2017年06月10日

なぜ、ホームグロウンテロは起きるのか

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トランプの入国規制に関してテレビで議論になりました

筆者はトランプ政権が実施している入国規制に関しては原則として賛成の立場です。本来は国境も何もない方が良いと思うものの、治安上の現実的な対応としては必要なものだと考えております。

本日出演させて頂きましたテレビ番組で、入国規制はホームグロウンテロ対策に役立たないのではないか、という指摘がありましたが、必ずしもそうとは言えないものと思います。

人間同士が相手に影響力を行使する際に、直接的に顔を合わせてテロに勧誘する行為は他の手法と比べて極めて有効だと思います。したがって、テロリストの可能性がある人物の入国をできるだけ排除することは、ホームグロウンテロを未然に防止することにも役立ちます。

低所得者は社会的不満を抱えているのでテロリストになりやすい、は本当か

筆者は、世間で流通している「低所得者は社会的不満を抱えているのでテロリストになりやすい」は昔の価値観ではないかと思います。下部構造が上部構造に影響を与えるというマルクス史観は一部正しい点はあるものの、テロリストの誕生に関して合理的な説明理由にはならないと思います。

人間の生死をかけた犯罪行為というものは「所得」という下部構造に関係なく、世界構造に対する「認知」の枠組みによるところが大きいものと思います。つまり、高所得者であったとしても低所得者であったとしても、何らかの思想に感染することは有り得ます。

高所得者が常に社会を肯定する理性的な認知を持っており、低所得者は常に社会を否定する狂信的な思想に染まりやすいという認知は、所得差別的な低所得者蔑視ではないかと考えます。そして、オウム真理教の事例でもそうであったように、テロの実行犯は低所得者とは限らないのです。

したがって、テロの原因を所得格差に過度に求めることは、原因と結果の履き違いに至る可能性が高く、現代の「認知操作」に軸を置くテロの「過激化」の前ではほぼ意味をなさないものと思います。テロの懸念は政府による思想の自由への過度の統制を認めない自由社会においては表裏一体のものです。


ホームグロウンテロは防止不可能、不可能な行為を正当化するために自由を制限すべきではない

ホームグロウンテロを防止することは事実上不可能です。なぜなら、テロを促すように人間の認知に影響を与える情報を社会から完全にシャットアウトすることは無理だからです。

人間の認知を左右するためのプログラムは、幾世代も経過する中で育まれる社会的認知行動の変化を必要とするものであり、簡単に変えられるようなものではありません。武力による国民統制、思想的な圧殺を徹底することによってテロを防ぐことはできるかもしれませんが、そのようなデストピアが良いとも思えません。

そのため、多様な価値観を包含する自由主義国家において事前の策として実行できることは水際対策であり、明らかにテロリストとして危険性が高い人物の入国を制限することだけだと言えるでしょう。政府はホームグロウンテロは何らかの方法によって防ぎ得ると主張するでしょうが、そのようなことは原則として無理です。

むしろ、ホームグロウンテロという防ぎようがない対象を防ぐ、という名目で、国民の思想・良心の自由、表現の自由、信仰の自由などに踏み込む各種の規制が整備されていくことのほうが社会にとっては極めて問題だと言えるでしょう。

ホームグロウンテロを防ぐことは困難であり、それ以前の水際対策をしっかりと行うこと、そして起きてしまった犯罪について厳しく処断すること、が何よりも重要であり、政府に全知全能の解決を求めることは間違っています。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。



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yuyawatase at 11:45│Comments(0)社会問題 

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