小さな政府

2017年01月06日

「保守主義の民衆化」というプロジェクト

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池田先生と神谷さんからのご指摘を受けて

筆者が寄稿させて頂いた記事に、ハイエクの『隷属への道』のAmazonキャプチャーを貼っていたことから、池田先生神谷さんから様々なポピュリズムと保守主義の相違に関するご指摘を頂きました。

結論から申し上げますと、お二人の主張は理解している上で、あえてハイエクの『隷属への道』を貼らして頂いた次第です。しかし、筆者が申し上げたかった趣旨を踏まえれば、ルイス・ハーツの『アメリカ自由主義の伝統』を紹介したほうが良かったと思っております。

筆者もポピュリズム(≒民主主義)と保守主義が伝統的に対立概念にあることは理解していますが、ポピュリズムの台頭は避けがたい情勢情勢であることに鑑み、保守主義の思想をポピュリズムに対置させるのみでは手詰まりに陥るものと考えております。

ポピュリズムと保守主義を対置してポピュリズムの暴走による危険性を指摘することは有意義ですが、ポピュリズムの暴走を止めるためにはそれは不十分だと想定しているからです。(まして、今回失敗したリベラルなエスタブリッシュメントにそれを期待することは余計に出来ませんし)

保守主義の民衆化という困難なプロジェクトの必要性

そこで、筆者が重要視していることは、保守主義の思想を民衆に内面化する、ということです。

現代社会において、私たちは今更民主主義を辞めるわけにはいきませんし、その中で極度に肥大化した政府を立法府がコントロール可能なレベルまでダウンサイジングする必要があります。

しかし、社民主義の浸透によって立法府は行政府に対する陳情機関と化しており、巨大な政府を監視する役割などほとんどないどころか、立法府議員が行政府に事実上コントロールされている始末です。そして、民衆は人生の自己決定権を喪失した上に、大きな政府が経済成長を阻害することで更なる不満が募らせることになります。

したがって、今後も更にポピュリズムは拡大することは避けられず、巷で問題の解決策として主張される「再配分の強化」というバラマキ政策が実行されれば状況は更に悪化するでしょう。なぜなら、ポピュリズム台頭の本当の原因である上記の問題は何も解決しないからです。

これらの現状を変えていくためには、民主主義の性質自体を変えていくしかありません。つまり、人々の頭の中の社会主義+民主主義という現在の公式を保守主義+民主主義の新しい公式に変えるということです。

米国における保守主義の民衆化の動向について

米国においても同様の問題は戦後早くから認識されており、民主主義の中で保守主義者が多数を取ることを目的として、保守主義者らによって保守主義の理念を共有するグラスルーツを育てる試みが実践されてきました。

これらの運動は社会的保守と経済的保守の考え方から成り立っており、フレデリック・バスティア、ウィリアム・F・バックリー・ジュニア、F.A.ハイエクの思想などを共有したものとして展開されています。そして、それらの思想を広めるだけではなく、具体的に民主主義の手続きの一つである選挙で勝利するための仕組みも整備されています。

筆者が米国の政治状況について基本的に楽観視している理由は上記の仕組みの存在を認識しているからです。そして、それらの運動に裏付けられた政治勢力が共和党保守派であり、今回の閣僚人事も実質的に共和党保守派によって大半がジャックされた状態となっています。所謂オルト・ライトはほとんど存在せず、トランプ氏関連の人々は閣僚人事のほんの一部に過ぎません。

これは極めて米国における特殊な政治現象かもしれないのですが、私たちが民主主義が浸透した現代社会で採用するべきソリューションの1つとして参考にすべきものであり、民主主義やポピュリズムの内容を変質化させることが重要だということです。

もはやポピュリズムの台頭(まして民主主義体制)は前提であり、民衆の在り方自体を見直すために何ができるのか、を考えていくべきだと思われます。

そのため、冒頭に指摘を受けたように、「なぜポピュリズムの話しているのにハイエクを貼ってるんだ、渡瀬は本当に分かっているのか」という池田先生が疑問を持たれるのは当然ですし、神谷さんが民主主義と保守主義を対比されるのは当然なのですが、上記の通りの趣旨で多くの人にハイエク読んでほしいという文脈で書籍を紹介したということでご容赦頂ければ幸いです。

*ちなみに、筆者は理念と政策なき単なるポピュリズムは大半の行為が行政機関を追認するだけ(日本の民主党政権のように)のものになると思っており、リベラルなエスタブリッシュメントと大差ない結果になるものと考えております。






本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2016年11月05日

米国保守派の定例会議「水曜会」について説明する

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<全米税制改革協議会(ATR)グローバー・ノーキスト議長@水曜会)

某ネット記事が炎上中?で自分も名前を出されて若干巻き込まれているため、この際だから「自分が何をやっているのか?」「ワシントンD.Cで開催される水曜会はどのようなものか」について紹介記事を書いておこうと思います。

全世界の自由主義者とのネットワークへの紹介者としての役割

筆者は米国流の保守主義(≒自由主義)の考え方を持つ人を増やすことを是としており、世界中の自由主義者の人々とのネットワークを構築しています。

そして、米国、香港、インド、インドネシア、マレーシア、フランス、イギリス、オーストリア、オーストラリア、中東諸国、その他諸々の団体と連携し、日本人の希望者に日本ではほぼ学ぶことができない自由主義の考え方に触れる機会を提供しています。

数年前に筆者が同ネットワークと接点を持った時点で日本は自由主義者の国際的な枠組みからは完全に置いていかれた存在となっていました。

関係者からのヒアリングによると、筆者が関与する以前に日本国内に海外から様々なアプローチを行ったものの、東大を頂点とする半社会主義コミュニティの皆様に間違ってアプローチしたために骨抜きにされてきた経緯があると伺っています。

