タックスイーター

2017年07月29日

オバマケア・国境税調整、既得権に屈服したトランプ政権

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Drain the swamp(ワシントン政治の沼掃除)の夢は潰えた

オバマケア見直し・廃止法案、そして縮小版のスキニー法案も、トランプと敵対する大富豪のコークの支援を受けるフリーダムコーカスと事実上民主党員と同じ行動を行うRepublican In Name Only(名ばかり共和党員)の抵抗にあって、連邦上院の採決で頓挫することになりました。

連邦上院は共和党52議席対民主党系48議席ではあるものの、スーザン・コリンズ上院議員に代表される名ばかり共和党員が多数存在しているため、実質的に共和党は過半数ギリギリの議席を確保しているだけに過ぎません。そのため、名ばかり共和党員らが数名反旗を翻すだけで、Drain The Swmp(ワシントン政治の沼掃除)を求める共和党保守派の夢は潰えることになります。

共和党保守派にとっての悪夢は、オバマケアの廃止・見直しの道が途絶えたこと、そして税制改革案から国境税調整が排除されることで、法人税や所得税の恒久的な大規模減税を求める財源は消滅することになったことです。つまり、当初トランプ大統領が15%、共和党保守派が目指した20%の法人税率を実現することは不可能となり、約27~28%程度の減税(大企業の多くは既存制度を利用して既に達成)に留まり、事実上の意味がほとんど無くなることになります。

また、国境税調整という一律のルールによる財源が無くなることで、恒久的な税制改革を実施するためには、各産業への個別の細かい課税案の議論が必要となり、腐敗したロビーによるワシントン政治ビジネスは益々活発化することになるでしょう。個別の業界団体との交渉は政治腐敗の温床であり、トランプ政権を奪取するにあたって共和党保守派が米国政治から一掃することを狙ったものでした。

トランプ政権は、ウォール街から連れてきた財務長官・国家経済会議議長、企業と癒着するミッチー・マコーネル上院院内総務らの主流派、大富豪のコーク氏による巨額の費用をかけたキャンペーン、に取り込まれてワシントン政治の沼の一員となりました。

共和党保守派とトランプ政権の全面戦争が始まる可能性が発生

トランプ政権は元々共和党保守派が支持したことで生まれた政権です。しかし、トランプ大統領は彼らが最も重視するオバマケアの廃止・見直し、減税政策などの税制改革案で完全に共和党保守派の願いを裏切る形となりました。(コーク財団の影響下にあるリバタリアンも報道などで保守派と表現されますが、この場合はレーガン保守系の他団体を指すものとします。)

本来はトランプ大統領が主導権を発揮することを通じて、両法案が議会で承認される可能性もあったわけですが、トランプ大統領は最後まで様子見を決め込んだ上、両案ともに不成立・骨抜きという結果に終わりました。その上、ワシントン政治にすっかり取り込まれた姿を共和党員に対して見せています。

トランプ政権下における米国政治の改革は、完全に骨抜きになった、と言えるでしょう。

共和党保守派の人々は「民主党政権ではなく共和党政権である」という消極的理由でトランプ政権を支持してきました。その結果がトランプ政権の支持率の40%前後での下げ止まりという形となって表れていたわけです。

形式だけの骨抜きの成果を保守派の人々が評価するとは思えず、今回の主要政策の公約に関する裏切りによって、今後は共和党員からの支持も瓦解していく可能性が出てきました。トランプ大統領の首を共和党保守派が本気で取りに行くのか、それとも同大統領の下で我慢をさせられるのか、いずれにせよその過程でトランプ大統領は共和党保守派からの本気の反抗を目にすることになるでしょう。

最後に、減税幅の縮小は、来年2018年の米国経済の腰砕けに繋がる可能性もあり、共和党が中間選挙で敗北した場合、トランプ大統領のロシアゲート問題が再燃していくことになります。トランプ大統領は目の前の政治的な困難に屈服して重要な決断を失敗した、と言えます。




本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2017年07月28日

都議会・利権ファースト、代官と越後屋の情報公開?

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代官・越後屋の情報公開、都民ファーストの会の「各種団体」ヒアリング

都民ファーストの会が「各種団体」ヒアリングを公開の場で行っています。このヒアリングは例年よりも早い段階で行われており、予算策定前にじっくりと話を聞いて質疑を行うことを目的とされているそうです。

彼らはこれをもって「情報公開を行っているので改革だ!」と言っているわけですが、筆者の視点からは「全くの論外」であることは明らかです。各種団体とは、都庁・都議会に税金を集りに来るタックスイーターの団体であり、簡単に言うと従来から都庁・都議会とズブズブの利権団体のことです。

それらの利権団体とのやり取りを「情報公開」したから偉い、という話は、水戸黄門などで代官と越後屋のやり取りをTV放映していたから素晴らしい、と言っているに等しく、納税者を馬鹿にするのも大概にしたら良いと思います。

お上に対して内々で行っていた交渉を誰でも見れるようにしたところで実施される行為(利権の要求→利権の受諾)という点では何も変わりません。腐っているものの蓋をしておけば臭いに気が付きませんが、蓋を開けたところでやはり中身が腐っていることに変わりありません。

むしろ、利権団体に忠誠の切り替えを誓わせる会を公開することに引かざるを得ない

各種団体ヒアリングとは、従来までは自民党や民進党などと組んできたら、それらの利権団体を呼びつけて堂々と忠誠の切り替えを行わせる行為であり、そのような権力行為を都民・納税者に見せつけておかしいと思わないのでしょうか。

むしろ、他党の支持基盤であった各種団体に忠誠を誓わせて、それらの予算要望を都庁の予算に反映させることを通じ、「全く同じ連中と手を携えながらやっていく」ことを公に宣言する行為でしかありません。

従来まではブラックボックスであった各種団体ヒアリングが公開されてワイズスペンディングになる、という理屈は権力者の戯言だと思います。新たな代官に越後屋が要望を出しているだけのことで構図は何も変わっていません。

