国内政治

2016年12月12日

「息をするようにウソをつき続けてきた」野田佳彦・幹事長の罪

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「息をするように嘘をつき続けてきた」野田佳彦・幹事長


蓮舫・民進党代表が安倍首相との党首討論で「息を吐くように噓をつく」と揶揄しました。蓮舫氏の二重国籍に関する疑惑も当然ですが、この言葉は自党の大番頭である野田佳彦・幹事長にこそ相応しいと思います。

筆者は野田佳彦・幹事長が消費税増税という国家の重要事項の判断について、自らの主張について「大嘘」を突き続けてきており、現在に至っては完全に開き直った感じすらあります。

<街頭におけるシロアリ演説>

「野田総理 マニフェスト 書いてあることは命懸けで実行」(街頭演説動画)

「消費税1%分は、2兆5千億円です。12兆6千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってる。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?消費税の税収が20兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。

鳩山さんが4年間消費税を引き上げないといったのは、そこがあるんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです。徹底して税金の無駄遣いをなくしていく。それが民主党の考え方です。」

<国会におけるシロアリ演説(平成21年7月14日)>

加えて、一番国民が問題にしている天下りやわたりを実効性ある方法でなくしていこうという熱意が全くありません。私どもの調査によって、ことしの五月に、平成十九年度のお金の使い方でわかったことがあります。二万五千人の国家公務員OBが四千五百の法人に天下りをし、その四千五百法人に十二兆一千億円の血税が流れていることがわかりました。その前の年には、十二兆六千億円の血税が流れていることがわかりました。消費税五%分のお金です。さきの首都決戦の東京都政の予算は、一般会計、特別会計合わせて十二兆八千億円でございました。これだけの税金に、一言で言えば、シロアリが群がっている構図があるんです。そのシロアリを退治して、働きアリの政治を実現しなければならないのです。残念ながら、自民党・公明党政権には、この意欲が全くないと言わざるを得ないわけであります。

<直近の本会議における増税賛成演説(平成28年9月27日)>

「アベノミクスの失敗により、消費税引き上げ再延期はやむを得ない状況になってしまいました。それだけではありません。私が政治生命をかけて取り組んできた三党合意も風前のともしびとなってしまいました。まことに残念です。その発端は、安倍総理が二〇一四年秋に一回目の延期を決めて衆議院を解散したことです。消費税を政争の具にしないという魂が失われてしまいました。この再延期で、財政健全化への道のりは、より険しいものとなってしまいました。次の世代より次の選挙を重視する姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるでしょう。そのことを警告しておきます。

ちなみに、過去には消費税増税反対の請願の紹介議員にもなっています。

第168回国会 1 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願
第170回国会 83 消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願

以上のように、消費増税という日本経済に大きな影響を与える項目について、首相になるビフォー・アフターで180度意見が変わるとは何事でしょうか。筆者は増税の是非については様々な立場があると理解しています。しかし、このような民主主義を踏みにじる姿勢は、後世で厳しく糾弾されることになるとともに、現代に生きる我々も許すべきではありません。

「政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。(直近の本会議にて)」

野田氏はTPPからの撤退を主張していますが、現職総理大臣時には強烈にTPPを推進した人物の一人です。

たしかに、TPPは米国大統領に選任されたトランプ氏が撤退を表明したことで頓挫した形となっており、日本が承認手続きを経ることで相対的に前のめりの状態となっています。

そのため、TPPの国会承認を見送ることも一理ありますが、トランプ政権の発足前段階であること、現職のオバマ大統領がTPP推進である以上、日本が国会承認をしないことは道理に合わないことでしょう。実際にはTPPについてはトランプ新大統領と再交渉ということになるかと思います。(国会承認が滑稽な事態になる可能性は高いとは思いますが、日本側が国会承認を経ておく対応は妥当だと思います。)

その上で筆者が気になったポイントは、9月の本会議での野田氏の発言です。民進党がTPP賛否に云々という以前にもはや議論にするに値しない嘘つきだと思います。

<本会議での質問(平成28年9月27日)>

「私が内閣総理大臣のとき、自由貿易、FTAAP推進の基本的な立場から、交渉参加に向けて協議に入りましたが、ハードルが高く、国益を考えるとTPP交渉参加に踏み切れずにいました。そのとき、二〇一二年暮れの総選挙で、TPP断固反対、ぶれないと約束したのは、ほかならぬ安倍総裁です。政権をとったら、その舌の根も乾かぬうち、交渉参加するなど、国民にうそを平然とつく姿勢は言語道断です。」


民進党は健全な二大政党政治を機能させるつもりがあるのか


筆者は嘘つき度合いは自民党も野田氏も良い勝負だと思いますが、野党の良いところは正論を述べることができる点に尽きると思っています。しかし、政権奪取時に明らかな嘘を実行して恥じず、なおかつ自らが再度当選してきた人物が幹事長にいる政党のどこに正論があるでしょうか。

蓮舫氏の政治の師匠は野田幹事長とのことですが、「この幹事長にしてこの代表あり」ということが言えるかもしれません。

選挙戦については間違ったことを言うことは往々にしてあるものと思います。しかし、国会質問及び答弁で堂々と嘘をつく行為は民主主義を踏みにじる行為であって許されるべきではないと思います。まして、自分自身の国籍について過去のメディア上での発言を平然と無視する行為も論外です。

二大政党政治が機能していくためには、理念ある二大政党が国会の質疑を通じて両党の考え方を国民に明らかにし、そして国民が投票を通じて判断を下すことが重要であることは言うまでもありません。

したがって、国会での質問内容の正常化は大前提であり、民進党はこれ以上蓮舫氏・野田氏の国会質疑を許すべきではありません。左派・右派というレベルではなく、誰でも分かる嘘つきか否かが国会の質疑の重要なポイントになる事態について一刻も早い是正措置が行われることを期待します。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2016年11月29日

なぜ、安倍首相はヒラリーのみと会談したのか?

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<The Japan Times から引用>

逢坂誠二・衆議院議員から提出された「9月に行われた安倍・ヒラリー会談に関する質問主意書」に対する政府からの回答がありました。質問主意書への回答は政府の公式見解ということになりますが、その内容は極めて問題の根が深いものとなっていることが分かります。


衆議院議員逢坂誠二君提出ヒラリー・クリントン候補重視の日本外交の問題意識に関する質問に対する答弁書


<逢坂議員の質問>

一 安倍総理が、九月の訪米時にドナルド・トランプ氏とは面談せず、ヒラリー・クリントン氏とだけ面談した理由は何か。政府の見解を示されたい。
 
四 政府は、ヒラリー・クリントン氏の当選が濃厚だとの見通しを持っていなかったのだとすれば、なぜ首相の九月の訪米時に、ヒラリー・クリントン氏とだけ面談したのか。政府の見解を示されたい。

<政府の回答>

一及び四について

平成二十八年九月十九日(現地時間)に行われた、ヒラリー・クリントン前米国国務長官による安倍内閣総理大臣への表敬は、同前米国国務長官側の発意を受け、調整し、実現したものである。ドナルド・トランプ氏からは安倍内閣総理大臣への表敬に関する提案はなされなかったため、同氏の表敬は実施されなかったところである。

