国内政治

2017年03月22日

百条委員会で感じた「豊洲」とは関係ない話

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豊洲の地下水汚染にはほとんど関心がない筆者が思うこと

豊洲新市場の地下水汚染と東京ガスとの土地売買契約を巡る経緯に関する石原氏と浜渦氏に対する百条委員会が終りました。かつての大物知事と辣腕副知事が登場してなかなか見応えがある質疑が成されたものと思います。

しかし、筆者は「豊洲新市場にさっさと移転したら良いんじゃないの」 派なので、百条委員会で石原氏らに環境基準が意味がなかったことを認めさせる一定の意義は認めつつも、質疑内容とは正直言って全然関係ないことが気になってしまいました。

2005年の百条委員会で偽証認定されて辞任した元副知事が天下りしている事実

浜渦氏は副知事時代に議会にやらせ質問を依頼したことを問われた2005年に行われた百条委員会で「偽証」を認定された方です。つまり、百条委員会での偽証なんぞナンボのもんよ、という胆力を持った方ということになります。

結局、浜渦氏は偽証認定されたことで都議会で問責決議を受けて副知事を辞職することになったのですが、まさかその直後に「東京都の第三セクター(東京都交通会館)に副社長になった」とは驚きました。

東京都における議決機関である都議会で「偽証」し「問責決議が可決された」人物に天下りを認める東京都とはどれだけ腐敗した組織なのか、と率直に思います。私自身は浜渦氏が辣腕な方だと耳にしたことはありましたが、副知事以後のポジションは知りませんでしたので、正直言って唖然としました。

石原慎太郎氏が百条委員会で問われるべきは「新銀行東京」の末路ではないのか

石原氏が百条委員会で問われるべき問題は新銀行東京の内実でしょう。新銀行東京は議員の口利きやヤクザものなどによって都民の税金が食い物にされたと噂されている事例です。その杜撰な経営について石原氏に対する住民訴訟も起きています。

筆者としては、本件は納税者の血税を政治家が浪費した最たる事例であったように感じています。豊洲新市場よりも政治責任を問われるべきものであり、その設立からの経緯を徹底的に見直されるべきものです。そして、二度と政府が金融という愚策に新たに手を出さないようにする戒めとすることが重要です。

石原慎太郎氏には百条委員会で今度は新銀行東京の顛末についてじっくりと語って頂きたいものだと思いました。

今回の豊洲に関して、今までの証言をそのまま信じるならば、都知事・副知事が与り知らぬところで、都民に不利益な契約内容を結んだことが明らかになったわけですが、そのようなガバナンス上の問題が発生しないようにすること、更に政治家の都合で新銀行東京のような大失敗が二度と発生しないようにすることをもう一度確認するべきです。

政治家は60歳程度を限度に定年したほうが良いということ

石原慎太郎氏が脳梗塞を患って体調不良のため、彼の百条委員会は1時間で終了しました。その上、非常に明瞭に記憶していること、記憶から無くなってしまったこと、が混在しており、高齢になっても自分に都合が良いことは覚えているものだなと人の記憶の在り方に感心させられました。

しかし、東京都知事のような重大な意思決定を為す要職についていた人が職責から退いて僅か数年で全ての記憶が無くなってしまうことは問題でしょう。日常的に忙しくて過去のことは忘れてしまうのも理解できますが、具体的な証言や資料が出てきたら思い出すことも多いのではないかと思います。

そこで、首長職などの重要な職責を担うポジションの人は比較的健康体である60歳くらいまでを上限に設定するべきなのだろうと思いました。高齢化社会以前は何歳の人でも要職に座っても良いということは道理がありましたが、現状のような長寿社会では少し非現実な気がします。

立候補に制限をかけるわけにはいきませんので、有権者は投票判断に際して「年齢」というものをもう少し気にしても良いのではないかと感じました。

石原都政に関する検証、その失敗を繰り返さないために

石原都政は長期に渡るものでしたが、久しぶりにその流れにない都知事が誕生したことで、石原都政の功罪について徹底的に検証を加えて反省材料にすることは重要なことのように思います。

石原氏には財政健全化などについては一定の功績はあったと思いますが、東京都の隠蔽体質・官僚体質、放漫な財政運営、政治家による口利きなど、注目が集まっているうちに全て掃除することが大事でしょう。

百条委員会を見ながら、一時代の終わり、そしてその反省の必要性を感じてしまったわけで、同委員会はそのための象徴的な意味はあったかなと思います。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。

 

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2017年02月04日

都議会の「真の改革派」を見分ける簡単な方法

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千代田区長選挙を通じて都議会議員が「改革派」だらけになった(笑)

アゴラでの千代田区長選挙に関する関係者の論争で、知事与党である都民ファーストの会も最大野党である自由民主党も、都と区のあり方について「我こそが改革派」であることを宣言する事態に至りました。非常に喜ばしいことです。

<都民ファーストの会>(*正確には伊藤区議は都民ファーストの会ではないと思うけども。)

なぜ区長選挙が「東京大改革を進めるか、止めるのか」を問う闘いなのか?都と基礎自治体の関係から考えてみる(音喜多駿・都議)
千代田区長選、与謝野氏当選ならドン勢い。特別区にも影響。(伊藤陽平・新宿区議)
内田茂氏は都民ファーストだと言い張る川松自民都議へ公開質問状(伊藤陽平・新宿区議)

*過去記事(音喜多都議)
舛添前知事がトーンダウンした児童相談所の特別区(23区)移管を実施し、社会的養護の充実を!
東京都の「区」と「市」の違い、言えますか? -大阪都構想、特別区の正体-

<自由民主党>

小池支持者も驚愕、千代田ファーストは内田茂都議の政策だった⁈(川松真一朗都議)
公開質問への回答+都議会改革は私がやる!(川松真一朗都議)

都区制度改革に対する「改革派」かどうかを測るための指標とは何か

政治家というものは選挙の時には演説などで嘘八百をつくものであり、まして他人の選挙なんてものには何の責任も取らないわけです。しかし、幸いなことに音喜多都議と川松都議はもうすぐ「東京都議会議員選挙」の審判を受けるわけであり、有権者から声を上げて求めれば「本物の改革派」かどうかを知ることができます。

