予備選挙

2016年02月28日

トランプを低評価するか否かは「情弱」のリトマス試験紙だ

ダウンロード

日本国内でトランプ氏を低評価する人々は「情報弱者」としての特徴を示している 

米国大統領選挙の共和党予備選挙において、ドナルド・トランプ氏が予備選挙序盤で圧倒的な好成績をおさめつつあります。2月に行われた党員集会・予備選挙で4分の3の勝利を記録することになりました。

ドナルド・トランプ氏は予備選挙に関する世論調査においてほぼ常に1位であるため、トランプ氏が予備選挙で着実に勝利を積み重ねるのは当然の結果です。敗れた初戦のアイオワ州党員集会は1位になったクルーズ氏と最終的な世論調査で競っていたので敗れることも予想の範囲内であったと言えます。

しかし、トランプ氏が日本に紹介される際に「暴言王」のようなバイアスがかかった情報が大量に流されたために、トランプ氏は日本ではすっかり低評価となりました。米国政治に興味がある人々から市井の人まで「トランプ=馬鹿=米国の終わり」という無根拠な思い込みが浸透しました。

筆者は「トランプ=低評価」は「常識」がある大人であるかどうかのリトマス試験紙だと思っています。その常識とは「バイアスがかかった情報を鵜呑みにしない、あるがままの情報を受け取る力」を持った人かということです。つまり、トランプ=低評価という図式を信じた人は加工された情報に対する耐性が無い「情弱」と言えます。以下、情弱の特徴も含めて解説していきたいと思います。

「情報弱者」は「情報が取れない人」「情報を信じ込まされやすい人」の2パターンに分かれる

一般的な意味での情報弱者とはデジタルディバイドによって、既存メディアからの情報を鵜呑みにせざるを得ない人々のことです。今回のトランプ=低評価という例でもメディアが垂れ流した大げさなデマに踊らされた人が沢山いたことは間違いありません。

筆者も国会議員や有識者らに会うなかで最初の頃は真面目に反論しましたが、最終的には面倒くさくなって「ああそうですか」という話しかしていません。日本の対米政策の現状はそんなもんだと思いますし、テレビや新聞を読んでいる市井の人とほとんど変わらないものと言えます。

二つ目は情報を信じ込まされやすい人です。人間は次々とそれらしい情報を追加で得るとそれらを信じ込みやすくなります。

たとえば、トランプ氏=低評価、という図式が流布されている状態で、トランプ氏の支持者は白人の低学歴ブルカラーだという言論が溢れかえりました。一部の支持者をピックアップすることでトランプ氏の政策もまともなわけがないという露骨な印象操作です。しかし、自分のことを有識者または米国に詳しいと思う人ほど、この情報に食いついてこれ見よがしにメディアなどで垂れ流してました。

上記の両方とも露骨な印象操作によって情報受領者の認識をコントロールしようとするものです。人間は自分が馬鹿だと思われることを嫌がります。そのため、〇〇を支持している人は馬鹿・人でなし、というプロパガンダは意外と効くわけです。米国のメディアで行われている中傷合戦をそのまま日本に輸入して真実かのように話すことが滑稽なことだと気が付くべきでしょう。

そもそもドナルド・トランプ氏はどのような人物なのか?ということを知らない

そもそもドナルド・トランプ氏がどのような人物かを知らない人々がトランプ氏を馬鹿だということ自体が非現実だと思います。

トランプ氏は不動産業を営む家庭で育ち、ペンシルべニア大学不動産学科を卒業。その後、1980年代のレーガン時代に不動産王として名を挙げて再開発、ホテル、カジノなどの数多くの事業を手掛けました。その後、1990年代に事業が破綻しかけた危機も乗り切ってフォーブスのトップ400社に返り咲く見事な経営手腕を示しました。近年、サブプライム問題などの苦境を克服した上で、現在の共和党の予備選挙に臨む状況となっています。総資産約2兆円を保有する稀代の事業家ということが言えるでしょう。

この人物が「馬鹿かどうか」はメディアがもたらす「余計な情報」が無ければだれでも分かると思います。トランプという固有名詞を伏せて、同じ人物への評価を聞いた場合に現在のトランプ氏に対する評価とは真逆の評価が返ってくるでしょう。

では、トランプ氏の選挙キャンペーンにおける政策面はどうでしょうか。トランプ氏が過激な発言を繰り返している理由は「選挙で勝つために他ならない」と思います。メキシコとの壁が云々、その他諸々の発言は常に彼の支持率向上に役立っており、トランプ氏は勝利に向けて極めて合理的な行動を行ってきました。

この際、重要なことは「トランプ氏を支持する人」と「トランプ氏」を同一視する人は「情弱」だということです。これは、吉野家(自分も好きですが・・・)を愛食する人と吉野家の経営者を同一視するようなものだからです。トランプ氏は集票上のマーケティングの問題で発言しているだけであり、それらの発言に反応する層とトランプ氏自身が同じことを考えているとは限りません。(むしろ、真逆である可能性すらあります。)