<解説>
政府は安倍・ヒラリー会談はヒラリー側からの申し出があったために調整したとしています。そして、トランプ側からは表敬の申し入れがなかったとしています。つまり、同面談が受動的なものであったことが明示されています。


<逢坂議員の質問の続き>

二 九月の安倍総理の訪米時、ドナルド・トランプ氏と面談することを意図し、政府はトランプ陣営への働
きかけを行った事実はあるか。政府の見解を示されたい。

三 政府は、ヒラリー・クリントン氏の当選が濃厚だとの見通しを持っていたのか。見解を示されたい。

<政府の回答>

二及び三について

御指摘のような事実はない。


<解説>
ヒラリーに会うために米国を訪問するにあたって、バランスを取るためにトランプ陣営に働きかけた事実はない、と回答しています。

しかし、11月11日産経新聞によると「実は日本政府はこのとき、トランプ氏側にも会談を申し入れていた。結果的に本人は出てこなかったが、安倍首相はトランプ氏のアドバイザーの一人で投資家のウィルバー・ロス「ジャパン・ソサエティー」会長と会談している。ロス氏はこのとき、こう話したという。」とされています。

政府答弁が嘘をついているのか、産経新聞が飛ばし記事を書いたのか。両方が正しいとした場合、トランプ氏に元々会うつもりも無かったが、トランプ陣営の一人でジャパン・ソサエティーの会長であるウィルバー・ロス氏には個人的に会っておこうと考えたということだろうか。

<逢坂議員の質問の続き>

五 次期米国大統領にはドナルド・トランプ氏が就任するが、この間のヒラリー・クリントン氏だけを重視した日本外交は誤った見通しに基づいていたのではないか。政府の見解を示されたい。

六 米国大統領選挙の結果が出るまでは、ヒラリー・クリントン氏だけを重視する結果となったことは、情報収集と分析能力に課題があると思われる。米国における在外公館の情報収集活動や分析、さらには日本外交の前提となる政府内での情報収集や分析能力には課題があるのではないか。政府の見解を示されたい。

七 米ソ冷戦期および冷戦終結後という時代のレーガン政権からG・H・W・ブッシュ政権の終わった一九九三年以後、米国では二大政党による政権交代が繰り返され、民主党あるいは共和党の政権が連続して三期以上続いたことはないと承知している。その事実を踏まえれば、民主党のオバマ政権の次には共和党政権が誕生する可能性は低くないということは容易に推測できる。日米外交に携わる専門家であれば、当然踏まえておくべき認識であろう。それにもかかわらず、オバマ政権の次にヒラリー・クリントン政権が誕生すると推測し、ヒラリー・クリントン候補重視の日本外交の基本姿勢には、基本的な問題意識の欠如があるのではないか。政府の見解を示されたい。

<政府の回答>

五から七までについて

政府としては、ドナルド・トランプ陣営及びヒラリー・クリントン陣営双方との関係を早い時期から構築してきたところであり、「ヒラリー・クリントン氏だけを重視」したとの事実及び「オバマ政権の次にヒラリー・クリントン政権が誕生すると推測」したとの事実はなく「情報収集や分析能力には課題がある」及び「日本外交の基本姿勢には、基本的な問題意識の欠如がある」といった御指摘は当たらない。

<解説>
両陣営に人脈も持っており、ヒラリーを重視した事実はなく、情報収集や分析能力に課題はない、基本的な問題意識の欠如もないとの回答。

上記の回答を総合して考察すると「政府としては情報収集と分析能力は万全で、ヒラリーから打診が会ったから会っただけで、トランプ陣営には何も打診せず、元々繋がりがあったウィルバー・ロス氏だけは個人的に面談した。ヒラリーを重視していたわけではない。したがって、日本外交の基本姿勢に問題はない」ということになります。

<同時期に米国を訪問したイスラエルのネタニヤフ首相はヒラリー・トランプ両方に会っている>

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比較事例として米国に安倍首相と同時期に訪問したイスラエルのネタニヤフ首相はヒラリー・トランプ両氏に会っていることも紹介しておきます。

ユダヤ人国家という特殊な条件はあるものと思いますが、大統領選挙期間中に候補者の両方に会うことが当然の対応であることが分かります。

イスラエルはイラン核合意などで米国と関係が冷え込む中で、今年3月にオバマ大統領との面会することを取りやめるとともに、大統領予備選挙に干渉する印象を与えることを避けるため、ネタニヤフ首相の訪米日程を一旦キャンセルしていた経緯があります。

しかし、大統領選挙の最終盤に機を見て敏に共和・民主両候補者に面談する機会を持ったこと、そして両候補者からイスラエル寄りのコメントを引き出したことで、同国の卓越した外交力は示されたことになります。

自らの主張を通すために米国相手に駆け引きを行い、そして見事に果実を得る外交だと言えるでしょう。

<日本政府の問題点は「判断力」の欠如だった>

イスラエル政府が情報収集・分析能力に長けており、ネタニヤフ首相の判断力が極めて優れたものだったことは明らかです。

ウィルバー・ロス氏に個人的に面談したから「手を打っていた」という言い訳のリーク記事を新聞社に書かせて国民世論を誤魔化しつつ、正式な政府答弁で答えられない程度の対応しかしていなかった国とは違います。

逢坂議員の質問主意書に対する日本政府の答弁には大きな問題があります。

仮に政府の答弁通り、トランプ・ヒラリー両陣営との人脈を構築し、ヒラリーを重視した事実もなく、情報収集や分析能力に問題が無かったなら、「まともな対応を行ったイスラエルとの差」はどこから生まれたのでしょうか。

両者の差は「判断力」の差であったということが言えるでしょう。

つまり、この問題は「ヒラリーが会いたいと言ったから会いに行った」という受動的な姿勢、自分で外交的な意思決定を判断できない、という外交姿勢以前の根本的な問題だということです。

そして、米国大統領に就任する可能性がある前国務長官に呼びつけられたら、一国の首相が慌てて訪米するような「判断力の欠如した従属外交に問題が無い」という政府答弁に日本人の誇りはあるのでしょうか。

私は一人の日本人として、今回の政府答弁の内容に驚きを覚えました。同内容を公開すること自体に疑問を持たない現政権は日本人の代表としての誇りを問い直されるべきでしょう。



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百田津田論争に見る「ヘイトスピーチ規制」慎重運用の必要性

百田尚樹

津田大介

百田・津田論争の問題の本質とは何か

筆者は百田氏の趣旨に賛同するものではありません。これはゴシップ的な推測みたいなものであり、同氏の発言に品が無いというだけの話だと思います。

ところが、この百田氏の発言に対してジャーナリストの津田氏が上記のような反応を示してTweetしたことで、本件は一気に炎上することになりました。

津田氏の主張はTwitterルール上の「特定の人種、性別、宗教などに対するヘイト行為: 人種、民族、出身地、信仰している宗教、性的指向、性別、性同一性、年齢、障碍、疾患を理由とした他者への暴力行為、直接的な攻撃、脅迫の助長を禁じます。また、以上のような属性を理由とした他者への攻撃を扇動することを主な目的として、アカウントを利用することも禁じます。」に抵触するというもの。

百田氏のTwitterがこのヘイト規制に当たるかどうかは議論があるところですが、本件では百田氏の発言を燃やすはずだった津田氏の発言もまとめて炎上するという事態が発生しています。それは何故でしょうか。

