社会問題

2017年02月08日

安倍首相・トランプ会談の狙いに関する考察

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 <安倍・トランプ会談で日本が提案する内容とは>

安倍政権は2月10日のトランプ大統領との会談に先立ち、「日米日米成長雇用イニシアチブ」という包括的なプログラムを準備し、約51兆円のインフラ投資と70万人の雇用創出を提案することが報道されています。

同イニシアティブは5項目で構成されているとされており、米国でのインフラ投資、世界でのインフラ投資に関する連携、ロボットや人工知能での連携、サイバー分野での協力、雇用を守る分野での連携が含まれているとのことです。その上で、トヨタをはじめとした自動車関連産業が米国で150万人の雇用を作っていることを強調するものと思われます。

トランプ政権は安倍首相を歓待した上で、フロリダのリゾートで安倍・トランプのゴルフを設定し、個人的な関係を築く用意を準備していると報道されています。

<元々トランプ政権発足直後に外務省の有識者会議で提言されていたこと>

米国へのインフラ投資推進は日本政府としては規定路線であり、外務省が設置していた民間有識者の「日米経済研究会2016」が昨年11月段階で対米政策の方向性について提言書を提出しています。

その内容はトランプ大統領が推進する米国のインフラ整備について、高速鉄道・再生エネルギー・水関連インフラなどで協力する旨が記載されており、日本政府が力を入れているインフラの輸出が謳われているものでした。

そのため、トランプ政権に対する処方策として予め準備していたカードを切ったということが言えそうです。安倍政権や自民党の支持基盤を見ても高速鉄道の輸出などは悲願とも言えるものかと思います。

また、私見では、安倍政権は第三国への共同投資などにロシアのプロジェクト(ヤマルなど)を含めることで、対中包囲網にロシアを加えることへの米国のコミットを得にいくのではないかと推測します。

<日本が提案する内容が持つトランプ政権に対するインパクト>
 
筆者は安倍政権の外交・安全保障政策は終局的に失敗すると思っているので評価していません。ただし、今回の対米外交の「お土産」についてはトランプ政権に対しては極めて有効だと思います。

トランプ大統領にとってはインフラ投資による雇用創出は願ったり叶ったりのものです。トランプ政権は100兆円のインフラ投資を主張しているためにその財源が問題となってきました。しかし、日本政府が約51兆円の投資を宣言したために数字の上では目標の半分を解決したことになります。(*日本側の投資期間が不明なのでざっくり数字のみ。)

トランプ政権の経済政策の政策効果が出始めるには数年かかると想定されるため、トランプ政権としてはそれまでに象徴的な成功事例が幾つか必要になっています。そのため、日本からの多額の投資が決まったニュースは大きな意味を持っています。(トランプ氏が当初Twitterで指先介入をしたのもセンセーショナルな効果を狙った意味合いもあるものと理解すべきです。)

<インフラ投資が持つ米国外交上の多面的な効果>

また、インフラ投資は米国においては運輸省が所管する領域となります。運輸省はエレーン・チャオ運輸長官が所管していますが、彼女の夫は連邦上院の共和党院内総務のミッチー・マコーネル氏です。同氏はトランプ氏と実質的に対立している共和党主流派のボスです。

つまり、インフラ投資への協力は上記の通りトランプ氏に対して恩を売れるとともに、共和党が支配する議会に対しても友好的なメッセージを送ることになります。米国では連邦上院が外交政策に持つインパクトは大きいため、日本政府の対応は米国の共和党内の分裂にも配慮した賢いやり方だと思われます。また、インフラ投資については米国民主党も積極的であるため、米国の議会野党対策としても機能することが予想されます。

今後、インフラ投資でプラスの経済効果を受ける地域の連邦議員らに対してしっかりと影響力を拡大していくことを通じ、トランプ大統領とその周辺だけでなく連邦議会にも橋頭保から影響力を拡大していくことが望まれます。

<金で解決する外交が持つ限界点も認識すべきだ>

ただし、安倍政権の対米外交のスタンスにも問題はあります。

筆者は金で解決する外交のやり方には必ずしも肯定的ではありません。なぜなら、金で結びついた関係は、自分よりも金を持っているライバルパートナーが現れたときに終わるからです。

この場合にライバルとして登場する存在は中国です。中国は経済成長が鈍化しつつあるものの、世界第二位の経済大国となり、現在でも新常態の中で中速度の経済成長を続けています。

米中の貿易高こそが非常に大きなものがありますが、中国は米国本土にほとんど投資を行っていません。したがって、米国は民主主義国なので中国からの輸出品が選挙区の「雇用」に与える影響が無視できず、米中の距離は現状では比較的遠いものとなっています。

逆説的には、トランプ政権の圧力に屈する形で中国政府や中国企業が米国に直接投資を開始すると、日中の米国に対する影響力のバランスは崩れることになり、日中の今後の経済力の逆転が進展する中で、米国への貢ぎ物競争では最終的に日本は中国に敗北する可能性があります。したがって、日米間の問題を金だけで解決しようという日本の現在の姿勢は好ましいものとは言えない部分もあります。

そのため、筆者が以前から指摘している通り、本来は「金」ではない「価値観」を通じた日米同盟、を目指すべきであり、金はそのための下支え的なものだと認識する必要があります。

<米国から得られるものが皆無の会談になる可能性も>

日本側は米国側に貢物を用意して訪米することになるのですが、米国側が日本に与えるものが何になるのか、ということがイマイチ判然としません。たしかに、安倍・トランプ、日米関係が良好なものになるものと思います。しかし、筆者はそれだけのことに米国のATMとして約51兆円もの資金を拠出するカードを切ることの意味が分かりません。

米国の閣僚人事を見る限りでは、表面的な部分では反中派(ただし、習近平との繋がりは重視)を揃えており、トランプ政権は少なくとも数年は反中姿勢を崩さないものと思います。マティスもティラーソンも正式任命前の上院公聴会の段階から東アジアへの安全保障にコミットする発言をしています。また、日本が固執するTPPについてはトランプが既に撤退を宣言し、二国間協定に対しては日米ともに前向きな姿勢を示しています。

そのため、現段階で「インフラ投資」という日本最大の切り札を使ってトランプ政権から引き出す対価があるとは思えません。

そのため、筆者の見立てでは、安倍政権の狙いは「憲法改正に対するトランプ政権の了解を得ること」にあるものと見ています。安倍政権の悲願は憲法改正であり、その最大の障害は米国です。

国内では左派だけでなく保守にも米国が反対している・懸念していることを理由に、憲法改正や靖国参拝への自制を求める声が少なからず存在しています。それらを抑えるためのトランプとの取引ということであれば同取引を行うことも政権の理屈としては成り立つものと思います。直接的なコメントは無くとも「日本の地域における更に積極的な役割を望む」などの婉曲的な表現は出る可能性があります。

