国内政治

2017年01月04日

悪いポピュリズムと良いポピュリズム

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議会制民主主義の限界について

観念的に言えば、民主主義は多数決で物事を決めるプロセスであり、自由主義は個々の意見を尊重する考え方(小さな政府に繋がる)のことです。

議会制民主主義は議会における議決によって民主主義を担保し、議会における自由な質疑応答によって自由主義を担保してきました。しかし、行政国家化によって議会自体が骨抜きにされることによって、議会は行政当局による法案の追認機関と化してきました。

行政権を見張るはずの立法府は政府からの利権を求める行政府に陳情を代弁するだけの組織に堕しており、議会制民主主義は既に死に体であるということも間違いありません。

したがって、政治的な意思決定と切り離された人々の苛立ちが高まることによって、世界中でポピュリズムが発生していることには同意します。そして、それらは議会制民主主義というよりも直接投票による大衆の歓呼によって出現しやすい状況となっています。

この状況はナチスドイツが出現した際にも見られたものであり、この大衆の歓呼をしてポピュリズムと看做すのであれば、ポピュリズムが危険なものであることは同意します。

悪いポピュリズムと良いポピュリズム

しかし、既に行政国家化とそれに反発するポピュリズムの発生という政治的状況について、私たちはそれらから逃れることはできません。この状況は所与のものであり、その中でベストを尽くすことを考えていくべきだと思います。

したがって、悪いポピュリズムと良いポピュリズムは何か、ということを考えることが重要です。

筆者が考える悪いポピュリズムとは、行政国家が残されたまま、為政者が民衆の願望を叶えるために、政府組織・権限を際限なく肥大化させていくタイプのものです。つまり、ナチス・ドイツが典型的な行政国家ということになります。

現在の日本も与党も野党も「空気を読みながら」バラマキ・増税志向の大きな政府を志向しているので、既に議会制民主主義は死んでいて静かなポピュリズムが進行しているとも言えます。日本では、政府に対する自由とは何か、ということがほとんど政治的なテーマにすらならい状況です。これは悪いポピュリズムの典型だと思います。

筆者が考える良いポピュリズムとは、行政国家を解体過程に乗せて民衆が自分の生活の自己決定権を取り戻すタイプのものです。残念ながら、既存のポピュリズムではあまり見かけることがないタイプではあるものの、私たちが目指すのはこちらのタイプのポピュリズムであるべきでしょう。

むろん、良いポピュリズムは、ハイエクが主張する「法の支配」のような考え方を重視するものであり、悪いポピュリズムに走らないように民衆が歴史や思想を深く理解することが重要になってきます。

少々理想的に過ぎるかもしれませんし、それが歴史上困難なプロジェクトであっても、そちらを志向する人々がどれだけいるかで人々の盛衰は変わるものと思います。

民衆の中に保守主義を根付かせることができるか

議会制民主主義がある程度機能してきた国では、民衆の代表がポピュリズムによって政権を取ったときに行政国家に対する歯止めを機能させようとする動きが出るかもしれません。

代表的な国は米国であって合衆国憲法の構造も然ることながら、合衆国憲法を信棒する米国民は必然的に法の支配を志向する傾向があるからです。

実際、米国の共和党保守派を中心に腐敗している立法・行政の双方の権限を縮小し、人々の自己決定権を取り戻そうとする主張が激しく喧伝されています。これらは良いポピュリズムとして議会制民主主義の機能を取り戻していくことにも繋がるかもしれません。

一方、欧州のポピュリズムは行政国家化が非常に進行している上に、EUによる更なる中央集権化後の社会に起きているものです。また、その国々の根幹にも自由主義や法の支配が必ずしも共有されているわけではありません。したがって、悪いポピュリズムに走る可能性が高いです。

今年はフランスなどの欧州諸国で国政選挙がありますが、その結果として極右や極左が台頭することで、EUから自己決定権を取り戻すと同時に、多くの国民が自らが選んだ為政者によって自国内で人生の意思決定権が奪われていくことを体験することになるでしょう。

悪いポピュリズムに走る国は歴史の流れの中で衰退し潰れていくしかありません。これは避けようがない現象であり、ポピュリズムは行政国家化した政府に対する一つの薬でしかなく、その結果が薬物依存患者の国になるのか、それとも健全な人々の国になるのかは、同国民の意志にかかっています。

つまり、民衆の中に保守主義を自生的に根付かせることができるかどうかが重要なのです。そういう意味で、多くの人にハイエクの隷属への道を読んでほしいと思います。


 


 本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。

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2017年01月03日

東京都・小池都政の「高すぎる経済成長目標」は妥当か

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小池都政が目指す「高すぎる」経済成長目標

「東京ファーストでつくる新しい東京」という小池都政の2020年までの計画が昨年末に発表されたので、筆者も一応ざっと目を通してみました。

全体として数値目標が設定されるようになったことは良かったと思いますが、掲げられた重要な数値目標の設定についての妥当性には極めて疑問があります。

その数値目標とは2020年度・都内GDP120兆円(名目)という数字です。

計画に記載されている通り、2014年度・約 94.9 兆円基準として2020年度120兆円を目指すとなると、2015年度からの毎年の経済成長率は4%程度必要になります。実質ではなく名目であったとしても近年では全く達成できていない高いハードルだといえるでしょう。


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「都民経済計算(都内総生産等)平成27年度速報・平成28年度見込」から引用>
 
実際に、東京都が発表した都内総生産の2015年度速報・2016年度見込みを見ても、2015年度は微増・2016年度は減少しています。仮に、2016年度見込94.4兆円をベースにすると毎年名目6%以上の成長を平均して記録しなければ2020年名目120兆円を達成することはできません。

「東京ファーストでつくる新しい東京」の策定経緯

上述の「東京ファーストでつくる新しい東京」を参照したところ、概ね3回のプラン策定会議によって同計画は承認されたものと思われます。

プラン策定会議の議事録を読んでみましたが、上記の経済成長目標の数字については事務方から説明があっただけで、それを達成するための方法が十分に説明されているようには思えません。

むしろ、「数字目標を議論しながらも何も現実の数字を踏まえない会議」などやる意味があるのか、とすら思えます。〇〇を〇〇やります、的ないかにも行政的なやりっぱなし感が拭えないものとなっています。

同策定会議には事務方がズラッと並んでおり、基本的にはその場で意思決定を覆すようなものではありませんが、それでもこの会議にこの数字が出てくる前に止めるべきだったのではないかと思います。

東京都政は「霞が関のお絵描き」から一線を画すべきだ

都内総生産2020年120兆円(名目)は、アベノミクスが目標とする2020年頃にGDP600兆円を目途とする計画に合わせて、日本国の約20%を占める東京都の域内総生産を単純に割り当てただけの数字だと推測されます。

日本全体・名目GDP600兆円は現状でも極めて厳しい数字であり、日本経済が毎年3%以上の成長をする必要があり、世界経済の順調な成長とインフレの進行が前提となっています。

前者はトランプ政権による巨額の景気刺激策によって下支えされる可能性がありますが、中国・欧州などでの不安定要因も依然として大きい状況です。また、後者は日本銀行が事実上グロッキー状態であり、異次元緩和が手詰まりな状況となっています。そして、そもそも日本の名目GDP自体、最近は年間3%成長を実現できていません。

