地方創生

2016年07月03日

増田寛也「公共事業で借金倍増1兆円の過去」

無題
<平成25年9月岩手県「公債費負担適正化計画」より引用>
「岩手県知事時代、借金を倍増させた無能な元建設官僚だった」

<質問者>
「改革派の知事として知られた増田さんは十二年間の在任中に一兆四千億円と、岩手県の借金の残高を二倍にしてしまったというお話をいたしました。なぜそのようになってしまったのか。増田さんのリーダーシップの問題なのか、国の制度の問題なのか、あるいは悔しくなかったのか、お答えください。」

<総務大臣>
「この地方財政、岩手の場合に、今お話ございましたとおり、就任時に比べて大体借入金残高が二倍になったわけですが、その大きな理由、私は、一つは地方での、地方税の収入がなかなか伸びない、あるいは途中では随分落ち込んだ時期もございまして、やはり地方経済がうまく立ち行かないということが一つ。それから、あと社会保障関係費はずっとこの間増えてきていまして、そういう義務的な経費が増えてきているということも一つあります。」

「ただ、一番大きな原因でございますけれども、これは、やはり平成四年以降だったかと思いますが、国、地方併せまして公共事業を大分景気対策ということで行ったわけでございます。この公共事業を随分量的に拡大をして実施をしました。これは借金で実施をするものでございまして、その後、今申し上げましたような地域経済がなかなかうまくいかなかったということによって、その償還費の負担が非常に厳しかったということもあると思います。」

上記のやり取りは、2008年1月31日の参議院予算委員会にて、質問者・田中康夫氏からの総務大臣・増田寛也氏への手厳しい質問とそれに対する増田氏の回答です。

自らの知事としての手腕の無さを国のせい・社会のせいとし、国の成すがまま・言われるがままに公共事業を実施し、岩手県の借金を「倍増」させてきたことを自分自身の答弁で認めました。

彼が在任した1995年度から2006年度の12年間で県債は7029億円から1兆3922円に爆発的に増えています。知事就任直後が県債発行額が最高額に達しており、赤字を垂れ流して自らの政治基盤を確立した姿も数字から伺えます。たしかに、任期後期は急激な予算縮小を断行しましたが、自分でわざわざ公共事業で借金を増やし、その後に自分で歳出改革して辞める前にプライマリーバランスの帳尻を合わせただけです。

国の施策がアクセル全開のうちに思いっきりアクセルを踏んで借金をさせて、その後に国の方針転換に合わせて急ブレーキ。初期に借金が積み重なるのも承知の上であり、このような経済運営で多くの県民・県内企業が振り回されたのではないかと推察します。

その上、増田氏は公共事業を通じて岩手県内産業に寄与したと主張するも、県内総生産・県民所得の推移などを見ても顕著な伸びを示したとは言えず、必ずしも経済運営手腕が優れていたわけでもありません。

ちなみに、田中康夫氏は増田氏と同じ時期に知事を務めて、「僅か6年」で起債残高・借金を減らし、プライマリーバランスを黒字化し、基金を積み増しまで行ったと同じ質疑の中で述べています。

田中氏と同時期の知事として計画的な財政運営ができず、自らの政治基盤を固めるために元建設官僚として膨大な無駄な公共事業を繰り返してきた、と言っても過言ではありません。

増田寛也氏の「総務大臣時代」の驚くべき「東京蔑視」発言

「景気が回復して地方税収全体が上がるときにそういった、特に東京ですが、東京に金が集まりやすいような税体系はやはり切り替えていかなければならないと、こういう大前提がございます。」(平成20年4月24日総務委員会)

「経済活動、我が国全体の総体の経済活動が大都市というよりも東京に一極集中していると、これが今日、我々として早急に対応していかなければならない格差の問題の主要なターゲットになっている、相手方になっていると、こういうふうに考えております。」(平成20年4月20日総務委員会)

「これは結局、そのことを通じて地域に雇用の場があったり、若い人たちがそこにきちんと根拠を置いて、みんな都会あるいは東京などに出ていってしまうということを防ぐためにも、一番、やはりそこに基盤を置かなければいけないんではないかというふうに思っております。」(平成20年3月26日内閣委員会)

「そうしたことを防ぐ意味で、あえて私は税源移譲のことは申し上げませんけれども、その税源移譲をするにしても、例えば法人事業税の分割基準を見直しするといったようなことを行って三位一体改革を進めてきた、こういうことでございます。例えば、東京都からそういったことによって一千億ほどのお金が地方に移るといったようなことをやってまいりました。それで税源の偏りを緩和してきたわけでございますが、しかし、それが不十分だった。そのことは、事実として数字が出ている。」(平成20年2月8日衆議院予算委員会)

