宮崎謙介

2016年02月11日

「劣化議員問題」を育休・不倫に矮小化させるな

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国会議員の不倫育休問題は「根が深い問題」である

育休宣言を行ったと思ったら、子どもが生まれた傍から不倫疑惑を報道される国会議員。週刊誌が同議員に最初から目をつけていたことは良く知られていましたが、自分の貧困な想像力を三回り以上上回るスキャンダルが勃発したことにかなり驚かされました。

筆者は、この問題は最初から「議員育休」ではなく、単なる「国会議員の質の低下」を表す象徴であり、育休の是非について論じるまでもないことだと考えています。

現在、私たちが真剣に考えなくてはならないことは、国会議員の質の急速な劣化、つまり「劣化議員問題」なのです。まともに政策の勉強もせずに口先ばかりで愛国心を煽り立てるような議員が増えており、諸外国の政治家と比べて大いに見劣りする人材が国会の議席に座っています。議員の育休を語る以前に、この現状に背筋が寒い気分になるわけです。

昨今の若手議員が引き起こすくだらないスキャンダルは氷山の一角に過ぎません。なぜなら、このような下劣なスキャンダルが発生する原因は、議員個人の問題ではなく、有権者による選挙を通じた人材選抜が難しい選挙制度である小選挙区制度にあるからです。

小選挙区制度が作り出した「劣化議員問題」

小選挙区制度は当選者を実質的に政党が選ぶことができる制度です。政党の支持基盤が厚い地域で有力な政党の公認を得ることが出来れば、有権者が人材の質を実質的に問うことなく、公認された人物に国会の議席が用意されることになります。

つまり、当該選挙区の有権者の意向に関わらず、政党関係者の覚えがめでたければ国会議員になれるシステムが小選挙区制度です。ちなみに、小選挙区に比例代表制度が加わることによって、特定の選挙区の国会議員は有権者の投票結果に左右されずにほぼ確実に当選し続けることができます。

小選挙区制度では、世襲議員は公認を得ることが極めて容易であるとともに、他所から連れてきた軽い神輿である公募候補などが公認候補者に選ばれることも少なくありません。現行の小選挙区制度は政党公認までのプロセスが不透明すぎるため、小選挙区で重要となる公認選抜が適切に行われているとは言えません。

その結果として、社会人としての十分なキャリアもない人物が国政選挙の公認候補者として公認されるケースが増えており、一連の「劣化議員問題」が発生する温床となっています。

炎上目的の軽薄な有識者という知的言論の劣化

今回の不倫育休疑惑を通じて、もう一つ警鐘を鳴らしたいことは「炎上目的の軽薄な有識者」の言うことを真に受けるべきではないということです。

宮崎議員については、予算委員会委員という重責にありながら党内プロセスを経ずに「育休」を記者発表したこと、自分自身の政治活動・選挙活動と国会活動の区別がついていないこと、問題が大きくなった後の取って付けたような育休政策に関するブログへの書き込み、など、そもそも社会人失格であるエビデンスが盛り沢山でした。不倫疑惑自体はおまけみたいなものです。

それにも関わらず、有識者とされる人々が大人としての仕事手順について注意した自民党幹部をブログ上で激しく罵ってみたり、まるで子どものような言論が一部のインターネット上を賑わせていました。不倫疑惑発覚後には、キング牧師と不倫育休疑惑議員を並べて論じるものなど、有識者としての社会的な見識自体を疑うものすらあります。今回の問題は「議員育休」や「男性育休」の問題ではなく、国会議員だけでなく有識者の質の低さも露わにしたと思います。

炎上目的の記事は面白いわけですが、一時の感情を煽るポジショントークの言論に流されてはいけません。しっかりとしたプロセスを踏まえた行動ができる人を最初から支持するべきであり、目立たなくても淡々と仕事をこなしている国会議員や有識者を評価していくことが大事です。

有識者については公の立場がある人々の話ではないため、私たち自身が注意しながら有識者のポジショントークについて警戒していくことが重要です。

中選挙区制度による人材の質を問う選挙制度への回帰

筆者は人物重視の選挙制度に戻すべきであり、小選挙区制度から中選挙区制度への回帰を主張しています。もちろん人物重視の中には、候補者本人の品行から政策立案力まで当然に含んでいます。

