慰安婦

2016年01月05日

点と線を繋ぐ外交視点、慰安婦問題から見る東アジア情勢

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昨年末の慰安婦に関する日韓合意の背景に存在する北朝鮮問題

昨年末に行われた慰安婦に関する日韓合意の背景には、米国による意向が強く働いていたものと推測されます。上記の日韓合意について、米国側が強烈に後押しした発言を行ったことや米国内の韓国系団体に対して合意を尊重するように働きかけたことからも明らかです。

現状では韓国政府が慰安婦関連の団体を説得する重荷を背負った状況となっていますが、そもそも日本政府が訪韓する段階でこのような状況になることは目に見えていたはずであり、日本政府側だけでなく韓国政府側にも米国から会談を受けるように要望があったことは間違いないでしょう。

米国が日韓関係の修復を急いだ背景には、中国の安全保障上の脅威が高まる中で米国の同盟国同士のいがみ合いを終わらせたかったということもありますが、北朝鮮が2010年10月に36年ぶりに朝鮮労働党党大会を開催すると決めたことが大きかったと推測します。

実際、米国の世論調査でも、国際的な安全保障上の関心事として中東・テロなどと同ランクの事項として「北朝鮮問題」が上位に位置付けられることもあり、米国の空気感は北朝鮮動向についてかなり敏感だと言えるでしょう。

北朝鮮側から同大会で限定的ながらも周辺国との関係改善及び経済改革が打ち出される可能性が高いものの、北朝鮮による核実験や南北朝鮮の再接近による政治情勢の不安定化への危惧があり、大統領選挙の年と被る同党大会前に日韓の手打ちを行わせておくことは米国にとって次善の策だったと言えます。

対中包囲網の形成にまい進する安倍外交の日本

上記のような米国の意図とは別に、安倍政権は基本的な外交・安全保障政策として対中包囲網の形成にまい進しています。中国の外交的・軍事的膨張を抑え込むために、中国の周辺国(米・日・豪・印ら)との外交・安全保障関係を強化しする路線です。(安倍政権発足当初はセキュリティダイヤモンドなどという言葉で表現されました。最近は耳にしなくなりましたが。。。)

米国向けには、安保法制を通すことで同盟国としての地位を格上げし、米国議会演説や安倍談話の発表によって、安倍政権の歴史修正主義的な雰囲気を化粧することで、同国に自由主義的なイメージを浸透させました。第一次安倍政権時代での対米関係の悪化も一因となって退陣に追い込まれた反省が生かされた形です。

豪州・インド向けには、安全保障関係の強化が確認されるとともに武器輸出に関する交渉も始まっています。昨年7月には米豪の軍事演習に日本も参加して準同盟ぶりを示すとともに、10月には8年ぶりに自衛隊がインド洋での日米印の軍事演習に参加しました。ASEANに関しても東アジアサミットで中国の南シナ海問題が大きく取り上げられることになりました。

昨年10月に任官されたばかりのタカ派の外交通である河井克行首相補佐官が日米豪英印を訪問していることからも、安倍政権がセキュリティダイヤモンド構想を継続していることが伺えます。

問題となる韓国・ロシアについても、韓国については米国の意図に乗る形で慰安婦合意を行ったことで外交関係の問題を処理することに成功し、ロシアについても年頭あいさつで日ロの平和条約について安倍首相が明言するなど関係改善に向けた動きが出ています。4月に予定されている北海道の衆議院補選で新党大地が野党連合に協力しない理由は日ロの関係改善を見据えたものではないかと推測します。

以上のように、安倍政権は中国の周辺国との関係強化にほぼ成功しつつあり、対中包囲網を完成させつつあると言えるでしょう。日本の外交・安全保障環境の改善という意味では非常に望ましいものではりますが、後述の通り、要となる日本と米国では対アジア政策観が全く異なることは日本の針路に大きな爆弾を抱えることになる可能性があります。

「米国」の主要な関心は「中東」と「欧州・ロシア」であって「中国」ではない

日本の米国通とされる有識者らが書く文章を読むと、私たちは米国が東アジア情勢、特に中国の軍事的な脅威について非常に関心を持っていると思い込みがちです。しかし、これらはそれら有識者が日本での地位を確保するためのポジショントーク的な言説に過ぎず、その手の言説をばら撒く有識者の発言は信用できません。

米国の主要な外交的関心事は中東と欧州・ロシアにあります。中東に関しては、ISを巡るシリア・イラク情勢だけでなく、イランとの交渉やサウジアラビアとの関係など、米国の安全保障に致命的に関係する案件が山積みとなっています。実際に昨年末の共和党の大統領予備選挙候補者を集めた討論会では「中国」の話はほとんど行われず、話題はもっぱら「中東」「テロ」でもちきりでした。

