民主党

2016年12月03日

ポリコレ馬鹿につける薬、米国の分断の真相とは何か?

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米国の分断を一側面から語り続ける「インテリンチ」の偏向ぶり
 
トランプ勝利から1か月が経とうとしていますが、その間に様々な有識者と報道関係者が「米国の分断は深刻だ!」という発言を繰り返し続けています。

これらの人々は「レイシスト」「格差社会」「反知性主義」「不法移民への差別」などの理由をつけて、トランプ及び共和党が米国の分断の元凶であるかのように語り、トランプと共和党が米国を分断させたがっているかのように見せています。

しかし、その話の大半は民主党側、つまりポリコレ側に立った物言いばかりであり、米国の政治状況を一側面から見たものでしかありません。これでは米国政治の実態がまるで掴めず、「ヒラリー勝利を予測・礼賛し続けた愚かな人々」の意見を鵜呑みにするだけの状態が継続することになってしまいます。

大統領選挙も終わったわけですから、そろそろいい加減に「トランプ」「共和党」の視点から米国政治を語ることも必要です。そのため、本稿ではトランプ・共和党の視点から米国の分断と統合について語っていきます。

学者やジャーナリストなどの自らが発見した「ポリコレ」で社会を統合しようとする人々

民主党支持のポリコレ識者や報道関係者は、人間を属性に基づいて区別して語る傾向を持っています。つまり、上記の事例を挙げるならば、人種、所得、学歴、などの分かりやすい属性ラベリングによって人間を区別した上で、それらの違いを再否定することによって自らの主張の正当性を得ようとしています。

「トランプ支持者は、白人、低所得、低学歴、不満層だ!」という話は、大統領選挙が終わるまでメディア上の様々な場面で耳タコだったと思います。これがポリコレ・パーソンの人間を見るときの目線です。

そして、ポリコレ・パーソンにとっては「自らの知性が見出した社会の構成員間にある違い」を無くすということが正義です。そして、その差異を無くすという考え方を受け入れるべきだ、という主張を通じて、自らが見出だした社会の分断の再統合を図ろうとします。具体的には、人種平等、格差是正、不法移民容認など、自らが人々の間に見出した違いを政府機能を使って埋めようとするわけです。

半ばマッチポンプみたいなものですが、この手の人は学者やジャーナリストに山ほど存在しており、日々新しいポリコレを発見・生産しては非ポリコレ・パーソンに対する知的マウンティング作業に精を出しています。そして、日本に暮らしていると発信力が強いポリコレ側の意見が世の中の正義であるように見えてしまいます。

しかし、トランプや共和党は人間を属性ラベリングによって区別して再統合しようという発想はそもそも持っていません。そのため、ポリコレパーソンからは「酷い差別主義者だ!」というレッテルが貼られることになります。

「米国人であること≒米国の建国の理念を受け入れること」で社会を統合しようとする人々

トランプや共和党が人々を区別する尺度は「米国の価値観を受け入れているかどうか」です。

つまり、建国の理念である「自由」の概念を共有できる相手か、それとも、それを否定する相手か、ということで人間を区別します。

具体的には、米国はイギリスによる課税などに反対して独立・建国された経緯があります。そのため、政府介入を意味する増税や規制強化に非常に厳しい主張を持っています。

米国の建国の理念の立場に立つならば、「政府の役割は小さい方が良いか?(≒税金は安い方が良いか)?」という問いに対し、極めて単純化して考えると「Yesと答える人は共和党支持」、「Noと答える人は民主党支持」ということになります。

共和党保守派議員などの演説を耳にすると直ぐに気が付きますが、「私たちは米国人である。だから、税金が安くて規制が少ない方が良いのだ」というスピーチの論理構成になっています。また、共和党支持者らの話を聞くと、彼らが合衆国憲法を非常に大切にしており、その読書会などが催されていることも分かります。

共和党にも黒人・ヒスパニックなどの有色人種系の候補者・支持者もいますが、彼らは須らく上記の米国の建国の理念に賛同し、それらを擁護することを誇りに思っています。特に共産主義全盛時代に母国で政治的な弾圧を受けて米国に逃れてきた有色人種は共和党支持の傾向があります。そして、多少粗削りなところもありますが、トランプ支持者も同様の理念には大筋賛成することでしょう。

したがって、共和党は「米国人であること≒米国の建国の理念を受け入れること」で社会を統合しようとしていると言えるでしょう。いわば郷に入れば郷に従えに近い発想ですが、そこではポリコレ勢力が区別した人種、所得、学歴ではなく、「同じ米国の価値観を信じる」という枠組みで人々の統合が図られることになります

共和党が不法移民に対して強く反対する(合法移民に関してはOK)理由は、不法移民は米国の価値観を受け入れる宣言をしていない人々であり、共和党が持つ米国統合の発想と根本的に相容れない存在だからです。