昨年、ヒラリー勝利⇒北方領土進展⇒解散総選挙という一部でささやかれたシナリオがトランプ勝利でご破算になったように、年内と想定されている総選挙にも安倍政権とトランプ政権との関係は影響を与えていきそうです。

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本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
 

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2017年02月04日

トランプの入国禁止の合理性が分からない人へ

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トランプ大統領側の視点に立って「入国制限」のロジックを考える

トランプの入国制限について「入国禁止措置でトランプの頭がおかしくなったと思う貴方へ」というエントリーを作って投稿させて頂きました。過去記事では基本的には同時点で分かっていたこと・気が付いたことを中心に述べました。

正直に言えば、この問題について「入国禁止」という一事を持って物事を語っている有識者は、世界とトランプ政権に何が起こっているのか・これから何が起きるのか、についてほとんど何も分かっていないのではないか、と思います。

そして、それらは既に公式にオープンになっている情報からある程度推察することが可能であり、いつまでも観念論的な考察、制度的な説明、リベラルへの批判ばかりしていても、量産型ザクのような無意味な議論にしかなりません。そこで、今回の記事ではファクトに基づいてあえて物議を醸す内容をまとめてみました。

1月28日・トランプ大統領覚書「30日以内にイラク・シリアのISIS掃討作戦を作成しろ!」

1月27日の入国禁止措置で盛り上がった報道に隠れる形で、1月28日に「Presidential Memorandum Plan to Defeat the Islamic State of Iraq and Syria」という大統領覚書が公開されました。

簡単に内容をまとめると。関係機関が協力して「30日以内にイラク・シリアのISISを掃討する作戦素案を作れ!」という命令の文書です。文書内では予算付けに関する詳細な戦略を作るように指示されており、戦時国際法マニュアルの見直しを示唆する内容まで含まれています。

これはトランプ大統領による3つ目の大統領覚書となっています。

メディア上ではスティーブ・バノン首席戦略官がNSC(国家安全保障会議)の常任となり、統合参謀本部議長と国家情報長官は常任メンバーから格下げされた人事が行われたことも盛んに報道されました。この人事は2つ目の大統領覚書で行われたものであり、実は上記のISIS掃討作戦素案作りの覚書の中にはこの2つ目の人事変更を踏まえて計画を立案するべし、という趣旨の内容も盛り込まれています。

トランプ大統領はNSCを腹心で固めており、今後はスティーブ・バノン氏やマイケル・フリン氏らの対イスラム強硬派の勢力の影響力が強まることが予測されます。大統領府におけるバノン氏の側近であるセバスチャン・ゴルカ氏は著書でも「グローバル・ジハード」の脅威・対抗を述べています。

また、シリアへの地上兵力の派兵に慎重な国防総省の軍の制服組のトップがNSCから外されたことは、シリアへの地上兵力の派兵の可能性が高まったことも同時に意味しています。

ティラーソン国務長官及びマティス国防長官の議会公聴会でのISIS掃討発言

米国では各省長官の任命に際して上院で公聴会が実施されることになっており、そのやり取りの中で各長官候補の現状の施政方針について確認することが可能です。そこで、外交・安全保障を担う国務長官と国防長官の中東情勢に関する認識を確認してみましょう。

ティラーソン国務長官はISISの打倒は急務かつ最優先課題としており、アサド政権への対応はその上で検討する、と述べています。ティラーソン氏は公聴会に先立って発表した自らの姿勢方針を示す文書の中でもISISに対して非常に厳しい認識を示しています。

また、マティス国防長官は、ISISに対して現在以上に強い対応を行うべきだという意志を示し、横断的で統合された戦略が必要だと述べており、中東で軍事的な打撃を与えるとも主張しています。マティス国防長官は中東などを統括する中央軍司令官だった経歴を持つ同地域のエキスパートです。

つまり、外交・安全保障のキーパーソンがISISの打倒を優先事項として掲げていることが分かります。そして、当然ですが、上記の戦争計画素案作成を指示した大統領覚書では、国防長官・国務長官、そして関係省庁の長官がズラッと並べられて協力してプランを作ることになっています。

7か国からの入国停止を冷静に受け止める湾岸諸国、シリアへの安全地帯構想を検討するロシア

イスラム教徒がマジョリティーを占める国々からの入国禁止措置について、全てのイスラム国家が反対の姿勢を示しているわけではありません。少なくとも、サウジアラビア、クウェート、UAE、バーレーンなどの比較的親米諸国はトランプ大統領の入国禁止措置への非難に加わっていません。したがって、入国禁止を指定された諸国以外の中東のイスラム系国家の反応は比較的冷静な態度を示しています。

また、米国はサウジアラビアやロシアなどのシリア情勢に直接的に関与している国から、シリア国内に安全地帯を設ける旨について検討することに対する内諾を得ています。米国はオバマ政権時代にトルコから安全地帯構想への賛同要請を地上部隊の派兵を嫌って断ってきました。しかし、トランプ政権下では態度を一転させて同構想について積極的な姿勢を見せている状況です。トランプ政権に呼応する形でロシアがアサド政権の存続を前提として同構想への態度を軟化させてきたことは驚きましたが、両国ともにそろそろ手打ちを図る時期が来ているとも言えます。

入国禁止措置でシリア難民の受入れを無期限停止すること、米国がオバマ時代に完全に失った中東での主導権を取り戻すことに鑑み、米国にとってシリアにおける安全地帯の確保は重要な施策と言えるでしょう。

安全地帯の確保には地上兵力の投入が少なからず必要になる可能性があり、トランプ大統領は選挙期間中に2~3万人の地上兵力をISISに投入する旨を明言しています。また、トランプ大統領は就任演説でも「イスラム過激派のテロに対し世界を結束させ、地球上から完全に根絶する」と改めて述べています。(ただし、地上兵力の派兵のカードは大統領就任から現在までまだ切られていません。)

以上のように中東、特にシリア・イラクにおけるトランプ大統領の外交・安全保障に対する構想に関係各国は各々の立場で一定の協力的な反応を示しているものと思われます。

シリア・イラクで掃討されたISISはグローバル・ジハード路線に転向する可能性

冒頭で確認した通り、約30日後にISISを掃討する計画素案がトランプ大統領に提出されることはほぼ確定事項です。そして、トランプ大統領によって公約通りISISを掃討するために同計画が実行された場合、何が起きてくるのでしょうか。

現在シリア・イラクに集中しているISISが同地域から排除されたとしても、そのことは全てのISISの構成員が地球上から消滅することを意味するわけではありません。では、一体どのような状況になってしまうのでしょうか。

ISISがシリア・イラクで掃討された結果として発生する状況を示唆する有力な事例が存在しています。

それは、アル・カイーダです。アル・カイーダは9.11の時は明確な指揮系統を持った組織でしたが、米国による徹底した攻撃を受けて、数年後には同組織は国際的に分散した形態に移行する状況となってしまいました。

