米国政治

2017年08月23日

共和党政権を理解するために読むべき本・10選

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トランプ政権が誕生して半年以上たちましたが、現在も巷には同政権やアメリカ政治に関するゴミ本が溢れ返っています。正直言って、ヒルビリー・エレジーや某国際政治学者の本を読んでも、トランプ政権や共和党政権のことはさっぱり分かりません。

そこで、本ブログでは、共和党政権誕生の背景にある社会観・世界観を知りたい本格派の人のための書籍案内(10選)をさせていただきます。


 
米国共和党保守派という日本人から見た異質の存在を知るために必読の一冊。米国における保守主義運動の成立過程、シンクタンクの形成、ネオコンの合流、主流派と保守派の対立など、現代の共和党を理解するための基礎的な視座を提供してくれます。






選挙の集票過程について詳細に記したクオリティーの非常に高い一冊。共和党・民主党が各々異なる手法でアイデンティティーポリティクスに傾斜している様子は必見。おそらく日本で最も詳しく米国の選挙を研究した研究書です。

「保守革命」がアメリカを変える
グローバー・G. ノーキスト
中央公論社
1996-06


1994年共和党保守派が連邦議会の主導権を40年ぶりに民主党から奪い返した立役者による一冊。米国政治の中での対立構造、そして小さな政府を求める連合とはいかなる人々たちの集合体なのか、日本には存在しない利益団体などが多数登場して参考になります。



日本人には分かりにくい宗教右派の台頭過程について論理的にまとめた一冊。米国政治が単純な経済問題のみを争点にしているのではなく、社会に対する価値観自体が大きなファクターになる過程を描写した良書。



米国議会の基礎知識がわかりやすくまとめられた一冊。日本の国会と全く異なる仕組み、大統領・議会による二元代表制を持つ米国政治の意思決定プロセスを分かりやすく解説してくれます。

スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択
イアン・ブレマー
日本経済新聞出版社
2015-12-19



米国一極集中状態から完全な多極化に向かう世界で米国の選択肢を分析した一冊。既に世界は同書の内容の通りに進んでいる部分・異なる部分に分岐しているものの、米国の相対的影響力が落ちることは確かなことであり、米国人が感じている世界の趨勢を知るためには良書です。

欧州解体
ロジャー・ブートル
東洋経済新報社
2015-08-28


タイトルとは裏腹に英国のブリグジットの合理性についてまとめられた一冊。内容の是非はともかくとして、普段はEU側の情報しか無い状況で反対側の基礎的な視座を与えてくれるものとなっています。EUの中央官僚、ワシントンの中央官僚、霞が関の中央官僚批判として読めば、米国でワシントン政治への批判がなぜ起きるのかを理解できるようになってきます。



ほぼケインジアンか左巻きしかいない日本の経済政策に関する言論環境では理解できない、米国共和党のベースとなっているオーストリア経済学派の大御所の一冊。この本を読まないと共和党が推進している政策は理解できないので必読の書と言えます。



米国人がどのような世界に世界を変革したいのかを知るための良書。内容の賛否については様々な議論はあるものの、彼らが目指すべき先をどこに設定しているのかを学ぶための必読の書。(個人的には日本に関する記述は的外れだと思いますが。。。)



拙著。2016年の大統領選挙を共和党保守派の観点からまとめた一冊。本書で主張した通りの内容(隠れトランプ論はデマ)を中立機関である米国世論調査協会も書籍発売2か月後に正式に認めました。日本で売られているトランプ本は嘘だらけなので、トランプ政権成立の本当のことが知りたい人はこの本を読んでください。

本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2017年08月21日

バノン辞任後の米国政局に関する見通し

バノン
(ロイターから引用)

バノンの更迭は共和党保守派からの支持にほとんど変化を及ぼさないだろう

スティーブ・バノン首席戦略官が更迭されたことは、共和党保守派からの「共和党大統領」への支持にほとんど影響を及ぼすことはないでしょう。

筆者は、バノン氏はそもそも砂上の楼閣であって「黒幕でも何でもない」ことを繰り返し述べてきました。バノン氏を思想的支柱だとか、黒幕だとか、言っていた人たちは、米国政治のことをほぼ何も理解していない人たちだと言えます。

トランプの黒幕?スティーブ・バノンの微妙な立ち位置(2017年3月21日)

シャーロッツビルの出来事については、連邦議員や大企業経営者らの立場ある人々はポリティカル・コレクトネスを遵守する立場を見せる必要がありますが、一般の大衆レベルではその必要はほとんどないと言えます。

本件は元々南軍のリー将軍像を撤去しようとする動きに対する反対運動であり、一部の白人至上主義団体が紛れ込んでいたとしてもデモの趣旨は人種差別とは関係ありません。

トランプ大統領以外は誰も口には出しません(笑)が、主要メディアによって「テロリスト渡航制限国からの入国停止の大統領令をムスリムの多数派の国からの渡航禁止と言い換えられた」時と同じように、今回も「南軍のリー将軍像撤去に反対するデモを白人至上主義団体のデモと言い換えられた」だけだということは、多くの共和党員には理解されています。

そして、米国では一部の極左団体と極右団体が小競り合いを行うことは常態化しており「ああ、またやってるよ」という程度の印象だと思います。そのため、オルトライトに限らず、レーガン保守派団体やキリスト教右派もトランプ大統領の発言を積極的に擁護はしないものの、左翼過激派の横暴について激しく糾弾しています。

実際、トランプ大統領発言後の8月14日・15日に実施されたThe NPR/PBS NewsHour/Marist pollの全米有権者調査によると、問題となった南軍の彫像の扱いについて、そのまま残すことを選んだ人は62%、取り除くことを選んだ人は27%に過ぎません。