日本の長期不況は経済政策の根本的な発想が与野党ともに縁故資本主義か社会主義でしかなかったことに起因しており、本当の意味での自由主義的な経済政策が実行されてこなかったことにあります。(自民党の縁故資本主義が新自由主義であるという頓珍漢なガラパゴス左翼言論が蔓延っている原因もここにあります。)

非常に残念なことですが嘆いても仕方がありません。そのため、現在は学生・国会議員スタッフ・経営者まで基本的な理解力がある方がいれば人材として選別した上で海外に渡航する場を設けています。

筆者の連携先には下記に述べる米国共和党関係者の人々だけでなく、アジア・欧州各国で現政権とも深い関係を持つ先なども存在しており、世界各国の必要な人材へのアクセスが可能となっています。

水曜会は米国共和党保守派の中心地・登竜門としての機能を持つ場

ワシントンD.Cに存在している全米税制改革協議会(共和党最大の支持母体の一つ)は筆者の連携先の一つです。主に米国中の保守系グラスルーツが集合する週1回のミーティングである「水曜会」を主宰しています。

水曜会は米国共和党保守派の関係団体の重鎮らが顔を並べているため、大統領候補者のスタッフや連邦議会議員などが保守派のグラスルーツからの支持を受けるために日参しています。同会はメディア完全非公開で議事内容・出席者についても部外者には原則は他言しないことになっています。

実際の運営は、グローバー・ノーキスト議長がテンポよく発言者を回していき、発言者が提案する内容への良否・支援の有無などを決定していく形となります。発言者にとっては米国共和党系の保守派の人々との付き合いを深めていくための登竜門のような空間だと言えます。

日本人でも紹介者がある場合は水曜会に出席することが可能であり、過去には国会議員・有識者とされる人々が参加してプレゼンの機会が与えられています。(ちなみに、日本人の国会議員・有識者は発言がコロコロ変わるために原則として信頼されていません。同会議出席後に増税に賛成してみたり、保守派への罵詈雑言を並べる人々ばかりだから(笑))

筆者は紹介者の一人として米国の保守主義が理解できる人を出席者としてエンドースする役割を担っています。水曜会でプレゼンを行った方々は興味を持った保守派の大物たちに声をかけられます。彼らとネットワークができて道が開けた各個人の進路は各々の判断で歩んでもらうことにしています。

そのため、今回の某メディアに掲載されたように同会に人物を紹介することは良くあることであり、今回の単一ケースのみの文脈で記事紹介されることはどうかなと感じています。

ガラパゴス化した日本の政治・メディア、世界の政治のネットワークに伍する人材の育成を

今回の大統領選挙においてはメディア・大学によるトランプ氏に対するバッシングは劣悪を極めています。米国のリベラルと仲良くしていても一方的な情報源からのインプットに偏ることになり、世界の趨勢について考察するために不十分な状況となっています(もっともトランプ氏については保守派からも厳しい意見は多いとは思いますが・・・)

日本の政治・メディアは完全にガラパゴス化しており、留学などでリベラル派と繋がりを得た英字新聞が読めて論文を翻訳できる程度の人が有識者として大きな顔をしています。しかし、現代の日本に本当に必要なことは世界の政治的な思想の対立について理解し、それらの深い洞察に基づいて行動できる人物を創り出すことです。

筆者の願いは世界の対立軸の一つである自由主義の思想を正しく理解できる人を日本からも見出していくということです。これは困難な道かもしれませんが、筆者の考え方に理解がある人達と幅広く連携して推進していきたいと思います。







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yuyawatase at 15:23|PermalinkComments(0)

トランプ大統領誕生で米国経済は好景気になる

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トランプ大統領誕生は米国経済の浮揚に向けた切り札として機能する

政策音痴な識者たちによって「トランプ大統領が誕生した場合、経済にとってマイナスに作用する」という言論が行われています。しかし、それらのポジショントークの言論は経済政策の常識から考えて明らかに間違っています。

本日はヒラリーとトランプ氏の経済政策を比較することで、11月8日の米国大統領選挙後に経済がどのように推移していくのか、について予測を行うことにします。従来までの米国通とされる識者らが「実は政策をほとんど見ていない」で米国メディアの猿真似で論評していることが良く分かると思います。

ヒラリーの社会主義政策、トランプの減税&景気刺激政策の優劣は明らか

まず最初に基本的事項として確認して置くべきことはヒラリー・トランプ両氏が「何党」の代表者かということです。そして、言うまでもなく、ヒラリーは民主党、トランプ氏は共和党の指名候補者です。

ヒラリーを擁する民主党は企業活動や富裕層に対して厳しく規制強化・増税路線の政党だと言えます。更に、今回の大統領選挙でヒラリーはサンダース支持者を取り込むために左寄りの政策を採用せざるを得なくなっています。

富裕層への増税、企業への課税強化、金融機関への規制強化、TPPへの反対など、経済活動に制約を加える政策のオンパレードです。もちろんヒラリーはクローニーキャピタリズム(縁故資本主義)の権化なので、それらの政策はいずれも骨抜きになるかもしれませんが、現状においては経済フレンドリーな候補者ではありません。

そして、ヒラリー大統領の下で何よりもオバマケアをはじめとした社会保障制度を強化していくことになるでしょう。ただし、社会保障費の増大が経済成長の足枷になることは既に日本で証明済のことです。

一方、トランプ氏を擁する共和党は企業活動や富裕層にフレンドリーな規制緩和・減税路線の政党です。

たしかに、今回の大統領選挙では減税路線についてはトランプ氏・共和党の政策は共同歩調であるものの、両者の方向性が必ずしも全てが一致しているわけではありません。

トランプ氏は大型のインフラ投資に向けた財政出動を標榜しています。そして、財源としては予備選挙段階では巨額の軍事費支出について言及する場面もありました。TPPなどの自由貿易に反対す方針についても明確に述べています。これらは従来までの連邦議会を牛耳る共和党と対立する政策だと言えます。