米国にとっては欧州・ロシアも非常に重要な問題です。欧州からの対米投資はアジアからの対米投資よりも遥かに巨大であり、政治・外交に関しても老獪な欧州・ロシアは米国にとってコストがかかる相手です。特にロシアは米国を安全保障上の脅威として位置付けるなど、豊富な軍事力・外交力・エネルギーなどを背景に米国の覇権に挑戦する存在となっています。

一方、アジアは中国の軍事的な拡張は留意されるものの、米国にとっては北朝鮮の体制混乱のほうが問題視されていると言えるでしょう。中国の米国に対する挑戦は上記の2地域と比べれば表面化しておらず、米国側では「中国の台頭」として認識されています。そのため、日本・韓国・豪州などの同盟国を活用したバランスを取る政策が採用されており、中国の脅威に対して本格的にコミットする状況ではありません。これは南シナ海での航行の自由作戦が事実上の腰砕けに終わっていることからも明らかです。

そして、この米国の外交方針はオバマ政権だけでなく共和党党政権になったとしても、現状では大きな変更があるとは想定できず、米国のコミットメントは必要とするものの過大な期待を抱くことは間違っています。

噛み合わない日米の安全保障戦略、東アジアの現代史の岐路へ

上記の通り、日本と米国の安全保障戦略観は大きく異なります。ここで問題となることは、日本は主要な仮想敵として中国を認定した安全保障戦略を性急に展開しつつあるに対し、米国は中国を脅威として認識しつつも優先順位が極めて低いということです。

従来までは米国は日中の紛争に関するコミットメントについては中国を刺激しないような形での温和な表現を心がけてきていました。米国としては中東・ロシアの相手で手一杯であり、中国と事を構えるつもりはほとんどないものと思われます。

一方、日本側は対中包囲網が完成しつつある中で、中国との限定的な紛争に具体的に突入できる環境が形成されるつあります。この見通しは「憲法改正反対!」「安保反対!」というお花畑な主張ではなく、安倍政権の一連の具体的な外交・安全保障政策の結果として生まれた環境変化によるものです。

このようなズレによる齟齬がが安倍首相が航行の自由作戦に賛意を示した後、米国の及び腰の対応を見て参加を見送る穏便な発言に修正したこと等のように現実に起き始めています。

安倍政権の外交政策が成功してきた結果として、逆に日米の外交・安全保障環境の認識において噛み合わない状況が発生するという皮肉な状況が起きています。このような状況の中で、日米の外交当局者がどのような外交・安全保障に対する判断を下していくのか、我々は東アジアの現代史の岐路に差し掛かっていると言えるでしょう。




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yuyawatase at 13:23|PermalinkComments(0)

2015年12月28日

日中限定戦争への道、慰安婦・日韓合意の真意を探る

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日韓の不可解な慰安婦に関する合意、突然の年内決着の思惑とは何か

タカ派で知られる安倍政権が年の瀬に突如として実行した岸田外相の訪韓と慰安婦問題における大幅な妥協は何を意味するのでしょうか。そして、慰安婦問題の立ち合い人として米国を据えた意味はどこにあるのでしょうか。

安倍政権の日韓合意に込めた意図は米国などの国際世論に「日本の正当性」をアピールすることにあります。

同政権は米国議会における演説などでも歴史修正主義的な内容を一切含まず、夏の談話についても文言を工夫して戦後民主主義・自由主義陣営に属するイメージづくりに励んできました。そして、従来までの慰安婦に関する政府主張を顧みない今回の日韓合意は安倍政権の対外的なイメージを決定付けるものです。

安倍政権が国内から一定の失望を受けながらも国際的にタカ派のイメージを放棄する理由は何でしょうか。能あるタカは爪を隠すという諺もありますが、筆者は安倍政権の真の狙いは全く別のところにあると予測します。

真の目的は「日中限定戦争」のための環境整備ではないのか?

筆者は安倍政権の真の目的は、日中限定戦争のための環境整備、ではないかと推測します。国際的な世論環境において、発足当初の安倍政権は中韓の宣伝によって非常にタカ派色が強い政権として認知されていました。

しかし、安倍政権の対米配慮姿勢の徹底、そして中国を取り囲むような対外援助増加を実行してきた結果、安倍政権に対する国際的な世論の風当たりは弱まり、むしろ中国の海洋覇権主義に対する懸念が高まりつつあります。

米国本国は東アジア・東南アジアの政治情勢、特に対中関係は関心が強くない状況ではありますが、全体的な空気感として米国の中国側に傾いていた国際世論の流れをかなり押し戻したものと思います。

仮に日中による尖閣諸島などで限定的な戦争(紛争)が発生した場合、日本が中国に対して優勢な状況を形成できれば米国が日本側で仲裁に入る環境が既に整備されてきています。その中で今回の日韓合意によって日中が限定的な戦争状態に突入するためのツメの作業に入ったと言えるでしょう。

