米国政治
2018年10月19日
カバノー最高裁判事誕生が「トランプ再選」に直結する理由
(写真はAP通信から引用)
ブレット・カバノー氏の最高裁判事承認手続きが米国上院で50対48で通過した。
本件を巡って同氏の高校時代の性的暴行疑惑が浮上したことで、9月末の承認が10月頭にまで延期される事態となっていた。そのため、今回の採決はFBIによる追加調査結果を待つ形で10月7日に連邦上院で行われたものである。
カバノー最高裁判事誕生は2020年の「トランプ再選」に直結している重要な出来事である。今回の承認人事は中道派のケネディ判事の退任に伴うものであり、保守派と看做されるカバノーが選ばれることで最高裁判事構成は保守派5対リベラル派4と大きく保守寄りに傾く。その結果は民主党側は自らの支持母体である公務員労組を弱体化させる「ある判決」を覆すことが事実上不可能になったことを意味する。
昨年スカリア判事の死去に伴うポストにニール・ゴーサッチ判事が補充されたことで、最高裁の構成は保守派5(中道派1)対リベラル派4という状況に既になっていた。この最高裁判事の構成が露骨に影響した同判決が2018年6月末に出ている。
その判決とは「公務員労組に入っていない公務員から組合費を徴収することを違憲とする」判決である。これはカリフォルニア州の教員が「非加盟員から組合費を徴収すること」に疑義を呈した訴えに対する判決であり、1977年の最高裁判決から認められてきた組合費の徴収方式をひっくり返すものであった。非加盟員から徴収した組合費は政治目的に使用できないことになっていたが、実質的に政治目的に使用されていることを問題視したものである。
米国においては公務員労組の組織率が民間労組の組織率を遥かに上回っており、民主党の選挙運動の支持母体として公務員労組は中心的役割を担っている。したがって、公務員労組の資金力が弱体化することは中長期的な民主党の党勢衰退に直結することになる。2018年の中間選挙に同判決が影響を与えるためには時間が不足しているが、2年後の大統領選挙までには公務員労組の衰退は決定的な状況になることが想定される。
民主党がなりふり構わずカバノー最高裁判事の承認に抵抗した理由は、最高裁判事の構成が保守派に一層傾くことで民主党側が同判決を覆すチャンスがゼロになることが背景にあった。米国の最高裁人事は日本と比べて政治的要素が極めて強く、表面的なイザコザだけでなくもう一段深いところまで踏み込んで分析する必要がある。
今回のカバノー判事誕生は米国の歴史に残るものになるだろう。
2018年10月17日
「トランプ国連演説に失笑」と報じるメディアに冷笑を浴びせたい
先週行われたトランプ大統領の国連演説の自画自賛の部分で「失笑」が起きた、とメディアが報じた。
2018年10月15日
トランプにビビるな!日本は対中共通関税の導入を検討すべきだ
10月10日渡瀬裕哉著『日本人が知らないトランプ再選のシナリオー奇妙な権力基盤を読み解く』発売告知
2018年10月10日に拙著『日本人が知らないランプ再選のシナリオ―奇妙な権力基盤を読み解く』(産学社)が出版される運びとなった。トランプ当選から現在までの権力闘争と政策成果をデータとファクトで整理した上で、中間選挙前後の予測をまとめた内容となっている。書籍の校了自体は8月でほぼ完了しており、9月中旬現在までは国際情勢は本書で書いた通りの展開を見せている。
2018年02月07日
アイオワ州の地方公務員給与全公開を日本も導入すべき
地方議会議員は「議員報酬及び費用弁償等に関する条例」によって幾らの月額報酬や期末手当等を受け取っているかは凡そ明らかになっています。これは税金から給与を受け取っている以上当然の情報公開と言えます。どの議員が幾らの金額を受け取っているかを納税者は知る権利があります。
一方、地方公務員は人事委員会勧告を踏まえて各地方自治体は給与改定を行って俸給表に従って給与が払われるものの、その実態は一般の納税者からは極めて分かりづらい状況です。そのため、各地方自治体の職員給与が、個人住民税総額と同じであったり、更には地方税収自体を上回っていたりする、実質上の人件費破綻を起こしている地方自治体の状況が長年放置された状況となっています。