そこで、筆者からは都区制度改革における改革派か否かを測る指標を提示したいと思います。東京都と特別区は普通の地方自治体同士の関係ではなく、歴史的な経緯によって東京都は基礎自治体が本来は持っている権限を特別区から取り上げている形となっています。

ただし、一般的には住民に近い地方自治体が住民サービスを行うほうが安価で質の高い公共サービスを提供できることは明らかです。しかし、残念なことに東京都と特別区は東京都からの事務移管について長年話し合ってきていますが、近年は両者のすれ違いによって事務移管はほとんど行われていません。

東京都議会議員選挙の前に音喜多・川松両都議は改革派として「都民ファーストの会」と「自由民主党」から「東京都から特別区の事務移管の項目の一覧表」を公約として提出していただきたいと思います。

東京都と特別区の事務方の会議が暗礁に乗り上げてお互いに責任を擦り付け合っている現状を踏まえた場合、都議会が政治的な主導権を持って都区制度改革に着手すべきです。

有権者はこの一覧表の個数及び実際に実行された事務移管数で「改革派か否か」を簡単に測ることができます。もちろん、事務移管の一覧表すら提出しない政党は「抵抗勢力」以外の何物でもありません。

都区制度の新たな区割りなどは事務移管の問題が進展していくことで自ずと解決することになります。まずは東京都が自ら権力を手放せば良いだけのことです。

真の「身を切る改革」とは権力を手放すことができるかどうかだ

最近では「身を切る改革」という言葉で「議員報酬を減らす」という政治的なパフォーマンスが実施されることが多い状況があります。この手の話は政治的な支持を高めるには良いのですが、本質的な意味ではほとんど意味がありません。

都議会議員が給料を減らしても権力の源泉である東京都の事務権限を手放さないなら、都議会議員は政治献金で幾らでも後から減額した議員報酬分の資金を回収できるでしょう。一時的な減俸などは権力を持つ人々にはどうでも良いことでしかありません。

真の「身を切る改革」とは目の前に転がっている権力を自ら手放すという決断ができるかどうか、です。東京都から様々な事務権限を特別区に移す、または廃止・民営化することができる都議会議員だけが改革派を名乗る資格があります。

与野党の双方の過去記事において、都民ファーストの会は幹事長が改革派だと名乗りを上げ、自民党都議は政党のドンである内田茂氏が改革派だと主張しました。

是非ともこれらの都議会議員には有権者に自らが改革派である「証拠」を見せてほしいものです。「東京都から特別区の事務移管の項目の一覧表」を出すことすらできない都議会議員など必要ありません。

<渡瀬裕哉(ワタセユウヤ)の最新著作のご紹介>

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2017年02月01日

音喜多都議・都民ファーストの会幹事長の真価を問うポイント

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音喜多都議会議員の真価を問うポイントとは何か

千代田区長選挙を巡る姿勢について音喜多都議の政治姿勢、過去のブログ記事に関する矛盾点を指摘する記事が出ており、公職にある人がネットで情報発信し続けるということは色々な意味で大変だなと感じています。

議員の発言が検証されることは良いことだと思いつつも、今回の事例にビビって他の議員の情報発信が益々行われなくなることを危惧しています。

筆者は彼の情報公開に関する姿勢を非常に評価しており、議員の議場以外での過去の発言も多面的に検証される対象となってきたことは民主主義の進歩ですから、音喜多都議には今後とも積極的に情報発信を行い続けてほしいと考えています。

真価は「都民ファーストの会」の「党綱領」と「党則」で問われる

さて、今後の音喜多都議の真価を問うポイントは幹事長としての手腕にあると思います。

都民ファーストの会は、既に公認候補者が存在しており、千代田区長選挙でも現職を推薦しているにも関わらず、依然として党綱領も党則も発表されていません。そのため、現状では理念なき野合だと批判されても仕方がありません。

音喜多都議が幹事長として早急に実施すべきことは、政党として目指す姿を示す「党綱領」、そして政党の運営をルールである「党則」を創り上げることです。

(注記:報道によると、政治団体・都民ファーストの会は地域政党として活動するとのことで、所属議員は3人しかいないので、筆者は都民ファーストの会 都議団幹事長と地域政党の幹事長は同一のものという前提で書いています。この辺りから定義もしっかりしてほしい。)

音喜多都議はまだ1期目にも関わらず過去にルール不備だらけの政党のゴタゴタに巻き込まれてきており、ワンマン政党の脆弱さと健全な政党運営を行うための仕組みの重要性を認識しているものと推測します。

今後、様々なステークホルダーが党運営に関わることになると思いますが、その際に政党としてのルールが無ければ早晩同じように潰れることになるでしょう。したがって、都議選の前哨戦である千代田区長選挙は早々に片づけて幹事長としての最初の仕事に着手するべきです。

また、政党としての党綱領も基本政策も存在しないにも関わらず、希望の塾から公認候補者や政策立案スタッフを選ぶ姿勢は野合そのものなので控えるべきです。

形だけの幹事長になるのか、実質の伴った幹事長になるのか

政党にも様々な形がありますが、政党の番頭である幹事長は政党の公認権と予算の両方の決定権を持つことが重要です。

政党に所属している議員(自分より期数が多い)をコントロールするためには、都議選公認段階で党綱領や政党の公約への忠誠を所属候補者らに確約させる必要があります。

現在の不透明な公認プロセスを改めて透明性を高めるとともに、次回の都議選挙時には予備選挙を導入して当選議員の既得権化を防止するべきです。

特に選挙に勝つために政党を移籍してくる候補者らが大半でしょうから「公の場」での血判状にサインさせることが重要です。

さらに都議選後に所属議員の離反が相次ぐことが予想されるため、政党の予算や議事決定の在り方などで幹事長の主導権を握る形にすることも必要です。

議員は政党と有権者を平然と裏切るものであり、当選1期目の議員が手練手管の都議会議員らを相手に幹事長の重責を果たすなら所属議員の言動を縛る強いルールが必要です。

上記の内容を党則に実装できるかどうかで、音喜多都議が当選するための小池追従なのか、それとも自らが信じる政策を実行するための現実的な判断なのかも分かってきます。

既に当選1期目の陣笠議員の領域を超えているということ

音喜多都議が語った理想と現実の話は既に当選1期目の陣笠議員の枠を超えているものです。もちろん、政党の幹事長ですから陣笠議員ではないのは明白であり、彼の意志は政党運営の結果として都政に反映されていくことになります。

都民ファーストの会は入社数年目の社員をいきなりCOOのポストに据えたベンチャー企業みたいなものであり、社内体制もまともに構築されていない成長中の組織だと言えます。そのため、音喜多都議には最前線で千代田区長選挙の応援を実施しつつも、新政党の経営陣としてやるべきことをやることを望みます。

音喜多都議に対する評価は一都議会議員としての言動に対する評価も問われるべきですが、小池都政という有権者から一定の期待を持たれている政党の幹事長としての経営手腕で問われるべき段階となっています。

何度も政党が壊れていく姿を見続けてきた経験を活かし、上の世代の人々が私利私欲に惑わされてまともに運営することができなかった新党の運営という大事を成し遂げてほしいと思います。

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2017年01月14日

まだ「イアン・ブレマーの世界の10大リスク」を信じてるの?

