2016年03月10日

トランプ台頭と格差問題を結びつける言論は大間違いだ

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ドナルド・トランプの台頭を「格差問題」と結びつけて語る言論誘導に辟易する

トランプ氏の政治的台頭を格差と結びつけて語る識者が多すぎて辟易します。既存の識者の単純な左翼志向で米国政治、特に共和党予備選挙を考察することは全くの間違いだと言えるでしょう。

共和党の根底には自由主義が根付いており、結果の平等を問題とする「格差問題」が大きなムーブメントを引き起こすわけがありません。むしろ、共和党員は「機会の平等」に重きを置く人々であり、競争を始める最初の前提がおかしい場合、それを正そうとする傾向がある人々です。

共和党の候補者が誰か一人でも格差を問題にしたでしょうか?そのようなことは無いと思います。したがって、白人ブルカラー層が経済格差を問題としてトランプ氏を支持しているなど、左翼識者やジャーナリストらの妄想空間の中だけの話です。せいぜい共和党員が叩くことは「縁故資本主義」によって政治が作り出す経済格差(機会の平等への侵害)であり、結果の平等を求めるなら共和党員ではなく民主党支持者になっています。

したがって、「政治問題を見つけると格差問題に誘導する」マルクス思想を21世紀に垂れ流し続けるのはやめてほしいものです。

現在、共和党予備選挙で問われていることは「不法移民」に対する政治姿勢である

トランプ氏の発言は、原則的に選挙に勝つために非常に合理的に設計されていますが、そのメッセージには一貫性が存在しています。それは「国境」に関する機会の平等を求める「不法移民」に対する強硬姿勢です。

トランプ氏が「メキシコとの間に壁を築く」と主張して世間を驚かせましたが、共和党員の多くは不法移民について厳しい考え方を持っています。国籍取得に対して厳しい条件を課す米国に「不法な形」で入国して居座り続ける不法移民は「機会の平等」を侵害する存在です。一方、トランプ氏を含めた共和党員は「正式な移民」については積極的に受け入れる姿勢を崩していないことから、単純な排外主義者ではないことは明らかです。

正式な手続きを踏んで移民資格を取った人々にとっては不法移民とはルール違反の存在です。日本のように地続きの隣国が存在しない場所ではピンとこない問題かもしれませんが、それらのルール違反を黙認するか否かということが「共和党予備選挙」にとっては重要な争点となっています。

更に言うと、同じヒスパニックであったとしても共産政権から逃れてきたキューバ系は生活のために入国してきたメキシコ系よりも共和党支持者が多い傾向があります。ヒスパニック内でも自由や平等の考え方が出自によって異なるということが言えるでしょう。

したがって、仮に白人ブルカラー層がトランプ氏を支持していたとしても、それは格差問題というよりも「不法移民」というルール違反で自分たちの仕事を取ろうとしている存在への怒りと理解するべきだと思います。

「小さな政府」「社会的保守」「不法移民」の3軸を問われる共和党の候補者たち

共和党予備選挙では、マルコ・ルビオ氏が非常に苦しい立場に追い込まれており、15日のフロリダ州予備選挙で敗北することがあれば撤退を余儀なくされるものと想定されています。

マルコ・ルビオ氏は元々保守強硬派によって選出された連邦議員ですが、移民問題で不法移民に柔軟な姿勢を示したことから「Gang of Eight」と呼ばれて保守派から激しい批判にさらされた結果、保守派から穏健派に鞍替えした経緯があります。

そのため、共和党員が候補者に求める3つの条件である「小さな政府」「社会的保守」「不法移民」の3要件のうち、「不法移民」に対しての対応が甘くなり、それが支持の大幅な低下を生み出している状況となっています。

一方、保守派のテッド・クルーズ氏は上記の3条件を満たしているため、安定的な強さを誇る状況となりつつあります。トランプ氏と比べてクルーズ氏の売りは「小さな政府」「社会的保守」の2点であり、伝統的な保守主義運動層からの支持は圧倒的に高い傾向があります。

つまり、「小さな政府」「社会的保守」ならクルーズ氏、「不法移民」ならトランプ氏、という形でマーケティングが分かれた結果、3要件の全てに中途半端な対応を示しているマルコ・ルビオ氏がマーケティング上の敗北を帰したということが言えるでしょう。

トランプとサンダースは全く別物であり、両者を同一視して語ることは不可能である

巷ではトランプ氏とサンダース氏を同一視して白人下層階級の怒りとして表現する俗論があります。しかし、マルクス思想に染まった頭を捨てて、トランプ氏とサンダース氏の両者の人生は180%真逆であるとともに、支持者層も全く異なるという当たり前の話を直視するべきだと思います。

トランプ氏はNYでも移民が約半数のクイーンズ生まれのガサツな坊ちゃんであり、不動産業という切ったはったの世界で生きてきた人物です。そして、不動産ビジネスでMBAを取得したエリートであり、巨万の富を築いた立志伝中の人物です。メキシコ系やイスラム教徒からの反発は強いかもしれませんが、その他の人種からはそれほど反発が強いようには感じません。

一方、サンダース氏はブルックリン生まれのユダヤ人で白人の学校に通い、その後白人でほぼ人口が占められているバーモント州で議員をやってきた人物です。そのため、白人層以外との交流が薄いため、黒人票の取り合いなどでヒラリーに圧倒的に敗北している状況です。ヒラリーと比べてサンダース氏は白人の危機意識を代表している存在と言えるでしょう。

また、トランプ氏の支持者は全年代に満遍なく存在していますが、サンダース氏の支持者は若者に完全に偏っています。このことからトランプ氏の問題提起は全年代に幅広く浸透するものであり、サンダース氏の問題提起は若者の学生運動のノリだということ言えるでしょう。

つまり、トランプ氏とサンダース氏を同一視する人は、あまりにも解像度が低すぎる顕微鏡で見ているから、全然違うものが同じものに見えているに過ぎません。犬と猫が四足歩行の哺乳類だからといって同じものとして分類するくらい無理があります。

少なくとも米国共和党を「格差問題」から語るということは滅茶苦茶な論説であると理解すべき

米国共和党が持っているイデオロギーは、半社会主義経済に染まった日本人には極めて理解しにくいものであり、分からないものを無理やり自分が知っているツールで切ろうとすることは慎むべきでしょう。

たしかに、米国でもメディアにおいて格差の文脈からトランプ現象を語るメディアはあります。

しかし、それは「メディアが左派だから」です。そして、共和党とは「左派のメディアと戦ってきた政党である」という基本的な理解がなければ、それらの言説をそのまま受け取ってしまうのも無理はありません。特に日本の米国識者はメディアや大学の英語情報をそのまま翻訳してきただけの人達なので、共和党の説明をマルクスが行っているような滑稽な光景が繰り返されているのです。

ということで、馬鹿の一つ覚えのように「全ての事象を格差問題と結びつける」ことは止めるべきです。そして、日本国内でも同じことが言えるのではないかと思う今日この頃です。




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yuyawatase at 20:23│Comments(0)米国政治 

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