翁長雄志・沖縄県知事が相手にされない本当の理由切捨御免!ひきこもり保守の代表格「はすみとしこ」さん

2015年11月20日

切捨御免!高橋洋一さん『の』俗論を切る!おおさか維新の通信簿

The_Siege_of_Osaka_Castle

自分は基本的におおさか維新の会の政治方針については賛同しています。その上で、様々な議論がなされている大阪府知事選挙・市長選挙について「通信簿」を発表いたします。本ブログでは大阪府の経済パフォーマンスの結果を基に維新以前・以後を比べていきます。

日本全国との比較数値を評価することは投票者をミスリードする行為である

おおさか維新の会の政権運営に関する良否について、全国における大阪府のGDPシェアなどを測る俗論があります。ただし、そのような数字は全く無意味とは言わないまでも、投票者をミスリードするものであって参考値程度にしかなりません。(大阪ダブル選目前! 結局「橋下以前」と「橋下以後」、大阪の経済はどう変わったの?高橋洋一さん)

なぜなら、全国的な経済動向と大阪府の経済動向を比較して、大阪のほうがマシか否かという田舎者根性で、大阪という大都市のパフォーマンスを測ることがそもそもナンセンスだからです。

たとえば、東京などのグローバル都市は完全に世界経済と接続している一方、鳥取・島根などは逆に政府支出中心の半社会主義圏です。つまり、グローバル都市は世界的な経済動向の影響を受けやすく、ローカルな都市は国策による政府支出の大小による影響を受けやすい状況にあります。そのため、外的要因に強く左右されるGDP内の経済シェアで一喜一憂することは明らかに無意味です。

そのため、2008年に発生したリーマンショック前後の状況を全国と比べて何勝何敗とか、高橋洋一さんが述べられていることは本当に意味が分かりません。むしろ、全国GDPのうちの大阪のシェア%は外的要因に左右され過ぎるため、維新の政権運営の経済パフォーマンスを測る上で不適切です。

政治の運営の良し悪しは「GRP」と「公的支出%」で判定できる

維新の政権運営の良否は、大阪府内の政治的な意思決定によって、一定程度を左右できる経済パフォーマンスから判断する必要があります。

大阪府の政権運営の評価は、(1)大阪府内の域内総生産量(GRP=Gross Regional Product)の推移、そして(2)GRP内の公的支出(名目政府最終消費支出+名目公的固定資本形成)の割合で評価することができます。(大阪府・大阪府経済計算参照)

第一に、GRPが伸びているならば経済運営のパフォーマンスが良かった、ということになります。一国の経済運営のパフォーマンスがGDPで計測されることと同じイメージということになります。

第二に、GRP内の公的支出の割合が高まっている場合は、民需から官需への依存が強まっていることを示しており、政府の肥大化が進んでいることを指します。

基本的にはGRPが伸びており、なおかつ公的支出割合が低下していれば、民需主導の経済成長が実現していることになり、政権運営が順調に行われていることを意味します。

リーマンショック後の政治運営に対する賛否を判断基準に

<大阪府内総生産(GRP)の推移(百万円)>
大阪GRP
大阪府のGRP総額は横ばい・低下傾向にあり、維新政権以前・以後も同傾向はほとんど何も変わらない傾向にあります。大阪府内の産業構造自体が21世紀には通用しないモデルのものも多く、大阪の経済力が中長期的に衰退していく状況はいずれの政権であっても変えることはできていません。また、2008年のリーマンショックの著しい落ち込みから立ち直っているかも非常に疑問です。全国GDPの中でシェア何%とか無意味な議論を止めて、大阪自体の経済衰退を問題にするべきです。

<大阪府内総生産(GRP)における公的支出割合>
大阪公的支出
また、維新政権以前・以後(つまり、2008年以後)は、明らかにGRPに占める公的支出の割合は増加しています。そこそこの好景気の影響から17%台で推移していた公的支出割合は、リーマンショックに対応した維新以後から18%後半から19%台に乗っており、大阪府内の経済全体に対する政府の相対的な肥大化が進んでいます。

つまり、経済的な落ち込み&公的支出割合の増加(政府の相対的な肥大化)という結果が現在の大阪府への評価ということになります。

ただし、これらの経済的な落ち込みと公的支出割合の増加は「2008年に発生したリーマンショック」の影響が大きく、維新でも非維新でも困難な政権運営に直面したことは間違いなく、維新の上記のパフォーマンスについて維新の努力の結果と見るか否かを各個人が判断するところとなります。

(ちなみに、蛇足ですが、日本は人口減少時代であるからGDPがゼロ成長・低下しても当然であるという言説が世間ではまかり通っていますが、「移民を入れた上で、現役世代の負担軽減を行うか」すれば良いのであり、
「政策な無策」で人口が減っていることを無視して、現政権が自分で左右できる環境を理由に言い訳することはできないことも付記しておきます。)