したがって、トランプ大統領の発言によって、共和党大統領を支える共和党保守派からの支持が直ぐに離れることはないでしょう。バノン更迭への不満を一部のオルトライトが表明したところで、彼らは元々共和党保守派の中では浮いているので影響力は極めて微小です。

元民主党員のリベラル派とネオコンが影響を強めるホワイトハウスの現状

しかし、バノン氏を更迭した影響は、ジワジワと出てくることになるものと思います。それはバノン氏が政権を離れたこと(そして、それに先立ちプリーバス首席補佐官らの更迭)は、トランプ政権内(特にホワイトハウス内)がリベラル勢力とネオコン勢力によって共和党員から簒奪されたことを象徴する出来事だからです。

トランプ大統領は、政権発足当初はナショナリスト(マーサー財団系)や共和党保守派に人事面・政策面で配慮するスタンスを示してきました。しかし、徐々に自らの親族(クシュナー・イヴァンカ)とその友達(ゲーリー・コーン氏やムニューチン氏)を中心とする元民主党員のリベラルな勢力が力関係で逆転するようになってきました。

その結果として、オバマケアの見直し法案が大統領の煮え切らない態度によって廃案となり、税制改革ではリベラル勢力の巻き返しで既に保守派内で合意があった大減税&国境税調整の組み合わせが破棄されることになりました。

保守派最高裁判事の指名、パリ協定からの脱退、パイプライン計画の承認、規制改革の発令などの保守派の意向に沿った行動も一部行われたものの、肝心要のオバマケア見直しと減税政策がホワイトハウスのリベラル派の影響で腰砕けになった印象は共和党員に強く残ったものと思います。

また、対外不介入派のバノン氏が更迭されたことで、政権内に復権しつつあるネオコン勢力が一層勢いづくことが予測されます。

これまでの過程を見てもマクマスター氏、ディナ・パウエル氏、フィオナ・ヒル氏などのネオコンに親和的勢力が既にNSCでの要職を占めています。バノン氏は既に実権を失ってはいたものの、今後は彼が原則として排除していたネオコン系のシンクタンクから人材採用が模索されることになるでしょう。

したがって、トランプ政権は今後は対外派兵などに積極的な方向に舵を切ることが予想されます。バノン氏の世界観によって戦争が起きて世界が滅びると述べていたいい加減な有識者たちは筆者の予測に噴飯ものでしょうが、現実の人事はそれらの有識者の人たちの予測とは全く別方向に向かっていくものと思われます。

トランプ政権の安定性を測るための指標としての政治任用数

8月22日現在、トランプ政権の政治任用スケジュールは非常に遅れており、既に連邦上院の承認を受けた人数は124人に留まっています。その大半は国務省の大使人事と必要最低限の人事でしかありません。

トランプ政権は既存のワシントン政治の弊害を排除する観点から、政治任用職への採用の厳選化を行ってきたため、なかなか政治任用が進んできませんでした。選挙の時に対立した党内勢力からの登用はほとんど進んでいません。

しかし、ワシントン政治の弊害排除を掲げたバノン氏らの勢力がほぼ完全に一掃されたことで、今後は恙なく腐敗したワシントン政治界隈から人材を採用していくことが可能となります。

ただし、それはリベラル勢力と散々対立を繰り返し、そして共和党主流派との間で内部抗争を繰り広げてきたトランプ政権に対し、現在野に存在している既存の反トランプ派のリベラル人材や共和党主流派人材が政権ポストに就任することを受け入れた場合にしかうまくいかないでしょう。

つまり、一連の過程によって人事登用の選択権は政権側ではなく登用される側が持っている倒錯した状況が生まれていると言えるでしょう。半ば泥船と化した政権の採用要請にどれだけの人々が応じるかは依然として不透明です。そのため、今後のトランプ政権の安定性(=ワシントン政治との妥協の進捗)を評価する指標として、政治任用数の推移は常に見守っていくことが重要であるように思います。

トランプ大統領がワシントン政治に全面降伏した象徴的人事がバノン更迭であり、それでも政治任用が進まなければトランプ政権は相当に危機的状況のままと言えるでしょう。

「トランプ大統領」と「共和党大統領」の間に存在する溝

さて、上述の一連の流れにも関係することですが、今後は「トランプ大統領」と「共和党大統領」の間に存在する溝が一掃表面化していくことになっていくものと思います。

「トランプ大統領」でないと困る人々は、「マーサー財団系のナショナリスト(バノン派)」と「トランプ大統領が任用した親族とお友達」だけです。前者が右派の側近、後者が左派の側近ということになります。

バノン氏が去り際に語った「トランプの対立者と戦う」「トランプ政権は終わった」という言葉の意味は、オルトライトから見た象徴(ワシントン政治の腐敗と戦う存在)としての「トランプ」は終わったことを意味しています。バノン氏やマーサー財団の視点に立てば、トランプ大統領自体が存在価値を失ったと言えそうです。つまり、トランプ大統領は度重なるメディアバッシングや党内抗争の結果として、自らを守る盾のうちの1つを今回捨て去ってしまったわけです。

そのため、「トランプ大統領でなければ困る」勢力は残された一勢力「トランプ大統領が任用した親族とお友達」に固まった状況となってしまっています。しかし、その中核であるクシュナー上級顧問はロシアゲートの問題で党内外から激しいプレッシャーにさらされている状況にあります。今回のバノン氏の一件が無ければ高確率で政権から早々に放逐されていた可能性も高く、今後もトランプ大統領にとってアキレス腱となり続けるでしょう。

