小さな政府
2015年11月22日
志位和夫・共産党の支持率上昇は「小さな政府支持者」にとって朗報だ
日本共産党という選択肢が初めて意味を持ちつつある状況が生まれて来たように感じています。
何でも反対という印象だった共産党
筆者は1981年生まれであるため、日本共産党は寿司で言うところのガリのような存在であり、国政で一定の議席は持ちつつも絶対に政権を取れないが、地方政治では巧みな票割りで確固たる議席数を持つ勢力として認識してきました。
ただし、日本共産党を「まともな選択肢」として捉えたことはありませんでした。
日本共産党は何でも原則的に反対しているだけという印象が強く、彼らの主張内容についても興味を持つこともほぼ皆無でした。時折、赤旗がすっぱ抜くスキャンダルが興味深いなという程度の存在です。
しかし、今回の安保法制を機として、それなりに現実路線とも妥協するようなスタンスを日本共産党が示し始めたことは、日本の政治構造に面白い変化をもたらす可能性があると思っています。
大きな政府支持者のための共産党へ
先日、私の知人が日本のTPP参加について激しく「自民党は裏切った」と述べている姿に遭遇しました。
おそらく自民党の”聖域なき”TPP反対の看板を見て投票したにもかかわらず、安倍政権がTPPを推進していることが気に食わないのでしょう。自分はTPP推進派ではあるものの、自民党の詐欺的なやり方に騙されたと感じる友人の気持ちも分かります。
更に言えば、TPPについては民主党政権も推進していたので、少なくとも現在の二大政党はこの友人にとっては選択に入らないことになります。東西の維新の党もTPP推進であるために、彼にとって主要政党は投票先として相応しくないということになります。
日本共産党であれば全国津々浦々に候補者が存在しており、毎回の国政選挙で玉砕しているものの、政策的な意味では常に大きな政府の重要性を主張しています。個別のケースでおかしなことを言っている点を無視すれば、大きな政府を求める人にとって日本共産党ほど確かな投票先はありません。
主要野党が低迷する中で、最新の世論調査では日本共産党の支持率が8%を超えた結果も出始めています。日本共産党がが大きな政府を求める支持者らにとって現実的な選択肢として視野に入ってきていることが分かります。
大きな政府支持者が共産党に投票することで起きること
日本共産党が大きな政府支持者を自らの下に集めてくれれば、他の政党からそれらの支持者が姿を消すことになります。
そもそも前述の自民党に騙されたと思っている友人は「最初から共産党に投票すれば良かった」のです。共産党が現実的な選択肢となるなら、日本共産党こそが彼にとって最も望ましい投票行動ということになるでしょう。自民党や民主党などの他政党に投票するのではなく、是非日本共産党とともに歩んでほしいと思います。
日本共産党がしっかりと選択肢として機能していくことで「大きな政府」と「小さな政府」の対立構造がすっきり綺麗になっていきます。
「政治的に声が大きい」大きな政府支持者が主要政党から去った結果、主要政党は心置きなく自由経済を推進する政策が実行できるようになります。日本のマジョリティー(無党派層)は、どちらかというと「大きな政府」ではなく「小さな政府」を求めており、一部のタックスイーターの声が反映されて国政が動かされています。少数派の大きな政府支持者が主要政党に影響を与えなくなることは良いことです。
そのため、大きな政府側の選択肢として機能不全であった日本共産党が現実的な選択肢となったことは、小さな政府を求める人々にとっても朗報と言えるでしょう。
2015年11月16日
〇〇議員、ティーパーティー(茶会)は景気を悪化させません
日本の国会議員と話していると、米国のティーパ―ティー(茶会)に対するヘンテコな誤解が蔓延していることに気が付きます。それはティーパ―ティーが財政再建至上主義であり、景気を悪化させる存在だという誤解です。
たしかに、戦後から現在までの対米関係であれば穏健派視点の偏った情報のみが輸入されても日米関係や日本社会に現実的な問題は生じなかったのでしょう。
2015年11月01日
国民負担率の真実、日本はドイツ・スウェーデンとほぼ一緒
日本政府の政府規模は「欧州と比べて小さい」のか?
