地方分権

2015年11月29日

地方分権改革私論、「腐敗の論理」を行革に生かす

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日本の行政機構や公務員制度は既に確立されて出来上がっているため、小さな政府を実現していく場合、完全に廃止・民営化を実現していくことは極めて困難です。そのため、まずは税制度全体及び天下りなどの腐敗の面で、中央・地方関係に対立・牽制関係を働かせていくことで、行政改革へのインセンティブを付与することが重要です。

中央政府=社会保障、地方自治体=産業政策という役割分担の見直し

まずは中央政府と地方自治体の根本的な役割分担を実施していくことが望ましいと考えます。具体的には中央政府は社会保障全般(所得・衛生)、地方自治体は産業政策全般(サービス・補助金)というような役割分担に再編する必要があります。

現在の政府方針では、中央政府は社会保障・産業政策のいずれも強い権限を持ち、地方自治体はその執行役としての役割を担わされています。さらに、中央政府は財政難の状態から徐々に社会保障関連の事務を地方に移管していこうとしている姿が散見されます。

そのため、中央政府と地方政府の実質的な一体化を前提として、社会保障を餌に地方自治体側が消費税増税などに安易に賛成する、という大きな政府に陥るスパイラルが形成されています。

このような状況を根本から見直し、中央政府は社会保障全体を担うもの、地方自治体は産業政策を担うものと明確に区分することで、各地方自治体間の経済競争が促されることになります。地方自治体間の経済競争の総和として日本経済全体の浮揚に繋がることは明白です。

税制の抜本的な構造改革、所得税・法人税の地方自治体への移管を進めるべき

中央政府が社会保障を担うものとした場合、中央政府の財源は消費税などの安定財源によって担われていることが重要です。そのため、逆説的に所得税・法人税などの景気に左右される生産関連の税収は不要となります。

従来までは中央政府が所得税・法人税も吸収していたため、好況不況時の税収・支出にバラつきが生じて計画的な行政運営が難しい状況があります。そのため、中央政府の運営は消費税などの安定財源に限定することを通じて社会保障の計画的な支出を実現することが重要です。

逆に所得税・法人税などは地方自治体に移管することが重要です。生産関連税収は従来までは地方交付税の原資となっていましたが、これらを地方税と位置付けて地方自治体の予算として直接収受できる環境を整備していくべきです。

なぜなら、地方自治体に生産関連税収を移管することを通じて、地方自治体間の経済競争を促進していくことができるからです。現在、財政改革・規制改革などが遅々として進まない理由は、財政改革・規制改革の担い手となる地方自治体に改革へのインセンティブが何も働いていないことに原因があります。

地方自治体職員の待遇と地域の経済成長が連動している状態とすることで、初めて日本の構造改革が進む状態になるとともに、国と地方の間での力関係が変わってくることになります。各地域の生産関連税収と地方自治体の公務員給与が一致するからです。

中央政府が社会保障全般を計画的に実施することで、地方自治体は社会保障関連の制約から抜け出て、経済成長を実現するための施策を総合的に構築していくことが可能となります。

中央省庁の天下りなど不要、地方自治体に利権を移していくことで改革を促進する

現在、中央省庁でも地方自治体でも大量の天下りが発生しており、それらの目に見える負担・目に見えない負担は日本経済全体の重しとなっています。重要なことはこれらを一掃することは極めて難しいということです。

そのため、日本全体に影響が発生する中央政府レベルでの天下りを防止するとともに、地方自治体への利権移管を進めることで、天下りが酷くてダメな地域が勝手に潰れる環境を整えていくことが望まれます。

中央の天下り及び利権は日本全体に与える影響が大きいため、地方自治体レベルに天下り及び利権を移していくことで被害を最小限に抑えるべきです。

現在、国政では消費税を地方税に移管して社会保障を担わせる議論がされていますが、それでは日本全体レベルで産業と癒着した中央省庁が温存されることになります。中央省庁には社会保障関連の天下り・利権を残し、地方自治体は産業関連の天下り・利権を受け取るべきです。

所得税・法人税などの生産関連税収と日本の産業全体を規制する権限を中央省庁に残しているから、様々な既得権に阻まれて日本の経済改革は全く進まないのです。

日本全体では過去に築いた経済のパイがあるため、多少経済が傷ついてもそれらの腐敗を受け入れる余地があります。そのため、非常に不毛な政策が存在していても、全国横並びで実行されるために誰も不毛さに気が付かず、財政改革・規制改革が進んでいきません。

公務員による天下り・利権、つまり腐敗による支出・規制執行は無くならないことを前提とし、各腐敗の影響範囲を地理的に限定し、各地方自治体間の競争で腐敗を抑制する政策を実行していくことが望ましいです。

無駄な中央官庁を一掃してスリム化を実現していくことが大事である

日本の中央省庁は様々な名称では多様な業務を行っていますが、それらの大半は社会保障(所得・衛生)か産業政策(サービス・補助金)に分類することが可能です。

社会保障に分類できるものは中央省庁に残し、それ以外は全て地方自治体に移管することが望まれます。地方自治体の主要税収を生産関連税収とすることで、地方自治体の自主的判断で中央省庁から移管された大半の不要事業は廃止されることになるでしょう。

中央政府として、不要な省庁は、経済産業省、文部科学省、農林水産省、総務省、国土交通省、などのサービス提供・補助金系系省庁です。これらの省庁の所管政策については地方自治体側で移管される所得税・法人税によって運営されていくか、民間事業者が参入するかを決定していけば良いと思います。

これらを地方に移すことで地方レベルの腐敗(天下り・利権)は拡大するでしょうが、あまりにも酷い地域から潰れていけば良いだけなので日本全体で見た問題に比べれば小さなことです。

これらの改革を実行することで、毎年の概算要求の度に各省から数百から千枚以上の要求のための書類が出てくるような愚かな文化も無くなることでしょう。その他の中央省庁の政策も外交・防衛は除いて社会保障に似つかわしくないものは徹底的に排除し、不要な特別会計も全て整理してしまうべきです。

中央政府の社会保障、地方自治体の経済成長の対立が財政健全化への道

上記の一連の改革によって、中央省庁に社会保障費用が集中することによって膨大な量の財政支出を中央省庁が担うようになるものと思います。しかし、財源は消費税しかないという状況を創り出していくことが重要です。

そのような状況を作ることで初めて消費税は社会保障目的の税金として使用されていくことになります。

一般会計ベースでみると、地方交付税、文教科学振興費、公共事業費、その他の産業関連分の予算を地方に移すと30兆円弱になるため、法人税・所得税の約30兆円弱とほぼ同額となります。これらを地方自治体に移すと同時に、既存の国債の一部も自治体の担税力に応じて中央政府から地方自治体に移譲します。

そうすることで、地方自治体は景気悪化による所得税・法人税の減収を恐れることになるので、現在の日本政府のように安易な消費税増税に反対するようになります。

政府内で牽制関係が働く環境を作ることによって政治的な議論が喚起されることとなり、消費税増税の是非がまともな形の政治争点として国民に示されることになります。

その結果として、中央政府が消費税を増税するためには、地方自治体からの同意が実質的に必要となるため、社会保障支出の徹底的な削減、医療・介護などの規制緩和などが自然と実行されていくことになります。

日本の再生には、所得税・法人税を地方に移すことで、肥大化を続ける政府内部での牽制・対立関係を創り出すことが重要です。





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yuyawatase at 12:07|PermalinkComments(0)