そして、トランプ大統領の運命を決する上で重要なことは、多くの共和党関係者は「トランプ氏個人」ではなく「共和党大統領」を支持しているに過ぎないということです。つまり、彼らにとっては大統領は「共和党」でさえあればよく「トランプ」である必要はないのです。これは大統領選挙時から何ら変わらない事実であり、共和党員が「トランプ」を推した理由の1位は「ヒラリーではないから」でした。

右派の側近を失ったトランプ大統領を左派の側近たちは守り切ることができるでしょうか。筆者はトランプ大統領が自らに反対する勢力の「離間の計」にハマった結果として、自らと利害を共有する勢力を切り捨ててしまったことで、大統領の地位は一層危険水域に突入したと考えています。

共和党員が支持する存在は「共和党大統領」であって「トランプ氏個人」ではありません。この微妙な差異が後々決定的な状況を生み出すことになるものと思います。






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2017年08月18日

人種問題、トランプ発言が影響を与えるのはリベラル勢力だ

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トランプ大統領の「シャーロッツビル」暴動への発言が与える影響

トランプ大統領がシャーロッツビルでの一連の暴動・衝突について「白人至上主義を明確に否定しなかった」とされる発言は米国政界にどのような影響を与えるでしょうか。

一部の有識者の見解では、共和党主流派や保守派の議員らからも批判が出ていることから、白人至上主義に対して嫌悪感を持つ共和党のレーガン保守派からも離反が生じることでトランプ政権自体が危なくなるという意見もあります。

しかし、昨今のトランプ政権の支持率低下はその実行力に対する疑問であり、トランプ大統領の発言は不支持率を増加させる傾向はあるものの、共和党員からの支持率の低下には必ずしも直結していません。本件が共和党支持層に与える影響も限定的なものに留まると思います。

筆者はトランプ政権が危機的な状況に陥っていることは認めるものの、その原因は共和党内部ではなく、あくまでもトランプ政権にコミットしているリベラル勢力の離反によって生じるものと推測します。

極左と極右の衝突、そして共和党員の根深いメディア不信という米国の政治状況

米国では極右の白人至上主義団体も然ることながら、極左の反ファシスト勢力による過激な暴力についても共和党勢力には広く認知されています。したがって、共和党支持者が極右の白人至上主義を批判することは当然のことではあるものの、極左勢力への激しい反発も背景には当然に存在しています。

最近でも共和党系連邦議員がサンダース支持者によって狙撃されるとともに、極左勢力によって警察官が死傷する事態が生じており、その暴力への認知は大衆レベルでは周知されているところです。実際、保守系メディア・シンクタンクは、本件へのレスポンスとしてトランプ発言への擁護ではないものの、極左勢力の横暴について激しく追及しています。

実際、8月14日・15日に実施されたThe NPR/PBS NewsHour/Marist pollの全米有権者調査によると、問題となった南軍の彫像の扱いについて、そのまま残すことを選んだ人は62%、取り除くことを選んだ人は27%に過ぎません。

共和党員の間では左派に著しく偏った主流派メディアへの不信が募っており、上記の事実と相まって連邦議員らによる表面的なトランプ大統領への糾弾は行われるものの、「本件自体が共和党員からのトランプ大統領の支持の低下につながる」という見方はそれ自体がリベラル・バイアスがかかった見当違いの分析だと思います。

トランプ発言は共和党員にとっても容認されるものではないことは事実ですが、極左勢力への嫌悪と左派メディアに対する不信がトランプ発言の共和党員への影響を減殺するものと推察されます。

トランプ発言が影響を与える対象は「政権内のリベラル」と「リベラルからの批判を恐れる人々」

トランプ発言が実際に影響を与える対象は、政権内のリベラル、そしてリベラルからの批判を恐れる人々でしょう。彼らはリベラルなメディアの影響を強く受ける層であり、またリベラル側の抗議活動に対して弱みを持っています。

政権内のリベラルとは、自らのアイデンティティーがリベラルであるトランプ一族、そして彼らが連れてきたゲーリー・コーン国家経済会議議長やムニューチン財務長官らの元民主党員の人々です。これらの人々はトランプ発言を受けて、自らがそれと同一視されることに嫌気がさす可能性があります。そして、今後は従来以上にリベラルな立場に近い層からの政治任用が難しくなることでしょう。

また、既に解散された大統領戦略・政策フォーラムなどに属していた企業人などは、左派からの攻撃や内部統治上の問題から企業経営リスクを回避するためにリベラルな立場を取らざるを得ないため、トランプ政権にコミットすることは一層難しくなるでしょう。そのため、今後は大統領が企業人を巻き込んだ諮問会議を組織することは極めて困難なものとなります。

つまり、トランプ大統領の政権運営に与える影響は、共和党というよりもリベラルな勢力からの政権への協力が完全に得られなくなる、という点で大きなインパクトがあると言えそうです。その結果として、政権運営に更なる困難が生じることで、その政策の実行力について共和党員からの疑問に晒されるという展開が想定されます。

一方、リベラル勢力や共和党主流派は本件を機にバノン首席戦略官の首を取りたいところでしょうが、どちらかというと政権内におけるリベラルの影響力が相対的に低下する可能性すらあります。米国の左派勢力は典型的な合成の誤謬に陥っているのではないでしょうか。

トランプ大統領と共和党が取り得る選択肢とは何か

上記の理由からトランプ大統領の政権運営が一層厳しくなったことは確かですが、逆にトランプ大統領と共和党にとっては政権内の政争にケリをつけるチャンスが訪れたとも言えます。

本件の影響によってロシアゲートが深刻化して一足飛びにトランプ大統領弾劾からペンス副大統領の大統領昇格という可能性は必ずしも高くありません。しかし、トランプ大統領の自由奔放な行動と民主的正統性に欠けるトランプ一族の専横にはストップがかけられることになるでしょう。