ただし、筆者はそれらの政策的齟齬は大統領・議会の間で深刻な対立にはならないものと推量します。トランプ氏と共和党にとってはオバマケアなどのオバマ時代の社会主義的政策を廃止することが重要であり、トランプ氏の政策に反対すること自体の優先順位は高くないからです。

そのため、財政規律に関しては減税・財政出動・軍事費の折り合いをつける形でなし崩しとなり、米国経済の景気過熱が拡大していくものと推測します。また、トランプ大統領誕生時には上下両院は共和党が多数を占める可能性が高く規制緩和に関しては議会主導で粛々と進んでいくものと思います。

政策音痴の勘違いは無視、米国は一瞬の株安・ドル安後に株高・ドル高に向かう

上記のように、ヒラリーの経済政策は経済成長を阻害する要因が多く含まれており、トランプ氏の経済政策は景気を過熱させる要素が盛り込まれていることが分かります。

オバマ政権からの安定性という観点からトランプ大統領誕生の瞬間には一時的に株価などの経済指標が悪化するかもしれませんが、中長期的にはトランプ大統領の政策によって米国は株高・ドル高に向かうことになるでしょう。

筆者は「トランプ氏の自由貿易を阻害すること・巨額の財政出動を実施すること」には極めて懐疑的な立場ではあるものの、経済成長という観点からは民主党よりも共和党の方が優れた政策を掲げていると理解しています。したがって、共和党指名候補のトランプ氏と共和党主導の連邦議会によって妥当な経済政策が採用されていく可能性は十分にあります。

「トランプ大統領で米国経済は長期不況に突入し、世界経済にもトランプ・ショックが甚大な被害を与える」という類の妄言は杞憂に終わることでしょう。ヒラリーとトランプ、どちらの経済政策を良しとするかによって、その人が政策音痴かどうか明確に分かると思います。





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2016年07月01日

東京都知事選挙の唯一の争点は「TOKYO FIRST」である

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東京都知事選挙に細かい政策的な論点は不要だ

予定調和の参議院議員選挙が7月10日に終わって、東京都知事選挙が月末に行われる予定となっています。近年の首長選挙では候補者から有権者に「政策集」が示されることが一般的ですが、東京都に限っては細かい政策集など不要です。

なぜなら、東京都民の抱えている課題は「TOKYO FIRST」(東京第一主義)を打ち出して実行することができれば解決するからです。

最近話題になった保育園の待機児童の問題も若者雇用の問題も、TOKYO FIRSTが徹底されることによって解決することが可能であり、東京都民にまやかしの争点を提示する必要はありません。

問われるべきは「TOKYO FIRST」の姿勢のみ

では、「TOKYO FIRST」とは何かというと、東京都民の生命・財産・成長を第一に優先する、ということです。

「そのようなことは東京都知事なら当たり前のことだ」と反論されそうですが、現実の東京都知事は「TOKYO FIRST」を最重要課題に位置づけていません。適当な政策項目を並べて東京都が抱える本質的問題に触れようとしないからです。

東京都民は毎年のように膨大な税金を納税しており、地方交付税などを通じて非東京圏に多額の財政移転を容認させられています。

東京都からの流出総額は7兆2233億1200万円という数字になり、東京都の平成27年度一般会計予算(当初)6兆9520億円を上回る「もう一つ東京都庁が運営できる」(特別会計・公営事業会計除く)ことができる「東京税」が課されているのです。

具体的には、東京都民は子どもから老人まで一人・毎月45,482円という大金を払っています。東京都内から納められている税金が東京都民のために使われる当たり前のことが行われるだけで、多くの課題を解決することが可能になるのです。

この驚くべき数字を前にして「TOKYO FIRST」を叫ぶことは当然であり、東京都知事はこの圧倒的な搾取に対抗する姿勢を示すことが必然だと言えます。

東京都民に課される毎月45,482円「東京税」を知ってますか?
首都直下型地震、東京都民が生き残る選択肢

「東京税」の撤廃を公約にできるかどうかが重要

昨年国会の前で「保育園落ちたのは、私だ」キャンペーンがありましたが、中央政府に予算を回してもらうことを求めるのではなく、東京都内からの不当な収奪を防止するだけで都内の保育園を倍増させることができます。(本来、保育園を増やすのではなく、シッターのシェアリングサービスを拡げるべきだが)

首都直下型地震などの問題も、首都機能移転を名目として地方へのバラマキを容認せず、下町などの再開発や物流網の整備を進めることで都民の被害を最小化する方向で対応するべきです。非論理的な恐怖マーケティングに誤魔化されるべきではありません。東京都民の生命・財産を守ることを優先することが当たり前です。

新しい産業が生まれる構造も東京都に集中しており、東京から地方に資金を不必要に回すことで日本全体の競争力も低下し、世界における日本・東京の立ち位置の没落、経済的なじり貧の構造を生み出すことにもつながっています。

上記の全ての課題を解決するだけの財源を確保しても余りある予算が毎年のように地方に税移転として送られており、東京都民の生命・生活・安全は犠牲にされています。東京都民は税金を支払うためのマシーンではありません。必要な税金が足りないのではなく税金が奪われていることが問題なのです。

地方の衰退は下記の記事にも書きましたが、歴史的にも自己責任でしかありません。地方が衰退してきた理由は、過去の地方人の自己責任であって現在の東京都民はほとんど関係がありません。

