民進党
2016年07月20日
7月13日・日米左派の対応に「大人と子どもの差」があった
(AFP:ヒラリー・サンダース、予備選で激戦を繰り広げた末に両者を認めて和解)
7月13日米国・ヒラリーとサンダースが抱き合って協力を誓い合った
7月13日米国ニューハンプシャー州、クリントンとサンダースは壇上で抱き合って協力を誓い合いました。
サンダースは「彼女が大統領選の民主党候補者になる。自分は何でもするつもりだ。」と述べ、ヒラリークリントンが圧倒的に最適な候補だと強調しました。
さらに、サンダースは「二人の間に意見の相違があるために予備選挙を戦ってきたが、それが民主主義というものだ」という言葉を続けて、「そのおかげで両陣営は歩み寄りができ、民主党の歴史で最も進歩的な公約をまとめることができた」と民主主義を讃えました。
サンダース支持者が会場からブーイングすると、サンダースはそれらの人々を手で制し、返礼としてクリントン氏はサンダースの存在に謝辞を述べ、彼が掲げた政策を取り入れていく決意を語りました。
【米大統領選2016】 サンダース氏、クリントン氏支持を正式表明
7月13日日本・鳥越擁立で宇都宮健児は野党に引きずり降ろされる形で苦渋の選択
一方、日本では公示日直前から野党側の候補者として内定していたと見られる宇都宮氏に代わって鳥越氏を擁立する動きが活発になりました。
宇都宮健児氏は7月12日にメディアに対して「(鳥越氏は)大変知名度のある方だとは思うが、(野党の対応に)違和感を持っている。候補者のことをなんだと思っているのか」。野党が鳥越氏を担いだ経緯についても「不透明だ。どういう議論がされているのか伝わってこない」(産経ニュースから引用)と怒りをぶちまけています。
その上で、宇都宮氏は鳥越氏と面談し、「都政のことはこれから」という鳥越氏に自らの政策集を渡し、その実現を託しました。会談終了後、宇都宮氏は「掲げた政策を実現するためには選挙で勝つ必要がある。その前提となるのは政策であって、なんでも勝てばいいという立場ではない」と囲み取材で語っています。
しかし、テレビで追及されてようやく言及した築地市場の移転反対の可能性を含めて宇都宮市の政策が十分に反映されたとは言えない状況です。
宇都宮健児氏のTwitterは7月13日の撤退表明以来沈黙していましたが、7月20日現在イベント紹介の案内の配信が再開されましたが、東京都知事選挙については一切触れられていません。
宇都宮健児氏のTwitterアカウント
政治的意思決定プロセスの成熟度に差、米国も問題があるが日本よりも上だと思う
筆者は公開討論会の様子などを見ていた限りでは、宇都宮健児氏の政策は非常に練りこまれたものであり、弁護士としての現場の匂いがする地に足の着いたものだったと感じています。
東証一部上場会社(鳥越製粉)創業家でエリートジャーナリストの鳥越氏と弁護士として貧困と戦ってきた宇都宮氏はちょうどヒラリーとサンダースを模したような存在です。日米において両者の対応が正反対のものになったことは両国の民主主義の成熟度の差を表す典型的な出来事と言えるでしょう。
今回、野党側は知名度ばかりを気にして、石田純一氏、古賀茂明氏、宇都宮健児氏らに声をかけては取り換えるという極めてご都合主義の対応を繰り返してきました。
このような無様な状況になった理由は明白です。それは党幹部支配によって党員の声が完全に無視されているからです。つまり、民進党をはじめとした国政政党は党員・サポーターを抱えているにも関わらず、彼らの声を全く無視して一部の議員だけで集まって物事を決める閉鎖的な党体質を抱えているのです。
与党側でも多くの東京都民の有権者が「増田って誰?」というところからスタートし、そのまま選挙戦に突入するという極めて都民を馬鹿にした対応がなされています。
予算規模13兆円の都庁のリーダーを決める選挙戦を通じて、日本の民主主義の未熟さが露呈したことが今回の東京都知事選挙の最大の成果と言えるでしょう。
政策論争や過去の実績を問われる候補者選定プロセスを実施すべきだろう
舛添氏の辞任は参議院議員選挙直前ではありましたが、それは東京都民がいい加減なプロセスで東京都知事を選ばされる理由にはなりません。参議院議員選挙が忙しいなんて言い訳は東京都民には全く関係ありません。
国政は国政、都政は都政であって、今回の酷い擁立劇は東京都議会の各政党会派の怠慢だと言えるでしょう。国政選挙があるから東京都知事選挙が蔑ろになるなら、国会があれば東京都議会も要らないということで良いのでしょうか。
