予算

2016年01月16日

納税者が「他人の借金を肩代わり」する利子補給制度の廃止を

a0002_011580

地方自治体の産業政策の相当部分は「利子を代わりに払ってあげる」という政策

地方自治体の産業振興予算の相当部分は地域の中小企業の借金を代わりに支払うことに使用されています。この政策は「利子補給」と呼ばれており、一定の条件を満たした中小企業は利子の支払いの大半を免れることができます。 

利子補給は各地方自治体の予算でかなりの部分を占めており、都心部の地方自治体でも産業振興予算の25%以上の予算を占めているところもあります。

もちろん、これらの利子補給を受けることによって助かっている企業があることも事実ですが、納税者が納めた税金を使って一企業の利子を支払っているということを知らない有権者も多いのではないでしょうか。

貸付金の利子は何のために存在しているのか


産業政策上の観点に立てば、貸付金に利子がある理由は産業の新陳代謝を図ることにあります。適切に設定された利子以上の収益を上げることができる企業が生き残ることで、経済全体の革新を測ることが可能になります。

従って、貸付金に適切な水準の利子が存在することによって、金融機関は貸付先への支援に本気で取り組むことになり、企業の入退出が促進されることになります。

結果として、新しい利益率の高い産業にヒト・モノ・カネが移動することによって、経済環境の改善の恩恵として賃金や雇用などの中長期的なプラスの効果がもたらされます。

仮に利子補給を受けなければ成り立たない事業であれば、それは資本市場で存続するには必要な利益を上げることができない事業であり、中長期的な観点に立てば整理・淘汰されるべきものと言えます。

同事業が中長期的に成り立つ確信がある場合、金融機関がリスクを取って貸し出しを実行するべきであり、貸し出しリスクの判断ができない納税者がリスクを肩代わりする現在のシステムは論理的に不要です。

資本主義を機能不全に陥らせる産業政策の廃止が必要

地方自治に関心が無い多くの方は、地方自治体が行っている産業政策の大半が商店街振興と利子補給のための予算だと知れば驚くと思います。しかし、そのような姿が現在の地方自治体の産業政策の予算配分の実態であり、地域に新しい産業が起きてこない遠因となっています。

地方自治体の産業政策は、経済の構造変化を鈍化させる方向で機能しており、地域経済の激変緩和のための救済策のようなものだと言っても過言ではありません。その結果として、地域経済は必要な変革を遂げることなく、緩やかな死を迎えることになります。

地域経済を本当に振興するためには、地域内で適切に資本主義を機能させることが重要であり、そのための重要な要素である地域金融のインセンティブを正すことが必要です。したがって、重要なことは「利子」を機能不全に陥らせる政策ではなく、利益を生み出すための積極的な規制緩和や減税政策の実施ということになります。

地方自治体の産業政策のパラダイム転換が必要であり、そのためには地方自治体自体の勇気が必要となります。地域の首長、議員、事業当事者の皆様が英断を実行されることを期待しています。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 17:32|PermalinkComments(0)

2015年11月22日

大人の教科書(5)政治屋、政治家、慈善家の違い

a0006_001002

「あいつは政治屋だ」とか、「彼は政治家を目指している」とか、「彼女は立派な慈善家だ」とか、色々な言葉が使われることが多い議員の人物評価ですが、政治家・政治屋・慈善家の見分け方について基準のようなものが必要だと思っています。

そこで、今回は身近な「もっと保育園が必要だ」という社会問題に対する態度で三者の違いを説明したいと思います。

(1)政治屋の場合

政治屋の基本的な発想は「税金を使って保育園を建てる」というものです。保育園を全額税金で建てるのか、補助金を使って建てるのか、様々な方法はありますが、人々から集めた税金を自分の特定目的のために支出します。

そして、「私がこの保育園を建てました!」や「私がこの保育園の補助金をつけました!」みたいな話を人々に向かって主張します。そして、補助金の利用者などを制限して保育園の供給量を意図的に減少させることで自分への求心力を維持し続けます。

念のため確認しておきますが、彼が保育園を建てるために使ったお金は皆から集めたお金であって彼の私物ではないことは言うまでもありません。

(2)政治家の場合

政治家の基本的な発想は「その地域に自然と保育園が建つように誘導する」というものです。たとえば、現役世代向けの減税を実施すれば、同世代の可処分所得が増加して子育てのための費用へ割く金額も増加します。

増加した子育て用費用が地域に循環することによって、自然と保育園が建っていくように誘導するのです。この場合、政治家は「私がやりました!」というのではなく、「人々が自然と行ったこと」を追認するということになります。

他人が与えるのではなく自らが創り上げていく苦労と喜びを人々にもたらします。基本的には目立つ存在ではありませんが、人々の生活を陰ながら支えていく存在です。

(3)慈善家の場合

慈善家は所得の有無に関係なく保育のための税金による手当を地域の人々にばら撒きます。このお金を狙って地域には保育園が建てられていき、保育園同士の一定の競争が発生することで質も担保されます。

このとき、慈善家は「私は誰もが保育園に通える環境を作りました!」と述べるでしょう。しかし、そのための多額の費用は税金から支出されることに変わりはなく、全ての政策に同様のことが実行されれば財政は破綻するでしょう。

以上が、政治屋、政治家、慈善家の違いです。あなたの地域にはどのような議員が多いでしょうか。

政治屋はお涙話が非常に巧みであり、慈善家は聡明な感じがするものです。しかし、私は「政治家」が世の中に増えると良いなと思っていますが、政治家の実績は分かりづらいために有権者の目が肥えることが重要です。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)