たとえば、内閣府などで地方創生の成功事例と持て囃されている島根県海士町では、平成27年度決算カードを見る限り、地方税収は約2億、人件費が約5億円、一般会計歳出が約50億円であり、地方交付税や地方債が無ければ収支が全くバランスしない他人任せの財政状況となっています。筆者は地方交付税が地方固有の財源であるという詭弁は相手にしていないため、同町が身の丈に合わない自治体運営を実施していることは一目瞭然だと思います。
そして、海士町に限らず地方自治体が非現実な人件費を地方公務員に払い続けている状況は我が国に普遍的な現象であり、地方自治に関する基本的な倫理観が崩壊している証拠といっても過言ではありません。これらの悲惨な状況は納税者の地方自治体の財政運営に対するリアリティーの欠如から生まれており、そして地方公務員人件費に限って言えば公僕としての責任感の欠如そのものだと言えます。
一方、米国アイオワ州では地方公務員の年間給与が実名入りで全公開されています。つまり、公務員は公僕として働く限り、その給与は全て納税者の目にさらされていることになります。そのため、公務員給与が高い・安いは納税者にとって明らかであり、公務員側は財政状況に見合わない給与を受け取ることに対して自ら律するインセンティブが働くことになります。
最近、東京都が全ての公金支出について逐次公開する大規模な情報公開を実施しましたが、それであればアイオワ州のように公務員の実名での給与公開を行うことも「公金の支出」であることから検討するべきです。給与公開は恥ずかしいことや隠すべきことでもなく、公金で働くという名誉に伴うものであるから公開しても差し支えないと思います。
我が国の財政制度は完全に無責任の連鎖によって成り立っており、その根幹は税金の支出に関する分かりやすい情報公開が存在しないことにあります。まずは地方公務員の人件費の実名入り情報公開という極めてベーシックなところから始めることも一考に値するのではないでしょうか。
2018年01月23日
米国は一体いつ北朝鮮と戦争するのか?(笑)
米国と北朝鮮の戦争が日本国内で喧伝されて久しい状況となっています。しかし、ご案内の通り、実際には米国と北朝鮮の間の戦争は昨年中には発生しませんでしたし、年明けからは平昌五輪もあって両国の間は一時的に緊張が緩和しつつある状況となっています。
昨年から国内では北朝鮮との戦争を喧伝するほうが世間の耳目を引くため、多くの有識者とされる人々が北朝鮮有事を煽ってきました。「〇月開戦説」「クリスマス開戦」など、様々な開戦時期が宣伝されてきたものです。日本政府関係者も北朝鮮有事を煽ったほうが支持率向上に繋がるからなのか、それらと繋がりがある方々は関係者の話を真に受けて「〇月が怪しい、なぜなら・・・」という話をされることが多々あります。
筆者はヘッジファンドなどのアドバイザーを務めており、昨年中お客様から北朝鮮有事の可能性を質問される度に「全否定」してきました。たしかに、北朝鮮に対する緊張の度合いは高まっていますが、米国には開戦に至るまでのインセンティブは存在せず、東アジア地域で戦争を実行するだけの戦力が揃っていかなかったからです。
米軍の朝鮮半島周辺に常駐している空母数は横須賀港に寄港している1隻のみとなっています。イラク戦争当時に動員された空母数は6隻であり、イラクよりも軍事的リスクが高い北朝鮮との有事を想定した場合、米国は対イラク並みまたはそれ以上の戦力を投下する必要があります。したがって、最低でも3~4隻の空母は必要であり、または病院船も含めた戦闘態勢の準備が欠かせません。しかし、昨年はトランプの東アジア歴訪時以外にそれだけの戦力が十分な形で揃うことはありませんでした。
また、米国内では大枠としての北朝鮮への軍事行動への支持は高まりつつあるものの、米軍単独での軍事行使への支持は必ずしも高くありません。したがって、米国が実際に軍事行使を行う前提として周辺国との協力関係を構築することが重要となります。しかし、韓国の文大統領は親北朝鮮姿勢を鮮明としており、そして戦争の一歩手前の措置となる海上封鎖による臨検についても日本は現行の安保法制では協力できません。まして、中ロについては米国の意図通りの行動を行う可能性は極めて低いものと思われます。米国は徐々に歩を進めつつありますが、軍事行使には超えなくてならないハードルがまだまだ残っています。