したがって、東京都が都内総生産名目・120兆円の目標を達成するためには、霞が関の非現実なお絵描きに付き合っているだけでは困難なものとなっています。

小池プランの経済成長目標を達成するために必要なこと

上記の通り、霞が関に阿る東京都官僚の非現実な絵に描いた餅を食べさせられた小池都知事は、今後都議会運営で非常に厳しい立場に立たされることでしょう。都議会議員から何かある度に同経済成長目標を引き合いに出されて未達を叱責される状況となります。

そして、小池都知事が独力で経済成長目標を達成することは、従来の延長線上の現在のプランではほぼ不可能です。筆者には上記の計画の施策を繋げてみても目標達成ができるとは全く思えません。

小池都知事が目標を達成するためには、地方交付税改革、に手をつけるしかありません。国税に繰り入れられた地方交付税を推計し、各都道府県に再配分した差額の数字を基にすると、東京都からは地方交付税という形で毎年約7兆円近い税金が流出しています。

まずは、これらのマイナスを堰き止めるべく、東京都の意見を代弁する政治勢力を都政だけでなく国政にも形成してくことが必要です。今年の都議会議員選挙で小池新党が立ち上がると看做されていますが小池都政のプランを実現するためには国政にモノを申せる力が必須だと言えます。

また、トランプ政権が打ち出す法人税減税競争は世界中の都市を新たな競争に巻き込むことになり、増税志向で動きが鈍い霞が関に合わせているようでは競争に敗北するのは必然でしょう。世界的な都市間競争に打ち勝つための東京都独自の減税・規制緩和政策を推進していく必要があります。

小池都政は既に後戻りできない数字を発表しており、小池氏が経済成長目標を達成するためには、東京ではなく日本の大改革が必要です。したがって、既に昨年末に戦いの火蓋は静かに切られていると言えるでしょう。



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2017年01月01日

2017年・民衆の時代(ポピュリズム)の本格化

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2017年・民衆の時代(ポピュリズム)の本格化

昨年はBrexit、トランプ勝利、イタリア国民投票、小池都政の誕生など、既存のエスタブリッシュメントに対する民衆の反発が先進各国で発生しました。そして、本年も引き続き、このムーブメントは他各国にも紆余曲折を経ながらも拡大していくものと思います。

主要メディアではこれらの現象を極右の台頭と定義する表面的な言説が当初は溢れかえっていました。しかし、イタリア国民投票で左派の五つ星運動が主体となっていたことで前述の偏った見方は修正されて、現在では左右の違いを超えたポピュリズムの台頭として再定義されつつあります。

2017年に予定されている国政選挙でポピュリズム側が勝利しなかったとしても、その流れは留まるわけではなく、今後も世界中に拡散し続ける流れは変わらないでしょう。世界は一部のエリートから民衆に力を取り戻すプロセスの中にあり、ポピュリズムの拡大は一過性の現象ではなく、政治的な前提として所与の状況として捉えるべきだからです。

民衆の時代(ポピュリズム)の特徴は、人々の手に意思決定権限が戻ること

ポピュリズムの拡大は国際機関や中央政府に対する民衆の自己決定権を取り戻す運動の拡大と看做すべきでしょう。これらは民衆の自立心や誇りを問うものであるということに特徴があります。

EUの中央集権的なエリート主義に対する英国やイタリアにおける拒否感は、Brexitやイタリア国民投票の結果として明確化し、EU中央からの指令ではなく自分たちの手による政治的な意思決定を重視する意思が示されました。これらの背景にはEU統合後に急速に周縁化していく主要国民の危機意識があったものと思います。

米国においてもワシントンによる中央主権的な支配、連邦政府による増税・規制強化などに対する怒りが結実し、トランプ政権の誕生(&リバタリアン党の躍進)という大きな政治的決断が行われました。米国の保守的な自由主義の伝統がオバマ・ヒラリーのワシントン政治を否定する結果となりました。

日本においても国政レベルではないものの、主要国並みの経済力を持つ東京都において、政権与党が公認する地方創生を主導した元総務大臣が都民の声におされた小池氏の前に敗れることになりました。同選挙を通じて従来までは関心が薄かった東京都民の税金の使い道に関心が集まり、オリンピック委員会などの都民の税金を食い物にする集団への批判が高まりました。(選挙以前からエンブレムのデザインなどにまつわる一般国民・上級国民問題などが文脈として存在していました。)

これらの現象は民衆の与り知らぬところで税金の使途や規制の強化が行われることへの反発という点で共通しています。したがって、ポピュリズムとは特権的なエスタブリッシュメントたちから人々に意思決定権限を取り戻す政治的な潮流といえるでしょう。

力を身に付けた民衆が時代遅れのエスタブリッシュメントに取って代わるとき

世界各国のエスタブリッシュメント(既得権者)はこれらの民衆の動きに対して激しくバッシングを加え続けてきました。筆者はこれらをインテリによるリンチとして「インテリンチ」と呼称しています。

彼らエスタブリッシュメントは、Brexitやトランプ現象に対して、主要メディアを通じて選民思想を丸出しにしながら民衆を罵倒し、民衆の意思や能力を否定することに躍起になってきました。エスタブリッシュメントにとっては、民衆がエスタブリッシュメントによる善導を否定し、自らが自分の意志で歩む姿を示すことなどあってはならないことだからです。

しかし、Facebook、Twitter、ネットメディアの発達は言論空間・政治空間の民主化を促し、一部の既得権による情報取得・伝達手法の独占状態は実質的に終わりました。そして、情報伝達の手法に革新が生じたことで、民衆側に政治的な権力のパワーシフトが起きることになりました。

既得権者は民衆の時代が到来したこと自体を否定したいor信じたくない、という態度を示し続けていますが、それらの動きは不可逆的なものであり、彼らの行為は不毛かつ無駄な努力といえるでしょう。多くの人々が恐れることは「時代遅れ」になることです。そして、エスタブリッシュメントが恐れていることは、世界が変わること・自らが時代遅れとみなされることです。

むしろ、今後は力を身に付けた民衆の中から既存のエスタブリッシュメントに取って代わる民衆と一体化した強力な政治力を持った人々が表れてくることになるでしょう。その日は決して遠いものではないものと思います。

民衆の時代(ポピュリズム)では真の民度が問われることに

ポピュリズムは排他的・保護主義的な傾向があるものとして批判され続けています。その指摘は部分的には正しいところもあります。ただし、それらはエスタブリッシュメントによる中央集権的な政治によっても発生するものでもあります。(ソ連の社会主義体制などはその典型でしょう。)

つまり、それらの主張は自分が気に入らない政治的な潮流を否定しようと思えば、見方の角度を変えれば幾らでも否定的な見解を示すことができるという事例でしかありません。むしろ、これからは民衆の時代の到来を所与として受け入れた上で「何が重要であるのか」について議論を進めていくべきだと思います。

民衆の時代では、民衆の民度が直接的にその政治のレベルとして反映されます。エスタブリッシュメントが一定のレベルの平均値を叩き出してくれる丸投げの政治は終わりを告げたということです。

