2016年02月

2016年02月28日

トランプを低評価するか否かは「情弱」のリトマス試験紙だ

ダウンロード

日本国内でトランプ氏を低評価する人々は「情報弱者」としての特徴を示している 

米国大統領選挙の共和党予備選挙において、ドナルド・トランプ氏が予備選挙序盤で圧倒的な好成績をおさめつつあります。2月に行われた党員集会・予備選挙で4分の3の勝利を記録することになりました。

ドナルド・トランプ氏は予備選挙に関する世論調査においてほぼ常に1位であるため、トランプ氏が予備選挙で着実に勝利を積み重ねるのは当然の結果です。敗れた初戦のアイオワ州党員集会は1位になったクルーズ氏と最終的な世論調査で競っていたので敗れることも予想の範囲内であったと言えます。

しかし、トランプ氏が日本に紹介される際に「暴言王」のようなバイアスがかかった情報が大量に流されたために、トランプ氏は日本ではすっかり低評価となりました。米国政治に興味がある人々から市井の人まで「トランプ=馬鹿=米国の終わり」という無根拠な思い込みが浸透しました。

筆者は「トランプ=低評価」は「常識」がある大人であるかどうかのリトマス試験紙だと思っています。その常識とは「バイアスがかかった情報を鵜呑みにしない、あるがままの情報を受け取る力」を持った人かということです。つまり、トランプ=低評価という図式を信じた人は加工された情報に対する耐性が無い「情弱」と言えます。以下、情弱の特徴も含めて解説していきたいと思います。

「情報弱者」は「情報が取れない人」「情報を信じ込まされやすい人」の2パターンに分かれる

一般的な意味での情報弱者とはデジタルディバイドによって、既存メディアからの情報を鵜呑みにせざるを得ない人々のことです。今回のトランプ=低評価という例でもメディアが垂れ流した大げさなデマに踊らされた人が沢山いたことは間違いありません。

筆者も国会議員や有識者らに会うなかで最初の頃は真面目に反論しましたが、最終的には面倒くさくなって「ああそうですか」という話しかしていません。日本の対米政策の現状はそんなもんだと思いますし、テレビや新聞を読んでいる市井の人とほとんど変わらないものと言えます。

二つ目は情報を信じ込まされやすい人です。人間は次々とそれらしい情報を追加で得るとそれらを信じ込みやすくなります。

たとえば、トランプ氏=低評価、という図式が流布されている状態で、トランプ氏の支持者は白人の低学歴ブルカラーだという言論が溢れかえりました。一部の支持者をピックアップすることでトランプ氏の政策もまともなわけがないという露骨な印象操作です。しかし、自分のことを有識者または米国に詳しいと思う人ほど、この情報に食いついてこれ見よがしにメディアなどで垂れ流してました。

上記の両方とも露骨な印象操作によって情報受領者の認識をコントロールしようとするものです。人間は自分が馬鹿だと思われることを嫌がります。そのため、〇〇を支持している人は馬鹿・人でなし、というプロパガンダは意外と効くわけです。米国のメディアで行われている中傷合戦をそのまま日本に輸入して真実かのように話すことが滑稽なことだと気が付くべきでしょう。

そもそもドナルド・トランプ氏はどのような人物なのか?ということを知らない

そもそもドナルド・トランプ氏がどのような人物かを知らない人々がトランプ氏を馬鹿だということ自体が非現実だと思います。

トランプ氏は不動産業を営む家庭で育ち、ペンシルべニア大学不動産学科を卒業。その後、1980年代のレーガン時代に不動産王として名を挙げて再開発、ホテル、カジノなどの数多くの事業を手掛けました。その後、1990年代に事業が破綻しかけた危機も乗り切ってフォーブスのトップ400社に返り咲く見事な経営手腕を示しました。近年、サブプライム問題などの苦境を克服した上で、現在の共和党の予備選挙に臨む状況となっています。総資産約2兆円を保有する稀代の事業家ということが言えるでしょう。

この人物が「馬鹿かどうか」はメディアがもたらす「余計な情報」が無ければだれでも分かると思います。トランプという固有名詞を伏せて、同じ人物への評価を聞いた場合に現在のトランプ氏に対する評価とは真逆の評価が返ってくるでしょう。

では、トランプ氏の選挙キャンペーンにおける政策面はどうでしょうか。トランプ氏が過激な発言を繰り返している理由は「選挙で勝つために他ならない」と思います。メキシコとの壁が云々、その他諸々の発言は常に彼の支持率向上に役立っており、トランプ氏は勝利に向けて極めて合理的な行動を行ってきました。

この際、重要なことは「トランプ氏を支持する人」と「トランプ氏」を同一視する人は「情弱」だということです。これは、吉野家(自分も好きですが・・・)を愛食する人と吉野家の経営者を同一視するようなものだからです。トランプ氏は集票上のマーケティングの問題で発言しているだけであり、それらの発言に反応する層とトランプ氏自身が同じことを考えているとは限りません。(むしろ、真逆である可能性すらあります。)

また、最近発表されたトランプ氏の外交ブレーンはマイケル・フリンという大物です。米国のスパイ機関である国防情報局(DIA、約1万7千人所属)のトップであり、CIAに匹敵する米国の安全保障を支える中枢機関です。フリン氏は外交政策で対立したオバマ大統領を激しく批判した人物として知られています。

同氏の政策の是非などはともかくとして、共和党の億万長者の候補者に外交面でも有力なアドバイザーがいることは当然でしょう。というよりも、トランプ氏の外交ブレーンがいないor脆弱であると想定すること自体が非現実な妄想だと思います。

実際、トランプ氏は早い段階でのディベートからフリン氏の主張する中東政策などと同一の趣旨コメントを行うことがありました。トランプ氏が外交下手という評価を下していた人々は、マイケル・フリン氏よりもまともなアドバイスができるのでしょうか?

