シェアリングエコノミーによるプチ起業は低所得者の糧になる2016年2月4日・首相動静ウォッチ

2016年02月06日

トランプVSルビオ、ニューハンプシャー州予備選挙は佳境に

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Wikipediaから引用

ここ数日、風邪で完全ダウンしており、ブログの更新頻度が落ちておりましたが、自分の身の回りでも体調不良の方が多く皆さんの体調はいかがでしょうか。寝込んでいる間に米国大統領選挙は佳境を迎えており、分析対象としても大変面白い展開を見せてきています。

ニューハンプシャー州は事実上の共和党の指名者を決める戦いになる可能性大

2月9日にニューハンプシャー州の共和党の予備選挙が実施される予定となっています。初戦の「保守的なアイオワ州」と比べてニューハンプシャー州は「リベラルな政治風土」の土地柄です。したがって、中間層の獲得が重要となる大統領選挙の本選を見据えた場合、共和党の選挙戦略としてはニューハンプシャー州の勝者が指名を獲得することが望ましいものと言えます。

そのため、今回のニューハンプシャー州での勝者が共和党の指名に最も近い候補者となることは間違いなく、トランプ氏がリードを保っている状態を逆転すべく、共和党の主流派陣営による様々なアクションが行われている状態となっています。

<過去記事>*トランプ・サンダース台頭、ブッシュ・カーソン失速、マルコルビオ躍進を予測解説
米国大統領選挙、トランプVSサンダースの究極バトルがあり得る?(1月12日)
アイオワ州党員集会直前、共和党・民主党の波乱が現実に?(1月22日)
ドナルド・トランプがFOXの討論会を欠席した理由(1月30日)
日本の政治にも「和製のテッド・クルーズ」の誕生を!(1月31日)
FiveThirtyEight:米国の政界有力者が誰を支持しているのか(2月1日)
アイオワ州党員集会・テッド・クルーズ勝利、今後の展開は・・・(2月2日)

ニューハンプシャー州の予備選挙に向けて急速に力を増し続けるマルコ・ルビオ氏

本ブログは初期のころからマルコ・ルビオ氏に注目してきましたが、ルビオ氏はアイオワ州で3位ながらも大健闘の結果を残したことから急速に支持を伸ばしています。日本でも様々な識者の皆さんがアイオワ州選挙以後から主流派の支持はマルコ・ルビオに集まる流れになると述べていましたが、本ブログではもう少し「ファクト」を示した解説を行っていきます。

そこで、エスタブリッシュメントからの支持率の推計するための使われる指標として、FiveThirtyEightが提供しているThe Endorsement Primaryを参考にしてみましょう。同指標は上下両院議員と州知事からの支持数をポイント換算したものであり、政界からの各共和党予備選挙候補者への支持率状況を分析するための目星となります。


そうしてみると、アイオワ州党員集会前(Before)はブッシュ1位(51ポイント)、ルビオ2位(43ポイント)ですが、・・・

<Before:アイオワ州党員集会以前の状況・2月1日早朝>
主流派

アイオワ州党員集会以後(After)は、ルビオの上下両院の支持者が増加した結果、ルビオ1位(60ポイント)、ブッシュ2位(51ポイント)に逆転しているわけです。これがいわゆる「勝ち馬に乗る現象」となります。世間の世知辛さが感じられる変化です。

<After:アイオワ州党員集会以後の状況・2月6日現在>
無題

マルコ・ルビオ氏の支持率は全米及びニューハンプシャーで増加する傾向を示しています。下記は直近のニューハンプシャー州の世論調査の推移をまとめたものですが、トランプ氏が10ポイント以上引き離し続けている点は変わらない状況です。ただし、マルコ・ルビオ氏が支持率2位に浮上しており、場合によってはニューハンプシャー州でトランプ氏に肉薄する可能性がある状況となっています。(前々からブッシュ氏ら主流派の支持率を合計するとトランプ氏を上回っている状況なので可能性はゼロではない)