つまり、ISISもカリフ国家に集中されていたパワーが分散化することにより、アル・カイーダのようなグローバル・ジハード路線に転向していく可能性が極めて高いものと思います。また、ISISの構成員の中には、そのままアル・カイーダに合流する勢力も少なくないでしょう。

トランプ政権がISISをシリア・イラクで掃討し、シリア・イラクに出来上がっていたテロリストの入れ物が壊れることは世界中へのテロの拡散の引き金になる可能性があります。このことはイスラム蔑視からテロリストが生まれる云々という迂遠な話よりも遥かにテロの拡散の直接的な原因となるでしょう。

トランプ政権はグローバル・ジハードへの対応を既に強化しており、政権発足後初めて軍事行動としてイエメンのアル・カイーダ系の組織を攻撃するために実施し、トランプ大統領自らが死亡した米兵のための墓参りを行うことで国際テロ組織壊滅に向けた断固たる決意を示しました。同行動からトランプ政権のグローバル・ジハードへの対応方針が強固なものであることが伺えます。

入国禁止措置はグローバル・ジハードへの対応を意図しているものと推測

上記の通り、トランプ大統領の公約通りISISへの掃討作戦が実行されることで、その後ISISがグローバル・ジハードに転向する可能性があることを確認しました。そして、それらの転向した勢力は当然のように米国に侵入してテロを実行しようとする可能性は極めて高いです。

これらの状況を想定することで、トランプ政権の「入国禁止」措置の意図を初めて理解できるようになります。

トランプ政権はISIS掃討後の世界の環境変化を見据えているものと推測されます。昨日まで平気だったから今日も平気だと思う人はリスク管理に向いていません。

グローバル・ジハード化したISIS及びアル・カイーダ系からのテロリストの流入を防止するために、既にオバマ政権がテロリストの流入可能性が高い国としてテロリスト渡航防止法で指定していた国々からの流入を90日間停止、難民受入れも120日間停止、シリアからの難民受入れは無期限停止する、ということは必須のものでしょう。また、場合によっては同期間内で対ISISの本格的な軍事行動が実行されることも想定すべきです。(当然ですが、同措置がISISが国際的に拡散することへの対応と言えるわけがありません。)

ちなみに、同掃討作戦への関与が大きいイスラム諸国からの流入については一旦停止することも困難であり、それについてはそれらの同盟国の対応を信頼するしかないという苦しい状況となっているものと思います。

ただし、いずれは上記の緊急性の高い国々に適用された新しい基準のテロリスト流入対策が他国にも求められていくことになるでしょう。人権上の問題はあるものの、テロリスト対策として高度な生体認証システムの実装などが図られていくものと思われます。私たち日本人は米国がテロと現在進行形で戦闘を行っている国であるという前提を忘れるべきではありません。

上記の通り、大統領覚書、政権人事、テロリストの状況などを勘案した場合、トランプ政権が実行している政策は一定の一貫性・合理性を備えているものと考えることができます。

トランプ大統領の政策に対するファクト・ベースの議論の必要性

上記の内容は、筆者がトランプ政権の公約及び発足後の行動を論理的に並べて仮説を構築したものに過ぎません。もちろん、筆者の想定が間違っている可能性もありますし、同じファクトを見ても違う結論を導き出す人もいるかもしれません。

しかし、一つだけ言えることは、「観念論的な考察、制度的な説明、リベラルへの批判などの低レベルな議論」はそろそろ止めにしましょう、ということです。トランプ政権は既にスタートしており、矢継ぎ早に様々な政策が実行されている状況にあります。これらについて子細に検討した上で、その意図と実現性を推察することが求められるフェーズに突入しつつあります。

また、トランプ政権の政策は国内政策などでも複数の要素が相互作用を起こすものが多く、その内容は高度に練り上げられたものです。そのため、一つ一つの政策の妥当性を検証するのではなく、それらの政策の繋がりを意識した分析を試みる必要があります。もちろん、それは実際に政策を立案・実行する人々の顔ぶれとも複雑に絡み合っており、真っ当な分析を行うためには政策の方向性と人事情報との整合性も検討していくことも必須の作業となります。

我々はトランプ政権に対する偏見・蔑視は捨て去り、その意図・能力について捉えなおしていくべきでしょう。筆者は国内のトランプ政権に関する議論が速やかに次のレベルまで進んでくれることを願っています。

<渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)の最新著作のご紹介>

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トランプ大統領就任演説
国際情勢研究会
ゴマブックス株式会社
2017-01-31


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2017年01月30日

トランプの入国制限をちょっとだけ詳しく考えてみた

ISIL

トランプが署名した大統領令による入国規制は「トンデモナイ」話なのか?

トランプがイラン、リビア、スーダン、シリア、イラク、ソマリア、イエメンの7か国について入国制限を実施することを発表したことで、全米で反対デモが巻き起こっており、米国メディアがそれらを取材した内容の丸写しニュースが日本でも流れています。

さて、今回はトランプが署名した大統領令が本当に「トンデモナイ」ものなのか、について話をしていきたいと思います。その背景と意図、そして今後の展開について筆者なりにまとめたものであり、日本国内で語られている他の情報とは少し変わった視点から情報が提供できれば幸いです。

元々トランプのイスラム教徒入国禁止は、予備選挙時にトランプと共和党の一部(コーク財団系)が本格的に衝突したきっかけでもあり、その後一時的にトランプのHPから掲載が消えていたものの、大統領選挙後にHP上に復活したトランプ政権にとっては肝いりの政策だと言えるでしょう。

入国制限対象国が少なすぎるのではないか?という批判も存在している

今回の入国制限国は7か国について、米国国務省はこれらの国々をテロ支援国家またはISISやアルカイーダなどのイスラム過激派が現在進行形で勢力を誇っているテロリスト・セーフ・ヘイブンとして名指ししています。

そして、2016年1月に施行されたテロリスト渡航禁止法によって上記の7か国に渡航または滞在歴がある人は米国のビザ免除プログラムが利用できず、ビザ申請をしなければならないという元々他国よりも一段高いハードルが設けられて警戒されていました。そのため、トランプ大統領の着手までの速度には目を見張るものがありますが、これらの優先度の高い国からの入国者に対する規制を見直し・強化するための90日間の一時的な入国禁止措置を実施することは十分に想定の範囲内の出来事だと言えます。

ちなみに、トランプ大統領が2017年の受入れ上限としている難民5万人はオバマの半分程度と言われていますが、それは2016年にオバマが難民受入れ件数を激増させたからです。ジョージ・W・ブッシュとオバマの2015年までの平均は約5万人程度なので特別におかしな数字ではありません。

大騒ぎしている人々もグリーンカード保有者が大統領令の対象外になることが発表されたことで一定の期間が経過すれば静かになることが予想されます。また、米国が要求する追加情報を対象国から得た場合、ほとんど全ての人が入国できる可能性が高いです。

ただし、オバマ政権は最近の僅か2年で約5万発の爆弾を落とし、誤爆などによって新たなテロリストを上記の対象国内(イラク、シリア、リビア、ソマリア、イエメン等)などに育ててしまっています。潜在的なテロリスト予備軍の増加によって対テロ戦争という意味では9.11時よりも場合によっては状況が悪化している可能性があります。

したがって、一部のメディアや有識者のように過去のテロの実績から今後のリスクを安易に想定することは誤りであると推測されます。

そのため、文言通りにテロ対策として考えるならば、上記のテロリスト・セーフ・ヘイブンの文脈からはアフガニスタン、レバノン、パキスタンなどの国も対象であり、トランプ政権が一時的な入国禁止阻止措置を更に拡大していくことも想定すべきです。

トランプの真の狙いは「シリアに地上兵力を派兵して安全地帯を作ること」ではないか?