むしろ、おそらく実際に検討される内容は、トランプ政権の完全な共和党化ではないかと思います。トランプ大統領はホワイトハウス内に元民主党員のリベラルな勢力を多数抱えており、政権発足以来ホワイトハウス内で共和党の生え抜き勢力との権力争いを行ってきました。

しかし、今回の一件で従来よりも更にリベラル勢力からの協力を得ることは不可能になりつつある中で、ホワイトハウス内での争いを終わらせて、完全に共和党主導のホワイトハウス運営に切り替えることができれば一旦全て丸く収まるものと思われます。それは実質的にトランプ大統領とペンス副大統領の力関係が大きく変化する影響をもたらすでしょう。

逆にそのような形にならない場合、トランプ政権はいよいよ手詰まりという感になり、どのような政変が起きてもおかしくない状況となっていくことが予測されます。今後も米国政界から目を離すことはできません。



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2017年08月07日

トランプ政権・200日、政治任用の進捗状況は?

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(Daily Signal@The Heritage Foundationから引用)

トランプ政権の政治任用が一気に進みつつある?

8月4日トランプ政権の政治任用ポストのうち約60ポストが一度に上院で承認されたことで、トランプ政権の政治任用任命ポストは合計124ポストが埋まることになりました。つまり、1日で政治任用の任命ポストの少人数が倍増することになりました。

トランプ政権の政治任用ポストの任命は前任者らと比べて遅れており、近年では政治任用の承認に苦戦したジョージ.H.W.ブッシュ政権の60%程度の承認スピードとなっています。そのため、トランプ政権の体制は就任200日経った現在であっても十全に整った状況とは言えません。

原因は、ホワイトハウス側からのノミネーション数が少ないこと、上院民主党が党派的な抵抗を示していることなど、様々な要因が考えられますが、いずれにせよ大統領と連邦議会との関係が良好ではないことの証左と言えそうです。

国務省・国防総省関連から埋まり始めているトランプ政権のポスト

米国政権は4000人以上の政治任用を実施する必要があり、そのうち1200人以上が上院の承認を受ける必要があります。、任用職の任期が切れていない場合や大統領が空席を望む場合もあり、初年度に全ての政治任用職が任命されるわけではありません。

現在承認を受けた政治任用職のうち、省庁別で多い方から並べると、国務省関連は25名、国防総省は15名、司法省は9名、財務省8名、商務省7名、厚生省7名、国土安全保障省6名、その他の省庁は若干名となっています。

全体的にオバマ政権よりも任命ペースが大きく遅れていますが、国防総省だけ見ると、同時期のオバマ政権21名に対して15名ということで、それなりに進んでいる印象を受けます。国務省の人事の大半は各国大使の枠が埋まって来ている状況です。

今後も外交・安全保障関係の人事から埋まっていくことが予想されるものの、NSCを巡る人事の混乱などからスムーズに政治任用の上院承認が進むかは依然として疑問です。

政治任用職の任命が遅れこそがトランプ政権が戦っている証拠と見る向きも

トランプ政権の政治任用職の承認が遅れている理由は、民主党政権時代に回転ドア方式で民間に放出されていた政治関係者の登用の受入れを積極的に進めていないことに原因があります。

日本でも外交・安全保障関係で著名なシンクタンクCSISに属する共和党系の人々も昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントンを応援する署名を発表するなどトランプに敵対的な態度を取ってきました。そのため、トランプ政権はCSISと良好な関係にないため、外交・安全保障の人材登用に苦戦している状況にあります。

当初トランプ政権の政策立案を全面的に担ってきたヘリテージ財団も、トランプ政権と非常に近しい関係を維持しているものの、5月頭にトランプ政権と過度に接近したジム・デミント所長が突如解任される事態が発生しています。政権周辺の共和党系シンクタンクとトランプ政権の関係も必ずしも安定しているわけではなさそうです。

また、トランプ政権は大統領令でロビイストの徹底的な追放を実施していることから、腐敗したワシントン政治にどっぷり漬かっている人々を採用することも難しく、外交・安全保障関係以外の国内政治井関する分野においても人材を登用することが困難となっています。

これらはトランプ政権の政権運営能力に疑問を投げかけるものの、逆の見方をするとトランプ大統領が就任演説時に述べた通り、ワシントン政治を戦っている証拠でもあると言えるでしょう。今後、政治任用職の任命スピードが上がっていくであろうことが予測されますが、どのような人々が登用されていくかはトランプ政権の性格の変化を見定める上で重要な要素となります。



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2017年08月06日

北朝鮮、トランプ政権の奥手は”海上封鎖”

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北朝鮮への制裁措置には依然として猶予が残されている

北朝鮮の7月ICBM2度の発射を受けて国連安保理が全会一致で北朝鮮に対する制裁決議を採択しました。これにより、北朝鮮の主要輸出品である石炭、鉄・鉄鉱石、鉛・鉛鉱石、海産物などの輸出の例外の無い形での受入れ禁止が実施されることで北朝鮮経済に大打撃を与えることになります。トランプ政権としては、まずは年間輸出の3分の1を占める輸出品目に制裁を加えることによって北朝鮮への締め付けを強化したことになります。

ただし、北朝鮮への石油輸出は未だ禁止されておらず、北朝鮮の生命線は首の皮一枚繋がった形となっています。したがって、北朝鮮はこの程度の妥協策で懐柔されることはなく、今後も反米の立場を崩さずに核とICBMの開発を継続していくことになるものと思われます。そのため、トランプ政権は、中国への北朝鮮対応のプレッシャーをかけながら、北朝鮮の金正恩政権自体への圧力も強化していくことになります。