ヘイトスピーチ規制派が既に権力・体制側になっているということ

この問題の本質は「ヘイトスピーチ規制派が既に権力・体制側になっている」という自覚が足りないことによって起きています。

2016年6月に自民党すらも賛成する形で「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が施行されてました。世論調査でも依然として賛否が分かれる・どこまで「不当」とするか議論が残る法律ではあるものの、民主主義における多数決(議決)によって立法府がヘイトスピーチを許さないという意志を示した形となっています。

しかし、この法案成立によって「ヘイトスピーチ規制派は従来までのように安易にヘイト認定する」ことは慎まなくてはならなくなったことを同時に意味しています。

なぜなら、既に彼らの側には政府がついていることになり、一個人が持つことが出来ない政府の非常に強力な力を陰に陽に利用できる環境が整えられたことになるからです。

そのため、従来までのように軽はずみに他者をヘイト認定することは、逆に権力の濫用行為として国民から厳しい目にさらされることになっていくでしょう。ヘイトスピーチ規制派は法律が成立したことで自らが責任ある批判される側に立ったことを踏まえて発言するべきです。

メディアやコメンテーターのエスタブリッシュメント化への危惧

筆者も少し前にテレ朝系の番組に一つ出演させて頂いたのですが、番組趣旨としてはトランプ氏のTwitter利用を欧州各国の極右政治家(&維新の橋下氏)の利用になぞらえて問題視するものでした。

筆者はメディア出演のペーペーなので適当に呼ばれた形ですが、上記のような偏ったものの見方に合わせなければ大手メディアに出続けられないとするなら非常に残念だと思っています。教条主義的な右寄りの考え方は持っていませんが、保守派とされる人々を無理やり貶める大手メディアの報道の在り方に個人的には引きました。

大手メディアは常に反体制を気取ってきましたが、もはや額面通りにその姿勢を受け止める人は少ないでしょう。

記者クラブや政府リークを通じた御用メディア化は言うに及ばず、コメンテーターのポリコレ化について権力・体制的な既得権(エスタブリッシュメント)だと受け止めている人も多いと思います。

報道・論調として何を流す・流さない、という第四の権力を持った人々への不信が強まるな中で、メディア関係者が政府または類似の規制機関の権力濫用につながる発想を公にすることへの忌避反応が出ることは当然です。

Twitterは一私企業であるため、実際のTwitterルールの適用は同社が判断すれば良いことですが、津田氏の発言の中に、多くの人が「権力の濫用の萌芽を見た」ことが炎上原因ではないかと思います。

権力・体制側は自らの力の行使に慎重であることが求められる

もちろん、津田さんも悪意があってやっているわけではないと思います。そして、百田氏の発言もゴシップ的な要素が強かったかもしれません。

しかし、今回の件では、多くの人にとっては「著名な一個人が何を言うか」ということよりも「メディアに頻繁に登場するジャーナリストが他者の発言について規制権力(Twitter社)に適用案件であることを指摘する」ことに脅威を感じたことは確かでしょう。

上記に指摘した通り、現在の世の中は自民党ですらヘイトスピーチを規制する法を通す世の中であり、言論的な大勢は既に決まっていると言えます。

百田氏の「在日外国人云々」という趣旨に賛同する人は少数であり、大半の人は「メディアの報道内容に対する不信」「ヘイト規制が濫用されることへの違和感」を示しただけのように思われます。

従来までのようにヘイトスピーチに関して敵対者を批判する行為だけでは体制・権力側に立った後は済まないということです。

昔の自民党が野党やメディアに何を言われても鷹揚に構えていたように、ヘイトスピーチ規制派も自らの発言や力の行使に慎重になるべきだと思います。

大半の国民は、主流ではない一個人の意見よりも、政府・メディアを背景とした権力の実質的な行使(及びその示唆)、のほうが自らの自由を制約することを知っています。

体制・権力側は安易に刀を抜かないからこそ権威が付加されるものです。ヘイトスピーチを規制する側も自分たちの置かれた立場の認識の見直しが必要になっていると思います。




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2016年11月25日

北方領土・プーチンがミサイルを配備した理由

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<内閣府HPより引用>

安倍外交は国際情勢の急速な変化についていけていない

安倍外交・完全崩壊、運命が逆回転を始めた日(2016年11月16日)
トランプ氏に「借り」を作った安倍・トランプ会談(2016年11月19日)

トランプ大統領誕生後に日本を取り巻く国際情勢に関する記事を2つほど作成しました。

筆者の見解通り、11月19・20日でAPEC首脳会談でロシアは北方領土交渉に関するハードルを上げるとともに、安倍・トランプ会談でTPPをトランプ氏に直接念押ししたにも関わらず、11月21日にはトランプ氏はビデオレターでTPP離脱を再び宣言しました。

上記のような記事を公表した当日には現役・元国会議員などの様々な方々から「お前の見解はおかしい」というご指摘を頂きましたが、地球儀を俯瞰する視点に立てば筆者の見解が妥当であったこと、はその後の顛末によって証明されたものと思います。

現在、日本政府の外交的な見通しの当てが外れて、安倍首相が右往左往している姿が連日報道される状況となっています。

世界各国はトランプ大統領を前提としたプランで動き始めていますが、安倍外交はこれまでのサンクコスト(埋没費用)に溺れており、慣性の法則にはまって頭の切り替えができていないだからです。

米国の経済制裁解除がロシアのナショナリズムに与える影響

ロシアが急激に北方領土交渉で態度を硬化させた理由は、トランプ大統領による経済制裁解除の見込みが極めて高いものとなったことと密接に関係しています。

プーチン政権を支えるロジックは「反米ナショナリズム」です。しかし、米国の経済制裁が解除されることが予見されることで、プーチン大統領は自らの存在意義について改めて問われる状況が生じています。

米国からの経済制裁によってロシアは反米ナショナリズムが盛り上がるとともに、各種国内産業保護のために産業振興のための補助金をばら撒いてきました。これらのナショナリストや補助金を受けている人々がプーチン政権を支持している人々です。

しかし、米国による経済制裁解除によって、プーチン氏を支えるはずの反米ナショナリズムと産業保護のための補助金は大義を喪失することになります。反ロシアの米国と欧米の経済制裁という共通の敵が突然いなくなることで、プーチン大統領は多民族国家ロシアを統治するための新たなナショナリズムを必要とする状況となっています。

したがって、領土返還交渉は米国経済制裁という特殊条件下で発生した周回遅れの話であり、プーチン政権の関心は一歩進んだ先の出来事への対応に注がれています。

プーチン政権にとって方向性を失ったロシアのナショナリズムを無駄に刺激する領土返還交渉を進めることは好ましい選択肢ではなくなったと推測するべきでしょう。

択捉島・国後島にミサイルを配備するというロシアの配慮

北方領土返還交渉において四島返還は最初から見込めないことは明白です。たとえ、領土が返還されても歯舞・色丹の二島ということになるでしょう。むしろ、現在のロシアの国内情勢に鑑み、ロシア側からの提案は共同経済開発のみという結果に終わる可能性が極めて高い状況となっています。