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まだ「イアン・ブレマーの世界の10大リスク」を信じてるの?

毎年年初になると、イアン・ブレマー率いるユーラシアグループから「世界の10大リスク」が発表されます。しかし、2016年に彼らが予測した世界の10大リスクは、彼らが抽象的な表現ではなく明確な結果を予言したもの、については悉く外れることになりました。

その最たる事例はリスク・もどきとして扱われた「ドナルド・トランプは共和党指名候補者になることはなく、万が一指名候補になってもヒラリー・クリントンには勝てない。」です。

結果は誰もが知っている通り真逆のものとなり、彼らが議会と裁判所を説得できないと主張した「イスラム教徒の入国禁止」「国境に壁を建設」「数兆ドルの税制改革」の3つのトランプの予備選挙での発言のうち、国境の壁と税制改革は共和党の政策綱領に取り入れられるに至っています。

また、10大リスクに掲げられた各項目は非常に抽象的であり、どれも当たっているとも外れているとも言えるような内容によって構成されています。そのため、2016年で明確に当たり外れが判断できることは「ドナルド・トランプ大統領誕生」のみです。

他にもBrexit、トルコ・クーデター、シリア情勢の悪化など、諸々様々なことがありましたが、2016年の世界的な出来事の中で、ドナルド・トランプ大統領誕生、よりもインパクトがあるとは到底思えません。

ドナルド・トランプに対する偏見に基づく2017年の世界10大リスクは信用できない


イアン・ブレマー氏のユーラシアグループは2017年1月3日に、2017年の世界の10大リスク、も発表しています。そのうち、3つまでがトランプ大統領および共和党勝利に関するもので占められています。つまり、これはイアン・ブレマー氏と同グループのトランプ氏に対する偏った見解が如実に現われていると言えるでしょう。

1. INDEPENDENT AMERICA、6. CENTRAL BANKS GET POLITICAL、7. THE WHITE HOUSE VS SILICON VALLEYなどです。つまり、トランプが孤立主義的になり、中央銀行に介入し、シリコンバレーと対立するというものです。

しかし、現実は全く異なる様相を示し始めています。トランプ氏が指名したティラーソン国務長官やマティス国防大臣はグローバルな課題に積極的に関与し、米国の意図を明確にすることを強調しています。

また、そもそもトランプのAmerican FIrstやMake America Great Again、というキャッチフレーズを孤立主義だと解釈しているのは、リベラル派の一部知識人のみであり、トランプ氏は再三に渡って、中国の安全保障上の問題や中東におけるISの問題などにロシアなどと強調した対応を行うことを明言してきました。

中央銀行への関与については、トランプ氏は当選以来全くFRBについて触れていません。米国の経済環境は回復基調にありましたが、昨今発表されている経済指標からは本年もその傾向が続くかどうかは分からず、トランプ氏が利上げを積極的に邪魔をしなくても積極的な利上げが行われるかは分からない状況です。

また、中央銀行の意思決定の不透明性は以前から共和党からも問題視されており、その意思決定の恣意性を排除するために中央銀行への監査の仕組みを整えることが主張されています。これをもって中央銀行への政治関与の強化ということができますが、むしろ中央銀行の裁量的な金融政策の政治性を排除するための改革であると看做すべきでしょう。

最後に、トランプとシリコンバレーの対立についてですが、トランプとシリコンバレーの住人との対立関係は大統領選挙期間中の話であり、今後は修復されていく可能性が高いものと思います。

トランプ氏の政権移行チームにおける約4000人と言われる政治任用ポストの差配を握ったのは、新駐日大使に指名されたウィリアム・ハガティ氏であり、彼はシリコンバレーでプライベートエクイティを経営していた投資家です。それ以外にも当初は対立していたシリコンバレーから政権への協力者が次々現れています。

また、IT企業の海外における留保利益を国内に還元する際の課税を著しく引き下げるなど、同業界に対する経済的なプロフィットをもたらすことも行われています。トランプ氏は海外に蓄積された留保利益が国内に還元し、投資や雇用が産み出されることによって大いに満足するものと思われます。

更に、イアン・ブレマー氏はTwitterで「Trump almost surely unaware of Taiwan-China sensitivities before taking President's call. They don't yet have Asia expertise on team.」と述べています。簡単に言うと、トランプのスタッフにはアジア政策の専門家がいないから細かいことが分からないのだ、と述べていましたが、祭英文とトランプを仲介した人物はヘリテージ財団のフェローで台湾問題の専門家のイエーツ氏です。イアン・ブレマーとは方向性が違うかもしれませんが、ヘリ―テージは有力なシンクタンクで同氏が専門家であることは間違いありません。

以上のように、イアン・ブレマー氏が選んだリスクのうち、トランプ政権に関するものは1月14日段階で既に的外れの状況になりつつあります。少なくとも米国政治に関する見通しについては同グループの見解は必ずしも信用できるものでは無さそうです。

ただし、世界中における地政学上の政治動向に影響を与える米国政治の動向に関する考察が正確ではないということは、世界中の政治現象に対する見通しが間違っている可能性を示唆していますが。。。

2017年の真の世界のリスクは、リベラルな知識人の現実社会からの遊離、だ

2017年の世界におけるリスクは、欧米のリベラルな知識層の世界認識と現実の世界状況の間に齟齬が生じ、その情報を摂取している先進諸国の人々の認識が歪められることです。