同じ各種団体をヒアリングに呼んで「古い→新しい」都議会になります、というのは悪い冗談でしょう。各種団体(=都民ファーストの新しい支持母体)が古臭いわけですから、都民ファーストの議員らも当然に利権塗れになっていくでしょう。わざわざ利権塗れになる場を公式に設定・公開する行為は、本当に改革勢力なら集団自殺行為です。

「利権団体の出禁」こそが改革、都民ファーストは利権ファーストでないと証明を

予算策定前に利権団体の意見をいち早く聴取し、それを予算に反映させていくという話は「都民ファースト」ではなく「利権ファースト」です。「利権の要望を少しでも早くヒアリングします」というのだから、その名称で間違いないでしょう(笑)

民主主義体制で選挙を行う意義は「都庁・都議会に出入りする面子が変わる」から意味があります。たとえば、米国であれば共和党・民主党の支持母体は全く異なるため、政権交代が実施されると異なる考え方の人々が政権に出入りすることで、民主主義のダイナミズムが担保されることになります。

都民ファーストの会は、選挙時に連合と早々に政策協定を結んでいましたが、それ以外の利権団体とも代官・越後屋よろしくやっていくのであれば、「利権団体と縁が無かった有権者」や「東京都内のタックスぺイヤー」をやはり無視するということなんでしょうね。自分達に「票」を入れたのは、おたくらがヒアリングしている「利権団体」の皆さんだったんですか?と小一時間問い詰めたいものです。

都民ファーストが実施すべきは「各種団体へのヒアリング」ではなく「利権団体の出禁」です。利権団体とのやり取りを情報公開することを「成果」とする感覚には呆れてモノも言えません。

政権交代は「従来までの利権勢力と手を切る」から意味があるという当たり前の話でした。



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2017年07月04日

都議選敗北はTOKYO自民党が生まれ変わる好機

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自民党・東京都議選の敗因は「争点」設計のミス

自民党の東京都議選のマニフェストは「個人都民税10%削減」「事業所税50%削減」など、経済政策としては「都民ファースト」よりも筋が良いものでした。しかし、これらの政策は「やっつけ感」が元々漂っていたこと、どの候補者も真面目に訴えていなかったこと、そして党本部がほぼそれらの政策を無視したこと、などが響いて、その価値や位置づけが明確になりませんでした。

一方、憲法改正やテロ等準備罪などのタカ派的な政策イメージが先行し、国民の目から安倍政権が一定の評価をされてきた経済政策が目立たなくなったことで、有権者が安倍政権を積極的に支える理由が喪失したことも大きかったと思えます。

そのため、消極的な理由である「安倍首相・自民党以外の選択肢がない」という課題に対して、自民党に対して「古いか・新しいか」というだけで他はほぼコピーと変わらない「都民ファースト」が代替者としての地位におさまることになりました。(もちろん、選挙戦自体は公明党・連合という新進党型なので少し違う点もありますが。)

都議会自民党は各選挙区のボスの集合体で統一的なキャンペーンは実施しにくい体質がありますが、そこは党本部側が国政レベルでキャンペーンを設定して補うべき点だったと思います。

争点設計の失敗の結果としての「メディアによるネガティブキャンペーン」

森友・加計のような首相及び夫人に起因する問題はまだしも、豊田議員の暴言スキャンダルや金子議員の公用車育児通勤などは本来は都議選に影響を与えるほどのモノかと言えば極めて疑問です。

要は安倍政権自体がテロ等準備罪や加計スキャンダルなどの国会対策に手一杯に追い込まれて、東京都議選をどのように戦うのか、という点について無策であったことが、メディアのネガティブキャンペーンに拍車をかける結果になったものと思います。

たしかに、昨年段階から小池知事の支持率は非常に高い状況ではあるものの、豊洲問題をはじめとして都民からの支持に一瞬のかげりが生じたことも確かであり、その時に自民党があるべき「東京都のビジョン」を示せなかったことが致命傷になりました。

小池知事は議会運営日程を見ながらマイナスを修復するタイミングを計画的に伺っていたように見えるため、選挙に向けたスケジュール設定なども小池知事のほうが上手であったように思います。

政権側が選挙争点を設計することに失敗した場合、反政権的なメディアによる争点設計が優位となり、その結果として「通常は話題にもならないようなネタ」がワイドショーで幅を利かせることになったといったところでしょう。

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東京都を痛めつけることを良しとする現在の自民党の愚さ

むしろ、自民党は東京都のビジョンを作るどころか、東京都を衰退させるようなスタンスを維持し続けています。昨年の夏の東京都知事選挙において、都政のドンの問題はクローズアップされましたが、それだけでなく、増田寛也氏という東京から地方への不当な資源移転を推進する人物を知事候補におしたことが拒否されたことを真剣に考えてこなかったことが問題です。

知事選挙で落選した増田氏は杉並区の顧問に据えて厚遇されています。自民党の重鎮のお膝元であり、有権者の民意を無視した忖度の極みでしょう。同氏のお墨付きのプラスアルファを得た杉並区は南伊豆への無用な特養建設に邁進し続けており、東京都内からの税金の流出に拍車をかけるモデルを構築しようとしています。また、同氏が座長代理を務める国の有識者会議が東京都内における大学抑制をはじめとした東京衰退政策を平然と公表している姿にも全く共感できません。

基礎自治体が独自に判断したというのかもしれませんが、都民が有権者として税金で雇うことを拒否した人物に、都内の基礎自治体が顧問料を支払うことに疑問を呈さない政党など不要でしょう。

小池知事の初登頂時の握手を拒否した無反省ぶりだけでなく、政策的な無反省ぶりは極まった状況であると言えます。この点も「都民ファースト」という名称のアンチとして都民の認識の深いところに影響したものと推測します。(追記・握手拒否はメディアが作ったフェイクニュースということで、自分も勘違いしていたため反省します。)

TOKYO自由民主党は「東京都民のための政党」に生まれ変わるべきだ

自由民主党の主要な支持基盤は土着の人々であり、ノスタルジーに駆られて田舎に税金をばらまくことを良しとする人たちばかりではありません。東京都内でも土着の人々はいるのであって、党本部が地方を重視するどころか、都議会自民党が地方へのバラマキを容認するなど言語道断です。