「米国の分断」の根本原因を理解できていない人は米国政治のことを知らない

したがって、主に民主党側の学者やジャーナリストが作り出したポリコレのうち、共和党が主張する「米国人の価値観」とぶつかる部分が社会の分断として表面化しているわけです。(もちろんポリコレと米国の価値観が一致することもあります。)

具体的には、ポリコレ勢力が推進する、アファーマティブアクション、大きな政府による腐敗、学者が作り出す新たな規制、米国の価値観を相容れない不法移民の容認などは、共和党側からは絶対に受け入れることができない要素ということになります。共和党側にとっては「米国を米国で無くす≒米国を分断させる」存在はポリコレ側だということです。

一方、ポリコレ・パーソンから見ると、ポリコレに反対する人を自分の知性が見出だした分断を統合する試みを邪魔する差別主義者として認定することになります。

ちなみに、外国人である日本人が犯しがちな勘違いは、米国の国是が「自由主義」であることを理解できず、「欧州のファシスト右翼」と「米国の保守派」が同じものに見えてしまうというものです。米国の保守派は「自由主義」という合衆国の理念を受け入れる人のことであり、欧州のファシスト右翼とは本質的な部分で真逆の発想を持った人々のことです。米国政治の理解が足りない人は両者を同じ文脈で語っているために注意が必要です。

米国の分断とは「どのような基準で社会を統合するのか」という価値観の違い

共和党・民主党の差は根本的な部分で既に異なっているために埋めようがない分断だと言えるでしょう。

以上のように、米国の分断とは「どのような基準で社会を統合するのか」という価値観の違いによって生じています。したがって、ポリコレ勢力の話を垂れ流しているだけの翻訳家に毛が生えた程度の人々の説明だけでは何も理解することができません。

「米国の分断は深刻であること」を理解すると同時に、「民主党側も共和党側も異なる価値観・方法で社会統合を図ろうとしていること」も明瞭になったと思います。

少なくとも今後4年間はトランプ&共和党政権が継続するわけですから、米国政治に対する一面的な言説だけでなく、共和・民主両サイドの側の主張を理解していく取り組みが必要です。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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2016年01月12日

米国大統領選挙、トランプVSサンダースの究極バトルがあり得る?

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2016年米国大統領選挙でトランプ・ルビオ・サンダースの高支持率を解説

本ブログは2016年米国大統領選挙に関してトランプ・ルビオ・サンダースの高支持率を予測した上で解説をしてきました。

昨年中は日本国内ではブッシュ・ヒラリー楽勝を予想していた米国研究者ばかりでしたが、彼らも流石にまずいと思ったのかもしれませんが、日本でも年末になってからマルコ・ルビオ氏やテッド・クルーズ氏の数少ない日本への言及内容を慌てて取り上げ始める記事が増えてきています。このような現象は米国内の共和党穏健派からのみ情報で大半が形成される日本の米国情報ルートの限界が露呈したものです。

本ブログは米国のアクティビストらの現場に即した感覚を持つ分析を提供する日本唯一のブログであり、本年も客観的なデータと独自の情報ルートによる分析記事を配信していきます。

<過去記事>

主番狂わせか?ヒラリーVSサンダースが面白いことに(12月20日)

2016年1月最初の世論調査は、トランプ優位&サンダースの急上昇の展開に

2016年早々に行われた共和党予備選挙の世論調査でもトランプ氏の優位が続いています。Real Clear Politicsにまとめられている世論調査結果を見る限りでは、全米調査、そして予備選の第1ラウンド・第2ラウンドが行われるアイオワ州・ニューハンプシャー州でもトランプ氏の支持率が上がっています。

保守派の雄であるテッド・クルーズ氏は昨年末からアイオワ州でトランプ氏と拮抗する状態を演じていました。さらに、テッド・クルーズ氏は年明けも精力的にアイオワ州に資源を投入する作戦に出ましたが、強固な支持を獲得しているトランプ氏を引き離すことができませんでした。

最近はトランプ支持者は低学歴云々という差別的な言説がメディア・有識者(さらに言うと日米)で溢れかえっていますが、事実かどうかはともかく、そのようなエスタブリッシュメントの言説自体がトランプ支持者の結束を固めることに繋がっていると言えるでしょう。

年明け暫くすると各陣営が大規模なメディアキャンペーンを展開し始めるために、資金力が枯渇した陣営が撤退を開始します。共和党内の勝負は今後予想される撤退者の指示を誰がM&Aしていくのか、という段階に入っていきていると言えるでしょう。


ちなみに、トランプ氏は現状までの選挙キャンペーンは膨大な自己資金ではなく「トランプ氏への寄付」によって賄っているため、大富豪としての自己資金は全て温存している状態です。

<上から全米世論調査、アイオワ州、ニューハンプシャー州の調査結果>

2016年1月共和党

一方、民主党はヒラリーに対してサンダースが驚異的な追い上げを見せており、ARGが年明けに実施した世論調査のように、全米でヒラリーとサンダースの差が僅か4ポイントという結果も出てき始めています。(まだ他調査では15ポイント前後離れているものが多い状態ですが・・・)