また、最近発表されたトランプ氏の外交ブレーンはマイケル・フリンという大物です。米国のスパイ機関である国防情報局(DIA、約1万7千人所属)のトップであり、CIAに匹敵する米国の安全保障を支える中枢機関です。フリン氏は外交政策で対立したオバマ大統領を激しく批判した人物として知られています。

同氏の政策の是非などはともかくとして、共和党の億万長者の候補者に外交面でも有力なアドバイザーがいることは当然でしょう。というよりも、トランプ氏の外交ブレーンがいないor脆弱であると想定すること自体が非現実な妄想だと思います。

実際、トランプ氏は早い段階でのディベートからフリン氏の主張する中東政策などと同一の趣旨コメントを行うことがありました。トランプ氏が外交下手という評価を下していた人々は、マイケル・フリン氏よりもまともなアドバイスができるのでしょうか?

人物評価を自分の確固たる視点で行うことで「情弱」から抜け出すことができる

「情弱」状況から抜け出すために、筆者がオススメしたいことは、少なくともリーダーとして人物を評価する際、

(1)過去に何人の規模の組織のトップ(代表取締役)に立ったことがある人物か
(2)過去に自分の裁量で幾らの資金を動かしたことがある人物か
(3)エスタブリッシュメントの言語を理解できる十分な学歴を持った人物であるか

という3点を見るべきだと言うことです。むしろ、この3つが満たされている場合、その人物の行動は極めて計算されたものである可能性が高く、表面的な発言などにイチイチ右往左往することが無意味なことであることが分かります。

人物評価の基準を他人の噂話(メディアでのコメンテーターの発言など)に依存しているようでは「情弱のまま」ということになります。トランプ=低評価という風潮を他山の石として、自分が情弱状態に陥っているかをチェックしていきたいものです。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 17:50|PermalinkComments(0)

2016年02月16日

中山俊宏教授のための共和党保守派入門(後篇)

前回、米国政治を専門と称する中山教授の「念願のCPACに初参加」という告白が、「自分は共和党保守派についてビギナー」だと指摘しましたが、このCPACとは何なのでしょうか。

CPAC(Conservative Political Action Conference)とは何か?

まず、前回のおさらいですが、CPACは米国共和党保守派にとっては入門的な場であるとともに、大統領予備選挙の指名を実質的に決める場です。

CPACは米国保守派の年次総会とも言えるような場であり、毎年開催されているCPACでは全ての大統領候補者が壇上に立ち、約1~2万人程度の保守派の草の根リーダーらに自らの考え方をアピールしています。

これは何故かというと、特に大統領選挙の年ではCPAC内で開催される大統領予備選挙の模擬投票が実際の予備選挙にも大きな影響を与えるからであり、2012年のロムニー予備選勝利に関してもCPACの投票結果は多大なインパクトをもたらしました。

2015年2月のCPACに出席していれば、ジェブ・ブッシュ氏の勢いがイマイチ欠けており、ドナルド・トランプ氏の旋風、マルコ・ルビオ氏の台頭などはある程度予測ができる空気感が漂っていました。

つまり、昨年の夏段階でブッシュ推しの日本人有識者はまったく共和党の空気感が分かっていない人だということが言えます。特に近年のCPACでは会長職の変更などの影響もあったのか、有色人種比率・若者比率も格段に増えていること、米国共和党保守派の変化を肌で体感することができる貴重な場でもあります。

また、CPAC会場内では多くの分科会・レセプションが開催されており、共和党保守派がどのような政策テーマに関心があるかを知ることもできます。つまり、米国共和党のイデオロギー的・政策的なテーマの方向性を知る上でもCPACへの参加は必須であると言えます。ちなみに、私の関与している団体がCPAC会場内でACUと共同で日米関係のレセプションを用意しています。

さらに、CPAC会場ではVIP用の部屋が別に構えられており、多忙なキーパーソンから会いたい人物が別室に招かれて会談を行うことも重要な機能です。私も過去に参加したCPACで当時の大統領予備選挙候補者とVIPルームで面会する機会が得られました。CPACは参加するだけなら「誰でも参加」できますが、インビテーションが無ければ入室できない催しもあり、間口は広く敷居の奥は深いイベントです。

CPACに一度も行ったことがなく、米国共和党保守派について知ったように語ることがいかにチープであるか、情報不足の日本メディアからは中山氏ら米国通を称する大学教授は持て囃されるかもしれませんが、米国の少なくとも「共和党保守派」を解説するには役不足だと思います。

こうした役不足の人物が偏見に基づいた解説をすることは、日本人に米国政治の潮流を見誤らせることになり、戦前と同じ過ちを我が国に侵させかねない行為です。

既存の政治関係者・有識者ルートから脱却した若い世代の外交ルートの発達

そもそも共和党保守派の日本への関心は従来までは高くありませんでした。上述の通り、私が関与している団体がACUとの共同レセプションを開催するまで、JapanJの字もない状況だったと言っても過言ではありません。

これは米国共和党保守派という近年の政治シーンでは無視できない存在に対して、日本の政治・学会関係者がほぼノータッチだったことを意味しています。どれだけ日本外交は無策なんですかと。