筆者は元々TOKYO自民支持でしたが、近年ではおかしな方向に向かっていたため、第三極への支持を強めていました。そして、TOKYO自民党は完全な敗北を決すまで間違った政策を進めてしまいました。これは東京オリンピック招致で東京都は国に協力を求める必要があり、政権与党であった自民党が東京都のために働くことに対して逆行した政策を容認してきた故もあることでしょう。

しかし、既に東京オリンピック招致は決定しており、それらの差配は小池知事・都民ファースト側に移ることが予想されるため、TOKYO自民党は利権争いはほどほどにして、東京都民のために働く、という原点に立ち返ってほしいと思います。タックスイーターの政党からタックスぺイヤーの政党に転換すべきです。

二度と党本部が指名するような天下りの地方バラマキ候補を都知事候補に指名する愚を繰り返さないでほしいものです。

TOKYO自由民主党は経済成長の具体策を出せる政党へ

小池知事及び都民ファーストの会は豊洲問題に象徴させるように政策よりも政局を優先させる傾向を持っています。そのため、そもそも経済政策自体を真剣に考えている可能性は極めて低いものと思います。一方、自民党本部も東京都のことをまともに考えているとは信じがたい政策を実行しています。

そのため、都議会の野党第一党であるTOKYO自民党は独自のシンクタンク機能を創設し、東京都の経済成長を促すためのまともな政策を立案していくことが望まれます。それらは今後の都知事選挙や都議選における礎となっていくことでしょう。

この東京都議会議員選挙の結果は、中央の党本部が推し進める地方へのバラマキを東京自民党が拒絶して、東京都を更に経済成長させるための政党に生まれ変わる絶好の機会が到来したと受け止めるべきです。



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2017年04月05日

元かがやけTokyo都議は「都民ファースト」から離党すべき

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<TBSから引用>

連合東京と政策合意なら、元かがやけTokyo都議は「都民ファースト」から離党すべきだ

「7月都議選、都民ファーストの会と連合東京が政策合意」という報道がありました。

連合東京には当然ですが、 東京都の職員組合も所属しています。したがって、職員給与に関しては基本的に守るor増やす方向であることは間違いなく、事業の民間委託や民営化にも反対であることは明白です。

一方、元々小池百合子東京都知事を知事選挙で応援した「かがやけTokyo」の議員たちは、旧みんなの党のメンバーであり、職員給与の引き上げについては反対姿勢を取るとともに、都事業の民間委託などに前向きな姿勢を見せていたものと記憶しています。

彼らの元所属政党である「みんなの党」は2013年都議会議員選挙時に「東京アジェンダ」を発表し、その中で「公務員の総人件費20%カット」を謳っていましたので、このような政治姿勢の転換はほぼ180度真逆の方向に舵を切ったと言って過言ではありません。

したがって、仮に都民ファーストの代表が小池知事の野田特別秘書であったとしても、現在の都議会所属議員には連合東京との政策協定を結ぶことには責任があります。連合東京から支援を受けた都議候補者が自党から立候補することを黙認することは2013年の都議選挙の公約への事実上の裏切りでしょう。それとも、既に党名も内容も違う、または連合東京と一緒になっても公約は守れると嘯くつもりでしょうか?

元かがやけTokyoの都議会議員が「都民との公約」をまともに守るつもりがあるなら、「都民ファースト」から離党するか、連合東京との政策協定を撤回するように働きかけるべきです。

政治家なのか、政治屋なのか、それが問題だ

自分達が推薦した都知事が連合東京と組むからといって自らの政治スタンスを180度転換する議員は、政治家ではなく政治屋でしかありません。地方議会は小池知事の私塾である希望の塾の都議選候補者選抜試験にもあったように「二元代表制」であるため、小池知事の方針に従って自党が連合東京と組む必要はありません。現在の都民ファーストの都議会議員らはこの事態を容認したのでしょうか。

連合東京と政策協定を結ぶと言うならば、みんなの党⇒維新の党⇒民進党、と所属政党を変えてきた、旧みんなの党の都議会議員らと何も変わりません。自分達が受かりたいだけの都議会議員なら既に十分足りてますから、政策方針を転換するなら次の選挙に出馬するべきではありません。有権者にとっては改革派を僭称する勢力が存在することは紛らわしいだけで迷惑です。

明確に申し上げておきますが、ここで黙って都民ファーストに残って政策協定を追認するようであれば、それは「政治屋」です。元かがやけTokyoに所属していた都議会議員は、政治家なのか、政治屋なのか、それが問題なのです。現在の政治的な党派性をとるのか、前回の選挙で自分を都議会に送ってくれた有権者を信頼するのか、どちらを選ぶべきなのかが問われています。

ちなみに、筆者はかがやけTokyoの人々は都民ファーストを離党したほうが良いと考えています。なぜなら、筋が悪い公営市場移転問題に政局的に振り回されることなく、本来政策的に必要なことを有権者に訴えられるようになるからです。

元かがやけTokyoの都議会議員のTwitterアカウント

下記が元かがやけTokyoの都議会議員のTwitterアカウントです。おかしいと思う人はこちらに意見投稿を行って、彼らに都民ファーストからの離党または連合東京の政策協定の撤回を要望してください。これは彼らに期待した都民への明白な裏切りであり、彼らに政治家としての志があるなら筋を通させるべきです。

音喜多駿 https://twitter.com/otokita
上田令子 https://twitter.com/uedareiko
もろずみみのる https://twitter.com/morozumi_m

トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体
渡瀬裕哉
祥伝社
2017-04-01




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2017年03月24日

東京都の政党は「地方交付税」問題を争点にすべき

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政治家にビジョン形成を求めること自体が時代錯誤ではないのか

宇佐美典也さんの「都議選は「空前絶後で超絶怒涛な公約」を待望してます」を読んで、やはり元官僚の方は言うことが違うなと思いました。

政治家はビジョナリーな空前絶後で超絶怒涛の公約を語ることよりも、現実の財布(=税金)の話をすることが本来の仕事であり、税支出の使途の妥当性を問うべきです。彼らは納税者の代表であって妄想を語ることは仕事ではありません。