「他責の国のおとぎ話」中央集権=官僚悪玉論を斬る!
東京都一極集中は「若者のための雇用」がある場所だから

つまり、「東京税」の廃止こそが「東京都知事が掲げるべき唯一の公約」であり、細かな政策は都議会議員・都庁職員・基礎自治体に任せて対応すれば良いのです。

大企業社長が現場の業務に首を突っ込むのではなく、大きな枠組みでのビジョンや資金調達を提示・実現することが重要です。

東京出身者の比率が徐々に増えつつある昨今の情勢、そろそろ東京都民が自分たちのための政治を求めても何も間違っていないと言えると思います。

TOKYO FIRST!そして東京税の廃止へ、東京都民が唯一公約するべき政策はこれだけです。

東京一極集中が日本を救う (ディスカヴァー携書)
市川 宏雄
ディスカヴァー・トゥエンティワン
2015-10-22


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2016年02月19日

TPPを平成の不平等条約と信じている人達への手紙

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現在、筆者は東南アジアで行われている自由経済に関するシンポジウムに参加しています。同会議ではTPPは非常に好意的にとらえられており、日本のTPP反対派の皆さんに、陰謀論への反論を含めて東南アジアからお手紙を出したいと思い筆を執りました。

TPPを「平成の不平等条約」として信じている人達へ

TPPはしばしば反対派の陰謀論者の識者?から平成の不平等条約であるという指摘がなされています。幕末時代に日本が諸外国と結んだ不平等条約の再来であり、TPPを結ぶとまるで日本が滅ぶかのような言論が実しやかに語られています。

しかし、このような言論は日本・アジア太平洋の経済的な現状についての理解が乏しく、まるで幕末日本の中で騒いでいた「攘夷論者」のような現実感覚が欠落したものと同類のものです。明治政府も政権奪取後には無意味な攘夷論から開国論に一気に舵を切って、日本を資本主義国化させることでアジアの強国に育て上げました。

当時も開国派は売国奴扱いされたものですが、歴史はどちらが正しかったかを証明していると思いますし、日本の歴史と現在の状況を正しくとらえれば何が必要かは自ずと理解できると思います。

現在の日本の問題は一部の陰謀論者によって愛国心を持った方々が煽られて、TPPを平成の不平等条約だと思い込まされていることにあります。

そもそも不平等条約はどうして結ばれることになるのか

幕末に不平等条約が結ばれた理由として、欧米列強のエゴが無かったということは言い過ぎだと思いますが、その主たる理由は日本の政治体制が前近代的な田舎国家だったことがあります。

欧米人から見た当時の日本は、立法・行政・司法のシステムも滅茶苦茶、当然に三権も分立しておらず、刀を持った侍に突然襲われて切り殺される国でした。日本との貿易修好関係を構築するに際して、欧米が治外法権や関税権に対して厳しい条件を日本に求めることは道理にかなったものでした。

欧米から見れば極東の300年間も一家系(徳川家)の独裁者が支配する島国・日本であり、最低限の身体と事業の安全を確保するための取引は妥当であったと思います。たとえば、現代日本人で、北朝鮮、トルクメニスタン、エリトリアなどで治外法権などが無く居住・滞在や仕事をしたい人などいないでしょう。

したがって、明治時代となって、日本の政治行政の近代的な仕組みが整備されるとともに列強の一員となることで、それらの不平等条約は改正されていくことになります。このような取り組みを真摯に行ってきた明治時代の先達の努力は素晴らしいものがありました。

ISD条項で訴えられることが意味することについて

TPPについて陰謀論者が引き合いに出す事例としてISD条項が取り上げられることが多い印象を受けています。

しかし、そもそもISD条項とは政府による民間投資への不当な接収行為に対する司法手段です。

政府による接収行為に対する司法紛争となるため、当然のことして同行為を実施する政府が存在する地域での司法システムに任せるわけにはいきません。したがって、ISD条項を設けることによって、条約締結国間での投資を安全に行うことができるようになるわけです。

つまり、日本のような先発資本主義国にとって、海外の低・中開発国に対して投資を安全に行うためには、ISD条項が担保として必要となります。そのため、日本が海外と結んでいるFTAやEPAもISD条項は当然に含まれるものとなっています。ISD条項で訴訟対象になるものは、主に資源投資などの政治問題化しやすい案件となります。

仮にISD条項で日本政府が訴えられる場合、それは日本政府が近代国家として問題がある不当な接収を海外からの投資に行ったことになるため、先進国として極めて不名誉なことであると認識するべきです。最終的には全てのTPP参加国にISD条項を適用しなくても済むことが理想ですが、政治の現実問題としては難しいものでしょう。

そのため、最初からISD条項で訴えられることを前提にした議論とは、日本の国際的な地位を自ら貶める言論であり、誇りある日本人として受け入れるべきものではありません。まして、日本の国会議員がそのような発言を行うことは先進国・日本を未開国扱いするものであって真面目に聞くに値しないものです。

ということで、日本でTPPに参加することは当然のことであり、この流れに参加せずに行きたい人はベトナムあたりに日系企業が投資をして共産党独裁政権下の裁判で投資を全て接収されたときに目が覚めると思います。

東南アジアの国々にとってのTPPの捉え方とは

東南アジアの国にとってのTPPについての議論を聞いていると、TPPに加入することは、腐敗の抑制、癒着の改善、政府の説明責任と予見性の向上、政府調達の透明性と説明責任の向上、などの開発国における深刻な政治問題を解決する契機となるという見方をされているようです。

自国の腐敗状況については当事者が最も良く理解しているわけであり、それらを改善する契機としてTPPによる外圧は絶好の機会の一つとして認識されているようです。まあ、そもそもTPP自体は東南アジアの国々で始まった話なので外圧というのも若干語弊がありますが・・・。

せっかくアジア・大洋州諸国が先進国ルールに合わせた取り組みを実施しようとしてくれているのに、それに乗っからない理由は全く理解できず、むしろ日本はTPPを積極的に推進する立場を取り続けるべきでしょう。現代では昔のように軍事力を背景とした開国・条約締結は不可能であり、これだけ広範囲の国が合意した取り組みは日本にとっては千載一遇のチャンス到来といったところです。