憲法改正のための限定戦争という本末転倒な事態が発生する可能性

筆者が日中が限定的戦争またはそれに近い状態に突入する可能性が高いと見ている理由は、安倍政権の政策目標が「憲法改正」にあると看做しているからです。

大規模な金融緩和や消費増税の先送りなどの経済政策は支持率上昇のためのものであり、安倍政権にとってはそれ以上のものではないものと推測します。そのため、第三の矢である最も重要な規制緩和は現在までほとんど実施されておらず、円安による株高誘導や企業業績のかさ上げなどのモルヒネ的な経済政策が実行されている状況があります。

安倍政権が長期政権を目指す場合、安倍首相が本年行われた日本会議に送ったビデオメッセージの内容通り、憲法改正を政治日程に組み込むことが自然な流れとなります。

来年の参議院議員選挙において、消費増税の先送りを掲げて民主党などの改憲反対勢力を一掃した上で、日中の限定戦争ないしそれに近い状態を創り出すことができれば、憲法改正に向けた世論環境を創り出すことができます。

戦争というものは憲法が改正したから発生するものではなく、両国の指導者が意思を持って軍事力を行使することで始まります。来年11月米国大統領選挙の後の2017年が極めて危険だと思います。

筆者は上記の状況が発生することを支持するものではありせんが、安倍政権の一連の不可解な外交政策の積み重ねを総合的に鑑みるに、一つのシナリオとして十分な妥当性があるものと予測します。




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yuyawatase at 20:46|PermalinkComments(0)

2015年12月26日

慰安婦の方が住んでいる場所に訪問した思い出とともに

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日本と韓国、それに第三国も入れて慰安婦問題を最終決着させる話が浮上

慰安婦問題について妥協するために28日にソウルで岸田外務大臣が韓国政府と会談することになったとのことです。

日本側が慰安婦の人たち向けの1億円の基金を創設することの代わりに、慰安婦問題については最終的に解決した旨を確認し、米国などの第三国にも同確認について再確認させるというもの、と報道されています。

日本側も随分思い切ったことを提案するなと驚きましたが、国内で保守的な歴史観を持っている(海外では自由主義者で通している)安倍首相だからこそできる妥協だと思います。

私自身は心情的には評価しませんが、成功すれば日本の国際的な地位を高めることにつながることになるでしょう。

学生時代にナヌムの家に行った時の思い出を思い出してみた

私自身は学生時代に慰安婦の方が集合して住まれているナヌムの家までお伺いし、慰安婦の人々の実際の様子を見てきた経験があります。

個人的な感想を申し上げるならば、極めて悲惨な人生を送られてきたのだなというところです。私は慰安婦が強制されたものであったかどうかは議論しません。それらについては歴史学者の皆さんが検討すれば良いことだと思っています。

私が悲惨だと感じたことは、訪問当時・戦後60年経っているにも関わらず、彼女たちはナヌムの家で「天皇を銃殺する絵を描かされて」過ごしていたということです。私の感想としては、日本との慰安婦問題における関係以前に、韓国政府が上記のような心の問題を抱えている慰安婦の状態を長年放置してきたことに衝撃を受けました。

本来は心理的なケアを行うことで彼女たちが少しでも幸福に暮らせるように配慮するところですが、韓国政府は「慰安婦」として政治利用し続けているために、彼女たちの人権は韓国国内で現在でも蹂躙され続けているように感じました。

日本政府は慰安婦のための基金を設置するべきなのだろうか?

安倍政権が慰安婦問題の解決に動き始めた理由は、米国議会演説などで自由主義的な演説を行った安倍首相による中韓に対する対米外交の盛り返し、というところでしょうが、オセロゲームのような発想で触れてよい問題なのかどうか、イマイチ納得できない問題のように感じます。

日本政府が慰安婦のための基金を設置するべきかと言えば、私の回答は日本政府として基金を設置するべきではないというものです。

むしろ、戦前の歴史とともに戦後に韓国政府が彼女たちをどのように扱ってきたのか、両者の歴史をしっかりと解明することが重要だと思います。そして、全ての歴史を明らかにした上で、慰安婦の方々に対して何らかの思うところがある方々は自発的な寄付を提供するべきでしょう。

私自身は慰安婦の人々に対する自発的な寄付には賛成です。彼女たちが、従軍慰安婦であったか否か、に関わらず、歴史の被害者として人生を過ごした人々への憐憫の情を持つ人は居ても良いからです。

彼女たちは日韓の歴史が作り出した「慰安婦」という名前の政治被害者であり、日本をバッシングするための走狗となるしか生きる道が無かったからです。自らの人生の自由を失って一生を政治の道具として捧げた人々に憐れみを覚えます。






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yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)