2015年11月11日

真の世代間格差の解消方法は「所得税0%」である

a0002_011580

世代間格差の問題がクローズアップされて久しくなります。しかし、超高齢化社会という現実を踏まえて、政府の財政政策の偏向ぶりを若者の特定のイシューだけに振り向けて是正することは極めて困難だと思います。

ガチガチに構築されてきた世代間格差

世代間格差の代表的な事例としての年金制度が挙げられます。現状の年金制度は賦課方式という形で現役世代が現在の高齢世代を支える仕組みであり積立式の年金とは異なります。

そして、最近では年金推計が明確に公表されることで若者からの収奪の仕組みであることが露呈しています。

年金の世代間格差はこんなに 年代別、支払う額ともらえる額(一覧)
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/28/annual-pension_n_8210934.html

「厚生労働省は9月28日、納めた年金の保険料に対して、どれだけ年金の給付が受けられるかを世代ごとに試算した結果を公表した。厚生年金に加入するサラリーマンの夫と専業主婦の場合、2015年に70歳になる世代は、負担した保険料の5.2倍の年金を受け取れる見込みなのに対し、30歳になる世代以降では2.3倍にとどまった。」

ということです。早く生まれたか否か、というだけのことで、生涯年収に大きな差が生まれるわけです。ちなみに、巨額の日本国債残高を見れば分かるように、戦後世代が日本の繁栄を築いてきたから高齢者福祉は当然という話も誇張があり、実際には国債を返済していく現役世代・若者世代もお金を負担している、の間違いです。

そもそも「政府」が世代間格差を作り出している

年金制度のような世代間格差の仕組みは「政府が作り出している」という当たり前のことに気が付くべきです。

超高齢化社会における政府の政策へのインプットは、主に「高齢者の投票」によって行われます。その投票によって構築されてきた政策の成れの果てが「政府が高齢者向けに有利に構築された世代間格差」なのです。

また、社会に存在している規制は前世代にとって有利に働きます。規制は社会構造を固定化するための装置であり、社会に新しい動きが発生することを防止します。

若者よりも能力的に劣る年配社員が高い給料を受け取れる理由は正社員として労働法制に守られているからです。また、若者が日本市場で活躍するためには、規制の管理人である前世代の人々にショバ代を払う必要があります。

「若者にもっと予算を」は有効なアプローチなのか

世代間格差の是正を声高に叫ぶ人々は、若者に対する子育てや教育などに政府予算をもっと配分しろ!という主張を行う人が多い傾向があります。

しかし、政府の仕組みは「高齢者の投票」によって作られている以上、無駄とは言わないまでも有効なやり方であるかというと疑問を感じます。

たとえば、「保育園への補助金をもっと寄こせ」「児童手当をもっと寄こせ」というようなアプローチを大きな声を上げて行っていくことは有効でしょうか?

残念ながら若者向けのシングルイシューの予算増額要望は、適当な餌を貰って満足させられた気分になるだけであり、日々の生活はますます苦しくなっていくでしょう。

有権者の人口構造が日を追うごとに高齢者に有利になっていく環境の中で、若者イシューの僅かな関係者が個別テーマを掲げて高齢者と政府予算の分捕り合いを行うことは「分が悪い戦い」です。

若者は政府歳出の増加を断固拒否する「本気」を見せるべき

私は「若者が政府予算の分捕り合いに参加することは愚策だ」と思います。

このやり方では高齢者への配分のオコボレを若者が貰うことで溜飲を下げることに終始するからです。むしろ、俯瞰してみた場合、政府による所得移転や規制管理を肯定することで世代間格差を作りしている装置を更に強化していくことにすらなります。

従って、若者が「政府による世代間格差」に対抗するために必要なことは、政府の高齢者向けの予算支出に徹底してNoを突きつけることです。

現在の環境下で自分たちへの給付の増額を主張することは、FXでの損切りが出来ないプレーヤーのようなもので、まずは政府歳出の増加を拒否するムードを創るべきです。

そのためには、若者の名前を騙って社会保障拡充や労働法制強化を訴えている左翼から手を切る必要があります。大多数の若者は日々真面目に就労している人々であり、左派系の活動家は一部の若者の声を代弁しているに過ぎません。

彼らと組んでいる限りは若者は永遠に貧困のままです。

所得税0%こそが若者世代にとっての有効な世代間格差の是正手段

最も有効な世代間格差是正政策は「所得税0%」です。

所得税は働く現役世代に対する課税であり、所得税0%は若者世代を含んだ現役世代全般に恩恵を与えます。所得税総額は約15兆円であり、所得税を全廃することを通じて現役世代の負担を大幅に軽減することになり、景気の浮揚効果も極めて大きいものと思います。

所得税分の各個人の手取りが増えるとともに、景気改善による給与上昇や採用増加も期待できるため、若者にとって生活を向上させる最上の政策です。

単年度の財源は、外為特会の20兆円の含み益と労働特会の5兆円の差益で十分賄うことができます。同政策は消費性向が高い現役世代層の支出増につながり、法人税収や消費税収の増加も見込まれるため、数年間に渡って実施することが可能です。その上で、所得税0%の継続を守るために徹底的に歳出削減を求めるのです。

所得税の大規模減税であれば全生産年齢人口にとってメリットがあり、シルバーデモクラシーに対抗するための有権者の頭数を揃えることができるでしょう。生産年齢の人口総数は約7800万人であり、シルバーデモクラシーに十分に対抗できる数字です。

民主主義は過半数を取るための闘いであり、シルバーデモクラシーよりも有利な現役世代全体の声をまとめあげる政治イシューの設定が重要です。

超高齢化社会に突入する中で、若者が求めるべきことは政府歳出増加の拒否と所得税0%の実施です。これらによって日本の経済構造・社会構造は一変します。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:00|PermalinkComments(0)