しかし、従来の政策の延長線上の措置とは言えども、これらの入国制限措置を純粋なテロ対策の観点のみで考えるべきかについては疑問があります。特にシリア難民の恒久的な入国禁止措置には別の狙いもありそうです。

今回の措置で最も重要なポイントはシリア難民の無期限入国禁止だと言えるでしょう。そして、トランプ政権の狙いは「シリア難民の入国禁止」によって生じる国際情勢の変化だと推測されます。

トランプ大統領は以前から「シリア国内に安全地帯を設ける」旨を発表していますが、サウジアラビア国王との電話会談でも再び「安全地帯の設置」についての協力を求めています。

そして、今回の大統領令でシリア難民を受け入れないと宣言した結果、人道的な措置として「シリア国内の安全な場所で難民に該当する人々を保護する」ことを逆に大義名分として獲得できるわけです。

現在、シリアでは米国抜きの世界秩序の始まりを象徴するかのような出来事が起きてしまっています。

オバマ政権のシリア対応は象徴的な外交失政であり、予算をかけて空爆を継続して無関係の人々も含めて殺傷した上に、米国の地上兵力の不在は和平プロセスからの米国排除という結果を招いて国際的威信を著しく低下させました。

今回、トランプ政権はシリア難民の入国禁止をあえて実施することで、米軍及び同盟国はシリアに地上部隊を派兵して影響力を持つ地域を手にする国内外からの大義名分を得ることになります。そうすることで、シリアでの和平交渉におけるバーゲニングパワーを取り戻せるからです。

そのため、トランプ大統領はシリアへの地上兵力派兵のカードはまだ切っていませんが、国内の一部の有識者のように派兵の可能性を全否定することは早計でしょう。

実際、ティラーソン国務長官をトランプに推薦したロバート・ゲーツはコンドリーザ・ライスと一緒に連名で地上兵力を派遣してプーチンと交渉するべきだという公開書面をメディア上に掲載していたこともあります。

イスラム教徒の入国禁止だと騒がれている理由の一つは少数派キリスト教徒の保護優先だから

上記でも触れた通り、グリーンカード取得者は対象外ということになり、「イスラム教徒の入国禁止だ!」とは一概には言えない状況となっています。

ただし、この大統領令がイスラム教徒の入国禁止と揶揄される理由の一つには「少数派宗教で迫害されている人」(≒キリスト教徒)を優先して難民として入国を受け入れる可能性が付記されている点にあります。

トランプ大統領は、これらの対象となったイスラム教国内では少数派となっているキリスト教徒は極めて残酷な被害にあっていることも多く、これらの人々は宗教的迫害から逃れるために優先的に入国させるとしています。

大統領令の批判者の中にはこの内容が宗教的な差別に当たるとする見方があるようですが、これについては意見が分かれるところでしょう。 キリスト教徒の迫害に関するレポートは十分根拠があり、なおかつ同時にこれはキリスト教福音派などの共和党保守派の意向が働いたものと考えることが妥当かと思います。

大統領選挙の経過及び結果が政策の微妙な部分に反映されることも米国の政治を考察していく上で非常に興味深い点だと言えるでしょう。

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イスラム国 テロリストが国家をつくる時
ロレッタ ナポリオーニ
文藝春秋
2015-01-07


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2017年01月14日

トランプ政権がそれでも親ロシアと言える理由

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ティラーソン国務長官・マティス国防長官の議会公聴会での発言の意味

レックス・ティラーソン氏とジェームズ・マティス氏に対する連邦上院議会公聴会での質疑が行われました。その中で、トランプ氏が主張する親ロシア的な方向性と両者のロシアに対する発言の間に溝があった、という報道が行われています。

しかし、筆者の感覚では、トランプ氏と両氏の間のスタンスは、あくまでも米国の政治の文脈の中ではロシアとの関係では融和派の中での表現の違いである、と思います。

流石にトランプ氏ほどに露骨にプーチン氏との協調姿勢を見せることはありませんが、両氏ともに米国政治のアクターとしては極めてロシアに対して協調的な発言を行っています。

ブッシュ政権・オバマ政権のロシアに対するスタンスと比較することが大事だ

トランプ政権で新たに任命される予定の二閣僚のロシアに対するスタンスについて絶対的な尺度ではなく相対的な尺度で捉えるべきです。

なぜなら、米国の対ロ関係は旧ソ連との対立の文脈を引きずっていることから、政治的なアクター―のほぼ全員が極端な反ロシア体質を有しているからです。

ロシアではジョージ・W・ブッシュの時代から米国は旧ソ連圏で一連の市民活動家を支援するカラー革命という形で、ロシアとの親和性が高かった権威主義的な指導者を放逐することに熱心だったとみなされています。、

2000年のセルビアにおけるブルドーザー革命や、2003年グルジアのバラ革命、2004年ウクライナのオレンジ革命、2005年キルギスのチューリップ革命など、プーチン政権は一連の革命の背後に米国政府または米国の財団が存在していたとみなされており、ブッシュ政権とプーチン政権の間の対立関係が鮮明になっていきました。

2008年のグルジア紛争で著しく悪化した米ロ関係をリセットすることを主張したオバマ政権は政権発足直後こそロシアとの間で政治的な妥協を成立させたものの、次第にカラー革命に親和的な対ロ外交を志向するようになり、2012年1月にロシア大使としてマイケル・マクフォール・スタンフォード大学教授を就任させました。

マクフォール大使は、反ロシアというよりも更に進んだスタンスで、ロシアや東欧の政権自体を市民活動を活発化させることによって事実上転覆させることを公言しており、着任直後からロシア国内の活動家と接触してプーチン政権との対立を先鋭化させました。

以上のように、ブッシュ政権もオバマ政権も反ロシアというレベルを超えて、ロシアのプーチン政権の転覆までも意図した対応を行っていた、というものがロシア側から見た前二政権への評価でしょう。