小選挙区制度は中選挙区で常態化していた一部の利益団体による政治を排し、政党本位・政策本位の選挙制度に生まれ変わるための導入された制度でした。しかし、実際には政党助成金の大半は選挙活動に投入されており、政党の政策の質は向上しないどころか、国会議員の質が急速に劣化する事態を生み出しました。日本における小選挙区制度は根本的に見直す時期に来ていると言えるでしょう。

ただし、選挙制度を大幅に変更したものをもう一度元に戻すことは極めて難しいことは理解できます。そこで、自民党や民主党は「国会議員候補者の予備選挙」を行って公認候補者を選ぶべきようにすべきです。公認候補者の選考過程の透明性を高めることで自党の候補者の質を担保することが望まれます。

本件は、「育休」や「不倫」の問題に矮小化するのではなく、「劣化議員問題」について議論が始まるきっかけになれば良いと思います。

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議員力検定協会
議員力検定協会 検定委員会
2014-03-18



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2016年02月09日

国会議員の育休不倫、「意気地(育児)なし」 の一言で終わり

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国会議員の育休不倫、「意気地(育児)なし」 の一言で終わり

筆者は「国会議員の育休」について当初から辛口の評価を行ってきました。なぜなら、本件は「国会議員の単なるお休み」ではなく、近年下落の一途を辿っている国会議員の質の低下の象徴のように思えたからです。

国会議員としての職務上の感覚、党務をこなす組織人としての感覚、国会議員の職務と選挙活動をごった煮にした感覚など、自分が尊敬して師事した昔の自民党の国会議員の方々からは絶対に出ない「軽薄さ」を感じました。

まさに、国会議員としての矜持、不倫疑惑を追及されて走って逃げだすような「意気地」の無さに全てが現れたように感じます。自民党は今後の公認プロセスとして地方議員経験など時間をかけて人を見ることを見直すべきでしょう。

<国会議員の育休というフザケタ話への拙稿>
国会議員に「育児休暇」は本当に必要か?
切捨御免!男性国会議員の育児休暇は「学級崩壊」だ!

中堅国会議員も有識者も「常識」を持った擁護論を行うべきでしょう

今回の育休不倫に関しては、同議員の身内からも様々な擁護論が出てきましたが、ポジショントークを浅い知識と社会経験で正当化しようとした中堅議員や有識者にも猛省してほしいものです。

育休云々の政策的な効果も十分に立証していない中で、ぎゃーぎゃーと都合が良い数字を並べたてる有識者、憲法に出席義務がないから国会議員は国会を休んでも構わないというトンデモ理論など、本件を擁護した人々の理屈は目も当てられないものでした。

宮崎議員の一件は人を見る目もさることながら、ポジショントークもほどほどに、という良い教訓になったと思う次第。お友達を守るために日本の言論の質を落とす行為を行うことは望ましいことではありません。

<自民党や有識者の劣化も止まらない・・・>
駒崎弘樹さん・橋本岳さんら30代・40代リーダーは常識を持つべき
「自営に育休」という自民党議員は経営を何も知らない

宮崎謙介議員よりも金子恵美議員に注目したほうが有意義な考察が得られる

正直に申し上げて、出生率改善という政策目標を想定した場合、宮崎謙介議員のことは忘れて、妻である金子恵美議員に注目したほうが有意義です。金子議員は晩産化という現代社会の象徴であり、女性の高齢出産への対応という問題提起を行うに相応しい人物だからです。

今後の日本では、「子育て」ではなく「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトが重要であり、「子どもを持った家庭」ではなく「子どもを持つ家庭をつくる」ことへの支援を重視する視点の転換が必要です。

スカスカの話題先行の議論や子育てタックスイーターのポジショントークではなく、出生率改善に向けた骨太の議論がもう少し行われるようになることを望みます。

<今後あるべき政策の方向性>
「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ
金子恵美議員の「晩産」は男性議員の育休よりも重要だ






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2016年01月09日

「自営に育休」という自民党議員は経営を何も知らない

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自民党が本当に変わったんだな、と思う出来事としての育休問題

橋本岳さん「宮崎謙介議員の国会議員育休宣言をめぐる議論について」 

という記事を読んでみて、前回は憲法と法律の都合が良い解釈について論理力の無さを検証してみましたが、自営業者の端くれ、または従業員20名程度の中小企業経営経験者として釈然としない気持ちになったので「どうしてなのか」をもう少し考えてみました。

