2017年07月25日

原油価格上昇、産油制限合意とトランプ政権

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OPEC+閣僚監視委員会の会合で一定の合意

サンクトペテルブルクで開かれたOPECと非加盟国の閣僚監視委員会で、特別枠とされてきたリビアとナイジェリアの2か国のうちナイジェリアが産油制限に合意したこと、サウジアラビアが輸出数量を更に制限することを約束したことを受けて、様子見状態であった原油価格が上昇することになりました。

原油価格の上昇は、共和党政権の支持基盤であるシェール関連事業者らの生産に追い風であり、リグの数字は弱かったかモノの、シェールの生産にとってはしばらく追い風が吹くことになります。また、原油価格の下げ止まりは石油関連株の重しが軽くなることを意味しており、株高によって政権への信任が支えられているトランプ政権にとっても一定のプラスに働いていると言えるでしょう。

国内での政策が手詰まりとなっているトランプ政権

一方、先週の米国政治の状況はトランプ政権の見通しを非常に厳しくするものでした。オバマケアの廃止・見直しは、見直し法案だけでなく廃止についても議会で成立させることが困難であることが明らかとなり、トランプ政権の指導力に改めて疑問符が付く形となりました。

連邦議会、特に上院は共和党が辛うじて過半数を制しているものの、共和党内は主流派と保守派に明確に2分されており、どちらかの顔を立てると一方の顔がつぶれるという、完全な手詰まり状態となっています。オバマケアの見直しはミッチー・マコーネル院内総務とペンス副大統領が議会の説得にあたりましたが、その調整は不発に終わることとなりました。

トランプ大統領は24日声明で上院でのオバマケアに関する採決は近いことを強調しましたが、そのためにはトランプ大統領自身がリーダーシップを発揮して泥をかぶる覚悟が必要であり、現状のように他者に議会との調整をほぼ丸投げするスタンスでは成案を得ることは極めて難しいでしょう。

トランプ大統領がリーダーシップを発揮することは、ロシアゲートの問題が収束するまでは困難であることから、国内政策での成果によって支持率が上昇する可能性は高くありません。弾劾の是非が議論されている中で共和党が上下両院で過半数を握っている現状に鑑み、トランプ大統領が共和党議員らの機嫌を損ねる可能性がある行為ができるかは甚だ疑問です。

中東方面での更なる介入に踏み切る可能性が高まっている

一方、トランプ政権内では政権発足当初は影響力を減退させていた反イラン・反ロシアの安保関係者が復帰しつつあります。具体的にはハーバート・マクマスター国家安全保障担当補佐官、ディナ・パウエル副補佐官、フィオナ・ヒル国家安全保障会議欧州・ロシア担当シニアアドバイザーなどです。

当初のトランプ政権は海外への干渉を控える傾向を示していましたが、マイケル・フリン氏やマクファーランド氏らが失脚・転出させられる中で、外交・安保のタカ派の影響力が再び強まっています。また、大統領令によって大統領から現場への指揮権が移譲されたことから、現地での軍事展開なども行いやすい環境となっています。

トランプ大統領は、自身の命綱である株高と共和党員からの支持を繋ぎ止めるため、原油高の状態を必要としているため、OPECらの行動を黙認すると同時に、中東方面での主に対イランの関係で緊張を高めていくことが予測されます。

5月に実施されたイランの大統領選挙では穏健派が勝利したため、米国側はイランに対して難癖をつけるタイミングを一旦見失った形となってはいるものの、今後も折を見てイランとの対立を煽ることによって再制裁への糸口を掴もうとするものと思われます。

トランプ政権が点数を稼ぐことが可能な領域は国内ではなく国外政策にあるわけで、今後のトランプ政権の外交・安全保障政策の展開には一層注目していく必要があるでしょう。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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yuyawatase at 07:24│Comments(0)米国政治 

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