大学

2015年12月24日

キニピアック大学世論調査、日本メディアのワシントン病を斬る!

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日本メディアの「ワシントン病」は深刻、世論調査の分析結果に異常な偏りが見られる

NHKが12月22日に発表したキニピアック大学の世論調査で、トランプ氏が大統領になった場合に「恥ずかしいと思う人」の割合が50%超えた、という報道を行いました。

トランプ氏が大統領は「恥ずかしい」 調査で半数に(NHKワシントン支局)

これだけ見ていると、トランプ氏が共和党大統領候補になることが問題であり、なおかつ民主党の大統領候補者にも勝てないかのような印象を与えます。しかし、後述の通り、この報道はNHKによる完全な印象操作でしかありません。

そもそも、22日のキニピアック大学の世論調査は予備選挙の数字でトランプ28%、クルーズ24%で1位・2位の差が4%として報告されていますが、最新のCNNの調査ではトランプ39%、クルーズ18%として21%も差がついています。そして、キニピアックの調査以外はトランプ氏と他候補者に概ね20%以上の差がついているものが大半です。世論調査で信頼度が高い同大学の調査でも鵜呑みにして良い雰囲気ではありません。

そのため、NHKがキニピアック大学の同世論調査結果のみを報道することは極めて不可解であり、どうせワシントンで他メディアが流している同世論調査に関する記事をそのまま垂れ流しているのだろうということが想像されます。(ワシントン政治関係者は反トランプであり、そこからしか情報が取れない「ワシントン病」にかかった日本メディアの報道は少なくとも大統領選挙に関しては信用に値しません)

NHKの報道が疑わしいので実際のキニピアック大学の世論調査結果を読んでみることにした

下記が実際の公表されたキニピアック大学の世論調査結果です。

キニピアック大学世論調査(12月22日公開)

問題の設問は、世論調査結果の一番最後に設定されており、トランプ氏とヒラリーだけに同じ設問が設定されていることが分かります。

トランプ氏 誇らしい23% 恥ずかしい50% どちらでもない24% 無回答3%
ヒラリー氏 誇らしい33% 恥ずかしい35% どちらでもない29% 無回答3%

ということで、トランプ氏については、たしかに50%を超えるものの、ヒラリーも「恥ずかしい」が「誇らしい」を上回っている状況にあるわけです。そのため、トランプ氏のみを殊更取り上げることは強調し過ぎだと思います。

さらに、年代別に見ると、トランプ氏を恥ずかしいと思っている人々は若年世代18-34歳の73%に集中しています。しかし、2012年大統領選挙における投票率、65歳以上72.0%、45〜64歳67.9%、25〜44歳59.5%、18〜29歳45.0%、という数字であり、若年世代の有権者登録(米国は投票権取得は登録制)の低さも際立っています。

つまり、現時点ではNHKが大々的に取り上げた数字「トランプ氏=恥ずかしい50%」は大統領選挙全体の決定的な要素にはなりづらいものと推測されます。また、上記の若年層の民主党支持は圧倒的に高く、同世論調査サンプルを対象に他の共和党候補者(クルーズなど)を同じような世論調査にかけても40%台後半の数字が出てくる可能性が濃厚です。

NHKは大して影響もないような数字を日本国民に重要な数字であるかのように垂れ流しているのであり、NHKの米国大統領選挙に関する分析能力について極めて疑問符がつくと言って良いでしょう。

同世論調査で「本当に重要な数字」は「トランプの予備選挙で優勢維持」を示す数字

「予備選挙の前に自らの現在の支持先が変わることはあるか?」という問いに対して、

トランプ支持者   固まっている63%  変わるかもしれない36% 無回答1%
クルーズ支持者  固まっている36%  変わるかもしれない64%

というものです。1位爆走中のトランプ支持層は極めて強固であるのに対し、2位のクルーズ支持者はイマイチ支持が固まっていない、ということが上記の数字から分かります。そのため、現状のままであれば予備選挙に関してはトランプ氏が伸ばしてくる可能性が高いということが分かるわけです。(実際の他の調査でトランプ氏が2位い以下を大きく突き放しています。)

また、トランプ氏ら共和党候補者とヒラリーら民主党支持者を比べた場合に、民主党候補者が優勢という数字が出ています。しかし、上記に触れたとおり民主党の支持は若年層で極めて高い状況となっており、若年世代の投票率と有権者登録率の関係を考慮すると、同世論調査結果のみから民主党が有利と分析することも困難です。

