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2015年12月07日

「東京圏に住んでいる人の〇%が地元出身者」から見る政治

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地元ナショナリズムは東京圏在住者でも通用するのか

東京に住んでいる人は地方出身者が多いという話もありますが、それも今は昔という状況になってきています。現在は、地方から東京へ、という人口移動は過去に比べて相対的に減少気味であり、その結果として東京出身者の比率が高まりつつあります。

一票の格差による参政権への人権侵害と戦後の地元出身者比率の低さから、東京圏出身者は自らが生み出した富を地方への非合理的な財政支出などによって強制移転させられてきました。

しかし、現在の人口減少社会を迎えて地方の過剰人口の東京圏への流入が減速していくことで、東京圏には自立した人口構成を取り戻して都市型経済を実現するための民主主義的な基盤が整備されることになります。

東京圏人口の63.3%が東京圏出身者という意外と高い地元率

特に「東京圏」というカテゴリーで見た場合、東京圏出身者の割合は63.3%という意外と高い状況にあります。(「第7回人口移動調査」国立社会保障・人口問題研究所)

もちろん、東京だけに限定した場合は、東京出身者の比率は下がるものと思いますが、それでも東京圏全体でみた場合2人に1人以上が東京圏出身ということになります。

非東京圏出身の在住者で大きなボリュームを占める層は北海道や東北だろうと推測されます。東日本には西日本と違って、東京以外の中心となる大都市の力が弱いため「大都市に行く=東京に行く」という構図になりやすいからです。

しかし、今後は東北地方の現役世代の余剰人口が低下していくことで、東京圏への人口流入のスピードは低下していくことが予想されるため、東京圏出身者の比率は一層増加していくことになると思います。

若年世代で高まり続ける東京圏出身者比率

東京圏出身者の年代別に見ていくと、年代が上がるにつれて東京圏出身者の比率は下がっていく傾向があります。20代では約70%の東京圏出身者比率は50代・60代では約50~60%にまで減少しています。高齢者ほど投票率が高い傾向と合わせて考えると、東京圏出身の国会議員が地方へのバラマキに優しい理由が見えてきます。

現在も東京圏への人口流入は続いていますが、地方から過剰人口の流出が解消されつつあること、東京圏在住者の他地域への転居率が低いこと、から考えると、年代が進むにつれて東京圏在住者の比率は高まり続けることになるでしょう。

若年世代の投票率が上がると東京圏ナショナリズムが強まることが予想されるため、若年世代への投票啓発は東京圏在住者にとっては、地方への不当な財政移転を止める効果があるのではないかと推測されます。

「東京圏」という枠組みにナショナリズムを昇華できるか

「東京人は他人に冷たい」と揶揄されることもありますが、それは東京に地方から来た人々の間だけの話であり、元々東京在住の人々には地域コミュニティも普通に存在しています。つまり、昔は「地方から出てきたばかりで仕事以外の知り合いがいない人が多かった」の間違いです。

東京であったとしても数世代を過ごした人々にはコミュニティが形成されており、十分に東京圏ナショナリズムが形成される可能性があります。

課題は今までは「東京」「神奈川」「千葉」「埼玉」「栃木」「群馬」などの都道府県単位、場合によっては市区町村単位で形成されてきた地元意識を「東京圏」という広域の帰属意識へと統合できるかどうかです。

東京圏在住者にとっては東京圏から地方への富の流出は深刻なものであり、本来は都市圏で整備されるはずだった介護施設などの社会インフラが地方に立地している極めて不合理な状況などが生まれることになりました。

現在、箱モノ立地に合わせて高齢者の地方移住を促進する政策も叫ばれていますが、愚かな政策の顛末として人間が建物に合わせて生活する、という事態が起きてしまったということです。

東京圏のイデオロギーの確立、高度経済成長期と同じ失敗を繰り返さないために

私は東京圏の経済活力を維持・発展させていたくために、東京圏への国内外からの人口移住は更に必要だと思っています。しかし、それは高度経済成長期に発生した政策的な失敗を反省した上で行うべきだと思います。

その失敗とは「東京圏独自のイデオロギー(価値観)」を確立させずに、物質的な豊かさなどを押し出すばかりで、地方からの流入人口に「東京人」「東京圏在住者」としてアイデンティティーを付与できなかったこと、です。

その失敗のツケが「地方への巨額の財政移転」として政策的に固定化する結果となり、日本経済の成長・繁栄にブレーキをかける要因となっています。

そのため、東京圏出身者の比率が高まり続ける傾向を伸ばしていくとともに、地方出身者に対して「東京・東京圏で生きる」ということの価値観を明確に付与するための取り組みを強化するべきです。

日本国内の地方に目を向けるのではなく、「世界都市としての東京・東京圏」としてのアイデンティティーであり、元々の東京・東京圏在住者も含めた意識改革が必要です。日本という枠組みを超えた意識を持つことが今後の東京圏の発展の運命を決めることになるでしょう。

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yuyawatase at 17:00│Comments(0)小さな政府 

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