2018年02月

2018年02月10日

東京23区大学定員抑制に思う。何故、若者が東京に出ていくのか?


東京23区への大学定員抑制を10年間続けることで若者の東京流入を抑制するという極めて愚かな法案が閣議決定されました。法案には地方大学及び産業振興のための交付金も盛り込まれていますが、毛沢東ばりの現代版・下放政策として自民党の歴史的愚策として名を残すことになることでしょう。


地方の根本的な問題は、県庁・市役所・寡占化された企業による「風通しの悪い疑似封建制」に嫌気を指した若者が流出しているに過ぎません。自分の未来が生まれによってほぼ決定している場所から前途有望な若者が出ていくだけです。今回の定員抑制のように「領民が支配地域の外に出ることを防止するために関所を作ってしまえ」と言わんばかりのボス猿の田舎政治の発想には呆れるばかりです。


東京は日本各地からの人々が集まります。地元ではボス扱いされている役所・企業も東京に出てきてしまえば全体の中の1つでしかなく、地方と違って一握りの人々が東京を支配することはできません。若者は東京の自由で開かれた気風に惹かれて上京し、そこで個人の努力に応じたそれなりの機会を得ることができます。


したがって、18歳以下の人口が減少する日本社会においてはそもそも東京への進学意欲が減少するわけがなく、大学定員を抑制したところで東京への人口流入が止まることはないでしょう。

一方、最近では東京の大学も東京出身者の比率が高まりつつあり、東京の多様性・自由闊達な空気が退行する可能性が出てきたように感じます。


東京は域外からもっと人材を受け入れるべきですが、その送り出し元が日本の地方である必要性はありません。東京に存在している私立大学はピンキリであり、どうしようもない下位大学はそもそも必要なく、同様にそれらの大学の学生を地方から受け入れなくても問題ありません。


むしろ、大学定員抑制の例外とされている、海外大学の積極的な誘致及び留学生を獲得し、既存の東京の大学と積極的に競争させることで大学教育の質の向上を図ることが重要です。東京は日本最大のグローバル都市として、地方を相手にするのではなく、あくまでも世界と向き合っていくべきです。日本の中での序列はコップの中での小さな話であり、世界に開かれた競争を促進することで教育の質の改善を行うことが望まれます。


また、意欲がある人材は地方で大学を出た後に東京に出てくるので、東京側はそれらの人々のための専門職大学院の質を高める努力をしたほうが良いでしょう。地方に対して学部レベルでの争いではなく大学院レベルで決定的な差異が生まれるように高等教育の差別化を図るべきです。


「自分たちの領土から領民を逃さない」ための政策を臆面もなく実行するボス猿政治に支配された地方に未来はありません。腐りきった風通しの悪い政治・社会・経済構造が若者の流出を生み出していることは明らかです。


東京は従来までの日本全国から人が集まる風通しの良さに加えて、世界から人が集まる風通しの良さを手にし、地方の発想とは全く別次元の進化を遂げる方向に舵を切るべきです。その結果として、東京の自由な空気は若者を惹きつけ続けることでしょう。



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2018年02月09日

東京ばかりが遅れていく。東京の企業は東京のこと考えてますか?


東京丸の内の開発を主導している某企業の広告があまりにも時代遅れで驚かざるを得ません。こういうのってアジアなどの新興国の都市がほとんど発展していなかった1990年代の感覚じゃないのかと思います。


東京の企業は東京のことに責任を持つべきであり、地方の企業は自分の地域のことに責任を持つべきです。日本における地方の衰退は、東京による地方の過剰な統制・管理・保護によって産業構造が政府支出依存に陥ったことにあります。その結果として自助努力が衰退して若者にとって魅力的ではない街になってしまいました。


東京は東京、地方は地方で自らの自己決定に従って責任ある地域運営を行うべきであり、東京から地方への余計なお節介は不要です。たとえ東京から見て地方の歩みが遅々としたものであったとしても、東京は地方の取り組みが成功するまで黙って見守ることが必要です。


(都市戦略研究所から引用)


東京は世界中の都市との競争の真っ只中にあり、それらの都市との競争に勝ち抜くための努力を続けています。今、世界中に新しく生まれている新興都市に遠からず東京は追い抜かされる日が近づいており、東京の企業は「世界の中での東京」というブランドを維持・発展させる努力が求められています。

東京は世界最大の人口圏を持つ大都市であり、東京都、東京の企業、都民はその難しい運営に心血を注ぐだけで精一杯です。日本には首都を規定する法律は存在しませんが、ぽっと出の新興都市というわけでもなく、古くから続く歴史と老朽化した公共インフラを抱えた先進国ならではの問題が山積する課題先進モデル都市としての挑戦が続いています。


リベラルなキャッチフレーズを煽り立てる風潮によって、東京から送る資源を日本中で浪費する時代は1990年~2000年代初頭でいい加減に終わらせることが重要です。既に世界中で東京と伍する都市群が発達し、アジアにおける東京の地位も相対的に低下しつつあります。地方からの東京への過剰な期待は東京の企業の勘違いを生み出し、その没落スピードを速めるだけの結果になるでしょう。今、必要なことは東京の企業は東京のこと、地方の企業は地方のこと、自らのビジョンと努力をもって取り組んでいくことです。


件の三菱地所も東京のど真ん中で儲けている企業なのでそんなことは百も承知だと思います。東京のリーディングカンパニーとして、地方への過剰な優越心の裏返しのようなコピーではなく、世界の中での東京、という意識で最前線に立って戦う責務を果たしてほしいです。