エスタブリッシュメントと同様に民衆の中にも外国民との対立を煽り、陰謀論的な保護主義的言説を垂れ流す輩は多数存在しています。それらの人々が力を持つようであれば、その国・地域の政治・社会は停滞して没落の一途をたどることになるでしょう。

一方、自由で活発な社会を支持する人々が多数となれば、経済的・社会的な繁栄を得ることができることになります。そのためには、私たち自身の民度を底上げして歴史や社会についての知見を幅広く持つことが重要となります。

仮に多くの人々が自由で活発な社会の意義を理解・支持することができれば、一部のエスタブリッシュメントがそれらを指導してきた時代よりも遥かに優れた良い政治が行われていくことになるでしょう。

世界は私たちの民度が問われる時代に突入し、そのレベルによって民衆の生活水準が変わっていくことになります。徒にポピュリズムを卑下するのではなく、その良い面・悪い面をしっかりと認識した上で対応をしていくべきです。

政治が良いものになるか・悪いものになるか、私たち自身が政治の責任を他者に転嫁できない社会が訪れつつあるのです。民衆の時代に問われるのは、私たちの「真の民度」だと言えるでしょう。



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2016年12月12日

「息をするようにウソをつき続けてきた」野田佳彦・幹事長の罪

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「息をするように嘘をつき続けてきた」野田佳彦・幹事長


蓮舫・民進党代表が安倍首相との党首討論で「息を吐くように噓をつく」と揶揄しました。蓮舫氏の二重国籍に関する疑惑も当然ですが、この言葉は自党の大番頭である野田佳彦・幹事長にこそ相応しいと思います。

筆者は野田佳彦・幹事長が消費税増税という国家の重要事項の判断について、自らの主張について「大嘘」を突き続けてきており、現在に至っては完全に開き直った感じすらあります。

<街頭におけるシロアリ演説>

「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」(街頭演説動画)

「消費税1%分は、2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。

鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこがあるんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」

<国会におけるシロアリ演説(平成21年7月14日)>

加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

<直近の本会議における増税賛成演説(平成28年9月27日)>

「アベノミクスの失敗により、消費税引き上げ再延期はやむを得ない状況になってしまいました。それだけではありません。私が政治生命をかけて取り組んできた三党合意も風前のともしびとなってしまいました。まことに残念です。その発端は、安倍総理が二〇一四年秋に一回目の延期を決めて衆議院を解散したことです。消費税を政争の具にしないという魂が失われてしまいました。この再延期で、財政健全化への道のりは、より険しいものとなってしまいました。次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます。

ちなみに、過去には消費税増税反対の請願の紹介議員にもなっています。

第168回国会 1 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願
第170回国会 83 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願

以上のように、消費増税という日本経済に大きな影響を与える項目について、首相になるビフォー・アフターで180度意見が変わるとは何事でしょうか。筆者は増税の是非については様々な立場があると理解しています。しかし、このような民主主義を踏みにじる姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるとともに、現代に生きる我々も許すべきではありません。

「政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。(直近の本会議にて)」

野田氏はTPPからの撤退を主張していますが、現職総理大臣時には強烈にTPPを推進した人物の一人です。

たしかに、TPPは米国大統領に選任されたトランプ氏が撤退を表明したことで頓挫した形となっており、日本が承認手続きを経ることで相対的に前のめりの状態となっています。

そのため、TPPの国会承認を見送ることも一理ありますが、トランプ政権の発足前段階であること、現職のオバマ大統領がTPP推進である以上、日本が国会承認をしないことは道理に合わないことでしょう。実際にはTPPについてはトランプ新大統領と再交渉ということになるかと思います。(国会承認が滑稽な事態になる可能性は高いとは思いますが、日本側が国会承認を経ておく対応は妥当だと思います。)

その上で筆者が気になったポイントは、9月の本会議での野田氏の発言です。民進党がTPP賛否に云々という以前にもはや議論にするに値しない嘘つきだと思います。

<本会議での質問(平成28年9月27日)>

「私が内閣総理大臣のとき、自由貿易、FTAAP推進の基本的な立場から、交渉参加に向けて協議に入りましたが、ハードルが高く、国益を考えるとTPP交渉参加に踏み切れずにいました。そのとき、二〇一二年暮れの総選挙で、TPP断固反対、ぶれないと約束したのは、ほかならぬ安倍総裁です。政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。」


民進党は健全な二大政党政治を機能させるつもりがあるのか


筆者は嘘つき度合いは自民党も野田氏も良い勝負だと思いますが、野党の良いところは正論を述べることができる点に尽きると思っています。しかし、政権奪取時に明らかな嘘を実行して恥じず、なおかつ自らが再度当選してきた人物が幹事長にいる政党のどこに正論があるでしょうか。

蓮舫氏の政治の師匠は野田幹事長とのことですが、「この幹事長にしてこの代表あり」ということが言えるかもしれません。

選挙戦については間違ったことを言うことは往々にしてあるものと思います。しかし、国会質問及び答弁で堂々と嘘をつく行為は民主主義を踏みにじる行為であって許されるべきではないと思います。まして、自分自身の国籍について過去のメディア上での発言を平然と無視する行為も論外です。

二大政党政治が機能していくためには、理念ある二大政党が国会の質疑を通じて両党の考え方を国民に明らかにし、そして国民が投票を通じて判断を下すことが重要であることは言うまでもありません。

したがって、国会での質問内容の正常化は大前提であり、民進党はこれ以上蓮舫氏・野田氏の国会質疑を許すべきではありません。左派・右派というレベルではなく、誰でも分かる嘘つきか否かが国会の質疑の重要なポイントになる事態について一刻も早い是正措置が行われることを期待します。






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2016年11月29日

なぜ、安倍首相はヒラリーのみと会談したのか?

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<The Japan Times から引用>

逢坂誠二・衆議院議員から提出された「9月に行われた安倍・ヒラリー会談に関する質問主意書」に対する政府からの回答がありました。質問主意書への回答は政府の公式見解ということになりますが、その内容は極めて問題の根が深いものとなっていることが分かります。


衆議院議員逢坂誠二君提出ヒラリー・クリントン候補重視の日本外交の問題意識に関する質問に対する答弁書


<逢坂議員の質問>

一 安倍総理が、九月の訪米時にドナルド・トランプ氏とは面談せず、ヒラリー・クリントン氏とだけ面談した理由は何か。政府の見解を示されたい。
 
四 政府は、ヒラリー・クリントン氏の当選が濃厚だとの見通しを持っていなかったのだとすれば、なぜ首相の九月の訪米時に、ヒラリー・クリントン氏とだけ面談したのか。政府の見解を示されたい。

<政府の回答>

一及び四について

平成二十八年九月十九日(現地時間)に行われた、ヒラリー・クリントン前米国国務長官による安倍内閣総理大臣への表敬は、同前米国国務長官側の発意を受け、調整し、実現したものである。ドナルド・トランプ氏からは安倍内閣総理大臣への表敬に関する提案はなされなかったため、同氏の表敬は実施されなかったところである。

<解説>
政府は安倍・ヒラリー会談はヒラリー側からの申し出があったために調整したとしています。そして、トランプ側からは表敬の申し入れがなかったとしています。つまり、同面談が受動的なものであったことが明示されています。


