インド

2016年01月19日

2016年1月19日・首相動静ウォッチ

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本ブログでは、時事通信社の首相動静について追加情報を加えながら首相の行動の意図を推測しています。少しでも皆様のお役に立つ情報が提供できれば幸いです。

<1月19日(火)>

・午前7時、東京・富ケ谷の私邸発。同13分、官邸着。
・午前7時24分から同8時15分まで、世耕弘成官房副長官。同18分から同30分まで、閣議。
・午前8時48分、官邸発。同50分、国会着。同52分、参院第1委員会室へ。同53分から同54分まで、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官。同59分、参院予算委員会開会。
・午後0時5分、参院予算委休憩。同6分、同室を出て、同8分、国会発。同10分、官邸着。
・午後0時54分、官邸発。同56分、国会着。同58分、参院第1委員会室へ。同1時、参院予算委再開。
・午後3時41分、参院予算委散会。同室を出て、同43分、国会発。同46分、官邸着。
・午後4時45分から同5時19分まで、外務省の斎木昭隆事務次官、石兼公博アジア大洋州局長、林肇欧州局長
・午後5時21分から同37分まで、甘利明経済財政担当相、内閣府の西川正郎内閣府審議官、田和宏政策統括官
・午後5時48分、官邸発。
・午後6時、東京・大手町の日経ホール着。国際シンポジウム「アジアの価値観と民主主義」に出席し、あいさつ。同18分、同所発。同28分、官邸着。 
・午後6時51分、官邸発。同52分、公邸着。同シンポジウム出席者らとの夕食会。


<1月19日の見どころ>

本日は参議院委員会日程をこなしたあとに、いつも通り外務省関連の方々と面談しています。事務次官とアジア大洋州局長は年明けから何度も面会していますが、本日はそちらに欧州局長が加わった形です。

林肇欧州局長は、第一次安倍政権の秘書官を務めた人物であり、欧州局長就任前は、米国公使、インド公使、そして内閣審議官(領土・主権対策企画調整室長)を務めていた人物です。外務省内では安倍首相に非常に近しい関係にあると言えるでしょう。

その後、甘利経済財政担当相と内閣府審議官・政策統括官と面会しています。西川正郎内閣府審議官は旧経済企画庁出身で経済社会総合研究所長を務めた人物、田和弘政策統括官は経済財政分析担当となっています。原油価格の下落が株価にも大きな影響を与える中で、国内経済の分析責任者が総理に面談した形となります。

大手町の日経ホールでのイベントは、日経新聞主催、東京財団・国際交流基金・ヴィヴェーカナンダ国際財団、日本、インド、インドネシア、タイ、マレーシア、シンガポール、中国らの大統領経験者・有識者らなどを集めたシンポジウムです。昨年9月3日,城内外務副大臣は、インド・デリーで開催されたセミナー「紛争回避と環境配慮に関するグローバルなヒンドゥー教・仏教イニシアティブ」に出席しており、同セミナーでも上記のインドの国際財団に謝辞を述べるなど、日印関係を捉える上で重きが置かれている団体であると推測します。

現代インド政治―多様性の中の民主主義―
近藤 則夫
名古屋大学出版会
2015-01-30








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yuyawatase at 19:35|PermalinkComments(0)

2016年01月05日

点と線を繋ぐ外交視点、慰安婦問題から見る東アジア情勢

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昨年末の慰安婦に関する日韓合意の背景に存在する北朝鮮問題

昨年末に行われた慰安婦に関する日韓合意の背景には、米国による意向が強く働いていたものと推測されます。上記の日韓合意について、米国側が強烈に後押しした発言を行ったことや米国内の韓国系団体に対して合意を尊重するように働きかけたことからも明らかです。

現状では韓国政府が慰安婦関連の団体を説得する重荷を背負った状況となっていますが、そもそも日本政府が訪韓する段階でこのような状況になることは目に見えていたはずであり、日本政府側だけでなく韓国政府側にも米国から会談を受けるように要望があったことは間違いないでしょう。

米国が日韓関係の修復を急いだ背景には、中国の安全保障上の脅威が高まる中で米国の同盟国同士のいがみ合いを終わらせたかったということもありますが、北朝鮮が2010年10月に36年ぶりに朝鮮労働党党大会を開催すると決めたことが大きかったと推測します。

実際、米国の世論調査でも、国際的な安全保障上の関心事として中東・テロなどと同ランクの事項として「北朝鮮問題」が上位に位置付けられることもあり、米国の空気感は北朝鮮動向についてかなり敏感だと言えるでしょう。

北朝鮮側から同大会で限定的ながらも周辺国との関係改善及び経済改革が打ち出される可能性が高いものの、北朝鮮による核実験や南北朝鮮の再接近による政治情勢の不安定化への危惧があり、大統領選挙の年と被る同党大会前に日韓の手打ちを行わせておくことは米国にとって次善の策だったと言えます。

対中包囲網の形成にまい進する安倍外交の日本

上記のような米国の意図とは別に、安倍政権は基本的な外交・安全保障政策として対中包囲網の形成にまい進しています。中国の外交的・軍事的膨張を抑え込むために、中国の周辺国(米・日・豪・印ら)との外交・安全保障関係を強化しする路線です。(安倍政権発足当初はセキュリティダイヤモンドなどという言葉で表現されました。最近は耳にしなくなりましたが。。。)