人物評価を自分の確固たる視点で行うことで「情弱」から抜け出すことができる

「情弱」状況から抜け出すために、筆者がオススメしたいことは、少なくともリーダーとして人物を評価する際、

(1)過去に何人の規模の組織のトップ(代表取締役)に立ったことがある人物か
(2)過去に自分の裁量で幾らの資金を動かしたことがある人物か
(3)エスタブリッシュメントの言語を理解できる十分な学歴を持った人物であるか

という3点を見るべきだと言うことです。むしろ、この3つが満たされている場合、その人物の行動は極めて計算されたものである可能性が高く、表面的な発言などにイチイチ右往左往することが無意味なことであることが分かります。

人物評価の基準を他人の噂話(メディアでのコメンテーターの発言など)に依存しているようでは「情弱のまま」ということになります。トランプ=低評価という風潮を他山の石として、自分が情弱状態に陥っているかをチェックしていきたいものです。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 17:50|PermalinkComments(0)米国政治 

2016年02月26日

共和党ネバダ州党員集会結果が示す意味

a0001_016897

トランプ氏が代議員数50%を確保する可能性が見えてきた

筆者はトランプ氏の圧倒的優勢とマルコ・ルビオ氏の台頭を昨年から推しており、最終的には共和党予備選挙はトランプ・ルビオ氏の対決になると予想してきました。

結果はアイオワ・ニューハンプシャ―・サウスカロライナ・ネバダの各予備選挙・党員集会を経て、筆者が予想した通りの展開となりつつあります。ブッシュが勝つとか、トランプは消えるとか、様々な妄想を長期間に渡って垂れ流してきたメディア・有識者の心境は如何にといったところです。

その上で、スーパーチューズデー直前のネバダ州党員集会の結果について追加で考察を加えていきたいと思います。この党員集会の結果は筆者の予想である、トランプ氏は予備選挙1位だけれども代議員50%確保は厳しい。という予想の反証となる可能性がある注目すべき結果となったからです。

ネバダ党員集会、トランプ氏が党員集会でも勝てることが明らかに

<ネバダ州党員集会最終結果>
Donald Trump: 45.9%
Marco Rubio: 23.9%
Ted Cruz: 21.4%
Ben Carson: 4.8%
John Kasich: 3.6%

ネバダ州の共和党党員集会は上記の最終結果となりました。

注目すべきはトランプ氏が直前のCNN世論調査通りの得票を手に入れた点にあるでしょう。党員集会は陣営の運動力の差は直接的に得票に影響を与える投票形態であり、十分な運動員を持つクルーズ・ルビオ両氏よりもトランプ氏が苦手とする選挙制度です。

しかし、今回トランプ氏が世論調査通りの数字を確保したことは選挙戦略上の弱点を克服しつつあるか、それを上回る支持を得つつあることを示しており、今後予定されている予備選挙・党員集会でも圧勝する可能性を示唆しています。

筆者はトランプ氏について強いと様々な場所で主張して国会議員や有識者の皆さんに訝しがられてきましたが、その筆者から見てもネバダ州党員集会におけるトランプ氏の強さは特筆に値するものだったと思います。

2位争いとしては直前の世論調査ではクルーズ氏がルビオ氏を上回っている結果もあり、党員集会直前に上院議員のエンドースメントを取り付けたルビオ陣営の戦略が光った形となっています。

トランプ氏をエンドースする最初の一人が現れた状況に・・・

筆者が個人的に注目しているポイントは、ネバダ州以前ではゼロであった米国共和党政界からのトランプ氏へのエンドースメントを行う人物が現れた点です。

具体的には、Duncan D. Hunter氏(カリフォルニア)とChris Collins氏(ニューヨーク)の下院議員2名です。もちろん、トランプ氏はマルコルビオ氏とはお話にならないくらいエンドースメント量で引きなされた状況ではありますが、最初の1名が現れたことのインパクトは非常に大きいものと思います。

現在は下院議員が僅か2名という状況ではありますが、上院議員や知事がエンドースメントすることがあれば一気にトランプ氏へのエンドースメントが増加する可能性もゼロではありません。

スーパーチューズデーでネバダ州と同じ結果が出せるならトランプ氏の圧勝確定

トランプ氏の予備選挙1位は手堅い状況となってきていますが、ルビオ・クルーズ両氏との三国志状態に突入しているため、共和党の指名を受けるために必要な過半数の代議員からの支持を獲得することは容易ではありません。

しかし、仮にトランプ氏がネバダ州で示した支持過半数に迫る強さを発揮しつつ、テキサス州でクルーズ氏を破り、他の諸州でも1位また2位ということになれば共和党からの指名はほぼ確定するものと想定されます。2月26日現在、テキサス、アーカンソー、ミネソタなどの一部の州を除き、トランプ氏が各州でリードしている状態です。

共和党予備選挙は序盤戦を終えて、中盤戦の山場を迎えつつあります。今後もますます目が離せない展開となってきています。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 11:23|PermalinkComments(0)米国政治 

2016年02月22日

トランプ陣営がサウスカロライナ勝利で抱えた難題とは?

1c469935

ニューハンプシャー州・サウスカロライナ州でのトランプ勝利の先にあるもの

サウスカロライナ州の予備選挙でトランプ氏勝利、代議員獲得数で67となって2位以下を大きく突き放した格好となりました。リベラルなニューハンプシャーと保守的なサウスカロライナの両州を制したことでトランプ氏の実力は如何なく証明されたものと思います。

通常の予備選挙であれば決着がついたと言える状況ですが、今回の共和党予備選挙は極めて歪な権力構造が入り乱れており、このままトランプ氏の指名決定ということにはストレートにはならないものと思われます。それどころか、サウスカロライナ州の結果はトランプ氏の選挙戦略に影を落す結果となったと言えるかもしれません。

トランプ陣営の基本的な選挙戦略である「構図」への修正圧力 

ドナルド・トランプ氏の選挙戦略は極めて明快であり、「トランプVSそれ以外」という演出を徹底することにあります。そして、メディアの話題の中心を常に自分に集中させることによって、他候補者への関心を分散させて票を散らせるというやり方です。

トランプ氏の選挙戦略は「一人を選ぶ」選挙において極めて有効な戦略であって日本でも実行されることがあります。全ての対立候補者に自分を批判させることによって露出機会を確保して一定の支持層を固めて勝利に滑り込むということが狙いです。対立候補者やメディアが「トランプ」という言葉を口にするだけで良い宣伝になるわけです。