今後はTPPによるアジア経済の健全な成長に歩調を合わせて、日本もそれら国々の成長を取り込む施策を充実させていくことが重要です。



TPPで日本は世界一の農業大国になる
浅川 芳裕
ベストセラーズ
2012-03-16





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2016年01月13日

安倍政権の年金運用は「中長期で見ても大失敗中」である

マネキン

馬鹿丸出しの国会議員の質問と安倍首相の「ゴマカシ答弁」、年金破綻へまっしぐら

まずは、下記の山井和則・民主党議員と安倍首相の答弁について読んでみてほしいと思います。

これは簡単に言うと、年金運用基金について、山井氏は「最近4日間で株が下がった分どうしてくれるのか?」と聞いたことに対して、安倍首相は「短期ではなく長期で考えることが大事であり、中長期では利益が出ている」と答弁しているわけです。まずは発言の引用を掲載して、その後二人の発言がどれだけ的外れなものかを解説していきます。

〇山井和則氏

「ペラペラペラペラと聞いていないことを話し続けて、同じ話を何回もして、時間稼ぎをして、総理大臣としてもうちょっと落ち着いてください。」

 「7月から9月のときに14パーセント下がって、約8兆円年金の運用損が出ております。その約半分がこの4日間で下がったわけですから。これ、質問通告もしておりますが、ということは約4兆円くらいの年金がこの4日間で運用損になっているという可能性があるということですか。」

〇安倍晋三氏

「短期的な結果でありまして、株式市場はその国の経済の実態を表している場合もありますし、ただいまの下落については中国市場の先行き、あるいは中東の状況、サウジとイランの状況等もあります。」

「しかしながらですね、こういうことを申し上げたくはないんですが、民主党政権下であった平成21年9月ですね。」

「平成21年9月までの累積収益額は、事実だから申し上げておきたいと思います。累積収益額は4.1兆円だったはずでありますが、それ以降の累積収益は、今回のマイナスを含めても33兆円プラスになっているということであります。」

「ここを押さえておくことが大切であろうと、こう思います。また、自主運用開始以降の平成13年度から平成27年度、2.4四半期までの収益額の累積は約45.5兆円となっているわけであります。」
 
「お尋ねの2015年の2.4四半期の収益額は過去のいずれの収益額の中でもマイナスが大きいことは事実ではありますが、年金積立金の運用は、長期的な観点から、安定、安全かつ効率的な運用を行っていくことが、重要だと考えているわけであります。」

「短期的なことについて、いちいちこういう話をしても、これは意味のないことでありますから。正確に、年金というものはどのように運用していくかということについて、ご説明させていただいたところでございます。」

安倍政権の年金運用方法は「安倍政権での運用方針変更後の成果」で判断すべき

まず、山井氏の4日間で運用益を判断するという発想は完全におかしな発想であり、資産運用は中長期的なパフォーマンスで考えることが妥当です。したがって、この点については安倍首相の方針は正しいということになります。

しかし、真の問題は安倍首相の株式の運用方針は「中長期的に見て間違っている」ということです。

安倍政権は2014年10月に国内外の株式運用割合を50%まで増やすことを明言し、GPIFは2014年12月に年金運用基金の運用方針を見直して、それまでの債券中心の運用から株式での運用へ割合を大きくシフトさせています。

安倍政権による運用方針を問題にする場合、この株式割合を高めた方針の評価を問うということが問題になるわけです。

山井議員は「そもそも自分が何を質問しているかを理解していない」というトンデモない人物であり、なおかつ「安倍首相は滅茶苦茶な質問に対して適当に回答した」ということになります。

安倍政権の年金運用基金の方針変更後1年間のパフォーマンスはマイナスである

2009年での運用利益、は33兆円として安倍首相は誇っていますが、その大半は上記の方針変更が行われる前の債券中心の運用がなされていた時代に生み出されたものです。

平成13年からの累積収益額は、平成21年度11兆6893億円、平成26年度第3四半期までで47兆9093億円ということになります。2009年度から2014年12月までの主に債券を中心に運用した利益であり、その総額が約36兆2000億円となっています。

前述の安倍政権方針変更後の累積利益額は平成26年度累積額50兆7338億円、平成27年度第1四半期53兆3826億円となり、ここまでは株式運用益が出ていたことになります。

しかし、平成27年度第2四半期で45兆4927億円にまで減少したことで、安倍政権による運用方針切り替え後に2015年1月~9月まで約2兆4000億円の損害を出していることになります。

年金運用基金の運用状況(平成27年第2四半期まで)

そして、現在の急激な株価下落の状況に鑑み、第3四半期・第4四半期を含めたパフォーマンスはより下がることが考えられます。つまり、平成20年度以来のマイナス運用の年度ということになるはずです。

安倍首相に真剣な答弁を引き出す「能力がある」国会議員が必要

以上のように、安倍政権の年金運用のパフォーマンスは、直近1年間のパフォーマンスで判断することが適切であり、国会議員は2009年からの運用利益の累積利益額でごまかされてしまうようでは困ります。まして、最近4日間の話しかできないということではお話になりません。

上記に書いた程度の情報は、全てGPIFのHP上に記載されているため、民主党は安倍政権に対してしっかりとした質問ができる質問者を予算委員会の質問者として立てるべきです。

また、質問に先立って、過去の運用基準で運用した場合とのパフォーマンスの比較などのデータを揃えておくべきでしょう。国民が何のために政党助成金や立法事務費を支払っているのか猛省を促したいと思います。

野党の支持率が低い理由は、国会議員の質が低下したことで、安倍政権が回答に詰まるような鋭い質問ができる国会議員がいなくなり、国会で政治的な争点を創り出すことが出来ていないからです。