政治家や官僚に社会のビジョン形成を求めること自体が時代錯誤であり、革新官僚的な発想で「政治にビジョンの提示を求める」という行為をやめていくべきでしょう。

東京に基盤を置く政党が地方交付税や地方バラマキ政策を問題にするのは当たり前

筆者も維新の会の「議員定数5分の1」は全く意味不明だと思いますが、都民ファーストの音喜多都議が地方交付税の在り方を問題にすることは東京都に基盤を置く政党の幹事長として至極当然のことだと思います。

年間7兆円以上も東京都内から流出している「みみっちい」税金の話を看過できるほど、東京都民は非現実な世界に生きているわけではありません。

宇佐美さんが主張する「東京の出生率を2.5まで引き上げる」とか、「75歳まで働ける社会」とか、「観光消費を倍増させて経済を成長させる」とか、「生活コストの引き下げ」などは東京都民の手に資金が残っていればある程度解決可能な問題です。このような政治家の対処療法的な個別のレトリックではなく、東京都からの税流出を防止することは問題の根治に繋がります。

東京に基盤を置きながら、都議会だけでなく国政に候補者を立てる準備を推進している「都民ファーストの会」の都議会幹事長が税金の話をすることは当たり前です。

まして、筆者も音喜多氏も東京出身者であり、それらの人々の声、そして地方から出てきて東京で子育てしている人々の声を代弁しても何ら不思議でもありません。

また、東京と地方の共存共栄とは、東京一人勝ち&地方へのバラまき、を前提とした関係ではなく、東京と地方が独立・協力・競争しながら一緒に栄えるものだと考えます。

必要とされるものは政治家の「口約束」ではなく、民間の力を信頼する「契約」だということ

筆者が都民ファースト会などに期待する都議会議員選挙の公約は、宇佐美さんが共感を示したような石原氏の「〇〇やります」的な公約ではなく、「〇〇やりません、東京都民の手にお金と権限を戻します」というものです。

豊洲新市場一つをとっても移転するか否か以前に、行政機関は意思決定までに時間がかかりすぎて、元々想定していた事業環境と大きく変化が生じてしまうことはザラだと思います。(豊洲市場は大赤字!金融の視点で見える事業面での大問題)小池知事が移転を早期に実行したところで、東京都庁が無能な投資家であることに違いはありません。

宇佐美さんと筆者は同年代ですが、東京都の政治家と都庁の役人に夢を見せてもらう必要はありませんし、むしろ政治家と役人は余計なことをせずに粛々と行革、減税、権限移譲・規制緩和を進めてほしいものと思います。

宇佐美さんが我々の世代を代表されるようなことをおっしゃっていたので本稿に引用してしまって申し訳ありませんが、意見が違う人もいるよということで大目に見てください。

政治家が考える「日本の中で東京がどのような役割を果たすべきか」を具体化した「空前絶後で超絶怒涛な公約」でげっそりさせられるよりも、日々をコツコツと生きている東京都民の生活が豊かになる政策をやってもらう方向性でお願いしたいものです。

これ以上東京都民の税金を政治家や役人のおもちゃに使う行為をやめること、次回の東京都議会議員選挙に一都民として唯一期待しております。起きながら見る夢とは民間人が努力する中で見るものであり、政治家ができることはそれを邪魔しないことです。
 





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2016年02月08日

鴻海がシャープを買収することは自然の摂理である

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wikipediaより引用

鴻海がシャープを買収することは自然の摂理である

台湾企業の鴻海がシャープを買収する方向でほぼ決まりそうなことは非常に望ましいことです。鴻海がシャープブランドを活用した世界戦略を採用することは一つの考え方だと思います。まさに買収すべくして買収した自然の摂理のようなものであり、新興国で資本力を蓄えた企業として「歴史を買う」妥当な戦略だと思います。

それに比べて、産業革新機構は「再生」という名称で何をしようとしたのか全く不明です。シャープは経済産業省の天下り実績がある企業であり、「技術流出の防止」という大義名分を掲げて、更なる天下り先確保&過去の不透明な巨額投資の意思決定過程の記録を隠そうとしたんじゃないかと邪推もしたくなります。

むしろ、経営危機にあるシャープを買収するために7000億円も拠出する企業が現れたことについて、日本人であれば喜ぶべきところであり、本来はベンチャー投資に充てるべき血税を「大企業の再生案件」として投資しようとした政府系の官民ファンドから資金の引き上げを直ちに実行するべきです。

世界に対して日本が自由主義経済国であるメンツを辛うじて保つ形に

産業革新機構がおかしな行動をした上に、シャープの経営陣が鴻海の好条件に即決できない姿をさらしたせいで、日本は依然として自由経済の国ではないかのような印象を他国に与えるところでした。しかし、結果としてシャープが鴻海を選んだことで自由市場が機能していることを世界に示せたと思います。

現在の国際競争はグローバル企業からの投資をどれだけ惹きつける都市・企業・人材を創り出すかということが重要です。シャープという一企業の事例を通じて、日本は政府系ファンドが市場原理に反する不可解な行動を行う国であるという印象を与えることは中長期的に見て決定的にマイナスです。

先発資本主義国である日本は他国企業をM&Aしていきながら、更に付加価値を高めた都市・企業・人材への投資を集め続けるというスパイラルな上昇過程を続けることが大事であり、その流れを自ら断ち切ってしまうことこそが敗北への道ということになります。

今回の一件でも分かることは、国策の産業政策というものは「保護主義」を根幹に据えており、発展途上国の政策モデルであるということです。このような政策モデルを根本から転換させていくことが必要でしょう。

金融政策で景気が浮き沈みするのであれば「産業政策」は不要ではないか

筆者は政府と中央銀行を肥大化させるアベノミクスを支持する者ではありませんが、しかし安倍政権がアベノミクスの成果を強調することをそのまま認めるならば「産業政策」は根本的に不要だということになります。

安倍政権になる以前から、政府は大量の予算を産業政策に投資してきているのに、それらはアベノミクスが行われるまで何ら経済活動を好転させる成果を生み出さなかった、ということになるからです。したがって、金融緩和によって景気が浮揚するなら産業政策は不要と言えるでしょう。