米国がロシアの国益への配慮を明示するだけで親ロシア的である

たしかに、ティラーソン・マティスの両氏ともにロシアに対する警戒心を示し、同盟国とともに厳しい対応を取っていくことを明言してはいます。

ただし、ティラーソン氏は公聴会に際して自らの外交の施政方針に関する文書を公開しており、同時にロシア側の国益と調整する意向を示しており、ロシアに対して政治的な妥協を行う可能性について示唆しています。

同施政方針に関する文書では、最初に中国、その後にロシア・ISISという順序でグローバルな脅威が述べられており、ロシアを問題視するトーンは明らかに弱くなっています。そして、その内容は概ねロシアに対して米国の力を示しつつも、お互いに妥協できるところは妥協するというスタンスがとられています。

共和党内ではロシアは妥協の余地がない永遠の宿敵のような扱いであり、同国は人権問題と国際秩序を蹂躙する国家というイメージが持たれています。

実際に、共和党予備選挙の候補者でもあった対ロ強硬派のマルコ・ルビオ氏などが公聴会の場でティラーソン氏に対してロシアでの人権問題やシリアでの戦争犯罪について質問しましたが、ティラーソンはそれらへの回答を拒否しています。米国におけるロシアに対する主流なスタンスはマルコ・ルビオ氏の立場であることは間違いありません。

したがって、ロシアの国益を予測可能なものとした上で、米国の不在によるロシアの増長を防止して同盟国とともにロシアに対抗する体制を構築しつつ、イスラムテロなどに協調して対応することを明言するだけでも、米国内ではロシアに対して十分に親ロシア的なスタンスだと言えます。

どこかの国の首相のように土下座的な外交を行うことは親ロ的という範疇を超えたものだと言えるでしょう。

また、そもそもトランプ氏をモンロー主義的な孤立主義の外交方針を持った人物とみなす向きは、メディアや政治的な敵対者による完全なミスリードであるために論ずるに値しないものです。

トランプもティラーソンもプーチンの強いリーダーシップの継続を前提としている

トランプ氏はプーチン大統領を称賛する発言が多いのですが、その内容はプーチン大統領のリーダーシップに関する点が多いことに特徴があります。そして、リーダーシップには自らの行動に対して説明責任、つまり何を意図しているのかを他者に説明できることが含まれることは当然です。

ティラーソン氏は上記の文書の中で米国の外交に最も必要な要素は「説明責任」だと述べています。つまり、米国が自らの立場を明確にした上で約束を履行していくことの重要性を述べているのです。これはオバマ政権に最も欠けていた外交的要素であったため、ティラーソン氏はその重要性を非常に強調しているわけです。

ティラーソン氏はロシアの国益を予測可能であるために交渉の余地があることを示唆しています。

その前提条件はロシアがプーチン大統領の強いリーダーシップの下にあることは言うまでもありません。つまり、トランプとティラーソンはプーチン政権の存続を前提とした外交方針を共有していることになります。

トランプ政権にとって対ロ問題で起きうる最も厄介な状況は何らかの形でプーチン大統領が指導力を失い、代わりに予測困難な新たな指導者が現れたり、ロシアの政治状況が混乱状態に陥ることだと思われます。

「プーチン政権の継続を容認し、プーチンが主張するロシアの国益との調整を行う」という姿勢は、ブッシュ・オバマ政権の在り方と比べて極めて親ロシア的なものだと言えるでしょう。

トランプ政権と事実上対立関係にある米国メディアやその報道を丸写しにする日本メディアは、トランプ氏とトランプ氏が任命する閣僚の方針の間に齟齬があるように見せたがっていますが、事実は少し異なっていると言えるでしょう。

フォーリン・アフェアーズ・リポート2012年8月10日発売号
ビョルン・ロンボルグ
フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
2012-08-10


本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2017年01月12日

他人に何かを求める人は追加で金を払うべきだ

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特別扱いを受けたいなら追加で金を払うことが常識だと思う

世の中「これがマナー違反だ!」と言い始めたらキリがないと思います。

たとえば、ファミレスでの携帯電話の使用や子どもの声などがうるさいから黙らせたいとか、お年寄りには席にを譲るべきだとか、それを守りたい人たちは守れば良いし、気まずい雰囲気に耐えられずに自発的にそうすることは構いません。

しかし、赤の他人に面と向かって正義漢ぶってそれを要求する人たちには「?」マークが付かざるを得ません。なぜなら、他人に自分が望む何かを求めるということは、それに対する補償を行うつもりがあることが当然だからです。

なぜなら何が迷惑かなどは人によって違うからです。携帯を煩いと思う人にとってはそれが迷惑ですし、その場で禁止もされてない携帯を止めさせようとする人も禁止される相手にしてみたら良い迷惑です。

私人が私人に対して自我を通すために何が必要なのか

その場がいずれかの店内などであれば当該店舗が禁止していること以上を他人に求める際には最低限お願いから入るべきか、またはどうしても耐えられないなら「追加の金」を払って「マナーコード」が守られる店に行けば良いのです。

まあ、ファミレスには色々な客がいるわけなので、うるさく騒いでいる人もいれば、絶叫している子どももいて、正義漢ぶった道徳おじさんもいるし、それがウザイと思うなら筆者が場所を変えれば良いだけかもしれませんが・・・。筆者にしてみたら全部煩いだけの人ですが、しかし特に禁止もされてないし安いんだから我慢しています。

筆者は他人に対してどうあるべきかを不躾に求める連中が嫌いです。自分の中の正義は他人の正義とは限らないということを自覚できず、他人の領域に土足で踏み込む行為は最低のことだと思います。

自分が当該環境が与えている状況とは違ったサービスを受けたいなら、他人にそれを求めるのではなくて自分が追加のコストを負担したら良いだけです。それを道徳律に依拠して他人に注意しようという世の中は極めて疑問です。

お金で全てが解決するとは言いませんが、お金で解決できることは金で解決した方がいいに決まっています。対立する物事は根本的に解決できないですが、それを効率的に解決するのがお金の役割。それを頭から否定する人は、他人に対するレスペクトがあるようで、実は自己の要求のみを通そうとする傲慢な人です。

自分が正しいと思い込んで他人に強制するのではなくその場の責任者に聞きましょう

他人が自分が嫌だと思っている行為をしているとき、自分で他人に注意するならお願いするか・追加で金を払うべきでしょう。そして、筆者はそもそも赤の他人に直接的に働きかける自力救済は全くオススメしません。

自宅や道端で携帯をかけている人を止めさせる人はなかなかいないでしょう。それはその空間が完全に私的な空間か、または税金によって運営されている公的な空間だからです。形式上、前者の責任は自分、後者の責任者は全員ということになります。道端でどうしても不愉快な行為があるなら警察に行ってくれということになります。

そして、特定の店の中で行われる行為については、公の空間と錯覚しがちですが、その場を提供している店舗の責任者がルールメーカーです。そのため、何か他の人にお願いしたいことがあるなら、その場の責任者にルールを確認し、その上で責任者に何らかの対応を求めるべきだと思います。