最も顕著な出来事として、トランプ氏がアイオワ州の党員集会直前でのディベートをボイコットして、ディベート会場から直ぐ近くで退役軍人へのチャリティーを主催してみせたことが挙げられます。トランプ抜きの討論会は盛り上がりに欠けており、トランプ氏は誰が予備選挙の主役なのかを明確にしてみせたと言えます。

しかし、サウスカロライナ州予備選挙を受けてトランプ氏の選挙戦略に修正を加える変化が発生しました。それはジェブ・ブッシュ氏の撤退とマルコ・ルビオ氏の台頭です。この事態は元々想定されていたものでしたが、ジェブ・ブッシュ氏のキャンペーンが予想よりも下手くそであったこと、マルコ・ルビオ氏のキャンペーンが巧みであること、によって選挙戦を左右するスーパーチューズデーよりも前段階でトランプ氏にとって不都合な状況変化が起きたと思われます。

ちなみに、日本の有識者らは昨年ブッシュが大統領候補として有力と述べていた人々ばかりであり、今となってはどれだけいい加減な人々であるか証明される結果となりました。筆者はマルコ・ルビオ氏については日経ビジネスオンラインで2012年段階から共和党内で台頭することを明言し、2016年予備選挙はトランプ氏VSルビオ氏の構図になることは早くから指摘しています。

メディアは自然な流れとして、トランプ・クルーズ・ルビオの三つ巴として報道

サウスカロライナ州の予備選挙以後に増えた言葉は「3つ巴」です。つまり、トランプ、クルーズ、ルビオの3名が同列に並べられてメディア上で語られるようになっています。また、有権者の基本認識としても、アウトサイダーのトランプ、保守派のクルーズ、主流派のルビオ、という三国志状態でインプットされていることは間違いありません。

そして、このような状況こそがトランプ氏が最も恐れていた状態であるということが言えるでしょう。つまり、トランプVSそれ以外であればトランプ氏は常に1位であり、場合によっては各州からの代議員の過半数を取得することも可能であったかもしれません。しかし、実際にはトランプ氏を支持者は全体の30%前後で固定化しており、全体の50%以上の支持を獲得することは困難な状況です。

その結果として、3つ巴という認識が有権者に刷り込まれると、トランプ30、クルーズ30、ルビオ30のように誰も過半数を取ることができなくなります。そして、党大会で第一回投票で代議員の過半数を獲得できる候補者がいなかった場合、第二回投票である1位と2位の決選投票に持ち込まれることになります。

このような状況になると、共和党の政界要人らの影響が増加して、彼らからの支持を得ていないトランプ氏は苦しい立場に立つことになるのは明白です。要は3つ巴という状況はトランプ陣営にとって最も望ましくない状況だと言えるでしょう。

ルビオの選挙戦略の巧みさが目立つ序盤戦、予備選挙の戦いは中盤戦に突入へ

サウスカロライナ州予備選挙直前、ルビオ氏は隠し玉ともいえるエンドースメントを発表してブッシュ・ケーシックなどの他主流派候補者を突き放すとともに、クルーズ氏を差し切って得票率2位の座を確保しました。

そのエンドースメントとは昨年12月で州内の共和党内から81%の支持を獲得する人気のサウスカロライナ州知事からのエンドースメントです。ニッキー・ヘイリー知事は保守派からも絶大な人気を誇る女性知事であることから、州経営の実績・保守派からの決定的支持などが不足しているルビオ氏にとっては良いパートナーとなるため、副大統領候補者としても名前が挙がっています。

そして、ネバダ州党員集会を前に、同州のキーパソンである上院議員からエンドースメントを確保し、その推薦理由として「次世代の保守リーダーであること」を挙げさせるなど、保守派のテッド・クルーズへの運動への打撃を与える巧みさを披露しています。マルコ・ルビオは場面によって主流派と保守派の使い分けを行うことで、着実にトランプ・クルーズへの優位を確立しつつあります。


3月1日のスーパーチューズデーでは何に注目するべきなのか?

スーパーチューズデーでは合計595人の代議員から指名の行方が決まることになります。現在、トップのトランプ氏の代議員獲得数が67であることを考えると、スーパーチューズデーのインパクトの大きさが理解出来ます。

今年のスーパーチューズデーは、ジョージア76、オクラホマ43、テネシー58、アラバマ50、コロラド37などの2012年に保守派のサントラム・ギングリッジが勝利した州が多く、クルーズの地元であるテキサス州155が入っていることなどが特徴です。つまり、保守派が獲得可能な州の代議員総数は合計419ということになります。

特に上記の保守派にとって実績がある各州でクルーズ氏がそれらの州のうち幾つでトップを取ることができるのか、という点が最大の見どころとなります。トランプ氏が全米支持率は1位を保っている中で、地元テキサスにおける勝利はクルーズ陣営としては必須項目となります。

仮にテキサス州でクルーズ氏が敗れることがあれば、トランプVSルビオの構図に絞り込まれることになり、テキサス州でクルーズが勝利した場合三つ巴の状況が続くことになると推測されます。

3月2日~5日に開催されるCPACによる模擬投票で予備選挙見通しが決まる

3月2日~5日までワシントンのナショナルハーバーで全米の共和党保守派数万人が結集する大会であるCPACが開催されます。CPACでは全ての大統領候補者が演説を行った上で、保守派のリーダーたちによって誰が最も大統領にふさわしいのか、という模擬投票が行われます。

共和党大統領予備選挙においてCPACの上記投票は決定的な意味があり、2012年に主流派と見られていたロムニー氏が保守派のサントラム氏に模擬選挙で勝利したことで予備選挙の決定的な流れが決まった経緯もあります。その際、ロムニー氏は自分がいかに「保守」であるのかということを会場の聴衆に向かって必死にPRしていたことが印象的でした。CPACに一度も足を踏み入れたことがない日本人有識者は米国共和党関係者にとってはモグリだと言っても過言ではありません。

予備選挙の展開が、トランプVSルビオに絞り込まれるのか、それとも三つ巴になるのか、は分かりませんが、同投票で1位になった候補者が保守派からの支持を完全に固めることは間違いありません。CPACではルビオ氏かクルーズ氏が最多得票を確保するのではないかと予想されるため、正式な保守派の代表はどちらなのか、ということが決まることになり、勝者に予備選挙全体の形勢が大きく傾くことが予想されます。

