子育て
2016年01月07日
20代・30代所得税全廃(約3兆2111億円)は可能か?
出生率の改善には「20代・30代の所得税全廃」の実行こそが重要
以前の記事「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ」でも述べた通り、日本の出生率の変化は、価値観の変化による晩産化と経済不安・雇用不安による未婚率の上昇によるものであることは明らかです。
そして、出生率の向上という新しい時代の要請に対応するために、従来までの「子どもを持つ世帯」に偏った子育て支援策の在り方を「結婚・出産」に的を絞ったものに転換する必要性を説きました。
その中で、未婚・未出産も含む20代・30代の所得税減税を行うことで、雇用増・可処分所得増・経済成長を促すことを提言しております。なぜなら、中途半端な児童手当などの子育て政策を行うよりも、勤労者の雇用機会を生み出して可処分所得を増額させるほうが婚姻率・出産数の向上が見込まれると推測しているからです。
日本の出産は結婚家庭から大半が生まれているため、若手世代を正社員で雇いやすい環境を税制面から整備して婚姻を促進することが有効です。さらに、女性の社会進出の観点から働く世帯の可処分所得増を通じて各種保育サービスなどへの支出を確保していくことは急務と言えます。
20代・30代の所得税総額は「3兆2221億円(推計・平成26年度)」である
では、20代・30代の所得税を全廃するには実際に幾らの税額が必要なのでしょうか。家計調査によると、平成26年平均で、20代・30代は所得税を
20~24歳 月額4,006円 年額48,072円
25~29歳 月額7,177円 年額86,124円
30~34歳 月額9,551円 年額114,612円
35~39歳 月額13,779円 年額165,348円
ということになります。平成26年4月1日の各年代の人口推計と掛け合わせた所得税総額推計は、
20~24歳 2968億4460万円 (617万5千人)
25~29歳 5842億6521万6千円(678万4千人)
30~34歳 8644億370万4千円 (754万2千人)
35~39歳 1兆4656億4467万2千円 (886万4千人)
合計 3兆2111億58,19万2千円 (2936万5千人)
ということになります。20代前半だけなら3000億円、20代全体なら約9000億円、20代~30代前半までなら約1兆8000億円、20代・30代全体ならば3兆2100億円ということになります。
ちなみに、自民党が来年3400億円程度をかけて高齢低所得者世帯に3万円を約1250万人にばら撒く予定をしていますが、同じ金額をかけると20代前半の所得税を廃止することが可能です。若年世代・約3000万人がいかに政治的に舐められているのかを如実に表した数字です。
3兆円2110億円は巨大な金額に見えますが、消費税1%増で2兆円税収増するという見込みもあり、消費税を8%→10%に増税するのであれば20代・30代の所得税を全廃することは可能です。
政策効果の薄い児童手当を減額・廃止、結婚を促進する未婚世帯を含む雇用増・可処分所得増を
もちろん、高齢者への社会保障費は毎年2.6兆円(国・地方・特別会計含む)の増加をしている状況(小黒一正「財政危機の深層」)であり、これらを抑え込んで若年世代に回すことは必須です。日本はシルバーデモクラシー国家であるため、高齢者への社会保障費を削って若年世代に予算を回すことは困難を極めるものと思います。
そのため、若手世代の子育て予算の中で既存の政策の優先順位を晩産化・未婚率上昇対策に切り替えていくことが重要です。そこで、出生率に対する政策効果が低い「児童手当」予算を廃止または減額して20代・30代の所得税減税に回すことを検討するべきだと思います。
児童手当は平成26年度予算で2兆2300億円(平成27年度)が計上されていますが、児童手当1億円で1名の出生率向上効果ということで、予算支出の出生率に対する政策効果が極めて低いことが会計検査院のレポートによって示されています。(詳細は「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ」)
そのため、児童手当予算を15%削減で20代前半、40%削減で20代全体、85%削減で30代前半までの所得税を全廃することが可能です。可能であれば30代前半までの所得税全廃し、児童手当予算の残額3000億円で保育園整備や不妊治療への手当増額などに力を注ぐべきです。