特に注目すべきは、年明けのアイオワ州・ニューハンプシャー州の世論調査結果です。アイオワ州ではヒラリーとサンダースが拮抗しており、ニューハンプシャー州ではサンダースの優位が確立しています。

2008年のオバマ勝利は初戦2州を勝利したことにによって勢いづいたことも要因として大きく、共和党のトランプ氏のケースと比べて上記2州以外ではヒラリーの優勢な数字が継続しているものの、ヒラリーは必ずしもサンダースに対して楽勝という状況ではないかもしれません。そのため、ヒラリーはサンダース支持が強い若者層を切り崩すため、セス・モールトン議員などの30代若手の副大統領候補者を投入する可能性が出てきています。

資金面でもヒラリーの圧倒的な優勢と勘違いされることも多いのですが、サンダースは小口献金でヒラリーに匹敵するだけの資金を集めています。したがって、ヒラリー・サンダースの両者の競争は激しさを増す形で継続することになるでしょう。

ただし、共和党の予備選挙の場合と違って、ヒラリー支持者は支持を強固に決めているケースも多く、サンダースがヒラリーをまくり切るには現状を変える決定的な一撃が必要な状況だと言えます。

<上から全米世論調査、アイオワ州、ニューハンプシャー州の世論調査>
2016年1月民主党


2016年大統領選挙は、トランプVSサンダースという究極バトルがあり得るか?


現在、米国大統領選挙の予備選挙では、トランプVSサンダースという昨年段階では予想困難だった状況が発生するかもしれない状況が生まれています。(といってもブッシュが凹むことはある程度予測できましたが・・・)

共和党ではマルコ・ルビオ、民主党ではヒラリーが依然として最有力候補者ではありますが、そのような政界関係者の思惑を打ち破ってしまうのが、米国の民主主義のダイナミズムなのかもしれません。

今後の展開にますます注目していきたいと思います。いずれにせよ、日本で思われているような順当な選挙ではなくなってきたことだけは確かでしょう。



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2015年12月20日

民主番狂わせか?ヒラリーVSサンダースが面白いことに

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www.news-us.org

米国大統領選挙、共和党と比べて地味な民主党で僅かなイレギュラーが発生中

米国共和党予備選挙でトランプ氏の嵐が巻き起こっている一方、民主党の大統領候補者はヒラリー・クリントンで決まり、という報道ばかりが日本で目立っている状況です。実際、ヒラリー・クリントンは非常に強力であり、ほぼ民主党の大統領候補者として内定していると言えるでしょう。

ただし、ヒラリー・クリントンが民主党内の予備選挙でトップの座から転げ落ちる可能性はゼロではありません。下記が2016年大統領選挙の民主党の予備選挙の支持率の推移です。

当初ほぼ無名であったサンダースがバイデン元副大統領を抜かして2位まで支持率を上げ続けている状況が分かります。10月段階ではトップのヒラリー・クリントンとの差は10ポイント近くまで迫る状況も発生していました。現在は20ポイント以上差がついていますが、この数字をどう見るかによって、民主党側も十分に今後の展開を楽しめるものとなります。

<2016年ヒラリーVSサンダース>
ヒラリーVSサンダースl

2008年のヒラリーVSオバマも12月中旬段階では20ポイントもヒラリーが有利だった

下記のグラフは、2008年大統領選挙におけるヒラリーVSオバマの支持率の変化です。12月中旬段階ではサンダースと同じように20ポイント近い差がついていました。

しかし、その後2月頭のアイオワ州の予備選挙の投票の前後でヒラリーとオバマは肉薄するようになり、最終的的にはオバマがヒラリーを突き放す形となりました。

つまり、アイオワやニューハンプシャーなどの初戦の結果次第で、民主党内からの期待値が高まって盤石な戦力を持つヒラリーがひっくり返る可能性はゼロではないということです。

<2008年ヒラリーVS]オバマ>
 ヒラリーVSオバマ

バイデン副大統領が撤退した理由はヒラリーがサンダースに負けそうだったから

そこで、オバマが躍進するきっかけとなったアイオワ州やニューハンプシャー州の支持率状況についてみていきます。驚くべきことに、両州の支持率状況でヒラリーはサンダースにかなり苦戦または敗北していることが分かります。

アイオワ州では9月頭にはヒラリーとサンダースの支持率が拮抗し、バイデンが撤退したことによってエスタブリッシュメントからの支持が一本化して何とか優勢を保っている状況です。(最新のCBS世論調査では僅か5ポイント差)ヒラリーがアイオワからキャンペーンを始めるなど様々な手を打ち尽くした結果が現状です。

ニューハンプシャー州での支持率調査で12月段階でヒラリーはサンダースに敗北しています。こちらもバイデンが撤退するまではサンダースが10ポイント以上引き離す状態でしたが、バイデン撤退以後は大接戦の状況が発生しています。

サンダースが年明けからのキャンペーンをアイオワ・ニューハンプシャーに集中して勝利し、なおかつサウスカロ
ライナで勝利するようなことがあれば民主党側でも大番狂わせが起きることになります。

<アイオワ州・民主党予備選支持率>
アイオワ州

<ニューハンプシャー州の民主党予備選支持率>
 ニューハンプシャー州

年明けからは共和党からのヒラリー攻撃が本格化、ヒラリーは本当に民主党予備選に勝てるのか?