愚にもつかない道徳心なんてものは時代に合わせて変わっていくものであり、私人間の利害調整について、何が正しいという自分の正義がある人は一度立ち止まって、その正義は相手の正義でもあるのか、について考え直すべきでしょう。



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2017年01月11日

トランプTwitter、経団連会長は民主主義を知らない

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経団連会長の「ツイッターは政策発表の場でない」の時代錯誤

経団連の榊原定征会長は10日午後の記者会見で、トランプ次期米大統領がトヨタ自動車のメキシコ新工場の建設をツイッターで非難したことについて「ツイッターは一個人、私人のつぶやきであり、大統領の政策発表ではない」との見方を示した。(日経新聞2017年1月10日)

とのことです。経団連会長のおっしゃる意味を分からないでもないですが、トランプ氏への理解を根本的に欠いている、というよりも民主主義を理解できていないと思います。

現在トランプ氏は主流派メディアと対立している上に大統領就任前なのでTwitterでの情報発信に頼らざるを得ないという側面がありますが、だからこそTwitter上での発言を軽視することは時代錯誤です。

トランプ氏のTwitterは約2000万のフォロワーを抱えています。大統領に選出された人物が国民に直接声を届けることができるメディアの価値を正しく認識するべきです。

Twitterは民主主義の新たなメディアとして認知されるべき
 
トランプ氏は民主主義によって選ばれた大統領です。そして、彼の選挙の勝利に際して、Twitterによる支持者への訴えかけが非常に効果的な役割を果たしたことは明らかでした。そして、現在では主流派のメディアもトランプ氏のTwitterの後追い報道に終始しています。

トランプ氏には約6300万人以上の米国市民が投票しており、トランプ氏のTwitterはトランプ氏一個人の発言と見ることは間違っています。トランプ氏の意向は多くのトランプ氏に投票した人々の声でもあると理解することは米国という民主主義国を理解する上で重要な視点です。

たとえば、トヨタがトランプ氏のTwitterを意図的に軽視したり不快感を示した場合、おそらく共和党支持者が主要な顧客であるトヨタのピックアップトラックなどは一瞬で不買運動に巻き込まれる可能性があります。米国企業も同様であり、フォードなどが米国国内に工場を回帰させることはリスク回避策として妥当です。

メキシコに立地する工場に高関税をかけることは実質的に困難だと思いますが、それらの発言を通じて米国の巨大な市場を利用した事実上の経済政策としてのメッセージを発することが可能なのです。

そして、それらの米国の消費者が構成する市場に直接的かつ非公式に訴えかける手法としてTwitterは極めて有効な手段だと言えるでしょう。

トランプ氏の外交政策の基本は米国市場を背景とした圧力だ

トランプ氏はビジネスマンとしての大統領であると捉えることが妥当です。したがって、単純な自由貿易礼賛論者でも偏狭な保護主義者でもありません。まして、同氏をグローバル化を否定する存在であると看做すことは同氏の政策に対する根本的な錯誤に繋がるでしょう。(新たに任命される駐日大使を見ても明らかです。

トランプ氏が実施しようとしていることは、自国の巨大な市場を背景として各国に経済改革を迫る、というものであることは明らかです。自国民の感情を良く理解した上で、自国の市場の性質を操作することで、国際経済の基本的な構造を変化させようとしています。

ブッシュやオバマのような理想主義的な政権と違って、トランプ政権はグローバリズムとリアリズムの折衷のような政権だと言えるでしょう。

トランプ政権は今後中国に対して強烈な態度を更に見せ始めるものと思いますが、それらの動きは米国市場を巧みに活用しながら中国への更なる改革開放を迫る結果に繋がっていくはずです。その際、公式な場での政策発表では表明しづらいが、国民感情に訴えかけたいものについてはTwitterを積極的に利用していくものと思われます。

大統領就任後、主流メディアとTwitterなどの使い分けについて、それぞれの意味についてしっかりと汲み取っていく作業を行うべきでしょう。



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2017年01月10日

意外と現実的なトランプのメキシコ国境の壁

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トランプが主張する「メキシコ国境の壁」について知られていないこと

トランプ氏が主張するメキシコ国境の壁はリベラルに偏向するメディアの情報を摂取しているだけでは荒唐無稽な主張のように感じるのも無理はありません。メディアはトランプ氏が実現不可能な馬鹿なことを述べているように演出していますが、実際は果たしてそうでしょうか。

従来までのセオリー通りで行くと、トランプ氏に対するレッテル貼りは極めて悪質なものが多く、物事は複数の角度から分析を加えることで初めて本質的なものが見えてくると思います。

そこで、今回は壁の建設を肯定する側からの見解を紹介することを通じ、メキシコ国境との壁に関する基本的な知識について、私たちが知っておいても損はないことをまとめていきたいと思います。

オバマもヒラリーも賛成していた「メキシコ国境の壁を建設する」法案

トランプ氏は万里の長城を作る荒唐無稽な妄想に取りつかれているのでしょうか。彼の発言には法的根拠は何もないのでしょうか。これらの思い込みは明確に間違っています。

メキシコ国境に壁(フェンス)を建設する法案については、ジョージ・W・ブッシュ政権時代の2006年にSecure Fence Act of 2006が連邦上院・下院で承認されたことで法的な根拠を持っています。

この法案の趣旨は国境管理と移民システム改革を改善する努力に関して重要なステップとなり、物理的な障壁と21世紀の技術を展開することで、国境管理員の活動を支援して国境をより安全なものとすることでした。

そして、同法案は連邦上院・下院で上院80対19、下院283対138の圧倒的な多数に支持されました。このとき、当時上院議員であったバラク・オバマもヒラリー・クリントンも同法案に賛成票を投じたことは知られていません。

この際、同法案の推進者であった下院の国土安全保障委員会のピーター・キング委員長が議場で同法案は700マイル以上の二重のフェンスを設置することを目的としていることを説明しています。

全ての国境に二重の壁を作るための予算が全て承認されたわけではありませんが、共和党・民主党の両党の議員が「壁」の建設に賛同したことは事実として残っています。

つまり、トランプ氏とオバマ・ヒラリーの両者の違いはどこまで壁を作るのか、という点に過ぎません。

したがって、トランプ氏はゼロから法案を提出するのではなく、同法案の追加提案として予算を確保していくことによって壁の建設を粛々と進めていくことになります。

実際に壁を建設するために必要な費用はおおよそ幾らなのか

現在までに壁(フェンス)の建設に使用された予算は、1ドル100円換算で約2300億円程度です。これは現状までに建設された約650マイルの一重目の壁と約50マイルの二重目の壁の費用です。

ヘリテージ財団のDailySignalによると、国境管理を強化することを目的としたシンクタンクであるthe Center for Immigration Studiesの Jessica Vaughanの試算では、追加的な建設費用の最も野心的な見積りでは約1.1兆円程度になるとのことです。