<逢坂議員の質問の続き>

二 九月の安倍総理の訪米時、ドナルド・トランプ氏と面談することを意図し、政府はトランプ陣営への働
きかけを行った事実はあるか。政府の見解を示されたい。

三 政府は、ヒラリー・クリントン氏の当選が濃厚だとの見通しを持っていたのか。見解を示されたい。

<政府の回答>

二及び三について

御指摘のような事実はない。


<解説>
ヒラリーに会うために米国を訪問するにあたって、バランスを取るためにトランプ陣営に働きかけた事実はない、と回答しています。

しかし、11月11日産経新聞によると「実は日本政府はこのとき、トランプ氏側にも会談を申し入れていた。結果的に本人は出てこなかったが、安倍首相はトランプ氏のアドバイザーの一人で投資家のウィルバー・ロス「ジャパン・ソサエティー」会長と会談している。ロス氏はこのとき、こう話したという。」とされています。

政府答弁が嘘をついているのか、産経新聞が飛ばし記事を書いたのか。両方が正しいとした場合、トランプ氏に元々会うつもりも無かったが、トランプ陣営の一人でジャパン・ソサエティーの会長であるウィルバー・ロス氏には個人的に会っておこうと考えたということだろうか。

<逢坂議員の質問の続き>

五 次期米国大統領にはドナルド・トランプ氏が就任するが、この間のヒラリー・クリントン氏だけを重視した日本外交は誤った見通しに基づいていたのではないか。政府の見解を示されたい。

六 米国大統領選挙の結果が出るまでは、ヒラリー・クリントン氏だけを重視する結果となったことは、情報収集と分析能力に課題があると思われる。米国における在外公館の情報収集活動や分析、さらには日本外交の前提となる政府内での情報収集や分析能力には課題があるのではないか。政府の見解を示されたい。

七 米ソ冷戦期および冷戦終結後という時代のレーガン政権からG・H・W・ブッシュ政権の終わった一九九三年以後、米国では二大政党による政権交代が繰り返され、民主党あるいは共和党の政権が連続して三期以上続いたことはないと承知している。その事実を踏まえれば、民主党のオバマ政権の次には共和党政権が誕生する可能性は低くないということは容易に推測できる。日米外交に携わる専門家であれば、当然踏まえておくべき認識であろう。それにもかかわらず、オバマ政権の次にヒラリー・クリントン政権が誕生すると推測し、ヒラリー・クリントン候補重視の日本外交の基本姿勢には、基本的な問題意識の欠如があるのではないか。政府の見解を示されたい。

<政府の回答>

五から七までについて

政府としては、ドナルド・トランプ陣営及びヒラリー・クリントン陣営双方との関係を早い時期から構築してきたところであり、「ヒラリー・クリントン氏だけを重視」したとの事実及び「オバマ政権の次にヒラリー・クリントン政権が誕生すると推測」したとの事実はなく「情報収集や分析能力には課題がある」及び「日本外交の基本姿勢には、基本的な問題意識の欠如がある」といった御指摘は当たらない。

<解説>
両陣営に人脈も持っており、ヒラリーを重視した事実はなく、情報収集や分析能力に課題はない、基本的な問題意識の欠如もないとの回答。

上記の回答を総合して考察すると「政府としては情報収集と分析能力は万全で、ヒラリーから打診が会ったから会っただけで、トランプ陣営には何も打診せず、元々繋がりがあったウィルバー・ロス氏だけは個人的に面談した。ヒラリーを重視していたわけではない。したがって、日本外交の基本姿勢に問題はない」ということになります。

<同時期に米国を訪問したイスラエルのネタニヤフ首相はヒラリー・トランプ両方に会っている>

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比較事例として米国に安倍首相と同時期に訪問したイスラエルのネタニヤフ首相はヒラリー・トランプ両氏に会っていることも紹介しておきます。

ユダヤ人国家という特殊な条件はあるものと思いますが、大統領選挙期間中に候補者の両方に会うことが当然の対応であることが分かります。

イスラエルはイラン核合意などで米国と関係が冷え込む中で、今年3月にオバマ大統領との面会することを取りやめるとともに、大統領予備選挙に干渉する印象を与えることを避けるため、ネタニヤフ首相の訪米日程を一旦キャンセルしていた経緯があります。

しかし、大統領選挙の最終盤に機を見て敏に共和・民主両候補者に面談する機会を持ったこと、そして両候補者からイスラエル寄りのコメントを引き出したことで、同国の卓越した外交力は示されたことになります。

自らの主張を通すために米国相手に駆け引きを行い、そして見事に果実を得る外交だと言えるでしょう。

<日本政府の問題点は「判断力」の欠如だった>

イスラエル政府が情報収集・分析能力に長けており、ネタニヤフ首相の判断力が極めて優れたものだったことは明らかです。

ウィルバー・ロス氏に個人的に面談したから「手を打っていた」という言い訳のリーク記事を新聞社に書かせて国民世論を誤魔化しつつ、正式な政府答弁で答えられない程度の対応しかしていなかった国とは違います。

逢坂議員の質問主意書に対する日本政府の答弁には大きな問題があります。

仮に政府の答弁通り、トランプ・ヒラリー両陣営との人脈を構築し、ヒラリーを重視した事実もなく、情報収集や分析能力に問題が無かったなら、「まともな対応を行ったイスラエルとの差」はどこから生まれたのでしょうか。

両者の差は「判断力」の差であったということが言えるでしょう。

つまり、この問題は「ヒラリーが会いたいと言ったから会いに行った」という受動的な姿勢、自分で外交的な意思決定を判断できない、という外交姿勢以前の根本的な問題だということです。

そして、米国大統領に就任する可能性がある前国務長官に呼びつけられたら、一国の首相が慌てて訪米するような「判断力の欠如した従属外交に問題が無い」という政府答弁に日本人の誇りはあるのでしょうか。

私は一人の日本人として、今回の政府答弁の内容に驚きを覚えました。同内容を公開すること自体に疑問を持たない現政権は日本人の代表としての誇りを問い直されるべきでしょう。



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百田津田論争に見る「ヘイトスピーチ規制」慎重運用の必要性

百田尚樹

津田大介

百田・津田論争の問題の本質とは何か

筆者は百田氏の趣旨に賛同するものではありません。これはゴシップ的な推測みたいなものであり、同氏の発言に品が無いというだけの話だと思います。

ところが、この百田氏の発言に対してジャーナリストの津田氏が上記のような反応を示してTweetしたことで、本件は一気に炎上することになりました。

津田氏の主張はTwitterルール上の「特定の人種、性別、宗教などに対するヘイト行為: 人種、民族、出身地、信仰している宗教、性的指向、性別、性同一性、年齢、障碍、疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃、脅迫の助長を禁じます。また、以上のような属性を理由とした他者への攻撃を扇動することを主な目的として、アカウントを利用することも禁じます。」に抵触するというもの。

百田氏のTwitterがこのヘイト規制に当たるかどうかは議論があるところですが、本件では百田氏の発言を燃やすはずだった津田氏の発言もまとめて炎上するという事態が発生しています。それは何故でしょうか。