従来までのように一部の米国通とされる有識者らが情報を独占し、自分にとって都合が良い解釈をメディアで流し続けて安泰でいられる時代ではなくなりました。日米関係という非常に重要な二国間関係に関わる情報ルートであっても、人間の行き来の活発化やネットの発達によって情報寡占は不可能になりつつあります。いまや新聞・テレビで解説されている程度の話は英字新聞どころか、英字新聞の日本語版サイトを見れば十分です。(日本のメディアでどんな発言しているかも相手国にキーパーソンに容易に伝わるようになりました。)

一方、これから重要になることは情報の解釈であり、筆者は米国共和党保守派の理念である「小さな政府」を始めとした政治思想が日本にとって伝えられるべき重要な思想であると考えています。

そのため、中山俊宏教授が述べられているような一方的なバイアスがかかった共和党保守派に関する言説ではなく、これら共和党保守派との間でしっかりと根をはった言論が増えてくることが望ましいものと思います。

これは日米関係だけではなく他国のケースであったとしても同様のことが言えるでしょう。海外の情報を摂取する際に、従来まで権威とされてきた情報源だけではなく、現地・現場とのリレーションに基づく情報の送受信の多様化が起きていくことが必要です。

中山俊宏教授のための共和党保守派入門(前編)に戻る 




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:03|PermalinkComments(0)

中山俊宏教授のための共和党保守派入門(前篇)

米国大統領選挙の解説で有名な中山俊宏教授とのTwitterでのやり取り

時節柄、米国大統領選挙の最新動向についての新聞やテレビ等でのコメンテーターによる解説が増えてきました。しかし、それらは、非常に偏った視点に基づく解説であることが多いのです。

その典型例は、NHK国際報道でお馴染みの慶応義塾大学教授の中山俊宏氏によるものです。彼の共和党保守派に対する分析は具体的な根拠に基づかない偏見や思い込みであり、しかも予想は連戦連敗しているのです。

中山氏は言います。

「今日のアイオワ党員集会にかんする短評を書き上げました。共同通信を介して明日配信されるはず。「共和党はこれでルビオでしょう」という雰囲気をかすかに漂わせせた。」

(2月2日、twitter)

→その後、ルビオ候補はニューハンプシャー予備選挙で5位と没落し、彼のtwitterはしばし沈黙し、その上でケーシックが善戦すると予想していたと言い始める始末。(ルビオ候補が有力であることは認めますし、NHの世論調査を見ていればケーシック善戦は誰でも分かる話ですが・・・)

「ジェブ・ブッシュがFB上で事実上の出馬表明。ブッシュとクリスティが競って、ブッシュが勝って、最終的に二人が組んでみたいなことになると、かなり強そう。」(2014年12月17日、twitter)

「ジェブ・ブッシュ氏(中略)の動向が要注目」(NHKBS国際報道、2014年10月28日)

→その後の展開を思えば的外れもよいところの予測です

「(米国における)茶会運動は政治運動としての保守主義が死んだ兆候だ」

(2010年12月17日)

→その後、茶会運動が滅亡することなく、政治運動としての保守主義が盛んになっていることを思えば失笑です

その他にも、テッド・クルーズは原理主義的で危険、ティーパーティ運動の参加者には陰謀論を持っている等の極端な言説が多く、共和党保守派やTea Party運動の方々と親交がある筆者としては以前より違和感・不快感を覚えてきました。

どうして、専門家を称しているのに、いつも的外れの予測と解説ばかりしてしまうのか。

しかし、中山教授の最近の以下の呟きを見て、私の疑問は一気に解決しました。

専門家ではなく、米国共和党保守派のビギナーだったのだから、これは仕方がないと。

 CPAC中山

この発言は、何を意味するのでしょうか。

CPACとは、米国保守派の入門的な一大イベントであり、そこで次期大統領候補が事実上決定される極めて重要な大会です。しかも、誰でも参加できるものであり、筆者も何度も参加して大統領予備選挙候補者を始めとした多くのVIPとの面談も行ってきました。CPACは共和党保守派を知る上では欠かすことができないイベントです。 

筆者は中山教授に、この点を聞いてみました。

 すると、中山教授からは、

キーン中山

というお返事をいただきました。ACUとはCPACの主催団体ですが、中山教授が名前を挙げているキーン会長は5年前に退任した方です。現在はアル・カーディナス前会長、マット・シュラップ現会長と二代も会長職が交代しています。しかも、ソルトレイクシティ―の話も2011年のことです。

2016年の大統領選挙はおろか、2012年大統領選挙の時でも現職でなかった方(立派な方ですが)の名前を挙げて、「俺は共和党保守派を知っているんだぞ」アピールされても、ますます「???」と思った次第です。米国のことは分からないだろうとタカをくくった態度が不誠実すぎますね。ちなみに、その後中山教授からはお返事ありません。CPAC初参加についての釈明もありません

ちなみに、筆者はフリーダムワークスから来賓として過去にダラスの大集会に招かれたことがありますが、直近4年以内の話なので中山氏に米国でお会いしたことはありませんね。