年内は共和党側は自分たち候補者の同士潰しあいがメインでしたが、年明けからの候補者からの絞り込みに合わせて、予備選挙の争点が「誰ならヒラリー・クリントンに勝てるのか?」ということが問題になってくると思います。

そのプロセスの中でヒラリー・クリントンはサンダースからだけでなく、共和党側からも激しいバッシングを受けることになるでしょう。前回のオバマに敗れたときと同じように左右両方から叩かれる状況となり、非常に苦しい状況になるかもしれません。

ヒラリー自身は強烈なトランプ批判を始めることで民主党の指名争いにケリをつけたがっています。これはトランプ陣営でも党内レースを終わらせたがっている点で同様であり、共和・民主両党のフロントランナーが来年早々の初戦を無事勝ち抜くことができるか注目に値します。

困難な選択 (上)
ヒラリー・ロダム・クリントン
日本経済新聞出版社
2015-05-01




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yuyawatase at 18:00|PermalinkComments(0)

2015年12月13日

ウィル・スミス、米国民主党大統領候補者として出馬か?

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俳優のウィル・スミスが大統領選の出馬宣言!?

CBSのサンデー・モーニングで俳優のウィル・スミスが大統領選挙への出馬意欲を示したことが話題になっています。ドナルド・トランプ氏のムスリム入国拒否に対する反発心がウィル・スミス出馬を仄めかす動機となったようです。

ウィル・スミス氏はオバマ大統領の2008年の大統領選挙時の主要な有名人ドナーの一人であるため、ウィル・スミス氏の出馬は、ヒラリー・クリントンでほぼ決まったかに見える米国民主党の予備選挙に波紋を投げかけるかもしれません。

今年11月段階から政治進出を明言して注目されていたウィル・スミス

ウィルスミスは元々今年は政治に対する怒りを感じていることを公にしており、俳優としての立場以外での意見表明の必要性に言及していました。

米国政界でも現実味はそれなりにある話として受け止められており、ハリウッドで最も稼いだ俳優ランキングでも常連であり、個人として選挙戦をスタートさせるだけの財力を持っています。また、多くのファンによる草の根の支援も期待できるため、2人目の黒人大統領、レーガン大統領やシュワちゃんに続く俳優出身の大物政治家の誕生か、という状況が生まれています。

知名度の高さ、俳優としての演技力、豊富な資金力などを生かすことができれば、大統領候補者としての資質は十分と言えるでしょう。

トランプの前に第一関門としてヒラリー・クリントンを倒せるのか?

ウィル・スミス氏が共和党側の予備選挙で独走中のトランプ氏を倒すためには、まずは民主党内部での予備選挙でヒラリー・クリントンに勝利する必要があります。
 
ヒラリー・クリントンにとってはいきなりの強敵出現によって民主党の指名レースから二回も転げ落ちる結果になる可能性もあります。

ウィル・スミス氏の政策能力・ディベート能力などは全く未知数な状況ではありますが、仮に優秀なブレーンが付いた場合、現在のヒラリーの対抗馬であるサンダースの支持層を食って、民主党側での反エスタブリット勢力の象徴になる可能性があります。

日本の政党助成金を巡る年末の新党話などのショボすぎる話と比べて、米国の大統領選挙はダイナミックな感じが出てきたて非常に面白い展開になってきました。今後の展開にますます注目です。

PS:ちなみに、ウィル・スミスのWEBサイトを見てみましたが物凄いインパクトでビビりました。


 

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2015年11月30日

参議院選挙前に民主党崩壊を予言する「ある数字」とは

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民主党の解党論議が年末にかけて本格化していく状況となっていますが、民主党は「解党ではなく崩壊」する可能性が極めて高い状況となっています。それは「ある数字」が示しています

民主党の「解党ではなく崩壊」を示す「ある数字」とは何か


民主党崩壊の根拠となる数字は「参議院議員選挙の比例得票数」です。

参議院議員選挙は選挙区と比例区に分かれており、選挙区は少数の議席を争うために二大政党にとって有利な環境となっていますが、比例区は「政党の勢い」が重要であるため、毎回各政党の比例得票数は激しく上限しています。

民主党の過去の比例得票数は、2007年・2325万票⇒2010年・1845万票⇒2013年・713万票、という激減過程の中にあり、2016年の参議院議員選挙の比例得票数も支持率低迷の中で増加する見込みはありません。