その最たる事例が2016年のドナルド・トランプ大統領誕生であり、その選挙戦を通じて欧米のメディアや知識人への信用が著しく低下することになりました。

本年においてもそれらの人々の現実から遊離した民衆に対する傲慢な態度は継続したままであり、既存の知的な権威の凋落は留まることを知らないでしょう。たとえ、彼らは民衆と同じ事象を目の前で見たとしても、古びた理想主義と大衆への侮蔑に満ちた空想の世界にいざなわれてしまうからです。

そして、欧米のリベラルな知的権威の衰退は、そのまま非西欧社会の思想的な指導者の力の増加に繋がります。たとえば、イスラム世界における宗教指導者の台頭などの背景に欧米の知的権威の衰退と合わせ鏡となっているのです。

現状のまま欧米の知的権威のポストにリベラル勢力による非現実な集団が留まり続ければ、世界の混乱は一層進むことになるでしょう。もはや古びたポリティカル・コレクトネスを後生大事に大切にするだけの人々は、世界の変化には実質的についていけなくなっているのです。

米国が置かれている環境はオバマ政権時代に極めて厳しい状況に後退しており、空想的な知識人ではなく、同国の真の主力であるビジネスマンと軍人などの実務者が投入される政権が誕生しています。

私たちも世界における環境の変化を直視し、新しい世界に順応する努力を行っていくべきです。


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2017年01月11日

新駐日大使・ウィリアム・F・ハガーティとは何者か


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(AP)

新しい米国大使・ウィリアム・F・ハガーティ氏とは何者なのか

オバマ政権のキャロライン・ケネディ駐日大使が皇室への離任の挨拶を終わらせました。

各国大使ポストは論功行賞などの情実任用のポストとして使用されることが多く、元大統領の縁故として名前に世界的な知名度はあるものの、トランプ氏から能力に見合っていない人事として批判されるなど、ケネディ駐日大使はお飾りの情実ポストの典型であったように思われます。

一方、 トランプ政権が新たに日本に派遣する新駐日大使・ウィリアム・F・ハガーティ氏は、ケネディ大使とは似ても似つかない本格的な実務派人材です。日本のメディアでは「知日派」という相変わらず無意味な紹介ばかりなので、今回は同氏の経歴・背景をもう少し詳しく掘り下げながら、トランプ政権の対日政策の方針を読み解きます。

トランプ政権で政治任用ポストを割り振るポストを担った人物

ハガーティ氏はトランプ政権の選対幹部として活躍した人物であり、トランプ政権の政権移行チームにおいて政治任用ポストを割り振るポジションについていました。米国では大統領が変わる度に約4000人の政府関係の役職者が交代することになり、その中でも重要な役職は政権移行チームが検討を重ねて任命することになります。

同氏は2012年大統領選挙ではロムニー氏を支えるスタッフとして役割を果たし、2016年大統領選挙における共和党予備選挙でブッシュ氏を当初はサポートしていました。しかし、ブッシュ氏の予備選挙撤退に伴い、途中からトランプ陣営に参加する形となっています。したがって、共和党関係者に関する幅広い人脈を持っているこ
とで、政権移行チームにおける人事担当という重要な役職に就任したものと思われます。

華やかなキャリアを誇る米国の最強のビジネスマンの一人

Hagerty Peterson & Company, LLC  というプライベート・エクイティバンクの創業者であり、同社はテネシー州のナッシュビルとシカゴにオフィスを構えています。テネシー州のサッカーチームを始めとし、保険会社、銀行、病院、ホテル、などのボードメンバーを務めており、マルチタスクをこなす非常に優れた人材です。

そして、同氏を語る上ではテネシー州との関係を外すことはできません。米国は超学歴社会であり、同氏は米国屈指の名門校であるヴァンダービルト大学で優秀な成績を修め、「Phi Beta Kappa」のメンバーとなっています。Phi Beta Kappaとは米国における成績優秀者の会のようなもので、真のエリートが所属することができる組織です。その後、同大学ロースクールに進学してLaw Reviewを作成するなどの圧倒的なパフォーマンスを発揮しました。

ハガーティ氏の最初のキャリアはボストン・コンサルティング・グループ(BCG)であり、世界5か国に渡ってヘルスケア、金融、消費者サービス、メディア、技術などの多岐に渡る分野のコンサルティングをこなしてきました。同社勤務時代の最後の3年間を日本で過ごしたことが知日派と言われる理由となっています。

その後パパ・ブッシュ政権時代にホワイトハウスのスタッフを務め、国際通商問題などを担当し、副大統領に対するレポーティングを行う仕事についています。ホワイトハウス勤務後はシリコンバレーとかかわりを持ち、プライベートエクイティを創業し、投資先のMapquest社(現在はAOL傘下)を上場させるなどの手腕を発揮しました。その後もハンズオンの投資を心がけ、数々の企業の経営に参画してイグジットまで繋げることに成功しています。

テネシー州への日本からの投資誘致に貢献した実績

2011年にはテネシー州の知事の下で経済開発庁コミッショナーとして、貿易、雇用、経済成長に関する問題に取り組むとともに、米国議会、財務省、商務省、通商代表部、中小企業局などに対する提言などを定期的に行ってきています。同氏の手腕が発揮されたことで人件費・予算が大幅にカットされるとともにアカウンタビリティーなども飛躍的に向上したとされています。

テネシー州での在任期間中、経済開発庁内に貿易に関する新たな部門を設立し、日本・米国東南部の代表団のトップとして活躍しました。この際、日産、カルソニックカンセイ、ブリジストンなどの同州への誘致に成功するなど、15bilionドル以上の投資と9万人の雇用を確保することに成功しました。テネシー州に進出している日本企業は180社以上に上り、同州への海外からの直接投資の約半分は日本によるものとなっています。

トランプ氏の政権移行チームには、米議会日本研究グループに所属するマーシャ・ブラックバーン・テネシー州下院議員も参加しており、ブラックバーン議員は来日時の感想として日産・テネシー州の未来について熱く議論を交わした旨を述べています。これらの人事から米国政府の対日交渉はテネシー州人脈がキーになっていくことが分かります。ちなみに、日産ではなくトヨタがトランプ氏のTwitterの標的になったのも、このあたりが関係しているのではないかと邪推してしまいますね。