そもそも、中山教授の博士論文は、「米国共産党研究」ですから、共和党保守派をご存知ないのも無理はありません。

中山氏は2016年の予備選挙はセオリー通りではないことを予想が難しい理由に挙げていますが、トランプが全米支持率トップであることは一貫しており、トランプ台頭をあえて無視してきたか、そもそも世論調査すら見てないのか、どちらでしょうか?ちなみに、米国共和党に詳しくない人向けに解説すると、中山氏のセオリー通りではないという意味は中山氏が好きな共和党主流派の候補者らが苦戦しているというだけの話でしかありません。

 

次回は、そもそも、CPACとは何かについて、共和党保守派についてビギナーの中山教授の為にも解説したいと存じます。

中山俊宏教授のための共和党保守派入門(後編)に続く



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:02|PermalinkComments(0)

2016年02月15日

トランプ氏は予備選挙1位でも共和党の指名を受けられない?

svg
共和党の米国大統領選挙の予備選挙の見通しを改めて整理してみました

共和党の大統領予備選挙の日程を改めて整理してみました。やはり相当にタフな日程であることを実感するとともに、政党の代表者とはこれだけのプロセスを踏んで選抜するものだということを痛感します。

大統領予備選挙では過半数の代議員2472人(()内の合計数)の過半数を確保することで指名を獲得できます。規定により三人以上候補者が乱立して過半数を獲得する人物が現れなかった場合、上位2名による決選投票という形になります。

前半山場は3月1日のスーパーチューズデーでほぼ決着がつくものと想定

既にアイオワ州党員集会とニューハンプシャー州予備選挙の結果が出ており、それぞれクルーズ氏とトランプ氏が1位を獲得している状況です。しかし、クルーズ氏もトランプ氏も圧勝というほどの数字ではなく、獲得代議員数も含めるとルビオ氏らの主流派候補者との決定的な差はついていません。(トランプ17、クルーズ11、ルビオ10、ケーシック5、ブッシュ4、カーソン3)

3月1日スーパーチューズデーの前にサウスカロライナ州予備選挙とネバダ州党員集会の2選挙が存在しています。サウスカロライナ州予備選挙は、トランプ氏が全体支持率一位の状況は不動ですが、州民の保守的な特性からクルーズ氏が善戦すること・上院議員がルビオ氏・ブッシュ氏を推薦していることから各区レベルでは混戦状態になることが予想されます。ネバダ州党員集会でも前回は主流派のロムニー氏が勝利していることから、やはりトランプ・クルーズ・主流派による激しいつばぜり合いが予想されます。

スーパーチューズデーは2008年の21州が参加した時よりも影響力が下がっているものの、多くの予備選挙・党員集会が行われるという意味では極めて重要です。特に今年のスーパーチューズデーは、ジョージア、ノースダコタ、オクラホマ、テネシー、アラバマ、コロラドなどの2012年に保守派のサントラムが勝利した州が多く、クルーズの地元であるテキサス州が入っていることなどが特徴です。そのため、保守派のクルーズにとっては予備選挙全体に有利なインパクトを与える最大のチャンス到来と言えるでしょう。

一方、主流派候補者はバラバラのまま苦戦することが予想されるため、スーパーチューズデー後には流石に撤退一本化の流れが出てくることになるでしょう。トランプ氏については全米での支持率は依然として高く、サウスカロライナ州での勢いに乗る形でスーパーチューズデーでも一定の成果を出すことになることが予想されます。

3月3日~5日に予定される保守派最大の集会CPACでの投票が与える影響にも注目

共和党の予備選挙に決定的な影響を与える要素は実は予備選挙そのものではありません。毎年年初に開催されている米国保守派の年次総会であるCPAC(Conservative Political Action Conference)において、数万人の保守派運動員による模擬投票が行われます。

CPACにおける投票は実質的に予備選挙の勝者を決めるものとして注目されており、2012年もCPACでロムニー氏がサントラム氏を破ったことでロムニー氏の指名内定が固まることになりました。そして、今回もCPACが予備選挙では最大のポイントになることは明白であり、CPACに一度も参加したこともなく米国共和党の予備選挙を語ることは不可能だと言えるでしょう。(ちなみに、私は過去のCPACで自分たち以外の日本人を見かけたことがありませんが。)

CPACでの投票結果を受けて、その後のミニチューズデーなどの投票傾向に違いが出てくることが予想されるため、クルーズなのか、ルビオなのか、共和党保守派の本選に向けた候補者選定は注目に値します。ここでルビオ氏が勝利すれば三つ巴状態が続き、クルーズ氏が勝利すればトランプ氏に挑む2位争いは事実上の決着ということになります。

トランプ氏に関しては、CPACでの投票で勝利することは困難であることが予想されるため、同氏としてはCPAC前のスーパーチューズデーで勝負を決着したいと思っているでしょうが、上述の通りかなり険しい道のりということが言えそうです。