ヘイトスピーチ規制派が既に権力・体制側になっているということ

この問題の本質は「ヘイトスピーチ規制派が既に権力・体制側になっている」という自覚が足りないことによって起きています。

2016年6月に自民党すらも賛成する形で「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行されてました。世論調査でも依然として賛否が分かれる・どこまで「不当」とするか議論が残る法律ではあるものの、民主主義における多数決(議決)によって立法府がヘイトスピーチを許さないという意志を示した形となっています。

しかし、この法案成立によって「ヘイトスピーチ規制派は従来までのように安易にヘイト認定する」ことは慎まなくてはならなくなったことを同時に意味しています。

なぜなら、既に彼らの側には政府がついていることになり、一個人が持つことが出来ない政府の非常に強力な力を陰に陽に利用できる環境が整えられたことになるからです。

そのため、従来までのように軽はずみに他者をヘイト認定することは、逆に権力の濫用行為として国民から厳しい目にさらされることになっていくでしょう。ヘイトスピーチ規制派は法律が成立したことで自らが責任ある批判される側に立ったことを踏まえて発言するべきです。

メディアやコメンテーターのエスタブリッシュメント化への危惧

筆者も少し前にテレ朝系の番組に一つ出演させて頂いたのですが、番組趣旨としてはトランプ氏のTwitter利用を欧州各国の極右政治家(&維新の橋下氏)の利用になぞらえて問題視するものでした。

筆者はメディア出演のペーペーなので適当に呼ばれた形ですが、上記のような偏ったものの見方に合わせなければ大手メディアに出続けられないとするなら非常に残念だと思っています。教条主義的な右寄りの考え方は持っていませんが、保守派とされる人々を無理やり貶める大手メディアの報道の在り方に個人的には引きました。

大手メディアは常に反体制を気取ってきましたが、もはや額面通りにその姿勢を受け止める人は少ないでしょう。

記者クラブや政府リークを通じた御用メディア化は言うに及ばず、コメンテーターのポリコレ化について権力・体制的な既得権(エスタブリッシュメント)だと受け止めている人も多いと思います。

報道・論調として何を流す・流さない、という第四の権力を持った人々への不信が強まるな中で、メディア関係者が政府または類似の規制機関の権力濫用につながる発想を公にすることへの忌避反応が出ることは当然です。

Twitterは一私企業であるため、実際のTwitterルールの適用は同社が判断すれば良いことですが、津田氏の発言の中に、多くの人が「権力の濫用の萌芽を見た」ことが炎上原因ではないかと思います。

権力・体制側は自らの力の行使に慎重であることが求められる

もちろん、津田さんも悪意があってやっているわけではないと思います。そして、百田氏の発言もゴシップ的な要素が強かったかもしれません。

しかし、今回の件では、多くの人にとっては「著名な一個人が何を言うか」ということよりも「メディアに頻繁に登場するジャーナリストが他者の発言について規制権力(Twitter社)に適用案件であることを指摘する」ことに脅威を感じたことは確かでしょう。

上記に指摘した通り、現在の世の中は自民党ですらヘイトスピーチを規制する法を通す世の中であり、言論的な大勢は既に決まっていると言えます。

百田氏の「在日外国人云々」という趣旨に賛同する人は少数であり、大半の人は「メディアの報道内容に対する不信」「ヘイト規制が濫用されることへの違和感」を示しただけのように思われます。

従来までのようにヘイトスピーチに関して敵対者を批判する行為だけでは体制・権力側に立った後は済まないということです。

昔の自民党が野党やメディアに何を言われても鷹揚に構えていたように、ヘイトスピーチ規制派も自らの発言や力の行使に慎重になるべきだと思います。

大半の国民は、主流ではない一個人の意見よりも、政府・メディアを背景とした権力の実質的な行使(及びその示唆)、のほうが自らの自由を制約することを知っています。

体制・権力側は安易に刀を抜かないからこそ権威が付加されるものです。ヘイトスピーチを規制する側も自分たちの置かれた立場の認識の見直しが必要になっていると思います。




本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。


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2016年11月25日

北方領土・プーチンがミサイルを配備した理由

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<内閣府HPより引用>

安倍外交は国際情勢の急速な変化についていけていない

安倍外交・完全崩壊、運命が逆回転を始めた日(2016年11月16日)
トランプ氏に「借り」を作った安倍・トランプ会談(2016年11月19日)

トランプ大統領誕生後に日本を取り巻く国際情勢に関する記事を2つほど作成しました。

筆者の見解通り、11月19・20日でAPEC首脳会談でロシアは北方領土交渉に関するハードルを上げるとともに、安倍・トランプ会談でTPPをトランプ氏に直接念押ししたにも関わらず、11月21日にはトランプ氏はビデオレターでTPP離脱を再び宣言しました。

上記のような記事を公表した当日には現役・元国会議員などの様々な方々から「お前の見解はおかしい」というご指摘を頂きましたが、地球儀を俯瞰する視点に立てば筆者の見解が妥当であったこと、はその後の顛末によって証明されたものと思います。

現在、日本政府の外交的な見通しの当てが外れて、安倍首相が右往左往している姿が連日報道される状況となっています。

世界各国はトランプ大統領を前提としたプランで動き始めていますが、安倍外交はこれまでのサンクコスト(埋没費用)に溺れており、慣性の法則にはまって頭の切り替えができていないだからです。

米国の経済制裁解除がロシアのナショナリズムに与える影響

ロシアが急激に北方領土交渉で態度を硬化させた理由は、トランプ大統領による経済制裁解除の見込みが極めて高いものとなったことと密接に関係しています。

プーチン政権を支えるロジックは「反米ナショナリズム」です。しかし、米国の経済制裁が解除されることが予見されることで、プーチン大統領は自らの存在意義について改めて問われる状況が生じています。

米国からの経済制裁によってロシアは反米ナショナリズムが盛り上がるとともに、各種国内産業保護のために産業振興のための補助金をばら撒いてきました。これらのナショナリストや補助金を受けている人々がプーチン政権を支持している人々です。

しかし、米国による経済制裁解除によって、プーチン氏を支えるはずの反米ナショナリズムと産業保護のための補助金は大義を喪失することになります。反ロシアの米国と欧米の経済制裁という共通の敵が突然いなくなることで、プーチン大統領は多民族国家ロシアを統治するための新たなナショナリズムを必要とする状況となっています。

したがって、領土返還交渉は米国経済制裁という特殊条件下で発生した周回遅れの話であり、プーチン政権の関心は一歩進んだ先の出来事への対応に注がれています。

プーチン政権にとって方向性を失ったロシアのナショナリズムを無駄に刺激する領土返還交渉を進めることは好ましい選択肢ではなくなったと推測するべきでしょう。

択捉島・国後島にミサイルを配備するというロシアの配慮

北方領土返還交渉において四島返還は最初から見込めないことは明白です。たとえ、領土が返還されても歯舞・色丹の二島ということになるでしょう。むしろ、現在のロシアの国内情勢に鑑み、ロシア側からの提案は共同経済開発のみという結果に終わる可能性が極めて高い状況となっています。