少なくとも今後は東京都知事選挙については任期終了の半年程度前から各政党が候補者選考プロセスを東京都民に公開する形で実施していくことが必要です。今回の東京都知事選挙を反省材料とし、日本にも当たり前の民主主義のプロセスが定着していくことが望まれます。
とりあえず、日米で民主主義の成熟度が「大人と子どもの差」がある状況はみっともないので、日本の政治家には早急に是正してほしいと思います。
本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
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2016年06月22日
参議院議員選挙は「野党統一名簿不成立」で事実上終了した。
参議院議員選挙の最大のポイントは「野党統一名簿」だったということ
本日から参議院議員選挙に突入したわけですが、この参議院議員選挙は結果を見るまでもなく終わった、ということができます。原因は、小沢一郎代表が構想していた「オリーブの木」構想、つまり「野党統一名簿」が頓挫したことです。
なぜ、野党統一名簿が頓挫したことで、参議院議員選挙が終わったと言えるのでしょうか。下記、その理由についてまとめていきたいと思います。
自公お維無で参議院3分の2は確実な情勢、したがって与野党対決は選挙争点にすらならない
今回の参議院議員選挙は、2010年の野党が当選者数が比較的多かった改選選挙であり、2013年の直近の参議院議員選挙の実績を見る限りは野党の惨敗は免れ得ないと思います。
非改選組の数字を加味すると、改選議席数のうち約60%を改憲に賛成する勢力で勝つことで3分の2を達成することは、現状の与野党の勢力関係に鑑み、与党側にとってはかなり低いハードルということが言えます。
また、個別の政党の比例得票数では自民党が圧倒的な状況になることは予想に難くなく、共産党と協力した民進党の総得票数に大きなブレーキがかかることは間違いありません。
民進党の岡田代表が多大な批判にあった「3分の2阻止ポスター」を発表するほどに、非常に低い目標設定を行ったことも現実の数字として妥当だと思います。
真の対立は「野党内の主導権争い」、民進党と共産党の勢力バランス変化による地殻変動
今回の選挙にとって、野党側の生命線は「対与党」ではなく「選挙後の崩壊」を事前に防止することにあったと思われます。「選挙後の崩壊」とは言うまでもなく、「民進党の崩壊」のことを意味しています。
今回の参議院議員選挙の真の争点は「民進党と共産党がどこまで拮抗するのか」ということにあります。
つまり、万が一、参議院比例票で共産党が民進党を上回るか・拮抗した場合、野党における主導権争いで共産党が台頭することが予測されます。
戦後の労働組合の主導権争いで共産系は主流派を追放されており、民進党を支える連合が労組界の覇者として君臨してきましたが、参議院議員選挙の結果は労組内での勢力構造にも地殻変動を与えていくことになるでしょう。
民進党の比例票下位の労組代表は軒並み落選し、特に共産党系と対立関係にある同盟系の労働組合から民進党への不満は相当なものになるだろうと予測されます。
「野党統一名簿」不成立、参議院選挙後に野党は空中分解へ
野党統一名簿とは、各政党の比例得票数をアヤフヤにし、民進党・共産党の勢力バランスの逆転に蓋をする妙案だったと思うのですが、同方式が民進党指導部に受け入れられることはありませんでした。
野党統一名簿は民進党・共産党の関係強化だけでなく、民進党からの離脱を防止するための最後の切り札であったと言っても過言ではありません。共産党による乗っ取りを飲み込むくらいの度量が無くなった民進党指導部は自らの政党自体を崩壊させることになるでしょう。
野党の主導権争いでの民進党の事実上の敗北という事態を受けて、参議院議員選挙後に民進党解体による与野党の再編が進むことになるものと思われます。民進党議員らは参議院選挙後の解党を念頭に生き残りに向けた行動に既に走り始めていると推測されます。
そして、憲法改正に反対する勢力は「共産党」と「左派の一部」となることは明白となり、日本から自民党に代わる政権交代可能な野党は事実上消滅することになるでしょう。
参議院選挙後、憲法改正に向けた3分の2を大きく上回る勢力が衆参両院で形成されることになり、日本の政治シーンは現状の冷戦時代の名残りのような対立構造から次の段階に進んでいくことになります。
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2016年05月31日
選挙争点は「三党合意を行った政党への不信任」である
他人事のような民進党(元民主党)の人々の言葉