米軍の戦力投射能力に話を戻すと、米国が軍事的正面を構えることができる地域は、現行ではおそらく世界で一地域のみであり、その上で東アジアよりも中東や南米のほうが米国にとっては緊急度が高い地域となっています。特に一旦は判断が見送られた形となっていますが、イランとの核合意の見直しが5月以降に本格化した場合、彼らの外交・安全保障上の関心は中東地域に集中し、東アジア地域は後手に回ることは明らかです。したがって、平昌五輪明けの外交・安全保障上の焦点が北朝鮮に集中するかどうかも現段階では断言できません。
米国の外交・安全保障戦略は世界戦略であるため、日本人のように日米関係、米朝関係、米中関係のように二か国間関係でモノを考えることはほぼありません。全世界を相手にしている米国は、地球全体での各地域のバランスを見ながら、その地域内での勢力バランスに配慮し、その上で各国での対応を決めるという思考プロセスに基づいて対応を決定します。
したがって、米朝関係は、中東・南米・東欧・その他の地域も含めた全体戦略の一部に過ぎず、米国の対北朝鮮に関する発言や日本政府に対する発言のみを切り取って物事を理解する従来の日本人の感覚では彼らの思考枠組みについて行くことは困難です。米朝関係は世界全体の外交・安全保障の全体感に基づいて決定されるものであり、独立した変数として決定されるものではないのです。
少なくとも昨年「〇月が危ない」という話をしていた方々は「米国の思考枠組みについていけていないか」、または「北朝鮮有事を商売にしている」に過ぎず、現実にシビアな判断が求められるヘッジファンドなどのアドバイザーとしては通用しないレベルであることは明らかでしょう。
2018年01月22日
政治家の「家業化」を禁止するTerm Limits(任期制限)
(Term Limitsに署名した候補者署名)
最近の首長選挙では多選自粛条例や多選否定の公約を掲げながら平然とそれらを破って出馬する事例が存在しています。米国において多選は腐敗の温床と考えられており、多選を重ねる首長・議員を落選させるべく「Term Limits」(任期制限)をさせる活動が広く普及しています。
どのような人間であったとしても「権力は必ず腐敗する」という原則から逃れることは困難です。人間の通常の心理として長期政権の長に対しては、誰もが首を垂れるのは必然的なことと言えるでしょう。そして、権力者の指示に意見する人がいなくなるだけでなく、様々な忖度が自然と行われていくことになります。その結果として、政府が肥大化していくことになり、人々の監視が行き届く小さな政府から腐敗と隠ぺいが伴う大きな政府に変質していくのです。したがって、多選は民主主義を国民の手から手放す結果を実質的に生み出すことに繋がります。
日本の多くの多選自粛違反の「言うだけ番長」を生み出してしまう理由は、「首長や議員が自ら多選自粛を宣言するだけ」であり、「有権者が自ら候補者に対して課した約束」ではないからです。
米国には「The Term Limits(任期制限運動)」というものが普及しており、国民による政治家の多選自粛を求める運動が展開されています。地元に利益誘導を行って自らの富を蓄積する「政治屋」を排除するため、予め任期制限を自ら約束する候補者を応援するための署名運動です。政治家の任期を、下院3期(6年)、上院2期(12年)を基準とし、それ以上を多選と看做すという内容です。そして、州レベルでも同様の活動が実行されています。
議員たちは自らの選挙区に多選禁止を求める有権者がどの程度存在しているのかを知ることができるため、自らの政治行動に関する強烈なプレッシャーを感じることになります。そのため、自らTerm Limitsの趣旨に賛同して署名を公表する、更には任期制限を憲法に盛り込むために議員連盟を発足させる人々も存在しています。普通は苦労して権力を得た議員がこのような活動に積極的に賛同することはないため、主に利益誘導政治に反対する共和党保守派の小さな政府を求める議員が中心となって活動しています。
