最低賃金

2015年12月22日

赤木智弘さんの「ワンオペバイトは効率化できない」を斬る

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世の中、実際の経営を知らない人間が理想論をまき散らしている


BLOGOSを読んでいたら、たまたま赤木智弘さんの文章に出会いました。たまに、名前を見かけるだけであまり気にしたことはありませんでしたが、無意味な文章を長々と書けるものだと感心します。

経営者が吐きかける、アルバイトへの"脅し"は本当なのか?

趣旨としては、アルバイトの仕事はもうワンオペまで来ていてこれ以上効率化できないのだから、最低賃金の1500円の引き上げに対して、経営者の方が「仕事がロボットになるぞ」と述べたことは脅しに過ぎない、というものです。

この経営者が誰だか知りませんが、もう少し詳しく話してあげないと左派の有識者っぽい人たちは現実が理解できないだろうから、親切心が足りない人であることは間違いありません。上記の論考では、発言を真に受けた赤木さんが「ロボット」に反応して人工知能にまで話を発展させてしまうというトンデモない状況が発生しています。

時給1500円まで上げると「その仕事自体が無くなる」が正解である

最低時給を仮に1500円まで上げるとした場合、そのコストが負担できない仕事は無くなるだけです。また、従来まで利益が出ていた仕事であっても利幅が少なくなれば、その仕事ではなく人間を使わない別の仕事に資本を振り向けることになります。

つまり、「ロボット」なんて金がかかるものに仕事を奪われるのではなく仕事自体が消滅するわけです。上記の経営者の人はロボットで云々という話をしていたそうですが、ワザワザ設備投資してまでそんな低採算の事業を継続することの意味が分かりません。

日本のバイトの時給が低い理由は人口一人当たりのGDPが中流国と同程度の低生産状態の国力だからです。そのため、同一労働のバイト代が高い高付加価値の他国と比べたところでほとんど意味がありません。ちなみに、それらの国は物価も高いのでアルバイト代が上がっても生活が良くなる保証もありません。

経済がグローバルにつながっている中で国内で仕事が欲しければ構造改革を進めるしかない

本来であれば、自分が給料が高いところに移動して仕事に就けば良いだけですが、言語障壁や移住費用などの諸々の壁があるために外国に移り住むことは難しいでしょう。その場合、国内においてより良い仕事に就く必要があります。

そのためには、「最低賃金1500円!」などの非現実な妄想を叫んで自らの雇用を無くす方向で頑張るよりも、規制緩和によって新産業の雇用を増やしつつ、自分自身も学習を継続してより良い仕事につけるように努力するべきです。

現代社会においては全世界の経済は互いに接続しており、日本の市場としての魅力が低下すればお金の流れが悪くなり、それだけ自分の雇用環境が悪くなるわけです。そのため、自ら規制を強化してお金の巡りを悪くすることは、わざわざ血管を塞いで血液の巡りを悪くするくらい愚かなことでしかありません。

赤木さんは、

「少なくとも、人工知能が人間の知能を超える前でも、こうして私達がたどってきた労働と機械の関係性を全く考慮せず、自分が無知であるということにすら気づけずに、ただ脅しの言葉として「ロボットが職を奪うぞ」なんて気軽に書き込んで、待遇改善を求めるアルバイトを嘲笑っている低能な経営者が、株主らのまっとうな判断として職を奪われるのは、あと数年先の未来だと僕は思うのだけれどもね。 」

と述べられていますが、その経営者は人間の仕事を機械に変えるという国内で継続する意志があるだけまだマシな決断を行っています。むしろ、株主は経済効率を阻害する規制や税制を作ることで日本での事業を止めるように働きかけることになるでしょう。

少なくとも日本の時給が他の先進国と比べて低くなっている原因についてもう少し勉強されたほうが良いと思います。

GDP――〈小さくて大きな数字〉の歴史
ダイアン・コイル
みすず書房
2015-08-26






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yuyawatase at 18:00|PermalinkComments(0)