そして、この参議院比例票の激減、そして比例代表の獲得議席数の減少こそが労働組合の組織に依存する民主党にとっては致命的な結果をもたらすことになります。

参議院比例票の激減で労組系組織内候補の大量落選が現実に

実際の得票数・議席数は投票率にも左右されることになりますが、推計で仮に民主党が前回同様の700万票前後であったと仮定した場合、民主党の比例獲得議席数は7議席程度になるでしょう。自民、維新、共産が得票数を伸ばしてくる中で民主党の得票が伸びる理由は特にありません。

獲得議席数を「7」とすると、かなりの数の労働組合の組織内候補者が落選することになります。実際に前回の2013年の参議院議員選挙ではゼンセン、JP、基幹労連、などの旧同盟系の労組の組織内候補が議席を得ることができませんでした。

同参議院議員選挙の票数の激減は予測を上回るものであり、各労働組合も対応しきれなかったものと思います。(その意味で候補者を1人に絞った立正佼成会の判断は見事でした。)

2016年参議院議員選挙比例区でも同様の得票と仮定した場合、自動車、電力、自治労、日教組、情報労連の5つ以外の労働組合は議席を確保することは極めて困難です。これらの有力労組に加えて当選可能な候補者は立正佼正会の組織内候補者1名と有田芳生氏だけであり、以上のメンバーで獲得見込みの7議席を消化することになります。

 つまり、参議院比例区で当選する民主党の候補者は既に全議席決定しており、2010年に獲得した議席を失う中堅の労働組合にとっては自分たちの影響力が激減することが明白な状況となっています。

同盟系労働組合は維新に流れることで議席を確保できる状況に

そのため、旧同盟系の中堅どころの労働組合にとっては民主党から抜け出て、「維新」(大阪)と組んだ方が自分たちの組織内候補者を当選させることができる状況が生まれています。(自動車・電力などの巨大労組も都市部に基盤があるため、維新との潜在的な親和性は高いと思います。)

2010年の維新の比例代表は30万票を獲得した候補者は猪木・中山の2名のみであり、その他の候補者は皆4万1千票以下の得票数でしかありません。これは維新(大阪)が全国的な基盤を持つ強力な団体の候補者を抱えていないことを意味しています。

維新の獲得議席数は前回のみんなと維新の合計(1000万前後)と仮定すると、10~12議席程度になる可能性が高いため、平均して10万票以上得票できる同盟系労組は維新に移ることで安定的に上位当選することが可能であることを同時に示唆しています。(自治労・日教組以外は維新と組めるはずです。)

また、公明と直接の関係を持たない維新は、20万票の組織票を持つ立正佼成会にとっても魅力的な連携相手であり、民主党では1名しか当選させられない組織候補を2名まで増やせる可能性があります。

共産党と選挙協力を打ち出す民主党の現執行部の方針では比例票は共産党に食われることが予想されます。そのような状況は共産党と犬猿の中にある同盟系の労働組合にとってはデメリットでしかなく、逆に政権入りが確実視される維新と組むメリットを大きくしています。

労働組合の運動力が半減した民主党は崩壊する

旧同盟系の中堅の労働組合が民主党から離反することが「比例票」の予測から確実視されるため、これらの労働組合が離反した場合の民主党の運動力は著しく落ちることになるでしょう。

そして、それらを吸収した維新勢力は全国の小選挙区での候補者の擁立が可能になるため、維新・民主の力関係は一気に逆転することになります。

民主党が崩壊を回避するためには、共産党との連携を拒否した上で民主党の支持率を上げることが必要になってくるわけですが、衆参ダブルの選挙戦が見込まれる中で、民主党内の衆議院・参議院の利害が対立することで両すくみ状態になることが想定されます。

共産党と組めば衆議院の小選挙区が有利、共産党と組まなければ衆参の比例区が有利という形になるわけで、自民側・維新側は衆参ダブルをちらつかせて民主党を揺さぶって内部分裂を待てば良いだけとなります。

民主党崩壊の運命を握る存在は公明党である

民主党崩壊のイレギュラー要素は公明党の存在です。民主党の崩壊が予測される中で、非常に近い距離にある自民党・維新が公明党をどのように扱っていくかは予測が困難です。

民主党の崩壊は自民党との連立先である公明党の利害に反すること、 衆参同時選挙は組織政党である公明党の利害に反すること、など、上記の民主党崩壊シナリオと公明党の立ち位置を相容れないものだからです。

過去の得票数だけを見た場合、民主党が唯一生き残る道は共産党ではなく公明党との連携しかあり得ず、民主独立路線で公明党との共闘関係を構築する道しかありません。民主党には旧新進党化という戦略オプション以外の選択肢は残されていないのです。

そのため、今後の展開としては、自民党が「維新を取り込みつつ」「公明党をグリップし続ける」ことが可能なのか、ということになります。いずれにせよ、本件はあくまでも得票数に基づく予測であるため、内外の要因で左右される複雑な政局動向の変化で今後大きく変わる可能性もあります。

本ブログでは政局動向を注目しながら、選挙の得票数字に基づく将来予測を行っていきたいと思います。

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く
アンソニー プラトカニス
誠信書房
1998-11-01