トランプ政権の奥の手は”北朝鮮に対する海上封鎖”の実施

今後、北朝鮮が核実験やICBM発射実験に再び踏み切った場合、トランプ政権は北朝鮮への石油輸出を禁止する措置に方向に強烈に舵を切ることになるものと予想されます。その際、同措置に現実性をもたせるためには、北朝鮮に対する海上封鎖、を実施することになるでしょう。北朝鮮への海上封鎖は金正恩政権に対する最後通牒となり得るため、筆者は同段階に至るまでに北朝鮮問題が解決することを望んでいます。

一方、日本政府は船舶検査に関して様々な法的制限をいまだ課しているため、トランプ政権が海上封鎖に踏み切った場合に同盟国として同作業に協力することが困難となっています。国会議員は憲法ごっこはいい加減に見直し、現実の脅威に備えることが重要だと思われます。(たとえば、船舶への強制的検査を警察権行使の範囲内として含め直すなど。)

安倍政権は憲法改正を一旦見送るとのことですが、現実の目の前に起きている脅威への対応に注力するという判断は妥当であり、現実の安全保障を置き去りにしてイデオロギー闘争を日本国内で実施する愚を犯すべきではありません。憲法については無意味な「ためにする」議論を無視して解釈で乗り切って必要な法改正を粛々と実施するべきです。

”海上封鎖、在韓米軍家族の出国、空母の大量動員”というシグナル

米軍による「海上封鎖、在韓米軍家族の出国、空母の大量動員」は北朝鮮有事のサインであり、現在は依然としてその段階には至っていません。そのため、北朝鮮有事を過度に強調する状況ではないと思います。

しかし、金正恩政権の呼吸を止める水面は徐々に上昇しているため、今後北朝鮮で有事が起きないと断言できる状況ではなくなりつつあります。あくまでも現在時点の状況を見ている限りでは「北朝鮮有事には数段階の猶予がある」というだけのことに過ぎません。

今、日本人が行うべきことは「憲法改正論議」ではなく「現行憲法下で無理やり有事対応する」ための議論であり、政治資源をイデオロギー闘争に割くような段階は既に過ぎつつあることを自覚すべきです。

筆者は「現行憲法下でも安全保障体制を早期に整えることができる政治家」こそが有能だと考えており、国会議員には現実の問題への対処を責任を持って実施することを望みます。

「憲法を変えないと有事に対応できない(ただし、憲法改正はハードルが高い)」という無駄な議論はやめてもらって、どのような批判を受けようが現行憲法でも「安全保障上やるべきことをやること」は当たり前だという認識を持って頂きたいと思います。






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2017年07月29日

オバマケア・国境税調整、既得権に屈服したトランプ政権

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Drain the swamp(ワシントン政治の沼掃除)の夢は潰えた

オバマケア見直し・廃止法案、そして縮小版のスキニー法案も、トランプと敵対する大富豪のコークの支援を受けるフリーダムコーカスと事実上民主党員と同じ行動を行うRepublican In Name Only(名ばかり共和党員)の抵抗にあって、連邦上院の採決で頓挫することになりました。

連邦上院は共和党52議席対民主党系48議席ではあるものの、スーザン・コリンズ上院議員に代表される名ばかり共和党員が多数存在しているため、実質的に共和党は過半数ギリギリの議席を確保しているだけに過ぎません。そのため、名ばかり共和党員らが数名反旗を翻すだけで、Drain The Swmp(ワシントン政治の沼掃除)を求める共和党保守派の夢は潰えることになります。

共和党保守派にとっての悪夢は、オバマケアの廃止・見直しの道が途絶えたこと、そして税制改革案から国境税調整が排除されることで、法人税や所得税の恒久的な大規模減税を求める財源は消滅することになったことです。つまり、当初トランプ大統領が15%、共和党保守派が目指した20%の法人税率を実現することは不可能となり、約27~28%程度の減税(大企業の多くは既存制度を利用して既に達成)に留まり、事実上の意味がほとんど無くなることになります。

また、国境税調整という一律のルールによる財源が無くなることで、恒久的な税制改革を実施するためには、各産業への個別の細かい課税案の議論が必要となり、腐敗したロビーによるワシントン政治ビジネスは益々活発化することになるでしょう。個別の業界団体との交渉は政治腐敗の温床であり、トランプ政権を奪取するにあたって共和党保守派が米国政治から一掃することを狙ったものでした。

トランプ政権は、ウォール街から連れてきた財務長官・国家経済会議議長、企業と癒着するミッチー・マコーネル上院院内総務らの主流派、大富豪のコーク氏による巨額の費用をかけたキャンペーン、に取り込まれてワシントン政治の沼の一員となりました。

共和党保守派とトランプ政権の全面戦争が始まる可能性が発生

トランプ政権は元々共和党保守派が支持したことで生まれた政権です。しかし、トランプ大統領は彼らが最も重視するオバマケアの廃止・見直し、減税政策などの税制改革案で完全に共和党保守派の願いを裏切る形となりました。(コーク財団の影響下にあるリバタリアンも報道などで保守派と表現されますが、この場合はレーガン保守系の他団体を指すものとします。)

本来はトランプ大統領が主導権を発揮することを通じて、両法案が議会で承認される可能性もあったわけですが、トランプ大統領は最後まで様子見を決め込んだ上、両案ともに不成立・骨抜きという結果に終わりました。その上、ワシントン政治にすっかり取り込まれた姿を共和党員に対して見せています。

トランプ政権下における米国政治の改革は、完全に骨抜きになった、と言えるでしょう。

共和党保守派の人々は「民主党政権ではなく共和党政権である」という消極的理由でトランプ政権を支持してきました。その結果がトランプ政権の支持率の40%前後での下げ止まりという形となって表れていたわけです。