筆者はアベノミクスによる景気浮揚効果は極めて限定的であり、リーマンショックからの景気循環による経済活動の好転のほうが大きいのではないか、と思っていますが、その場合であっても産業政策はやはり不要ということになります。

今回の産業革新機構のシャープの買収失敗は、日本の産業政策の必要性について根本から見直す良い機会になるのではないでしょうか。その大半は日本の産業構造の新陳代謝を遅らせるものであり、産業政策を極小化することが実は最大の産業政策であることに気が付くことでしょう。




日本の競争戦略
マイケル・E. ポーター
ダイヤモンド社
2000-04

1940年体制(増補版)
野口 悠紀雄
東洋経済新報社
2013-05-02





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2016年01月20日

安倍・山尾質疑、与党も野党も「適当な数字ばかり」を並べる待機児童問題

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安倍首相と山尾しおり議員の「女性就業数」「待機児童」の質疑が話題に

2016年1月13日の衆議院予算委員会で山尾しおり議員による安倍首相の「安倍政権下で90万人の女性の就業者数が増加した。待機児童増加は嬉しい悲鳴」が虚偽である、という追及をしたことが話題になりました。

山尾議員曰く「25~44歳までの女性就業者数は2010~2015年で横ばい。増えたのは高齢者の女性ばかり」ということで、安倍首相が思い込みで答弁していると指摘しています。

その上で、山尾議員は「待機児童数が増加している背景の一つは保育士の給料が悪いから。したがって、保育士の給料を引き上げろ」と要望しています。

衆議院インターネット中継
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=45450&media_type=wb

本記事では上記の議論の妥当性について再検証することで、国会のあるべき姿について国民に再検討を促すことを目的としています。

本来であれば、古賀茂明氏のような有識者の皆さんが正しい話をするべきだと思うのですが、まったく的外れな感想をメディアに載せているので、本ブログが同問題についてミッチリと調べてました。

古賀茂明氏
待機児童が増えたのは「働く母」が増えたからじゃない! 白熱の質疑応答で暴かれた安倍総理の「ウソ」

女性の就業及び保育の実態を数字で検証してみた結果は・・・

女性の就業状況を検証する上で重要なことは、20~44歳の女性人口の絶対数が減少している、ということです。2010~2014年までの20~44歳までの女性人口数は約89万人減少しています。したがって、20~44歳までの女性の就業数が横ばいであることから就業率は上昇していることが分かります。
(参考:人口動向も含めた正規・非正規就業者数などの詳細をグラフ化してみる(2015年)(最新)

そのため、山尾議員が「就業率」ではなく「就業数」に質疑でこだわったことは正しいものと思います。安倍首相も数字を認識していなかったという点で極めて稚拙であったと思います。

しかし、待機児童数の増加を検討する上で、20~44歳の女性の就業者数が意味がある数字かどうかは別問題です。

なぜなら、2010~2014年の新生児の絶対数が減少している(約107万→約100万、累計約16万人)上に、保育園の利用児童数は増加しているからです。(約208万人→約227万人(2014年)→237(2015年))つまり、女性の就業者数は横ばいですが、子どもの絶対数は減っており、保育園の利用児童数は増えているのです。

では、山尾議員が指摘する2015年度の待機児童は何故増加したのでしょうか。実は待機児童数自体も2010~2014年まで減少が続いていました。(2.6万人→2.1万人)2015年に待機児童数が増加した原因は、子ども・子育て支援新制度が導入された結果として待機児童数が掘り起こされたからです。(2.1万人→2.3万人)
(参考:『保育所は増加・待機児童も増加』という怪奇現象の理由 〜 政府にとって好都合な数字ではダメ

ということで、結論としては、

「新生児数が減った上に保育園の増加で利用児童数は増加したため、直近数年間は既存の待機児童は解消に向かっていた。しかし、2015年度の新制度の導入で潜在的待機児童数が掘り起こされて待機児童の絶対数が増えた。一方、25~44歳の女性就業率は増加しているため、女性の間で保育園の話題が増えている」

ということが実態です。したがって、山尾議員がこだわる「女性の就業者数が横ばいであること」「保育士の給料」は、あくまで山尾議員が述べるように背景の一つでしかなく、2015年の待機児童数増加の直接の要因として捉えることには無理がある、ということが言えます。

保育士の給料の実態を数字で検証してみた結果・・・

その上で、山尾議員の持論である「待機児童の背景の一つ」は「保育士の給料が悪いから」であり、「保育士の給料の引き上げ」が必要だ、という主張の妥当性を検証します。

実際、現行制度では保育士が集まらなければ保育サービスの総量を増やせないので、現役保育士だけでなく潜在保育士が働くことができる環境整備が必要となります。

そこで、まずは保育士の給料環境について考察します。平成26年度の厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、

<全産業>平均年齢・平均年収は42.1歳329,600円で、労働時間は163時間・超過労働は14時間
<保育士>平均年齢・平均月収は34.7歳で216,100円で、労働時間は168時間・超過労働は4時間

ということで確かに保育士の給料は低いように思われます。しかし、保育士の20代・30代労働者比率は70%という異常に低い年齢構成の産業であり、我が国の年功序列賃金を前提とし場合に全産業平均よりも平均年収が低くなっている点も忘れるべきではありません。そして、もう一つ注目すべき数字としては、

〇賃金の男女格差
<保育士(男)・40~44歳>平均月収369,400円で、労働時間は173時間・超過労働11時間(保育士全体7%)
<保育士(女)・40~44歳>平均月収234,700円で、労働時間167時間・超過4時間
 *男女の賃金格差は30代以上になると大きくなる傾向があります

〇勤続年数
保育士は7.6年という極めて短い勤続年数であるということ

が挙げられます。

男性保育士は年齢相応の給料を得ているが、女性保育士は極めて低い給料しか得られておらず、非常に短い勤続年数から離職・復職を繰り返す業界=勤続年数に応じて給料が継続的に上がらない業界構造があることも推察できます。これは業界の構造問題であって、単純に「保育士の給料を上げる」という結論は思考停止以外の何物でもないことが分かります。