何となく不可能に思える政策も従来までは「提唱や実行」されてこなかっただけである
20代・30代の所得税全廃という何となく不可能に思える政策であったとしても、実際に必要予算を計算してみれば現実的に実行可能なものであることが分かったと思います。要は今まで誰も真面目に推計をしてこなかった、または想像力が欠落していただけのことです。
20代・30代の人口合計数は約3000万人です。これは前回の参議院議員選挙で自民党・公明党に投票した比例票数(約2600万票)を上回るものであり、20代・30代は真面目に自分たちの経済的な利害を政治的に表明していくべきです。
その際のポイントとして重要なことは、若者世代の主張を述べる際に「保育士の給料増額」などのようなミクロな争点で戦わないことが重要です。保育士は40万人しかおらず潜在保育士を入れても100万人しかいません。つまり、総数3000万人のボリュームがまるで選挙時の圧力として生かされないのです。したがって、今回の保育関連の政策変更のように予算措置も薄く「それじゃない」感が強いものになってしまいます。
このような失敗は税金にたかることを前提としたタックスイーターとしての政治行動が招いた失敗と言えます。納税者世帯が圧倒的に多い若年層が税金で暮らす高齢者層と「税金で食べる競争」をして勝てると思うことは戦略環境への認識不足と言えます。
時代の変化に合わせた主張の変化が必要、タックスイーターからタックスぺイヤーへ
多くの若年世代はタックスイーターではなくタックスペイヤー(納税者)であり、シルバーデモクラシーに対抗するためには「20代・30代減税」などの恩恵を受ける人口の絶対数が多い争点を提示するべきです。
このように述べると「今までも児童手当や保育園などが整備されてきたじゃないか」という人もいるかもしれませんが、それらの制度が導入された当時は「団塊の世代が子育て世代であり、高齢者数は相対的にまだ少なかった」という事実を忘れるべきではありません。そのような時代背景があったからこそ、当時の若者世代のタックスイーターとしての主張が通っていたに過ぎないのです。
日本の子育て関連の予算がOECD諸国の対GDP比で低いためにもっと増額をするべき、という主張を行う人もいますが、民主主義の現実をもっとよく見たほうが良いと思います。そのような予算増額競争では子どもを持つ世帯が高齢者世帯に勝つことは不可能であり、もっと間口を広く取った若年世代全体にダイレクトに関係する争点設計を行うことが重要です。
「子育て支援策を訴える政治家」=「若者の声を代弁する政治家」という誤った認識と戦略が選挙マーケットにおけるニッチへの没落を生み出し、若者向けの予算措置・減税措置は行われてこなかった、という現実を受け入れるべきでしょう。
先進国の中でシルバーデモクラシーがいち早く進展していく日本において、若者の政治行動・政治的主張が現実妥当なものに変化していくことが望まれます。
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2015年12月05日
子どもの貧困・奨学金問題を本当に解決するための方法論
子どもの貧困と親の貧困を混同したキャンペーンには賛同できない
国への予算要望の関係から、子どもの貧困問題が世間的にクローズアップされていますが、それらは実際には「子どもが貧困なのではなく親が貧困」に過ぎないと思います。
病気などでやむを得ない場合は仕方がないのですが、低所得の状況は親本人の生き方に責任があることであり、それらを新自由主義批判などに転嫁する無責任体質すらも低所得の原因の一つを構成しています。
実際、貧困家庭への支援は、政府を通じて児童手当などを交付することになるので、納税者は手当などの交付先の親の顔を見ることはできません。
そのため、特定の貧困家庭をターゲットにした助成は自分で資金を賄って子育てしている家庭や子どもを持たない家庭からは納得が得にくいものです。
そして、本来解決すべきことは、子どもを育てる貧困家庭の親の生活環境を改善することではなく、子どもの学ぶ権利を守ることだということを忘れるべきではありません。
貧困の段階に合わせた責任と義務が伴うアプローチの重視
子どもの貧困の問題は子どもの成育段階によって異なる解決手段を講じるべきです。そして、そのためには「子どもの貧困が存在する家庭には、子どもを貧困層から抜け出すように育てる力が存在しない」ということを認めるべきです。