ロシア軍の機関紙によると18日段階で択捉島・国後島の二島にミサイルを配置した旨が発表されています。多くの日本人は、インタファックス通信による報道がAPECの日ロ首脳会談後であったことから、同会談後にミサイルが配備されたと錯覚していますが、実際には日ロ首脳会談前に二島にミサイルが配備されていたことになります。

そのため、安倍首相の「簡単ではない」というコメントは上記の状況を踏まえた上での発言だったと推察します。(逆にミサイル配備を把握していなかったとしたら、その情報収集能力には著しく問題があると思われます。)

一方、ロシア側としては択捉島・国後島のみの軍事力を強化することで、ロシア国内のナショナリズムに配慮しつつも、日本側に領土交渉に対する希望を残すように見せる配慮を行っています。

日本の政府関係者がミサイル配備と平和条約交渉は関係が無い、とコメントしているのは、このロシア側からの間接的なメッセージに可能性を見出しているからでしょう。

安倍政権が対ロ外交で取り得る3つの選択肢について

安倍外交が取り得る選択肢は下記の3つのように思われます。

(1)領土交渉を希望的観測に基づいて推進し、ロシアとの経済共同開発・経済協力を進める。
(2)領土交渉は事実上失敗したものと看做し、ロシアとの経済共同開発・経済協力を棚上げする。
(3)北方領土に新たに配備された軍事的脅威に抗議し、北海道周辺で軍事演習を実施する。

おそらく安倍政権は(1)の路線を推進することになるでしょう。従来までの対ロ交渉は官邸主導で実施しているため、同交渉が日本国民から失敗したように見えることは政権基盤を揺るがしかねないからです。

万が一、ロシア側が領土交渉で譲歩してくることに期待したい気持ちも分かります。絶好調から急激に転び始めたギャンブラーのような状況ですが、安倍政権の思惑通りに事が上手く進めば非常に素晴らしいことだと思います。

(2)の路線は国際情勢の変化に対してある程度配慮した理性的な選択肢であるよう思います。上述の通り、トランプ大統領誕生で米ロ関係が変化することで、ロシア側の国内事情も大きく変化することが予想されるからです。

従来までの日ロ交渉のサンクコストを一旦清算した上で、新たな環境を踏まえた仕切り直しを行うことは妥当な選択と言えるでしょう。ただし、この選択肢には「安倍外交の失敗」という官邸にとってのリスクが生まれるために選択として取りづらいものと思われます。

(3)の路線は通常の国家の対応としては当然の措置です。自国領土を射程に収めるミサイルが配置されたことに抗議し、軍事力を持って対抗的措置を取ることは通常の対応です。そして、そのような強い態度こそが相手からの妥協を引き出すための交渉術だと言えます。

しかし、ミサイル配備報道後の安倍政権の腑抜けなコメントは保守政権とは思えないレベルのものであり、政権としては国民の生命・財産よりも政権の面子を優先して(1)の路線を取る方向で進んでいることが分かります。

安倍首相には「真に地球儀を俯瞰する外交」が求められている

トランプ大統領誕生が国際情勢に与える影響は極めて多層的なものであり、日米関係、日中関係、日ロ関係などの二国間外交の発想では情勢変化についていくことは困難だと思われます。

安倍外交の発想は、米国の意向を踏まえた上での二国間外交、そして対中包囲網という視点にこだわり過ぎています。およそ地球儀を俯瞰する外交とは言えず、米国の目線に配慮する外交でしかありません。そのため、肝心要の米国における政権交代が発生した変化についていけない結果となっています。

米国大統領選挙直後に安倍首相がトランプ氏に慌てて会いに行く段取りをつけている間に、ロシア側は日本との窓口であるウリュカエフ大臣を拘束しつつ、北方領土へのミサイル配備を行ってAPECでの日ロ首脳会談に備えていました。両国の間で見えている世界のレベルが違うことは明らかでしょう。

安倍首相は「真の地球儀を俯瞰する外交」を推進するために、まずは足元の首相官邸に散らかっているサンクコストを見直すべきです。




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2016年11月20日

休眠預金活用法案の法案内容に反対する

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<休眠預金活用法案とは>

休眠預金活用法案とは、10年以上使用されていない銀行口座等から資金を預金保険機構に移し、内閣総理大臣が指定した指定活用団体が預金保険機構に移された資金の運用を任されて、民間のNPO法人などに資金を助成・貸付することを求める法案です。
 
2016年の臨時国会で衆議院を通過して参議院での法案審議となっています。しかし、同法案の内容には疑問が多く、筆者はこのような新たな利権を生み出す法案が制定されることに強く反対します。

具体的には、法案中の下記の内容

・基本理念に意味が分からない都市差別条項が入っている
・利用使途が限定され過ぎて特定団体への利益誘導に近いものになっている
・約800億円と言われる休眠口座資金を扱う指定活用団体のガバナンスが極めて不透明なものになっている

に疑問を感じますし、そもそも私人間の取引に政府が介入することは控えるべきだからです。

筆者はNPO法人が民間の寄付などを通じて公益的な活動を実践していくことは大いに振興されるべきという考えを持っています。しかし、同法案を具体的に読み込んでみると、NPOを支援する健全な寄付文化や行政からの独立性などを阻害する可能性を秘めたものではないかと感じています。

以下、具体的な法案内容の疑問点について触れていきたいと思います。(法律案要綱法律案はこちら)

<休眠預金活用法案の意味が分からない基本理念規定>

休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念には、

「第一六条四 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが大都市その他特定の地域に集中することのないように配慮されなければならないこと。」

という項目が入っています。この都市差別条項は何でしょうか。この法案は地方への利益誘導を目的としたものなのでしょうか。私は東京に住んでいますが、このような条項が盛り込まれた法案には断固反対します。

同じ基本理念には、

「第一六条三 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが預金者等の預金等を原資とするものであることに留意し、多様な意見が適切に反映されるように配慮されるとともに、その活用の透明性の確保が図られなければならないこと。」

と書いてありますが、内容如何に関わらず「地域」によって交付するか否かを決める旨が法案に盛り込まれている時点で、透明性の確保など絵に描いた餅でしょう。上記の非合理な規定が盛り込まれた法文がある限り、地方に対する配慮が透明性を確保された形で行われるとは思えません。

<休眠預金資金の利用使途があまりにも限定されている>

休眠口座活用法案は第17条で休眠口座の資金のバラマキ先として下記の項目を指定しています。

・子ども及び若者の支援に係る活動
・日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動
・地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動
・①~③までに準ずるものとして内閣府令で定める活動
しかし、総則の目的(第一条)には、

・この法律は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的とすること。

そして、基本理念(第一六条)には、

・休眠預金等交付金に係る資金は、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資することとなるもの(以下「民間公益活動」という。)に活用されるものとすること。

としか規定していません。

「国民生活の安定向上及び社会福祉の増進」がいつの間にか「子育てNPO」のような特定目的の資金配分団体のためのものに制限・変質しています。法案中に言及している要素があるとしたら、強いて言うなら人口減少や少子高齢化への言及がそれにあたるのでしょうか?法案の目的・理念からはより幅広い分野の活動が対象になってもおかしくないと思いますし、何故支援先となる非営利活動の内容をここまで特定の目的に絞ったのかが分かりません。

