2016年11月17日

トランプ政権におけるオルト・ライト(右翼)について

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(Breitbart News Networkのロゴ)

大統領選挙を通じて俄かに注目されたオルト・ライトという存在

2016年の大統領選挙を経て、オールド・ライト、ニューライト、ネオコン、リバタリアンなどの従来までの共和党陣営に属する思想的系譜の枠組みに収まりきらない「オルト・ライト(右翼)」という存在が注目されました。

このオルト・ライトは従来までの理論化・体系化された思想とは違い、非常に雑多な主張の寄せ集めのような形で世間に表出してきたとされています。ネット発の分散化された運動であって、既存のポリティカルコレクトネス(ポリコレ)へのアンチテーゼを提示して挑発・嘲笑を繰り返すことに特徴があります。

今回の大統領選挙では、オルト・ライトのたまり場である「ブライトバート」のスティーブン・バノンがドナルド・トランプ陣営の選挙対策本部責任者に就任していたことから、その思想性・関係性などがリベラル陣営から批判の的となってきていました。(実際にはブライトバートには強烈な内容も掲載されますが、2014年のピューリサーチ研究所の調査によると、読者層の約8割は中道右派の人々とされています。)

日本でもオルト・ライトの存在が指摘されるや、鬼の首を取ったかのように左派系の有識者らがその問題性を指摘し、トランプ氏に対する誹謗中傷を徹底的に行ってきた経緯があります。

理論化・体系化されていない「オルト・ライト」は政策に反映されることはない

筆者はオルト・ライトの主張には基本的に与しない自由主義の立場です。しかし、多くの有識者とされる人々のように「無駄なことを徒に騒ぎ立てる」ようなことは好みません。

なぜなら、「オルト・ライト」が提示するアンチテーゼとしての主張は現実の政策過程において具体的な政策に落とし込むことが極めて困難だからです。

政策が形になって実行されていくためには「正統性」が必要となります。そして、正統性は理論化・体系化によって提供されるものであって、リベラルな政策に対する単純な反発衝動は政策にはなりません。

また、「オルト・ライト」にはシンクタンクが策定した具体的な政策集も存在しないため、既存のリベラル政策の撤廃という以外には何ら意味を持たないものでしょう。

日本でも「反対!反対!」と叫んでいるだけの政治運動では行政の仕組みを変えることはできません。米国においても事情は同じだと理解するべきです。

共和党・トランプ大統領政権下で実現されていく政策はどのようなものか

かつては共和党の伝統的な保守層も政策立案能力が欠落しており、仮に政権を奪取した場合でも民主党の分厚い利権構造に対抗する具体的な能力を持っていませんでした。

しかし、これらの伝統的な保守層が自らの理念を明確に有していたため、その理念の理論化・体系化などを実行することが可能だったことで、共和党陣営(特に保守派)は民主党陣営への政策対抗力を高めることができました。

具体的には、ヘリテージ財団のような優れたシンクタンクを立ち上げることで、民主党陣営寄りの大学・政府機関などに対抗できる人材を育成し、ホワイトハウス及びキャピトルヒルの共和党メンバーをバックアップする体制を構築してきた経緯があります。

これらのシンクタンクから共和党関係者に供給されるポリシーペーパーの価値は非常に高いものです。

そして、民主党が構築した税制・規制を解体するため、優れたシンクタンクのフィルタリングを経ることで、適切な形で正統性を有した理念とプランとして落とし込まれることになります。

そのプロセスの中でオルト・ライトの実現不可能な主張は振り落とされていき、健全な形での政策が大統領・議会に承認されて行くことになるでしょう。 したがって、オルト・ライトの過激な主張を過度に取り上げることは徒に問題をこじらせて複雑化させるだけで実質的な意味はありません。

エモーショナルな選挙運動の時間は終わりました。これからは立法・行政のフェーズにステージが移ることになります。この期に及んでいつまでもトランプ政権・共和党の上下両院を印象論でしか語れないレベルの有識者の意見は忘れましょう。

既にトランプ氏及び共和党のHPでも多数の政策が公開されており、共和党系のシンクタンクからも様々なペーパーが発表されています。今後、私たちに求められることは現実的な政策を冷静に見定めることです。



トランプ思考
ドナルド・トランプ
PHP研究所
2016-06-24








本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。




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yuyawatase at 00:05│Comments(0)米国政治 | 社会問題

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