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2017年01月03日

東京都・小池都政の「高すぎる経済成長目標」は妥当か

tokyo first

小池都政が目指す「高すぎる」経済成長目標

「東京ファーストでつくる新しい東京」という小池都政の2020年までの計画が昨年末に発表されたので、筆者も一応ざっと目を通してみました。

全体として数値目標が設定されるようになったことは良かったと思いますが、掲げられた重要な数値目標の設定についての妥当性には極めて疑問があります。

その数値目標とは2020年度・都内GDP120兆円(名目)という数字です。

計画に記載されている通り、2014年度・約 94.9 兆円基準として2020年度120兆円を目指すとなると、2015年度からの毎年の経済成長率は4%程度必要になります。実質ではなく名目であったとしても近年では全く達成できていない高いハードルだといえるでしょう。


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「都民経済計算(都内総生産等)平成27年度速報・平成28年度見込」から引用>
 
実際に、東京都が発表した都内総生産の2015年度速報・2016年度見込みを見ても、2015年度は微増・2016年度は減少しています。仮に、2016年度見込94.4兆円をベースにすると毎年名目6%以上の成長を平均して記録しなければ2020年名目120兆円を達成することはできません。

「東京ファーストでつくる新しい東京」の策定経緯

上述の「東京ファーストでつくる新しい東京」を参照したところ、概ね3回のプラン策定会議によって同計画は承認されたものと思われます。

プラン策定会議の議事録を読んでみましたが、上記の経済成長目標の数字については事務方から説明があっただけで、それを達成するための方法が十分に説明されているようには思えません。

むしろ、「数字目標を議論しながらも何も現実の数字を踏まえない会議」などやる意味があるのか、とすら思えます。〇〇を〇〇やります、的ないかにも行政的なやりっぱなし感が拭えないものとなっています。

同策定会議には事務方がズラッと並んでおり、基本的にはその場で意思決定を覆すようなものではありませんが、それでもこの会議にこの数字が出てくる前に止めるべきだったのではないかと思います。

東京都政は「霞が関のお絵描き」から一線を画すべきだ

都内総生産2020年120兆円(名目)は、アベノミクスが目標とする2020年頃にGDP600兆円を目途とする計画に合わせて、日本国の約20%を占める東京都の域内総生産を単純に割り当てただけの数字だと推測されます。

日本全体・名目GDP600兆円は現状でも極めて厳しい数字であり、日本経済が毎年3%以上の成長をする必要があり、世界経済の順調な成長とインフレの進行が前提となっています。

前者はトランプ政権による巨額の景気刺激策によって下支えされる可能性がありますが、中国・欧州などでの不安定要因も依然として大きい状況です。また、後者は日本銀行が事実上グロッキー状態であり、異次元緩和が手詰まりな状況となっています。そして、そもそも日本の名目GDP自体、最近は年間3%成長を実現できていません。

したがって、東京都が都内総生産名目・120兆円の目標を達成するためには、霞が関の非現実なお絵描きに付き合っているだけでは困難なものとなっています。

小池プランの経済成長目標を達成するために必要なこと

上記の通り、霞が関に阿る東京都官僚の非現実な絵に描いた餅を食べさせられた小池都知事は、今後都議会運営で非常に厳しい立場に立たされることでしょう。都議会議員から何かある度に同経済成長目標を引き合いに出されて未達を叱責される状況となります。

そして、小池都知事が独力で経済成長目標を達成することは、従来の延長線上の現在のプランではほぼ不可能です。筆者には上記の計画の施策を繋げてみても目標達成ができるとは全く思えません。

小池都知事が目標を達成するためには、地方交付税改革、に手をつけるしかありません。国税に繰り入れられた地方交付税を推計し、各都道府県に再配分した差額の数字を基にすると、東京都からは地方交付税という形で毎年約7兆円近い税金が流出しています。

まずは、これらのマイナスを堰き止めるべく、東京都の意見を代弁する政治勢力を都政だけでなく国政にも形成してくことが必要です。今年の都議会議員選挙で小池新党が立ち上がると看做されていますが小池都政のプランを実現するためには国政にモノを申せる力が必須だと言えます。

また、トランプ政権が打ち出す法人税減税競争は世界中の都市を新たな競争に巻き込むことになり、増税志向で動きが鈍い霞が関に合わせているようでは競争に敗北するのは必然でしょう。世界的な都市間競争に打ち勝つための東京都独自の減税・規制緩和政策を推進していく必要があります。

小池都政は既に後戻りできない数字を発表しており、小池氏が経済成長目標を達成するためには、東京ではなく日本の大改革が必要です。したがって、既に昨年末に戦いの火蓋は静かに切られていると言えるでしょう。



本記事の内容は所属機関とは関係なく渡瀬個人の見識に基づくものです。取材依頼や講演依頼などはyuya.watase02@gmail.comまでお願いします。
 

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