橋下
2015年11月23日
大阪ダブル選挙勝利後、「橋下・維新」全国制覇戦略を予測
大阪ダブル選挙は、おおさか維新の会が解消、全国制覇への始動開始へ
大阪ダブル選挙は、おおさか維新の党の圧勝、民主と対決する形での全国擁立へ、という流れになりました。ここまでは完全に予想した通りの結果であり、それほど驚いてはいません。非維新の全野党が敗北したことで時代の大きな流れが動き始めたことを確信しています。
ちなみに、過去の分析記事は下記の通り(全部当たっています)であり、維新が全国に躍進できる根拠はそちらをご覧ください。今回はそれらを前提として、今後の更なる維新の戦略を予測していきます。
大阪W選挙は野党第一党を実質的に決定する選挙(11月6日)
大阪W選挙、おおさか維新の会圧勝予測!新たな局面へ(11月16日)
民主党、最大の支持母体・連合の分裂不可避、民主党の壊滅カウントダウン
おおさか維新の会の戦略の主要な焦点は、民主党を壊滅させて野党第一党の座を確立し、自民党と政権交代可能な保守政党の地位を確立することです。その過程において、最初に邪魔になるのは民主党ということになります。(その他の弱小政党は全て自民・維新に吸収されていくでしょう。)
民主党を壊滅させる方法は一つであり、それは最大の支持母体である連合を分裂させることです。民主党という政党が存在している唯一の理由は、選挙の支持母体である連合の支援を受けられる、という一点のみであり、逆に連合からの統一的な支持が無くなれば民主党は一瞬で瓦解します。
連合は、旧同盟系は維新へ、旧総評系は民主党に残留(中道左派の三極化へ)
そのため、維新は連合を分裂させるためにアプローチを開始するでしょう。
具体的には、旧同盟系と旧総評系の労働組合の分裂を狙うものと思います。旧同盟系労働組合は、繊維、自動車、金属、重厚長大系などによって構成されており、日本共産党と対立する右派路線の組合によって構成されています。そのため、共産党との協調路線を進める現在の民主党執行部とは潜在的な路線対立の可能性を孕んでおり、政治的な刺激が与えられることで連合は内部分裂することが予想されます。
維新は総評系の自治労・日教組などの公務員系労組とは対立していますが、旧同盟系と対立関係にあるわけではなく、旧同盟系は十分に取り込むことができるでしょう。労組の強い影響下にある愛知県の河村市長が秋波を維新に送れる理由もここにあります。労働組合側も一度政権の味を知った以上、もはや政権に返り咲く可能性が限りなく0%の民主党と運命をともにする理由はありません。
連合が分裂した場合、民主党議員は雲散霧消化した上で、旧総評系は新左翼系とともに新・民主党として残ることになるでしょう。総評の組織規模から考えると、新・民主党は中道左派の第三極に転落することになります。衆参ダブル選挙の可能性がチラつく中で民主党の打ち手はほぼ無くなりつつあります。
自民党・おおさか維新の会の「毒を食らわば皿まで」のチキンレース
一方、自民党と維新は一旦は協調関係を取る形になるでしょう。民主党を野党第一党から引きずり降ろし、憲法改正に向けた保守勢力による大同団結を演出する必要があるからです。そのプロセスで橋下氏の入閣も協調関係を演出する上で有力な選択肢となります。
しかし、その結果として、両者は「毒を食らわば皿まで」というチキンレースに突入することになるでしょう。維新は以前から得票数においては近畿だけでなく東京・南北関東においても民主党に肉薄するだけの比例票を獲得する力があります。上記のように民主党が壊滅することを併せて考えると、自民党都市部の議席は相当数維新によって奪われることになります。
維新との協調を進める官邸の菅官房長官のお膝元である神奈川もその例外ではなく、国政全体のマターでは自民・維新は方向が一致するものの、具体的な選挙区のレベルでは「民主党打倒後」にかなり軋轢が生じるはずです。
ここからは全くの根拠もない予測となりますが、菅官房長官が将来的に維新に移籍して東日本側の顔となって首相を狙うということも十分にあり得る選択肢だと思います。都市部選出の国会議員にとっては、同じ保守政党ならば、地方中心の議員によって構成される自民党よりも都市部中心で構成される維新のほうが魅力的だからです。菅官房長官なら東日本側の代表として「格」と「実力」を十分に満たしています。
主要都市部の「維新化」という解放区の局地的な出現
橋下氏は今年12月からメディア露出を自由にできるようになるため、維新の支持率はうなぎ上りに上昇していくことは容易に想像できます。そして、来年の参議院議員選挙までに予定されている地方選挙で維新の連勝が続くことになるでしょう。(勝てる選挙で立てることで連勝をイメージさせて、衆参の選挙区候補者をリクルートするはずです。)
具体的には、大阪府内の首長・議会議員選挙においては維新の躍進はほぼ確定的であり、京都・滋賀・兵庫などの近畿圏の主要都市部にまで影響力が拡大することになるでしょう。それほど非維新全党を破った政治的なインパクトは大きいものと思います。
更に、西は福岡市で影響力が強まることが予測されるとともに、東については東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木、中部で静岡・愛知では影響力が拡大することが見込まれます。これらの地域で大規模な変動が起きる梃はや連合の分裂と旧みんなの党残存戦力の吸収ということになります。
一部の都市では首長も取れる可能性があるため、それらの地域は維新による解放区として、国家戦略特区の実験地となって発展の芽が蒔かれることが予想されます。選挙が行われないエリアにおいても、維新との距離を縮めようという動きも活発化するため、全国の都市で維新の風が吹くでしょう。
「自民の存在意義」と「維新の外交戦略」に課題、保守二大政党政治の時代へ
現代は自民党と維新による二大政党政治に突入することはほぼ確定した状況ですが、新たな政治的な課題が出現することも予測されます。
まず、自民党については完全なアイデンティティー危機に陥るということです。自民党の存在意義は55年体制における社会党、そしてその実質的な後継政党である民主党との対決にありました。
そのため、自民党は現実的な政策の方向などは二の次となっており、諸外国における保守政党のような政策の立ち位置を取らずに、地方重視の理念なきバラマキ政党となってしまっています。
そのため、民主党が実質的に消滅することで、巨大な保守の都市型政党と向き合うことになり、自民党は存在意義を失ってしまうことになるでしょう。保守系の政権与党として絶対的な存在で無くなる以上、公明党との関係も見直しが迫られる状況となります。
一方の維新も政権を取り得る段階になると、「安全保障・外交政策の欠落」という課題に向き合う必要があります。特に、維新が拠点としている大阪は中国との経済的な関係が強いために、従来までの対米追従路線の日本外交とは外交関係に与える変数が異なることが想定されます。
そのため、民主党の左派路線とは異なるであろうアジア重視の安全保障・外交政策がどのような形で形成されていくのか、それらを担うブレーンをどのように揃えていくのかに注目が集まります。
来年は台湾総統選挙から始まり、米国では大統領選挙が予定されています。いずれも保守系の民進党・共和党の勝利が予想されている中で、維新の政策は地域政党の枠を超えたビジョンが求められます。参議院議員選挙後、政権奪取が具体化したとき、維新の真価が問われることになるでしょう。
yuyawatase at 08:00|Permalink│Comments(0)