メディアなどは前述のBCG時代の在日3年間で知日派としているピンボケ報道ばかりでしたが、実際にはハガーディ氏は対米投資誘致の関係で日本との関係はかなり太いことになります。

トランプ政権は日本にビジネス目的でやってくる

上記の経歴から、キャロライン・ケネディ駐日大使からウィリアム・F・ハガ―ティ氏新駐日大使に人事が交代する意味がお分かり頂けたかと思います。一言でいうと、日米関係は従来までの牧歌的な時代は終わり、これからはシビアなビジネスの時代になるということです。

米国国内で雇用を作るために様々な直接投資案件を提案してくることは当然であり、二国間通商条約なども大胆な形で進んでいくことになることが予測されます。

トランプ政権が保護主義であるという理解は誤解であり、教条主義的な自由貿易礼賛論ではない現実的な実務的交渉がメインになって進んでいくことになります。結果としては、両国の貿易・投資関係は一層進展していくことになることは想像に難くありません。

新しい大使を迎えてビジネス上の成果をお互いにどのように出していくのか、日本側もビジョンと行動力があるビジネスマンが外交交渉の窓口に立っていくことが望まれる時代になったと言えるでしょう。



モビリティー革命2030 自動車産業の破壊と創造
デロイト トーマツ コンサルティング
日経BP社
2016-10-06






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2017年01月06日

神社やお寺はベビーカーや車椅子を断っても良い

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神社やお寺は誰のものかという基本的な問題認識の欠落

初詣でベビーカー自粛を呼び掛けていたお寺が炎上した上に、お寺にはお寺なりの事情があったことが発覚した事案について、私たちはもう少し根本的な問題認識を深めるべきだと思います。

お寺は公益法人であるために、完全に私的な宗教施設とは言えないものの、基本的にはお寺の檀家さんのためにあるものだと理解するべきです。そのため、寺院が日常的に敷地の一部を一般公開していることは、多くの人に信仰に触れる機会を提供するためにあえて行っていることに過ぎません。

したがって、お寺が安全上の問題などでベビーカーや車椅子の自粛を呼び掛けたところで、それについて第三者が喧しく意見を言うことが自体が間違っており(どうしても発信したいならそれでも良いですが)、まして少子化問題と結びつけて行政府・立法府の見地から対応を求めることは論外だと言えます。

この問題はお寺がベビーカー自粛に至った経緯を知らなかった、というよりも、私的領域に対して行政府・立法府が無暗に介入するべきではないという大原則が守られなかったことに起因しています。(したがって、警察がベビーカー自粛をお寺に要請した云々を知らなかったという経緯はある意味どうでも良いのです。)

私的な存在に対して政治家や政府が行為を求めるときは法的根拠を持つべき

本件の事例を引き合いに考えると、他に幾らでもガラガラの神社やお寺は存在しているわけで、檀家でもないような人々のためにお寺が配慮する必要性は全くありません。神様は神社などにもいるわけで、そっちに行けば良いだけのことなのです。

初詣の時期に宗教施設という私的な空間がたまたま公開されているだけにも関わらず、政治家や政府が法的根拠もなく対応を求めることは間違っています。

お願い事または相談事という形式を取らず、政治家や政府が私的な存在に対して「どうして〇〇になっているんだ、改めろ」ということがそもそも政治的にも間違っているのです。

たまたま近くに住んでいたからとか、大きな神社やお寺だから、と正月にだけ初詣に行く人が特別な待遇を受けなくても当たり前です。むしろ、お寺側の方針によってそれらの対応の是非は決まるものであり、初詣ベビーカー自粛も何を優先すべきなのかを検討した上での配慮だと言えます。

お寺は初詣場所の提供者ではあるものの、仮に死亡事故などが発生した場合、宗教施設としての運営に支障が生じる可能性があり、住職の方が檀家さんにご迷惑をかけることになるリスクを避けることは当然です。

初歩的な確認事項として、5W1Hを確認し、誰がどのようなリスクを負担しているのかを認識すべきです。本件であれば、参拝者同士の事故などの発生について、他の参拝者と寺院がリスクを抱えています。

何でも社会問題と結びつけて政治家や政府の私的空間への介入を正当化すべきではない

ベビーカーや車椅子に優しいとか優しくないとか以前に、それが大事だと思うなら自分で神社やお寺の氏子や檀家になって対応を求めるべきだ、ということです。

たしかに、神社やお寺も初詣は重要なビジネス機会ではあります。しかし、初詣の対応の在り方にだけ文句がある人は、普段は神社やお寺を何とも思っていないのに正月だけクレーマーになる自分がおかしいと自覚するべきでしょう。

手厳しい物言いかと思いますが、今回の一件は少子化や障がい者差別などの社会問題と結びつけて、政治家や元政府関係者が己の全能感を満たそうとする性が表れたものに過ぎないと思います。

たとえ一見して理にかなっているように見えたとしても、私たちの社会の大前提である私的自治に対して政治家や政府が安易に口を挟む行為を認めるべきではなく、政治家や政府関係者はそれらの行為を厳に慎むべきです。

社会における他者からの寛容さとは、お互いの立場を理解した上で迷惑をかけない範囲で合理的に行動することであって、自らの権利を無理筋で通そうとすることではないのです。



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2017年01月04日

悪いポピュリズムと良いポピュリズム

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議会制民主主義の限界について

観念的に言えば、民主主義は多数決で物事を決めるプロセスであり、自由主義は個々の意見を尊重する考え方(小さな政府に繋がる)のことです。

議会制民主主義は議会における議決によって民主主義を担保し、議会における自由な質疑応答によって自由主義を担保してきました。しかし、行政国家化によって議会自体が骨抜きにされることによって、議会は行政当局による法案の追認機関と化してきました。

行政権を見張るはずの立法府は政府からの利権を求める行政府に陳情を代弁するだけの組織に堕しており、議会制民主主義は既に死に体であるということも間違いありません。

したがって、政治的な意思決定と切り離された人々の苛立ちが高まることによって、世界中でポピュリズムが発生していることには同意します。そして、それらは議会制民主主義というよりも直接投票による大衆の歓呼によって出現しやすい状況となっています。

この状況はナチスドイツが出現した際にも見られたものであり、この大衆の歓呼をしてポピュリズムと看做すのであれば、ポピュリズムが危険なものであることは同意します。

悪いポピュリズムと良いポピュリズム

しかし、既に行政国家化とそれに反発するポピュリズムの発生という政治的状況について、私たちはそれらから逃れることはできません。この状況は所与のものであり、その中でベストを尽くすことを考えていくべきだと思います。