一方、トランプ氏については保守派運動員による足腰が他両氏と比べて弱いため、CPACでの模擬投票の勝利に関しては不透明な状況です。そのため、トランプ氏としては「CPAC前のスーパーチューズデーで他候補に圧倒的な差をつける」ことが予備選挙勝利に向けて必須であると言えるでしょう。




このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:48|PermalinkComments(0)米国政治 

2016年02月20日

丸山和也議員が語った「日本の絶望」を重く受け止めるべきだ

47a582b256c614f68a86acde0a7e255d

黒人奴隷の下りなんて本当はどうでも良い話だったと思う


憲法審査会で丸山和也参議院議員が「黒人・奴隷・オバマ」という3単語を並べて使ったことを問題視されており、たとえ話として「米国の51番目の州になったらどうなるか」という議論を行いました。

上記の丸山議員の発言は人権問題や愛国心の観点から国会議員として問題があるという理由でメディアや野党からボロクソに叩かれました。その結果として、丸山議員は陳謝する事態に追い込まれてしまったわけです。

一部のウェブメディアは、オバマ大統領と黒人に対する差別発言はマスメディアによって編集されたものであり、全文掲載すれば何の問題もないものであることを主張していますが、筆者は丸山議員の発言の裏側に存在する「日本の絶望」こそ重く受け止めるべきだと感じました。

丸山議員によって分かりやすく語られた「日本の絶望」について

丸山議員が語った内容は、日本の人権状況や民主主義が絶望的な状況であることを示しています。別に黒人奴隷とか米国の51番目の州とか、そんな言葉尻はどうでも良いのです。そうではなくて丸山議員の発言が行われた背景について私たちは注意を向けるべきだと思います。そこで、ざっと5つほど整理してみました。

<丸山議員の発言の背景として考えられること>

(1)自国民の基本的な人権すらまともに守れない状況であること(拉致など)
(2)民主主義の根幹である行政監視・予算監視もまともにできないこと
(3)最高裁の判決を無視して参政権を侵害し続ける国政選挙の状況があること
(4)世襲議員(出自)らによって首相などの政府要職が寡占されている状況があること
(5)国力が下落していくことが明らかであり、日本の国際的なプレゼンスが低下すること

上記のような背景があって丸山議員の発言は出てきたものではないかと思います。米国が必ずしも(1)~(5)の内容を十分にクリアしているかというと疑問があることもありますが、日本という国が民主主義の基本的な体すら成していないことは明らかだと言えます。

米国の民主主義の制度をそのまま移植したほうがマシだという本音

官僚と世襲によって支配される日本、国民の権利を蔑ろにしても深刻な問題が発生していない状況。正直な話として、同じ民主主義国であるならば米国の制度をそのまま日本にリプレイスしたほうがよほどマシでしょう。

与党の議員がこのような発言を行うことは極めて無責任だと思いますが、丸山議員の発言は私たちの民主主義が腐っていることを端的に表した良い発言だったと言えます。

丸山議員の発言について黒人と奴隷の部分を取り上げるメディアは、何が大事なことなのか、ということを認識し、私たちの国の民主主義のレベルについて本来は問題提起するべきだったと思います。

少なくとも丸山議員の発言は憲法審査会で行われたものなので、最低限メディアも野党も憲法問題として同議員の発言がどのような意味を持つのか真面目に考えてほしいものです。

*丸山議員の発言を読みやすく編集してみました

「これは憲法上の問題でもありますけどもやはりユートピア的かとも分かりませんけれども、例えば、日本がアメリカの第51番めの州になるということについて憲法上どのような問題があるのかないのか。そうすると、今、集団的自衛権、安全、安保条約とこれ全く問題になりませんね。それから拉致問題がありますが、この拉致問題すらおそらく起こっていないでしょう。

それから、国の借金問題についてでもですね、こういう行政監視の効かないようなズタズタな状態には絶対なってないと思うんですね。

それでこれはですね、例えば、日本が無くなることじゃなくて、例えば、アメリカの制度によれば、人口比に応じて下院議員の数が比例して決まるんです。おそらく日本州というのは最大の下院議員選出州を持つわけです。上院も州一個とすれば二人ですけども、日本をいくつかの州に分けると十数人の上院議員もできます。

ま世界の中の日本というけども、要するに、日本州の出身が、アメリカの大統領になる可能性が出てくるいうことなんですよ。ということは、世界の中心で行動できる日本という。。まあ、日本とはその時言わないんですけども、ことあり得るんですね。バカみたいな話だと思われるかも知れませんがね。

例えば、今アメリカは黒人が大統領なってるんですよ。黒人の血を引くね。これは奴隷ですよ。はっきり言って。で、リンカーンが奴隷解放をやったと、でも、公民権もない何もないと、ルーサーキングが出てですね、公民権運動の中で、公民権が与えられた。

しかし、まさか、アメリカの建国あるいは当初の時代にですね、黒人、奴隷がですね、アメリカの大統領になるいうことは考えもしない。これだけのダイナミックな変革をしていく国なんですよね。」





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 15:59|PermalinkComments(0)社会問題 | 国内政治

サンダースの全米支持率がヒラリーを初めて上回る結果に

Bernie_Sanders_113th_Congress

2月18日・FOXの世論調査でサンダースの全米支持率がヒラリーを上回る結果に

盤石の強さを見せてきたヒラリー・クリントンですが、2月18日全米世論調査で初めてサンダース氏に敗北する結果となりました。たった一つの世論調査の結果となるため、大勢に影響があるとは思えないものの、ヒラリー・クリントンの圧倒的優勢は絶対ではないということを印象付ける結果となりました。

ヒラリー・クリントンのエスタブリッシュメントな振る舞いに対し、若者を中心とした批判勢力がサンダースを支持する構図となっており、サンダースの勢いがアイオワ州での接戦・ニューハンプシャー州での勝利によって増している状況となります。

予備選挙ではヒラリーの強さが際立つ、党員集会州では両者互角の展開に

ただし、サウスカロライナ州予備選挙ではヒラリーが圧倒的な状況であることに変わりなく、運動員による草の根活動が重要となるネバダ州などの党員集会州においてヒラリーとサンダースが接戦を展開している状況に変わりはありません。