など、増田氏の総務大臣としての見解ですが、彼は総務大臣時代に東京都を目の敵として「東京に金を回さない」ということをやってきています。まさに、東京を蔑視して地方に金を回すことを正義としてきたような発言ばかり、「地方で地域の雇用を」というのは聞こえが良いですが、それを「東京のお金で」というのが彼の考え方です。

東京都も高齢化社会を迎える中で介護施設・介護人材などが不足している状況ですが、それは彼ら地方の利権を優先してきた人々が東京都のインフラを蔑ろにしてきたからに他ならず、東京都に不足する子育て施設も含めて東京への資源配分を蔑ろにしてきた増田氏の愚策がその遠因にあるのです。

増田寛也では東京を愛していない人物が公共事業によるバラマキで借金を作るだけ

以上のように、今回は増田氏の総務大臣時代の答弁を見てきましたが、自らの失敗に対する責任は中央省庁や社会環境に押しつけ、そして東京を蔑視する(東京から地方にお金を回したことを誇る)という有様でした。

増田氏の政治姿勢は一つの考え方として必ずしも否定しませんが、今更「東京都知事」として名乗りを上げるにはあまりに「厚顔無恥」なのではないかと思います。

彼が日本創生会議座長として行った「消滅自治体」の提言が基になって行われた「地方創生事業」というガラクタの山が積み上がりつつある中で、自分だけが地方の惨状から足抜けして東京都知事になろうとすることは虫が良すぎるのではないでしょうか?自らが如何に東京都を犠牲にして地方の人気取りのような政策を実行してきたのか、まずはその誤りを都民に謝罪することから始めるべきでしょう。

現在の増田氏に対する評価は「東京を愛していない人物が公共事業によるバラマキで借金を作るだけ」というものです。彼を推薦しようとする都議会自民党の政治的な見識を疑うとともに、一人の東京都民として「東京都民を馬鹿にするのも大概にしろ」とはっきりと申し上げておきます。





本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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2016年05月08日

「ヤンキーの虎」だけではなく「人類」が育つ環境が大事

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最近流行りの「ヤンキーの虎」論の限界を認識するべきだろう

地方の活性化に取り組んでいる人達の界隈で「ヤンキーの虎」というワードが流行りつつあります。

衰退する地方経済の中で残存者としての利益を得つつ、地元密着の様々な事業を経営して逞しく生きる人々。彼らはマイルドヤンキーの雇用主として扱われることで、都市部の有識者らから勝手に「ヤンキーの虎」という称号を得ることになりました。

中央政府、大学、大企業のような象牙の塔での政策論、要は綺麗な世界で生きてきた人たちにはヤンキーの虎はよほど新鮮な存在のように見えるのでしょう。今まで気が付かなくてごめんなさい的な話かなと。

しかし、地方の現場の人々と触れ合えば、以前から頼れる兄貴的な存在としてヤンキーの虎的な人たちがいることは常識で分かります。自分も散々泥臭いことをやってきたので、その中で出会う彼らの漢気は素晴らしいと感じています。

「ヤンキーの虎」は非常に実行力・行動力・決断力に富んでおり、目標を決めて物事を断行するだけの資金力も有しています。中央政府や地方政府の遅々とした動き、審議会などの非生産的な状況に飽き飽きした論客たちが「ヤンキーの虎」に飛びつく気持ちも分からなくもありません。

しかし、だからと言って、「ヤンキーの虎」によって地方が活性化するということは「木を見て森を見ず」の話であり、新たな地方活性化論のためのバラマキネタを霞が関に徒に与えるだけになると思います。

「ヤンキーの虎」は、補助金経済の二次受益者ではないか、ということ

「ヤンキーの虎」の定義にもよりますが、現在のオーソドックスなヤンキーの虎は「地方経済の小さなコングロマリット」のオーナーと位置付けられていると思います。居酒屋、パチンコ、携帯ショップ、ガソリンスタンド、介護施設、産廃、その他諸々の儲かりそうな業種を統合しているプレーヤーというイメージです。

しかし、ヤンキーの虎の事業ドメインは、地方経済の「内需」に属する分野であるため、実態としては補助金経済の二次受益者ではないかと思われます。地方の人口減少の影響を受け続けながら、先細りする都市部からの財政移転の残存利益を合理的に回収しているわけです。