来年は年明け早々から予備選挙から撤退していく候補者が続出していくことが予測

上記の世論調査結果から導出できる分析は、来年初頭から共和党の予備選挙候補者が撤退していく中で、トランプの支持が一定程度の高水準で推移するということ、テッド・クルーズ氏の支持は他の候補者に流れる可能性が高いこと(おそらくマルコ・ルビオ氏であろうと予測)ということでしょうか。

今後、留学経験者などが増加していく中で、ワシントン支局への腰掛のような形で赴任している人々の付加価値は著しく減少していきます。NHKは公共放送として「ワシントン病」からいい加減に卒業して、情報の出元の影響を受け過ぎずにもう少し客観的な報道ができるようになってほしいものです。

従来までは、米国研究や米国報道は「翻訳ができる」だけで良かったのかもしれませんが、これからは専門性をもって米国の政治動向を分析する時代になるでしょう。日本の国際報道を担う人材の質の向上はますます重要になるものと思います。

当確師
真山 仁
中央公論新社
2015-12-18





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2015年12月06日

超高齢化社会を生きる②「夜学」は古くて新しい知のかたち

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「夜学」という超高齢化社会における新しい学びのスタンダード
 
第二次世界大戦後、働きながら学びたいという勤労学生のために多くの大学が夜間大学を設置しました。かつての夜間大学は学生たちの学び意欲も高く社会の中で一定の役割を果たしましたが、現代では勤労学生が減少したとされていることから夜間大学設置数は縮小傾向にあります。

私は今こそ「夜間大学」は再評価べき仕組みであり、日本の超高齢化・超少子化社会にとって必要な存在となっていくと確信しています。

明治初期の大学も存在していない頃は、地方では先進的な学びの場として夜会と呼ばれる会合において、昼間の仕事を終えた人々が最新の社会動向や知識を身に付けるために熱心な取り組みが行われた伝統も日本にはあります。

このような生涯学習の伝統を生かして学びを深める文化を根付かせていくために、昼間は仕事、夜間は学習、という働きながら学べる体制(学部・大学院)の充実を行っていくことが重要です。

壮年・高齢世代の学びなおしの場として夜間大学を積極的に活用する

四年生大学に入学して卒業することは極めて重い作業になるため、既に働いている人が生涯学習の一環として大学に新たに通うことは極めて難しいものです。

しかし、比較的年代が上の層の人々はまだ大学進学率が高くなかった頃の人々であり、日常生活への負荷を下げながら比較的安価に学び直すことができる夜学のシステムが再普及すれば一定のニーズはあるものと思います。

壮年・高齢世代の人々が新たに体系的な知識を身に付ける仕組みがあることは、超高齢化社会に突入する日本にとっては重要です。カエラが夜学への偏見を捨て去って「新しい学びの場」として夜学を認めれば、日本の知的生産性の向上に大いに貢献することになるでしょう。

また、壮年・高齢世代の人々が「夜学」に資金を払う流れを作ることができた場合、夜学全体としての教育コストが押し下がるため、少子化が止まらない若者世代の大学進学のためのコストを引き下げることも可能です。

大学の「夜学化」推進は若者にとってもメリットが大きい改革となる

現代は大学全入時代と呼ばれており、どのようなレベルの学生でも通常の4年生大学に入学することができます。しかし、このような現状は奨学金を返済することができない「能力がない学生」を大量に生み出す結果につながっています。

勤労学生数が減少して夜学が閉鎖していく傾向にあるにも関わらず、そもそも奨学金を使って朝・昼開講の4年生大学で無能な学生を作っている状況は社会的に大きな矛盾と言えます。

超高齢化社会においては、昼間の4年制大学は整理・統合を進めていくとともに、大学の夜学化を進めていくことで社会人中心の大学づくりを行っていくことが望まれます。

若年世代の学生も社会人学生と同じように働きながら夜学に通う形とし、手に職をつけながら学問を修める形にシフトすべきです。

少子化にも関わらず、大学側が若年世代のみをマーケットにした学費市場を狙った場合、著しい学費の値上げが生じて当然です。学費高騰問題は夜学中心・社会人中心の大学編成に見直していくことで見直していくことが可能です。

社会人中心の夜学では民間市場からの外圧によってビジネススキルを身に付ける講座が増加するでしょうから、学生にとっても大学に通うことは所得獲得上のプラスに繋がることになるでしょう。