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2015年11月23日

大阪ダブル選挙勝利後、「橋下・維新」全国制覇戦略を予測

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大阪ダブル選挙は、おおさか維新の会が解消、全国制覇への始動開始へ

大阪ダブル選挙は、おおさか維新の党の圧勝、民主と対決する形での全国擁立へ、という流れになりました。ここまでは完全に予想した通りの結果であり、それほど驚いてはいません。非維新の全野党が敗北したことで時代の大きな流れが動き始めたことを確信しています。

ちなみに、過去の分析記事は下記の通り(全部当たっています)であり、維新が全国に躍進できる根拠はそちらをご覧ください。今回はそれらを前提として、今後の更なる維新の戦略を予測していきます。

大阪W選挙は野党第一党を実質的に決定する選挙(11月6日)
大阪W選挙、おおさか維新の会圧勝予測!新たな局面へ(11月16日)

民主党、最大の支持母体・連合の分裂不可避、民主党の壊滅カウントダウン

おおさか維新の会の戦略の主要な焦点は、民主党を壊滅させて野党第一党の座を確立し、自民党と政権交代可能な保守政党の地位を確立することです。その過程において、最初に邪魔になるのは民主党ということになります。(その他の弱小政党は全て自民・維新に吸収されていくでしょう。)

民主党を壊滅させる方法は一つであり、それは最大の支持母体である連合を分裂させることです。民主党という政党が存在している唯一の理由は、選挙の支持母体である連合の支援を受けられる、という一点のみであり、逆に連合からの統一的な支持が無くなれば民主党は一瞬で瓦解します。

連合は、旧同盟系は維新へ、旧総評系は民主党に残留(中道左派の三極化へ)

そのため、維新は連合を分裂させるためにアプローチを開始するでしょう。

具体的には、旧同盟系と旧総評系の労働組合の分裂を狙うものと思います。旧同盟系労働組合は、繊維、自動車、金属、重厚長大系などによって構成されており、日本共産党と対立する右派路線の組合によって構成されています。そのため、共産党との協調路線を進める現在の民主党執行部とは潜在的な路線対立の可能性を孕んでおり、政治的な刺激が与えられることで連合は内部分裂することが予想されます。

維新は総評系の自治労・日教組などの公務員系労組とは対立していますが、旧同盟系と対立関係にあるわけではなく、旧同盟系は十分に取り込むことができるでしょう。労組の強い影響下にある愛知県の河村市長が秋波を維新に送れる理由もここにあります。労働組合側も一度政権の味を知った以上、もはや政権に返り咲く可能性が限りなく0%の民主党と運命をともにする理由はありません。

連合が分裂した場合、民主党議員は雲散霧消化した上で、旧総評系は新左翼系とともに新・民主党として残ることになるでしょう。総評の組織規模から考えると、新・民主党は中道左派の第三極に転落することになります。衆参ダブル選挙の可能性がチラつく中で民主党の打ち手はほぼ無くなりつつあります。

自民党・おおさか維新の会の「毒を食らわば皿まで」のチキンレース

一方、自民党と維新は一旦は協調関係を取る形になるでしょう。民主党を野党第一党から引きずり降ろし、憲法改正に向けた保守勢力による大同団結を演出する必要があるからです。そのプロセスで橋下氏の入閣も協調関係を演出する上で有力な選択肢となります。

しかし、その結果として、両者は「毒を食らわば皿まで」というチキンレースに突入することになるでしょう。維新は以前から得票数においては近畿だけでなく東京・南北関東においても民主党に肉薄するだけの比例票を獲得する力があります。上記のように民主党が壊滅することを併せて考えると、自民党都市部の議席は相当数維新によって奪われることになります。

維新との協調を進める官邸の菅官房長官のお膝元である神奈川もその例外ではなく、国政全体のマターでは自民・維新は方向が一致するものの、具体的な選挙区のレベルでは「民主党打倒後」にかなり軋轢が生じるはずです。

ここからは全くの根拠もない予測となりますが、菅官房長官が将来的に維新に移籍して東日本側の顔となって首相を狙うということも十分にあり得る選択肢だと思います。都市部選出の国会議員にとっては、同じ保守政党ならば、地方中心の議員によって構成される自民党よりも都市部中心で構成される維新のほうが魅力的だからです。菅官房長官なら東日本側の代表として「格」と「実力」を十分に満たしています。

主要都市部の「維新化」という解放区の局地的な出現

橋下氏は今年12月からメディア露出を自由にできるようになるため、維新の支持率はうなぎ上りに上昇していくことは容易に想像できます。そして、来年の参議院議員選挙までに予定されている地方選挙で維新の連勝が続くことになるでしょう。(勝てる選挙で立てることで連勝をイメージさせて、衆参の選挙区候補者をリクルートするはずです。)

具体的には、大阪府内の首長・議会議員選挙においては維新の躍進はほぼ確定的であり、京都・滋賀・兵庫などの近畿圏の主要都市部にまで影響力が拡大することになるでしょう。それほど非維新全党を破った政治的なインパクトは大きいものと思います。

