欠席

2016年03月05日

トランプのCPACドタキャンで予備選挙の流れが変わるだろう

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(CPAC主催団体のマット・シュラップACU会長)

トランプ・CPACドタキャンという前代未聞の選挙戦術を実行、結果は如何に・・・

全米から保守派運動家が集まるCPACをトランプ氏がまさかのドタキャン。そもそも4日の参加予定を5日早朝に変更した上に、何もかもすべてをドタキャンした状況です。大統領予備選挙に与えるCPACのインパクトは絶大であり、全ての大統領予備選候補者が出席することは通例となってきました。(ちなみに、昨年はトランプ氏も参加して演説しています。)

先日、CPACへの出席をマルコ・ルビオ氏が渋ってきた結果、予備選挙候補者が一人だけ別日程という形になっていたものの、トランプ氏の場合は4日の出席をキャンセルして5日に変更、しかしCPAC開催中の4日になって5日の予定をドタキャン、という形なので失礼にもほどがある感じです。

とはいうものの、トランプ氏が「あえて他の人物が全員出席する場所をドタキャンして格の違いを見せる」のは、アイオワ州党員集会直前の討論会をボイコットした時にもあるので、これがトランプ氏ならではの話題作りの戦術だと思われるため、欠席は残念であるものの、CPACの現地でトランプ戦術を体感したこと個人的な意味は大きかったように思います。私が以前から指摘している通り、トランプ氏は予備選挙のライバルを片付けた後のヒラリー対策に既に移っているということも言えます。

トランプ・CPACドタキャンが与える政治的な影響は計り知れないものになるだろう

今年のCPACには延べ1万人程度の熱心な保守派運動員が参加費3万円以上支払って参加しており、旅費なども含めると10万円以上かかって参加している人も珍しくありません。しかも、彼らの多くは共和党の地域における選挙運動の足腰を支える役割を果たしています。

CPACでの出席をアナウンスして全米から共和党支持者を集めながら、それをドタキャンした悪印象は相当なものだと推測されます。実際、テッド・クルーズの演説で「トランプは逃げた!」というようなニュアンスで話が展開されると会場では大盛り上がりという状況になりました。

従来までトランプ氏は、共和党の他候補者やおおよそ共和党に投票しない層を叩くことで、共和党支持者の約30%にコアなファン層を形成する戦略を取ってきました。しかし、今回は初めて明確な共和党支持者層に対して悪印象を与えたものと思います。彼らにお金を払わせた上に出演をスポイルしたわけですから、その影響は今までの発言による反響とは違うものになるでしょう。

共和党執行部とトランプ氏の激しい対立は報道されているところですが、共和党保守派についてはトランプ氏への意見は割れた状態であったように思います。トランプ氏はリベラルであるとみなされているため、当初から保守派のイデオロギーが強い層からは敬遠されてきました。しかし、既存政治へのアウトサイダーという位置づけから一部の保守派から人気があることも事実です。今回はその両者の有権者層に対して好ましくない印象を与えたことは確かでしょう。

米国の保守派の人々は誠実な人が多いため、トランプ氏にメンツを潰された形になったことは個人的に残念ではあるものの、彼らが今度の大統領選挙で更に本腰を入れるきっかけになったものと思います。最終日の模擬投票の結果で誰が勝利するのか、各候補者間でどの程度の差がつくのか、非常に楽しみな状況となってきました。




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yuyawatase at 20:57|PermalinkComments(0)

2016年01月30日

ドナルド・トランプがFOXの討論会を欠席した理由

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ドナルド・トランプ氏がアイオワ州党員集会直前のFOXのTV討論会を欠席

ドナルド・トランプ氏がアイオワ州共和党党員集会直前のFOX主催のTV討論会を欠席しました。

欠席の公式理由としてFOXニュースのアナウンサーから不当な扱いを受けたことなどを挙げており、討論会場から僅か3マイル離れた場所で同時刻に退役軍人のための非営利団体向けの集会を開催しました。

トランプ氏の欠席の理由を説明することを求められた場合、手堅く話すなら上記の経緯に触れた上で適当にトランプ氏の姿勢をディスっておけば良いでしょう。大学の先生やシンクタンクの研究者の説明なら大体そんな感じで安牌ということになります。

しかし、それではトランプ氏の討論会欠席の説明にはなっても分析にはならないので、筆者は選挙戦略上の定石という観点からトランプ氏の真の意図を深堀していきたいと思います。トランプ氏の行動は突拍子もないものに見えますが、彼の行動は常に選挙戦略上の理にかなったものだからです。

<過去記事>*トランプ・サンダース台頭、ブッシュ・カーソン失速、マルコルビオ台頭を予測解説
米国大統領選挙、トランプVSサンダースの究極バトルがあり得る?(1月12日)
アイオワ州党員集会直前、共和党・民主党の波乱が現実に?(1月22日)

現在のトランプ氏の支持率トップは薄氷の上のものでしかない、という事実

予備選挙初戦が予定されているアイオワ州でのトランプ氏の2位クルーズ氏との直近の支持率差は、1月29日現在の世論調査の数字では大よそ8ポイント以内という状況になっています。