ただし、上記のJessica女史のコメントとして、不法移民の犯罪や福祉に関するコストは、米国の納税者に少なく見積もっても毎年・約5兆円以上かかっていることも指摘されています。仮に壁を建設していくことで同コストを抑えることに繋がるのであれば一定の経済的な正当性もあるということになります。

なお、共和党は新予算案の承認期限である4月末までに予算を作成・承認する予定です。今回の予算で承認される予算規模はまだ発表されていませんが、何らかの形で予算付けがされることはほぼ確実と言えそうです。

メキシコ政府に費用負担させるために考えられる方法とは何か

トランプ氏は同壁の建設費用をメキシコ政府に負担させる旨を明言していますが、こちらについての実現性はどの程度あるのでしょうか。国家間の面子の張り合いという文脈では実現へのハードルはかなり高そうですが、経済的な交渉事としては成立する可能性も十分にあります。

2015年のメキシコへの直接投資額・約3兆円の半数は米国からであり、大手企業の一社当たりの投資額は数百億円規模のケースとなっています。

これらがトランプ氏が行っているTwitterによるメキシコに工場立地を予定している企業への介入によって撤回されていくことは、メキシコ政府にはボディーブローとして確実に効いてくるはずです。

また、数兆円規模とされるメキシコへの犯罪性資金の送金に関する管理を厳格化することにより、メキシコ政府はジワジワと首を締め上げられる状況となるものと思います。

公式的な圧力としては、米国からメキシコへの政府援助額の減額を示唆する事もあり得ます。

トランプ政権は、これらの厳しい措置を実施しつつ、メキシコ政府に同時にアメを配ることも考えられます。メキシコ政府のうち歳入・石油関連収入は約20%を占めており、この点についてメキシコ政府とエネルギー開発を進めるトランプ政権との利害は一致している状況です。

したがって、トランプ氏は非石油関連収入を得る機会を口先介入で制限しつつ、メキシコ政府と適当なところでエネルギー分野で握ることで壁建設のための予算を支出させることも不可能ではないと思います。

トランプ氏と共和党の思惑通りに全てが進むとは限りませんが、トランプ氏の「メキシコ国境の壁」を最初から荒唐無稽と切り捨てることは少なくとも間違っていることは確かです。

分断されるアメリカ
サミュエル ハンチントン
集英社
2004-05


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2017年01月09日

「Post-Truth」論は言論の自由に対する脅威だ

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「Post-Truth」は「ヒラリー大統領選挙勝利」を垂れ流してきた大メディア・学識者

トランプ氏が米国大統領選挙に勝利したことで、Post-Truthという言葉が俄かに「リベラル界隈」では話題になっています。簡単に言うと、「客観的な事実ではなく感情に訴える事実らしいものが影響力を持つようになった」ことを意味するワードで、トランプ勝利はその象徴的な出来事だそうです。メディア関係者や学識者などがこの概念に飛びついて議論を始めています。

それにしても、自分が気に入らない存在を叩くために、ポリコレ的な形式を整える能力と努力に感心させられます。なぜなら、米国大統領選挙に関して言うならば、

「ヒラリー勝利確実」

こそが最大のデマであり、彼ら自身が垂れ流してきたPost-Truthだったわけですから。大統領選挙が終了するまで読む価値がない偏向報道があまりに多く、筆者と同じく大メディアの偏向報道の酷さに米紙の購読を一時中断した人も米国にもいたのではないかと思います。

「Post-Truth」論は言論の自由に対する脅威になり得る

Post-Truthを過度に強調する既存のメディア・学識者は自らが「正しい言論の擁護者」だと錯覚し、FakeNewsなどの問題性を指摘しています。しかし、明確に言えることは、これらの「正しい言論の擁護者」は「言論の自由に対する脅威」でしかありません。

彼らの多くはFakeNewsを問題視するあまり、それらを防止するために言論をフィルタリングにかける行為を擁護しがちです。または、そこまで行かなくても、Post-Truth論を盛り上げていくことで、それらのフィルタリングをかける行為を正当化する環境づくりに貢献していると言えるでしょう。

特に、既存の権威の中心(かつ、その信頼性が失われつつある)である大手メディアらは、新しいメディアの成功によって自らの権威が脅かされることに敏感です。

しかし、大手メディアも創刊当初からエモーショナルな内容が多く、なおかつ現在でも社説などを通じて自らの愚にもつかない感情を読者に吐露していることもしばしばです。これはそれらのメディアに寄稿している学識者も同じことが言えるでしょう。

いまさら「事実よりも感情に訴えかけるニュースを初めて見ました!」と言われて真に受ける人がどれだけいるのでしょうか、偏差値高いだけの世間知らずだけが信じる戯言だと思います。そして、大半の人は嘘ニュースも含めて冷静に受け止めていることでしょう。

分散化された多様な言論空間の存在が重要である

筆者は様々な意見の相違はあるものの、Post-Truthなどの言葉を使って他人の言論を封殺しようとすることを容認するべきではないと思います。

言論の自由と言論の質の多様化は表裏一体のものであり、質が高いとされる言論のみを残そうとすれば、必然的に言論の自由を制限せざるを得ません。その際のデメリットはメリットを遥かに上回ることになるのは想像に難くありません。

したがって、仮に冷静な議論を求めたいのであれば、それは言論の供給の在り方を問題視するのではなく、言論の需要者側をサポートするシステムや情報の合理的な選別を可能とする仕組みの議論を行うべきでしょう。

現在の日本で一例を挙げると、極めて脆弱な立法府の議員を支援する機能の強化、行政権と実質的に一体化した司法の改革、一部の大手メディアに対する制度的な既得権の付与の見直しなど、より多様な言論が共有される環境を整備するとともに、その選別のプロセスを効果的に行う仕組みを作ることが求められます。

Post-Truth論争は、昔からある話を焼き直して現在の言論的強者が既得権を守ろうとしている行為でしかなく、いまさら相手にするべき類の議論ではありません。まずは積み残された過去の課題をしっかり片づけていくことを優先するべきです。

プロパガンダ―広告・政治宣伝のからくりを見抜く
アンソニー プラトカニス
誠信書房
1998-11-01

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2017年01月08日

ポリコレ無罪?おかしすぎるNHK、トランプが可哀想になってきた

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CBCNEWSから引用

NHKは米国メディアの垂れ流し以下の報道をやめたほうが良い

知的障害の白人にヘイトクライムか 黒人を逮捕 米国

2日前にNHKが4人の黒人が精神障害を持った白人を拉致して暴行を加えたニュースを報道しました。その際、犯行を行った犯人グループがFACEBOOKで白人に対するヘイトクラムやトランプ氏の発言に対する抗議と取れる発言を行っていたことから、NHK解釈では