つまり、彼らは社会のビジネスモデル自体を変革するような存在ではなく、あくまでも現実優先の経営判断力を持った存在と言えるでしょう。それは経営者個人の資質として見た場合は素晴らしいことですが、中長期的に地方経済の衰退を食い止める存在ではないと思います。

地方経済が成長していくためには、地域外でも通用する技術やビジネスモデルを持った企業が誕生し、それらの企業が経済全体の屋台骨になって発展していくことが望まれます。

ところが、「ヤンキーの虎」が持つコアコンピタンスは、それらの技術やビジネスモデルの革新を創造する方向とは正反対の力によって構成されているのです。

「虎を頂点とした弱肉強食」ではなく「雑多な環境による適者生存」こそが競争力の源泉になる

「ヤンキーの虎」のコアコンピタンスは、地域社会におけるソーシャルキャピタル、特に縦社会の序列を形成するリーダーシップにあります。このようなリーダーシップは「やるべきビジネスモデルが見えている」場合に最大の力を発揮することになります。

ヤンキーの虎が地域に生息している生物の行動を統率し、次々に新しいビジネスを立ち上げさせて雇用を継続・維持していくやり方は、従来型の地方産業のM&Aや東京からのビジネスモデルの輸入という文脈において圧倒的な強さを示すことでしょう。

ただし、筆者のように東京都心部でVCに投資されて創業されるベンチャー等と触れあっている身としては、上述のようなヤンキーの虎のスタイルでは、地方経済の新たな立役者となる存在は生まれてこない、と感じています。

東京都心部で生まれるベンチャー経営者は、人物に依るものの、表面的にはヤンキーの虎のような漢臭さや覇気を感じない場合も多く、むしろ生き物としての生存が危ぶまれるようなパーソナリティの方もいたりします。

しかし、これらのベンチャー経営者らのビジネスが成功した場合には、社会全体のビジネスモデルが変わるものが多数存在しています。東京という社会的序列がはっきりしない雑多な環境から生まれるベンチャーは、ビジネス環境という生態系自体を作り替える「人類」であると言えるでしょう。

そして、地方経済が中長期的に必要としている要素は、「ビジネス環境自体を変える」または「域外経済においても圧倒的な市場シェアを占める」強いビジネス、そしてそれを生み出す「人類」であることは明らかです。

飼育係に支配された日本国の檻から経済人を開放することこそが重要である

日本の課題は飼育係(霞が関)に支配された日本国から動物たちを開放することです。

日本国の飼育係である霞が関は自身が管理する動物園の中で繁殖していく種族を決定し、それ以外の種族が増えないようにする力を持っています。しかし、彼らは神様でもなんでもないわけですから、生態系が繁栄するための方法を知っているわけではありません。

現在、多くの地方社会は飼育係の支店(地方政府)によって管理されており、大多数の生物は彼らの監督の下で生きていくことが許されている状況となっています。それらの場所では標語としての適者生存・繁殖促進が謳われているだけであり、実際には全ての生物が絶滅(人口消滅)に向かうプログラムが実質的に実行されているわけです。

ヤンキーの虎のような経済的な生態系における新たな発見を喜ぶだけではなく、根本的に日本経済の環境を野性的な状況に戻して活力を取り戻していくことが必要です。多様な生物が氾濫する肥沃な大地を蘇らせることが求められており、既存の環境の中での生存状況を確認だけでは不十分です。

筆者は「ヤンキーの虎」という言葉が「霞が関用語に変換された」上に虎たちに改造手術が施すための訳が分からん予算がつけられて生態系全体のバランスが更に崩壊するのではないかと懸念しています。

中央も地方も経済については介入することなく自然の逞しさに任せておけば良いのです。そして、地方からもビジネス環境全体を変革するような人々が生まれてくることに期待したいと思います。

ヤンキーの虎
藤野 英人
東洋経済新報社
2016-04-15


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2015年11月24日

石破茂大臣宛・地方創生の秘訣は「自由な空気」を取り戻すこと

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地方創生にとって重要なことは「自由な空気」が存在することです。地方に失われたものは自由な空気であって、地方の活性化を実現したいなら失った最大の地域資源を取り戻すことが重要です。

なぜ、日本の地方は衰退しているのか

地方から若者が出て行ってしまうのは何故でしょうか。仕事が無いから、将来への希望が無いから、その他諸々の理由があると思います。そして、その大きな要素の一つとして「都市には地方には無い『自由』があるから」ということも挙げられると思います。

