少子化
2015年12月27日
大人の教科書(23)欧州の出生率向上は「移民」が原因?
少子化対策と人口問題を結びつける「愚かな発想」は止めましょう
本日は永江一石さんという「超激馬鹿」な有識者もどきを切り捨てたいと思います。本人が、
「国会議員の男性が育児休暇取ると宣言したことで、「税金で給料ははらってるんだから」とか「国会議員やめてからやれ」とか「重要な審議はどうすんだ」とかいろいろアホなことを言ってるじーさんとかばーさん(蓮舫もその口)がいますが、まじで激馬鹿だと思います。日本の現状を分かっていってるのかと思う。まずこういうことを平気で言う人には国会議員はやってほしくない。日本という国の現状認識がないからだ。」
と述べているので、私も彼を超激馬鹿と表現しても良いでしょう。
イクメンだめとか、このままだと45年後の日本の人口はどうなるか、分かってて言ってんの?(永井江石さん)
欧米先進国の人口増加は、移民増によるインパクトと移民による出生率の改善が要因
「日本人が育児休暇を取得する」と「日本の急激な人口減少を解決できる」という論理的な飛躍が蔓延していることは極めて深刻です。感情論としては理解できますが、「現実をしっかりと見てほしいものだ」と思います。
厚生労働省は、主要な先進国の出生率の比較として下記のデータを公開しています。スウェーデン、フランス、アメリカの出生率が高く、日本の出生率が低いという結果が出ています。
*厚生労働省「平成26年少子化社会対策白書」より抜粋
もう一つ見てほしいのは、先進国出身女性と外国籍・移民女性の出生率の差です。こちらを見れば分かるように先進国出身女性の出生率は1.2~1.8前後の範囲で収まっていることが分かります。特にフランスの場合はフランス国籍の場合でも国籍取得した移民1世・2世に出生率増への寄与率は高いものと推測されます。
社会実情データ実録から引用
各国の移民の増加割合を見てみると、各国で移民が増加していることが分かります。これらの移民増加国では人口が上昇し続けています。また、英国などでは2011年の出生数の4分の1以上が移民による子どもたちという状況にもなっています。
一方、ドイツは移民割合が横ばいであるために人口増加はほとんどしていません。また、GDP比で日本の2倍の子育て予算を投下していますが、出生率は日本より微妙に高いだけの状態です。
社会実情データ実録から引用
子育て政策は「労働環境改善」であり、「出生率改善への影響」を過大評価されている
日本の人口は既に少子化対策で維持・逆転できる状態ではないことは明らかだと思います。先進各国では移民による若年人口の受け入れと出生率のかさ上げを行っていることを認識するべきです。日本出身者だけでは既に1億人を維持するための出生率2以上に引き上げることも困難です。
平成25年版高齢社会白書より引用
育児休暇などが出生率の改善に結びつく影響は極めて少ないものとして認識し、その政策の影響力を過大評価するべきではありません。現状の子育て政策は「人口増加」ではなく「労働環境の改善」にこそ効果が発揮されるものだと認識するべきです。
従って、子育て政策と少子化問題を結びつけて議論する人は、その影響が限定的なものであることを前提に議論を行うべきだと思います。少なくとも、育児休暇=人口増、のような短絡志向で「日本の人口問題を語るな」と思うわけです。
また、上記は移民の数字を扱ってきましたが、元々の自国民の価値観の変化による出産年齢の遅れも直近の先進各国の出生率改善の大きな要因です。これは政策とは関係なく文化レベルの発展による価値変化によるものです。従って、20代女性に出産圧力をかけるような政策よりも晩産化に対応した医療技術の高度化のほうが重要です。
日本の人口減少が問題だと思っている人は、先進各国が行っている移民の受け入れの議論を始めるべきでしょう。子育て政策によって日本の人口が維持できるかのような有識者もどきや子育てタックスイーターが述べているプロパガンダを信じず、日本人は本当に必要なことを淡々と議論する段階に入っています。
yuyawatase at 13:52|Permalink│Comments(0)
2015年12月06日
超高齢化社会を生きる②「夜学」は古くて新しい知のかたち
「夜学」という超高齢化社会における新しい学びのスタンダード