サンダースは「なぜ大統領としてサンダースが相応しいのか」というメッセージを発することで、ヒラリー・クリントン陣営の最大の弱点である「大統領がヒラリーである理由の無さ」を効果的に突いてきました。今後は、「サンダースでも大統領選挙に勝利できる」というメッセージを発することが重要となります。ヒラリーのサンダースに対する理屈上の比較優位は「大統領選挙で勝てる」ということだけであり、ヒラリー支持の存在理由が崩れた場合はひょっとしてという状況が生まれています。

この点については共和党側の予備選挙の状況とリンクする状況が生じており、両党の予備選挙状況がお互いに影響しあっている複雑な選挙情勢であるということが言えるでしょう。

依然として圧倒的な強さを誇るヒラリー、ただし不確定要素としてのサンダース支持者を抱える

とはいうものの、ヒラリーはエスタブリッシュメント、特に民主党政界関係者からの圧倒的な支持を固めています。有力者からのエンドースメント数に関しては、対オバマ戦の時よりも強固な状況を築いており、サンダースはオバマ以上の勢いを確保できなければヒラリーに勝利することはできません。これは極めて困難な道のりであることは間違いありません。

ただし、ヒラリーが予備選挙に勝ち抜いて本選に進んだ場合、サンダース支持者がヒラリーを支持するかどうかは極めて疑問です。サンダース支持者は、特に若者はヒラリーを大いに嫌っているため、共和党側の候補者によっては、そちらに支持が流れる可能性もあり得ます。ヒラリーではサンダース支持者を満足させることは難しいものと想定されます。

流石にヒラリーが勝利した場合にサンダースが独立系の候補者として出馬する可能性は考えられませんが、ヒラリーは予備選挙を通じて民主党内に爆弾を抱えた形となることは間違いないでしょう。ヒラリーは「自分が何故大統領にふさわしいのか」という必然性を問われる事態となっており、この初歩的な問題に十分に回答することができなければ本選でも苦戦は必至という状況です。

クリントン・キャッシュ
ピーター・シュヴァイツァー
LUFTメディアコミュニケーション
2016-02-10


ヒラリー
岸本 裕紀子
PHP研究所
2016-01-23



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:18|PermalinkComments(0)米国政治 

大人の教科書(24)「議員定数削減」で権力者の都合が良い政治に

a0960_006307

野田佳彦元首相が議員定数削減の履行を安倍首相に求めたため、安倍首相も渋々議員定数削減に向けた重い腰を上げる形になったようです。

議員定数削減は「国民に痛みを強いるなら、国会議員から身を切るべき」という理屈で正当化されることが多い主張です。しかし、本当に議員定数の削減は国民のためになる政策でしょうか?今回は議員定数削減の本質について説明していきます。

議員定数削減によって「国会議員が有権者よりも有利な立場になる」ことを知ってますか?

国会議員と国民の間の関係には一種の緊張関係が働いています。国会議員は民意に沿わない政治を行った場合、有権者である国民の一票の行方によって落選する可能性があるからです。

たとえば、現在、衆議院議員が一人当選するために必要な票数を小選挙区・約10万票程度と仮定します。この際、一人の有権者が持つ力は国会議員が当選するために必要な投票量の10万分の1ということになります。

現状の295小選挙区を148小選挙区まで半減、つまり小選挙区の議員定数を半分にした場合、衆議院議員が一人当選するためには約20万票の得票が必要になります。したがって、一人の有権者が持つ力は現在の半分、20万分の1にまで減少することになります。

逆に、中選挙区制度を導入して5万票程度で衆議院議員が当選できる仕組みに変更した場合、一人の有権者が力は現在の2倍になることになり、国会議員に対して強い影響力を持つことが可能となります。

つまり、議員定数が多い(または少ない有権者数で当選できる)ならば、国会議員に対する有権者の力が強まり、議員定数が少なければ国会議員に対する有権者の力が弱まるのです。議員定数を削減すればするほど、国会議員は有権者の投票による縛りから自由に行動できるようになるのです。これは単純な算数の問題であって議論の余地すらないことです。

議員定数を削減すると「議員一人のあたりの国家予算」は幾ら増加するのか?

現在の衆議院議員総数は475人から10人議員定数を削減した場合、衆議院議員数は約2.1%減少することになります。

日本の一般会計予算だけで平成27年度96.7兆円という巨額なものです。現在の衆議院議員475名は頭割り1人につき2035億円の予算を審議していることになります。仮に10名の衆議院議員を削減すると、頭割りで1人つき2079億円に審議する予算額が増加することになります。つまり、国会議員一人当たり44億円分の権力が単純計算で強まることになるのです。

甘利事務所の口利き問題が依然として国会でも問題となっていますが、議員一人当たりの権力を増やす議員定数削減は、政治家による腐敗を是正するどころか、問題をより深刻化させるだけのことに過ぎません。議員定数の削減とは、国会議員の権力増大の手段であって身を切る改革とは真逆の方向にかけ離れたものです。

国会議員に対する有権者一人当たりの影響力を下げた上に、国会議員一人当たりの予算の差配権を強化することは、国民にとって何ら益するところがないものです。究極的には国会議員が一人なら独裁制、複数人なら寡頭制と呼ぶことも可能であり、逆に国会議員数が多ければ多いほど国会議員一人当たりの権力は制限されます。

国会議員が議員定数削減のようなバカげた政策を国民に提案してくること自体がナンセンスなことです。

正しい議員定数改革は「議員定数を増やして政党助成金を減らすこと」である

国民から見て正しい政策は「議員定数を増やして歳費を減らすこと」です。議員定数を増やすことで国会議員に対する有権者の一人当たりの影響力を強化し、国会議員一人当たりの権力を低下させることが望ましいのです。

国会の場に多様な意見を持った国会議員が存在することにより、従来までは埋没していたような政治的ニーズが議論される余地が生まれることにもなり、日本の議会制民主主義の発展にも大いに寄与することでしょう。