ロシア軍の機関紙によると18日段階で択捉島・国後島の二島にミサイルを配置した旨が発表されています。多くの日本人は、インタファックス通信による報道がAPECの日ロ首脳会談後であったことから、同会談後にミサイルが配備されたと錯覚していますが、実際には日ロ首脳会談前に二島にミサイルが配備されていたことになります。

そのため、安倍首相の「簡単ではない」というコメントは上記の状況を踏まえた上での発言だったと推察します。(逆にミサイル配備を把握していなかったとしたら、その情報収集能力には著しく問題があると思われます。)

一方、ロシア側としては択捉島・国後島のみの軍事力を強化することで、ロシア国内のナショナリズムに配慮しつつも、日本側に領土交渉に対する希望を残すように見せる配慮を行っています。

日本の政府関係者がミサイル配備と平和条約交渉は関係が無い、とコメントしているのは、このロシア側からの間接的なメッセージに可能性を見出しているからでしょう。

安倍政権が対ロ外交で取り得る3つの選択肢について

安倍外交が取り得る選択肢は下記の3つのように思われます。

(1)領土交渉を希望的観測に基づいて推進し、ロシアとの経済共同開発・経済協力を進める。
(2)領土交渉は事実上失敗したものと看做し、ロシアとの経済共同開発・経済協力を棚上げする。
(3)北方領土に新たに配備された軍事的脅威に抗議し、北海道周辺で軍事演習を実施する。

おそらく安倍政権は(1)の路線を推進することになるでしょう。従来までの対ロ交渉は官邸主導で実施しているため、同交渉が日本国民から失敗したように見えることは政権基盤を揺るがしかねないからです。

万が一、ロシア側が領土交渉で譲歩してくることに期待したい気持ちも分かります。絶好調から急激に転び始めたギャンブラーのような状況ですが、安倍政権の思惑通りに事が上手く進めば非常に素晴らしいことだと思います。

(2)の路線は国際情勢の変化に対してある程度配慮した理性的な選択肢であるよう思います。上述の通り、トランプ大統領誕生で米ロ関係が変化することで、ロシア側の国内事情も大きく変化することが予想されるからです。

従来までの日ロ交渉のサンクコストを一旦清算した上で、新たな環境を踏まえた仕切り直しを行うことは妥当な選択と言えるでしょう。ただし、この選択肢には「安倍外交の失敗」という官邸にとってのリスクが生まれるために選択として取りづらいものと思われます。

(3)の路線は通常の国家の対応としては当然の措置です。自国領土を射程に収めるミサイルが配置されたことに抗議し、軍事力を持って対抗的措置を取ることは通常の対応です。そして、そのような強い態度こそが相手からの妥協を引き出すための交渉術だと言えます。

しかし、ミサイル配備報道後の安倍政権の腑抜けなコメントは保守政権とは思えないレベルのものであり、政権としては国民の生命・財産よりも政権の面子を優先して(1)の路線を取る方向で進んでいることが分かります。

安倍首相には「真に地球儀を俯瞰する外交」が求められている

トランプ大統領誕生が国際情勢に与える影響は極めて多層的なものであり、日米関係、日中関係、日ロ関係などの二国間外交の発想では情勢変化についていくことは困難だと思われます。

安倍外交の発想は、米国の意向を踏まえた上での二国間外交、そして対中包囲網という視点にこだわり過ぎています。およそ地球儀を俯瞰する外交とは言えず、米国の目線に配慮する外交でしかありません。そのため、肝心要の米国における政権交代が発生した変化についていけない結果となっています。

米国大統領選挙直後に安倍首相がトランプ氏に慌てて会いに行く段取りをつけている間に、ロシア側は日本との窓口であるウリュカエフ大臣を拘束しつつ、北方領土へのミサイル配備を行ってAPECでの日ロ首脳会談に備えていました。両国の間で見えている世界のレベルが違うことは明らかでしょう。

安倍首相は「真の地球儀を俯瞰する外交」を推進するために、まずは足元の首相官邸に散らかっているサンクコストを見直すべきです。




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2016年11月20日

休眠預金活用法案の法案内容に反対する

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<休眠預金活用法案とは>

休眠預金活用法案とは、10年以上使用されていない銀行口座等から資金を預金保険機構に移し、内閣総理大臣が指定した指定活用団体が預金保険機構に移された資金の運用を任されて、民間のNPO法人などに資金を助成・貸付することを求める法案です。
 
2016年の臨時国会で衆議院を通過して参議院での法案審議となっています。しかし、同法案の内容には疑問が多く、筆者はこのような新たな利権を生み出す法案が制定されることに強く反対します。

具体的には、法案中の下記の内容

・基本理念に意味が分からない都市差別条項が入っている
・利用使途が限定され過ぎて特定団体への利益誘導に近いものになっている
・約800億円と言われる休眠口座資金を扱う指定活用団体のガバナンスが極めて不透明なものになっている

に疑問を感じますし、そもそも私人間の取引に政府が介入することは控えるべきだからです。

筆者はNPO法人が民間の寄付などを通じて公益的な活動を実践していくことは大いに振興されるべきという考えを持っています。しかし、同法案を具体的に読み込んでみると、NPOを支援する健全な寄付文化や行政からの独立性などを阻害する可能性を秘めたものではないかと感じています。

以下、具体的な法案内容の疑問点について触れていきたいと思います。(法律案要綱法律案はこちら)

<休眠預金活用法案の意味が分からない基本理念規定>

休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念には、

「第一六条四 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが大都市その他特定の地域に集中することのないように配慮されなければならないこと。」

という項目が入っています。この都市差別条項は何でしょうか。この法案は地方への利益誘導を目的としたものなのでしょうか。私は東京に住んでいますが、このような条項が盛り込まれた法案には断固反対します。

同じ基本理念には、

「第一六条三 休眠預金等交付金に係る資金の活用に当たっては、これが預金者等の預金等を原資とするものであることに留意し、多様な意見が適切に反映されるように配慮されるとともに、その活用の透明性の確保が図られなければならないこと。」

と書いてありますが、内容如何に関わらず「地域」によって交付するか否かを決める旨が法案に盛り込まれている時点で、透明性の確保など絵に描いた餅でしょう。上記の非合理な規定が盛り込まれた法文がある限り、地方に対する配慮が透明性を確保された形で行われるとは思えません。

<休眠預金資金の利用使途があまりにも限定されている>

休眠口座活用法案は第17条で休眠口座の資金のバラマキ先として下記の項目を指定しています。

・子ども及び若者の支援に係る活動
・日常生活又は社会生活を営む上での困難を有する者の支援に係る活動
・地域社会における活力の低下その他の社会的に困難な状況に直面している地域の支援に係る活動
・①~③までに準ずるものとして内閣府令で定める活動
しかし、総則の目的(第一条)には、

・この法律は、休眠預金等に係る預金者等の利益を保護しつつ、休眠預金等に係る資金を民間公益活動を促進するために活用することにより、国民生活の安定向上及び社会福祉の増進に資することを目的とすること。

そして、基本理念(第一六条)には、

・休眠預金等交付金に係る資金は、人口の減少、高齢化の進展等の経済社会情勢の急速な変化が見込まれる中で国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図ることを目的として民間の団体が行う公益に資する活動であって、これが成果を収めることにより国民一般の利益の一層の増進に資することとなるもの(以下「民間公益活動」という。)に活用されるものとすること。