トランプ氏との決戦投票を見据えた2位争いという隠れた競争に注目するべき

多くの日本人識者の予想を裏切り、主流派と保守派との三つ巴を演じながらトランプ氏は支持率トップを歩み続ける可能性が高いです。筆者もトランプ氏の巧みな選挙戦術を以前から評価しており、米国通の識者の皆さんや国会議員から白眼視されながらトランプ優位を主張してきました。

とはいうものの、トランプ氏の現状の支持率では共和党の指名を得ることはかなり難しいものと思います。理由はトランプ氏の支持率1位は全体の30%程度による支持を固めている状況でもたらされているからです。このまま三つ巴状態が続いた場合、共和党党大会までに過半数の代議員を獲得する候補者はいない可能性があります。

その際、重要となるのは上述の決選投票のシステムです。各州代表者は投票一回目は予備選挙の結果に影響を受けて投票先を拘束されていますが、2回目の決選投票時には自由投票ということになります。そうなると、トランプ氏は30%程度の代議員しか確保できず、残りの代議員が反トランプということになればトランプ氏は完敗することになるでしょう。(上下両院議員などの自由投票の権利を持つ特別代議員(約5%)もトランプ氏には入れないでしょう。)

そのため、共和党の予備選挙候補者はなかなか撤退せず、トランプ氏を除く事実上の1位争いである党内2位のポジションを争っているということになります。つまり、トランプ氏という上澄みを抜かした事実上の1位争いをクルーズ氏VS残りの主流派で行っているわけです。

トランプ氏は取り得る選択は意外と少ないという厳しい現実を超えられるか

筆者はトランプ氏が予備選挙で勝つ可能性は高いと思うものの、その後に予想される決選投票で勝つことは極めて困難であると思います。トランプ氏が予備選挙で勝利するためには、予備選挙段階で50%以上の代議員を確保することが必須条件だからです。

仮に50%以上の代議員を予備選挙段階で確保できずに決選投票に流れ込んだ場合、トランプ氏が取り得る選択は独立系の候補者として出馬する可能性を共和党執行部に伝える、という一手になることでしょう。つまり、予備選挙で圧倒的な数字を出した自分を差し置いて共和党の指名を受ける人物がいることがあり得ない、と主張することで牽制する形となります。

このような状況に持ち込むためには、そもそも予備選挙段階で1位を維持することが必要ですが、スーパーチューズデーやCPACによる情勢変化を粘り切ることが最初の難問ということになります。トランプ氏が独立系の候補者として出馬した場合は民主党勝利が自動的に決定するため、トランプ氏が予備選1位となった場合に共和党執行部も厳しい情勢判断が必要となります。

今年の米国大統領選挙は最後まで目を離すことが難しい選挙ということが言えるでしょう。ブルームバーグ氏や民主党側の動向にも注目していきたいと思います。


〇2016年・共和党大統領予備選挙のスケジュール
<2月1日>
アイオワ州(30)クルーズ1位、トランプ2位、ルビオ3位

<2月9日>
ニューハンプシャー州(23)トランプ1位、ケーシック2位

<2月20日>
サウスカロライナ州予備選挙(50)

<2月23日>
ネバダ州予備選挙(30)

<3月1日(スーパーチューズデー)>
アラバマ州予備選挙(50)
アーカンソー州予備選挙(40)
コロラド州予備選挙(37)
ジョージア州予備選挙(76)
マサチューセッツ州予備選挙(42)
ミネソタ州予備選挙(38)
オクラホマ州予備選挙(43)
テネシー州予備選挙(58)
テキサス州予備選挙(155)
バーモント州予備選挙(16)
バージニア州予備選挙(49)
アラスカ州予備選挙(28)
ワイオミング州党員集会(29)
ノースダコタ党員集会(28)

<3月5日>
ケンタッキー州党員集会(45)
ルイジアナ州予備選挙(46)
カンザス州党員集会(40)
メイン州党員集会(23)

*CPACにおける保守派の投票結果発表

<3月8日>
ハワイ州党員集会(19)
アイダホ州予備選挙(32)
ミシガン州予備選挙(39)
ミシシッピー州予備選挙(59)

<3月12日>
ワシントンDC党員集会(19)
グアム島党員集会(9)

<3月13日>
プエルトリコ予備選挙(23)

<3月15日(ミニチューズデー)>
フロリダ予備選挙(99)
イリノイ予備選挙(69)
ミズーリ予備選挙(52)
ノースカロライナ予備選挙(72)
オハイオ予備選挙(66)
北マリアナ諸島党員集会(9)

<3月19日>
ヴァージン諸島(9)

<3月22日>
アリゾナ州予備選挙(58)
ユタ州予備選挙(40)
サモア自治州党員集会(9)

<4月5日>
ウィンスコンシン州予備選挙(42)

<4月19日>
ニューヨーク州予備選挙(95)

<4月26日>
コネチカット州予備選挙(28)
デラウェア州予備選挙(16)
メリーランド州予備選挙(38)
ペンシルバニア州予備選挙(71)
ロードアイランド州予備選挙(19)

<5月3日>
インディアナ州予備選挙(57)

<5月10日>
ネブラスカ州予備選挙(36)
ウェストバージニア州予備選挙(34)

<5月17日>
オレゴン州予備選挙(28)

