2016年03月04日

CPACに起きた「ある異変」が予備選全体に影響を与えるか?

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 共和党保守派の最大の集会であるCPACにスポンサーサイドとして参加しています。共和党大統領予備選挙候補者や保守系団体の幹部の方にお会いしましたが、その話はCPACの実況とともに後々触れていくとして、今回は予備選挙全体にインパクトを与える「ある日付」の話をお伝えしていきます。

CPACの要素として最も重要な大統領選挙の模擬投票

全米から保守派の中心人物が集まるCPACではSTRAWポールという大統領選挙の模擬投票が行われています。この投票は保守派が総体として誰を推しているのかを明らかにするためのものであり、共和党大統領選挙の結果に大きな影響を与えます。(写真は参加者が投票を機械で行っているところ)

2012年は穏健派と見られてきたロムニーが保守PRを繰り広げたことから辛うじて保守派のサントラムにSTRAWPOLLで勝利して、その後の大統領予備選挙の動向に決定的なインパクトを与えました。スーパーチューズデーの結果、3つ巴状態が色濃くなった共和党予備選挙ですが、今回のCPACでは保守派のクルーズ氏に対して、トランプ氏・ルビオ氏が逆転またはどこまで迫れるのかが予備選挙の帰趨を占う上で重要な指標となっています。

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(4日はトランプ、ケーシック、クルーズ、カーソンら予備選候補者の演説日程目白押し)

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(5日の予備選候補者の演説日程ははルビオのみ)

CPACの明暗を分ける4日・5日という演説日程の区分けとは

CPAC自体が本格的に開催されている期間は3月3日~5日であり、この間に各予備選挙候補者はメイン会場で演説を行って、その内容が評価される形で参加者が次々と模擬投票を行っていきます。

演説日程が参加者が最も集まる中日の午後早い時間が有利な時間設定だと思われます。なぜなら、多くの参加者の投票は最終日に至るまで決定しているからです。今回は一人の候補者を除いてほぼ全候補者の演説日程が4日となり、残りの1名の演説日程が最終5日となりました。

一人5日という不利なスケジュール設定をされた人物はトランプ氏ではなくルビオ氏です。ルビオ氏はCPACへの参加を最後まで渋っていたため、CPAC主催団体であるACUと険悪な関係になった結果、大統領候補者の演説が集中(参加者も多い)する4日ではなく、5日の午前の遅い時間が割り振られる状況となっています。

ルビオ氏は保守派への接近を懸念したことから、共和党の予備選挙で決定的なインパクトを与えるCPACへの参加を渋り続けてきました。その結果として、ルビオ氏とACUの関係は表立って報道されるほどにまで悪化しています。

トランプ氏・クルーズ氏との保守派からの得票競争を考えると、ルビオ陣営は共和党エスタブリッシュメント側の顔色を窺い過ぎて戦略上の致命的なミスを犯しました。今回の予備選挙ではエンドースの獲得という戦術面で主流派は功を奏していますが、選挙全体の構図のデザイン力でトランプ・保守派に劣っていると言えるでしょう。

その結果として、ルビオ氏はクルーズ氏を突き放すとともにトランプ氏と互角の戦いになるための重要な機会であるCPACにおける勝利の可能性を実質的に失った状況となっています。

テッド・クルーズに神風が吹いている状況となった予備選挙

3月4日未明現在、クルーズ陣営にとってルビオ陣営の失敗はまさに神風のような追い風となって機能するでしょう。ライバルであるルビオ陣営が自滅して保守派からの支持を失っていく中で、スーパーチューズデーに集中した保守的傾向がある州での勝利と合わせてトランプ氏に対抗できる唯一の候補者のイメージを形成していくことができるからです。

予備選挙で爆走状態を続けるトランプ氏を抑えるためには、共和党内でトランプ氏に対抗する候補者を絞りこむことが必要です。今後は北部のリベラルな州での予備選挙も増加していくことから、対抗馬として最も有力な候補者はルビオ氏と目されてきました。しかし、ルビオ陣営の致命的なミス、もっと言えば「エスタブリッシュメントの優柔不断さ」が露呈した結果、クルーズ氏がルビオ氏を差し切って2着の地位を維持する(つまり、トランプ氏への本命対抗馬としての地位を維持する)ことができるようになりそうです。

今回の予備選挙は「米国政治への怒り」がテーマとされていますが、それ以上に「エスタブリッシュメントの優柔不断さ」というテーマこそが隠れテーマだと感じています。この優柔不断さの間隙を突いて、トランプ氏・クルーズ氏が台頭した状況が生まれているのです。トランプ現象のみを切り取って「怒り」と表現する既存メディアの米国政治関連の報道には飽き飽きします。ジェブ・ブッシュの不発など、全てはエスタブリッシュメントの選挙戦略上のミスによって今回の大接戦が生まれているからです。

トランプではなく米国政治を根本から変える人物は「クルーズ」だ

日本の報道ではトランプ氏の勝利が米国政治を一変させるというものが多いのですが、筆者としてはトランプ・ルビオ・クルーズの3氏の中で米国政治を一変させる可能性が高い人物はクルーズ氏であると確信しています。トランプ氏が政治を変えるという言論を垂れ流している人は、米国政治について良く知らない人か、米国政治を知った上で虚偽を述べている人でしょう。

米国の政治の左右の振れ幅を左から整理すると、サンダース、ヒラリー、トランプ、ルビオ、クルーズという順番であり、実は3氏の中でトランプ氏は限りなく民主党に近い経済政策や社会政策を持っています。そのため、見方によってはトランプ氏は共和党の中では比較的大規模な政策変更を米国に与える可能性が低い候補者であると評価することもできます。

しかし、クルーズ氏は筋金入りの保守派であり、小さな政府の理念を徹底的に追求することは間違いなく、最も大規模な政策変更を実行していくことになるでしょう。そして、そのような大規模な政府機構の改革は世界各国の政治の在り方にもインパクトを与えて、世界の姿を変える一つの軸が提示されることになります。

したがって、米国における既得権層が最大に恐れている人物はトランプ氏ではなくクルーズ氏なのです。CPACにおける演説日程はルビオ氏の苦戦を深刻化させることになり、トランプ氏への対抗軸として機能できるかどうかを左右する重要な要素となるでしょう。まさに政治の要諦は「日程」にこそがあるということは、日本だけでなく米国でも共通の事項なのだなと痛感させられる出来事でした。

*という状況だと思ったら、まさかのトランプ・ドタキャン。元々4日から直前に5日変更依頼し、その上ドタキャンというのは流石に保守派も怒るんじゃないかなと。





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yuyawatase at 15:32│Comments(0)米国政治 

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