待機児童問題を国会で語る上での大前提を整理した結果は下記の通り

・25~44歳の女性の「人口は減少」「就業率は上昇」「就業者数は横ばい」ということで、働く女性の比率が上昇したことで女性の会話内容で保育園の話題があがる機会増。

・近年減少を続けてきた待機児童数が2015年度に増加した理由は新制度による申込者数増が原因。

・問題の本質は申込ベースの待機児童数の測定方法では「サービス変更で潜在的ニーズが掘り起こされる」と数字が増加するため、保育所ニーズ全体の状況を掴む数字として不適切だということ。したがって、待機児童数で一喜一憂する国会質疑は意味無し。

・保育園増加させると利用児童数は増加しており、現状において保育所ニーズは存在。ただし、中長期的には新生児が減少している状況を加味する必要あり。

・20~30代中心の保育士給料は全産業平均よりも低い。ただし、保育所を運営する小規模事業者が増加し続けており、離職・復職が比較的容易であることから雇用には強い職場であり、各事業者が保育士を継続的に確保することに困難さを感じている。(給料は低いが雇用に強い構造が潜在保育士を増加させている)

・上記のような環境から、保育士は勤続年数が短くなる傾向があり、給料アップのためのキャリアパスはほとんど存在しない。保育園は小規模事業者であるために経営者や管理職になれる人は少数。つまり、保育士の低賃金問題とは、若者の低賃金というよりも「年齢を重ねても給料が増えない」業界の経営状況にある。

本来、国会の質疑で問われるべきことは下記の通り、首相も議員もしっかりしてほしいものです

保育園数が増加すると利用者数が増加する現状に鑑み、今後も継続的に保育園の整備を行っていくことが望まれます。しかし、今後の人口動態推移や業界構造に関する問題を考慮した上で、下記のような解決策について議論することが必要です。

・中長期的には新生児数は減少することが見込まれるため、保育ニーズの需給調整をフレキシブルに行える経営主体によって保育サービスが提供されることが望ましい

・小規模事業者の濫立によって保育士の頻繁な離職・復職及びキャリアパス不足などが発生し、保育士の給料が構造的に上がらない状況が生まれている現状を是正するべき。

・したがって、保育園の小規模経営を止めて大規模チェーン化を進めることで、保育サービスの供給増を強力に進めていくとともに、将来的な需給ギャップを調整できる経営体制を整備。また、大規模で安定した事業体の中で保育士の中長期的なキャリア形成を行うことができるようにすることが望ましい。

・政府は、保育園の経営主体、保育料、保育サービス、保育士給与などの全面自由化を実施することを通じて、保育サービスの市場経済化を推進するべき。低所得者対策については別途考慮するべき。

筆者は上記のようなソリューションを提案するべきだと思います。保育園をタックスイーターの政治的な食い物にしていくのではなく、しっかりとした経営主体とすることで、サービス向上・保育士の待遇改善を図るべきです。

これらについては異論がある人もいるかもしれませんが、少なくとも首相と国会議員は上記の数字程度のことは踏まえて国会質疑を行ってほしいものです。




マンガでわかる統計学
高橋 信
オーム社
2004-07



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yuyawatase at 13:22|PermalinkComments(0)

2016年01月19日

「地方交付税」「基準財政需要額」という無根拠の固まりへの妄信

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地方交付税という出鱈目のバラマキ制度を廃止することが必要 


平成25年度の数字では、東京都から他都道府県への流出する地方交付税への持ち出しは

・地方交付税 6兆6695億5000万円 (都道府県・市町村含む)

という金額になっています。この巨額の財政流出は東京都・都内自治体以外の「地方自治体が行政サービスを提供するために必要な財源」の補てんとして使用されています。

この「地方自治体が行政サービスを提供するために必要な財源」の「補てん額」は、

基準財政需要額-基準財政収入額=地方交付税の受取額(補てん額)

という計算式で算出されます。つまり、必要な財源=基準財政需要額を大きく計算するほど、東京都からの財源流出は大きくなっていくことになります。

基準財政需要額の計算根拠は極めて不明瞭なものでしかない

では、その基準財政需要額は、どのように計算するかというと、

測定単位(国調人口等)×単位費用(法定)×補正係数(寒冷補正等)

という式に基づいて算出されます。人口などの規模(測定単位)、各行政サービスに必要な単価(単位費用)を掛けて、そこに寒冷地などの味付け(補正係数)をして導き出されます。

しかし、本音で話してしまえば、この計算式の根拠となる単位費用や補正係数などの大半は単なる惰性で決まっていると言っても良いと思います。どちらかというと、地方交付税の財源額に応じて地方に配分するための根拠作りとして使用されているとも言えるでしょう。

私自身もある単位費用の算出根拠について過去に調査に関わったことがありましたが、総務省の交付税課に電話で尋ねた際に「5年以上前の話は分からない」という衝撃の回答をされたことを現在でも思い出します。(ちなみに、継続調査の結果として、同単位費用は遡ると帝国議会時代の名残や自治労との折衝などの影響を受けていたことが分かり、個人的な感想として絶句しました。)

最新の単位費用の中には「地域の元気創造事業費」や「人口減少等特別対策事業費」も含まれており、もはや何のためのお金なのかもさっぱり分かりません。

そして、現在でも毎年のように地方自治体からは単位費用と補正係数に関する意見申出が行われており、「単なる政治的なパワーゲーム」と「財政事情の都合」によって決まっているのではないかとすら思います。(実際に大都市部には著しく不利な昼間人口、地価の割落し、普通態容補正の減額などが存在しています)

一人当たり基準財政需要額で冷遇される東京都、移住促進で財政問題は解決できる?