<5月24日>
ワシントン州予備選挙(44)

<6月4日>
カリフォルニア州予備選挙(172)
モンタナ州予備選挙(27)
ニュージャージー州予備選挙(51)
ニューメキシコ州予備選挙(24)
サウスダコタ州予備選挙(29)

<7月18日>
共和党全国大会

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 09:00|PermalinkComments(0)

2016年02月07日

ブルームバーグの大統領選挙立候補検討の背景

Michael_Bloomberg_2008_crop-alt

何故、ブルームバーグの大統領選挙立候補は検討されているのか

億万長者・メディア社主であり、3期の元ニューヨーク市長としての実績を誇るブルームバーグ氏。政治遍歴としては、元々は民主党支持者でしたが、市長選挙出馬時に共和党から立候補、市長退任後には無所属に戻っています。

政策的な方向としては、社会政策は銃規制強化・中絶賛成などリベラル傾向ですが、経済政策は財政均衡路線で保守的傾向を持つハイブリッド型の政治家です。イデオロギー的な人物というよりは、根っからの経営者タイプの人物と言えるかもしれません。

そのブルームバーグ氏の大統領選挙出馬、それも「無所属」での立候補が取り沙汰される状況となっています。今回は、その背景にある米国の政治構造について分析していきます。

共和党・民主党内の勢力争いを知ることで「ブルームバーグ」の意味が分かる

ブルームバーグ氏の立候補検討に至る流れを理解するためには、共和党・民主党内部の勢力構造という背景事情について知る必要があります。両党の党内闘争の現状をざっくりとした構図で示すと下記の通りとなります。

〇共和党  共和党指導部(主流派(ルビオ)VS保守派(クルーズ))VS共和党不満層(トランプ)
〇民主党  民主党指導部(ヒラリー)VS民主党不満層(サンダース)

共和党は指導部内で主流派と保守派が対立しており、更にその両者とも対立する不満層を吸収したトランプ氏が存在している三国志状態になっています。民主党はゴリゴリの既得権者であるヒラリー女史に対してサンダース氏が不満層を吸収して党内を2分する戦いを展開しています。

「ブルームバーグ」は共和党主流派と民主党指導部の連合が擁立する隠し玉

実は「ブルームバーグ」は共和党主流派と民主党指導部の連合が擁立する隠し玉と言われています。

選挙戦の様相は、共和党は初戦アイオワでは保守派のクルーズ氏が勝利、次戦のニューハンプシャー州ではトランプ氏が優勢な状況があります。ルビオ氏が追い上げているものの、先行する二人を差し切れるか否かは予断を許さない状況です。民主党は政界・財界で圧倒的優勢を築いているヒラリー女史がサンダース氏の猛追を受けて、あわや逆転の芽さえ出てきている状態です。

その結果として、共和党・民主党内で常に勝者であり続けたエスタブリッシュメント(共和党主流派・民主党指導部)が敗北する可能性が生じています。そして、この予備選挙におけるエスタブリッシュメント敗北のシナリオこそがブルームバーグ擁立論につながっているのです。

共和党主流派の「トランプ氏だけでなく保守派のクルーズ氏も嫌」、民主党指導部の「自分たちの利権を壊すサンダースは論外」という両者の思惑が一致した「エスタブリッシュメントが待望する第三の候補者」がブルームバーグ氏ということになります。

ニューハンプシャー州予備選挙の結果によってリアルな選択肢に・・・

上記のような構図を前提とした場合、ニューハンプシャー州の予備選挙の結果は極めて重要な意味を持つことになります。ブルームバーグ氏の擁立に向けた動きが本格化する条件を勝手に推測すると・・・

〇共和党 
トランプ氏が10ポイント以上差をつけてルビオ氏に勝利、クルーズ氏も一定の得票数を取得し、共和党内予備選挙の1位・2位構図はトランプ&クルーズという図式が定着すること

〇民主党
ヒラリー女史がサンダース氏に決定的な敗北をすることで、ニューハンプシャーだけでなく全米の支持率でもサンダース氏が逆転または両者の差が僅差になること(既に2月7日発表のキニピアック大学の調査で全米での両者の支持率差は2%しかない)

という感じでしょうか。

なお、筆者はクルーズVSサンダースの構図になった場合でもブルームバーグ氏の出馬は十分に想定されるものと思います。保守派の候補者であるクルーズ氏が共和党主流派から受け入れられるかは未知数だからです。

有識者らはトランプVSサンダースの構図になった場合にブルームバーグ氏の立候補の可能性があると述べていますが、表面的なトランプ氏とサンダース氏の印象論だけではなく、共和・民主両党の背景事情にまで踏み込んだ考察を行うことが重要です。

ちなみに、エスタブリッシュメントにとってはルビオ氏やヒラリー女史も彼らの選択肢の一つに過ぎず、それがダメならジェブ・ブッシュ氏からルビオ氏にスイッチしたように支持先を取り換えるというだけの話に過ぎないものと思います。

