一億総活躍
2015年11月26日
大人の教科書(6)最低賃金1000円、首相は労働組合長なのか
2015年10月1日から順次全都道府県で改定最低賃金が発効されています。最低賃金が増加したことに喜ぶ声や更に引き上げを求める声などがネット上には多く寄せられました。さらには、安倍政権が毎年3%程度の最低賃金を上げて1000円にすると言っています。
最低賃金1000円、更なる引き上げを求める人々に見えないもの
今年10月17日東京で最低賃金1500円を求めるデモが実施されるなど、政府による最低賃金の更なる引き上げを要望する動きも出ています。また、経営共創基盤CEO冨山和彦氏などのエコノミストは最低賃金1000円まで引き上げて産業の構造転換を図るべきという提言を出しています。
安倍政権は首相が労働組合長になったかのような勘違いで最低賃金1000円の引き上げを企業に要望しています。1億総活躍の意味がまともに働いた経験がほとんどないから分からないのでしょう。
これらの議論を見た場合、最低賃金を引き上げは全ての人々の賃金が引きあがったように見えます。しかし、今後、日本社会の在り方を考えた場合、最低賃金の引き上げ、もしくは最低賃金の存在そのものが大きな問題となる可能性があります。
最低賃金は超高齢化社会における「低スキル高齢者」の仕事を奪うもの
最低賃金の更なる引き上げを求めている人々は、最低賃金があるために就労可能性が奪われている人々のことを忘れています。最低賃金を引き上げた場合も当然に失われる雇用もあると思いますが、それ以上に現在の議論では「既に失われた雇用」がほとんど見えてきません。
日本は高齢化社会に突入しているため、大量の高齢労働力が余っている状況にあります。しかし、元々の社会構造や技術革新の問題から、現在の正規賃金では働けない高齢者の労働力が活用できていません。膨大な社会保障費の更なる増加を防止するため、高齢者の低賃金就労を促進することが重要です。
「最低賃金」は低スキルの高齢者から仕事を奪うため、「一億総活躍社会」どころか「老人総引退社会」を創りだすための政策でしょう。時給1000円も払って技術革新から取り残された高齢者を雇うことはないため、高齢者の就業は進まずに社会保障費がますます増加していくことになります。
政府が賃金を決定することは極めてナンセンスな行為である
そもそも賃金は雇用主と労働者の間で自由に契約して決定すれば良いものであり、自分で事業を行うわけでもない政府のような第三者が決定すること自体がナンセンスなのです。
過酷な労働環境を防ぐために最低賃金があると主張することも同様に意味がないことです。労働者にとって自らの職場環境を保証するものは豊富な労働のための選択肢だからです。仕事が沢山あれば幾らでも良い条件の仕事を選ぶことが出来るからです。
yuyawatase at 12:00|Permalink│Comments(0)