そこで、気が付いたことは「ああ、この人は二世議員で大手企業のサラリーマン出身だった」ということ。そりゃ企業経営で十年以上も飯食ってきた人間とは感覚違うよなーと。

結局、この問題に関する様々な意見から「自民党の若手・中堅」が自営業や中小企業経営者なんてどうでも良い、と思っていることの証拠がボロボロ出てきて本当に残念だと思います。

自営業者にとって必要なものは「給料」ではないって知ってるの?と思う

自営業者や企業経営者にとって最も重要なものは、目の前の現金、であることは確かでしょう。しかし、たとえば1年間働かないで〇〇円上げます、と言われても、自営業者や企業経営者ならお金をもらいながら絶対に更に働きます。それは何故でしょうか?

それは彼らがご飯を食べるために必要なものが、「生きている人脈(ソーシャルキャピタル)」と「更新されるスキル(ナレッジ・ノウハウ)」だからです。だから、お金上げるから子育てだけして1年後に復帰してね、といって、仕事に戻れるのは「医者」などの資格職だけで、自営業者や経営者はかなり苦労することになります。それだけソーシャルキャピタルやナレッジ・ノウハウが毀損しているからです。

ほとんど社会経験がない状態で国会議員になってチヤホヤされると、上記のような自営業や中小企業経営者なら誰でも分かるような話が分からなくなるわけです。大半の自営業者や中小企業経営者にとって「休業」=「ほぼ即死」という環境であることをまるで知らないことが話から分かります。給料は会社がくれるもの、という意識がアリアリと伝わってきます。

自営業に育休取れば良いということは、「仕事はなくても育休取れば良いのよ」という現代版マリー・アントワネットの発言ですね。後援会の人々は二世議員への教育に責任を持ってください

自民党から経験豊富な大人が引退していくことが不安で仕方がない

現代の小選挙区議員や参議院選挙区議員として楽勝に当選してくる若手・中堅の国会議員にとってみれば、地域の自営業の兄ちゃん・おっさんや中小企業のおやじなんてものは、社会的に大して成功しなかった話を聞く対象の人々ではない、という思い上がりがあるんだろうなと思います。

彼らは確かに論理的に理路整然としゃべる人は多くないし、別に沢山お金を持っているわけでもなく、社会的な影響力も少ないでしょう。現代の政党ブランドで決定する選挙なら適当に話を聞いたふりをするだけで、目の前を通り過ぎていくチリのような有権者に過ぎません。だから、彼らがどうやって生きているのか、という、議員として最も必要なことに対する感性の欠落が生じているのです。

小選挙区比例代表制度は「有権者のことをほとんど知らなくても政党の公認があれば勝てる」可能性が高い選挙制度です。だから、本来は自民党の支持基盤である、自営業者や中小企業経営者から見て「寝言」のような話が展開されるのです。もはや自民党は役人と大企業のサラリーマンのための政党なんだなあと感じます。

自分は昔ながらの現役の重鎮議員がいなくなったあとの日本が心配で仕方がありません。少なくとも地方議員出身者や中選挙区出身の議員らは社会の現実をもう少し知っているからです。

小選挙区比例代表制度を廃止して中選挙区制度に、地方議員→国会議員を定番ルートにすべき

まずは選挙制度を小選挙区比例代表制度から中選挙区に戻して人物本位の選挙制度に戻すことが重要です。同制度には癒着や派閥などの問題が指摘されていましたが、現在の小選挙区比例代表制度よりは余程マシな制度だと思います。少なくとも有権者と本当に対話を積み重ねた人が国政の場に進むべきです。

また、自民党は国会議員として公認する前に、最低1期は地方議員を務めることを党の方針として決めるべきでしょう。そして、人々の暮らしに近い「民主主義の学校」である地方自治を学んだ人材を国政にリクルートするべきです。政策の施行現場である地方自治の現場を知っていることは、全ての国会議員にとって必要な素養だと思います。




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2016年01月08日

駒崎弘樹さん・橋本岳さんら30代・40代リーダーは常識を持つべき

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問われているのは「国会議員の育休」ではなく「30代・40代オピニオンリーダーの質」