更に、西は福岡市で影響力が強まることが予測されるとともに、東については東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木、中部で静岡・愛知では影響力が拡大することが見込まれます。これらの地域で大規模な変動が起きる梃はや連合の分裂と旧みんなの党残存戦力の吸収ということになります。

一部の都市では首長も取れる可能性があるため、それらの地域は維新による解放区として、国家戦略特区の実験地となって発展の芽が蒔かれることが予想されます。選挙が行われないエリアにおいても、維新との距離を縮めようという動きも活発化するため、全国の都市で維新の風が吹くでしょう。

「自民の存在意義」と「維新の外交戦略」に課題、保守二大政党政治の時代へ

現代は自民党と維新による二大政党政治に突入することはほぼ確定した状況ですが、新たな政治的な課題が出現することも予測されます。

まず、自民党については完全なアイデンティティー危機に陥るということです。自民党の存在意義は55年体制における社会党、そしてその実質的な後継政党である民主党との対決にありました。

そのため、自民党は現実的な政策の方向などは二の次となっており、諸外国における保守政党のような政策の立ち位置を取らずに、地方重視の理念なきバラマキ政党となってしまっています。

そのため、民主党が実質的に消滅することで、巨大な保守の都市型政党と向き合うことになり、自民党は存在意義を失ってしまうことになるでしょう。保守系の政権与党として絶対的な存在で無くなる以上、公明党との関係も見直しが迫られる状況となります。

一方の維新も政権を取り得る段階になると、「安全保障・外交政策の欠落」という課題に向き合う必要があります。特に、維新が拠点としている大阪は中国との経済的な関係が強いために、従来までの対米追従路線の日本外交とは外交関係に与える変数が異なることが想定されます。

そのため、民主党の左派路線とは異なるであろうアジア重視の安全保障・外交政策がどのような形で形成されていくのか、それらを担うブレーンをどのように揃えていくのかに注目が集まります。

来年
は台湾総統選挙から始まり、米国では大統領選挙が予定されています。いずれも保守系の民進党・共和党の勝利が予想されている中で、維新の政策は地域政党の枠を超えたビジョンが求められます。参議院議員選挙後、政権奪取が具体化したとき、維新の真価が問われることになるでしょう。





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yuyawatase at 08:00|PermalinkComments(0)

2015年11月10日

小沢一郎・民主党政権に対する民権史観に基づく総括

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「宙に浮いた」民主党政権の総括

2009年に自民党から政権を奪取した民主党は政権を獲得した衆議院議員選挙の直前から内部闘争を繰り返し、最終的には政党としての理念を喪失する形で2013年末に下野することになりました。

国民は民主党が実行不能なマニフェストを作成した政党であり、政権を運営する力が無いものとして判定した結果、2015年現在民主党の支持率は回復しないどころか空中分解的な様相すら示しています。

現在、私たちは自公政権を日本政府の担い手を任せていますが、必ずしもベストな選択としてそれらを選んだわけではなく、自民党の他に政権担当能力がある政党が存在していないという状況が背景に存在しています。

このような状況に陥った理由は、私たちが「民主党政権とは何だったのか、彼らは本来何をやろうとしたことは何か」ということを総括していないことに起因します。アベノミクスなどの経済政策はともかくとして、政治的なパラダイムとしては時が止まったままの状況に置かれています。

小沢一郎氏の党代表選挙の際の演説

民主党政権を実質的に創った人物は小沢一郎氏と言っても過言ではないと思います。政権奪取前の民主党に小沢氏が合流することで民主党は理念と力の両方を得ることに成功し、鳩山政権の崩壊と小沢氏の代表選挙敗北によって民主党政権は終わりに向かいました。

つまり、民主党とは小沢氏が創り上げた政党であり、民主党の本質は小沢氏の言葉の中にあり、そして小沢氏が居なくなった民主党はもはや民主党ではないと言えます。現在の迷走ぶりはまさにそれを端的に表しています。

民主党の総括とは、小沢氏が民主党で進めた政治理念・政治行動に対する総括であり、その小沢氏が進めた標榜していた政治理念は2010年の小沢氏の民主党代表選挙における演説に凝縮されています。

2010年小沢一郎氏・民主党代表選挙演説全文
http://www.asyura2.com/10/senkyo95/msg/254.html

小沢氏が進めようとしていた政治の本質とは「官僚主導」から「政治主導」への転換ということになります。

<一部抜粋>
①「しかしその改革は、明治維新以来、百四十年続く官僚主導の政治を、根っこから国民主導、政治主導に変えな
ければ、とても成し遂げられるものではありません。私の頭の中を占めているのは、その思いなのであります。」

②「官僚支配の百四十年のうち、四十年間、私は衆議院議員として戦い抜いてきました。そして漸く、官僚機構と対峙できる政権の誕生に関わることができました。我々は「国民の生活が第一。」、の政治の幕開けにやっとこぎつけたのであります。」