米国向けには、安保法制を通すことで同盟国としての地位を格上げし、米国議会演説や安倍談話の発表によって、安倍政権の歴史修正主義的な雰囲気を化粧することで、同国に自由主義的なイメージを浸透させました。第一次安倍政権時代での対米関係の悪化も一因となって退陣に追い込まれた反省が生かされた形です。

豪州・インド向けには、安全保障関係の強化が確認されるとともに武器輸出に関する交渉も始まっています。昨年7月には米豪の軍事演習に日本も参加して準同盟ぶりを示すとともに、10月には8年ぶりに自衛隊がインド洋での日米印の軍事演習に参加しました。ASEANに関しても東アジアサミットで中国の南シナ海問題が大きく取り上げられることになりました。

昨年10月に任官されたばかりのタカ派の外交通である河井克行首相補佐官が日米豪英印を訪問していることからも、安倍政権がセキュリティダイヤモンド構想を継続していることが伺えます。

問題となる韓国・ロシアについても、韓国については米国の意図に乗る形で慰安婦合意を行ったことで外交関係の問題を処理することに成功し、ロシアについても年頭あいさつで日ロの平和条約について安倍首相が明言するなど関係改善に向けた動きが出ています。4月に予定されている北海道の衆議院補選で新党大地が野党連合に協力しない理由は日ロの関係改善を見据えたものではないかと推測します。

以上のように、安倍政権は中国の周辺国との関係強化にほぼ成功しつつあり、対中包囲網を完成させつつあると言えるでしょう。日本の外交・安全保障環境の改善という意味では非常に望ましいものではりますが、後述の通り、要となる日本と米国では対アジア政策観が全く異なることは日本の針路に大きな爆弾を抱えることになる可能性があります。

「米国」の主要な関心は「中東」と「欧州・ロシア」であって「中国」ではない

日本の米国通とされる有識者らが書く文章を読むと、私たちは米国が東アジア情勢、特に中国の軍事的な脅威について非常に関心を持っていると思い込みがちです。しかし、これらはそれら有識者が日本での地位を確保するためのポジショントーク的な言説に過ぎず、その手の言説をばら撒く有識者の発言は信用できません。

米国の主要な外交的関心事は中東と欧州・ロシアにあります。中東に関しては、ISを巡るシリア・イラク情勢だけでなく、イランとの交渉やサウジアラビアとの関係など、米国の安全保障に致命的に関係する案件が山積みとなっています。実際に昨年末の共和党の大統領予備選挙候補者を集めた討論会では「中国」の話はほとんど行われず、話題はもっぱら「中東」「テロ」でもちきりでした。

米国にとっては欧州・ロシアも非常に重要な問題です。欧州からの対米投資はアジアからの対米投資よりも遥かに巨大であり、政治・外交に関しても老獪な欧州・ロシアは米国にとってコストがかかる相手です。特にロシアは米国を安全保障上の脅威として位置付けるなど、豊富な軍事力・外交力・エネルギーなどを背景に米国の覇権に挑戦する存在となっています。

一方、アジアは中国の軍事的な拡張は留意されるものの、米国にとっては北朝鮮の体制混乱のほうが問題視されていると言えるでしょう。中国の米国に対する挑戦は上記の2地域と比べれば表面化しておらず、米国側では「中国の台頭」として認識されています。そのため、日本・韓国・豪州などの同盟国を活用したバランスを取る政策が採用されており、中国の脅威に対して本格的にコミットする状況ではありません。これは南シナ海での航行の自由作戦が事実上の腰砕けに終わっていることからも明らかです。

そして、この米国の外交方針はオバマ政権だけでなく共和党党政権になったとしても、現状では大きな変更があるとは想定できず、米国のコミットメントは必要とするものの過大な期待を抱くことは間違っています。

噛み合わない日米の安全保障戦略、東アジアの現代史の岐路へ

上記の通り、日本と米国の安全保障戦略観は大きく異なります。ここで問題となることは、日本は主要な仮想敵として中国を認定した安全保障戦略を性急に展開しつつあるに対し、米国は中国を脅威として認識しつつも優先順位が極めて低いということです。

従来までは米国は日中の紛争に関するコミットメントについては中国を刺激しないような形での温和な表現を心がけてきていました。米国としては中東・ロシアの相手で手一杯であり、中国と事を構えるつもりはほとんどないものと思われます。

一方、日本側は対中包囲網が完成しつつある中で、中国との限定的な紛争に具体的に突入できる環境が形成されるつあります。この見通しは「憲法改正反対!」「安保反対!」というお花畑な主張ではなく、安倍政権の一連の具体的な外交・安全保障政策の結果として生まれた環境変化によるものです。

このようなズレによる齟齬がが安倍首相が航行の自由作戦に賛意を示した後、米国の及び腰の対応を見て参加を見送る穏便な発言に修正したこと等のように現実に起き始めています。

安倍政権の外交政策が成功してきた結果として、逆に日米の外交・安全保障環境の認識において噛み合わない状況が発生するという皮肉な状況が起きています。このような状況の中で、日米の外交当局者がどのような外交・安全保障に対する判断を下していくのか、我々は東アジアの現代史の岐路に差し掛かっていると言えるでしょう。




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yuyawatase at 13:23|PermalinkComments(0)