形式だけの骨抜きの成果を保守派の人々が評価するとは思えず、今回の主要政策の公約に関する裏切りによって、今後は共和党員からの支持も瓦解していく可能性が出てきました。トランプ大統領の首を共和党保守派が本気で取りに行くのか、それとも同大統領の下で我慢をさせられるのか、いずれにせよその過程でトランプ大統領は共和党保守派からの本気の反抗を目にすることになるでしょう。

最後に、減税幅の縮小は、来年2018年の米国経済の腰砕けに繋がる可能性もあり、共和党が中間選挙で敗北した場合、トランプ大統領のロシアゲート問題が再燃していくことになります。トランプ大統領は目の前の政治的な困難に屈服して重要な決断を失敗した、と言えます。




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2017年07月25日

原油価格上昇、産油制限合意とトランプ政権

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OPEC+閣僚監視委員会の会合で一定の合意

サンクトペテルブルクで開かれたOPECと非加盟国の閣僚監視委員会で、特別枠とされてきたリビアとナイジェリアの2か国のうちナイジェリアが産油制限に合意したこと、サウジアラビアが輸出数量を更に制限することを約束したことを受けて、様子見状態であった原油価格が上昇することになりました。

原油価格の上昇は、共和党政権の支持基盤であるシェール関連事業者らの生産に追い風であり、リグの数字は弱かったかモノの、シェールの生産にとってはしばらく追い風が吹くことになります。また、原油価格の下げ止まりは石油関連株の重しが軽くなることを意味しており、株高によって政権への信任が支えられているトランプ政権にとっても一定のプラスに働いていると言えるでしょう。

国内での政策が手詰まりとなっているトランプ政権

一方、先週の米国政治の状況はトランプ政権の見通しを非常に厳しくするものでした。オバマケアの廃止・見直しは、見直し法案だけでなく廃止についても議会で成立させることが困難であることが明らかとなり、トランプ政権の指導力に改めて疑問符が付く形となりました。

連邦議会、特に上院は共和党が辛うじて過半数を制しているものの、共和党内は主流派と保守派に明確に2分されており、どちらかの顔を立てると一方の顔がつぶれるという、完全な手詰まり状態となっています。オバマケアの見直しはミッチー・マコーネル院内総務とペンス副大統領が議会の説得にあたりましたが、その調整は不発に終わることとなりました。

トランプ大統領は24日声明で上院でのオバマケアに関する採決は近いことを強調しましたが、そのためにはトランプ大統領自身がリーダーシップを発揮して泥をかぶる覚悟が必要であり、現状のように他者に議会との調整をほぼ丸投げするスタンスでは成案を得ることは極めて難しいでしょう。

トランプ大統領がリーダーシップを発揮することは、ロシアゲートの問題が収束するまでは困難であることから、国内政策での成果によって支持率が上昇する可能性は高くありません。弾劾の是非が議論されている中で共和党が上下両院で過半数を握っている現状に鑑み、トランプ大統領が共和党議員らの機嫌を損ねる可能性がある行為ができるかは甚だ疑問です。

中東方面での更なる介入に踏み切る可能性が高まっている

一方、トランプ政権内では政権発足当初は影響力を減退させていた反イラン・反ロシアの安保関係者が復帰しつつあります。具体的にはハーバート・マクマスター国家安全保障担当補佐官、ディナ・パウエル副補佐官、フィオナ・ヒル国家安全保障会議欧州・ロシア担当シニアアドバイザーなどです。

当初のトランプ政権は海外への干渉を控える傾向を示していましたが、マイケル・フリン氏やマクファーランド氏らが失脚・転出させられる中で、外交・安保のタカ派の影響力が再び強まっています。また、大統領令によって大統領から現場への指揮権が移譲されたことから、現地での軍事展開なども行いやすい環境となっています。

トランプ大統領は、自身の命綱である株高と共和党員からの支持を繋ぎ止めるため、原油高の状態を必要としているため、OPECらの行動を黙認すると同時に、中東方面での主に対イランの関係で緊張を高めていくことが予測されます。

5月に実施されたイランの大統領選挙では穏健派が勝利したため、米国側はイランに対して難癖をつけるタイミングを一旦見失った形となってはいるものの、今後も折を見てイランとの対立を煽ることによって再制裁への糸口を掴もうとするものと思われます。

トランプ政権が点数を稼ぐことが可能な領域は国内ではなく国外政策にあるわけで、今後のトランプ政権の外交・安全保障政策の展開には一層注目していく必要があるでしょう。



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2017年06月09日

トランプ、ロシアゲート、補選、パリ協定、司法長官について

トランプ

トランプ大統領、コミ―証言の本質的な問題とは何か

トランプ大統領を取り巻くロシアゲートの正念場・第一弾のコミ―前FBI長官の上院情報特別委員会での公聴会が実施されました。

トランプ大統領にとって、有利なことは「トランプ氏自体はFBI捜査対象になっていないかった」点、不利なことは「大統領は自分に忠誠を誓うよう強要し、マイケル・フリン前大統領補佐官への捜査を打ち切るように示唆した」点です。後者は特に司法妨害として政敵が問題を複雑化させる可能性がある内容でした。

元々決定的な証拠が出ることは期待されていなかった公聴会であるため、実はコミ―証言は大したものではないと言えます。では、今後重要になる要素は何か、それはトランプ大統領と共和党の上下両院議員との間の信頼関係です。