したがって、悪いポピュリズムと良いポピュリズムは何か、ということを考えることが重要です。

筆者が考える悪いポピュリズムとは、行政国家が残されたまま、為政者が民衆の願望を叶えるために、政府組織・権限を際限なく肥大化させていくタイプのものです。つまり、ナチス・ドイツが典型的な行政国家ということになります。

現在の日本も与党も野党も「空気を読みながら」バラマキ・増税志向の大きな政府を志向しているので、既に議会制民主主義は死んでいて静かなポピュリズムが進行しているとも言えます。日本では、政府に対する自由とは何か、ということがほとんど政治的なテーマにすらならい状況です。これは悪いポピュリズムの典型だと思います。

筆者が考える良いポピュリズムとは、行政国家を解体過程に乗せて民衆が自分の生活の自己決定権を取り戻すタイプのものです。残念ながら、既存のポピュリズムではあまり見かけることがないタイプではあるものの、私たちが目指すのはこちらのタイプのポピュリズムであるべきでしょう。

むろん、良いポピュリズムは、ハイエクが主張する「法の支配」のような考え方を重視するものであり、悪いポピュリズムに走らないように民衆が歴史や思想を深く理解することが重要になってきます。

少々理想的に過ぎるかもしれませんし、それが歴史上困難なプロジェクトであっても、そちらを志向する人々がどれだけいるかで人々の盛衰は変わるものと思います。

民衆の中に保守主義を根付かせることができるか

議会制民主主義がある程度機能してきた国では、民衆の代表がポピュリズムによって政権を取ったときに行政国家に対する歯止めを機能させようとする動きが出るかもしれません。

代表的な国は米国であって合衆国憲法の構造も然ることながら、合衆国憲法を信棒する米国民は必然的に法の支配を志向する傾向があるからです。

実際、米国の共和党保守派を中心に腐敗している立法・行政の双方の権限を縮小し、人々の自己決定権を取り戻そうとする主張が激しく喧伝されています。これらは良いポピュリズムとして議会制民主主義の機能を取り戻していくことにも繋がるかもしれません。

一方、欧州のポピュリズムは行政国家化が非常に進行している上に、EUによる更なる中央集権化後の社会に起きているものです。また、その国々の根幹にも自由主義や法の支配が必ずしも共有されているわけではありません。したがって、悪いポピュリズムに走る可能性が高いです。

今年はフランスなどの欧州諸国で国政選挙がありますが、その結果として極右や極左が台頭することで、EUから自己決定権を取り戻すと同時に、多くの国民が自らが選んだ為政者によって自国内で人生の意思決定権が奪われていくことを体験することになるでしょう。

悪いポピュリズムに走る国は歴史の流れの中で衰退し潰れていくしかありません。これは避けようがない現象であり、ポピュリズムは行政国家化した政府に対する一つの薬でしかなく、その結果が薬物依存患者の国になるのか、それとも健全な人々の国になるのかは、同国民の意志にかかっています。

つまり、民衆の中に保守主義を自生的に根付かせることができるかどうかが重要なのです。そういう意味で、多くの人にハイエクの隷属への道を読んでほしいと思います。


 


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2017年01月03日

東京都・小池都政の「高すぎる経済成長目標」は妥当か

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小池都政が目指す「高すぎる」経済成長目標

「東京ファーストでつくる新しい東京」という小池都政の2020年までの計画が昨年末に発表されたので、筆者も一応ざっと目を通してみました。

全体として数値目標が設定されるようになったことは良かったと思いますが、掲げられた重要な数値目標の設定についての妥当性には極めて疑問があります。

その数値目標とは2020年度・都内GDP120兆円(名目)という数字です。

計画に記載されている通り、2014年度・約 94.9 兆円基準として2020年度120兆円を目指すとなると、2015年度からの毎年の経済成長率は4%程度必要になります。実質ではなく名目であったとしても近年では全く達成できていない高いハードルだといえるでしょう。


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「都民経済計算(都内総生産等)平成27年度速報・平成28年度見込」から引用>
 
実際に、東京都が発表した都内総生産の2015年度速報・2016年度見込みを見ても、2015年度は微増・2016年度は減少しています。仮に、2016年度見込94.4兆円をベースにすると毎年名目6%以上の成長を平均して記録しなければ2020年名目120兆円を達成することはできません。

「東京ファーストでつくる新しい東京」の策定経緯

上述の「東京ファーストでつくる新しい東京」を参照したところ、概ね3回のプラン策定会議によって同計画は承認されたものと思われます。

プラン策定会議の議事録を読んでみましたが、上記の経済成長目標の数字については事務方から説明があっただけで、それを達成するための方法が十分に説明されているようには思えません。

むしろ、「数字目標を議論しながらも何も現実の数字を踏まえない会議」などやる意味があるのか、とすら思えます。〇〇を〇〇やります、的ないかにも行政的なやりっぱなし感が拭えないものとなっています。

同策定会議には事務方がズラッと並んでおり、基本的にはその場で意思決定を覆すようなものではありませんが、それでもこの会議にこの数字が出てくる前に止めるべきだったのではないかと思います。

東京都政は「霞が関のお絵描き」から一線を画すべきだ

都内総生産2020年120兆円(名目)は、アベノミクスが目標とする2020年頃にGDP600兆円を目途とする計画に合わせて、日本国の約20%を占める東京都の域内総生産を単純に割り当てただけの数字だと推測されます。

日本全体・名目GDP600兆円は現状でも極めて厳しい数字であり、日本経済が毎年3%以上の成長をする必要があり、世界経済の順調な成長とインフレの進行が前提となっています。

前者はトランプ政権による巨額の景気刺激策によって下支えされる可能性がありますが、中国・欧州などでの不安定要因も依然として大きい状況です。また、後者は日本銀行が事実上グロッキー状態であり、異次元緩和が手詰まりな状況となっています。そして、そもそも日本の名目GDP自体、最近は年間3%成長を実現できていません。