これでは同法案に関係する特定分野の団体への利益誘導だと思われても仕方がありません。同利用使途に限定した理由をもう一度周知するべきでしょう。

<新たな利権を生み出す「指定活用団体」の存在>

更に第二十条で休眠預金資金約800億円の利用使途は内閣総理大臣が指定する「指定活用団体」が決めることが出来るとされています。

「内閣総理大臣は、民間公益活動の促進に資することを目的とする一般財団法人であって、2(1)の民間公益活動促進業務(以下「民間公益活動促進業務」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、指定活用団体として指定することができること。」

この法案内容で問題になる点は全国で「たった1つの指定活用団体」が選ばれるということです。

指定活用団体の活動内容について健全な運営が行われているかどうかを測るためには、複数の比較対象になる団体が存在しているほうが望ましいです。同法案は複数の指定活用団体による健全な競争の存在を否定し、指定活用団体の切磋琢磨によってより良い支援先を選定していくガバナンスを行うインセンティブを軽視しています。

内閣総理大臣が「たった1つの指定活用団体」に資金を任せる先を限定する理由は何でしょうか。

この指定活用団体のガバナンスについて政府が計画を審査するから良いというような言い訳に国民は騙されるべきではありません。同団体が内閣府からの天下り先と関係者らによるNPO団体等への権力装置になることは目に見えています。そのような状況が生まれる要素を強く持った指定活用団体による資金の独占構造は、政府からの非営利活動の独立性を中長期的に脅かす存在となるでしょう。

基本理念にも「多様な意見が適切に反映されるように配慮されるとともに、その活用の透明性の確保が図られなければならないこと。」と明記されていることから、せめて同法案は「指定活用団体」は複数設定できるものとし、特定の人々に資金使途の選択に関する権限が集中し過ぎないように配慮するべきでしょう。

<私人間の契約に土足で踏み込む法案>

同法案では、口座に預けた預金の引き下ろしを本来の預金者が求めた場合、預金保険機構から支払われる仕組みが導入されています。

しかし、そのときには既に同預金は上記の指定活用団体に受け渡された後になっているため、その費用負担は預金保険機構に資金を提供している銀行等(つまり、預金者・銀行株主)と納税者の負担となっています。

銀行預金者や納税者などはこのような負担について認めているわけではありません。もちろん、同法案の内容が国民に十分に周知されて国会で成立したというフィクションを経ることは可能ですが、上記のような法案の問題点について国民が理解しているとは到底思えません。

それにも関わらず、安易に「長年使用していないお金だから」「債権放棄の期間が過ぎたものだから」という理由で、現在は求めに応じて銀行から返還される事実上の私有財産を勝手に他人に交付するような法案を通すことは極めて問題だと思います。このような私人間の取引に土足で踏み込む法律の前例を作るべきではありません。

<衆議院での質疑で提起された宮本徹議員の問題提起>

実は同法案の衆議院の質疑で共産党の宮本徹議員からも問題提起がなされています。詳細はこちらか見てください。(第190回国会財務金融委員会第18号

宮本議員からは、

・私有財産に触れる法案を作るには国民への周知徹底が十分に進んでいない。法律が成立してから周知するというのは違うのではないか。
・NPO法で規定されている二十分野ではなく三つの分野を限定的に列挙されていることはなぜか。
・「社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進するための成果に係る目標に着目した助成等その他の効果的な活用の方法を選択すること」という資金配分条件は地道な活動をしている団体を排除するのではないか
・、休眠預金等活用審議会の委員だとか指定活用団体の役員や職員に、資金配分を受ける団体、資金分配団体や民間公益活動を行う団体の役員、関係者が入ることが法律上排除されておらず、なぜ利益相反を避ける仕組みを法文上書かないのはなぜか(赤い羽根は同様の規定がある)

など、至極まっとうな問題定義が行われましたが、法案提出者側はシドロモドロの答弁をして話を誤魔化しています。同法案については国会においても問題が指摘されていることを国民は認識すべきです。

<銀行が休眠口座に関する事前取り決めを行うべきだ>

以上のように休眠預金活用法案には、法の趣旨も然ることながら、その法案内容にも問題がある欠陥法だと思います。

銀行口座にある休眠口座の預金をどうしても何らかの形で活用したいならば、個々の銀行が長期で使用されていない口座については銀行のCSR活動に利用する旨を最初から明示し、預金者との間で口座開設契約を結ぶべきでしょう。

上記のように特定の団体への非合理な利権誘導を正当化するような法案内容のままで、休眠預金活用法案が制定されることに疑問を感じざるを得ません。

<参議院での賛同議員はこの人たち>

上記のような問題や疑問が残された法案について参議院で推進している議員は下記のとおりです。心ある有権者の皆さんは下記議員事務所に疑問点を問いただされると良いのではないかと思います。せめて上記の疑問くらいは解消した上で法案を審議するべきではないでしょうか。

坂井 学 衆議院議員 自民党
山本朋広 衆議院議員 自民党
谷合正明 参議院議員 公明党
岸本周平 衆議院議員 民進党
大塚耕平  参議院議員 民進党
平木だいさく  参議院議員 公明党










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2016年11月18日

トランプ氏に「借り」を作った安倍・トランプ会談

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<首相官邸HPから引用>

外務省が己の失敗をリカバリーするために行われた会談

安倍首相・トランプ氏のニューヨークにおける会談は穏やかな形で終わった模様です。現段階では両者が話す内容も特に無いでしょうから予定通りといったところでしょう。

筆者は大統領選最中の9月にヒラリーにだけ会った外交上の失策で面目を失った外務省が自らの立場を挽回するためにセッティングしたものと推測しています。安倍首相としてもヒラリーとだけ面談した稚拙な外交について世論の批判が噴出する前に火消しを図りたかったことでしょう。

評価としては「とりあえず、「早めにトランプ氏に会っておくべき」という場当たり的な対応ではあるものの、同会談は行わないよりはマシというぐらいでしょうか。

しかし、トランプ氏側から見ると、この会談は特に行う必要は無いので「日本側はトランプ氏に対して借りを一つ作った」ことになります。したがって、「取引」を重視するトランプ氏に早くも一つ得点を取られた形になりました。

外務省の誤った判断によるツケを払う結果になったと言えるでしょう。

国務省長官が決まる前に訪米して面談することは意味があるのか?