<ニューハンプシャー州の世論調査結果の推移(RealClearPolitics)2月6日現在>
ニューハンプシャー州


トランプ氏は終わりなのか?答えは「No」だと思う

メディアによる評価では、トランプ氏はアイオワ州における敗者と位置付けられており、高支持率が得票に結びつかない傾向が表面化したと評価されました。メディアや識者はこれで「トランプも終わり」的な雰囲気を醸しだそうとしていますが、トランプ氏の今後の浮き沈みはまだ分からない状況だと言えます。

筆者はトランプ氏はアイオワ州では善戦したと考えています。アイオワ州党員集会の直前の世論調査でトランプ氏は1ポイントしかテッド・クルーズ氏に差をつけることができておらず、筆者は支持団体の運動力などの実力差からトランプ氏がかなり苦戦する可能性も想定していました。しかし、結果として1位クルーズ氏と2位トランプ氏の差は3ポイント程度しか開きませんでした。(筆者は2012年のサントラム氏の予備選挙結果からMAX8ポイント程度の差がつくことも想定していたのでクルーズ氏はアイオワ州で勝ちきれなかったと見ています。)

クルーズ氏は保守派の候補者であるため、アイオワ州で高支持率を獲得できても、上記の支持率推移でみても分かるようにニューハンプシャーなどのリベラル州では際立った強さは保持していないことが明らかです。一方、クルーズ氏に比べてトランプ氏とルビオ氏はアイオワ・ニューハンプシャーの両州で高い支持率を有しており、大統領本選挙における汎用性が比較的高い候補者であると言えるでしょう(大方のイメージと違うかもしれませんが、トランプ氏の支持率の数字はそれを示しています。)

したがって、ニューハンプシャーでマルコ・ルビオ氏に肉薄または逆転されることなく、トランプ氏が10ポイント近い差をつけて1位を獲得した場合、予備選挙の有力な候補者として残留し続けることになるでしょう。

今後の予測は難しい状況、「定番セオリーが通用しない」予備選挙に・・・

共和党主流派はマルコ・ルビオ氏の下に結集していくことが明らかになりつつあり、マルコ・ルビオ氏が指名に最も近い候補者に近づいていくことはほぼ間違いないでしょう。筆者も以前から今回の大統領選挙のダークホースはマルコ・ルビオ氏である旨を主張し続けてきました。

ただし、共和党の指名レースの通常のパターンである、「主流派に好意的なメディアが保守派の候補者を叩いて、主流派候補者の支持率が保守派の支持率を上回って終わり」、というセオリーが、トランプ氏というスキャンダル耐性の強い非主流・非保守の存在によって主流派の予定が狂い続けているという状況が今回の大統領予備選挙の特徴ということになります。つまり、メディアが狙うべきターゲットが保守派のクルーズ氏なのか、しぶといトランプ氏なのか、絞り切れていないという現象が起きています。

「トランプ氏はアイオワ州で終わった」として片づけた後に、「残った保守派のクルーズ氏をニューハンプシャー以降で倒そう」という主流派の戦略は道半ばの状況であり、彼らの戦略が成功裡に進んでいるかは些かの疑問が残るところです。(ところで、ネタバレすると、このセオリーがあるために米国専門家の日本有識者は「主流派候補者が勝つ」と言い続けるだけで良かったわけです。日本のメディアで大統領選挙を解説する人々がブッシュ推しを放棄してルビオ推しの予測に切り替えたタネ明かしはそんなものです。)

筆者は日本国内における大・小の選挙での経験はもちろん、米国における共和党系選挙訓練校での経験や米国内の知己の動向などから、今回の大統領予備選挙は一波乱あると予測しておりました。ただし、正直な感想としては予想以上に複雑な状況になっていると思います。トランプ氏について共和党の指名を獲得できなかった場合、共和党との誓約を守らずに独立系の候補者として出馬する可能性は依然として存在しており、予備選挙後も更なる波乱がありそうな予感もしています。

世界の運命を大きく左右する米国大統領選挙はその選挙動向について分析することでも十分に楽しめます。今後も継続的にウォッチしていきたいと思います。

スーパーパワー ―Gゼロ時代のアメリカの選択
イアン・ブレマー
日本経済新聞出版社
2015-12-19



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yuyawatase at 20:06│Comments(0)米国政治 

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