としか規定していません。

「国民生活の安定向上及び社会福祉の増進」がいつの間にか「子育てNPO」のような特定目的の資金配分団体のためのものに制限・変質しています。法案中に言及している要素があるとしたら、強いて言うなら人口減少や少子高齢化への言及がそれにあたるのでしょうか?法案の目的・理念からはより幅広い分野の活動が対象になってもおかしくないと思いますし、何故支援先となる非営利活動の内容をここまで特定の目的に絞ったのかが分かりません。

これでは同法案に関係する特定分野の団体への利益誘導だと思われても仕方がありません。同利用使途に限定した理由をもう一度周知するべきでしょう。

<新たな利権を生み出す「指定活用団体」の存在>

更に第二十条で休眠預金資金約800億円の利用使途は内閣総理大臣が指定する「指定活用団体」が決めることが出来るとされています。

「内閣総理大臣は、民間公益活動の促進に資することを目的とする一般財団法人であって、2(1)の民間公益活動促進業務(以下「民間公益活動促進業務」という。)に関し次に掲げる基準に適合すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って、指定活用団体として指定することができること。」

この法案内容で問題になる点は全国で「たった1つの指定活用団体」が選ばれるということです。

指定活用団体の活動内容について健全な運営が行われているかどうかを測るためには、複数の比較対象になる団体が存在しているほうが望ましいです。同法案は複数の指定活用団体による健全な競争の存在を否定し、指定活用団体の切磋琢磨によってより良い支援先を選定していくガバナンスを行うインセンティブを軽視しています。

内閣総理大臣が「たった1つの指定活用団体」に資金を任せる先を限定する理由は何でしょうか。

この指定活用団体のガバナンスについて政府が計画を審査するから良いというような言い訳に国民は騙されるべきではありません。同団体が内閣府からの天下り先と関係者らによるNPO団体等への権力装置になることは目に見えています。そのような状況が生まれる要素を強く持った指定活用団体による資金の独占構造は、政府からの非営利活動の独立性を中長期的に脅かす存在となるでしょう。

基本理念にも「多様な意見が適切に反映されるように配慮されるとともに、その活用の透明性の確保が図られなければならないこと。」と明記されていることから、せめて同法案は「指定活用団体」は複数設定できるものとし、特定の人々に資金使途の選択に関する権限が集中し過ぎないように配慮するべきでしょう。

<私人間の契約に土足で踏み込む法案>

同法案では、口座に預けた預金の引き下ろしを本来の預金者が求めた場合、預金保険機構から支払われる仕組みが導入されています。

しかし、そのときには既に同預金は上記の指定活用団体に受け渡された後になっているため、その費用負担は預金保険機構に資金を提供している銀行等(つまり、預金者・銀行株主)と納税者の負担となっています。

銀行預金者や納税者などはこのような負担について認めているわけではありません。もちろん、同法案の内容が国民に十分に周知されて国会で成立したというフィクションを経ることは可能ですが、上記のような法案の問題点について国民が理解しているとは到底思えません。

それにも関わらず、安易に「長年使用していないお金だから」「債権放棄の期間が過ぎたものだから」という理由で、現在は求めに応じて銀行から返還される事実上の私有財産を勝手に他人に交付するような法案を通すことは極めて問題だと思います。このような私人間の取引に土足で踏み込む法律の前例を作るべきではありません。

<衆議院での質疑で提起された宮本徹議員の問題提起>

実は同法案の衆議院の質疑で共産党の宮本徹議員からも問題提起がなされています。詳細はこちらか見てください。(第190回国会財務金融委員会第18号

宮本議員からは、

・私有財産に触れる法案を作るには国民への周知徹底が十分に進んでいない。法律が成立してから周知するというのは違うのではないか。
・NPO法で規定されている二十分野ではなく三つの分野を限定的に列挙されていることはなぜか。
・「社会の諸課題を解決するための革新的な手法の開発を促進するための成果に係る目標に着目した助成等その他の効果的な活用の方法を選択すること」という資金配分条件は地道な活動をしている団体を排除するのではないか
・、休眠預金等活用審議会の委員だとか指定活用団体の役員や職員に、資金配分を受ける団体、資金分配団体や民間公益活動を行う団体の役員、関係者が入ることが法律上排除されておらず、なぜ利益相反を避ける仕組みを法文上書かないのはなぜか(赤い羽根は同様の規定がある)

など、至極まっとうな問題定義が行われましたが、法案提出者側はシドロモドロの答弁をして話を誤魔化しています。同法案については国会においても問題が指摘されていることを国民は認識すべきです。

<銀行が休眠口座に関する事前取り決めを行うべきだ>

以上のように休眠預金活用法案には、法の趣旨も然ることながら、その法案内容にも問題がある欠陥法だと思います。

銀行口座にある休眠口座の預金をどうしても何らかの形で活用したいならば、個々の銀行が長期で使用されていない口座については銀行のCSR活動に利用する旨を最初から明示し、預金者との間で口座開設契約を結ぶべきでしょう。

上記のように特定の団体への非合理な利権誘導を正当化するような法案内容のままで、休眠預金活用法案が制定されることに疑問を感じざるを得ません。

<参議院での賛同議員はこの人たち>

上記のような問題や疑問が残された法案について参議院で推進している議員は下記のとおりです。心ある有権者の皆さんは下記議員事務所に疑問点を問いただされると良いのではないかと思います。せめて上記の疑問くらいは解消した上で法案を審議するべきではないでしょうか。

坂井 学 衆議院議員 自民党
山本朋広 衆議院議員 自民党
谷合正明 参議院議員 公明党
岸本周平 衆議院議員 民進党
大塚耕平  参議院議員 民進党
平木だいさく  参議院議員 公明党










本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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2016年11月18日

トランプ氏に「借り」を作った安倍・トランプ会談

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<首相官邸HPから引用>

外務省が己の失敗をリカバリーするために行われた会談

安倍首相・トランプ氏のニューヨークにおける会談は穏やかな形で終わった模様です。現段階では両者が話す内容も特に無いでしょうから予定通りといったところでしょう。

筆者は大統領選最中の9月にヒラリーにだけ会った外交上の失策で面目を失った外務省が自らの立場を挽回するためにセッティングしたものと推測しています。安倍首相としてもヒラリーとだけ面談した稚拙な外交について世論の批判が噴出する前に火消しを図りたかったことでしょう。

評価としては「とりあえず、「早めにトランプ氏に会っておくべき」という場当たり的な対応ではあるものの、同会談は行わないよりはマシというぐらいでしょうか。

しかし、トランプ氏側から見ると、この会談は特に行う必要は無いので「日本側はトランプ氏に対して借りを一つ作った」ことになります。したがって、「取引」を重視するトランプ氏に早くも一つ得点を取られた形になりました。

外務省の誤った判断によるツケを払う結果になったと言えるでしょう。

国務省長官が決まる前に訪米して面談することは意味があるのか?