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2018年02月08日

小池都政による都組織の実質的な民営化の検討へ


(東京都下水道局から引用)

小池都政下における象徴的な組織改革として下水道と都立病院の経営形態の見直しが進んでいます。両者ともに組織の効率化を促進し、東京都の中長期的な財政支出を抑えることを狙いとしています。


下水道施設についてはコンセッション方式を利用し、運営権を民間に売却する方式が検討されています。その目的は下水道の更新にかかる費用の膨張を抑制し、民間企業体による適切なコストコントロールを行うことにあります。下水道法によると完全な民営化が禁止されていることから、民間事業体に運営権を売却する形で経営形態の移行を実現することになります。東京都はコンセッション方式だけでなく包括民間委託も検討しており、いずれのケースであっても実現した場合には国内最大級の実質的な民営化事例となるでしょう。


都立病院については地方独立行政法人化が検討されています。東京の一般会計からの繰入金が年間約400億円に達しており、財政負担の圧縮策について議論が行われています。独立行政法人になると、定数・配置・給与などの裁量権の増加などの経営上のメリットがあるとともに、病院運営を都議会からの余計な干渉を受けることなく自律性を持った経営を実現していくことが可能となります。また、東京都の毎年の一般会計からの繰り入れではなく、病院側が作成する5か年中期計画に合わせて運営費負担金として公金が支出されることになります。


これらの改革は超高齢化社会を迎える東京都の将来的な財政運営の見通しを想定した場合、現段階から検討を加えた上で実現していくことが望ましいものです。


ただし、実質的な民営化を伴う構造改革は、都庁組織、職員組合、都議会からの抵抗が予測されるため、小池都政は今後の検討過程において抵抗勢力との間で熾烈な闘争を行うことになるものと想定されます。下水道と都立病院の組織改革は改革に後ろ向きな勢力によって慎重論が唱えられてきた経緯があり、議論の俎上に乗っただけで簡単に前に進むような案件ではありません。したがって、今後もこれらの検討状況について都民は継続して見守り続けていくことが必要です。


タックスイーターが恐れるものは民意による強力なリーダーシップの存在です。したがって、タックスイーターは都政改革本部や都立病院経営委員会などの改革を推進する機関を攻撃し、知事部局によるリーダーシップを削ぐ試みを継続するものと考えられます。特に連合の支援を都議選時に受けた都民ファーストの議員らが同改革に賛成するかは改革に向けた試金石となることでしょう。


東京都の納税者はこれらの改革が前進するように同改革の取り組みの状況を把握し、その取り組みが前進するようにタックスイーターの動きを監視する必要があります。小池都政については賛否両論分かれるところではあるものの、良い面・悪い面をしっかりと評価を加えていくべきでしょう。


 

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2018年02月07日

アイオワ州の地方公務員給与全公開を日本も導入すべき

アイオワ州実名入り地方公務員給与公開データベース

地方議会議員は「議員報酬及び費用弁償等に関する条例」によって幾らの月額報酬や期末手当等を受け取っているかは凡そ明らかになっています。これは税金から給与を受け取っている以上当然の情報公開と言えます。どの議員が幾らの金額を受け取っているかを納税者は知る権利があります。


一方、地方公務員は人事委員会勧告を踏まえて各地方自治体は給与改定を行って俸給表に従って給与が払われるものの、その実態は一般の納税者からは極めて分かりづらい状況です。そのため、各地方自治体の職員給与が、個人住民税総額と同じであったり、更には地方税収自体を上回っていたりする、実質上の人件費破綻を起こしている地方自治体の状況が長年放置された状況となっています。


たとえば、内閣府などで地方創生の成功事例と持て囃されている島根県海士町では、平成27年度決算カードを見る限り、地方税収は約2億、人件費が約5億円、一般会計歳出が約50億円であり、地方交付税や地方債が無ければ収支が全くバランスしない他人任せの財政状況となっています。筆者は地方交付税が地方固有の財源であるという詭弁は相手にしていないため、同町が身の丈に合わない自治体運営を実施していることは一目瞭然だと思います。


そして、海士町に限らず地方自治体が非現実な人件費を地方公務員に払い続けている状況は我が国に普遍的な現象であり、地方自治に関する基本的な倫理観が崩壊している証拠といっても過言ではありません。これらの悲惨な状況は納税者の地方自治体の財政運営に対するリアリティーの欠如から生まれており、そして地方公務員人件費に限って言えば公僕としての責任感の欠如そのものだと言えます。


一方、米国アイオワ州では地方公務員の年間給与が実名入りで全公開されています。つまり、公務員は公僕として働く限り、その給与は全て納税者の目にさらされていることになります。そのため、公務員給与が高い・安いは納税者にとって明らかであり、公務員側は財政状況に見合わない給与を受け取ることに対して自ら律するインセンティブが働くことになります。


最近、東京都が全ての公金支出について逐次公開する大規模な情報公開を実施しましたが、それであればアイオワ州のように公務員の実名での給与公開を行うことも「公金の支出」であることから検討するべきです。給与公開は恥ずかしいことや隠すべきことでもなく、公金で働くという名誉に伴うものであるから公開しても差し支えないと思います。


我が国の財政制度は完全に無責任の連鎖によって成り立っており、その根幹は税金の支出に関する分かりやすい情報公開が存在しないことにあります。まずは地方公務員の人件費の実名入り情報公開という極めてベーシックなところから始めることも一考に値するのではないでしょうか。

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