親から子への貧困の連鎖は親の所得額の問題だけでなく、自己規律などの社会生活を送るための生活慣習が親から子に引き継がれないことによって発生します。これらの負の生活慣習の遺伝を根本から断ち切る必要があります。
そのため、子どもができた家庭で一定所得以下の家庭については、里親に出すことを義務けづけるか、子どもを預け入れの保育施設または全寮制の学校に入れるようにすべきです。
それらに関する費用の一部は、親への強制的な徴収(不足分は貸し付け)を行うことで一定以上の資金運営を賄うべきです。そうすることで、子どもを負の慣習の連鎖から切り離して規律教育を与えるとともに、親には子どもを作った義務を金銭的に背負わせることが重要です。(ちなみに、現行の公立施設の異常な経費(1人1億円・18歳まで)は徹底的な見直し対象とすべきです。)
現状のように児童手当の増額を行うことは、子どもへの悪影響及び親の責任放棄を助長するだけであり、その両方を解決するためには、親への強制徴収型の子育て・教育制度の創設が望ましいです。
一部でも他人の税金を使うのであれば、家庭生活に客観的な介入を受けることは当然であり、貧困が繰り返すだけで何ら問題解決に繋がらない貧困家庭自体での子育てを認めることはできません。
子どもは教育を受ける権利があり、親には教育を受けさせる義務があります。必要なことは、親子の権利・義務関係をそのまま実行することです。
大学教育は夜間大学重視の体制と10~30代まで所得税0%にシフトするべき
大学の奨学金の返済について文句を言っている人が増えてきています。そして、それらの主張は一理あります。
つまり、大学は学問を行う場所であって職業訓練校ではないので、大学教育を受けたところで十分な稼ぎがある職に就けるわけではないことが確認されたのです。奨学金に文句を言っている人は根本的に「大学」の機能を誤解していると思います。そもそも昼間から学生と同じように大学にいる先生の授業で稼げる力は身に付きません、常識的に分かれよと。
しかし、現代社会では大半の人が上記の事実を勘違いして大学に進学するため、大学での教育費用をペイするだけの稼ぎを得られないために大学教育の無償化を主張しています。しかし、このような政策を実行しても、結局は「稼げない学生」をわざわざ税金を使用して育てることになるだけです。
そのため、大学教育のメインを夜間大学にシフトさせていくべきです。その上で、10~30代までの所得税0%化を実行します。年収400万円の場合、月額8000円程度の減税額となるために奨学金を借りた分の返済費用はこちらから充当すれば良いです。
何の職業スキルも身に付けずに、4年生大学をダラダラと適当なバイトをやりながら卒業するという体制にこそ問題があり、そのシステムを根本的に止めていくことが重要です。最近は夜学が減った状況ですが、むしろ、現代社会においては、夜学を増強することで朝・昼大学を減少させて「学生みたいな何か」の比率を下げるべきです。
また、上記の体制に移行していくことで労働力を確保したい企業が自主的に奨学金制度を整えていくことになるため、企業・産業から見て実質的に意味がある教育を大学で行うように大学への要請が強まることが予想されます。
権利と義務の関係を明確にしていくことが真の改革につながる
子育て・教育プロセスにおける貧困問題は、
初期段階では、親の権利と義務(社会が子どもを育てること、親が教育費を払うこと)の一致、
高等教育段階では、教育を受ける本人の権利と義務(教育を受けること、教育費を払うこと)の一致、
を徹底することが重要です。
これらの一部を無責任に納税者に「飛ばす」ことは、必ずモラルハザードが生まれることになり、また社会に対しての説明ができない成果が量産されることになるでしょう。
教育の本質は、自己規律を備える人材を育てること、教育投資は自分のためになることを学ぶこと、にあり、それ以外のことは付帯的なことに過ぎないのです。
現在のタックスイーターらによる子育て・教育への政府支出増加キャンペーンは完全に上記の考え方に逆行したものであり、それらを実行していけば将来的に頽廃した子ども・学生の姿を目にすることになるでしょう。
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2015年11月17日
最強の子育て政策「所得税0%」の実現を!