日本は欧米と比べると小さな政府である、という出鱈目が跋扈しすぎています。特に社民主義者たちは好んでこのフレーズを使うが嘘も良いところです。
国民負担率(財務省・平成26年度)
https://www.mof.go.jp/…/fisca…/basic_data/201402/sy2602p.pdf
日本政府が小さな政府であるという主張は、GNIベースで租税負担率と社会保障負担率だけでを足した数字を根拠にしています。
欧州との差が大きくなるGNI表記という数字のマジック
しかし、国民負担率をGNIで測定することは計算式に無理があります。上記のグラフを見れば分かりますが、日本と欧州諸国のGNIベースの数字はGDPベースの数字よりも大きいです。
これはGNIベースでは本来分母に加えられるべき国内に存在しているはずの間接税を取り除いた数字を計算式の分母としているからです。しかし、間接税も国内に存在していることを確かなので、本来は分母に間接税分を加えるべきものです。
財務省は意図的にGNIを採用することで間接税を分母から取り除いて日本の政府規模を相対的に小さく見せています。具体的には、同じ税収であったとしても、間接税の割合が大きい国は国民負担率が大きく表示されるバイアスがかかる、ということになります。
一方、OECD諸国などの先進国では政府の大きさを比較するときはGDPで比較することが常識なのです。
そして、政府の大きさは財政赤字まで含めた政府規模を測定することが妥当であることから、この公表されている財務省の数字では、最も小さな文字で表示されているGDPベースの潜在的国民負担率が正しい比較となります。
日本の政府の大きさはドイツやスウェーデンとほとんど変わらない
では、それでGDPベースで潜在的国民負担率の数字を見てみると、
米国33.5%、日本38.4%、ドイツ40.3%、スウェーデン42%、イギリス44.6%、フランス51.4%
ということになります。社民主義者が礼賛するドイツやスウェーデンとの政府規模の差は1.7%~3.1%しかありません。つまりほとんど一緒だということです。政府の財源を税金で賄っているのか国債で賄っているのか、という手法の違いで政府規模に差はありません。
「日本は欧州と比べて小さな政府」とかいう人は有識者ではありませんし、普通の人なら財務省に騙されている人なので真実を知らせてあげてほしいです。
2015年10月31日
駒崎弘樹氏と乙武洋匡氏に欠落した納税者視点
最近、読んだ記事で非常に気になったものについてコメントしたいと思います。
自分が違和感を持った記事について(駒崎弘樹氏・乙武洋匡氏)
それは下記の2つの記事についてです。
①「ひとり親の貧困が問題だ」→「貧困じゃない人もいる。失礼だ」という論法の生み出すもの(駒崎弘樹氏)
http://www.komazaki.net/activity/2015/10/004715.html
②駒崎弘樹さんが炎上している(乙武洋匡氏)
http://blogos.com/article/142000/
これらの記事は「ひとり親世帯に支給される「児童扶養手当」の増額を求めるネット署名のキャンペーン」についての呼びかけに対し、常見洋平さんが表現について異論を述べたことが発端となって書かれた記事です。
駒崎弘樹氏の主張は「税金」を使う提案なので批判があって当たり前
この話についてネット上では様々な議論があるのですが、乙武さんの記事のような「何が問題なのか」というピンとがずれた感想が溢れていることが残念です。
駒崎さんがやろうとしていることは「税金を使った『児童扶養手当』という手法」を使った貧困支援です。つまり、駒崎さんの私財を使ったものではなく、税金という公共の財産の使途に関する提案ということになります。
そのため、駒崎さんの主張は目的・方法・表現などについて、多くの人から様々な異論が寄せられて当然です。
しかし、駒崎さんはそれらの異論を「不毛」と切り捨てているわけです。「自分が正しいと感じることに関しては税金を使って当然だ」という意識がモロに出ています。税金は公共の財産であって、税金の使途について意見を述べるならば批判を受け入れることも重要です。
駒崎さんが反論で述べたことは、自らの持論に対する異論を「不毛」として言論封殺しようとしたことは「識者の驕り」以外の何物でもありません。
税金に巣食う人々のジャイアニズムの精神
駒崎さんの主張は「税金で生活してきた」人たちに見られる、「俺が正しいと思う税金の使い方は社会的にも正しい使い方」だから「反対する連中は黙っていろ」というジャイアニズムの論理構成が見て取れます。
長い間、行政の補助金などで事業を行っていると、「税金は自分の意見に反対する人が支払ったものである」という基本を見失うものです。
乙武さんは「駒崎さんが人柱としてわざと炎上させた」と言って擁護していますが、乙武さんが友達として擁護している駒崎氏の主張は単なる驕りによる言論封殺であって、一人親支援の是非やそのための署名キャンペーンなどではないということを自覚すべきです。不毛な議論として対立意見が言えない環境を作り、数の力で物事を実現しようとすることは明らかな間違いです。
駒崎さんの発言はタックスイーターの納税者無視の驕りが問題となった事例として処理されるべきです。税金には必ず「納税している他者が存在している」という意識を取り戻してほしいと思います。