2016年06月23日

世代間対立が表面化する英国の国民投票(Brexit)

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(Guardianから引用)

Bookmakerは残留組が圧倒的に優勢という数字を示しているものの・・・

英国の最大手のBookmakerの残留・離脱のオッズはそれぞれ1.2倍・4倍程度で推移しており、英国人の多くの人々が、賛否拮抗する世論調査の結果に関わらず、英国のEU残留派の勝利を予測しているようです。

上記の判断の根拠になっているポイントは、スコットランド独立に関する国民投票が直前までの下馬評に反して、現状維持の残留を支持する投票が多かったことが挙げられています。その結果として、今回もEU残留という穏当な結論が出るという理由が散見されます。

しかし、果たして本当にそうでしょうか?むしろ、筆者は、大勢の予測に反し、スコットランド独立に関する国民投票の結果を参考にするからこそ、英国のEU離脱の可能性は高いものと推測しています。

何故、スコットランド独立投票の実際の投票結果は「残留」が多かったのか

アシュクロフト卿が実施した世論調査で、スコットランド独立に関する国民投票で独立を熱烈に支持したのは若年層であり、独立に反対したのは高齢者層であったことが報告されています。

http://lordashcroftpolls.com/wp-content/uploads/2014/09/Scotland-Post-Referendum-poll-Full-tables-1409191.pdf

スコットランド独立か否か、という議論は独立=若者VS残留=高齢者という世代間対立を背景としており、結果として絶対数と反対割合の多い高齢者の声が政治に反映されたものと思われます。

若年世代の有権者登録数も多かったものの、実際の投票行動では高齢者の堅牢な投票行動には敵わなかった状況があったと言えるでしょう。

EU残留は「若者」の政治的な主張に過ぎないという弱点を抱えている

今回のEU残留についても事前の世論調査は、残留・離脱の双方が拮抗した状況となっています。そして、大方の見方は現状維持の「残留」という結論になるというものが多いのではないかと思います。

しかし、このEU残留という主張は、Brexitに関する世論調査を見る限りでは、上記のスコットランド独立と同じように「若年世代が支持し、高齢世代が反対している」主張と構図が一緒であることを見逃すことはできないでしょう。

「ブリュッセル政治動向」さんの記事

つまり、実際の投票結果では、高齢者の分厚い離脱票と若者の脆い残留票がぶつかり合うことになり、スコットランド独立とは逆の結果、つまりEU離脱への賛成票が上回る可能性が出てきています。

ちなみに、残留を支持するキャメロン政権は、7日に予定されていた有権者登録の締め切りをシステム上の問題を理由に、2日間の登録期間延長を行ったことで延長期間に若者が大量に登録させる方策を取っています。

シルバーデモクラシーに不戦敗するユースデモクラシー

日本でも大阪都構想の住民投票が否決されたとき、高齢者の反対票によるシルバデモクラシーの影響が注目されました。実際に、若年世代の投票率の低さが主要因ではあるものの、高齢者票の分厚さの前に若者の意見が通らない構図は日本でも英国でも変わらないのかもしれません。

ただし、今回の国民投票ではそもそも離脱派が残留派を上回っている世論調査は信頼性がある電話調査ではなくネット調査などの信ぴょう性がやや欠けるデータによるものも多く、上記のような単純な世代間対立の構造だけで決着するものではないことは承知しています。

しかし、この英国の国民投票に決定的な影響を与える要因は若者の投票率であることは間違いなく、英国の若者の政治意識を知る上で最終的な結果が現在から楽しみな状況となっています。

若者の政治的意見(ユースデモクラシー)は、シルバデモクラシーに飲み込まれ続けていくのでしょうか、英国の国民投票においてどのような結果になるのか、民主主義における世代間対立に関する考察の観点からも面白い結果になるでしょう。






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yuyawatase at 11:50│Comments(0)社会問題 

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