各地方には特有の地域コミュニティが存在しており地域独自のルールを持っていることは否定しません。

ただし、役所が地域経済の大半を握っており、役所を中心としたピラミッド構造が出来上がっている現状はどうでしょうか。政府が支給する補助金は、地域の序列に従って支配的企業や組織に配分されて、皆がその序列に従ってオコボレをもらう姿を見せられて希望を感じる人はいるでしょうか。

地方は衰退過程で政府支出の増加という誤った施策を採用したために完全に負の衰退スパイラルに入っていることが分かります。

石破茂・地方創生大臣のお膝元「鳥取県」は政府支出が県内総生産の40%を占めており、もはや手遅れ気味ではあるものの、今からでも地方創生の在り方について方針転換すべきです。

そのような経済・社会の有り様から生まれる息苦しさこそが地方から人材が出ていく原因なのです。

ピントが完全に外れた地方創生プランの数々

以前に地方創生関連のセミナーがあり、そこでお会いした役所の外郭団体の人に対して、地方創生関連で自分も役に立てることがあれば協力したい旨を伝えたことがあります。

私の申し出に対する先方の返事は「色々な先生経由で沢山案件を頂いて一杯一杯なので、あなたからの要望には応えられません」というものでした。

自分は相手の方が何を言っているのか一瞬理解できなかったのですが、どうやら私が補助金や助成金をおねだりしていると勘違いされていたようでした。自分はそんなことは一言も申し上げていないし、非常に無礼な話だったと思うのですが、地方創生の現状を端的に表した会話だったと思います。

地方創生については様々なプランが提案されているようですが、地方の特産物を売れるようにしていく計画を役所がワザワザ立案することについて疑問を感じざるを得ません。それが成功したとしても補助金まみれの地域経済が改善されるわけもなく、その過程で生まれる「澱んだ空気」の問題のほうが深刻だと思います。

北朝鮮も世界の独裁者向けの巨大像輸出が特産品として成功していますが、それで地域活性化が成功していると言えるのでしょうか。補助金を使って特産物をPRする前に、補助金まみれの地域運営を変える必要があります。

東京のど真ん中でも補助金まみれの場所には若者は存在しない

仮に東京のど真ん中の地方自治体であったとしても、補助金でジャブジャブになっているような場所に若者はほとんど存在していません。役所が行っている地域振興・商店街振興のような政策に集まってくる人はある程度年配の人ばかりです。

税金で一杯のシチュエーションで若者を見かけるとしたら、役所で働いている若者か、役所に仕事を取りに来ている若者だけであって、若者で役所が関連することに自発的に近付こうとする人は少ないです。

つまり、地方の人々は東京でも失敗しているような補助金に依存した地域振興策を田舎で実行して成功させようとしているわけです。これは若者が何を欲しているのかを全く理解していないことによる無策と言えるでしょう。

地方創生に必要なことは「税制改革」と「規制改革」を断行すること


地方創生のためには長年補助金・助成金によって「澱んでしまった空気」を「自由な空気」に戻していく必要があります。地方自治体内の自由市場の機能を取り戻し、少しづつでも活気を復活させていくことが大事です。

具体的には「地方税を減税すること」「規制改革を断行すること」が重要です。地方自治体が自由にこれらの改革を断行できる制度設計を作ることが地方創生に繋がります。

補助金で創り上げた張り子の経済・社会はそれらのモルヒネが無くなれば終わりです。そして、張り子の経済・社会が偽物であることを敏感に察知した若者は優秀な方から地方を出て行ってしまいます。

地方自治体の住民の代表である首長・議員が本当に地域を活性化したいのであれば、地方自治体を縛る制度設計の全面的な自由化こそ要望するべきです。「澱んでしまった空気」を清々しい気分で活動できる「自由な空気」にしていく努力が望まれます。





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2015年11月15日

東京都の出生率はどうすれば伸びるのか?