米国民主主義の在り方に挑戦する「ブルームバーグ」という選択肢

良いか悪いかは別として、ブルームバーグ氏の立候補は、米国エスタブリッシュメントによる米国民主主義の在り方への挑戦、といっても良いかもしれません。

エスタブリッシュメントが第三の候補者の擁立を行う理由は、彼らが米国の特徴である多様で力強いグラスルーツ(草の根)による民主主義への疑念を持っているからです。

エスタブリッシュメントは共和・民主両党員の予備選挙の手続きを通じて左右両極の候補者が選ばれることを望んでいません。ブルームバーグという選択肢の提示は「エスタブリッシュメントが推している理性的な候補者が選ばれるべきだ」という彼らの強い意志表明と言えるでしょう。

今回の大統領選挙を通じて、トランプ・クルーズ(共和党保守派・不満層)VSサンダース(民主党不満層)VSエスタブリッシュメント、という米国が抱える真の対立構造が表面化しつつあります。

<過去記事>*トランプ・サンダース台頭、ブッシュ・カーソン失速、マルコルビオ躍進を予測解説
米国大統領選挙、トランプVSサンダースの究極バトルがあり得る?(1月12日)
アイオワ州党員集会直前、共和党・民主党の波乱が現実に?(1月22日)
ドナルド・トランプがFOXの討論会を欠席した理由(1月30日)
日本の政治にも「和製のテッド・クルーズ」の誕生を!(1月31日)
FiveThirtyEight:米国の政界有力者が誰を支持しているのか(2月1日)
アイオワ州党員集会・テッド・クルーズ勝利、今後の展開は・・・(2月2日)
トランプVSルビオ、ニューハンプシャー州予備選挙は佳境に(2月6日)

スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択
イアン・ブレマー
日本経済新聞出版社
2015-12-19

 


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:04|PermalinkComments(0)

2015年11月16日

マルコ・ルビオ上院議員、米国共和党予備選挙で注目

800px-Marco_Rubio,_Official_Portrait,_112th_Congress

前回記事「支持率の変化から見た共和党大統領予備選挙」ではデータから共和党大統領予備選挙の各候補者の数字の推移を追いました。本日は実際に米国において各候補者の姿を見聞してきた印象をまとめてみたいと思います。

日本の米国研究者のピント外れな予想としての「ブッシュ」

2016年共和党の大統領候補者を選ぶ予備選挙について、日本の米国研究者はブッシュ氏を大本命として推してきていました。

たまに日本人の米国研究者と偶然に席を持つことがありますが、その際に「今回は保守派が強い」という話をしても彼らは鼻で笑いながら「僕らのコミュニティでは(穏健派の)ブッシュという予想になっています」と述べていたものです。(実際、米国研究者は「知ったか」が多く、あまり当てにならない印象があります。)

しかし、私は今年2月末に実施された共和党保守派の集会であるCPAC(Conservative Political Action Conference:大統領予備選候補者が全員参加する大演説会)に参加した感想としてブッシュ氏はかなり難しいという印象を受けました。

たしかに、ブッシュ氏が講演したメイン会場では多くの立ち見が出ている状況ではありましたが、ブッシュ氏の演説自体はイマイチ迫力に欠けるものであり切れ味がありませんでした。一方のドナルド・トランプ氏は大量のSPに囲まれてホテルに登場して圧倒的な威圧感を周囲に与えていました。この段階で両者の間には風格としてかなり差がついていたと思います。

勿論、現段階では最終的な候補者は確定していないため、ブッシュ氏が盛り返す可能性は0%ではありませんが、現地で見た空気感としては2月末段階からブッシュ氏の現在の低迷はある程度予想できました。

ブッシュ氏の凋落ぶりは激しくケーシック氏などの他穏健派候補者にスイッチされる可能性すらあります。

マルコ・ルビオというダークホースの登場

私自身は現在の有力候補となっているマルコ・ルビオ氏については2012年から注目してきました。

「共和党の大統領候補者選び、カギはマルコ・ルビオ氏!?」(日経ビジネスオンライン、2012年)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20120220/227382/?rt=nocnt

2012年当時は保守派の筆頭格のような扱いを受けていたマルコ・ルビオ氏ですが、ヒスパニック移民に対する態度の軟化を保守派に非難されてから、保守派の色を残しつつ穏健派の取り込みを行う巧みな選挙戦略にシフトしてきました。

ブッシュ氏の低迷はマルコ・ルビオ氏のスタンスの変化が影響している部分も大きく、仮に穏健派の候補者が勝つにしても、現状はマルコ・ルビオ氏のほうがブッシュ氏よりも優勢な状況にあります。最近ではウォール街もブッシュ氏を切ってマルコ・ルビオ氏に乗り換える動きが出ています。

また、マルコ・ルビオ氏の特徴はキューバ移民の子どもでバリバリのたたき上げだということも大衆受けの面から大きな要素です。対立候補であるトランプ氏が持っているアメリカンドリームの魅力も兼ね揃えた候補者として強力だと思います。

ベン・カーソン、ランドポール、カーリー・フィオリーナなどの保守派候補について

ベン・カーソン氏とランド・ポール氏は今年のかなり早い段階からキャンペーンを開始していました。私自身は実際にランド・ポール氏とは直接お会いしたことがありますが、非常に真摯な印象を受けた記憶があります。