一億総活躍社会の文脈で子育て支援策が注目されるようになってきています。しかし、私自身は現在議論されている政策に強い違和感を持つつとともに、賛同できないということを明確に申し上げたいと思います。
大発生中の税金を食らうタックスイーターたちの陳情祭
11月下旬に政府が一億総活躍社会に向けた緊急対策について、安倍首相が「出生率1.8」「介護離職ゼロ」につながる政策に絞り込むように指示したことから、子育て業界のタックスイーターたちが一人親支援や保育士給料アップなどを訴える陳情を繰り返すようになりました。
ネット上で最も話題になっていたものとして「一人親への児童手当の増額を訴えるキャンペーン」がありました。一人親になる理由は様々だと思いますが、このような税金による一律のバラマキ政策を推進することには断固として反対です。
親の貧困と子どもの貧困は別問題であり、まともな収入が得られない生活をしてきた親に対し、真面目に暮らしてきた他の家庭から税金を取って更に現金を渡すことの正当性はないと思います。
仮に一人親支援が必要であったとしても、それは「働くためのインセンティブ」が生まれる手法であるべきであり、一人親であることが特典となるような制度は有害なバラマキです。
以上のように、政府が「予算をつけてあげるよ」というお話をすると、砂糖に群がるアリの如く税金を狙ったタックスイーターのロビイストが登場します。本ブログでは、このようなタックスイーターによる影響力を排除し、タックスペイヤー(納税者)視点で、国民の生活の向上に真につながる政策を提唱していきます。
子育て資金が必要であれば「所得税0%」を実現するべき
私は現役世代にお金が回ることは良いことだと思っていますが、それが税金に群がるタックスイーターにお金を使われる形で行われることには反対です。なぜなら、大半の現役世代は所得を得るために働くことが出来るため、現役世代から搾り取る税金を少なくすることで若い世代のお金の問題の大半は解決するからです。
具体的には、現役世代への課税である所得税の「所得税0%化」を実現するべきだと考えています。
20代~30代の平均年収の中央値が約400万と仮定した場合、諸条件によって細かな違いはあるものの、所得税額は年間約10万円です。つまり、約・月額8500円程度の所得税を支払っていることになります。
所得税0%することによって毎月の子育て資金に8500円をプラスにすることできるのです。両親が共働きであれば、約17,000円が子育て資金として増えることになり、年収400万円より高所得であれば更に大きな減税効果が得られます。
現在、政府に対して陳情されている児童手当に中途半端な5000-10,000円の増額を行うよりも、所得税減税によって広範囲の人々に経済効果を生み出すことが重要です。
真面目に働いている現役世代が報われる社会の実現を
「所得税0%化」は日本経済にも景気浮揚が期待されるので給与も雇用も改善していくことになるでしょう。平均年収も引きあがるとともに、仕事のない人にも良い条件の仕事が提供されるようになります。
所得税のような真面目に働く人に罰金をかける制度を放置し、社会の景気を悪い状況に置き続けた上で、政府から雀の涙ばかりの子育て費用の増額が行われるというのは何の冗談でしょうか。
また、所得税は主に都市部から得られる収入ですが、都市部には若者が集住して住んでいます。その都市部から所得税を取った上に毎年約・20兆円の地方交付税を高齢化が進む地方にばら撒き続けることの意味が分かりません。
現役世代を応援することが重要であり、まずは「現役世代を罰する時代遅れの税制」である所得税を0%にすることが望まれます。子どもを普通に育ている家庭の負担を軽減するべきです。
声が大きい一部のタックスイーターの発言に耳を傾ける政治のあり方を見直し、大きな声を上げない真面目に働いている現役世代が報われる社会を実現していくべきです。当たり前のことが当たり前になる世の中を望みます。
yuyawatase at 21:00|Permalink│Comments(0)
2015年11月11日
真の世代間格差の解消方法は「所得税0%」である
世代間格差の問題がクローズアップされて久しくなります。しかし、超高齢化社会という現実を踏まえて、政府の財政政策の偏向ぶりを若者の特定のイシューだけに振り向けて是正することは極めて困難だと思います。
ガチガチに構築されてきた世代間格差
世代間格差の代表的な事例としての年金制度が挙げられます。現状の年金制度は賦課方式という形で現役世代が現在の高齢世代を支える仕組みであり積立式の年金とは異なります。
そして、最近では年金推計が明確に公表されることで若者からの収奪の仕組みであることが露呈しています。
年金の世代間格差はこんなに 年代別、支払う額ともらえる額(一覧)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/28/annual-pension_n_8210934.html