ロシアゲートの問題を左右する共和党議員からの大統領への信任

トランプ大統領を捜査する機関は、モラー特別検察官、リチャード・バー議員が率いる上院情報委員会、マイク・コナウェイ及びとデビン・ニューネス両議員が率いる下院情報委員会、チャック・グラスリー議員率いる上院司法委員会、ジェイソン・チェイフェッツ議員率いる下院政府改革委員会など、非常に多岐に及んでいます。

今後、上院情報委員会だけでなく他組織による調査などが実施されていくこと、トランプ大統領の腹心である娘婿のジャレド・クシュナー上級顧問や既にロシアとの濃厚な関係が指摘されているカーター・ペイジ外交アドバイザーなどへの公聴会への追及が進む可能性があること、など、コミ―氏の証言を凌ぎきっても政治的には依然としてピンチが続くことは間違いありません。

ただし、いずれの場合もトランプ大統領は上院・下院で過半数を占めている共和党議員からの信頼を固めることができている場合、余程の証拠が出てこない限りは安泰な状況が続くものと思います。

共和党議員及び共和党員からの支持を繋ぎ止めるための一連の行動

トランプ大統領は最近になって急速に保守派回帰を選択するようになりました。

元民主党員のクシュナー上級顧問、ムニューチン財務長官、コーン国家経済会議議長などを重視し、オルト・ライトの顔であったバノン首席戦略官を遠ざけ、レーガン保守派とも距離を取りつつあった方針を見直し、元々の自らの政権基盤を固める動きを強めています。

その最も象徴的な事案が「パリ協定からの脱退」であり、貿易不均衡などの問題をフォーカスする一連の大統領令の連発やTwitterを利用した入国禁止令(当初)を褒める発言や改めて壁の設置を確認する発言でしょう。外交的にも対イラン・ISIS強硬姿勢は共和党支持者を喜ばせるものだと言えます。

これらは崩れかけた共和党、特に保守派からの信頼を回復することで、自らへの弾劾機運を回避するため、共和党議員及び共和党員からの支持を繋ぎ止めようとしていると見ることが妥当です。

トランプ大統領の直近の試練は、ジョージア州の補欠選挙の行方である

トランプ大統領と共和党連邦議員の関係は、トランプ大統領が政策的に共和党議員と同じ方向を志向していることは当然のこととして、何よりも2018年の中間選挙でトランプ大統領が共和党議員を勝たせてくれる存在か否かということにかかっています。

各省長官などの任命によって発生した補欠選挙において、カンザス州やモンタナ州で行われた選挙結果は長官を輩出するほどに共和党有利の州でありながら比較的苦しい選挙結果となりました。

そして、6月20日に予定されているトム・プライス厚生長官の選挙区で予定されているジョージア州の補欠選挙では、民主党候補者が共和党候補者を世論調査で上回っている状況となっています。共和党の目玉政策であるオバマケアの廃止・見直しを所管するトム・プライスの地元で番狂わせが発生した場合、その衝撃は共和党全体のトランプ政権への信任を揺るがすものになる可能性があります。

また、トランプ側近であるジェフ・セッションズ司法長官が辞意を漏らしたと報道されるなど、トランプ大統領を守ろうとするインセンティブを持つ人たちの士気が十分に回復していないことが示唆される状況となっています。

共和党関係者はトランプ大統領を表面的には支持している状況ではあるものの、トランプ大統領が選挙が弱いことが明らかになりつつある現状に鑑み、本音レベルではペンス副大統領の大統領昇格を望む気持ちもあることは確かでしょう。

地雷原を歩き続けることになるトランプ政権

トランプ大統領は極めて党内基盤が弱い大統領であり、共和党主流派とは当初から対立状態または是々非々、共和党保守派は敵の敵は味方という消極的支持、という状況でした。

政権発足から約150日程度経とうとしていますが、トランプ大統領の曖昧な態度によって、共和党各派との関係は深まることはなく一層混迷を深めている現状と言えるでしょう。

また、本来は2018年の中間選挙は共和党にとっては民主党が上院で大勝した年の選挙区が対象になるために有利な環境があるのですが、上院だけでなく下院すら厳しい状況となりつつある今、万が一連邦議会での過半数割れが発生した場合、トランプ大統領の問題は人気期間中蒸し返され続けることになるでしょう。

トランプ大統領の命運は、共和党連邦議員及び共和党支持者からの支持にかかっている状況となっており、トランプ大統領は今後一層選挙戦を意識した政権運営を行うことが求められることになるでしょう。



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2017年05月04日

共和党保守派「水曜会」と自民党「部会システム」の比較

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(イメージ写真)

共和党保守派の水曜会・International coalition meeting で講演

共和党保守派が毎週水曜日にワシントンDCで開催している作戦会議でスピーチを行ってきました。この会議は完全内容非公開・参加者非公開・写真禁止・完全招待制というインナーミーティングであり、筆者もここで何を話したかということは多くを書くことができません。

強いて言うなら、上記の公開用イメージ写真の中心に座っている全米税制改革協議会グローバー・ノーキスト議長を中心に、様々な発言者が5分程度の問題提起を行って参加者からの質疑応答、終了後のネットワーキングが行われるというイメージです。今回は世界中から様々なシンクタンクの代表が訪米してスピーチを行っていました。

筆者はワシントンDCを訪問する度に同会議に出席させていただき、DCにおける最新の政治情勢のトレンドを収集させて頂くことが出来ています。

「水曜会」小さな政府を求める共和党保守派が作り出した政治システム

水曜会は共和党においては極めて重要な政治システムの一部を形成しています。一つの民間の政治団体である全米税制改革協議会が主催するイベントにも関わらず、毎週のように設定される新たな政治アジェンダに対して保守派としての情報共有や行動方針が決定する場だからです。