面談時間は約1時間半だったということですが、事前にアジェンダが詰まっていたわけではないと思われます。したがって、会談内容は本当に挨拶程度のものだったと捉えるべきでしょう。

国務長官すらまだ内定していない状況の中で外交的な話が進められるわけがありません。

一方、同会談にはトランプ氏の娘婿夫婦が同席されていたことばかりが注目されていますが、トランプ氏が信頼する外交アドバイザーであるフリン氏も参加していました模様です。

この事からフリン氏は今秋に来日して日本の対米外交関係者と懇親した経緯もあり、今後もトランプ政権における対日政策のキーマンとなることが分かります。今年春に書いた記事にもフリン氏に関しては簡単に触れさせてもらいました。同氏は腕利きの情報機関出身者です。

トランプを低評価するか否かは「情弱」のリトマス試験紙だ(2016年2月28日)

同氏はネオコン及びオバマ政権の中東政策と鋭く批判した人物であり、選挙が終了した後もトランプ氏の外交政策面で重要なアドバイザーとして留任していることになります。安倍・トランプ会談自体というよりもフリン氏が参加していたことはトランプ政権の外交方針を推し量る意味で重要だったと思います。

今回はほとんど意見を交わすこともない挨拶程度の参加だったと思いますが、大駒の意図というものは周辺の動向から自然と悟ることができるものです。

安倍首相とメルケル首相を比べる愚説は何の意味もない

一部にはドイツのメルケル首相の発言などと比較し、安倍首相の行動を批判する声もありますが、それらは失笑ものの勘違いだと思います。批判のための批判は建設的なものとは思えません。

欧州諸国も渋々ではあるものの、トランプ大統領就任後は自らの発言を顧みる必要が出て来ることになるでしょう。他国が大統領選挙を行っている最中に、各国首脳が片方の候補者を批判する外交的な非礼を繰り返してきたのは欧州諸国のほうです。

ロシアの脅威を目の前に抱える欧州諸国(特にドイツ)と中国の脅威を目の前に抱える日本では外交的な立場も全く異なるものです。その意味で安倍首相は下手をうったので早急にリカバリーを行うことは日本の国益を考えるなら当然の行為です。

また、トランプ氏は民主主義の手続きで選ばれた人物であり、しかも経済的には自由主義的傾向が強い共和党大統領です。そのトランプ氏と会談することは何らおかしなことではありません。左翼運動家には不快かもしれませんが、単なる民主主義国同士の実質的なトップ会談です。

むしろ、欧州諸国は自国の中で台頭するファシズム勢力を責任を持って抑える責任があり、他国の大統領に対して論評している場合ではありません。欧州の人々には是非頑張ってほしいものだと思います。

安倍・トランプ会談に関する総括、トランプ氏に借りができてしまった日本政府

筆者の見解は下記の通りです。

・今回の会談はヒラリー単独会見の失敗から外務省の面子をリカバリーするためのものだ
・安倍首相も単独会見の国内からの批判を回避するために迅速な行動を行う必要があった
・トランプ氏側には同会談を行うインセンティブは無いので、日本はトランプ氏に「借り」を作る形になった
・フリン氏が同席していたことは今後の対日政策の方向性を推察できる情報であった
・日本とドイツは立場が全く異なるので、両首相の発言・行動を比較することは無意味な行為

今後、日本政府は余計な「借り」を他国に作らないようにインテリジェンス能力を高めてほしいです。









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2016年08月17日

ミニ・アイヒマン化するサラリーマン議員たち

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(多くのユダヤ人を強制収容所送りにしたアイヒマン)

都知事選挙の候補者擁立に関する政党所属議員の「呆れた言い訳」

都知事選挙から半月ほど経ちました。この間に有権者や支持者から「何故、あの候補者を擁立したのか?」という質問を突きつけられた与野党の議員たちの言い訳があまりにも酷いと感じたので備忘録として記しておきます。

特に酷い有様は「組織人・会社員にようなものだから分かってくれ」という趣旨の発言を繰り返すものであり、場合によっては説明を求める国民に対して逆切れ、または自らの推薦した候補者への罵詈雑言などを並べ立てている状況となっています。

おそらくWW2の後に掌を返したように政治姿勢を180度転向させた人々はこんな感じだったのだろうなと思います。むしろ、信義も信念も全て置き去りにした対応に没我的対応に清々しさすら感じさせています。

政党所属議員は「組織人・会社員」なのか、腐ったサラリーマン根性の議員たち

上記の組織人・会社員という概念を用いて説明しようとする議員の立場を根本的にはき違えたものです。

今回の都知事選挙の候補者選びは「政党幹部が決めたもので自分が関与したものではない」という理屈があるため、議員たちの「組織の上の人に命令されたのでやっただけ」という意識が露呈している状況が伺えます。

ただし、これらの腐った根性が染みついた議員たちは、誰が自分たちに議席を与えているか、を忘れて、政党幹部が推薦する候補者を組織人・会社員意識に基づいて、自らが納得していなくても「心にもないような歯の浮くような候補者を持ち上げる妄言」で自らを支持する有権者に推薦したのです。

保険の代理店が自分の顧客にあまりオススメできない商品だけれども、本社が強烈にプッシュしている商品だからとりあえず売りさばいておこうというノリですね。そして、問題が表面化した後に「あの商品には実は疑問を抱いていたが、組織人・会社員として仕方がなかった」と顧客に白々しく述べているイメージと言えるでしょう。(ちなみに、サラリーマンであったとしても「欠陥商品を売れ!」と言われたら気骨のある人物は退職届を出します。会社員云々と言い訳する議員には日本の会社員を舐めんなよ!と言いたい。)

これらの議員は「政党幹部に良い顔するために自分に投票してくれた有権者を政党組織に売り渡した」だけです。有権者を代弁する議員としての役割を何ら果たそうとしなかったペテン師のようなものです。

今回の選挙では、政党に粛々と従った人の他に、候補者選考に明示的に反対した人や沈黙しつつサボタージュした人、様々な対応をした議員もいました。自らに投票してくれた有権者に対して真摯であった人々は政党から無理強いされた候補者を有権者に出まかせを述べて推薦することは行わなかった、と思います。

組織人・会社員に例えて自らの責任回避を強調するミニ・アイヒマン議員問題

責任回避のために組織人・会社員に例えて自らの立場を強調する人々は議員を務めるべきではありません。なぜなら、この人々は自らの政治的責任を「他責化」することに疑問を持たない人たちだからです。

どのようなおかしな決断であったとしても「組織が命令したことだから」という理由で正当化できると思っているなら、ナチスの強制収容所にユダヤ人を送り続けたアイヒマンとほとんど変わらない思考の持主だと言えます。

この人たちは「党幹部がこう言ったから」とか、「首長がこう言ったから」とか、自分の政治行動を他人の責任にして生きていくつもりでしょうか。何かの間違いで首相になったとしても「時代がこうだった」とか、「アメリカがこう言っている」とか、自らの意志と責任を捨象して様々な言い訳を作り出すだけの人々であることが今回の対応から如実に分かります。

政党を離党したり・幹部に抗議したりすることが難しかったとしても、候補者選定の責任を問う有権者に対して「候補者を推薦した所属組織の一員として自らにも有権者に責任がある。」とすら述べない議員は、いったいどこの方向を向いた仕事をしているのでしょうか?