小沢氏の尊敬する人物は原敬元首相だと耳にしておりますが、原内閣で実行された政治主導の試みが小沢氏が民主党政権でやろうモデルである、と考えることが妥当です。つまり、民主党政権がやろうとしたことは「官から政へ」という政治力学の構造転換を総括することで初めて完了するのです。

政治主導としての政治任用と党への陳情の一元化 

民主党政権時代、自分は下記の2つのニュースに注目してきました。

①霞が関の局長クラスまでの政治任用化
「民主政権では「局長以上は辞表を」 鳩山幹事長語る」
 http://www.j-cast.com/2009/02/10035695.html

②民主党本部への陳情一元化
「政権交代後の陳情対応の変化とは。透明性と公平性を推進」
https://www.dpj.or.jp/article/100009
「自治体首長が「民主党詣で」 陳情一元化、自民打撃も」
 http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111301000814.html

①は戦前から官僚と政治家の間で繰り広げられてきた幹部職員の人事権を巡る争いです。特に戦前は政府の中に政党の意向をくんだ人物が入り込むことを阻止する官僚との暗闘が続きました。戦後は官僚による政治支配が進む形となり、政府内の政治任用職はほぼ存在せず、自民党を中心に高級官僚が議員になる状態が常態化してきました。結果として①は実現されることなく国家戦略局などへの中途半端な政治任用の拡大に終始しました。

②は各省庁が所管している利益団体や地方自治体との繋がりを断ち、官僚がそれらの団体に対して差配する権限を弱めるための政治的な転換となりました。従来までは利益団体や地方自治体は政治家に陳情を行うものの、実際には議席に関係なく永続的な影響力を持つ官僚機構への政策要望の陳情を重視してきました。それらの流れを断ち切って、政党が政策反映へのアクセスポイントを独占することで官への優位を確立する道が開かれました。

小沢氏が目指した「官僚主導から政治主導」へという流れは上記の2つの方法によって実行されるものです。①は中途半端な形でしか実行されませんでしたが、②は短期間ながらも実行されたことによって細野元幹事長党という次代を担う人材の育成が行われることになりました。

民主党政権の末期における「官僚主導」の復活

私自身も民主党の個々の政策に関する賛否はありますが、民主党政権の政策が実行されなかった理由の一つとして、官僚機構による抵抗と巻き返しによる影響が大きかったように思います。特に財源問題などは盤石な政治主導が確立されることによって徹底した歳出削減と予算の組み替えでねん出できるはずですが、中途半端な政治主導では官僚機構の牙城を崩すことが出来ずに前提が崩れてしまいます。

派手な事業仕分けでは大した財源がねん出できないことは当然であり、官僚から政治家への予算編成権の根本的な移譲を実現させるために政治改革の断行は必要不可欠でした。しかし、政権から小沢氏が排除されたことでその道は閉ざされることになりました。

一方、菅首相は就任時に「
官僚の皆さんを排除し、政治家だけでモノを考えて決めればいいということは全くない。官僚の皆さんこそ、政策やいろんな課題に長年取り組んできたプロフェッショナルだ。官僚の皆さんの力も使って政策を進めていく」と述べることで官僚主導の復活を鮮明化しました。
菅政権の跡を継いだ野田政権もかつて自分自身が税金にたかるシロアリと揶揄した官僚と一体なって消費税増税を実現しました。さらに、民主党から自民党に政権が戻ることで政治主導の芽は完全に摘まれることになりました。

以上のように、民主党政権は官僚主導から政治主導を成し遂げるための政権交代を実施したと言えますが、逆に政権任期の途中から官僚と一体化した勢力によって反政権交代が行われたことで改革が未完に終わったという評価が妥当だと思います。

民主党の政権時代には2つの民主党が存在しており、当初に意図した民主党は途中で追い出されて、自民党とほぼ同一の民主党が力を持ったため、政権奪取時に掲げていたマニフェストは実行されなくて当然です。

小沢民主党の総括、事態の更なる悪化へ

民主党政権で未完に終わった政治主導のプロジェクトを理解することで、私たちは次の時代に進むための道標を手に入れることが出来ると思います。

小沢民主党の失敗は政権奪取のために政府支出の増大、つまりバラマキを認めたことにあります。戦前の政友会時代から繰り返されてきたことですが、政府の利権を誰が分配するのか、という基準での争いを止めるべきです。

政治家は選挙の洗礼及びバイネームの活動という特徴を持っているため、政治家が官僚を上回る形で政府の利権を長期間運営することは不可能です。そのため、肥大化した利権は主導した政治家にスキャンダルが発生すると一瞬で官僚の手に落ちます。

本来必要な改革は政府が持つ利権を国民の手に戻す「小さな政府」です。小さな政府を推進することによってはじめて民衆は官僚に勝利することができます。

政官攻防史 (文春新書)
金子 仁洋
文藝春秋
1999-02




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yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)