宮崎謙介さんの国会議員の育休を巡って、30代・40代のオピニオンリーダーと目される人々が「常識がない」話をされていることは非常に心配だと感じています。本件は単なる育休の話題ではなく、30代・40代オピニオンリーダーの資質に関わるものだと感じています。

駒崎弘樹さん「育休は「評判を落とす」?評判落ちてるのは、自民党幹部のあなた方だ
橋本岳さん「宮崎謙介議員の国会議員育休宣言をめぐる議論について」 

駒崎弘樹さんの「社会人としての常識」ではなく「ポジショントーク」を貫く態度

駒崎弘樹さんは、国会議員の育休を批判した自民党の幹部を批判していますが、本件については「自民党幹部議員」の主張が99%正しいです。

自民党の国会議員は、全体の奉仕者としての国会議員であると同時に、自民党という組織の人間でもあります。そのため、自民党としては自党のブランドで当選してきた議員に対して党のガバナンスに従うよう求める当然の権利があります。

宮崎議員が自民党の組織に対して何の根回しもなく記者に育休を発表したことは、

「経営幹部の了承無く、社員が勝手にTVの記者会見で自組織にとって重要なことを発表した」

というトンでもない話だと思います。それに対して「国対(党内手続き)を通せ」という当たり前の説教を幹部が述べて何の問題があるのでしょうか?むしろ、幹部議員の言い方はともかく、年配者の人生語りの小言だけで済ませてくれるだけで有り難いと思うべきです。それにも関わらず、当の議員本人は幹部からの小言に対してブログで組織外に向かって文句を述べています。

本件を成功裡に実行するなら党内で事情を説明し、自民党として納得できるメッセージと代替措置を整えた上で、政党・議員としてのPR効果を狙って発表するという当たり前の仕事が抜けています。国会議員の育休の是非は抜きにして、老獪な自民党議員なら選挙のためにプラスなら協力したかもしれません。それが無かったので、幹部議員から国会議員としての仕事量だけなら不要、と思われて苦言を言われているだけでしょう。

駒崎さんはNPO経営者なので同議員が社会人としてトンデモないことをしたことは理解できるはずですが、相変わらずのポジショントークぶりに呆れます。宮崎議員の行動は「父親になる」前に「人の親になる社会人」としての常識を問われるべきものであり、大人の振る舞いが出来ていれば結果も違ったと思います。

橋本岳さんの法律論は「国会議員としての見識」を問われるもの

橋本議員のほうは更に問題が根深いものと感じています。橋本議員の主張を要約すると、

〇憲法には、国会議員が国会に出席する義務を書いていないため、国会議員の国会出席は権利である
〇法律には、非労働者は対象に含まれないが、法の趣旨を自然に解釈すると職業人としての国会議員も含まれるべき

このダブルスタンダードはあまりに酷いのではないかと思います。せめて、バラバラのエントリーに分けるべきではないのか、と思う次第です。

つまり、憲法に明文化されていない国会議員への要請を無視しながら、法律上明らかに存在しない非労働者の権利を主張する、ことは立法者としての資質が疑われても仕方がないでしょう。

衆議院のHPには、「国会議員は、主権者である国民の信託を受け、全国民を代表して国政の審議に当たる重要な職責を担っています。この職責を果たすため、国会議員の地位には、一定の身分保障が与えられており、法律の定める場合を除いては、国会の会期中は逮捕されず、また、議院で行った演説、討論または表決について、院外で責任を問われません。」

と書いてあります。本件は国会議員としての職責を放棄することの是非が問われているのであり、憲法上の義務や権利の明文規定の有無で本件を論じる不毛な言論は何の意味があるのでしょう。憲法が国会議員の国会出席を明文化していないことは、「学校の先生が生徒に教室で席を立たないように」と諭すことと同じく、社会の通念として「当たり前の話過ぎて書いていないだけのこと」ではないかと思います。

そして、雇用契約で働く義務がある労働者とは異なる「農林漁業者、商店街の店主さん、医師・弁護士など独立専門職など」の育休について語っていますが、これらの人々は仕事を休めば一円にもならないことは当たり前のことだと思っています。私も含めて労働者ではない自営業は仕事・生活の自由を得ているのであり、法律で仕事や私生活の在り方に介入されることに疑問を感じる者も大勢います。