超高齢化社会にふさわしい教育制度改革の実践が必要である

教育問題の話になると、OECD諸国内での日本の教育予算の少なさが指摘されることが多く、識者とされる人々から教育予算の増額が提言されることが多い状況があります。。しかし、教育予算が少ないことは識者でなくとも多少詳しい人なら知っていることであり、それでもどうしようもないから「現状の予算のまま」になっているわけです。

むしろ、超高齢化社会に突入している日本において、現状の仕組みのまま教育予算の増額を唱えることは、更なるタックスイーターの競争を生み出すだけで亡国への道を開くものです

今必要なことは、教育サービスの提供主体・方法を見直していくことで、壮年世代・高齢世代・若年世代に同時にメリットになるような改革の形を打ち出すことです。

政府予算の増額要求はビジョンではなく怠惰の延長でしかなく、制度改革を通じて教育投資が自然と行われていく環境を整備することが正しい政治の在り方なのです。

マッキンゼー式 世界最強の仕事術 (ソフトバンク文庫)
イーサン・M・ラジエル
ソフトバンククリエイティブ
2006-09-22




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yuyawatase at 09:00|PermalinkComments(0)

2015年11月27日

「奨学金」を返済できる学生を作るための方法

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奨学金を返す・返さない、大学を無償化する・しない、などの議論が喧しい世の中ですが、問題の根本は全く別のところにあると思います。

大学生に働く力が教育されていないということ

そもそも奨学金が返せない理由は「大学生に働く力が教育されていないこと」にあります。奨学金を受けて大学を卒業した学生が十分な給与を得る仕事につけていないというわけです。

現代社会はかつての高度経済成長期ではなく最低限の基礎的な教育が出来ていない学生を採用するほど企業に余裕はありません。そのため、企業は採用抑制や派遣労働者を活用し、職業能力が無い学生を正規採用することを選択しようとしません。

ただし、厳しい競争に向き合っている企業に正社員を無理に雇わせるように労働法制を見直すことは、企業の雇用への意欲を失わせるとともに、企業の競争力自体を衰退させることに繋がって経済全体を痛めることになります。従って、奨学金の貸し倒れ=納税者負担の発生という問題を解決するために、私たちは現実的な回答を探す必要があります。

大学教育の無償化は問題を解決するのか

一つの方法として「大学教育の無償化」という方法が提案されています。欧州の大学教育の在り方を範にとって大学教育自体を無償化することを通じて、奨学金の貸し倒れ自体を消滅させるというソリューションです。

しかし、「大学教育の無償化」を実施しても「就業能力が無い学生」が量産されている現状については何も変わりません。結果として、奨学金が後々返済されないのか、授業料を最初から税負担しているのか、という話になります。両者ともに納税者負担の増加という意味では何も変わりはありません。

むしろ、奨学金の返済という就業に向けたインセンティブが無くなることで、大学時代において就業能力を身に付ける方向性が学生個人からも一層失われます。目の前の学費という問題を全て税負担で片付ければ良いという思考停止はは更なる問題を引き起こします。

民間企業や篤志家による奨学金制度の拡充が必要である

現在の税負担によって実施される教育制度・奨学金制度は「企業ニーズ」を捉えておらず、働く力を身に付ける教育を行っていないということが問題です。

そのため、根本的に大学教育のあり方を見直す必要があります。具体的には企業による奨学金制度を積極的に奨励することです。大学を卒業した学生は企業にとって必要な労働力を提供する人材になるため、そのための教育費用は企業が一部負担することは合理的です。

最新の経済動向・産業動向についても象牙の塔の中の大学よりも最前線で戦う企業は熟知しています。そもそも時代遅れの既存大学の教育を受けて就業できるという発想が間違っています。

そのため、大学における人材育成自体を企業に任せることを通じて、就業能力が高い企業ニーズにマッチした人材を育てるべきです。企業側も丁寧な人材育成を通じて多額の採用コストを抑えるメリットがあります。

国民にとっては就業能力が高い人材を生み出す改革を実現し、更に追加の税負担を避ける二重の効果が発生します。

目的を見失った「政府による奨学金」は一旦廃止を

税金に依存して制度設計の積み増しを行うことは、制度によって恩恵を得るステークホルダーの存在を曖昧にしてしまいます。奨学金は何のために存在しているのか、ということについて今一度問い直すべきです。

現状の制度を追認して何でも税負担を拡大すれば良いという議論を見直し、その制度による受益者が費用を負担するべきという当たり前の感性を取り戻していくことが重要です。






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