筆者が危機的だと思うことは「理屈にならない理屈」を述べて、有権者からの付託を軽視する議員が本当に現われてきている点です。自らの置かれた現実的な立場が大前提となる大義を飛び越えることに何ら疑問を持っていない時点で相当やばいと言えるでしょう。

有権者に攻め立てられて苦しくなったとき、これらの議員の安易に組織のせいにして自らの責任を回避しようとする態度はミニ・アイヒマンの称号に相応しいと思います。

今一度、自分たちが誰の投票によって選ばれているのか、という物事の大原則に立ち返って自分自身の発言を見直してほしいものです。

服従の心理 (河出文庫)
スタンレー ミルグラム
河出書房新社
2012-01-07






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2016年08月13日

都議会議員の「都落ち」立候補は良いことなのか?

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「都落ち」候補者育成のために東京都民は税金を払っているわけではない

都知事選挙は地方消滅で話題となった増田寛也氏が出馬したことで東京と地方の歪な関係を見直すことに一石投じる選挙となりました。また、鳥越氏のインタビュー記事が選挙後も物議を醸していますが、国政政党の候補者選定プロセスを問う結果になったことも大きな意味があったと思います。

ところで、都議選まで残り1年、2016年になってから若手都議会議員の地方への国政転出という話題が少しづつ目につくようになってきたように感じます。

大田区選出の田中健さんは民進党の静岡県第4選挙区支部長として決定しました。

田中さんは旧富士川市(現・富士市)出身でもあることから「本当の地元」に戻ったということなのでしょう。衆議院議員の細野豪志さんの秘書を務めていたこともあり、ご縁がある静岡県に出戻りする運びになったものと思います。都知事選挙と同時に行われた大田区の都議補選は同氏の静岡転出が原因です。

また、世田谷区選出の塩村文夏さんも今年4月に「広島県第3区支部長に」ということで民進党広島県連が調整している旨が報道されました。

塩村さんは広島県福山市出身ということで直接の地元ではありませんが、飲酒運転で昨年摘発されて民主党を離党した元衆議院議員の橋本博明さん(現在、安芸太田町長選に立候補表明されていますが凄いところだ・・・)の代わりを探している中での引き抜きという文脈でしょう。塩村さんご自身がコメントしていない中で県連から先に引き抜き情報が出るということもいかがなものかと思います。

都議会議員の里帰りは個人の選択としては理解できるものの、当該政党の意思決定に関しては疑問を持たざるを得ません。東京都民は地方で国会議員に転出する人々を育てるために税金を支払っているわけではないからです。

飲酒運転で摘発された選挙区候補者の穴埋めに都議会議員を引き抜こうとする無節操さ

東京都は地方出身者も多く存在しているため、東京都に住んでいる有権者が須らく東京一極集中論者になるわけではないことは理解しています。むしろ、都議会公明党のように所属議員の地方出身者比率が相対的に高い政党があっても違和感があるわけではありません。

地元意識を地方の出身地域に持ち続けたままでも東京都民のために働くことはできるでしょう。自らの出身地で親御さんもおられる地域にアイデンティティーを持つことも人間の情として理解できます。大都市行政を理解していることが地方の国政候補者にとってプラスになる部分もあるかもしれません。

しかし、都議会議員として東京都民のために働くと一度決めた人が国会議員になることを目的として里帰りすることには強い違和感を感じます。

なぜなら、当該議員たちの「都落ち」問題が浮上するまでは、東京都の有権者は東京の選挙区で議員たちが頑張り続けることを暗黙の了解としていたと思うからです。

野党・民進党の地方人材が不足していることは理解できますが、政局上の悪手で国政行きが手詰まった若手の都議会議員に対し、地方の選挙区の国会議員の椅子をチラつかせて有権者を蔑ろにすることを覚えさせる人材育成方針は見直すべきです。東京都民の政治への信頼感も徒に傷つけることにもなります。

少なくとも前任者が飲酒運転で摘発された穴埋めに都議会議員を田舎に引き抜こうとしたり、労組が運動面を支援することを前提に若くて見た目が良い候補者を適当に立てようとする文化を止めてほしいものです。
 
国政政党は人材育成に関する基本方針と基本戦略を立案するべきだ

「若い時期に都議会議員を経験させた後に地方の国政選挙の候補者にする」ということが政党としての一本筋の通った人材育成方針として出来上がっているとしたら、筆者はそれは一つの考え方として尊重するべきだと思います。

しかし、現状のように行き当たりばったりの候補者選定を繰り返していれば良い人材は政治の道を選ばなくなります。その結果として特定政党だけでなく議員の質の劣化に繋がっていき、国民の政治不信を助長するものになるでしょう。

各政党が任命する候補者は、その政党にとっての候補者としての意味があるだけでなく、敵対する政党候補者にとっては切磋琢磨を積む人生の競争相手になります。

主要政党は責任ある公党として候補者選定に向けた人材育成に関する基本方針と基本戦略を立案・公表していくべきでしょう。
 

 

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2016年08月05日

参議院・都知事選・二階幹事長、安倍一強時代の終焉へ

nikai-toshihiro
(自民党の最重要キーマン、二階幹事長の誕生)

自公日VS野党共闘で政局は「55年体制」に逆戻りへ

2009年の民主党による国政選挙を通じた政権交代の幻想から目が覚めない政治関係者は、いまだに与野党という枠で政局を語る癖が抜けていません。しかし、野党共闘によって著しい「左傾化」を野党第一党の民進党が歩む中、日本の政治は「55年体制」に近いものに変化したと感じています。

55年体制とは1955年に成立した自民党・社会党の2つの万年与党・万年野党の間で行われてきた八百長のような政治体制であり、同体制下にあって日本の政権交代は「自民党内の派閥による疑似的な政権交代」によって行われてきました。

現在、野党共闘によって完全に時代遅れの左翼臭を漂わせる野党側が政権を取り戻す可能性が皆無となったことで、中選挙区と小選挙区比例代表制という選挙制度の違いはあるものの、野党の無意味化という状況で部分的に派閥闘争による政治力学の変化が復活したと看做すことができると思われます。

政局上の野党の存在感が希薄化した参議院議員選挙、総裁派閥である清和会による東京都・金城湯池支配の終わり、反主流派の台頭を印象付ける内閣改造など、安倍政権の屋台骨である自民党内の不安定化要因は非常に大きなものになりつつあります。

反主流派・二階幹事長の誕生、細田総務会長就任に見るパワーバランスの変化

最も注目すべき政局上の変化は、二階幹事長の誕生、であろう。安倍政権と距離が必ずしも近くない二階氏が幹事長という要職、つまり自民党の公認権の差配や政党助成金などの分配を決定できる立場についた意味は極めて重いものです。また、選挙対策委員長に首相に近い古屋圭司氏を置いたものの、古屋氏の所属派閥も二階派である点も注目に値します。

つまり、自民党議員の死活的な利益である「選挙」に関する部分は全て非主流派である二階派がおさえる形となっています。これは自民党内において清和会の影響力が徐々に低下していくことを意味しており、小泉政権から続く自民党・清和会一強時代の終わりにつながる一手となった可能性があります。

消費税増税見送りも含めて、清和会は財務省と近しい関係にある谷垣・麻生らの宏池会系派閥との間に隙間風が吹いており、小泉政権以来大枠として継続してきた清和会+宏池会の一部による連合の枠組みが崩れ始めています。