『4人は、手を縛られた状態の男性にナイフを突きつけながら殴るなどしている30分間に及ぶ映像をフェイスブックに投稿しており、「この男はトランプの代わりだ」と叫ぶなど、排他的な言動を繰り返すトランプ次期大統領への批判とも受け取れる発言も行っています。

被害を受けた男性は、容疑者の1人の知り合いで、3日に男性が暴行を受けた現場周辺に住む人が大きな音がすることを不審に思い、警察に通報して事件が発覚したということです。容疑者らがフェイスブックに投稿した映像を見て、警察の黒人への過剰な取締りに抗議する運動をネット上で攻撃する動きも出ていて、アメリカのメディアは、社会の分断を象徴する事件として大きく伝えています。』

と紹介しています。

しかし、実際に米国のニュースの一例を挙げますが、

CBCNEWS

これを「人種主義や差別が家族や地域社会を脅かす」というイカレタ見解を示していたのはオバマ大統領のみです。もしかしたら、他のニュースではそのような見解を示しているのかもしれませんが、

4人で知り合いの精神障がい者の男性を拉致していたぶっている姿をFBに公開する凶悪犯罪者を擁護する必要は全くない上に、警察も人種差別・障がい者差別的な要素はあったと認めつつも、この拉致犯罪者から脅迫状が届いたこともあって被害者家族にゆすりをかける可能性があったと思っている、って書いてあるじゃないですか。

つまり、米国でもこの4人はクズ野郎認定されているということです。

凶悪犯罪者はどんな理由でも正当化できるものがあれば利用する

犯罪を実際に行う人間には3つの条件が揃うことが必要です。それは機会(動機)、環境、正当化の3つの条件です。

たしかに、今回の凶悪犯罪者は、暴力欲求・承認欲求(または金銭欲求)、健常者4人VS精神障がい者1人という圧倒的な物理的環境、の2つを有しており、最後の1つを反トランプ・反白人というロジックで埋めて正当化したことになります。

しかし、それを理由に、人種主義、差別、ましては社会の分断の象徴とすることはどうでしょうか。これらの犯罪者はトランプがいなかったとしても、何らかの別の正当化を行って犯罪行為に及んだことでしょう。クズ野郎にとって正当化の動機なんてのは社会的に議論されている(つまり、メディアで正当化されている)ことなら何でも良いのです。

こんなイカレタ犯罪者を象徴として社会の分断と称するほどに米国は終わっているのでしょうか。筆者にはオバマ大統領の上記のような発言やメディアが繰り返してきたほぼ無根拠なレイシズム批判が犯罪者に正当化ロジックを与えているものとすら感じられます。

正直言って、NHKのポリコレ無罪的な報道スタンスに疑問があります。

NHKは自らの解釈を米国メディアの報道内容に責任転嫁してますが、当の米国メディアですら頭のおかしいリベラル以外はこれら犯罪者に対してはもう少し客観的な解釈を行っています。まして、日本は米国国内ではなく外国なのだからもう少しリベラルバイアスを排除した報道をしたらどうか、と思う次第です。
<ワタセユウヤ(渡瀬裕哉)初著作のご紹介>







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2017年01月06日

神社やお寺はベビーカーや車椅子を断っても良い

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神社やお寺は誰のものかという基本的な問題認識の欠落

初詣でベビーカー自粛を呼び掛けていたお寺が炎上した上に、お寺にはお寺なりの事情があったことが発覚した事案について、私たちはもう少し根本的な問題認識を深めるべきだと思います。

お寺は公益法人であるために、完全に私的な宗教施設とは言えないものの、基本的にはお寺の檀家さんのためにあるものだと理解するべきです。そのため、寺院が日常的に敷地の一部を一般公開していることは、多くの人に信仰に触れる機会を提供するためにあえて行っていることに過ぎません。

したがって、お寺が安全上の問題などでベビーカーや車椅子の自粛を呼び掛けたところで、それについて第三者が喧しく意見を言うことが自体が間違っており(どうしても発信したいならそれでも良いですが)、まして少子化問題と結びつけて行政府・立法府の見地から対応を求めることは論外だと言えます。

この問題はお寺がベビーカー自粛に至った経緯を知らなかった、というよりも、私的領域に対して行政府・立法府が無暗に介入するべきではないという大原則が守られなかったことに起因しています。(したがって、警察がベビーカー自粛をお寺に要請した云々を知らなかったという経緯はある意味どうでも良いのです。)

私的な存在に対して政治家や政府が行為を求めるときは法的根拠を持つべき

本件の事例を引き合いに考えると、他に幾らでもガラガラの神社やお寺は存在しているわけで、檀家でもないような人々のためにお寺が配慮する必要性は全くありません。神様は神社などにもいるわけで、そっちに行けば良いだけのことなのです。

初詣の時期に宗教施設という私的な空間がたまたま公開されているだけにも関わらず、政治家や政府が法的根拠もなく対応を求めることは間違っています。

お願い事または相談事という形式を取らず、政治家や政府が私的な存在に対して「どうして〇〇になっているんだ、改めろ」ということがそもそも政治的にも間違っているのです。

たまたま近くに住んでいたからとか、大きな神社やお寺だから、と正月にだけ初詣に行く人が特別な待遇を受けなくても当たり前です。むしろ、お寺側の方針によってそれらの対応の是非は決まるものであり、初詣ベビーカー自粛も何を優先すべきなのかを検討した上での配慮だと言えます。

お寺は初詣場所の提供者ではあるものの、仮に死亡事故などが発生した場合、宗教施設としての運営に支障が生じる可能性があり、住職の方が檀家さんにご迷惑をかけることになるリスクを避けることは当然です。

初歩的な確認事項として、5W1Hを確認し、誰がどのようなリスクを負担しているのかを認識すべきです。本件であれば、参拝者同士の事故などの発生について、他の参拝者と寺院がリスクを抱えています。

何でも社会問題と結びつけて政治家や政府の私的空間への介入を正当化すべきではない

ベビーカーや車椅子に優しいとか優しくないとか以前に、それが大事だと思うなら自分で神社やお寺の氏子や檀家になって対応を求めるべきだ、ということです。

たしかに、神社やお寺も初詣は重要なビジネス機会ではあります。しかし、初詣の対応の在り方にだけ文句がある人は、普段は神社やお寺を何とも思っていないのに正月だけクレーマーになる自分がおかしいと自覚するべきでしょう。

手厳しい物言いかと思いますが、今回の一件は少子化や障がい者差別などの社会問題と結びつけて、政治家や元政府関係者が己の全能感を満たそうとする性が表れたものに過ぎないと思います。

たとえ一見して理にかなっているように見えたとしても、私たちの社会の大前提である私的自治に対して政治家や政府が安易に口を挟む行為を認めるべきではなく、政治家や政府関係者はそれらの行為を厳に慎むべきです。

社会における他者からの寛容さとは、お互いの立場を理解した上で迷惑をかけない範囲で合理的に行動することであって、自らの権利を無理筋で通そうとすることではないのです。



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