仮に、基準財政需要額の算定結果が正しいものとした場合、その結果から導き出される施策は「地方へのバラマキ」ではないことは明らかです。下記のグラフは東京都のHPから東京と普通交付税の算定結果についてから抜き出してきたものです。

基準財政需要額(都道府県比較)

上記のように、東京都は人口1人当たりの基準財政需要額(必要なコスト)が低いことが分かります。つまり、財政難の日本の懐事情に鑑み、政策としてそもそも実行していくべきことは、東京都から地方交付税の税金を取り上げることではなく、高コスト地域から低コスト地域への移住促進であることが分かります。

1人当たり基準財政需要額

しかも、東京都大都市部以外の地方交付税の人口1人当たりの基準財政需要額は増加傾向にあります。地方は一人当たりのコストが増加傾向にあり、中長期の財政的な観点からも、基準財政需要額の算定結果を大幅に減額していくか、地方の人口自体の更なる東京都への移動を行うべきことが分かります。

したがって、地方交付税制度の算定結果自体が地方交付税の非効率性を明らかにしており、同制度の廃止・見直しが必要であることを示しています。

基準財政需要額に基づく地方交付税というソ連型の計画経済システムの廃止

そもそも「〇〇の行政サービスには〇〇円かかります」という計算を全国一律に実施するという発想自体が思考停止の産物です。なぜなら、この広い日本で特定のサービスの価格を中央省庁の一部署が正確に算出して配分することなど不可能に決まっているからです。

日本国民はこのようなソ連型の計画経済システムの権化であるような時代遅れの地方交付税制度をいつまで存続させるのでしょうか?

世の中では東京都は「地方からの人口流入で大きくなったのだから地方にお金を払うのは当然」という言論が幅を利かせています。東京都などの都市部が何十年も前に雇用対策を引き受けたことを歪曲した話を信じている人がいるからです。東京都への労働者の自発的な移動を理由に地方への強制送金を正当化する理屈は「慰安婦問題で強制連行を主張する人々と同程度の論理」に過ぎません。

それらの言論は「現在の東京都民に実体的な根拠もなく掴みカネを要求する」タカリ行為を正当化する情けない論理です。もっと言うなら、このような制度が存続することは地方に住む人のまともな労働意欲を削ぐことになります。そして、地方経済に非合理な歪みを作り出して、健全な成長の芽を摘み取ることにもなるでしょう。

東京都民は上記のようなデタラメな地方交付税制度によって一人当たり毎月4万円以上の負担を強いられています。また、東京都以外の日本全体の経済は同システムによって根本から腐ってしまっています。

東京都民は目を覚まして怒りを表明する必要があり、東京都民の怒りが日本の再復活に繋がるものと信じています。

東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)
市川 宏雄
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015-10-22


 

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yuyawatase at 13:54|PermalinkComments(0)

2016年01月16日

納税者が「他人の借金を肩代わり」する利子補給制度の廃止を

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地方自治体の産業政策の相当部分は「利子を代わりに払ってあげる」という政策

地方自治体の産業振興予算の相当部分は地域の中小企業の借金を代わりに支払うことに使用されています。この政策は「利子補給」と呼ばれており、一定の条件を満たした中小企業は利子の支払いの大半を免れることができます。 

利子補給は各地方自治体の予算でかなりの部分を占めており、都心部の地方自治体でも産業振興予算の25%以上の予算を占めているところもあります。

もちろん、これらの利子補給を受けることによって助かっている企業があることも事実ですが、納税者が納めた税金を使って一企業の利子を支払っているということを知らない有権者も多いのではないでしょうか。

貸付金の利子は何のために存在しているのか


産業政策上の観点に立てば、貸付金に利子がある理由は産業の新陳代謝を図ることにあります。適切に設定された利子以上の収益を上げることができる企業が生き残ることで、経済全体の革新を測ることが可能になります。

従って、貸付金に適切な水準の利子が存在することによって、金融機関は貸付先への支援に本気で取り組むことになり、企業の入退出が促進されることになります。

結果として、新しい利益率の高い産業にヒト・モノ・カネが移動することによって、経済環境の改善の恩恵として賃金や雇用などの中長期的なプラスの効果がもたらされます。

仮に利子補給を受けなければ成り立たない事業であれば、それは資本市場で存続するには必要な利益を上げることができない事業であり、中長期的な観点に立てば整理・淘汰されるべきものと言えます。

同事業が中長期的に成り立つ確信がある場合、金融機関がリスクを取って貸し出しを実行するべきであり、貸し出しリスクの判断ができない納税者がリスクを肩代わりする現在のシステムは論理的に不要です。

資本主義を機能不全に陥らせる産業政策の廃止が必要

地方自治に関心が無い多くの方は、地方自治体が行っている産業政策の大半が商店街振興と利子補給のための予算だと知れば驚くと思います。しかし、そのような姿が現在の地方自治体の産業政策の予算配分の実態であり、地域に新しい産業が起きてこない遠因となっています。

地方自治体の産業政策は、経済の構造変化を鈍化させる方向で機能しており、地域経済の激変緩和のための救済策のようなものだと言っても過言ではありません。その結果として、地域経済は必要な変革を遂げることなく、緩やかな死を迎えることになります。

地域経済を本当に振興するためには、地域内で適切に資本主義を機能させることが重要であり、そのための重要な要素である地域金融のインセンティブを正すことが必要です。したがって、重要なことは「利子」を機能不全に陥らせる政策ではなく、利益を生み出すための積極的な規制緩和や減税政策の実施ということになります。

地方自治体の産業政策のパラダイム転換が必要であり、そのためには地方自治体自体の勇気が必要となります。地域の首長、議員、事業当事者の皆様が英断を実行されることを期待しています。




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yuyawatase at 17:32|PermalinkComments(0)

2016年01月07日

20代・30代所得税全廃(約3兆2111億円)は可能か?