的外れな非維新野党の「小さな政府・福祉切り捨て」批判

野党陣営は維新が各種政府支出をカットしてきた、と主張しています。しかし、大阪府内の経済全体における公的支出割合は肥大化を続けています。

大阪府自体は維新以前・以後問わず継続的に最終消費支出を減らしていますが、社会保障基金の金額が増えています。そのため、政府最終消費支出は維新時代も傾向として増加を続けており、大阪府内の政府規模全体が小さなくなったということはありません。

また、公的固定資本形成は2001年~2008年(維新以前)の間に3分の2まで低下しており、維新以後の公的固定資本形成の減少分は政府最終消費支出の増加によって相殺されています。

<大阪府内の名目・政府最終消費支出の推移(百万円)>
政府最終消費支出
<大阪府内の名目・公的固定資本形成の推移(百万円)>
大阪公的固定資本形成
つまり、公的固定資本形成は「非維新政権時代に大幅に切捨てられた」のであり、維新はその流れを引き継いだに過ぎないということです。そして、「政府最終消費支出における大阪府のカットも維新以前・以後で継承されて」おり、「社会保障基金の支出が増えて大阪府内全体としては政府規模は拡大している」傾向にあります。

非維新勢力が政府支出のカットによる福祉切り捨てなどを主張しても、大阪府単体に対する批判は一部は当たっているものの彼ら自身へのブーメランになる話であり、なおかつ大阪府全体では政府のお世話になっている金額は増えているわけです。

ちなみに、大阪の失業率はリーマンショック後に改善していますが、それは建設業就業者が減少した分を医療・福祉分野での就業者が吸収した形で実現しています。特に福祉系の労働者として相性が良い高齢者・女性の就業者が増加したことで生活保護に陥る可能性があった人が減ったことは評価に値します。

ただし、それらは土建型の公共事業型経済から社会保障型の福祉経済への産業構造への転換を意味しているだけであり、大阪経済をリードしていく新産業の創出という経済構造の転換は依然として課題として残り続けています。

大阪は民需主導の経済復活を実現できるのか

大阪W選挙そのもので問われることは、産業構造の転換で苦しんでいる上にリーマンショックで傷ついた大阪経済を民需主導の経済成長に導くことができるのは誰か、ということです。具体的に候補者に問うことは2つとなります。

第一に、問われるべきことは過去の総括です。リーマンショック後の決して良いパフォーマンスではない経済運営を「維新だからこそある程度の被害で食い止められた」とするか、「維新は前政権よりも経済運営が下手だった」とするか、が実績の評価となります。

第二に、問われることべきは未来のビジョンです。大阪の傷ついた産業構造は維新以前・以後もほぼ変わっておらず、産業構造の抜本的な改革が必要です。本来は大阪W選挙について積極的に論評している有識者が産業構造の転換を選挙争点として提示して世論を啓発するべきです。

大阪の皆さんはどのように判断されるでしょうか。

その前提として、冒頭で触れた「高橋洋一さんのように維新をヨイショするだけのための分析」を提示することは誤りであり、維新ができたこと・できなかったことを明確にした上で、それでも今後維新に賭けるべきか、という問いを人々に提示していくことが大切です。

ちなみに更に切り捨てると、「大阪府の臨時財政対策債の異常な増加は後々地方交付税で補てんされるから問題がない」(高橋洋一さん)という田舎の地方自治体と大都市・大阪を同一視するような認識を見直すことも重要です。元役人としては、それで良いのかもしれませんし、現状の腐り切った大阪では仕方がないかもしれません。

しかし、大阪は地方交付税を受け取る必要がない「大都市」本来の役割と矜持を果たせる自治体になるべきであり、臨財債の発行を恥ずかしいことだと思う感覚を持つべきです。総務省が言っていることを真に受けて信じた上で大阪府の財政の健全性が保たれるとした場合でも、政府支出の増大によって経済の健全性が保たれるかは別の問題です。(無駄な臨財債を発行して政府規模を膨れ上がらせることが良いとは思いません。)

それでも「おおさか維新」に期待する理由とは何か

維新の政治運営を評価をする際の注意すべき点としては、上記の分析は、大阪府内全域の話であるため、必ずしも維新の評価だけなく、非維新まで含めた全ての政治勢力のパフォーマンスと言える面もあるということです。全国レベルの政治の影響も当然ありますし、維新が府内の全首長を奪取し、議会でも過半数を取ることがあれば状況は大きく変わる可能性もゼロではありません。

首長の地域経済のパフォーマンスに対する良し悪しを測るためには、地方分権を徹底的に進めることが大前提となります。税率や規制の自由化を進めることで首長の裁量を高めて、その責任を明確に問うことができる環境整備が必要です。

そして、自分の政権運営に責任が取れる首長が増えることが日本全体の再興のための必須条件です。このような政策を国政レベルで断行できる可能性がある維新には期待しています。

今後、おおさか維新の大阪W選挙勝利及び全国的な躍進による構造改革の進展は注目に値します。





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yuyawatase at 17:00│Comments(0)国内政治 | 小さな政府

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