本件は国会議員の資質が向上することで、日本国民の資産が適切に運用されるようになる、最も端的な事例として反面教師としての適切な事例としての質問及び答弁の教科書のような事例となりました。


 

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2016年01月03日

ヘリテージ財団から見た2015年アジア情勢の客観的評価(1)

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自分たちの国を取り巻く内外の情勢というものは自分たちの目から分かりづらいものです。そこで、米国有数のシンクタンクであるヘリテージ財団が2015年12月31日大晦日にアジア情勢についての客観的なレポートを出していたので引用しながら解説していきたいと思います。(本レポートはこちら、*グラフも全て引用)

ちなみに、本文解説中で日本に文章で触れた個所は

「Japan, while underperforming for many years in terms of economic growth, also invests heavily both in the government services the U.S. provides its citizens and the private American economy.」(日本は経済成長が長年全然ダメだけれども、それでも米国の政府や民間経済に非常に投資してくれています)

しかないため、他の部分についてはグラフや地図に本ブログが注釈を入れながら「米国から見るとこう見える」ということを補足説明していきます。

日本は「ドルに対するデノミでGDP(ドルベース)は激減し、実質的な成長は貧血レベルである」という評価

まず初っ端から非常に辛口の評価を日本は頂いています。世界で最も経済成長が速いアジアにおいて、「日本はドルに対するデノミを実施した結果ドルベースのGDPは激減し、実質経済成長はしているが依然として貧血レベル」という米国から見れば当たり前の結果となりました。完全に一人負け状態です。

日本の経済失政に比べて中国の経済成長は異常なスピードで進んでおり、中国の台頭が顕著である旨が報告されています。域内大国としての中国の存在を意識せざるを得ないという米国の認識が強く現われたグラフです。

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経済的な自由度に関しては「アジアで中位程度」の評価を受けている日本

ヘリテージ財団はThe Index of Economic Freedom (経済自由度ランキング)を毎年発表しており、世界中の全ての国の経済自由度について公表しています。アジアはシンガポールや香港が圧倒的なトップを形成しており、ニュージーランド、オーストラリアが続き、台湾・日本・韓国などは第3グループに位置しています。一人当たりGDPが非常に高い国と経済自由度が高い国はほぼ一致しており、人口減少が続く日本では経済自由度を高めて高付加価値化を図っていくことが望まれます。(ちなみに、経済自由度ランキングの詳細を参照すると、日本の低位の理由は政府部門のダントツの非効率さにあり、肥大化した政府が成長の足かせになっています。)

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アジアの中で突出した日本の対米投資額、米国における日本企業の投資額の大きさに注目

次にアジア企業の対米投資の状況について解説されています。グラフを見ると、アジアからの対米投資の大半が日本企業からであることが分かります。特に直近10年間で1.5倍にまで投資額が増加しており、円安・円高に関係なく日本企業による買収が積極的に実施されていることが分かります。金融、IT、エネルギーなどの投資も大きくなものがありますが、人口が伸びて市場が成長している&カントリーリスクが低い米国は日本の内需系産業の進出先としても有望視されているということでしょう。

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中国が世界中に投資を実行して影響力を強めつつあることへの注目

一方、アジアのもう一つの雄である中国についてはグローバルな投資戦略、その分散的な構造が注目されています。おひざ元であるASEANだけでなく、米国・ロシア・ナイジェリア・イギリス・ブラジル・サウジなどのポイントに合わせて、世界各地にまんべんなく投資を実行しています。主に道路やプラントなどのインフラ建設に向けた投資であり、国策的な投資が盛んである印象を受けます。

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米国債保有残高で米国への影響度を競い合う日本と中国

米国債の保有残高は中国が日本を追い越してアジア第一位となっています。香港、台湾、シンガポールなどの華僑系の国債保有額も含めると日本は大幅に引き離された状況です。特にアジアにおける米国債保有割合シェアを中国が直近10年間で2倍にしたことは、米中関係が切っても切れないものであることを如実に示しています。

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東アジア各国の合計特殊出生率の低さが際立つ状況に

日本だけではなく中国(香港&マカオ)、韓国、シンガポール、タイ、ベトナムの合計特殊出生率が低いということが一目瞭然となっています。

特に中国と韓国の合計特殊出生率の低下は著しく、今後の経済成長や財政問題などが深刻化していくことが目に見えている状況です。(ちなみに、日本は晩産化の影響で直近10年で合計特殊出生率が微増している状況です。)

上記以外の国々でも東南アジア各国では出生率が2を割っている国もあり、アジア全体としても出生率が低下している傾向があることから、「アジアの老い」は中長期的に問題になっていくことになると想定されます。

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顕著な従属人口指数の増加を見せる日本の異常な状況について

(年少人口+高齢人口)/生産年齢人口で算出する従属人口比率について、日本だけが顕著な右肩上がりの状況になってきたことが分かります。これは価値観の変化や低成長による雇用の不安定化、団塊の世代の引退によって大幅な従属人口比率の増加が起きたことを示しています。

その他のアジア各国は直近10年が生産年齢人口が増加するボーナスステージであったことを示していますが、上記の合計特殊出生率の低下の観点から中長期的には「アジアの老い」による問題に日本と同じように直面していくものと思われます。

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以上、本日はレポート前半部分の経済と人口に関する部分を取り上げました。明日(1月4日)は後半部分の、圧制、移民、軍事情勢、テロなどの政治状況に関する認識を取り上げていきます。

ランド 世界を支配した研究所 (文春文庫)
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文藝春秋
2011-06-10














 