従って、立場によって憲法や法律を無理やり偏向解釈する姿勢は、立法者の基本的なあり方として改めるべきだと思います。

「30代・40代のオピニオンリーダーの質」について今一度問い直すべきなのではないか

上記の2名は名前の知られた社会運動家と国会議員かと思いますが、言論の質が低すぎて議論する余地もない、わけです。50代以上自民党幹部の国会議員らを唸らせるような筋の通った議論が出来る人に若手を代表するオピニオンリーダーになってほしいです。

人間は誰しもがポジショントークで語ることは否めないものです。しかし、同じポジショントークでも社会常識をもう少しだけ踏まえてほしいと思います。有権者は上記のような話は分からないだろうから、いい加減な言論で構わないと思うのであれば更に問題です。感情的に煽りたてたり、中途半端な法律論で煙に巻こうとする態度を改めるべきです。

彼らにはオピニオンリーダーとしてまともな言論を世に出すことを期待したいと思います。私たちは自分たちの世代の代表である若手・中堅世代のオピニオンリーダーのクオリティーを今一度問い直すべきでしょう。


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2015年12月28日

「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ

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日本の出生率の低下の原因は価値観の変化などによる「晩産化」にある

出生率の低下の主要因は、国民の価値観の変化による晩産化にあります。

1980年代と比べて現在は、30代の合計特殊出生率は増加していますが、20代の合計特殊出生率は約2分の1まで低下しています。

平成26年人口動態統計月報年計(概数)の概況(合計特殊出生率について)*厚生労働省

その結果として、女性の第一子の出産年齢が30代となることによって、第2子を産むための時間的な制約が発生し、結果として日本全体の人口が減少していく状況が発生することが予想されます。

上記のような変化は、人生設計に関する自由な価値観が普及したポジティブな要素と非正規雇用による雇用環境の不安定化などのネガティブな要素の両方が働いた結果と生じています。

政策ターゲットを間違えた「子育て支援」は少子化への効果が薄いという実態

「出生率」の改善を政策目標として据えた場合、既存の子育て支援策は「政策ターゲットを間違えた」「時代遅れ」の政策となっています。代表的な子育て支援策は、児童手当と保育所整備の2つということになりますが、いずれも少子化対策としては十分な効果を発揮していません。

なぜなら、上記の政策は団塊の世代が出産適齢期に入った1970年代に本格的に整備が開始されたものであり、「既に子どもが生まれた家庭」からの政治的圧力によって形成されたものだからです。

児童手当は1972年に第3子がいる家庭に支給が開始された家計への補助政策です。その後対象が第2子、第1子と拡大しつつ、その支給金額が増額し続けています。平成27年度予算は国・地方・事業主負担・公務員分を合わせて2兆2300億円という巨大な支出に膨らんでいます。(平成27年度における児童手当制度について

しかし、児童手当は出生率の改善についてはほとんど効果が無いという会計検査院からの研究レポートが提出されています。児童手当の支給を通じた所得増による子どもを持つインセンティブと現在の子どもへの教育インセンティブが子どもを新たに産むことに対して各々プラスとマイナスの効果を及ぼして相殺されます。その結果として、児童手当の出生率に対する政策効果は微小となり、「子ども1人を増加させるために年1億円の児童手当」が必要とされています。(子育て支援策の出生率に与える影響 会計検査研究第38号・2008)

一方、保育所は元々明治時代の民間で運営されていましたが、戦後直後の段階では経済的に困窮している家庭用の救貧政策として法制化されました。その後、高度経済成長期には女性の社会進出との関係で保育所づくり運動が展開された結果、保育所整備が開始されました。

ただし、その後も政府内には子どもは家庭で育てるものという意識の中で供給制限・サービス制限が存在し続けたため、認可外保育所などの女性の更なる社会進出に対応したサービスが増加し続けることになりました。現在では更にエンゼルプラン・新エンゼルプラン、東京都による認可保育所整備などの共働きが標準化した社会向けのサービスが展開されており、今後は一層の規制緩和や民営化などを通じた効率的な施設整備が望まれているところです。