「厚生労働省は9月28日、納めた年金の保険料に対して、どれだけ年金の給付が受けられるかを世代ごとに試算した結果を公表した。厚生年金に加入するサラリーマンの夫と専業主婦の場合、2015年に70歳になる世代は、負担した保険料の5.2倍の年金を受け取れる見込みなのに対し、30歳になる世代以降では2.3倍にとどまった。」
ということです。早く生まれたか否か、というだけのことで、生涯年収に大きな差が生まれるわけです。ちなみに、巨額の日本国債残高を見れば分かるように、戦後世代が日本の繁栄を築いてきたから高齢者福祉は当然という話も誇張があり、実際には国債を返済していく現役世代・若者世代もお金を負担している、の間違いです。
そもそも「政府」が世代間格差を作り出している
年金制度のような世代間格差の仕組みは「政府が作り出している」という当たり前のことに気が付くべきです。
超高齢化社会における政府の政策へのインプットは、主に「高齢者の投票」によって行われます。その投票によって構築されてきた政策の成れの果てが「政府が高齢者向けに有利に構築された世代間格差」なのです。
また、社会に存在している規制は前世代にとって有利に働きます。規制は社会構造を固定化するための装置であり、社会に新しい動きが発生することを防止します。
若者よりも能力的に劣る年配社員が高い給料を受け取れる理由は正社員として労働法制に守られているからです。また、若者が日本市場で活躍するためには、規制の管理人である前世代の人々にショバ代を払う必要があります。
「若者にもっと予算を」は有効なアプローチなのか
世代間格差の是正を声高に叫ぶ人々は、若者に対する子育てや教育などに政府予算をもっと配分しろ!という主張を行う人が多い傾向があります。
しかし、政府の仕組みは「高齢者の投票」によって作られている以上、無駄とは言わないまでも有効なやり方であるかというと疑問を感じます。
たとえば、「保育園への補助金をもっと寄こせ」「児童手当をもっと寄こせ」というようなアプローチを大きな声を上げて行っていくことは有効でしょうか?
残念ながら若者向けのシングルイシューの予算増額要望は、適当な餌を貰って満足させられた気分になるだけであり、日々の生活はますます苦しくなっていくでしょう。
有権者の人口構造が日を追うごとに高齢者に有利になっていく環境の中で、若者イシューの僅かな関係者が個別テーマを掲げて高齢者と政府予算の分捕り合いを行うことは「分が悪い戦い」です。
若者は政府歳出の増加を断固拒否する「本気」を見せるべき
私は「若者が政府予算の分捕り合いに参加することは愚策だ」と思います。
このやり方では高齢者への配分のオコボレを若者が貰うことで溜飲を下げることに終始するからです。むしろ、俯瞰してみた場合、政府による所得移転や規制管理を肯定することで世代間格差を作りしている装置を更に強化していくことにすらなります。
従って、若者が「政府による世代間格差」に対抗するために必要なことは、政府の高齢者向けの予算支出に徹底してNoを突きつけることです。
現在の環境下で自分たちへの給付の増額を主張することは、FXでの損切りが出来ないプレーヤーのようなもので、まずは政府歳出の増加を拒否するムードを創るべきです。
そのためには、若者の名前を騙って社会保障拡充や労働法制強化を訴えている左翼から手を切る必要があります。大多数の若者は日々真面目に就労している人々であり、左派系の活動家は一部の若者の声を代弁しているに過ぎません。
彼らと組んでいる限りは若者は永遠に貧困のままです。
所得税0%こそが若者世代にとっての有効な世代間格差の是正手段
最も有効な世代間格差是正政策は「所得税0%」です。
所得税は働く現役世代に対する課税であり、所得税0%は若者世代を含んだ現役世代全般に恩恵を与えます。所得税総額は約15兆円であり、所得税を全廃することを通じて現役世代の負担を大幅に軽減することになり、景気の浮揚効果も極めて大きいものと思います。
所得税分の各個人の手取りが増えるとともに、景気改善による給与上昇や採用増加も期待できるため、若者にとって生活を向上させる最上の政策です。
単年度の財源は、外為特会の20兆円の含み益と労働特会の5兆円の差益で十分賄うことができます。同政策は消費性向が高い現役世代層の支出増につながり、法人税収や消費税収の増加も見込まれるため、数年間に渡って実施することが可能です。その上で、所得税0%の継続を守るために徹底的に歳出削減を求めるのです。
所得税の大規模減税であれば全生産年齢人口にとってメリットがあり、シルバーデモクラシーに対抗するための有権者の頭数を揃えることができるでしょう。生産年齢の人口総数は約7800万人であり、シルバーデモクラシーに十分に対抗できる数字です。
民主主義は過半数を取るための闘いであり、シルバーデモクラシーよりも有利な現役世代全体の声をまとめあげる政治イシューの設定が重要です。
超高齢化社会に突入する中で、若者が求めるべきことは政府歳出増加の拒否と所得税0%の実施です。これらによって日本の経済構造・社会構造は一変します。
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