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2015年12月25日

放たれたアベノミクス第3の矢!菅官房長官の日本を変える一手

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アベノミクスの第3の矢を放った菅義偉官房長官の慧眼

私はアベノミクスに関してかなり辛い評価を行ってきました。しかし、今回の菅官房長官の一手を見せられてアベノミクスへの評価を大幅に修正する必要を感じています。

アベノミクスは、金融緩和、財政出動、規制改革の3つの矢で構成されており、第1の矢・金融緩和と第2の矢・財政出動については成功したと評価するには成果が乏しい状態です。

なぜなら、第1矢と第2矢ともに日本経済の改革を遅らせる行為であり、旧態依然とした産業構造の延命措置に過ぎないからです。そして、進まない第3の矢である「規制改革」について業を煮やしてきました。

しかし、本日付けで発表された官房長官大臣補佐官の人事は、アベノミクス「第3の矢そのもの」であり、同人事を実行した菅官房長官の慧眼に大いに感服した次第です。

公共インフラのPPPがアベノミクスの成否を決めることに

菅義偉官房長官の大臣補佐官に抜擢された福田隆之氏は国内における公共サービスの改革の第一人者であり、インフラ関連のPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)については国内で右に出る者はいない人物です。

現在は、新日本有限責任監査法人エグゼクティブディレクター・インフラPPP支援室長を務められており、菅官房長官も記者会見で同氏の知見について厚い信頼を寄せている旨を述べられていました。

真の改革である第3の矢が実行されることになったアベノミクスは、まさに最終局面として真の成果が問われる段階に入ったと言えます。

今回の人事でアベノミクス「第3の矢」が空港などのインフラの民営化・PPPの推進であることが明らかになった意味は非常に価値があることです。

日本が大きく生まれ変わる方向に舵を切った歴史的な日に

公共インフラの民営化・PPPは経済的なインパクトが大きいものであり、同時に国や地方自治体の財政再建にもつながる画期的な手法です。
 
同改革によって日本経済のボトルネックが解消されることで、民間市場・資本市場が大いに活性化し、新たな経済成長の軌道に乗ることが期待されます。

今回の抜擢人事は安倍政権における最大の成果であり、2015年12月25日は日本が生まれ変わる方向に舵を切った歴史的な日となりました。

消費増税などで景気に暗雲が立ち込める日本経済にとって、菅官房長官による国民に向けた最大級のクリスマスプレゼントが送られたことに謝辞を申し述べたいと思います。

入門インフラファンド
野村総合研究所公共経営戦略コンサルティング部
東洋経済新報社
2010-09-17






改正PFI法解説―法改正でこう変わる
福田 隆之
東洋経済新報社
2011-09




 

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2015年12月14日

自治体シンクタンクが担うべき「真の役割」とは何か

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地方自治体が政策立案力を高めるために「自治体シンクタンク」を作ってみたが・・・

現代社会では、地方自治体は様々な環境変化(都市間競争、財政難、少子高齢化、分権改革、市町村合併、その他諸々)のプレッシャーを受けており、それらの課題解決のための政策形成を実行することが課題となっています。

それらを解決するための方法論を見出すために、地方自治体独自の公共政策を立案・提言し、当該地方自治体の政策形成能力の質の向上などに資することを目的として、地方自治体が自治体シンクタンクを設立し始めて長い月日が経ちました。(○○研究所みたいな名前のものです)

自治体シンクタンクで一生懸命取り組まれている研究員の方がいることは存じていますが、私見では本来は企画課が実行すべき事業を外部にアウトソーシングしただけのように見えるものが多いことも実情です。

優れた外部研究者や知見ある住民を登用するための仕組みとしては有効な面もあると思いますが、そもそも本来のシンクタンクの設立目的が漠然としているために、今後の方向を思案しているのが現状といったところではないでしょうか。

そもそも「シンクタンクが何を研究すべきか」を分かっていないという課題

私は元々ブームのような形で設立された自治体シンクタンクが多かったと推測しています。そのため、自治体シンクタンクの研究内容も極めてバラバラの傾向があります。強いて言うならば、上述のとおり、本来は企画課が担っていたような計画・行革に関する研究領域のものが多い傾向にあります。

なぜなら、地方分権が叫ばれて久しい状況となりますが、実際には権限・財源などが中央に集まったままの状態が続いているため、地方自治体が自ら何をやるべきかを考えたところで大きなインパクトをもたらすことができないからです。自治体関係者は大きな声では言えないと思いますが、自治体シンクタンクが「何を研究すべきか」ということが最大の課題となっていても過言ではないでしょう。

これらの状況は我が国の地方分権が幻想のものであったことを反省することによって正していくことが可能です。そして、重要な権限・財源についてはほとんど分権化されていないという認識を持つことで、自らが何を世の中に問うていくべきかを自覚することができると思います。

自治体シンクタンクは「規制の隙間に存在するグレーな領域を合法化すること」が仕事だ

自治体シンクタンクが活躍すべきであった対象として、最大の好例は大田区で制定された民泊条例を挙げることができると思います。

民泊条例が制定される以前、既に日本国内ではネット仲介のAirbnbや単なる個人民家の貸出などを通じて、ホームシェア(民泊)は定着しつつありました。これらが旅館業法から見れば、違反スレスレのグレーな領域のビジネスではあるものの、新経済連盟の提言によると、日本全国で自由化・合法化した場合は10兆円の経済効果があるものと推計されており、ビジネスとして非常に裾野が広いものになるはずでした。

民泊を正式に法的に認める特区が制定されたとき、メディは「民泊解禁!」と大々的に報道しましたが、民泊の最低条件は6泊7日以上に限定されてしまったことで、従来までのネット仲介・個人運営の民泊は法的に禁止されることになり、むしろ新産業の芽が摘まれる結果が生まれました。

仮に自分が東京23区のシンクタンクを持つ区長であれば、当該自治体は大田区よりも短い1泊2日からの宿泊などを解禁する特区案を策定し、大田区と比べた経済効果・治安推移などを図ることを提案したと思います。そうすることで、区内に確立し始めた新たなビジネスの芽を守り、区民の経済・雇用を発展させていくための施策を実行することができるからです。