したがって、東京都が都内総生産名目・120兆円の目標を達成するためには、霞が関の非現実なお絵描きに付き合っているだけでは困難なものとなっています。

小池プランの経済成長目標を達成するために必要なこと

上記の通り、霞が関に阿る東京都官僚の非現実な絵に描いた餅を食べさせられた小池都知事は、今後都議会運営で非常に厳しい立場に立たされることでしょう。都議会議員から何かある度に同経済成長目標を引き合いに出されて未達を叱責される状況となります。

そして、小池都知事が独力で経済成長目標を達成することは、従来の延長線上の現在のプランではほぼ不可能です。筆者には上記の計画の施策を繋げてみても目標達成ができるとは全く思えません。

小池都知事が目標を達成するためには、地方交付税改革、に手をつけるしかありません。国税に繰り入れられた地方交付税を推計し、各都道府県に再配分した差額の数字を基にすると、東京都からは地方交付税という形で毎年約7兆円近い税金が流出しています。

まずは、これらのマイナスを堰き止めるべく、東京都の意見を代弁する政治勢力を都政だけでなく国政にも形成してくことが必要です。今年の都議会議員選挙で小池新党が立ち上がると看做されていますが小池都政のプランを実現するためには国政にモノを申せる力が必須だと言えます。

また、トランプ政権が打ち出す法人税減税競争は世界中の都市を新たな競争に巻き込むことになり、増税志向で動きが鈍い霞が関に合わせているようでは競争に敗北するのは必然でしょう。世界的な都市間競争に打ち勝つための東京都独自の減税・規制緩和政策を推進していく必要があります。

小池都政は既に後戻りできない数字を発表しており、小池氏が経済成長目標を達成するためには、東京ではなく日本の大改革が必要です。したがって、既に昨年末に戦いの火蓋は静かに切られていると言えるでしょう。



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2017年01月01日

2017年・民衆の時代(ポピュリズム)の本格化

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2017年・民衆の時代(ポピュリズム)の本格化

昨年はBrexit、トランプ勝利、イタリア国民投票、小池都政の誕生など、既存のエスタブリッシュメントに対する民衆の反発が先進各国で発生しました。そして、本年も引き続き、このムーブメントは他各国にも紆余曲折を経ながらも拡大していくものと思います。

主要メディアではこれらの現象を極右の台頭と定義する表面的な言説が当初は溢れかえっていました。しかし、イタリア国民投票で左派の五つ星運動が主体となっていたことで前述の偏った見方は修正されて、現在では左右の違いを超えたポピュリズムの台頭として再定義されつつあります。

2017年に予定されている国政選挙でポピュリズム側が勝利しなかったとしても、その流れは留まるわけではなく、今後も世界中に拡散し続ける流れは変わらないでしょう。世界は一部のエリートから民衆に力を取り戻すプロセスの中にあり、ポピュリズムの拡大は一過性の現象ではなく、政治的な前提として所与の状況として捉えるべきだからです。

民衆の時代(ポピュリズム)の特徴は、人々の手に意思決定権限が戻ること

ポピュリズムの拡大は国際機関や中央政府に対する民衆の自己決定権を取り戻す運動の拡大と看做すべきでしょう。これらは民衆の自立心や誇りを問うものであるということに特徴があります。

EUの中央集権的なエリート主義に対する英国やイタリアにおける拒否感は、Brexitやイタリア国民投票の結果として明確化し、EU中央からの指令ではなく自分たちの手による政治的な意思決定を重視する意思が示されました。これらの背景にはEU統合後に急速に周縁化していく主要国民の危機意識があったものと思います。

米国においてもワシントンによる中央主権的な支配、連邦政府による増税・規制強化などに対する怒りが結実し、トランプ政権の誕生(&リバタリアン党の躍進)という大きな政治的決断が行われました。米国の保守的な自由主義の伝統がオバマ・ヒラリーのワシントン政治を否定する結果となりました。

日本においても国政レベルではないものの、主要国並みの経済力を持つ東京都において、政権与党が公認する地方創生を主導した元総務大臣が都民の声におされた小池氏の前に敗れることになりました。同選挙を通じて従来までは関心が薄かった東京都民の税金の使い道に関心が集まり、オリンピック委員会などの都民の税金を食い物にする集団への批判が高まりました。(選挙以前からエンブレムのデザインなどにまつわる一般国民・上級国民問題などが文脈として存在していました。)

これらの現象は民衆の与り知らぬところで税金の使途や規制の強化が行われることへの反発という点で共通しています。したがって、ポピュリズムとは特権的なエスタブリッシュメントたちから人々に意思決定権限を取り戻す政治的な潮流といえるでしょう。

力を身に付けた民衆が時代遅れのエスタブリッシュメントに取って代わるとき

世界各国のエスタブリッシュメント(既得権者)はこれらの民衆の動きに対して激しくバッシングを加え続けてきました。筆者はこれらをインテリによるリンチとして「インテリンチ」と呼称しています。

彼らエスタブリッシュメントは、Brexitやトランプ現象に対して、主要メディアを通じて選民思想を丸出しにしながら民衆を罵倒し、民衆の意思や能力を否定することに躍起になってきました。エスタブリッシュメントにとっては、民衆がエスタブリッシュメントによる善導を否定し、自らが自分の意志で歩む姿を示すことなどあってはならないことだからです。

しかし、Facebook、Twitter、ネットメディアの発達は言論空間・政治空間の民主化を促し、一部の既得権による情報取得・伝達手法の独占状態は実質的に終わりました。そして、情報伝達の手法に革新が生じたことで、民衆側に政治的な権力のパワーシフトが起きることになりました。

既得権者は民衆の時代が到来したこと自体を否定したいor信じたくない、という態度を示し続けていますが、それらの動きは不可逆的なものであり、彼らの行為は不毛かつ無駄な努力といえるでしょう。多くの人々が恐れることは「時代遅れ」になることです。そして、エスタブリッシュメントが恐れていることは、世界が変わること・自らが時代遅れとみなされることです。

むしろ、今後は力を身に付けた民衆の中から既存のエスタブリッシュメントに取って代わる民衆と一体化した強力な政治力を持った人々が表れてくることになるでしょう。その日は決して遠いものではないものと思います。

民衆の時代(ポピュリズム)では真の民度が問われることに

ポピュリズムは排他的・保護主義的な傾向があるものとして批判され続けています。その指摘は部分的には正しいところもあります。ただし、それらはエスタブリッシュメントによる中央集権的な政治によっても発生するものでもあります。(ソ連の社会主義体制などはその典型でしょう。)