国会議員の家業化は日本では常態化していますが、それ以上に地方の首長・議会の多選状況は深刻なものとなっています。国会でも地方議会でも期数を重ねた人々、または親から地盤を引き継いだ人々が権力確立または容易に権力を手にしています。もしかしたら、当該選挙区の多選候補者の割合は政治腐敗の指数として見ることも妥当かもしれません。来年は統一地方選挙ですが、日本でも有権者が自ら政治を変えるための運動が起きてくることに期待します。
2018年01月21日
トランプ大統領・エルサレム首都認定の3つの実態
第一に、米国内においては連邦議会議員がトランプ大統領の決定を歓迎しています。元々エルサレム首都認定と米国大使館の移転はクリントン大統領時代に1995年に連邦議会が通過させた法案を根拠としています。そして、それ以降クリントン・ブッシュ・オバマの3代の大統領は同法案の半年間の執行を延期する権限を使って決定を先送りしてきました。トランプ大統領も2017年6月に一度見送りを決定しています。しかし、その際、連邦議会上院で<a href="https://www.congress.gov/bill/115th-congress/senate-resolution/176?q=%7B%22search%22%3A%5B%22senate+resolution+jerusalem+50%22%5D%7D&r=2">、A resolution commemorating the 50th anniversary of the reunification of Jerusalem</a>という決議がなされており、共和党・民主党も含めた全会一致(90対0)で、トランプ大統領に首都認定と大使館移転を行うように求めています。つまり、米国政界は12月のトランプ大統領の決定を促し、それらを支持していることになります。
第二に、現在、中東地域におけるパレスチナ問題は最も大きな政治問題ではなくなっています。近年はイスラム国の台頭から壊滅への急転、そしてサウジアラビアとイランの対立が深刻化しており、パレスチナ問題は中東の緊急の課題とは言えなくなっています。特に中東におけるスンニ派諸国の盟主を自称するサウジアラビアは、イランとの対決姿勢を強めており、敵の敵は味方という状況で反イランのイスラエルとの無用の対立を避けるようになっています。したがって、トランプ大統領はサウジアラビアの中東版NATO構想を支持しており、同国の政情不安な情勢下でもいち早く現政権の支持を打ち出しています。それらの前にとっては首都認定及び大使館移転は些事と言えそうです。
第三に、トランプ大統領が実際に本格的な大使館の移転を行う時期は相当に先送りされるということです。トランプ大統領は12月の発言後に再び大使館の移転を先送りする指示を出しました。これは名目上は大使館移転のための準備のためとなっていますが、本格的な大使館の移転には数年の月日を要する可能性が高い状況となっています。その間は意思決定が事実上保留された状況となっており、外交上・安全保障上の変化及び交渉の進展によって幾らでも意思決定の変更の余地が残されています。
つまり、トランプ大統領の発言は米国内のユダヤ社会、そしてキリスト教保守派に対する指示を獲得するための象徴的な行為であり、そして外交安全保障上も状況を冷静に見据えたギリギリの中で意思決定であると推量されます。
トランプ大統領は昨年8月のシャーロッツビルでの白人至上主義者団体と極左アンティファなどとの衝突時に、白人至上主義団体に反ユダヤ団体が混ざっているにも関わらず喧嘩両成敗のような発言を行った結果、ユダヤ社会からの猛反発を受けて政権基盤が危うくなった経緯があります。その際、ユダヤと距離が遠いバノンが更迭されるとともに、イスラエルに対する大統領の特使であったアイカーン氏も辞職しました。そして、ユダヤ系が影響力を持つ経済関連の大統領の諮問会議などが解体されるとともに、同じユダヤ系のコーン国家経済会議議長、ムニューチン財務長官にも辞職圧力が強まりました。これらの政権運営にとって致命的な失点を取り戻すためのエルサレム首都認定と米国大使館の移転の意思決定であることは明白です。
日本人はトランプ大統領を取り巻く状況、そしてその意思決定の内容について理解を深めることが必要です。
やっぱり政府閉鎖、その元凶は誰にあるのか?