ランド・ポール氏に関しては、父のロン・ポール氏とは政策が違うことから仲違いしたこと、ケートー研究所が支持を撤回したことなど、コアなファン層を持つものの、現状から挽回することはかなり難しい印象です。

カーリー・フィオリーナ女史に関しては唯一の女性候補者として目立つ存在ではありますが、実際の見た感じではやや尖がった感じを受けたため、支持がどこまで拡大できるかは今一つ疑問だと思います。

穏健派に比べて保守派はメディアがかなり敵対的なスタンスを取るために支持率があがると、大規模なネガキャンが直ぐに開始されます。トランプ氏以外の保守派候補者は早い段階で有力という名前が挙がることは危険なことだと思います。

共和党大統領予備選挙は何故これほどまでに複数の候補者が出るのか

米国民主党の候補者レースがヒラリーとサンダースの2名に絞られているのに対し、米国共和党の候補者が複数出馬する理由は「共和党の人材の層の厚さ」「共和党の草の根団体の独立性」の2点が挙げられると思います。

米国共和党は米国民主党と比べて分散的なネットワーク型の草の根組織で支えられています。そのため、候補者も多様なメンバーが発掘されやすく、また一部の権力者による候補者選びが極めて難しい環境があります。

まさに、共和党の大統領候補者選びこそが米国の自由で民主的な空気を体現したものと言えるでしょう。米国共和党の大統領予備選挙の現状を参考とし、日本の政党の党首・代表選挙も改善されていくことが望まれます。

「保守革命」がアメリカを変える
グローバー・G. ノーキスト
中央公論社
1996-06




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 07:00|PermalinkComments(0)

2015年11月06日

支持率の変化から見た共和党大統領選挙予備選挙

大統領選挙2011106

米国大統領の共和党予備選挙は非常に長期間に渡って行われるため、各候補者のデータを見ているだけで楽しむことが可能です。各人の推移を見ていると、候補者の支持率の浮き沈みの理由を知ることができます。(http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/2016_republican_presidential_nomination-3823.html

ベン・カーソンの支持率は何故伸びているのか

黒人医師のベン・カーソンの支持率が爆走していたトランプと並んできています。何故、ベン・カーソンの支持率が伸びているかというと、同じ保守派のスコット・ウォーカー・ウィンスコンシン州知事が撤退したことによります。ベン・カーソンの支持率が伸びると同時にスコット・ウォーカーの支持率が落ちています。

ベン・カーソンは保守派の踏み絵である「納税者保護誓約書」(全ての増税に反対する署名)に11月2日署名したため、今後もベン・カーソンが伸びていく流れはしばらく継続することになると思います。全米税制改革協議会が管理する同誓約書は米国においては保守派であることの証明書の役割を果たしており大変に重要視されています。

大統領選挙推移

ジェブ・ブッシュの支持率は何故上がらないのか

ジェブ・ブッシュの支持率はマルコ・ルビオとジョン・ケーシックの支持率との間で関係性が見られます。ジェブ・ブッシュの支持率はマルコ・ルビオとジョン・ケーシックの支持率が上がる度に低下している形になります。

マルコ・ルビオは元々保守派として知られていましたが、移民問題への弱腰な姿勢を問われて徐々に穏健派にも軸足を置くようになり、現在は穏健派の代表格であるジェブ・ブッシュとの支持層が被るようになっています。二人の地盤がフロリダ州という意味でも競合が激しい状況です。

ドナルド・トランプの支持層は他の候補の支持層とは一線を画している

ドナルド・トランプは独自のトランプ支持層を形成しており、他の支持者の支持率の浮き沈みから影響を受けにくい状態になっていることが分かります。そのため、トランプ支持層が決定的に瓦解することは現時点では予想し難い状況です。

米国の保守派の選挙運動は「草の根組織による盛り上げ」が重要です。ベン・カーソンらの保守派の候補者はこの盛り上げ効果によって急激に支持率が変動する特徴があります。そのため、一度流れが変わると支持率の上げ下げが激しい傾向があります。保守派にはベン・カーソン以外の選択があるため、現在トランプに肉薄しているベン・カーソンは支持を落とす可能性もあります。

共和党大統領予備選挙の本番は年明けから開始

現状の予測ではどのような展開になるかは分かりませんが、現在の自分の予想では、ドナルド・トランプ、マルコ・ルビオ、ジェブ・ブッシュの3つ巴になるのではないかと思っています。

独自の支持層を固めるドナルド・トランプが脱落していく保守派の支持者をどれだけ取り込めるのか、マルコ・ルビオが着実に穏健派からの支持を集めつつ保守派の受け皿にもなれるのか、ジェブ・ブッシュがルビオから穏健派の支持を取り戻すことができるのか。

勝負の予測は全くつかない状況ですが、共和党の米国大統領候補者選びが日本に与える影響は大きく、今後も注意深く見守っていきたいと思います。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 17:00|PermalinkComments(0)