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出生率の改善には「20代・30代の所得税全廃」の実行こそが重要

以前の記事「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ」でも述べた通り、日本の出生率の変化は、価値観の変化による晩産化と経済不安・雇用不安による未婚率の上昇によるものであることは明らかです。

そして、出生率の向上という新しい時代の要請に対応するために、従来までの「子どもを持つ世帯」に偏った子育て支援策の在り方を「結婚・出産」に的を絞ったものに転換する必要性を説きました。

その中で、未婚・未出産も含む20代・30代の所得税減税を行うことで、雇用増・可処分所得増・経済成長を促すことを提言しております。なぜなら、中途半端な児童手当などの子育て政策を行うよりも、勤労者の雇用機会を生み出して可処分所得を増額させるほうが婚姻率・出産数の向上が見込まれると推測しているからです。

日本の出産は結婚家庭から大半が生まれているため、若手世代を正社員で雇いやすい環境を税制面から整備して婚姻を促進することが有効です。さらに、女性の社会進出の観点から働く世帯の可処分所得増を通じて各種保育サービスなどへの支出を確保していくことは急務と言えます。

20代・30代の所得税総額は「3兆2221億円(推計・平成26年度)」である

では、20代・30代の所得税を全廃するには実際に幾らの税額が必要なのでしょうか。家計調査によると、平成26年平均で、20代・30代は所得税を

20~24歳 月額4,006円  年額48,072円
25~29歳 月額7,177円  年額86,124円
30~34歳 月額9,551円  年額114,612円
35~39歳 月額13,779円 年額165,348円

ということになります。平成26年4月1日の各年代の人口推計と掛け合わせた所得税総額推計は、

20~24歳 2968億4460万円    (617万5千人)
25~29歳 5842億6521万6千円(678万4千人)
30~34歳 8644億370万4千円 (754万2千人)
35~39歳 1兆4656億4467万2千円 (886万4千人)
合計    3兆2111億58,19万2千円  (2936万5千人)

ということになります。20代前半だけなら3000億円、20代全体なら約9000億円、20代~30代前半までなら約1兆8000億円、20代・30代全体ならば3兆2100億円ということになります。

ちなみに、自民党が来年3400億円程度をかけて高齢低所得者世帯に3万円を約1250万人にばら撒く予定をしていますが、同じ金額をかけると20代前半の所得税を廃止することが可能です。若年世代・約3000万人がいかに政治的に舐められているのかを如実に表した数字です。

3兆円2110億円は巨大な金額に見えますが、消費税1%増で2兆円税収増するという見込みもあり、消費税を8%→10%に増税するのであれば20代・30代の所得税を全廃することは可能です。

政策効果の薄い児童手当を減額・廃止、結婚を促進する未婚世帯を含む雇用増・可処分所得増を

もちろん、高齢者への社会保障費は毎年2.6兆円(国・地方・特別会計含む)の増加をしている状況(小黒一正「財政危機の深層」)であり、これらを抑え込んで若年世代に回すことは必須です。日本はシルバーデモクラシー国家であるため、高齢者への社会保障費を削って若年世代に予算を回すことは困難を極めるものと思います。

そのため、若手世代の子育て予算の中で既存の政策の優先順位を晩産化・未婚率上昇対策に切り替えていくことが重要です。そこで、出生率に対する政策効果が低い「児童手当」予算を廃止または減額して20代・30代の所得税減税に回すことを検討するべきだと思います。

児童手当は平成26年度予算で2兆2300億円(平成27年度)が計上されていますが、児童手当1億円で1名の出生率向上効果ということで、予算支出の出生率に対する政策効果が極めて低いことが会計検査院のレポートによって示されています。(詳細は「子育て」から「結婚・出産」への政策のパラダイムシフトへ」)

そのため、児童手当予算を15%削減で20代前半、40%削減で20代全体、85%削減で30代前半までの所得税を全廃することが可能です。可能であれば30代前半までの所得税全廃し、児童手当予算の残額3000億円で保育園整備や不妊治療への手当増額などに力を注ぐべきです。

何となく不可能に思える政策も従来までは「提唱や実行」されてこなかっただけである

20代・30代の所得税全廃という何となく不可能に思える政策であったとしても、実際に必要予算を計算してみれば現実的に実行可能なものであることが分かったと思います。要は今まで誰も真面目に推計をしてこなかった、または想像力が欠落していただけのことです。

20代・30代の人口合計数は約3000万人です。これは前回の参議院議員選挙で自民党・公明党に投票した比例票数(約2600万票)を上回るものであり、20代・30代は真面目に自分たちの経済的な利害を政治的に表明していくべきです。

その際のポイントとして重要なことは、若者世代の主張を述べる際に「保育士の給料増額」などのようなミクロな争点で戦わないことが重要です。保育士は40万人しかおらず潜在保育士を入れても100万人しかいません。つまり、総数3000万人のボリュームがまるで選挙時の圧力として生かされないのです。したがって、今回の保育関連の政策変更のように予算措置も薄く「それじゃない」感が強いものになってしまいます。

このような失敗は税金にたかることを前提としたタックスイーターとしての政治行動が招いた失敗と言えます。納税者世帯が圧倒的に多い若年層が税金で暮らす高齢者層と「税金で食べる競争」をして勝てると思うことは戦略環境への認識不足と言えます。

時代の変化に合わせた主張の変化が必要、タックスイーターからタックスぺイヤーへ

多くの若年世代はタックスイーターではなくタックスペイヤー(納税者)であり、シルバーデモクラシーに対抗するためには「20代・30代減税」などの恩恵を受ける人口の絶対数が多い争点を提示するべきです。

このように述べると「今までも児童手当や保育園などが整備されてきたじゃないか」という人もいるかもしれませんが、それらの制度が導入された当時は「団塊の世代が子育て世代であり、高齢者数は相対的にまだ少なかった」という事実を忘れるべきではありません。そのような時代背景があったからこそ、当時の若者世代のタックスイーターとしての主張が通っていたに過ぎないのです。

日本の子育て関連の予算がOECD諸国の対GDP比で低いためにもっと増額をするべき、という主張を行う人もいますが、民主主義の現実をもっとよく見たほうが良いと思います。そのような予算増額競争では子どもを持つ世帯が高齢者世帯に勝つことは不可能であり、もっと間口を広く取った若年世代全体にダイレクトに関係する争点設計を行うことが重要です。

「子育て支援策を訴える政治家」=「若者の声を代弁する政治家」という誤った認識と戦略が選挙マーケットにおけるニッチへの没落を生み出し、若者向けの予算措置・減税措置は行われてこなかった、という現実を受け入れるべきでしょう。

先進国の中でシルバーデモクラシーがいち早く進展していく日本において、若者の政治行動・政治的主張が現実妥当なものに変化していくことが望まれます。





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yuyawatase at 07:00|PermalinkComments(0)