また、共和党の政治家への応援の可否、新たな政権・議会スタッフの紹介、各団体のアジェンダに対する意見がテンポよく表明されていき、保守派を構成する様々な団体の意向が実際の政治過程に反映されていく様子を見ることが出来ます。もちろんプレゼンテーターのスピーチの内容が悪ければ何も起きず、内容が大うけするようであれば同アジェンダは一気に進むことになります。

この場に集っている方々は原則として「小さな政府」を求める共和党保守派の人々であり、同じ価値観をともにする人々が次々とアライアンスを形成して政策実現に向けた動きを展開する「民主導」の統治システムだと言えます。

「部会システム」大きな政府を志向する自民党が作り出した政治システム

一方、共和党保守派の「水曜会」と対比して、ほぼ真逆の機能を果たしている統治システムが自由民主党の政調部会システムです。

自民党の政調部会では、会議室の正面に部会長、有力議員、その横に部会を構成する議員席、関連する官僚が座る役人席が用意されています。そして、業界団体などの利益団体に対して、業界の意向を受けて発言する所属議員の先生方が(概ね役人に質問または叱責するポーズをして)自分は頑張ってますよというアピールをする場となっています。(筆者が見ていた頃の部会のイメージですが、今でも大差ないものでしょう。)

部会システムは、自民党という政党自体が中央省庁とほぼ一体化して業界団体の利益を拡大していく高度経済成長期のシステムであり、既に時代遅れの感はあるものの共和党保守派の理念とは対比的な自民党側の「大きな政府」を志向する政治システムとしては極めて優れたものだと思われます。

「官高党低」という状況下で変化が求められる政治システム

最近の政治的な傾向として、政党よりも官邸が強くなる、つまり官邸に予算・人事の権限が集中して、政党がスポイルされる「官高党低」が問題視されています。これは経済財政諮問会議や内閣人事局に象徴される一連の行政改革の中で進められてきた官邸主導の政治システムが確立されてきていることを意味します。

そして、このような状況下では、政党が各省庁と一体化することで運営してきた自民党の部会システムは時代遅れのものとして機能しなくなってきています。中央省庁の役人も予算・人事を握っている官邸を政党よりも重視することは当然です。日本は議院内閣制を取っているものの、実態としては大統領制に近いものになりつつあると言えるでしょう。

そこで、政党が存在感を取り戻そうとするのであれば、中央省庁の方針に反対する民間勢力を糾合して一つの政治的な勢力を形成してくことが必要だと思います。現在のように中央省庁とぶら下がっている業界団体と蜜月を築くだけでは、政党が官邸に追従する現在の構造から抜け出すことは困難です。(実際、自民党は中央省庁に紐づく業界団体の声を民主主義の声としてきたので難しいかもしれないですが。)

政治は志がある政治家が一人いれば変わるものではなく、政治システム自体が変わることで初めて大きな動きに繋がっていきます。筆者はそのための政治システムの一つとして、共和党保守派が運営している水曜会は極めて優れたシステムであり、自民党などの主要政党の志ある人々は同システムを採用していくことが望ましいと思っています。日本の政治システムはまだまだ途上であって海外の事例を参考にすべき点が多々残っています。



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2017年05月03日

ヘリテージ財団訪問、対日政策の担当者と面談

無題

ヘリテージ財団訪問を訪問、世界の自由化と対日政策担当者と面談

Heritage foundation(ヘリテージ財団)を訪問し、Bryan RileyシニアアナリストとRiley Walters リサーチアシスタントにお会いました。

ヘリテージ財団はトランプ政権を支えるシンクタンクであり、Bryanさんは自由貿易政策の専門家で、NAFTAを締結した際のグラスルーツキャンペーンの責任者でした。現在世界各国の経済自由度を測定するEconomic Freedom Indexを作成する責任者です。

Rileyさんは上智大学に留学していたこともある人物で、日本語ベラベラでした。やはり自由貿易の専門家であり、日本の政策に関しては紳士でいい人だけれどもかなり厳しめ(笑)そして、ペンス副大統領に近いポジションであり、対日政策のアドバイザーでもあります。

特にRileyさんからは「日本の保守と米国の保守は考え方が全く違いますよね。」と言われて、拙著「トランプの黒幕 日本人が知らない共和党保守派の正体」(祥伝社)を読まれているのかと思いました・・・冗談です(笑)

ヘリテージのIndex of Economic Freedomの日本語訳の許可を頂く

今回、ヘリテージ財団を訪れた理由は、Index of Economic Freedomという世界の経済自由度を評価するレポートの日本語版での翻訳に関して許可を頂くためです。ヘリテージ財団側からは快く快諾を頂きました。(協力して頂ける出版社は随時募集しています。)

Index of Economic Freedom

この指標は世界中の国々(一部は都市)の経済自由度を測定し、それらの状況をランキングしているものになります。各国の中長期の経済成長の可能性を知る上で非常に有益なものとなっています。

2017年版では日本は40位であり、ルーマニアやジャマイカの同じくらいとして評価されています。日本の場合は高い民間の競争力で稼いだ点数を非効率な政府部門の評価によって点数が著しく下げているという残念な結果になっています。

モンペルランソサイエティ―でエド・フルナー所長にもお会いする予定

今回、訪米している中で5月のモンペルランソサエティーに参加することが本格的に決定し、同会議でヘリテージ財団創設者のエド・フルナー氏に会うことになりました。エド・フルナー氏はヘリテージ財団の創設者であるとともに、トランプ政権の最高顧問でもあります。

訪米している最中にヘリテージ財団内での人事変更があり、ジム・デミント所長が辞職されることになり、エド・フルナー氏が再びヘリテージ財団の所長に就任されたことからホットな話が聞けるのではないかと期待しております。



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