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最近は東大もダメになったんだなーと思って少々残念な市議会議員さんの記事を紹介します。

東京のみなさん、まだイケダハヤトで消耗してるの?(長坂 尚登さん・豊橋市議会議員)

この文章中に冒頭に出てくる「研究者」の私のことのようです。まあ、自分は研究者の肩書しか表に出していないのですが、自分も経営者の端くれなので「まさか「最近、年商2000万前後になった」限界集落に住んでる個人事業主のにーちゃんを羨ましいと思うわけないだろ?もうちょっと大人の経営者感覚と仕事観を持って市政運営に携わってほしい」と思ったことは、脇に置いて内容について触れていたいと思います。

以下は政策的なお話。

都市部の出生率が低い原因とは何か

国立社会保障・人口問題研究所が実施した「第14回出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(夫婦調査)」(2011年)によると、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(60.4%)ということです。つまり、十分な頭数の子どもを持つか持たないか、ということはお金の問題であると言っても良いでしょう。

件の市議会議員さんは、 市区町村別にみた合計特殊出生率(厚生労働省)を参照して、出生率が高い地方よりもむしろ出生率が低く高齢化が進む東京が備えを十分にするべき、という議論を展開しています。

このような議論は原因と結果が逆という典型的な事例です。つまり、「東京都から異常な金額の金を地方に移転している」のだから「東京の現役世代から子育て費用が無くなって当たり前だ」ということです。

都市の暮らしの価値観なども現役世代に十分にお金が足りていれば変わることもあると思います。東京の出生率が低くなる原因は諸説あると思いますが、何よりも地方が東京都などに住んでいる現役世代からお金を奪っていることを忘れるべきではありません。

沖縄県で出生率が高い理由をお金の面から考察する

たとえば、平成25年度・人口一人あたりで見た財政移転の事例として沖縄県を見てみましょう。沖縄県への国庫支出金は264千円(全国1位)、地方交付税は254千円(全国17位) 、両者の合計は518千円(全国 6位)となっています。沖縄県の平均世帯人数は2.5人程度であるため、1世帯につき「年間約・130万」を国から受け取っていることになります。何もせずに、毎月1世帯10万円以上のお小遣いが貰えるわけです。

子どもを一人育てる時にかかる月額の平均費用は3~5万円程度でしょうから、沖縄県の人は子育て2人分くらいの費用は毎月財政移転を受けていることになります。

若者の都市流出は交通インフラが整備されることによって加速していくでしょうから、沖縄のように少し離れたところに若者が残って子どもが増える事例もあるかもしれません。しかし、考慮されるべきことは沖縄県の子育てのためのお金は東京などの都市部で働いている人から税金で強制的に移転して手に入れたものだということです。

人口減少スパイラルから脱却することを真剣に考えるべき

地方で子どもが生まれる⇒成人したら東京に出る⇒東京から地方に財源移転する⇒東京で出生率低下⇒地方で(前より少ない)子どもが生まれる・・・、という人口減少スパイラルへの対応を考えるべきだと思います。

県内・域内GDPに対する政府支出が高い半社会主義化した息が詰まる出身地に、若者が成人した後も留まらないことは数字が証明しています。生まれる場所は選べないので最初は地方に生まれても多くの若者は都市を目指して移動します。若者にどれだけ地方移住を促進してみたところで雀の涙のような人口移動しかないでしょう。

真剣に考慮するべきは、東京という若者が集住している地域にお金を残して、この地域の出生率を上げていくということだと思います。また、海外からの移住者の受け入れ促進を通じた即効性がある人口増加を大規模に進めていくべきです。

東京の高齢化への対応として地方に高齢者を送りだすという話は介護人材などが根本的に不足するために絵に描いた餅です。地方創生で出生率を上げるなどの社会主義的な発想は一時しのぎで全体から見れば大きなマイナスを生み出すでしょう。

地方活性化伝道師や地域おこし協力隊を止めて都市部への若者集住を促進すべき

現在、国の政策として、地方活性化伝道師や地域おこし協力隊などの税金を使った人材・若者の地方への送り出しを推進していますが、貴重な生産年齢人口(かつ経験不足の若者)を生産性が低い地方に送り出すことに非常に疑問を覚えます。しかも、若い段階で国の税金で仕事を行うと民間経済を良く分からない勘違いした人材が育ってしまう悪影響もあります。

仮に地方創生を実現していくとしたら、それは民間経済の文脈で地方が活性化することであり、国の予算で若者を送り出すのではなく、自然な経済活動の結果としてもたらされるべきものです。

税金で推進されている地方創生は、地域から活力を奪い、更に足腰を立たなくする結果を生み出すことになるでしょう。若者には都市で民間のビジネス感覚を身に付けさせることが第一であり、その後に行きたい人が自発的に地方に行けば良いのです。

ということを、今週どこかにアゴラで返信として載せようかなと思っています。





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