面談時間は約1時間半だったということですが、事前にアジェンダが詰まっていたわけではないと思われます。したがって、会談内容は本当に挨拶程度のものだったと捉えるべきでしょう。

国務長官すらまだ内定していない状況の中で外交的な話が進められるわけがありません。

一方、同会談にはトランプ氏の娘婿夫婦が同席されていたことばかりが注目されていますが、トランプ氏が信頼する外交アドバイザーであるフリン氏も参加していました模様です。

この事からフリン氏は今秋に来日して日本の対米外交関係者と懇親した経緯もあり、今後もトランプ政権における対日政策のキーマンとなることが分かります。今年春に書いた記事にもフリン氏に関しては簡単に触れさせてもらいました。同氏は腕利きの情報機関出身者です。

トランプを低評価するか否かは「情弱」のリトマス試験紙だ(2016年2月28日)

同氏はネオコン及びオバマ政権の中東政策と鋭く批判した人物であり、選挙が終了した後もトランプ氏の外交政策面で重要なアドバイザーとして留任していることになります。安倍・トランプ会談自体というよりもフリン氏が参加していたことはトランプ政権の外交方針を推し量る意味で重要だったと思います。

今回はほとんど意見を交わすこともない挨拶程度の参加だったと思いますが、大駒の意図というものは周辺の動向から自然と悟ることができるものです。

安倍首相とメルケル首相を比べる愚説は何の意味もない

一部にはドイツのメルケル首相の発言などと比較し、安倍首相の行動を批判する声もありますが、それらは失笑ものの勘違いだと思います。批判のための批判は建設的なものとは思えません。

欧州諸国も渋々ではあるものの、トランプ大統領就任後は自らの発言を顧みる必要が出て来ることになるでしょう。他国が大統領選挙を行っている最中に、各国首脳が片方の候補者を批判する外交的な非礼を繰り返してきたのは欧州諸国のほうです。

ロシアの脅威を目の前に抱える欧州諸国(特にドイツ)と中国の脅威を目の前に抱える日本では外交的な立場も全く異なるものです。その意味で安倍首相は下手をうったので早急にリカバリーを行うことは日本の国益を考えるなら当然の行為です。

また、トランプ氏は民主主義の手続きで選ばれた人物であり、しかも経済的には自由主義的傾向が強い共和党大統領です。そのトランプ氏と会談することは何らおかしなことではありません。左翼運動家には不快かもしれませんが、単なる民主主義国同士の実質的なトップ会談です。

むしろ、欧州諸国は自国の中で台頭するファシズム勢力を責任を持って抑える責任があり、他国の大統領に対して論評している場合ではありません。欧州の人々には是非頑張ってほしいものだと思います。

安倍・トランプ会談に関する総括、トランプ氏に借りができてしまった日本政府

筆者の見解は下記の通りです。

・今回の会談はヒラリー単独会見の失敗から外務省の面子をリカバリーするためのものだ
・安倍首相も単独会見の国内からの批判を回避するために迅速な行動を行う必要があった
・トランプ氏側には同会談を行うインセンティブは無いので、日本はトランプ氏に「借り」を作る形になった
・フリン氏が同席していたことは今後の対日政策の方向性を推察できる情報であった
・日本とドイツは立場が全く異なるので、両首相の発言・行動を比較することは無意味な行為

今後、日本政府は余計な「借り」を他国に作らないようにインテリジェンス能力を高めてほしいです。









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2016年08月17日

ミニ・アイヒマン化するサラリーマン議員たち

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(多くのユダヤ人を強制収容所送りにしたアイヒマン)

都知事選挙の候補者擁立に関する政党所属議員の「呆れた言い訳」

都知事選挙から半月ほど経ちました。この間に有権者や支持者から「何故、あの候補者を擁立したのか?」という質問を突きつけられた与野党の議員たちの言い訳があまりにも酷いと感じたので備忘録として記しておきます。

特に酷い有様は「組織人・会社員にようなものだから分かってくれ」という趣旨の発言を繰り返すものであり、場合によっては説明を求める国民に対して逆切れ、または自らの推薦した候補者への罵詈雑言などを並べ立てている状況となっています。

おそらくWW2の後に掌を返したように政治姿勢を180度転向させた人々はこんな感じだったのだろうなと思います。むしろ、信義も信念も全て置き去りにした対応に没我的対応に清々しさすら感じさせています。

政党所属議員は「組織人・会社員」なのか、腐ったサラリーマン根性の議員たち

上記の組織人・会社員という概念を用いて説明しようとする議員の立場を根本的にはき違えたものです。

今回の都知事選挙の候補者選びは「政党幹部が決めたもので自分が関与したものではない」という理屈があるため、議員たちの「組織の上の人に命令されたのでやっただけ」という意識が露呈している状況が伺えます。

ただし、これらの腐った根性が染みついた議員たちは、誰が自分たちに議席を与えているか、を忘れて、政党幹部が推薦する候補者を組織人・会社員意識に基づいて、自らが納得していなくても「心にもないような歯の浮くような候補者を持ち上げる妄言」で自らを支持する有権者に推薦したのです。

保険の代理店が自分の顧客にあまりオススメできない商品だけれども、本社が強烈にプッシュしている商品だからとりあえず売りさばいておこうというノリですね。そして、問題が表面化した後に「あの商品には実は疑問を抱いていたが、組織人・会社員として仕方がなかった」と顧客に白々しく述べているイメージと言えるでしょう。(ちなみに、サラリーマンであったとしても「欠陥商品を売れ!」と言われたら気骨のある人物は退職届を出します。会社員云々と言い訳する議員には日本の会社員を舐めんなよ!と言いたい。)

これらの議員は「政党幹部に良い顔するために自分に投票してくれた有権者を政党組織に売り渡した」だけです。有権者を代弁する議員としての役割を何ら果たそうとしなかったペテン師のようなものです。

今回の選挙では、政党に粛々と従った人の他に、候補者選考に明示的に反対した人や沈黙しつつサボタージュした人、様々な対応をした議員もいました。自らに投票してくれた有権者に対して真摯であった人々は政党から無理強いされた候補者を有権者に出まかせを述べて推薦することは行わなかった、と思います。

組織人・会社員に例えて自らの責任回避を強調するミニ・アイヒマン議員問題

責任回避のために組織人・会社員に例えて自らの立場を強調する人々は議員を務めるべきではありません。なぜなら、この人々は自らの政治的責任を「他責化」することに疑問を持たない人たちだからです。

どのようなおかしな決断であったとしても「組織が命令したことだから」という理由で正当化できると思っているなら、ナチスの強制収容所にユダヤ人を送り続けたアイヒマンとほとんど変わらない思考の持主だと言えます。

この人たちは「党幹部がこう言ったから」とか、「首長がこう言ったから」とか、自分の政治行動を他人の責任にして生きていくつもりでしょうか。何かの間違いで首相になったとしても「時代がこうだった」とか、「アメリカがこう言っている」とか、自らの意志と責任を捨象して様々な言い訳を作り出すだけの人々であることが今回の対応から如実に分かります。

政党を離党したり・幹部に抗議したりすることが難しかったとしても、候補者選定の責任を問う有権者に対して「候補者を推薦した所属組織の一員として自らにも有権者に責任がある。」とすら述べない議員は、いったいどこの方向を向いた仕事をしているのでしょうか?

筆者が危機的だと思うことは「理屈にならない理屈」を述べて、有権者からの付託を軽視する議員が本当に現われてきている点です。自らの置かれた現実的な立場が大前提となる大義を飛び越えることに何ら疑問を持っていない時点で相当やばいと言えるでしょう。

有権者に攻め立てられて苦しくなったとき、これらの議員の安易に組織のせいにして自らの責任を回避しようとする態度はミニ・アイヒマンの称号に相応しいと思います。

今一度、自分たちが誰の投票によって選ばれているのか、という物事の大原則に立ち返って自分自身の発言を見直してほしいものです。

服従の心理 (河出文庫)
スタンレー ミルグラム
河出書房新社
2012-01-07






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yuyawatase at 03:31|PermalinkComments(0)