加工食品

2015年12月10日

「軽減税率の適用拡大という幻」の合意

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自民党が軽減税率の範囲を「生鮮食品」「加工食品」まで認めることに

自民・公明両党は軽減税率の対象を生鮮食品と加工食品を含む食料品まで拡大し、軽減される消費税は約1兆円規模となることが決まりました。

自民党は財政規律や手続きの煩雑さから軽減税率の適用範囲の拡大について抵抗してきましたが、来年の参議院議員選挙での選挙協力を念頭に公明党に妥協することになりました。

しかし、実は自民党は公明党に対して一切妥協しておらず、むしろ選挙協力のみを引き出したのではないか、ということが私の見方です。以下、私見を述べておきたいと思います。

参議院議員選挙の選挙争点は「消費増税の先送り」なので軽減税率は意味を失う

まず、来年の参議院議員選挙の争点は、景気動向などとの関係から「消費増税の見送り」になる可能性が高いということです。政権側は少なくともその形で選挙を行うことを前提として準備を開始するでしょう。一部では大手調査会社の予測結果として消費増税見送り&自民圧勝の数字も出回っています。

そのため、増税に伴う軽減税率は全く意味がない議論になる可能性があります。

そう考えると、現段階では軽減総額を多く設定したほうが来年の予算の見直しの際の影響力を小さくできるはずです。各省庁の予算編成は新年度から開始されることになりますが、夏の選挙結果を受けて予算編成内容を変える必要が出てくるでしょうから、増税幅を小さく見積もったほうが後々の対応が楽になります。

したがって、現在、自民党は公明党に妥協したふりをして軽減税率幅を拡大し、公明党の衆参同時選挙の選挙協力を引き出すほうが優先順位が高いことになります。

衆参ダブル選挙の高投票率で公明党は大幅に議席を失う結果になる

衆参ダブル選挙の結果として、大幅に投票率が上昇することを通じて、公明党は大量の議席を失うことになるでしょう。

大阪維新の衆参両方での議席大量増が予想されるため、連立政権内部での力関係に大きな変動が生じ、その結果として公明党の連立与党内での地位は低下することが予想されます。

大阪維新のボスである橋下氏は「軽減税率は新たな既得権を生むだけ」と反対している状態であり、衆参ダブル選挙の結果は軽減税率の適用範囲にも影響を与えていくことになるでしょう。

衆参ダブル選挙後の政局情勢で「軽減税率」の話は見直されることに

衆参ダブル選挙後は、大阪維新が連立政権入りすることで消費増税は先送りとなり、その後は軽減税率の見直しの議論が出てくることは必然です。 

政権としてはそのまま憲法改正の発議に持っていきたいところであり、軽減税率の適用範囲に関する合意・見直しは公明党に対する交渉カードとしてうまく扱われていくことになると思います。

そのため、現段階で自民党が公明党に軽減税率に関する妥協を行うことは政局上の合理的な判断と言えます。つまり、「軽減税率拡大が実際に意味がない」ということになります。

当確師
真山 仁
中央公論新社
2015-12-18






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yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)