(CNN)
保守強硬派とされる共和党保守派が下院で妥協したことにより、連邦下院で暫定予算が通過した状況となっています。ただし、共和党が上院での暫定予算案に対する議事妨害を乗り越えるためには100票のうち60票が必要となります。そのため、共和党は民主党側から最低9人、共和党から3名の造反が予測される現状では民主党から12名の造反票を必要としています。
しかし、最近の世論調査では民主党員はDACA(ドリーマーズに対する特例措置)が政府閉鎖回避よりも価値があると考えている人が多く、共和党員は政府閉鎖回避がDACAよりも重要と考えている人が多い状況です。共和党側のほうが政府機関閉鎖を回避するモチベーションが高く、民主党側はドリーマーズへの対応がなければ政府閉鎖も辞さない態度をとっています。
政府閉鎖が行われた場合、米国経済に一時的な影響があるものの、トランプ減税の影響も含めたプラス傾向が継続することで好景気を維持されることが想定されています。そのため、今回の政府閉鎖は中間選挙に向けた政治的な印象操作を狙って安全に実行することができる特殊なシチュエーションが生まれています。
具体的には米国主要メディアによって「実際には民主党による『何でも反対』によって政府閉鎖に陥ったとしても、その責任はトランプ大統領と共和党にある」という印象操作が実行されることになるでしょう。それらのメディアはリベラル派に著しく偏っており、民主党議員がトランプ発言を引用して必要以上に騒ぎ立てたことなども含めて、既に政府閉鎖に向けた世論形成の地ならしが始まっているとみなすべきです。(The Urban Folks読者には政府閉鎖が起きた場合の米国報道とそれを丸写した日本メディアの予定調和ぶりを生温かく見守ってほしいと思います。)
昨年の債務上限の引き上げ交渉の時のように、トランプ大統領には危機的状況下に陥る中で民主党側と直接交渉する可能性が残されていました。大統領が自ら大幅に譲歩した場合、民主党が申し出を袖にすることは国民からの同党の印象が悪化する可能性があるため、同党議員らは徹底した大統領へのネガティブキャンペーンを実施して距離を取っています。そのため、ほぼDACAに関する合意に至ろうとした会議でのトランプ大統領の非公式発言が「問題を解決することよりも問題を深刻化することを望んだ民主党議員」によってクローズアップされました。
米国民主党側はトランプ政権下での好調な経済状況を良いことに、政府閉鎖による社会的混乱をかえりみることなく政局上の危険なゲームを楽しんでいます。米国政界関係者の全ての言動は今年に予定されている「中間選挙のため」であり、米国で起きる政治的な出来事は選挙を理解しなくては読み解くことはできません。
政府閉鎖は東アジアや中東情勢における米国の活動にも支障が生じるために同盟国にとっても極めて迷惑な行為であり、米国民主党が良心をもって上院での暫定予算を通過させることに協力することを期待します。
2018年01月16日
トランプ大統領は本当に「難民」を排除しているのか?
<The National Reviewより引用>
年明けからの「Shithole」発言によって、すっかり人種差別主義者としてのレッテルを貼られてしまったトランプ大統領ですが、一般のイメージと違ってトランプ大統領は難民の受け入れを相当する行う計画を用意しています。
トランプ大統領が設定した難民受け入れ上限数を4.5万人に設定しています。この数字はオバマ大統領の2016年受け入れ上限数である11万人と比べて著しく減少したものとして批判されました。
たしかに、トランプ大統領が新たに設定した2018年の受け入れ上限数は1980年以降で最も低い数字となっています。しかし、実際にはジョージ・W・ブッシュ及びオバマ元大統領の2015年までの受入れ許可数の平均は約5万人程度であり、受け入れ上限数が必ずしも実際の受け入れ許可数に完全にリンクしているわけではありません。近年の難民受け入れ数の増加はオバマ政権の無責任な中東政策によるイスラム国の勃興などによる混乱が原因であり、2017年にイスラム国問題が終息したので受け入れ上限数や許可数が減少することも妥当だと考えることもできます。
一方、2017年にはトランプ大統領が不法移民に対して激しく口先介入を行ったことも含めて不法移民の取り締まり強化の動きが始まり、不法移民の流入数自体も減少しています。その結果として不法入国者が前年比25%減少して1971年以来最低の水準となった影響を受けて、トランプ政権下で強制送還された人数も必然的に前年6%減となり、オバマ政権時代に最も低かった強制送還数を下回りました。そもそも不法入国者自体の減少傾向は続いていたものの、これはトランプ政権の無形の不法移民対策の成果と言えます。
つまり、トランプ大統領がオバマ大統領によってザルになった難民政策、管理不能になっていた不法移民対策の現状にストップをかけた形となっています。そのため、トランプ政権下では、受け入れる者は受け入れ、取り締まる者は取り締まる、という極めて一般的な国境管理が厳格化された状況となっています。
また、オバマ大統領は不法移民の子ども(ドリーマーズ)に対する特例措置を実施しましたが、それらは必ずしも法律化されたものではなく法的状態が不安定なままとなっています。トランプ大統領は連邦議会にドリーマーズへの対処を法律化して正規の法による執行プロセスにのせるように求めています。トランプ大統領は当たり前のことを当たり前に行おうとしているに過ぎません。
リベラルなメディアの主張を真に受けてトランプ大統領をイメージで批判するのではなく、実際に大統領職としてどのような行政対応を行っているのかを見極めていくべきでしょう。