しかし、上記の会計検査院の研究レポートによると、待機児童を解消するまで保育所を整備した場合の出生率への改善効果は0.02ポイント、効果が高い都市部で0.1ポイントの改善効果が見込まれますが、保育所の整備を促進しても出生率の劇的な回復には至りません。

そもそも保育所の整備は、子どもがいる女性の社会進出などの社会変化に対応したものであり、晩産化などの出生率の改善を元々意図したものではないからです。

既存の子育て政策の大きな柱を構成してきた、児童手当と保育所整備の共通点は「既に子どもがいる家庭向け」の政策であり、日本の人口減少問題を解決するための出生率改善へのダイレクトな効果は薄いものと言えます。

「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ

私たちは既存の「子育て支援」のための政策が「出生率の改善」に効果があると過大な期待をしてきたのではないでしょうか。それらの政策の効果は極めて限定的であり、出生率改善のためには既存予算を見直して根本的な政策転換を実行することが必要です。

出生率改善のための政策コンセプトは「子育て」から「結婚・出産」への転換です。既に子どもがいる家庭から未婚・未出産の人々に対する結婚・出産支援に政策をシフトさせるべきです。

そこで、出生率低下に影響を及ぼしている要因を晩産化と未婚率の増加にあるとした場合、これらに対応した集中的な政策投下を行うことが重要となります。

「晩産化」という価値観の変化に対して過去の価値観を強制することは人権侵害でしかなく、20代だけでなく30代・40代での出産を安心・安全に行えるように不妊治療・産婦人科サービスなどの強化に取り組むべきです。特に多額の資金が必要とされる不妊治療に関しての重点的な予算投入が重要です。

「未婚」の状況は男性側の非正規雇用の増加の影響が大きく経済環境・雇用環境の改善が必要です。そのためには、20代・30代向けの所得税減税を通じて、未婚・未出産者を含む若手世代全体の手にお金が残る環境を整えるとともに、企業側から見た若手世代を雇用する経済メリットを強化することが望まれます。根本的には産業関連の規制緩和を実施して、労働生産性を高めながら新規雇用増や雇用の多様化を進めるべきです。

上記の政策のための予算は児童手当2兆2300億円の削減によって捻出していくべきです。晩産化の影響から一定の所得を有する30代の子育て世帯も増加することが予想されるため、児童手当による家計支援を通じた出生率改善は益々効果が薄れていくことが予想されるからです。

出生率の改善にほとんど効果が無い児童手当から「結婚・出産」へのダイレクトな支援に切り替える、という大胆な決断を実行することが望まれます。

 「子育て支援」を優先するなら「移民による人口補充」を視野に

既存の子育て支援策では出生率の改善を見込むことはほぼ不可能であるため、「子育て支援」の必要性を訴えるタックスイーターを重視した政策を継続し続ければ深刻な人口減少から抜け出ることは困難です。若手世代から高齢世代への過重な所得移転を止める必要はありますが、その分を子育てタックスイーターに予算を割いても意味がないのです。

そのため、現状のように「子育て支援」を重視して「結婚・出産」を軽視する政策を実行する場合、日本の人口減少を補うために大規模な移民受け入れ政策を実行することは必然となります。移民の受け入れはダイレクトな経済効果がもたらされるとともに、移民は若年世代が多いことが予想されるので日本の出生率は大幅に改善していくことになるでしょう。

現在の財政難の状況にある日本では、何でもかんでも予算を増額することは極めて難しく、特にシルバーデモクラシーが深刻化する中で、若手世代への予算配分増を求めることはほぼ無理だと判断するべきです。そのため、限られた予算をどのように使用するのか、という知恵が重要となります。

高度経済成長期に形成された既存の子育て政策という時代遅れな政策に予算投入を増やしたところで効果はなく、現代社会に合わせた政策を展開することで出生率を改善していくことが望まれます。




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金子恵美議員の「晩産」は男性議員の育休よりも重要だ

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本当に重要なことは、宮崎謙介議員の「育休」よりも金子恵美議員の「晩産」である

宮崎謙介議員による育休宣言について色々と考えてきましたが、宮崎議員の無責任なパフォーマンスよりも奥様の金子恵美議員が妊娠されていることが少子化対策のシンボルとして重要だと思い直しました。