つまり、未だ地方分権が不十分な日本において、中央政府に対して政策の論理性で勝利し、経済的な自由を勝ち取ることが自治体シンクタンクの役割ということになります。

自治体シンクタンクを活性化するためには法人税・所得税の地方税化が不可欠

地方自治体が規制緩和などの構造改革に積極的に取り組まない問題は、経済成長に連動する法人税・所得税の大半が国税に入ってしまう現在の税構造に理由があります。

現状の税財政の構造は依然として地方自治体は国に多くの財源を依存しており、増大し続ける社会保障費に押しつぶされそうになっているだけです。そのため、自治体シンクタンクの研究内容は前向きで具体的なものではなく、いかにも企画課から生まれてきそうな抽象的で漠然とした即効性が薄いものばかりになるのです。

税財政の構造を変えて地域経済の成長と地方自治体の栄枯盛衰を連動させることで、初めて自治体シンクタンクが研究するべき内容が具体性を帯びたインパクトがあるものに変わっていきます。

真の地方分権・規制改革のためには、法人税・所得税の地方税化は不可欠であり、この方法でしか日本の都市経済が再活性化する方法はありません。日本の経済成長が停滞している理由は、中央政府が経済・雇用に関する権限を手放さずに、日本全体に画一的で無意味な経済規制を維持し続けていることにあります。

地方自治体の仕事は、国民に強いている規制の穴を見つけて拡大することであり、むしろ積極的に拡大していくための理論的な根拠を整備することです。民間人だけでは強力な規制権限を有する中央政府に太刀打ちすることは困難だからです。

社会保障に関する問題は中央政府によるものとして明確に切り分け、地方自治体は各地域の経済と雇用に関して責任を持つものとして再定義することが望まれます。







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2015年12月13日

地域経済経営論としての地方公務員給与の引き下げ

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田舎の地方公務員給与は地域の民間企業の給与と比較して高すぎる

田舎の地方自治体の職員給与は経済状態を勘案しながら、当該地域における規模が大きい事業所(50人以上の事業所)の給与と比較して決定することになります。

しかし、地方に行けば行くほど規模が大きい企業が存在するわけがないので、地方公務員給与は地域の民間企業水準と比べて明らかな高額になる傾向があります。その結果として、一部の過疎地域を除いて地方公務員の給与は全国の大企業の給与と比較して作成される国家公務員給与と際立った差がない状況となっています。

そして、地方自治体が地域におけるIQが比較的高い人材を吸収しており、本来であれば民間企業の成長に寄与すべき人材が供給されていない状況が生まれているのです。

地域経済の総務・コンプライアンス部門を強化したところで成長するわけがない

地域経済全体を企業に例えるならば、商品開発や営業のための人材を削って、総務・コンプライアンス部門を肥大化させた上で人材を集中させている状況が現在の地方自治体の有様です。

当該地域でIQが高い人材から、官僚→県庁→地銀→市役所→民間企業、のような構図で人材供給がなされていく状態から抜け出る必要があります。このような人材供給の順序で地域経済が成長するビジョンはありません。地域のエースを非生産部門から割り当てる意味が分かりません。

ちなみに、経営者をやってみようという向こう見ずな人は地方にも一定数存在していますが、実際の課題として経営を補佐してくれる優れた従業員が不足しているという状態が地域経済の実態でしょう。

まずは、売上・利益を上げる部門に人材を集中させる抜本的な改革を断行することで、地方経済が蘇ることになります。売上・利益もほとんど上がらずに赤字を垂れ流し、本社からの手当(地方交付税・国庫支出金)に頼り切った現状から脱却する意志と行動が重要です。

田舎の地方公務員給与引き下げこそが「経済成長」のための真の切り札になる

自分は地方公務員の能力が低いとは思っておらず、世間相場よりも相対的に真面目な人材が多く配置されているものと考えています。それは地方公務員の給与が良いために人材を惹きつけているからに他なりません。

もちろん公務に魅力を感じる人もいるでしょうが、民間企業の仕事も社会の役に立つことによって成長していくものであり、民間企業で働いたことがある人なら当たり前に共有できる前提だと思います。

地方公務員の給与引き下げによって、優れた人材が政府部門から民間部門に移動することになり、非生産部門から生産部門に人材配置が切り替わることで経済成長が促されることになるでしょう。

地方公務員の給与を見て民間給与を決まるというバカげた主張は論外であり、まともな企業は自分たちの経営状況に応じて給与を決めています。仮に地方公務員の給与を見て給与を決めているなら、大半の中小企業は倒産することになるでしょう。(地方公務員の給与は実態として地域の人々がほぼ負担していない地方交付税で支払っているのだから当然です。)

百歩譲って地方公務員給与を引き下げると地域に落ちる金が減るという愚かな主張を真に受けるならば、公務員給与引き下げ分を地域振興券としてバラまけば経済に与える影響は等価となります。むしろ地方公務員が貯蓄して東京に投資することを防止できるので地域経済にとってはプラスでしょう。

日本の経済成長は地方自治体が抱え込んでいる人材の解放から始まる

いずれにせよ、地方経済が持続的に成長していくためには、生産部門である民間企業に良い人材を配置することが重要であるため、現状の相対的に高い地方公務員給与は地域経済の人材調達にとってのボトルネックとなっています。

経済成長の基本は優れた人材の適正配置にあります。そのため、地方自治体が抱えている人材を民間市場に解放することが経済の活性化には必要不可欠なことです。

地方公務員給与引き下げによって、地方公務員の金銭的な魅力を低下させることで、地域経済における人材の適正配置を促進することが日本の再生につながることになるでしょう。









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