかる、ということになります。

一方、OECD諸国などの先進国では政府の大きさを比較するときはGDPで比較することが常識なのです。

そして、政府の大きさは財政赤字まで含めた政府規模を測定することが妥当であることから、この公表されている財務省の数字では、最も小さな文字で表示されているGDPベースの潜在的国民負担率が正しい比較となります。

日本の政府の大きさはドイツやスウェーデンとほとんど変わらない

では、それでGDPベースで潜在的国民負担率の数字を見てみると、

米国33.5%、日本38.4%、ドイツ40.3%、スウェーデン42%、イギリス44.6%、フランス51.4%

ということになります。社民主義者が礼賛するドイツやスウェーデンとの政府規模の差は1.7%~3.1%しかありません。つまりほとんど一緒だということです。政府の財源を税金で賄っているのか国債で賄っているのか、という手法の違いで政府規模に差はありません。

「日本は欧州と比べて小さな政府」とかいう人は有識者ではありませんし、普通の人なら財務省に騙されている人なので真実を知らせてあげてほしいです。

増税が国を滅ぼす
アーサー・B・ラッファー
日経BP社
2009-07-16




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