株高
2016年11月05日
トランプ大統領誕生で米国経済は好景気になる
トランプ大統領誕生は米国経済の浮揚に向けた切り札として機能する
政策音痴な識者たちによって「トランプ大統領が誕生した場合、経済にとってマイナスに作用する」という言論が行われています。しかし、それらのポジショントークの言論は経済政策の常識から考えて明らかに間違っています。
本日はヒラリーとトランプ氏の経済政策を比較することで、11月8日の米国大統領選挙後に経済がどのように推移していくのか、について予測を行うことにします。従来までの米国通とされる識者らが「実は政策をほとんど見ていない」で米国メディアの猿真似で論評していることが良く分かると思います。
ヒラリーの社会主義政策、トランプの減税&景気刺激政策の優劣は明らか
まず最初に基本的事項として確認して置くべきことはヒラリー・トランプ両氏が「何党」の代表者かということです。そして、言うまでもなく、ヒラリーは民主党、トランプ氏は共和党の指名候補者です。
ヒラリーを擁する民主党は企業活動や富裕層に対して厳しく規制強化・増税路線の政党だと言えます。更に、今回の大統領選挙でヒラリーはサンダース支持者を取り込むために左寄りの政策を採用せざるを得なくなっています。
富裕層への増税、企業への課税強化、金融機関への規制強化、TPPへの反対など、経済活動に制約を加える政策のオンパレードです。もちろんヒラリーはクローニーキャピタリズム(縁故資本主義)の権化なので、それらの政策はいずれも骨抜きになるかもしれませんが、現状においては経済フレンドリーな候補者ではありません。
そして、ヒラリー大統領の下で何よりもオバマケアをはじめとした社会保障制度を強化していくことになるでしょう。ただし、社会保障費の増大が経済成長の足枷になることは既に日本で証明済のことです。
一方、トランプ氏を擁する共和党は企業活動や富裕層にフレンドリーな規制緩和・減税路線の政党です。
たしかに、今回の大統領選挙では減税路線についてはトランプ氏・共和党の政策は共同歩調であるものの、両者の方向性が必ずしも全てが一致しているわけではありません。
トランプ氏は大型のインフラ投資に向けた財政出動を標榜しています。そして、財源としては予備選挙段階では巨額の軍事費支出について言及する場面もありました。TPPなどの自由貿易に反対す方針についても明確に述べています。これらは従来までの連邦議会を牛耳る共和党と対立する政策だと言えます。
ただし、筆者はそれらの政策的齟齬は大統領・議会の間で深刻な対立にはならないものと推量します。トランプ氏と共和党にとってはオバマケアなどのオバマ時代の社会主義的政策を廃止することが重要であり、トランプ氏の政策に反対すること自体の優先順位は高くないからです。
そのため、財政規律に関しては減税・財政出動・軍事費の折り合いをつける形でなし崩しとなり、米国経済の景気過熱が拡大していくものと推測します。また、トランプ大統領誕生時には上下両院は共和党が多数を占める可能性が高く規制緩和に関しては議会主導で粛々と進んでいくものと思います。
政策音痴の勘違いは無視、米国は一瞬の株安・ドル安後に株高・ドル高に向かう
上記のように、ヒラリーの経済政策は経済成長を阻害する要因が多く含まれており、トランプ氏の経済政策は景気を過熱させる要素が盛り込まれていることが分かります。
オバマ政権からの安定性という観点からトランプ大統領誕生の瞬間には一時的に株価などの経済指標が悪化するかもしれませんが、中長期的にはトランプ大統領の政策によって米国は株高・ドル高に向かうことになるでしょう。
筆者は「トランプ氏の自由貿易を阻害すること・巨額の財政出動を実施すること」には極めて懐疑的な立場ではあるものの、経済成長という観点からは民主党よりも共和党の方が優れた政策を掲げていると理解しています。したがって、共和党指名候補のトランプ氏と共和党主導の連邦議会によって妥当な経済政策が採用されていく可能性は十分にあります。
「トランプ大統領で米国経済は長期不況に突入し、世界経済にもトランプ・ショックが甚大な被害を与える」という類の妄言は杞憂に終わることでしょう。ヒラリーとトランプ、どちらの経済政策を良しとするかによって、その人が政策音痴かどうか明確に分かると思います。
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yuyawatase at 09:00|Permalink│Comments(0)