「消費税増税できないアベノミクスは失敗だ!」と民進党が意気揚々としています。しかし、直近の景気低迷はアベノミクスが失敗したからではなく、「三党合意によって決まった消費税増税」が経済不況を招いたことにある点は明白です。
自民・公明・民主の三党合意した消費税増税が失敗であったことを棚に上げて、鬼の首を取ったかのようにはしゃぐ民進党議員らには国民として疑問を持たざるを得ません。
小選挙区制度を採用している我が国では与党と野党第一党が選挙前に談合した場合、国民から事実上選挙における選択肢を奪うことができます。
民進党議員は国民から増税以外の選択肢を無くしておいて、その増税による経済失政が実際に発生させた上で、その経済失政を槍玉に挙げて批判する姿を見て、国民が白けた目線を注いでいることに気が付くべきでしょう。
アベノミクスは「そもそも意味が無かった」という正しい認識
そもそもアベノミクスが盛んに叫ばれていた時期は「リーマンショックからの回復期」でしかありません。各種経済指標の改善はリーマン以前の状況に徐々に戻ってきただけのことです。ドルベースの株価の上昇率も米国と比べても特別高いわけでもありません。
そして、安倍政権が誇る雇用増の大半も、民主党時代から変わらない「社会保障費の垂れ流し額」が更に増加し、福祉職の雇用が毎年膨れ上がっているだけのことでしかありません。御用アナリスト・経済学者は言わないと思いますが、数字を確かめれば普通に分かることです。
つまり、アベノミクスなどというものは最初から効果が希薄であり、民主党政権末期から兆しがあった円安が安倍政権になってから進展したことで為替差益が増加し、大企業の帳簿上の収支が改善しただけです。
したがって、経済政策の本質は民主党政権の頃と大差ないのではないかと思います。アベノミクスによる変化とは、日銀による国債ファイナンスによって日本円の信用が大きく毀損したことくらいです。
そのため、仮に民進党が政権を担っていたとしても、消費税3%増を上回る効果がある経済政策を実行できていたようには全く思えませんし、そのような政策が実行できると本気で思っているなら民進党の経済センスを疑わざるを得ません。
「三党合意を行った政党への不信任」、国会議員の選民主義から民主主義を守る
今回の国政選挙においても「三党合意」よろしく、与党と野党第一党が消費税増税の先送りで一致しています。
彼らは選挙の度に与野党で「増税で一致」「見送りで一致」という行為を繰り返すつもりでしょうか?
口では何とでも言えますが、所詮大企業・大労組に支えられた似たより寄ったりの政党なので、重要な経済政策の問題では行動が常に一致しているわけです。
完全に「民主主義を舐めている」わけであり、「国民は寝ててね。あとは国会議員、官僚、タックスイーターで決めるから」と言っているに等しい行いです。これで立憲主義やら何やらを語るなど馬鹿にするにも程があります。
民主主義の根幹である「税金」の問題から国民を蚊帳の外に置く政治が許されるべきではありません。今回の選挙は「現在進行形」で「民主主義を破壊している」与党と野党第一党への不信任になるべきです。
国民はエスタブリッシュメント政党である自民党・公明党・民進党の三党以外に投票することが望まれます。この3つの政党は確固たる組織票があるため、あなたが一票投じなかった程度で動じるような政党ではありません。したがって、積極的に上記3党以外の政党に投票すべきです。
選挙争点は「日本の民主主義を国会議員の選民主義から守ること」です。現状の選挙制度では難しいことは確かですが、自公民の3党を過半数割れにすることができれば日本の政治は確実に変わります。そして、それは一人ひとりの投票で可能なことなのです。
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2016年03月28日
民進党の成否を分ける「たった一つ」のポイント
「何故、野党は分裂する理由」を克服できるか否か、ということ
自民党は滅多なことでは分裂しない、そして野党時代であったとしても自民党は分裂してきませんでした。翻って、民主党を中心とする現野党は与党・野党時代を問わず分裂を繰り返してきました。
そして、現在のところ、民進党は「分裂の原因」について全く考察することなく、むしろ「全く同一の失敗を繰り返している」といっても過言ではありません。
筆者は何も小難しい話をするつもりもありませんし、世間一般で当たり前に行われていることが行われていないので、野党は組織がバラバラになっていくのだと感じています。そして、特に今回の合併を主導する岡田代表は「根本的な分裂原因」をまったく意に介しておらず、民進党は長く持たないことは明らかだと思います。