金子議員のコメントはメディア上には出てきませんが、本ブログが身重な金子議員の産休・育休に関して賛成していることは言うまでもありません。

そして、男性議員の育休よりも金子議員の37歳のいわゆる「晩産」の意義を取り上げるほうが日本の少子化問題という視点から極めて強いメッセージ効果があるものと思います。

直近の日本の出生率の改善は30代以上の出産増による寄与度が大きい

2006年から日本の合計特殊出生率は改善傾向にありましたが、その要因としては30代以上の出産が増えたこと、つまり日本の晩産化が進展したことによる寄与が大半を占めています。

2005年に1.26であった合計特殊出生率は2012年には1.4を上回るまでに回復していますが、30代女性の出産が増加したことが数字の変化の理由です。社会構造の変化を背景として、女性の価値観が変わったことで、20代での出産は減少しており、30代での出産が増加しているのです。

日本では昔から高齢出産はあたり前に行われてきた状況ですが、近年の20代出産の激減によって高齢出産の重要度が相対的に増しています。本件を通じて本来あるべき政策論議は、この女性の価値観の変化による晩産化への対応策に優先順位をつけて臨むことだと思います。

出生率を改善した先進国は「晩産化」と「移民」の増加が寄与している

ちなみに、先進国で日本よりも合計特殊出生率が改善している国は「晩産化」による出生率の改善が日本よりも大きく作用しています。30代以上での出産を安全・確実に実行できるようにしていくことが大事であり、価値観の変化による出産年齢の高年齢化への対応を進めていくことが望まれます。

その上で、出生率2以上を求める場合は、移民の増加による出生率の改善も見過ごすべきではありません。移民数及び移民本人・移民2世の出生数は年々増加しており、先進国における人口増加に大きな役割を果たしていることを真剣に考慮すべきです。

ちなみに、日本の子育て予算のGDP比で2倍を使っているドイツは日本よりも出生率よりも低く、他のOECD諸国についても予算の大量投下よりも晩産化や移民増加による出生率の改善の影響が大きいように感じます。子育て予算額の多寡よりも何が必要かという議論を行うべきでしょう。

安易な子育て支援よりも不妊治療などの産みたい年齢で生める医療の充実を

金子議員の妊娠はその晩産化のシンボリックな事例として取り上げられるべきであり、30代後半・40代前半でも安全な出産が可能となるように女性の晩産化に対応した医療サポートなどの充実が注目されるべきです。

近年の動向に鑑み、育児支援、待機児童対策、児童手当などの既に生まれた後のサポートよりも、経済的な余裕が多少ある30代・40代の出産向けの医療サポートに重点を移していくことが検討されるべきでしょう。

会計検査院の過去の検証結果で、待機児童対策や児童手当は政策効果が極めて限定的であることが検証されています。出産後のサポートに力を注ぐことは費用対効果の観点から疑問があります。同じ費用でも相当の改善を行うことが可能であるとともに、そもそもこれらの政策は生活補助や労働政策に属するものと捉えるべきでしょう。

それと比べて、未婚・未出産世帯を含む若い世代での所得を増やすことによって、20代での結婚や出産に踏み切る価値観を再形成することが望まれます。そのため、若年世代への所得税減税によって可処分所得を増やすことも重要です。やはり出産後のサポートよりも、子どもが生まれる前に手元にお金があることが結婚や子づくりを促すことにつながるものと推測します。

男性議員による育休は社会的な雰囲気づくりに寄与する可能性もゼロではありませんが、経済的に余裕がある家庭はベビーシッターを雇うことで育児段階の問題を解決してほしいものです。

結論として「若い世代にお金を残すこと」と「30代・40代での安全な出産」が大事ということ

結論としては、下記4点を確認したいと思います。

(1)男性国会議員の育児休暇よりも37歳の晩産を行っている女性国会議員のほうが社会的重要。したがって、30代・40代での出産を安全に行える医療サポートの在り方などが注目されるべき。

(2)国会議員夫婦が子どもを持てることは金銭的な問題が無いから。子育て支援よりも未婚・未出産の若者世代が子どもを作ろうと思える可処分所得を得られるように所得税減税などを行うべき。

(3)所得が十分にある家庭は育児休暇ではなく、ベビーシッターを雇うことなどを通じて社会的な雇用を積極的に作ることに貢献すべき。

(4)子どもの代わりに子育て予算の増額や規制強化を訴えるタックスイーターを安易に育てることはやめましょう。もちろん、高齢者に異常に偏った社会保障支出の削減は不可避です。



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2015年12月27日

大人の教科書(23)欧州の出生率向上は「移民」が原因?