これはトランプ氏がクルーズ氏に負ける可能性が十分にあることを示す数字です。アイオワ州は前回の2012年の予備選挙当時、トップを走っていたロムニー氏に対して2位サントラム氏が約6ポイントのビハインドを詰めて差し切った経緯があります。

アイオワ州は伝統的に徹底的な地域密着戦略が功を奏しやすい環境があり、クルーズ氏は年明けから同州での活動に積極的に注力してきました。また、彼を支えるキリスト教福音派もアイオワ州での集票に向けてフル稼働するものと考えられます。保守派の強烈なイデオローグであるグレン・ベック氏からクルーズ氏へのエンドースメントも大きなインパクトをもたらすでしょう。

それに対してトランプ氏は大味のメディア戦略を中心としたキャンペーンを展開しており、最終的な運動力の差でアイオワ州で逆転負け、その後トップランナーとしての地位を失う可能性すらあります。トランプ氏はメディアを牛耳る主流派と保守派を支える草の根団体からの支持が弱く、本来であれば同州内で綿密に展開するべき足を使った選挙戦を展開できていないように見えます。

実際、トランプ氏は支持率トップではありますが、非トランプの他候補者らのポイントを合計すると、トランプ氏の支持率を上回る状況にあります。現状の支持率トップはトランプ氏の巧みなメディア戦略によって支えられたものであり、選挙の足腰まで含めた陣営の底力を加味すると薄氷の上の優位でしかないと言えます。

トランプ氏の勝利は、トランプVSその他大勢、という構図を作ることで達成される

そこで、トランプ氏が打った奇策が「FOXのTV討論会欠席」という一手でした。選挙戦略における定石は、当選1名の選挙で複数の候補者が立った場合は「自分VSその他」という構図を作ることにあります。

自らが常に話題の中心となるように演出して、他の候補者を自らの存在を彩る脇役の地位に甘んじさせる、というやり方は極めて有効な戦術であり、日本国内の選挙でも良く見られる手法と言えるでしょう。

今回、トランプ氏は「討論会を欠席」した上で討論会場の間近で「自らの集会」を開いて見せることで、他の候補者がトランプ氏と同じ土俵に乗ることを拒否しました。その結果として各候補者は自らのPRを行う機会を得るとともに、出席した候補者同士が十分に互いを攻撃する機会を得ることが出来ました。

しかし、メディアの話題の中心はトランプ氏であり続けたことは間違いありません。他候補者を討論会上に置き去りにすることで、トランプ氏を頭一つ抜けた存在として視聴者に意識させつつ、他候補者を2位以下の候補者としてグルーピングすることに成功しました。

そして、案の定、討論会では2位のテッド・クルーズ氏と3位のマルコ・ルビオ氏が潰しあいを演じたこと、両氏ともに過去の自らの発言と現在の主張の整合性が問われる状況に陥ったことで、2位以下候補者の支持者の票はトランプ以外の候補者に広く分散したものと推測されます。

トランプ氏にとっては、トランプ氏に対抗できる2位候補者(現時点ではテッド・クルーズ氏)の支持率が減少することが最も望ましい成果であり、自分自身の不在というリスキーな選択肢を採用しつつも、選挙戦略上の目的を一定程度達成できたものと思われます。

トランプ氏のメディア戦略を通じた構図づくりの巧みさは目を見張るものがあり、既存の枠組みに捉われない圧倒的な存在感を発揮し続けています。

今後の展開を左右するアイオワ州・ニューハンプシャー州の結果に注目したい

現在まで濫立した候補者が撤退しない理由は、ベン・カーソン氏の撤退待ち、をしているからでしょう。ベン・カーソン氏は一時は支持率トップにまでなりましたが、保守派候補者の通例通りに主流派メディアのキャンペーンを食らって現在は支持率を大きく落としています。

残念ながら、ベン・カーソン氏が現在の位置から再浮上することは困難であり、彼が有する支持率(10ポイント弱)がいずれに候補者に流れるのか、ということは予備選挙の構図を左右する極めて重要なファクターになるでしょう。現在、トランプ氏、クルーズ氏、ルビオ氏の3者以外の泡沫化している候補者であっても、ベン・カーソン氏の撤退時の支持表明を受けることができれば、一気に2・3位争いの有力候補に浮上できるからです。

したがって、アイオワ州・ニューハンプシャー州の結果を受けて、誰がどのタイミングで撤退していくのか、そして撤退する候補者が誰を支持するのか、という点に今後は注目を絞っていきます。

共和党の大統領候補者を選ぶ予備選挙は佳境を迎えてきています。テッド・クルーズ氏もマルコ・ルビオ氏も十分に魅力的な候補者であり、彼らに対してトランプ氏のメディア戦略はどこまで通用し続けるのでしょうか。

アイオワ州の党員集会は各候補者が鎬を削るギリギリの戦いとなっており、米国の未来を左右する同州の投票結果の重要性が増しています。

困難な選択 (上)
ヒラリー・ロダム・クリントン
日本経済新聞出版社
2015-05-01


明日の成功者たちへ
ドナルド・トランプ
PHP研究所
2010-08-26
 

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