「党内ガバナンスの欠落」こそが野党分裂の原因である
政党がバラバラになるとき、政策的な路線の違いであるとか、〇〇議員が嫌いとか、色々な分裂理由が述べられるものですが、実際のところ政党が分裂する理由はそのようなものではありません。
上記の程度のことが組織分裂の理由になるなら「自民党は一瞬で解党している」し、政党ではない「一般企業でも組織としての体を成すことは難しい」でしょう。
政党が無くなるor分裂する際、党内で起きている問題は「納得感が欠落した意思決定の常態化」です。つまり、組織として行動しているはずなのに、その組織の構成員として意思決定の一端に加わった納得感がない、という状況が生まれているのです。
自民党は政調部会によるボトムアップ型の意思決定が形式的に存在しています。国会議員は意思決定のプロセスを体験することができますし、自分の意見が反映されなくても部会で発言することで自己の立場を保つこともできます。自民党のシステムは物事が決まる瞬間のプロセスが明らかになっており、なおかつガス抜きを行うこともできる優れたシステムと言えるでしょう。
一方、野党側は「安倍政権を倒す」ということで一致しただけであり、合併決定・民共共闘などの重要な意思決定を行うに際し、所属国会議員や地方議員のボトムアップ型の承認プロセスを経たとは言い難いものがあります。(維新の党は形式上代表選を行って合併・解党を決めましたが、極めて外形的な話に過ぎなかったと思います。)
政党トップの意向で民進党(実質的に民主党)所属になった地方議員の方も多く存在しており、現在トップダウン型意思決定の成果は「政権を取るまで」or「参議院議員選挙まで」の時限的な野合としてしか持たないと思います。
野党だからこそ「意思決定プロセスが大事」だという認識の欠落
与党は最低限の意思決定プロセスが存在している場合、多少無茶なことがあったとしても簡単には分裂しないものです。前回の民主党政権は意思決定プロセスが極度に煩雑になりすぎたことで、些細なことの積み重ねが大きな軋轢として臨界点を超えて噴出したのではないかと推察します。
しかし、野党となると話は全く別物であり、党内の意思決定プロセス、つまり納得感を生み出す仕組みが無ければ長くはもたないことは言うまでもありません。党のトップが政権奪取の旗を掲げて政策を示して所属国会議員がお互いに我慢しながら選挙に取り組むことは、2009年に一回行った失敗の焼き直しでしかありません。まして、今回は民主党単独ではなく共産党までくっ付いているのだから目も当てられません。
自民党以外の政党で長く存続している政党は公明党や共産党などの組織政党しかありません。これらの政党は組織として成り立つための仕組みを有しており、構成員同士が多少いがみ合ったとしても全体としては納得感を醸成するシステムが存在していると言えるでしょう。
ここまで書くと何か凄い仕組みを作ることが必要という印象を与えるかもしれませんが、組織人として当たり前の仕組みづくりに取り組むことが必要だと述べているだけです。そして、それをやるなら選挙前ではなくて少なくとも1年前からスタートすべきだと思います。
ここまでの民進党の成立プロセスを見ていると、属人的な意思決定と選挙ファクターによって生まれた政党であり、数年以上あった猶予期間で民主党としても維新の党としても「正常な意思決定システム」を創る気が無かった人々の野合にしか見えません。選挙まで、政権奪取まで、個々の議員が我慢できれば良い、という問題ではありません。
民進党が生まれ変わるかどうかは、自党の中に「意思決定の仕組みが必要」という当たり前のことを考えて実行できる人がいるかどうかです。その点について注目してみていきたいと思います。
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2016年01月17日
民進党勝利、中国民主化に向けて「日本の魅力」を取り戻そう
wikipediaから引用
民進党の蔡英文女史が台湾の総統選挙勝利へ
台湾の総統選挙で、民進党が勝利し、8年間続いた国民党政権に終止符が打たれました。台湾住民の政治的な勇気に賛意を送るとともに、今までよりも親日的な政権が誕生したことを大いに祝いたいと思います。
元々の民進党は台湾独立派でしたが、過去の選挙で対中経済関係を重視する台湾財界の離反により敗北し、長らく政権の座から離れていました。その結果、民進党は現状維持というマイルドな路線に舵を切ることで、台湾住民からの現実的な支持を獲得しています。