清和会の派閥の領袖である細田氏を総務会長に充てる必要があるほどに同派の人材が不足しつつある中、選挙対策委員長の経験を積んだ茂木政調会長(平成研)、古屋・現選挙対策委員長は自民党の将来的な中核を担う人材になるものと推測されます。

自民党内の勢力構造の変化が大阪・東京に影響を与える可能性も

また、野党側に対するインパクトとしても二階幹事長の人事は非常に大きな意味を持っています。首相官邸が大阪維新と極めて近い関係を維持していることは周知の事実ですが、維新と二階氏が犬猿の仲であることから官邸と自民党の間に維新に対する方針の違いが目立つようになる可能性があります。

一方、東京においてはオリンピック利権を巡って、清和会の事実上のドンである森元首相に反旗を翻した小池新都知事が誕生しました。それに伴って清和会やそれに近いポジションを維持してきた都連5役が職を辞する形となりました。

そのため、大阪とは事情が異なり、東京側では非主流派の旗が立つ可能性が出てきています。二階幹事長は政党遍歴の過程で政治行動をともにしてきた小池氏との党としての関係修復に前向きな姿勢を取り続けています。また、安倍首相に対する総裁選の対抗馬として名前が取り沙汰された野田聖子氏が小池氏に都知事選の早い段階でエールを送っていたことは印象的な出来事でした。

大阪・東京の両地域で地域政党の誕生が現実化するかどうかは予断を許さないものの、自民党という軸で見た場合、大阪・東京の対立構造の利害は必ずしも一致しておらず、中長期的には全国的な基盤形成に失敗した大阪維新は衰退し、東京・小池勢力にとっては勢力拡大プロセスに入っていると考えることもできます。

安倍政権が小池氏以来の女性大臣である稲田氏を防衛相に持ってきたことは、清和会の次期総理候補の育成プランの一環であるとともに、必ずしも安倍政権と近い関係とは言えない小池氏に対する当てこすりの面もあるのではないかと推察されます。

いずれにせよ、自民党内での勢力バランスの変化は大阪・東京という二大都市における政局構造の変化に強い影響を与えていくことが予想されます。

安倍首相の地位は安泰か?、衆議院解散のタイミングで新たな政局の展開へ

野党は「アベ政治を終わらせる」という意味不明なスローガンを掲げ続けてきましたが、仮にアベ政治なるものが安倍政権を意味するのであれば、アベ政治は野党の掛け声ではなく自民党内の政変で倒れる可能性が出てきました。

与党で衆参両院の3分の2の議席を確保したことは、結果として安倍政権の安定化を揺るがすほどに議席を取りすぎてしまったと言えるのかもしれません。野党の存在が無意味化・陳腐化する中で、自民党内での権力闘争が再び活気を取り戻してきた状況となっています。

安倍首相にとっては伝家の宝刀である衆議院解散のみが政権維持のための切り札として残っている状況です。同政権の宿願である憲法改正発議または北方領土返還交渉いずれかを通し切るために、安倍政権が残された政治資源をどのように使っていくのか興味深い展開となっています。



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2016年07月31日

加藤たくま区議の「誤報」に関する謝罪要求

無題
(申し訳ありませんが、どう見ても加藤区議は統計上の意味が認められない分析結果を断言されています。)

加藤区議の「公開質問状」に対する丁寧なご回答に御礼申し上げます。こちらの質問事項に対する貴殿の回答内容について再回答及び正式な謝罪を要求させて頂きます。(筆者の質問内容加藤区議の御回答

筆者が回答を求めた点は下記の4点となります。ご回答頂けた点と未回答の点について確認させて頂きます。

(1)1990年の自殺率を測定する基準とした合理的根拠は何か
(2)1995年(増田県政開始年)の自殺率を測定する基準とした場合に上記の主張を維持するのか

筆者がこの2つの質問を通じて、加藤区議が設定した1990年という基準年を変更した場合に貴殿の主張である「①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。」と「②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。」の2点の主張を維持するのかを質問させて頂きました。

貴殿のそれに対する回答は、増田知事在任期間のサンプル数が少ないために「統計解析手法を使うことでの有意差の議論には疑問があるために、視覚的な感覚で論じざるを得ませんでした。」と認められたように、上記の主張は統計的に意味を為さないものであることをお認めになられたものと理解しております。つまり、見た目でギャップが一番大きくなる年度をあえて選ばれたと思われても仕方ありません。

貴殿は「私は工学博士として、データをまともに分析もせずに世に出し、間違った印象を与えることは絶対に許さない。」と主張されています。博士論文も拝読させていただきましたが、サンプルが少ないから「見た目の思い込み」で判断して良いという指導は中央大学大学院理工学科で所属されていた山田研究室でもおそらく認めておられないかと思います。

(3)元の統計データを故意に操作したグラフを用いた記事を公人である区議会議員が選挙期間中に公開した政治責任をどう取るのか

上記の回答と関連してくるのですが、①増田岩手県政下(1995~2005年)において、自殺率は低下傾向にある。」と「②岩手県は全国よりも自殺を抑制している。」という主張が意味をなさないことを事前に知りながら、それを統計上意味があるかのように工学博士の肩書を提示した上で公職である区議会議員として述べられたことは非常に遺憾です。

筆者は貴殿が博士号取得者でもなく区議会議員でもない方ならこれほど問題視しようとは考えていません。しかし、残念ながら、貴殿はその両方の肩書を提示した上でご意見を述べておられました。

したがって、選挙期間中に故意に作られたグラフで統計上意味のない記述であることを知りながら、真実性があるように披露したことは虚偽の情報を公開した疑いがあると思われても仕方がないと思います。

貴殿の上記の点についての政治責任に関する回答が無く、無責任な政治姿勢を示されたことについて非常に残念に思います。

(4) 中央大学大学院理工学研究科での博士号取得時までに「統計学」の単位を取得したことがあるのか

この点についてもご回答がありませんでした。ただし、統計学の単位を取得する際に統計分析を「視覚的な感覚」で論じて良いとすることは有り得ないものと思います。ちなみに、t検定程度は常識なので説明は不要です。

(5)「誤報という信念」という思い込みによる批判ついて謝罪を要求します。

上記の通り元々1990年基準のグラフを基にした統計上の意味が認められない分析を提示し、記事中の記載事実を「誤報」としたことについて加藤区議の謝罪を要求いたします。

そもそも、「誤報かどうか」は信念とは何ら関係が無いものです。筆者も加藤区議の政治的な御立場、そして街頭演説などで日々お忙しい中でついエキサイトされてしまったことも理解しております。

そのため、筆者としては難しいことは求めていません。統計上の意味が認められないデータで他者の文章を誤報と断定したことについて簡単に謝罪して頂ければそれで構いせん。よろしくお願いいたします。

最後になりますが、政治は絶対評価の結果責任であり、知事として自殺対策に十分な成果を残せず、岩手県政で自ら命を絶たなければならなかった人を数多く出してしまったこと自体、お人柄の良さそうな増田候補にとっても痛恨の極みだと思います。そのため、増田候補が都知事になられることがあれば、隣県である秋田県で当時実務的に始まっていた先駆的な取り組みを参考とし、岩手県政での経験も活かして、東京都政においても万全の自殺対策を打って欲しいと切に願っております。



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