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少子化対策と人口問題を結びつける「愚かな発想」は止めましょう

本日は永江一石さんという「超激馬鹿」な有識者もどきを切り捨てたいと思います。本人が、

「国会議員の男性が育児休暇取ると宣言したことで、「税金で給料ははらってるんだから」とか「国会議員やめてからやれ」とか「重要な審議はどうすんだ」とかいろいろアホなことを言ってるじーさんとかばーさん(蓮舫もその口)がいますが、まじで激馬鹿だと思います。日本の現状を分かっていってるのかと思う。まずこういうことを平気で言う人には国会議員はやってほしくない。日本という国の現状認識がないからだ。」

と述べているので、私も彼を超激馬鹿と表現しても良いでしょう。

イクメンだめとか、このままだと45年後の日本の人口はどうなるか、分かってて言ってんの?(永井江石さん)


欧米先進国の人口増加は、移民増によるインパクトと移民による出生率の改善が要因

「日本人が育児休暇を取得する」と「日本の急激な人口減少を解決できる」という論理的な飛躍が蔓延していることは極めて深刻です。感情論としては理解できますが、「現実をしっかりと見てほしいものだ」と思います。

厚生労働省は、主要な先進国の出生率の比較として下記のデータを公開しています。スウェーデン、フランス、アメリカの出生率が高く、日本の出生率が低いという結果が出ています。

各国の出生率
*厚生労働省「平成26年少子化社会対策白書」より抜粋


もう一つ見てほしいのは、先進国出身女性と外国籍・移民女性の出生率の差です。こちらを見れば分かるように先進国出身女性の出生率は1.2~1.8前後の範囲で収まっていることが分かります。特にフランスの場合はフランス国籍の場合でも国籍取得した移民1世・2世に出生率増への寄与率は高いものと推測されます。

移民と出生率

社会実情データ実録から引用

各国の移民の増加割合を見てみると、各国で移民が増加していることが分かります。これらの移民増加国では人口が上昇し続けています。また、英国などでは2011年の出生数の4分の1以上が移民による子どもたちという状況にもなっています。

一方、ドイツは移民割合が横ばいであるために人口増加はほとんどしていません。また、GDP比で日本の2倍の子育て予算を投下していますが、出生率は日本より微妙に高いだけの状態です。


各国の移民割合の推移
社会実情データ実録から引用

子育て政策は「労働環境改善」であり、「出生率改善への影響」を過大評価されている

日本の人口は既に少子化対策で維持・逆転できる状態ではないことは明らかだと思います。先進各国では移民による若年人口の受け入れと出生率のかさ上げを行っていることを認識するべきです。日本出身者だけでは既に1億人を維持するための出生率2以上に引き上げることも困難です。

日本の将来人口の推計
平成25年版高齢社会白書より引用

育児休暇などが出生率の改善に結びつく影響は極めて少ないものとして認識し、その政策の影響力を過大評価するべきではありません。現状の子育て政策は「人口増加」ではなく「労働環境の改善」にこそ効果が発揮されるものだと認識するべきです。

従って、子育て政策と少子化問題を結びつけて議論する人は、その影響が限定的なものであることを前提に議論を行うべきだと思います。少なくとも、育児休暇=人口増、のような短絡志向で「日本の人口問題を語るな」と思うわけです。

また、上記は移民の数字を扱ってきましたが、元々の自国民の価値観の変化による出産年齢の遅れも直近の先進各国の出生率改善の大きな要因です。これは政策とは関係なく文化レベルの発展による価値変化によるものです。従って、20代女性に出産圧力をかけるような政策よりも晩産化に対応した医療技術の高度化のほうが重要です。

日本の人口減少が問題だと思っている人は、先進各国が行っている移民の受け入れの議論を始めるべきでしょう。子育て政策によって日本の人口が維持できるかのような有識者もどきや子育てタックスイーターが述べているプロパガンダを信じず、日本人は本当に必要なことを淡々と議論する段階に入っています。





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yuyawatase at 13:52|PermalinkComments(0)