第二次世界大戦後、働きながら学びたいという勤労学生のために多くの大学が夜間大学を設置しました。かつての夜間大学は学生たちの学び意欲も高く社会の中で一定の役割を果たしましたが、現代では勤労学生が減少したとされていることから夜間大学設置数は縮小傾向にあります。
私は今こそ「夜間大学」は再評価べき仕組みであり、日本の超高齢化・超少子化社会にとって必要な存在となっていくと確信しています。
明治初期の大学も存在していない頃は、地方では先進的な学びの場として夜会と呼ばれる会合において、昼間の仕事を終えた人々が最新の社会動向や知識を身に付けるために熱心な取り組みが行われた伝統も日本にはあります。
このような生涯学習の伝統を生かして学びを深める文化を根付かせていくために、昼間は仕事、夜間は学習、という働きながら学べる体制(学部・大学院)の充実を行っていくことが重要です。
壮年・高齢世代の学びなおしの場として夜間大学を積極的に活用する
四年生大学に入学して卒業することは極めて重い作業になるため、既に働いている人が生涯学習の一環として大学に新たに通うことは極めて難しいものです。
しかし、比較的年代が上の層の人々はまだ大学進学率が高くなかった頃の人々であり、日常生活への負荷を下げながら比較的安価に学び直すことができる夜学のシステムが再普及すれば一定のニーズはあるものと思います。
壮年・高齢世代の人々が新たに体系的な知識を身に付ける仕組みがあることは、超高齢化社会に突入する日本にとっては重要です。カエラが夜学への偏見を捨て去って「新しい学びの場」として夜学を認めれば、日本の知的生産性の向上に大いに貢献することになるでしょう。
また、壮年・高齢世代の人々が「夜学」に資金を払う流れを作ることができた場合、夜学全体としての教育コストが押し下がるため、少子化が止まらない若者世代の大学進学のためのコストを引き下げることも可能です。
大学の「夜学化」推進は若者にとってもメリットが大きい改革となる
現代は大学全入時代と呼ばれており、どのようなレベルの学生でも通常の4年生大学に入学することができます。しかし、このような現状は奨学金を返済することができない「能力がない学生」を大量に生み出す結果につながっています。
勤労学生数が減少して夜学が閉鎖していく傾向にあるにも関わらず、そもそも奨学金を使って朝・昼開講の4年生大学で無能な学生を作っている状況は社会的に大きな矛盾と言えます。
超高齢化社会においては、昼間の4年制大学は整理・統合を進めていくとともに、大学の夜学化を進めていくことで社会人中心の大学づくりを行っていくことが望まれます。
若年世代の学生も社会人学生と同じように働きながら夜学に通う形とし、手に職をつけながら学問を修める形にシフトすべきです。
少子化にも関わらず、大学側が若年世代のみをマーケットにした学費市場を狙った場合、著しい学費の値上げが生じて当然です。学費高騰問題は夜学中心・社会人中心の大学編成に見直していくことで見直していくことが可能です。
社会人中心の夜学では民間市場からの外圧によってビジネススキルを身に付ける講座が増加するでしょうから、学生にとっても大学に通うことは所得獲得上のプラスに繋がることになるでしょう。
超高齢化社会にふさわしい教育制度改革の実践が必要である
教育問題の話になると、OECD諸国内での日本の教育予算の少なさが指摘されることが多く、識者とされる人々から教育予算の増額が提言されることが多い状況があります。。しかし、教育予算が少ないことは識者でなくとも多少詳しい人なら知っていることであり、それでもどうしようもないから「現状の予算のまま」になっているわけです。
むしろ、超高齢化社会に突入している日本において、現状の仕組みのまま教育予算の増額を唱えることは、更なるタックスイーターの競争を生み出すだけで亡国への道を開くものです
今必要なことは、教育サービスの提供主体・方法を見直していくことで、壮年世代・高齢世代・若年世代に同時にメリットになるような改革の形を打ち出すことです。
政府予算の増額要求はビジョンではなく怠惰の延長でしかなく、制度改革を通じて教育投資が自然と行われていく環境を整備することが正しい政治の在り方なのです。
yuyawatase at 09:00|Permalink│Comments(0)