その上で、議員一人当たりの歳費を削減することでコスト削減を行うこともできます。そもそも現状の国会議員数を10名削減したところで10億円程度、国全体の予算にとって雀の涙程度の予算削減しかできません。国会の運営費用は1日約3億円であり、このような不毛な議論に時間を費やすこと自体が無駄です。

それほどまでに国会議員に関する費用を削減したいのであれば、約320億円の政党助成金を3%削減すれば10億円捻出できます。この方法であれば議員定数を減らすことなく、国会議員に関する費用を削減することができます。しかし、政党助成金は各政党幹部が持つ利権と化しているため、政党助成金を減らそうという議論にはなりません。

現在、国会で行われている議員定数削減の議論の本質は「有権者の影響力を引き下げて、国会議員一人当たりの権力を強化し、なおかつ政党幹部の利権は維持する」という趣旨のものに過ぎません。国民は自分の頭で考えることが必要であり、無意味かつ有害な議員定数削減議論に与するべきではありません。

独裁者になるために
イニャツィオ シローネ
岩波書店
2002-12-20

 

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 10:51|PermalinkComments(0)国内政治 | 社会問題

2016年02月19日

マルコ・ルビオ、サウスカロライナ予備選挙前に突き抜けた形に

img_58215487ea39f662ef05f74174e64bca65415

サウスカロライナ予備選挙直前、マルコ・ルビオの放った強烈な一撃 

共和党大統領候補者を選ぶサウスカロライナ予備選挙を前に、マルコ・ルビオ氏が強烈な一撃を放ちました。それは同州の知事であるNikki Haleyからのエンドースメントの獲得です。マルコ・ルビオ氏は既に同州の上院議員Tim Scottからもエンドースメントを得ており、サウスカロライナ州の予備選挙に向けて万全の体制を築いたと言えます。

Nikki Haleyサウスカロライナ州知事は昨年12月段階で同州の共和党員の支持率81%を確保した影響力が大きい女性知事であり、副大統領候補者としても名前がリストにあがる有力な人物です。同州知事がマルコ・ルビオ氏を支持したことは予備選挙においても極めて大きなインパクトを持つものと想定されており、同州予備選挙を前にマルコ・ルビオ氏が隠し玉を投入してきたことになります。

共和党主流派の首位争いを決める天王山としてのサウスカロライナ

共和党主流派はマルコ・ルビオ氏、ジェブ・ブッシュ氏、ケーシック氏の3名による同派内のトップ争いを演じています。ジェブ・ブッシュ氏は兄弟であるブッシュ前大統領を同州のイベントに投入するとともに、ケーシック氏はニューハンプシャー州での2位を足掛かりに勢いを得るべく、主流派のサウスカロライナでの争いは激戦の模様を呈してきています。

ニューハンプシャー州では5位となったマルコ・ルビオ氏ですが、同州における予備選挙以後に有力な政界関係者からのエンドースメントを増やした唯一の主流派候補者となっています。上記のサウスカロライナ州知事だけでなく、カンザス州知事・上院議員などからも支持を固めており、エスタブリッシュメントの支持は依然としてマルコ・ルビオ氏に集まりつつあると言えるでしょう。

同州予備選挙でマルコ・ルビオ氏がブッシュ・ケーシック両氏を突き放した場合、エスタブリッシュメントの支持はマルコ・ルビ氏に一気に傾くことが予想されるため、主流派争いとしては天王山の決戦ということになります。

スーパーチューズデーに向けて大きく山が動くことになるだろう

3月1日のスーパーチューズデーに向けて、主流派はトランプ&クルーズ両名に対して対抗馬を絞りこむ必要があります。今回のスーパーチューズデーには大票田のテキサス州などの多くの保守的な傾向がある州が含まれるため、主流派は候補者を絞り込まない場合、現在支持率1位のトランプ氏、地元テキサス州を抱える保守派のクルーズ氏に惨敗することが予想されます。

結果として、1位トランプ、2位クルーズが決定することになり、万が一共和党大会における決選投票になった場合の一翼に主流派が残ることができません。そこで、主流派はサウスカロライナ州での結果を試金石として候補者の絞り込みを行う可能性が高く、ブッシュ&ケーシック両名が撤退表明を行うかどうかが注目されます。

また、保守派の黒人候補であるベン・カーソン氏もスーパーチューズデーまで勢力を維持することは極めて難しく、彼が誰をエンドースメントするのかは注目に値します。同じアウトサイダーとしてトランプ氏を支持するのか、それともクルーズ氏かルビオ氏を支持するのか、ベン・カーソン氏は一定の運動力を持っているために去就が気になるところです。

いずれにしてもサウスカロライナ州予備選挙、ネバダ州党員集会を経た後に勝負は佳境となるスーパーチューズデーに突入していきます。






このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 16:43|PermalinkComments(0)米国政治 

TPPを平成の不平等条約と信じている人達への手紙

a0001_013135

現在、筆者は東南アジアで行われている自由経済に関するシンポジウムに参加しています。同会議ではTPPは非常に好意的にとらえられており、日本のTPP反対派の皆さんに、陰謀論への反論を含めて東南アジアからお手紙を出したいと思い筆を執りました。

TPPを「平成の不平等条約」として信じている人達へ

TPPはしばしば反対派の陰謀論者の識者?から平成の不平等条約であるという指摘がなされています。幕末時代に日本が諸外国と結んだ不平等条約の再来であり、TPPを結ぶとまるで日本が滅ぶかのような言論が実しやかに語られています。

しかし、このような言論は日本・アジア太平洋の経済的な現状についての理解が乏しく、まるで幕末日本の中で騒いでいた「攘夷論者」のような現実感覚が欠落したものと同類のものです。明治政府も政権奪取後には無意味な攘夷論から開国論に一気に舵を切って、日本を資本主義国化させることでアジアの強国に育て上げました。

当時も開国派は売国奴扱いされたものですが、歴史はどちらが正しかったかを証明していると思いますし、日本の歴史と現在の状況を正しくとらえれば何が必要かは自ずと理解できると思います。

現在の日本の問題は一部の陰謀論者によって愛国心を持った方々が煽られて、TPPを平成の不平等条約だと思い込まされていることにあります。

そもそも不平等条約はどうして結ばれることになるのか

幕末に不平等条約が結ばれた理由として、欧米列強のエゴが無かったということは言い過ぎだと思いますが、その主たる理由は日本の政治体制が前近代的な田舎国家だったことがあります。