つまり、それらの主張は自分が気に入らない政治的な潮流を否定しようと思えば、見方の角度を変えれば幾らでも否定的な見解を示すことができるという事例でしかありません。むしろ、これからは民衆の時代の到来を所与として受け入れた上で「何が重要であるのか」について議論を進めていくべきだと思います。

民衆の時代では、民衆の民度が直接的にその政治のレベルとして反映されます。エスタブリッシュメントが一定のレベルの平均値を叩き出してくれる丸投げの政治は終わりを告げたということです。

エスタブリッシュメントと同様に民衆の中にも外国民との対立を煽り、陰謀論的な保護主義的言説を垂れ流す輩は多数存在しています。それらの人々が力を持つようであれば、その国・地域の政治・社会は停滞して没落の一途をたどることになるでしょう。

一方、自由で活発な社会を支持する人々が多数となれば、経済的・社会的な繁栄を得ることができることになります。そのためには、私たち自身の民度を底上げして歴史や社会についての知見を幅広く持つことが重要となります。

仮に多くの人々が自由で活発な社会の意義を理解・支持することができれば、一部のエスタブリッシュメントがそれらを指導してきた時代よりも遥かに優れた良い政治が行われていくことになるでしょう。

世界は私たちの民度が問われる時代に突入し、そのレベルによって民衆の生活水準が変わっていくことになります。徒にポピュリズムを卑下するのではなく、その良い面・悪い面をしっかりと認識した上で対応をしていくべきです。

政治が良いものになるか・悪いものになるか、私たち自身が政治の責任を他者に転嫁できない社会が訪れつつあるのです。民衆の時代に問われるのは、私たちの「真の民度」だと言えるでしょう。



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2016年12月12日

「息をするようにウソをつき続けてきた」野田佳彦・幹事長の罪

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「息をするように嘘をつき続けてきた」野田佳彦・幹事長


蓮舫・民進党代表が安倍首相との党首討論で「息を吐くように噓をつく」と揶揄しました。蓮舫氏の二重国籍に関する疑惑も当然ですが、この言葉は自党の大番頭である野田佳彦・幹事長にこそ相応しいと思います。

筆者は野田佳彦・幹事長が消費税増税という国家の重要事項の判断について、自らの主張について「大嘘」を突き続けてきており、現在に至っては完全に開き直った感じすらあります。

<街頭におけるシロアリ演説>

「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」(街頭演説動画)

「消費税1%分は、2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。

鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこがあるんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」

<国会におけるシロアリ演説(平成21年7月14日)>

加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

<直近の本会議における増税賛成演説(平成28年9月27日)>

「アベノミクスの失敗により、消費税引き上げ再延期はやむを得ない状況になってしまいました。それだけではありません。私が政治生命をかけて取り組んできた三党合意も風前のともしびとなってしまいました。まことに残念です。その発端は、安倍総理が二〇一四年秋に一回目の延期を決めて衆議院を解散したことです。消費税を政争の具にしないという魂が失われてしまいました。この再延期で、財政健全化への道のりは、より険しいものとなってしまいました。次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます。

ちなみに、過去には消費税増税反対の請願の紹介議員にもなっています。

第168回国会 1 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願
第170回国会 83 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願

以上のように、消費増税という日本経済に大きな影響を与える項目について、首相になるビフォー・アフターで180度意見が変わるとは何事でしょうか。筆者は増税の是非については様々な立場があると理解しています。しかし、このような民主主義を踏みにじる姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるとともに、現代に生きる我々も許すべきではありません。

「政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。(直近の本会議にて)」

野田氏はTPPからの撤退を主張していますが、現職総理大臣時には強烈にTPPを推進した人物の一人です。

たしかに、TPPは米国大統領に選任されたトランプ氏が撤退を表明したことで頓挫した形となっており、日本が承認手続きを経ることで相対的に前のめりの状態となっています。

そのため、TPPの国会承認を見送ることも一理ありますが、トランプ政権の発足前段階であること、現職のオバマ大統領がTPP推進である以上、日本が国会承認をしないことは道理に合わないことでしょう。実際にはTPPについてはトランプ新大統領と再交渉ということになるかと思います。(国会承認が滑稽な事態になる可能性は高いとは思いますが、日本側が国会承認を経ておく対応は妥当だと思います。)

その上で筆者が気になったポイントは、9月の本会議での野田氏の発言です。民進党がTPP賛否に云々という以前にもはや議論にするに値しない嘘つきだと思います。

<本会議での質問(平成28年9月27日)>

「私が内閣総理大臣のとき、自由貿易、FTAAP推進の基本的な立場から、交渉参加に向けて協議に入りましたが、ハードルが高く、国益を考えるとTPP交渉参加に踏み切れずにいました。そのとき、二〇一二年暮れの総選挙で、TPP断固反対、ぶれないと約束したのは、ほかならぬ安倍総裁です。政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。」


民進党は健全な二大政党政治を機能させるつもりがあるのか


筆者は嘘つき度合いは自民党も野田氏も良い勝負だと思いますが、野党の良いところは正論を述べることができる点に尽きると思っています。しかし、政権奪取時に明らかな嘘を実行して恥じず、なおかつ自らが再度当選してきた人物が幹事長にいる政党のどこに正論があるでしょうか。

蓮舫氏の政治の師匠は野田幹事長とのことですが、「この幹事長にしてこの代表あり」ということが言えるかもしれません。

選挙戦については間違ったことを言うことは往々にしてあるものと思います。しかし、国会質問及び答弁で堂々と嘘をつく行為は民主主義を踏みにじる行為であって許されるべきではないと思います。まして、自分自身の国籍について過去のメディア上での発言を平然と無視する行為も論外です。

二大政党政治が機能していくためには、理念ある二大政党が国会の質疑を通じて両党の考え方を国民に明らかにし、そして国民が投票を通じて判断を下すことが重要であることは言うまでもありません。

したがって、国会での質問内容の正常化は大前提であり、民進党はこれ以上蓮舫氏・野田氏の国会質疑を許すべきではありません。左派・右派というレベルではなく、誰でも分かる嘘つきか否かが国会の質疑の重要なポイントになる事態について一刻も早い是正措置が行われることを期待します。






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