2016年03月21日

子ども一人・年間で約500万の税金がかかる保育園運営の実態

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都心で保育園に0歳児を預けると「年間・一人で500万円弱」の税金がかかる

保育園落ちた日本死ね、というブログを発端として様々な議論が巻き起こっています。筆者は保育園に子どもを預けるために必要な税金を計算することが議論の前提として必要と感じています。

一つ事例を挙げると、新宿区で公立保育園に0歳児を1か月間預けた場合、月額で約40万円・年額で500万円弱の経費がかかるものと推計されます。私立保育園の場合、0歳児の保育には約31万5千円、年額約375万の経費がかかっていることになります。(公立は事業費・人件費を受け入れ児童数で年齢別に割付(人件費は年齢別配置基準から按分)、私立は事業費中の年齢別給付反映・その他費用は児童数で割付をして推計、*平成26年度決算)

ざっくりとした推計結果として、新宿区で0~1歳児童を保育園に預けると約700万円の税金がかかることになります。0~5歳までの全ての期間を保育園に預けた場合、子ども一人に投入される税金は1300万円ということになります。本来はこれらの数字に区職員の保育部門の人件費を加えるために、更に多くの人件費が費やされることになるでしょう。

家庭で子どもを育てることの経済的価値を評価する社会を作っていくべきだ

国税庁が昨年度発表した民間給与所得実態調査によると、日本人の平均年収は414万円です。東京都内であればもう少し年収が高いことを想定しても、0歳児を保育園に預けた場合の税コストが非常に大きいことが分かります。

したがって、従来までの日本では家庭内で子育てを行ってきたことで、政府が子育てサービス提供に必要とする社会的なコストを著しく軽減してきたことが分かります。そのため、ケースバイケースの部分もありますが、各家庭が保育園に子どもを預けて働きに出ることは社会的コストの観点から常に肯定されるわけではありません。

子育てを各家庭から国営化(公立保育園)・半国営化(私立保育園)に移行させた場合に発生する社会的コストを意識し、家庭内での子育てをレスペクトした上でコストを抑える工夫を行うことが大事ではないかと思います。

保育園に「入れる・入れない」という不平等こそが是正されるべき社会的な課題

現在起きている問題をもう少し別の見方で捉えると、個別の家庭が保育園に預けることで得られる金銭的な便益が大きすぎるため、財政難の日本の状況では保育園のパンク状態が発生しているということができます。

コストを忘れて思考停止したまま、保育園の増設を訴え続けてみたり、保育士の給与を引き上げるように求める人が多いことも事実です。世代間格差の是正を求めることは大事ではありますが、人口推移や投票率の観点から若い世代への支出拡大を闇雲に訴えても勝ち目は少ない上に、高齢世代のタックスイーターと同じ穴のムジナみたいなことを述べることも気が進みません。

むしろ、私たちの世代が考えるべきことは、まずは若い年代の中での平等というポイントです。上記の通り、都心の地方自治体では保育園に入れたか否かで、税金から受けられる便益が6年間で約1300万円も変わります。1300万円という数字は庶民にとっては一財産であり、それらの便益を受け取る人々に対して受け取れない人が怨嗟の念を持つことは当然です。「日本死ね」と毒づきたくなる気分も分かります。

そこで、必要なことは、保育園経営者・保育士という子育てサービスの供給主体への補助金ではなく、子どもを持つ家庭への子育てクーポン(ヴァウチャー)への切り替えだと思います。同制度を導入することで全ての子どもを持つ家庭が等しくサービスを受け取ることで、若い世代内での子育てサービスに対する公正さが担保されることになるでしょう。

まして、最近でも保育園の道義的に不適切な支出問題などがニュースになったばかりです。税金で運営される施設というものがブラックボックス的な経営になるのは保育園であったとしても何ら変わりありません。保育園への補助金を保育クーポン制度に変更することで、家庭に支出先の選択権が移ることで非効率な経営を行っている保育園があるならば淘汰されていくことになり、子どものために良質な保育サービスを提供している保育園が増えていくことになります。

むしろ、「保育園」ではない「ソリューション」を創ることに知恵を注ぐべきだ

むしろ、高度経済成長期の残滓のような保育園というソリューションの限界性について社会的に議論がされていくべきではないでしょうか。一部には田中角栄内閣の人材確保法などを引き合いに出す向きもあるみたいですが、保育園という仕組み自体の問題にそろそろ本格的に向き合うべきです。

現代の日本において政府が供給しているサービスはあらゆる分野で制度疲労を起こしており、子育てサービスであったとしても根本からあり方を見直すべきときが来ていると思います。

たとえば、米国では下記のようなベビーシッターのマッチングアプリの企業が資金調達を行って保育サービスのマッチングを行っています。

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このようなマッチングサービスが普及することによって、保育園経営者などによる中間費用を削減し、サービス利用者が保育士(ベビーシッター)にダイレクトに対価を渡せる環境を整えることが大事です。

保育サービス利用者及び保育士が両者の都合が良いときにマッチングが行われることによって、利便性の高い保育サービスが提供されることになるとともに保育士の苛酷な労務環境も改善されることになります。この仕組みであれば現在休職中の保育士の有効活用を行うこともできるようになるでしょう。

徒に保育園増加や保育士給与アップを訴える行為は、子育てサービスの消費者ニーズに即した環境づくりを阻害する可能性もあり、供給者都合の主張ということも言えるかもしれません。

保育園や保育士給与を増額して問題対処しようという政治家は、会社経営で言えば巨額のコストに見合わない投資を推進するダメ経営者です。むしろ、費用対効果を明示して、情報技術を利用可能にする規制改革を行い、事業者に新事業の創設を働きかけ、新しい日本の子育て・働き方を提起する人物が現代日本の政治家に相応しいでしょう。
 
健全なコスト感覚と新しい発想を持ったオピニオンリーダーが登場する子で、政治の場に20世紀の発想・ソリューション以外の選択肢が国民に提示されていくことを期待しています。



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yuyawatase at 20:21│Comments(0)国内政治 | 社会問題

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