欧米人から見た当時の日本は、立法・行政・司法のシステムも滅茶苦茶、当然に三権も分立しておらず、刀を持った侍に突然襲われて切り殺される国でした。日本との貿易修好関係を構築するに際して、欧米が治外法権や関税権に対して厳しい条件を日本に求めることは道理にかなったものでした。

欧米から見れば極東の300年間も一家系(徳川家)の独裁者が支配する島国・日本であり、最低限の身体と事業の安全を確保するための取引は妥当であったと思います。たとえば、現代日本人で、北朝鮮、トルクメニスタン、エリトリアなどで治外法権などが無く居住・滞在や仕事をしたい人などいないでしょう。

したがって、明治時代となって、日本の政治行政の近代的な仕組みが整備されるとともに列強の一員となることで、それらの不平等条約は改正されていくことになります。このような取り組みを真摯に行ってきた明治時代の先達の努力は素晴らしいものがありました。

ISD条項で訴えられることが意味することについて

TPPについて陰謀論者が引き合いに出す事例としてISD条項が取り上げられることが多い印象を受けています。

しかし、そもそもISD条項とは政府による民間投資への不当な接収行為に対する司法手段です。

政府による接収行為に対する司法紛争となるため、当然のことして同行為を実施する政府が存在する地域での司法システムに任せるわけにはいきません。したがって、ISD条項を設けることによって、条約締結国間での投資を安全に行うことができるようになるわけです。

つまり、日本のような先発資本主義国にとって、海外の低・中開発国に対して投資を安全に行うためには、ISD条項が担保として必要となります。そのため、日本が海外と結んでいるFTAやEPAもISD条項は当然に含まれるものとなっています。ISD条項で訴訟対象になるものは、主に資源投資などの政治問題化しやすい案件となります。

仮にISD条項で日本政府が訴えられる場合、それは日本政府が近代国家として問題がある不当な接収を海外からの投資に行ったことになるため、先進国として極めて不名誉なことであると認識するべきです。最終的には全てのTPP参加国にISD条項を適用しなくても済むことが理想ですが、政治の現実問題としては難しいものでしょう。

そのため、最初からISD条項で訴えられることを前提にした議論とは、日本の国際的な地位を自ら貶める言論であり、誇りある日本人として受け入れるべきものではありません。まして、日本の国会議員がそのような発言を行うことは先進国・日本を未開国扱いするものであって真面目に聞くに値しないものです。

ということで、日本でTPPに参加することは当然のことであり、この流れに参加せずに行きたい人はベトナムあたりに日系企業が投資をして共産党独裁政権下の裁判で投資を全て接収されたときに目が覚めると思います。

東南アジアの国々にとってのTPPの捉え方とは

東南アジアの国にとってのTPPについての議論を聞いていると、TPPに加入することは、腐敗の抑制、癒着の改善、政府の説明責任と予見性の向上、政府調達の透明性と説明責任の向上、などの開発国における深刻な政治問題を解決する契機となるという見方をされているようです。

自国の腐敗状況については当事者が最も良く理解しているわけであり、それらを改善する契機としてTPPによる外圧は絶好の機会の一つとして認識されているようです。まあ、そもそもTPP自体は東南アジアの国々で始まった話なので外圧というのも若干語弊がありますが・・・。

せっかくアジア・大洋州諸国が先進国ルールに合わせた取り組みを実施しようとしてくれているのに、それに乗っからない理由は全く理解できず、むしろ日本はTPPを積極的に推進する立場を取り続けるべきでしょう。現代では昔のように軍事力を背景とした開国・条約締結は不可能であり、これだけ広範囲の国が合意した取り組みは日本にとっては千載一遇のチャンス到来といったところです。

今後はTPPによるアジア経済の健全な成長に歩調を合わせて、日本もそれら国々の成長を取り込む施策を充実させていくことが重要です。



TPPで日本は世界一の農業大国になる
浅川 芳裕
ベストセラーズ
2012-03-16





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:52|PermalinkComments(0)小さな政府 | 社会問題

保育士の給料が低い理由、保育の方法を根本から変えるべき

a0003_001911

最近、やたらと騒がれている保育士の給料が低いという不毛な議論

「保育士の給料が低くて保育士が集まらない、その結果として保育所の基準が満たせないため、保育所による子どもの受け入れ体制が十分に整備されていない、それが待機児童が解消しない原因だ!」という不毛な議論が喧しく騒がれる世の中になりました。

たしかに、保育士給与はかなり低いことは事実です。

しかし、その理由の要因として、業界の年齢構成が20代~30代前半中心であること、平均勤続年数が僅か7.6年であること、したがって業界の半公務員的な状況に鑑みて給与基準を引くと、保育士の給与は低い水準にとどまらざるを得ないことが分かります。

そして、規制によって小規模経営が基本となっている保育所は、経営陣による同族経営が普通であるために保育士として将来的なキャリアパスはほぼありません。

政府の給与基準や規制を前提とした議論は不毛な結論になることは明らかであり、本当に保育士の給料を上げたいならば、馬鹿の一つ覚えのように政府に給与アップを訴えるタックスイーター的な態度では、せいぜい雀の涙程度の果実しか手にすることはできないでしょう。

そもそも保育所で働いて生計を立てるという発想は正しいのか?