2015年11月26日

大人の教科書(6)最低賃金1000円、首相は労働組合長なのか

マネキン

2015年10月1日から順次全都道府県で改定最低賃金が発効されています。最低賃金が増加したことに喜ぶ声や更に引き上げを求める声などがネット上には多く寄せられました。さらには、安倍政権が毎年3%程度の最低賃金を上げて1000円にすると言っています。

最低賃金1000円、更なる引き上げを求める人々に見えないもの

今年10月17日東京で最低賃金1500円を求めるデモが実施されるなど、政府による最低賃金の更なる引き上げを要望する動きも出ています。また、経営共創基盤CEO冨山和彦氏などのエコノミストは最低賃金1000円まで引き上げて産業の構造転換を図るべきという提言を出しています。

安倍政権は首相が労働組合長になったかのような勘違いで最低賃金1000円の引き上げを企業に要望しています。1億総活躍の意味がまともに働いた経験がほとんどないから分からないのでしょう。

これらの議論を見た場合、最低賃金を引き上げは全ての人々の賃金が引きあがったように見えます。しかし、今後、日本社会の在り方を考えた場合、最低賃金の引き上げ、もしくは最低賃金の存在そのものが大きな問題となる可能性があります。

最低賃金は超高齢化社会における「低スキル高齢者」の仕事を奪うもの

最低賃金の更なる引き上げを求めている人々は、最低賃金があるために就労可能性が奪われている人々のことを忘れています。最低賃金を引き上げた場合も当然に失われる雇用もあると思いますが、それ以上に現在の議論では「既に失われた雇用」がほとんど見えてきません。

日本は高齢化社会に突入しているため、大量の高齢労働力が余っている状況にあります。しかし、元々の社会構造や技術革新の問題から、現在の正規賃金では働けない高齢者の労働力が活用できていません。膨大な社会保障費の更なる増加を防止するため、高齢者の低賃金就労を促進することが重要です。

「最低賃金」は低スキルの高齢者から仕事を奪うため、「一億総活躍社会」どころか「老人総引退社会」を創りだすための政策でしょう。時給1000円も払って技術革新から取り残された高齢者を雇うことはないため、高齢者の就業は進まずに社会保障費がますます増加していくことになります。

政府が賃金を決定することは極めてナンセンスな行為である

そもそも賃金は雇用主と労働者の間で自由に契約して決定すれば良いものであり、自分で事業を行うわけでもない政府のような第三者が決定すること自体がナンセンスなのです。

過酷な労働環境を防ぐために最低賃金があると主張することも同様に意味がないことです。労働者にとって自らの職場環境を保証するものは豊富な労働のための選択肢だからです。仕事が沢山あれば幾らでも良い条件の仕事を選ぶことが出来るからです。





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yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)

2015年11月19日

超高齢化社会を生きる①「最低賃金全廃」による雇用創出へ


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超高齢化社会を迎えて「個人としては人生をどう生きるべきか」が問われる時代となっています。そして、日本社会としては従来までの現役世代が支えてきた社会システム全体が崩壊し、ほぼ無制約な社会保障費用の増加の中で国家財政が危機的状況に陥っています。そのため、もはや既存の政策の延長線上に未来はなく、全く新しい発想で社会システムの再設計を行うことが必要となっています。

あらゆる政策のコンセプトが逆転する世界に突入しているという認識

現在の日本の政策の基本コンセプトは「ピラミッド型人口構造と全国的な人口分散状況」という戦後の高度経済成長期の状況を前提としています。これらの前提状況が完全に崩れ去ったにもかかわらず、その社会システムの基本コンセプトは維持されたまま、時代の変化への部分改善が実行されています。

正直に申し上げて「現在の政策は基本コンセプトが180%時代に合わない有害なものばかり」です。しかし、それらは利権と惰性によって日本社会を滅ぼす方向でビルドインされた毒薬として機能しています。