中国が民主化しない理由は「日本」の成長が停滞しているから
民進党が独立に関して消極的な姿勢に転向した理由は、日本の経済力が相対的に衰退する一方で、大陸の経済的な魅力が増加しているから、ということが言えるでしょう。
日本が失われた20年を経験している間に、台湾を取り巻く経済環境は大きく変わってしまいました。中国の一人あたりGDPは沿岸部を中心に飛躍的に増大しており、中国との貿易量は日本との取引量を圧倒する状況になっています。
また、大陸においても著しい経済発展を経験した結果として、中国共産党独裁体制に関する問題は先送りまたは不問にされています。アジア最大の経済力を誇る民主主義国である日本経済が実質的に停滞した状態にあり、中国から見た場合に魅力的な政治体制のモデルとは思えないことが少なからず影響を与えているものと想定されます。
民主国家の日本が経済的に停滞している現状に鑑み、中国共産党政権下で高度経済成長を経験した中国人民は民主化という冒険的な選択肢をあえて取らないでしょう。また、台湾も日本の強力な後ろ盾が無ければ現状維持以上の選択を選ぶことは困難だと思います。
今回の台湾の政権交代は行き過ぎた国民党政権からの揺り戻しとして正しいものですが、台湾の独立、中国の民主化という見果てぬ目標からは依然として遠い状況となっています。
日清戦争後の変法運動と辛亥革命をもう一度起こすための裏付けが必要
日清戦争は、日本と中国の力関係が逆転した歴史的な事件でした。清朝側は日本よりも早く洋務運動などの経済・軍事の近代化に取り組んでいたものの、自分たちよりも遅れて改革(明治維新)に着手した日本に軍事的に敗北することになりました。
これらを受けて、清朝内では政治体制の変革そのものが必要ということになり、康有為が主導した変法運動という体制変革運動が発生しました。康有為が目指した変革とは、西欧や日本の強さを政治体制に求めるものであり、特に日本の明治維新に倣って清朝を立憲君主制国家に移行させようというものでした。もしも、康有為が改革に成功していたならば、清朝は立憲君主制に移行し、日本と同様にアジアの最大級の民主主義国になった可能性も否定できません。
その後、辛亥革命に至る過程で、日本は清朝から大量の留学生を招き入れて、清朝を打倒する中核となる結社を構成する人々を生み出しました。そして、彼らによって清朝の打倒と漢民族による共和制が掲げられて活動が行われることになりました。同じアジアに存在した新興かつ強力な日本という魅力的な国家が存在したことが同革命に与えた影響は大きかったと推量します。
政治体制は米国やソ連のように積極的に輸出しなくとも、世界各国では同時代で最も望ましい体制を模倣しようという動きが出てくるものです。現在、中国国内で民主化の動きが力を持ち得ていないことは、アジアにおける日本の停滞に起因するものと言えるでしょう。これでは、中国人民が政治的なリスクを冒してまで日本の制度を模倣しないのも無理からぬことです。
むしろ、日本側では太子党支配のような与野党の世襲支配が横行し、中国の政治の有様を日本側が模倣しつつあると言っても過言ではない状況が生まれています。日本国民は自国の民主主義の変質に対して危機意識を持つべきです。
日本の構造改革による再成長が東アジアに民主化をもたらす
アジアに民主化と安定化をもたらす最も良い方法は、日本が経済成長を再び取り戻して、中国人民から魅力的な国家として再評価されることです。
私たちは中国の軍事的な脅威に対して自衛力を充実させるだけでなく、お互いの国が政治体制の優劣を競い合っているという自覚をもつべきでしょう。そして、その政治体制の優劣とは経済成長の優劣によって測られるものであり、中長期的には経済力で勝利した陣営の政治体制が両国で選択されることになります。
日本人は自らの生活にのみ汲々とした政治意識の中で、金融緩和だ、財政出動だ、などと、モルヒネ経済で目の前の問題を誤魔化すことを続けています。しかし、失われた20年を続けた反省を真摯に生かし、現実の問題への対処に取り組むべきときが来ているのではないでしょうか。
アジアの人々が中国共産党のような独裁・世襲体制で過ごすことになるのか、それとも自由で民主的な国で過ごすことになるのか。日本はアジアの未来に大きな影響を及ぼす影響力がある国です。
台湾が自らの勇気を出して民進党という選択を行ったことを受けて、日本も甘ったれた経済・社会の在り方を捨てて、もう一度アジアに冠たる国家を目指して努力をすることが望まれます。
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