根本的な視点に立つと、保育所における保育士の仕事だけで生計を立てる必要があるのか、というところから考え直す必要があります。

保育所勤務だけで生計を立てるという発想は、「保育士という資格が存在し、保育所という勤務地が存在して、そこで決まった時間で子どもを預かる」という政府の作った仕組みが前提となっています。そして、このような勤務を強制されるため、保育所で安月給でこき使われてモンスターペアレントの相手をしなくてはならないのです。

しかし、元々家庭で行われていた子育てサービスをより高度な形で身に付けた保育士というスキルは本来もっと高く評価されるべきであり、時間単価もより高い水準で受け取ってもおかしくありません。

しかし、現状では保育士は勤務地・勤務方法に規制を受けているため、公務員と保育所経営者らに中抜きされた後の安月給しか受け取ることができない不遇な環境に置かれてます。

社会全体が子育てに参加する仕組みを効率的に構築することが必要

仮にUberのように子育てサービスの提供者と需要者を直接リンケージする仕組みができあがり、お互いがソーシャルレーティングを受けて自由にマッチングする仕組みができれば、公務員や保育所経営者らによる中抜きは消滅します。

そして、子育てを経験した親御さんも自らの経験を生かした形で子育てサービス市場に参入できるとともに、保育士資格を持つ人々は専門家として高単価でサービスを販売することができるようになるでしょう。

子どもを持つ家庭にはヴァウチャーを支給することで低所得問題と子育て市場の育成を同時に解決するとともに、高付加価値サービスを使いたい家庭は追加料金を払ってサービスを受ければ良いのです。また、付加価値を上げるために提供者側に対する研修も充実していくことが予想されるとともに、参加者全員が加入する保険システムなどを整えることでリスクマネジメントを行うことが望まれます。

つまり、政府(公務員)が指定した特定事業者だけが子育てサービスを提供する時代から社会全体で子育てを行う時代に移行していくことが必要なのです。その過程で専門性を持った保育士給与の時間当たり単価も高まっていくことが想定されます。

公務員と保育所経営者らによる保育士の囲い込みという社会システムを変える

現在の日本の子育て環境の問題は、政府と保育所経営者らの既得権化であり、本来はテクノロジーの進化によって淘汰されるべき旧来型の保育所サービスがいまだに幅を利かせていることにあります。

少子化が進展していく中で、新たに保育所を作り続けることは盲目的な社会保障のバラマキであり、世代間格差による対立によって保育所設立・保育士給与アップを煽り立てることは無見識そのものと言えます。

保育士は専門性を持った人材であり、現状の政府(公務員)と保育所経営者に囲い込まれた環境で、安月給で暮らすような人々ではありません。彼らは市場によって適切な評価を受けて、個々人のサービススキルに見合った報酬を受け取るべきなのです。

保育士給与をアップしながら誰もが子育てサービスを受ける体制を作るためには、現状の仕組みを止めて根本的な社会システムの変革を行うことが必要です。高度経済成長期の残滓としての社会システムを一掃し、現代社会にふさわしい仕組みを構築することが望まれます。





このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 12:33|PermalinkComments(0)社会問題 | 国内政治

2016年02月17日

「保育園落ちた日本死ね」、保育所=保育サービスの思考停止を止めよう

a0006_001002


保育園落ちた日本死ね!!!

というエントリーがあり、若い有識者や議員さんらがコメントされているようです。まあ、そもそも現在となっては、このエントリー自体がマッチポンプくさいことは否めませんが・・・。

保育所の需要が超過するのは「利用者にとってコスパが良すぎる」から

さて、それはともかく、この問題については、保育所以外の方法で解決していくか、保育所自体が経営を改善していくか、ということになるかと思います。

現在、日本の保育所は増え続けているわけですが、それに伴い潜在的待機児童も掘り起こされており、保育所を作ったところで需要に追い付いていない状況が生まれています。

需要が供給を大幅に上回る理由は色々あるわけですが、主な理由は「保育園が税金で運営されているから」ということでしょう。つまり、職員給与から何から何まで税負担で行っているため、本来のコスパ以上の利益が得られるから皆が使おうということになっているわけです。

しかし、子育て分野に対する税支出には限界があること、中長期的には少子化が進むことが分かっている中で、保育所を無暗に増設して税金を垂れ流しにすることを良しとしないことは妥当だと思います。

一度箱物を作ってしまえば中長期的に見た場合、時代環境の変化についていけなくなることは過去の歴史を見れば明らかなことであり、それらの状況を繰り返すような思考停止を止めるべきでしょう。

それよりも、保育サービスの多様化とソーシャルレーティングを進めて、Uberのような保育システムを構築することが未来を見据えた保育システムであるように思います。

保育士の給料を上げたいなら税金を通じた政府と保育園経営者の中抜きを止めるべきだ

ちなみに、保育士の給料が低いから保育園が作れないので税金をもっとよこせ、という意見は論外です。

保育士の年齢構成は非常に若く、なおかつ入退職が容易であることから半公務員的な支出基準から行くと給料が安くなるのは当然です。そして、上述のように行政がまともな感覚であれば保育所も増やさず保育士の給与も上げるわけがありません。

仮に保育士の給料を上げたいのであれば、税金によって運営される保育所という箱とその経営者による搾取から抜け出して、ソーシャルなプラットフォームを利用した中抜きの少ない、民間の保育システムをデザインしていくことが必要です。

そして、良い保育サービスを提供している人には高給が支払われるようにしていくことが大事です。現在のようにお客様の評価に関係なく給料が設定されている状況こそが問題なのです。

その状況に触れずにひたすら保育士の給料値上げを訴え続ける、ご都合主義のタックスイーターの声を退けて新しい社会システムの構築を行っていくことが必要です。

政府や経営陣による中抜きが吹っ飛ぶことで、保育サービス提供者の時間当たり単価は改善していくことになるとともに、社会全体の保育士資格を持っている方の活躍の場も広がるものと思います。

保育サービスの全面的な規制緩和を通じた「保育園不要」のサービス供給体制

既に行政が税金で保育園というサービスを提供する、というビジネスモデル自体が時代遅れになってきているのではないかと思います。

そもそも何でもかんでも行政にお任せにする時代は終わって久しいわけで、自分の会社の社員の給料を役所に上げてもらわないと給料アップもできないような経営者は退陣すべきです。まあ、そういうヒトって意外と多そうですが。

重要なことは高度経済成長時代に作りこまれた保育サービスの在り方自体を見直すことであり、保育所不要のサービス供給体制についての議論を進めていくべきでしょう。

低所得者向けの保育サービスが必要であれば、保育所経営者のような供給サイドの立場ではなく、保育サービス利用者ら需要サイドの立場に立って子育てヴァウチャーなどの発行によって賄うことを考えていくべきでしょう。

現状の保育園システムでは1億総活躍社会という政策を実現していくことは極めて困難であり、根本的な発想を変革していくことが大事です。








このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr
yuyawatase at 11:52|PermalinkComments(0)