まず最初に私たちが持つべき認識は「私たちの目の前にある全ての政策は『本来あるべき姿と真逆のものになっている」ということです。この前提を共有することで初めて有効な処方箋にたどり着くことが可能となります。

社会保障費用を削減するためには「高齢者が低賃金で働く場所」が必要である

現在、政府はシルバー人材の再雇用を促すために、各種助成金などを整備して見かけ上の失業率の改善などを実行することに躍起になっています。

しかし、シルバー人材の培われた能力を生かすなどと恰好が良いことを述べてもその事例はほぼなく一時的な現象となるでしょう。なぜなら、そもそもシルバー人材の大半は「現代に求められているスキルを持たない労働者」だからです。

政府は高齢者票に媚びているばかりで真実を話すことが出来ていません。しかし、社会政策は社会の事実を的確にとらえた上で実行される必要があります。時代遅れになったスキルや就業経験不足の専業主婦などを正規の給料で雇う必然性はありません。

誰も働き続けることができる社会とは「特別なスキルを持たない高齢者」でも生涯現役として働く場が与えられる社会のことです。そして、それは助成金・補助金によるオコボレとしての労働を行うのではなく、たとえ低賃金でも自らの手で稼ぐことができることだと思います。

高齢者層が「働かない意識が無くなる」または「働く場所がない」ことによって、高齢者が本来得るべき所得が喪失し、社会保障費用の増大という重荷になって返ってきます。今後、高齢者の更なる人口増加を見据えて、本来であれば、高齢者が低賃金で働くことができる環境を作ることが重要です。

高齢者から雇用を奪う「最低賃金の全廃」という処方箋の実行

2015年10月1日から新たに全国的に最低賃金が上昇しましたが、現在の超高齢化社会の構造を考えた場合、本当に愚かな政策だと思います。上記の通り、最低賃金法は低収入でしか働けない高齢者から「就労の機会」を奪っているからです。

今後、現役世代の労働人口が減少していく中で、最低賃金がなくとも大方の現役世代の労働者の賃金は必然的に上昇していくことになるでしょう。むしろ、低賃金の高齢者の労働力を活用した場合、現役世代の労働者はより生産性が高く賃金の高い仕事に就くことができる可能性があります。

これらの高齢者によって低賃金の労働力が提供されることで、企業は新たな分野に投資する(つまり、現役世代が新たなスキルを得られる)仕事に取り掛かることができるからです。高齢者を社会保障費用がかかるコストセンターから新規投資を行うための原資の節約を担う貴重な資源となります。

まずは段階的に「年齢別の最低賃金」を設定して制度の廃止に向かうべき

直ぐに実行すべきことは「60歳以上の最低賃金を廃止すること」です。高齢者の再雇用や新規就業に向けた給料面でのハードルを下げることで就業機会を提供することが重要です。

そして、高齢者の就業機会を確保した上で、次は未成年の最低賃金を廃止するべきです。未熟練労働者に優先的に就業する機会を与えることで、仕事が何たるかを教え込む必要があります。最低限の礼儀・マナーなどを身に付けることができれば、まともな仕事につくことができるからです。

職業訓練のような人的資本への投資は必要ですが、それよりも就業体験のなかで実践的に仕事・スキルを学び取る機会は重要であり、スキルアップのための研修は別途想定すべきものとなります。

ちなみに、現役世代であるにもかかわらず、「昼間から賃上げのためのデモをしているようなスキルレスな労働者は、最低賃金があるから就労機会がないのだ」ということを学習するべきです。

そして、最初は低賃金から始めたとしても自らスキルを習得してより所得の高い仕事につくべきです。むしろ、それ以外に自分の給料が大幅に改善することはないと知ることが重要です。

段階的に最低賃金を廃止していくことを通じて、超高齢化社会の労働力を生かした社会を創ることが望まれます。





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yuyawatase at 21:00|PermalinkComments(0)